特許第6907892号(P6907892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907892
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20210708BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   B65G1/00 511H
   B65G1/04 505Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-214449(P2017-214449)
(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公開番号】特開2019-85224(P2019-85224A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕一
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−54707(JP,A)
【文献】 実開平5−37713(JP,U)
【文献】 特開2003−285903(JP,A)
【文献】 特開平2−95605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、
前記走行部に搭載され、移載先の棚との間で荷の移載を行う移載装置と、
前記移載装置に設けられており、前記移載装置に載置される荷における少なくとも移載方向である第1方向の該荷の端部、及び第1方向における該端部側の移載先の棚が同時に撮像可能な位置に固定される第1撮像手段と、
前記第1撮像手段の検出結果を基に、移載先の棚における荷の有無の把握と、前記移載装置に載置される荷姿異常の把握とを行うコントローラと、
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記第1撮像手段は、前記移載装置に載置される荷の上端より上方であり、かつ第1方向において該荷の外側で前記移載装置に固定される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記移載装置は、第1方向両側の前記棚との間で前記荷を移載可能であり、
前記第1撮像手段は、前記移載装置の第1方向両側にそれぞれ設けられている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記移載装置に設けられており、前記移載装置に載置される荷の上端より上方であり、かつ第1方向に直交する第2方向において該荷の外側で前記移載装置に固定される第2撮像手段をさらに備え、
前記第1撮像手段は、前記移載装置に載置される荷の上端より上方であり、かつ第1方向において該荷の外側で前記移載装置に固定され、
前記第1撮像手段は前記移載装置の第1方向両側にそれぞれ設けられた一対を有し、さらに前記一対の第1撮像手段が第2方向両側に位置するように設けられており、前記第2撮像手段は前記移載装置の第2方向両側にそれぞれ設けられた一対を有し、さらに前記一対の第2撮像手段が第1方向両側に位置するように設けられており、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段の撮像方向が、平面視において一方向に一周するように配置されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記移載先の荷の有無を、前記第1撮像手段の検出結果において前記移載先の棚が検出されたか否かによって把握する、請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、特に、荷の状態を検出可能なカメラを有する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫は、例えば、一対のラックと、スタッカクレーンと、入庫ステーションと、出庫ステーションとを備えている。一対のラックは、前後方向に所定間隔をあけるようにして設けられている。スタッカクレーンは、前後のラック間において左右方向に移動自在に設けられている。入庫ステーションは、一方のラックの側方に配置されている。出庫ステーションは、他方のラックの側方に配置されている。ラックは、上下左右に多数の棚を有する。
【0003】
