(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対向面には、前記端子電極面へ突出する突起が形成されており、前記第2部分は、前記突起と前記端子電極面との間にあることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チップ部品と金属端子とを接合する接合部材として、Sn(スズ)とSb(アンチモン)とを含有する接合部材が提案されている。Sbを含有する接合部材を用いることにより、接合部材が溶融し難くなり、接合部材の耐熱性が向上する。また、接合部材の使用量を多くすれば、その接合部材自体の耐久力は高くなる。しかしながら、このような接合部材の使用量が多い場合には、チップ部品にクラックが生じる場合があり、問題を有している。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、接合部材の使用量が少なくても、良好な耐熱性を有するセラミック電子部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック電子部品は、
端子電極が形成された端子電極面を有するチップ部品と、
前記端子電極面に対向する対向面を有する金属端子と、
少なくともSnとSbとを含み、前記端子電極面と前記対向面とを接合する導電性の接合部材と、を有し、
前記接合部材は、前記端子電極面と前記対向面とが第1の距離である位置にあり、Sb/Snが第1の値である第1部分と、前記端子電極面と前記対向面とが前記第1の距離より短い第2の距離である位置にあり、Sb/Snが前記第1の値より大きい第2の値である第2部分と、を有する。
【0007】
本発明に係るセラミック電子部品では、端子電極面と対向面とのギャップが小さい接合部材の第2部分は、これよりギャップが大きい第1部分に対してSb/Snが大きく、Sbの含有量が高い。ギャップが小さい第2部分は、金属端子とチップ部品との接合強度への寄与が大きいため、この第2部分のSb含有量を高めることにより、Sb含有量が均一である場合に比べて、接合部材の温度上昇時における接合信頼性を向上させることができる。また、本発明に係るセラミック電子部品では、接合部材が少なくても接合信頼性が保たれるため、接合部材の過度な使用に伴い生じるチップ部品におけるクラックの形成を防止できる。したがって、本発明に係るセラミック電子部品は、接合部材の使用量が少なくても、良好な耐熱性を有する。
【0008】
また、例えば、前記対向面には、前記端子電極面へ突出する突起が形成されており、前記第2部分は、前記突起と前記端子電極面との間にあってもよい。
【0009】
対向面に突起が形成されていることにより、意図した位置に接合部材の第2部分を配置することができるため、このようなセラミック電子部品は、接合強度や耐熱性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0010】
また、例えば、前記第1部分は、前記第2部分の周りを取り囲んでいてもよい。
【0011】
このような構造を有する接合部材では、温度上昇により流動性が生じ始めた場合にも、第2部分のアンカー効果が生じることにより、接合部材全体の流動が抑制される。
そのため、このような接合部材を有するセラミック電子部品は、実装において金属端子とチップ部品との接合が解除される問題を、より効果的に防止することができる。
【0012】
また、例えば、前記第1部分の面積は、前記第2部分の面積より広くてもよい。
【0013】
第1部分62の面積を広くすることにより、セラミックコンデンサ10は、冷温状態(非温度上昇時)において、より良好な接合強度を確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10を示す概略斜視図である。セラミックコンデンサ10は、チップ部品としてのチップコンデンサ20と、一対の金属端子部30、40とを有する。セラミックコンデンサ10は、2つのチップコンデンサ20を有するが、セラミックコンデンサ10が有するチップコンデンサ20の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0016】
なお、実施形態の説明では、チップコンデンサ20に金属端子部30、40が取り付けられたセラミックコンデンサを例に説明を行うが、本発明のセラミック電子部品としてはこれに限られず、コンデンサ以外のチップ部品に金属端子部30、40が取り付けられたものであっても良い。また、各実施形態の説明においては、
図1に示すように、実装面に直交する方向をZ軸方向、実装面に平行でチップコンデンサ20の両端面を接続する方向をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向に垂直な方向をX軸方向として説明を行う。また、Z軸方向に平行な方向を高さ方向、XY平面に平行な方向を水平方向とする。