荷が入庫ステーションに置かれると、次に、スタッカクレーンが、荷を積み込み、さらに目的の棚まで搬送する。荷積み込み時に、昇降台に載置された荷が荷姿異常(荷崩れ、荷ずれを含む)を起こすことがある。そこで、スタッカクレーンは、昇降台に載置された荷についての荷崩れや荷ずれを検出するセンサを備えている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1では、荷姿検出のために、4台のカメラが昇降台に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−37713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動倉庫のコンピュータ保存されたデータと実際の入庫状況が異なることが生じる。例えば、データでは空であっても、実際には棚に荷が置かれているという事態である。このような事態は、例えば、作業者がスタッカクレーンのフォーク上の荷を空の棚に置いて、その後にフォーク上に戻すのを忘れた場合に生じる。このように、ある棚ではデータ上では空であるが実際には荷が載置されており、そこにスタッカクレーンから荷が移載されると、荷同士が接触して双方が破損するおそれがある。
【0006】
そこで、例えば、荷載置部と、移載装置と、荷載置部の荷の有無を検出するために移載装置に設けられたセンサとを有する荷格納装置が知られている。センサは、ほぼ水平方向に投光されるように配置されており、荷載置部に対して、荷が載置される場所に向け投光し、荷からの反射光の有無を確認して、荷載置部に荷が載置されているか判断する。移載装置は、反射光をセンサが受光する場合に、荷を荷載置部に移載しない。このような場合を先入品異常という。
しかし、上記のように目的ごとにセンサが設けられると、センサの数が増えてコストが高くなる。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成によって、搬送装置において荷姿異常と先入品の検知の両方を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0009】
本発明の一見地に係る搬送装置は、移載装置と、第1撮像手段と、コントローラとを有している。
移載装置は、棚との間で荷の移載を行う。
第1撮像手段は、移載装置に設けられており、移載装置に載置される荷における少なくとも移載方向である第1方向の該荷の端部、及び第1方向における該端部側の移載先の棚を同時に撮像可能な位置に固定される。
コントローラは、第1撮像手段の検出結果を基に、移載先の棚における荷の有無の把握と、移載装置に載置される荷の荷姿異常の把握とを行う。なお、荷姿異常とは、荷はみ(基準領域から荷がはみ出すこと)と荷崩れとを含む。さらに、上記の荷姿異常は、荷が姿勢を変えたことのみではなく、例えば、荷の一部が変形した場合も含む。
この搬送装置では、荷姿異常及び先入品の検知の両方を行うことができる位置に撮像手段を設けることで、1つの撮像手段で両方の検知ができる。つまり、それぞれの用途のための撮像手段を設けなくてもよい。
【0010】
第1撮像手段は、移載装置に載置される荷の上端より上方であり、かつ第1方向において該荷の外側で移載装置に固定されていてもよい。
この搬送装置では、上方から荷の端部を撮像することにより、荷の高さによらず荷姿異常を検知できる。
【0011】
移載装置は、第1方向両側の棚との間で荷を移載可能であってもよい。
第1撮像手段は、移載装置の第1方向両側にそれぞれ設けられていてもよい。
この搬送装置では、移載装置の第1方向両側それぞれに撮像手段を設けることで、荷姿異常及び両移載方向における先入品の検知ができる。
【0012】
搬送装置は、第2撮像手段をさらに備えていてもよい。第2撮像手段は、移載装置に設けられており、移載装置に載置される荷の上端より上方であり、かつ第1方向に直交する第2方向において該荷の外側で移載装置に固定されてもよい。
第1撮像手段は、移載装置に載置される荷の上端より上方であり、かつ第1方向において該荷の外側で移載装置に固定されていてもよい。
第1撮像手段は移載装置の第1方向両側にそれぞれ設けられた一対を有し、さらに一対の第1撮像手段が第2方向両側に位置するように設けられていてもよい。第2撮像手段は移載装置の第2方向両側にそれぞれ設けられた一対を有し、さらに一対の第2撮像手段が第1方向両側に位置するように設けられていてもよい。第1撮像手段及び第2撮像手段の撮像方向が、平面視において一方向に一周するように配置されていてもよい。
この搬送装置では、複数の撮像手段が一方向に一周するように撮像することで、画像処理の対象を、各撮像手段における撮像範囲内の同じ位置に設定できる(例えば、荷姿異常に関する画像処理範囲を各映像の下側領域に設定できる)。従って各カメラ画像に対して一律の画像処理が可能になる。
【0013】
コントローラは、移載先の荷の有無を、第1撮像手段の検出結果において移載先の棚が検出されたか否かによって把握してもよい。
この搬送装置では、移載先の荷の有無を判断するために特別部品やマークを設ける必要がないので、棚の構成が簡単になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の搬送装置では、簡単な構成で、荷姿異常と先入品の検知の両方を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態が採用された自動倉庫の概略平面図。
図2図1のII−II矢視図であり、ラックとスタッカクレーンを説明するための図。
図3図2の拡大図であり、スタッカクレーンの構成を示す図。
図4】カメラの配置位置及び撮像範囲を概略的に示した模式的平面図。
図5】スタッカクレーンの制御部の機能ブロック図。
図6】荷下ろし前の異常状態検出制御動作を示すフローチャート。
図7】移載装置及び棚の一状態を示した表示画面。
図8】移載装置及び棚の一状態を示した表示画面。
図9】移載装置及び棚の一状態を示した表示画面。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫全体
図1を用いて、本発明に係る第1実施形態としての自動倉庫1を説明する。図1は、本発明の第1実施形態が採用された自動倉庫の概略平面図である。なお、この実施形態において、図1の上下方向が自動倉庫1の左右方向(第2方向の一例であり、矢印Y)であり、図1の上下方向が自動倉庫1の前後方向(第1方向の一例であり、矢印X)である。
自動倉庫1は、主に、一対のラック2と、スタッカクレーン3(搬送装置の一例)とから構成されている。
【0017】
(2)ラック
一対のラック2は、左右方向に延びるスタッカクレーン通路5を挟むように配置されている。ラック2は、所定間隔で左右に並ぶ多数の前側支柱7と、前側支柱7の後方において、前側支柱7との間に所定間隔をあけて並ぶ後側支柱9と、前側支柱7及び後側支柱9に設けられた多数の荷物支承部材11とを有している。左右一対の荷物支承部材11によって、棚13が構成されている。各棚13には、図から明らかなように、荷Wが載置可能である。なお、各荷Wは、パレットP(図2及び図3を参照)上に載置され、パレットPと共に移動させられる。なお、左右一対の荷物支承部材11間は、後述のスライドフォーク29aの上下方向の移動を許容するフォーク通過間隙15となっている。
【0018】
(3)スタッカクレーン
図2を用いて、スタッカクレーン3について説明する。図2は、図1のII−II矢視図であり、ラックとスタッカクレーンを説明するための図である。
スタッカクレーン通路5に沿って、上下一対の走行レール21が設けられており、これら走行レール21にスタッカクレーン3が左右に移動可能に案内されている。スタッカクレーン3は、主に、一対のマスト22である第1マスト22A及び第2マスト22Bを有する走行台車23と、第1マスト22A及び第2マスト22Bに昇降自在に装着された昇降台27と、昇降台27に設けられた移載装置29とを有している。走行台車23は、走行車輪24を有している。
【0019】
移載装置29は、進退機構(図示せず)によって前後方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク29aを有している。スライドフォーク29aは、前後方向両側の棚13との間で荷Wを移載可能である。
なお、昇降台27と移載装置29は互いに固定されており、昇降台27の一部を移載装置29の一部と見なしてよい。
【0020】
昇降台27は、第1マスト22A及び第2マスト22Bにガイドされる昇降ガイドローラ28を有する。昇降ガイドローラ28は、一方のマストに対して上下一対ずつ合計4個が当接している。より具体的には、一対の昇降ガイドローラ28は、マスト22の前後方向両側面の走行方向内側部分に当接している。
なお、図2において、昇降台27のスライドフォーク29aの上には、パレットPと荷Wが載っている。この実施形態では、荷Wは3×3×3個の直方体が隙間なく積み上げられた構成である。しかし、荷Wの個々の荷物の個数、形状及び積み上げ方は上記実施形態に限定されない。
第1マスト22A及び第2マスト22Bの下端同士は下側フレーム25によって連結され、上端同士は上側フレーム26によって連結されている。