【0017】
チップコンデンサ20は、略直方体形状であり、2つのチップコンデンサ20は、互いに略同一の形状およびサイズを有している。
図2に示すように、チップコンデンサ20は、互いに対向する一対のチップ端面を有しており、一対のチップ端面は、第1端面20aと第2端面20bとで構成されている。
【0018】
チップコンデンサ20は、第1端面20aと第2端面20bとが実装面に対して垂直になるように、言い換えると、第1端面20aと第2端面20bとを繋ぐチップコンデンサ20の側辺が、セラミックコンデンサ10の実装面と平行になるように配置されている。なお、セラミックコンデンサ10の実装面は、セラミックコンデンサ10がハンダ等によって取り付けられる面であり、後述する金属端子部30、40の実装部38、48が対向する面である。
【0019】
チップコンデンサ20は2つの端子電極を有している。一方の端子電極である第1端子電極22は第1端面20aに形成されており、第1端面20aは、全体が端子電極面となっている。また、他方の端子電極である第2端子電極24は第2端面20bに形成されており、第2端面20bは、全体が端子電極面となっている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、チップコンデンサ20の第1端子電極22は、第1端面20aから、第1端面20aに隣接するチップ側面の一部に回り込むように形成されている。したがって、第1端子電極22は、第1端面20aに配置されている部分と、チップ側面に配置されている部分とを有する。ただし、第1端子電極22の形状はこれに限定されず、第1端子電極22は、第1端面20aのみに形成されていてもよい。
【0021】
また、チップコンデンサ20の第2端子電極24は、第2端面20bからチップ側面の他の一部(第1端子電極22が回り込んでいる部分とは異なる部分)に回り込むように形成されている。したがって、第2端子電極24は、第2端面20bに配置される部分と、チップ側面に配置される部分とを有する。また、チップ側面において、第1端子電極22と第2端子電極24とは所定の距離を隔てて形成されている。ただし、第2端子電極24の形状はこれに限定されず、第2端子電極24は、第2端面20bのみに形成されていてもよい。
【0022】
チップコンデンサ20の内部構造を模式的に表す
図2に示すように、チップコンデンサ20は、内部電極層26と誘電体層28とが積層された積層コンデンサである。内部電極層26は、第1端子電極22に接続しているものと、第2端子電極24に接続しているものとがあり、第1端子電極22に接続する内部電極層26と、第2端子電極24に接続している内部電極層26とが、誘電体層28を挟んで交互に積層されている。
【0023】
図2に示すように、チップコンデンサ20における積層方向は、実装面に対して平行(X軸方向)である。ただし、チップコンデンサ20は、積層方向が実装面に対して垂直になるように、金属端子部30、40に保持されていてもよい。
【0024】
チップコンデンサ20における誘電体層28の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層28の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。本実施形態では、好ましくは1.0〜5.0μmである。また、誘電体層28は、コンデンサの静電容量を大きくできるチタン酸バリウムを主成分とすることが好ましい。
【0025】
内部電極層26に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層28の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層26は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層26の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0026】
第1及び第2端子電極22、24の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。第1及び第2端子電極22、24の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。なお、第1及び第2端子電極22、24の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。なお、端子電極22と接続部材との関係については、
図3を用いて後ほど述べる。
【0027】