【0021】
スタッカクレーン3は、制御盤41と、走行モータ59と、昇降モータ63とを有している。制御盤41は、走行方向において、第2マスト22Bに対する第1マスト22Aと反対側に設けられている。走行モータ59は、第1マスト22Aに設けられている。昇降モータ63は、第1マスト22Aに設けられている。
制御盤41は、内部に、走行モータ59や昇降モータ63用のインバータ、コンバータ、ブレーカ等の電装機器を有している。制御盤41は、さらに、制御基板ボックス(図示せず)を有している。制御盤41は、これら電装機器を覆うフレームを有している。制御盤41は、電源(図示せず)、走行モータ59、昇降モータ63、スライドフォーク29a等に動力ケーブル(図示せず)を介して接続されている。制御盤41は、さらに、制御ケーブルを介して、通信インターフェースを介して地上制御盤、センサ類、スライドフォーク29a並びに制御電源に接続されている。
昇降モータ63は、図2に示すように、ドラム64を駆動可能である。ドラム64からは、ワイヤ40が延びている。ワイヤ40は、上側フレーム26に設けられたプーリ44に掛け回され、さらに昇降台27に連結されている。
【0022】
移載装置29には、図2図4に示すように、第1カメラ51、第2カメラ52、第3カメラ53及び第4カメラ54(以下、まとめて表現する場合は「4台のカメラ51〜54」とする)が装着されている。図4は、カメラの配置位置及び撮像範囲を概略的に示した模式的平面図である。4台のカメラ51〜54は、いわゆるビデオカメラであり、撮像した画像(静止画・動画)をビデオ信号としてシステムコントローラ71に入力する。なお、上記の場合、第1カメラ51及び第2カメラ52の撮像範囲と、第3カメラ53及び第4カメラ54の撮像範囲とは異なっている。ただし、4台のカメラの撮像範囲が全て異なっていてもよいし、全て同じでもよい。
【0023】
4台のカメラ51〜54は、昇降台27に載置された荷W及び棚13に載置された荷Wを撮像する装置である。
4台のカメラ51〜54は、図4に示すように、フレーム31を介して昇降台27に取り付けられている。フレーム31は、昇降台27つまり移載装置29の左右方向両側において前後方向に延びる一対の部材である。4台のカメラ51〜54は、各フレーム31の前後方向両端にそれぞれ固定されている。なお、カメラはフレーム以外の他の部材に取り付けられていてもよい。
【0024】
第1カメラ51及び第2カメラ52(第1撮像手段の一例)は、前後方向(第1方向の一例)の該荷Wの端部(つまり、端面)、及び前後方向における該端部側の移載先の棚13を同時に撮像可能な位置に固定される。
第1カメラ51及び第2カメラ52は、移載装置29に載置される荷Wの上端より上方であり、かつ左右方向において該荷Wの外側で移載装置29に設けられている。第1カメラ51及び第2カメラ52は斜め下方を向いている。この場合、カメラが上方から荷を撮像することにより、荷Wの高さによらず荷崩れを検知できる。
以上に述べたように第1カメラ51及び第2カメラ52は、移載装置29の前後方向両側にそれぞれ設けられている。したがって、移載装置29に載置された荷Wの荷姿異常及び両移載方向における先入品の検知ができる。
【0025】
図4を用いて、第1カメラ51及び第2カメラ52を詳細に説明する。
第1カメラ51は、平面視において図4の右下側に設けられ、移載装置29に積まれた荷Wの前後方向の端部91及び前後方向における該端部91側の移載先の棚13を同時に撮像可能な位置に設けられている。なお、第1カメラ51は、移載装置29に荷Wが配置されていても、移載先の棚13における先入れ品を検出可能である。なぜなら、第1カメラ51から見て、移載装置29の載置位置と移載先の棚13は前後方向にずれて並んでいるからである。
【0026】
第2カメラ52は、図4の左上側に設けられ、移載装置29に積まれた荷Wの前後方向の端部92及び前後方向における該端部92側の移載先の棚13を同時に撮像可能な位置に設けられている。なお、第2カメラ52は、移載装置29に荷Wが配置されていても、移載先の棚13における先入れ品を検出可能である。なぜなら、第2カメラ52から見て、移載装置29の載置位置と移載先の棚13は前後方向にずれて並んでいるからである。
なお、第1カメラ51が対象とする棚13と第2カメラが対象とする棚13とは、異なる棚である。
【0027】
第3カメラ53及び第4カメラ54(第2撮像手段の一例)は、移載装置29に設けられており、移載装置29に載置された荷Wの左右方向(第2方向の一例)の端部(つまり、端面)を撮像可能な位置に設けられる。
第3カメラ53及び第4カメラ54は、移載装置29に載置される荷Wの上端より上方であり、かつ前後方向において該荷Wの外側で移載装置29に設けられている。第3カメラ53及び第4カメラ54は斜め下方を向いている。
【0028】
図4を用いて、第3カメラ53及び第4カメラ54を詳細に説明する。
第3カメラ53は、図4の左下側に設けられ、移載装置29に積まれた荷Wの左右方向の端部93を撮像可能な位置に設けられている。なお、第3カメラ53は、移載装置29に荷Wが配置されていなければ、移載先の棚13における先入れ品を検出できるが、移載装置29に荷Wが配置されていれば、移載先の棚13における先入れ品を検出できない。なぜなら、第3カメラ53から見て、移載装置29の載置位置と移載先の棚13は重なっているからである。
【0029】
第4カメラ54は、図4の右上側に設けられ、移載装置29に積まれた荷Wの左右方向の端部94を撮像可能な位置に設けられている。なお、第4カメラ54は、移載装置29に荷Wが配置されていれば、移載先の棚13における先入れ品を検出できるが、移載装置29に荷Wが配置されていれば、移載先の棚13における先入れ品を検出できない。なぜなら、第4カメラ54から見て、移載装置29の載置位置と移載先の棚13は重なっているからである。
なお、第3カメラ53が対象とする棚13と第4カメラが対象とする棚13とは、異なる棚である。
【0030】
4台のカメラ51〜54は、撮像方向が平面視において一方向に一周するように配置されている。具体的には、図4において、4台のカメラ51〜54の撮像方向は、平面視で時計回り方向になっている。
【0031】
(4)スタッカクレーンの制御構成
図5を用いて、制御基板ボックス(図示せず)内に配置されたクレーンコントローラ50を説明する。図5は、スタッカクレーンの制御部の機能ブロック図である。
クレーンコントローラ50は、スタッカクレーン3に搭載され、自動倉庫1全体を制御するシステムコントローラ71と通信可能である。
【0032】
クレーンコントローラ50は、CPUやメモリ等のコンピュータハードウェアを含むコンピュータであり、図5においてはコンピュータハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能ブロックとして表現されている。なお、これら制御部は、それぞれ単独のコンピュータによって実現されもよい。
なお、機能ブロックは、それぞれ、ハードウェアで構成されてもよい。また、クレーンコントローラ50は、走行台車23に搭載されたものに限定されず、電気的に接続された状態で地上側に配置されていてもよい。
【0033】
クレーンコントローラ50は、走行台車23の走行車輪24の駆動を制御するための機能を有しており、走行モータ59を含む走行部73に接続されている。クレーンコントローラ50は、昇降台27を第1マスト22A及び第2マスト22Bに沿って上下動させるための機能を有しており、昇降モータ63を含む昇降部74に接続されている。クレーンコントローラ50は、スライドフォーク29aを前後方向に移動させるための機能を有しており、移載モータ(図示せず)を含む移載部75に接続されている。
システムコントローラ71は、CPUやメモリ等のコンピュータハードウェアを含むコンピュータである。システムコントローラ71は、一般的なパーソナルコンピュータ又は持ち運び可能な情報端末であってもよい。
【0034】
4台のカメラ51〜54は、システムコントローラ71に接続されている。システムコントローラ71は、4台のカメラ51〜54の撮像を制御する機能を有している。システムコントローラ71は、さらに、画像処理をするための画像処理ソリューション・ソフトウェアからなる画像処理部77を有している。なお、上記機能は、システムコントローラ71の外部の他の装置によって実現されてもよい。
さらに、4台のカメラ51〜54は、クレーンコントローラ50に接続されていてもよい。さらに、クレーンコントローラ50が画像処理部77、画像記憶部78を有していてもよい。
【0035】
システムコントローラ71には、画像記憶部78が設けられている。画像記憶部78には、4台のカメラ51〜54によって撮像された画像データが保存される。なお、上記機能は、システムコントローラ71の外部の画像サーバによって実現されてもよい。
システムコントローラ71は、画像を表示装置83(後述)に出力する表示部79を有している。
【0036】
システムコントローラ71には、入力装置81及び表示装置83が接続されている。