チップコンデンサ20の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。チップコンデンサ20は、例えば、縦(Y軸方向)1.0〜6.5mm、好ましくは3.2〜5.9mm×横(Z軸方向)0.5〜5.5mm、好ましくは1.6〜5.2mm×厚み(X軸方向)0.3〜3.2mm、好ましくは0.8〜2.9mm程度である。複数のチップコンデンサ20を有する場合は、互いに大きさや形状が異なっていてもかまわない。
【0028】
図1に示すように、セラミックコンデンサ10における一対の金属端子部30、40は、一対のチップ端面である第1及び第2端面20a、20bに対応して設けられる。すなわち、一対の金属端子部30、40の一方である第1金属端子部30は、一対の端子電極22、24の一方である第1端子電極22に対応して設けられており、一対の金属端子部30、40の他方である第2金属端子部40は、一対の端子電極22、24の他方である第2端子電極24に対応して設けられている。
【0029】
第1金属端子部30は、第1端子電極22が形成される端子電極面である第1端面20aに対向する電極対向部36と、チップコンデンサ20を高さ方向に挟んで個別に把持する二対の嵌合アーム部を構成する上部アーム部31a、31bおよび下部アーム部33b、33bと、電極対向部36からチップコンデンサ20側へ延びており電極対向部36に対して略垂直である実装部38と、を有する。
【0030】
図1に示すように、電極対向部36は略矩形平板状である。断面図である
図2に示すように、電極対向部36は、チップコンデンサ20の端子電極面である第1端面20aに対向する対向面である端子内面36eを有する。
図2では図示を省略しているが、チップコンデンサ20の第1端面20aと第1金属端子部30の端子内面36eの間には、第1端面20aと端子内面36eとを接合する導電性の接合部材60(
図3参照)が設けられている。接合部材60については、後程述べる。
【0031】
上部アーム部31a、33aの基端は電極対向部36の上辺に接続しており、上部アーム部31a、33aの先端は、チップコンデンサ20の側面へ向かって、Y軸方向に沿って延びている。上部アーム部31a、33aは、チップコンデンサ20の上側面に接触し、下部アーム部31b、33bとの間にチップコンデンサ20を高さ方向に挟む。
【0032】
下部アーム部31b、33bの基端は電極対向部36に形成される第2貫通孔36cの周縁部36caに接続しており、下部アーム部31b、33bの先端は、チップコンデンサ20の側面へ向かって、Y軸方向に沿って延びている。下部アーム部31b、33bは、チップコンデンサ20の下側面に接触する。すなわち、下部アーム部31b、33bの基端は、第2貫通孔36cにおける略矩形の周縁部36caにおける下辺に接続しており、下部アーム部31b、33bは、その基端から上方(Z軸正方向)かつ内側(Y軸負方向)へ屈曲しながら延びて、チップコンデンサ20の下側面に接触し、チップコンデンサ20を下方から支持する(
図1参照)。
【0033】
図1に示すように、下部アーム部31bは、1つのチップコンデンサ20の下側面に接触しており、1つのチップコンデンサ20を支持する。下部アーム部33bは、他の1つのチップコンデンサ20の下側面に接触しており、下部アーム部31bとは独立して他の1つのチップコンデンサ20を支持する。第1金属端子部30では、それぞれの上部アーム部31a、33aと下部アーム部31b、33bとが、複数ではなく1つのチップコンデンサ20をそれぞれ支持しているため、各チップコンデンサ20の寸法に製造ばらつきがあったとしても、これを確実に支持することができる。
【0034】
実装部38は、電極対向部36における下方(Z軸負方向側)の辺に接続している。実装部38は、下方の辺からチップコンデンサ20側(Y軸負方向側)へ延びており、電極対向部36に対して略垂直に曲がっている。なお、実装部38におけるチップコンデンサ20側の表面である実装部38の上面は、チップコンデンサ20を基板に実装する際に使用されるはんだの過度な回り込みを防止する観点から、実装部38の下面より、はんだに対する濡れ性が低いことが好ましい。なお、電極対向部36には、下部アーム部31bが接続する第2貫通孔36cと実装部38が接続する下方の辺との間に、スリット36dが形成されている。スリット36dは、実装時のはんだが電極対向部36をはい上がることを防止する効果がある。
【0035】
図1に示すように、電極対向部36における第1端面20aに面する部分には、第1貫通孔36bが形成されている。第1貫通孔36bは、セラミックコンデンサ10に含まれる各チップコンデンサ20に対応するように2つ形成されているが、第1貫通孔36bの形状及び数はこれに限定されない。なお、第1貫通孔36bは、下部アーム部31b、33bがその周縁部36caに接続する第2貫通孔36cとは別個に、電極対向部36に形成される貫通孔である。