入力装置81は、オペレータがシステムコントローラ71にデータ及び指令を入力するための装置である。入力装置81は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルである。なお、入力装置81は、例えばネットワークによって接続された他のコンピュータであってもよい。
表示装置83は、液晶、有機EL等のディスプレイである。ただし、ディスプレイの種類、台数、設置位置は上記実施形態に限定されない。
【0037】
(5)制御動作
以上のように構成されたスタッカクレーン3では、スタッカクレーン3が移載装置29を移載先の棚13の前に移動させて次に荷下ろしを行う前に、昇降台27上の様子及び移載先の棚13の様子が4台のカメラ51〜54によって撮像される。具体的には、撮像データが画像記憶部78に保存され、それが画像処理されることで、移載装置29に載置された荷Wの荷姿異常と移載先の棚13における先入れ品の有無が判断される。
【0038】
図6を用いて、荷下ろし前の異常状態検出制御を説明する。図6は、荷下ろし前の異常状態検出制御動作を示すフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
【0039】
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、制御部から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0040】
図6のステップS1では、最初に、荷Wが積まれた移載装置29が走行を開始する。具体的には、クレーンコントローラ50が、上位コントローラ(図示せず)からの移載指令に基づいて、走行部73を制御することで上記動作を実行させる。
ステップS2では、4台のカメラ51〜54による荷Wの撮影が開始される。撮像データは例えば画像記憶部78に保存される。具体的には、システムコントローラ71が4台のカメラ51〜54を操作して例えば静止画を撮影させる。これにより、荷姿異常検出がONされる。なお、静止画の撮影は、クレーンコントローラ50からの指令によって実行されてもよい。
【0041】
荷姿異常検出は後述の荷下ろし動作以外は常にON状態であり、画像処理部77が映像を画像処理して、移載装置29にある荷姿異常(荷崩れ、荷はみ等)があるか否かを判断する。具体的には、システムコントローラ71は、4台のカメラ51〜54により撮像される撮像情報に基づいて、荷Wと荷Wが載置されるべき基準領域との比較を行い、荷崩れ・荷はみを把握する。
異常箇所の把握の仕方は、例えば、以下の2つの方法がある。第1の方法では、基準領域を超える(外に出る)物体の移動があった場合に異常とする。第2の方法では、基準領域外の初期状態を記憶させておき、初期状態と現在の状態とを比較して異常を検出する。なお、画像処理により、荷の形状に変化がある時に荷崩れ、荷の変形を検知してもよい。
【0042】
異常があれば、異常停止処理が行われる。
ステップS3では、移載先の棚13の前である移載位置に移載装置29が到達したか否かが判断される。具体的には、クレーンコントローラ50が図示しないセンサからの検出信号に基づいて上記判断を行う。移載位置に到達すれば(ステップS3でYes)、プロセスはステップS4に移行する。
ステップS4では、移載装置29は、停止させられる。具体的には、クレーンコントローラ50が、走行部73を制御することで上記動作を実行させる。
【0043】
ステップS5では、システムコントローラ71の画像処理部77が画像処理して、荷下ろし先の棚13に先入れ品があるか否かを判断する。先入れ品がなければ(ステップS5でNo)、プロセスはステップS6に移行し、先入れ品があれば(ステップS5でYes)プロセスはステップS9に移行する。ステップS9では、異常停止処理が行われる。
なお、先入品検知の種類としては、例えば、下記の2つがある。
第1に、画像内の直線パターンを見ることで、荷物支承部材11を検出する。これは先入品が入ると画像内に現れなくなるので、荷物支承部材11が見える=先入品なし、荷物支承部材11が見えない=先入品ありという判断をする。
第2に、先入品がある画像とない画像を学習させて、移載前の画像から先入品の有無を判断する。
【0044】
ステップS6では、荷姿異常検出がOFFされる。
ステップS7では、荷下ろし動作が行われる。具体的には、クレーンコントローラ50が移載部75を制御して、その結果、移載装置29のスライドフォーク29aが荷Wを棚13に移載する。
ステップS8では、荷姿異常検出がONされる。
【0045】
以上に述べたように、システムコントローラ71は、第1カメラ51及び第2カメラ52の検出結果を基に移載先の荷Wの有無の把握と、移載装置29に載置される荷Wの荷崩れの把握を行う。したがって、荷崩れ及び先入品の検知の両方を行うことができる位置にカメラを設けることで、少ない数のカメラで両方の検知ができる。つまり、それぞれの用途のためのセンサを設けなくてもよい。
以上に述べたように、システムコントローラ71は、移載先の棚13の荷Wの有無の把握を、第1カメラ51及び第2カメラ52の検出結果において移載先の棚13を構成する部材が検出されたか否かによって判断する。したがって、荷Wの有無を判断するために特別部品やマークを設ける必要がないので、構成が簡単になる。
【0046】
図7図9を用いて、4台のカメラ51〜54の映像の例を説明する。図7図9は、移載装置及び棚の一状態を示した表示画面である。
図7図9では、表示装置83の画面において、4台のカメラ51〜54で撮像された映像が表示されている。各図の右上部分が第1カメラ51の画像であり、左下部分が第2カメラ52の画像であり、右下部分が第3カメラ53の画像であり、左上部分が第4カメラ54の画像である。
図7では、移載装置29には荷Wは載置されていないし、前後方向両側の棚13にも荷Wは載置されていない。したがって、全ての画像において、棚13の荷物支承部材11が映っている。なお、破線Aで囲まれた部分が一方の棚13であり、破線Bで囲まれた部分が他方の棚である。
【0047】
図8では、移載装置29には荷W1が載置されているが、前後方向両側の棚13には荷Wは載置されていない(つまり、先入れ品はない)。この場合、第1カメラ51の画像によって荷W1の端部91の状態を確認でき、第2カメラ52の画像によって荷W1の端部92の状態を確認でき、第3カメラ53の画像によって荷W1の端部93の状態を確認でき、第4カメラ54の画像によって荷W1の端部94の状態を確認できる。
さらに、図8では、第1カメラ51の画像及び第2カメラ52の画像には、棚13の荷物支承部材11が映っている。したがって、システムコントローラ71は、前後方向両側の棚13には荷Wは載置されていないことを把握できる。ただし、この場合、第3カメラ53の画像及び第4カメラ54の画像には棚13の状態は映っていない。
【0048】
図9では、移載装置29には荷W1が載置されており、前後方向両側の棚13にも荷W2及び荷W3がそれぞれ載置されている(つまり、先入れ品がある)。そのため、第1カメラ51の画像によって荷W2の存在及び荷W1の端部91の状態を確認でき、第2カメラ52の画像によって荷W3の存在及び荷W1の端部92を確認でき、第3カメラ53の画像によって荷W1の端部93の状態を確認でき、第4カメラ54の画像によって荷W1の端部94の状態を確認できる。
さらに、図9では、第1カメラ51の画像及び第2カメラ52の画像には、棚13の荷物支承部材11が映っていない。したがって、システムコントローラ71は、前後方向両側の棚13には荷W2及び荷W3が載置されていることを把握できる。ただし、この場合、第3カメラ53の画像及び第4カメラ54の画像には棚13の状態は映っていない。
【0049】
また、4台のカメラ51〜54は、撮像方向が平面視において一方向に一周するように配置されている。具体的には、第1カメラ51及び第2カメラ52が第1撮像手段として移載装置29の左右方向両側にそれぞれ設けられており、第3カメラ53及び第4カメラ54が第2撮像手段として移載装置29の左右方向両側にそれぞれ設けられている。なお、第1カメラ51と第2カメラ52は移載装置29の前後方両側に互いに離れて配置されており、第3カメラ53と第4カメラ54は移載装置29の前後方向両側に互いに離れて配置されている。
したがって、一方向に一周するように撮像することで、画像処理の対象を、4台のカメラ51〜54における撮像範囲内の同じ位置に設定できる(例えば、荷姿異常に関する画像処理範囲を各映像の下側領域に設定できる)。従って各カメラ画像に対して一律の画像処理が可能になる。
具体的には、図7図9から明らかなように、移載装置29に載置された荷Wの端部91〜94(つまり、端面)は、各映像の下側部分に位置している。したがって、システムコントローラ71は、映像の下側部分のみの画像処理によって、移載装置29に載置された荷Wの荷姿異常を把握できる。
【0050】
2.実施形態の特徴
上記実施形態は下記のように説明できる。
スタッカクレーン3(搬送装置の一例)は、移載装置29(移載装置の一例)と、第1カメラ51及び第2カメラ52(第1撮像手段の一例)と、システムコントローラ71(コントローラの一例)とを有している。
移載装置29は、棚13との間で荷Wの移載を行う。
第1カメラ51及び第2カメラ52は、移載装置29に設けられており、移載装置29に載置される荷Wにおける少なくとも移載方向である前後方向(第1方向の一例)の該荷Wの端部91、92(端部の一例)、及び前後方向における該端部側の移載先の棚13を同時に撮像可能な位置に固定される。
システムコントローラ71は、第1カメラ51及び第2カメラ52の検出結果を基に、移載先の棚13における荷Wの有無の把握と、移載装置29に載置される荷Wの荷姿異常の把握とを行う。
【0051】
このスタッカクレーン3では、荷姿異常及び先入品の検知の両方を行うことができる位置に第1カメラ51及び第2カメラ52を設けることで、1つのカメラで両方の検知ができる。つまり、それぞれの用途のためのカメラを設けなくてもよい。
【0052】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0053】
第1実施形態では搬送装置はスタッカクレーンであったが、搬送装置の種類は限定されない。例えば、搬送装置は、倉庫のラックの各段を走行するシャトル台車であってもよい。また、搬送装置は、地上又は天井のレールに沿って走行する有軌道台車でもよい。
第1実施形態では移載装置は前後方向両側の棚に荷を移載可能であったが、移載装置は前後方向片側の棚にのみ荷を移載する構造であってもよい。
第1実施形態では移載装置はスライドフォークであったが、移載装置の種類は限定されない。例えば、移載装置は、サイドアーム式(リアフック、クランプ、サイドフック)であってもよい。
【0054】
第1実施形態では荷撮像データとして静止画が採用されていたが、動画を用いてもよい。
第1実施形態では荷はパレットの上に置かれていたが、荷はトレイ容器に収納されていてもよい。
【0055】
カメラの数は特に限定されない。1〜3台でもよいし、5台以上であってもよい。
全てのカメラの画像が同時に表示装置において表示されなくてもよい。例えば、1台のカメラの画像のみが表示され、切り替え可能となっていてもよい。
荷の形状は特に限定されない。例えば、荷は4つの端面を有していなくてもよい。
【0056】
カメラが3台の場合は、下記の設定が可能である。例えば、第1カメラ及び第2カメラが、移載装置の前後方向両側に離れてかつ左右方向の同じ位置(一方側)に設けられている。
これら第1カメラ及び第2カメラによって、先入品検知と一方の荷姿異常を検出する。第3カメラが、左右方向において他方の荷姿異常を検出するように設けられている。
【0057】
前記実施形態ではカメラの撮影方向は一方向に一周するように設定されていたが、異なる構成であってもよい。例えば、4台のカメラ51〜54の配置位置は現在記載の配置位置と同じであり、第1カメラ51と第3カメラ53が向かい合うように設置されており、第1カメラ51の左側の撮像範囲と第3カメラ53の右側の撮像範囲により先入品検知を行う。第2カメラ52と第4カメラ54の関係も同様である。
さらに、第1カメラ51と第4カメラ54により左右方向の一方の荷姿異常を検出する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、荷の状態を検出可能なカメラを有する搬送装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 :自動倉庫
2 :ラック
3 :スタッカクレーン
5 :スタッカクレーン通路
7 :前側支柱
9 :後側支柱
11 :荷物支承部材
13 :棚
15 :フォーク通過間隙
21 :走行レール
22 :マスト
22A :第1マスト
22B :第2マスト
23 :走行台車
24 :走行車輪
25 :下側フレーム
26 :上側フレーム
27 :昇降台
28 :昇降ガイドローラ
29 :移載装置
29a :スライドフォーク
31 :フレーム
40 :ワイヤ
41 :制御盤
44 :ローラ
50 :クレーンコントローラ
51 :第1カメラ
52 :第2カメラ
53 :第3カメラ
54 :第4カメラ
59 :走行モータ
63 :昇降モータ
64 :ドラム
71 :システムコントローラ
73 :走行部
74 :昇降部
75 :移載部
77 :画像処理部
78 :画像記憶部
79 :表示部
81 :入力装置
83 :表示装置
91 :端部
92 :端部
93 :端部
94 :端部
W :荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9