【0036】
電極対向部36と第1端子電極22とを接続する接合部材60(
図3参照)は、第1貫通孔36bの周辺の端子内面36eに設けられている。
図1において点線36faで示すように、電極対向部36において、端子電極面である第1端面20a側を向く端子内面36eには、第1端面20aとの隙間が接合部材60で埋められている接合領域(点線36faの内側)と、第1端面20aとの間に接合部材60のない空間を挟む非接合領域(点線36faの外側)とが形成されている。接合領域では、電極対向部36と第1端子電極22とが、接合部材60によって水平方向に接続されているが、非接合領域では、電極対向部36と第1端子電極22とは水平方向に接続されていない。非接合領域における電極対向部36と第1端面20aとの間の隙間は、接合領域にある接合部材60の平均厚み程度の隙間である。本実施形態において、接合部材60の平均厚みは、後述する突起36aの突出高さなどに応じて決定される。
【0037】
接合部材60は、少なくともSnとSbとを含み、好ましくは主成分がSnとSbであり、導電性を有する。接合部材60は、第1貫通孔36bの周縁と第1端子電極22との間にはんだブリッジを形成することにより、電極対向部36と第1端子電極22とを強く接合することができる。
【0038】
図1に示すように、端子内面36eの接合領域は、第1貫通孔36bのZ軸方向の両側にそれぞれ位置する初期塗布領域50cに、接合部材60の材料である接合部材材料が塗布されることにより形成される。すなわち塗布の後に、電極対向部36の端子外面(端子内面36eとは反対面)から加熱押圧ヘッドを接触させて、チップコンデンサ20の第1端面20aに向けて電極対向部36の端子内面36eを押し付けて加熱することにより、塗布されている接合部材材料が初期塗布領域50cにから周辺に広がり、
図1において点線36faで示されるような接合領域が形成される。また、接合部材材料が広がりきれない領域が非接合領域(点線36faの外側)となる。本実施形態において、接合領域の面積は、第1端面20aの面積の3/4よりも小さいが、特に限定されない。
【0039】
また、このように製造されたセラミックコンデンサ10では、電極対向部36の端子外面に、表面粗さが第1表面粗さである第1表面粗さ領域(点線36faの内側)と、表面粗さが前記第1表面粗さより小さい第2表面粗さである第2表面粗さ領域(点線36faの外側)と、が形成される。また、端子外面の第1表面粗さ領域が、端子内面36eの接合領域の反対側に、端子外面の第2表面粗さ領域が、端子内面36eの非接合領域の反対側に、それぞれ対応して形成される。第1表面粗さ領域は、端子外面に形成されたメッキ(Snメッキなど)が、加熱された押圧ヘッドが端子外面に接触した際に一度溶融し、押圧ヘッドが離脱した後に再度凝固することにより形成される。一方、第2表面粗さ領域は、加熱された押圧ヘッドが接触しなかった部分に形成される。
【0040】
なお、第1貫通孔36bの形状および大きさは特に限定されず、また、電極対向部36には、第1貫通孔36bが形成されていなくてもよい。
図1に示すように電極対向部36に第1貫通孔36bが形成されていると、第1貫通孔36bを通して、製造中において端子内面の接合部材材料の塗布状態を外部から観察することが可能であり、また、製造後において端子内面の接合部材60の形成を容易に確認できる。また、第1貫通孔36bを通して、はんだなどの接合部材材料に含まれる気泡を逃がすことができる。このため、はんだなどの接合部材材料の量が少なくても接合が安定化する。
【0041】
図1及び
図2に示すように、電極対向部36の端子内面36eには、チップコンデンサ20の第1端面20aへ向かって突出する複数の突起36aが形成されている。突起36aは、電極対向部36と第1端子電極22との間に設けられる接合部材60の厚みや形状を制御するとともに、及び後述する第1部分62及び第2部分64の位置に関係する。
【0042】
また、突起36aを第1貫通孔36bの周辺に形成することにより、はんだ等の接合部材60が形成される範囲等を調整することが可能であり、このようなセラミックコンデンサ10は、電極対向部36と第1端子電極22との接合強度を適切な範囲に調整しつつ、音鳴きを防止することができる。なお、セラミックコンデンサ10では、1つの第1貫通孔36bの周りに、4つの突起36aが形成されているが、突起36aの数及び配置は、これに限定されない。
【0043】
図3は、
図2に示す端子内面36eと第1端面20aとの接合部分を拡大した模式拡大図である。
図3に示すように、接合部材60は、Sb/Snが互いに異なる第1部分62と第1部分64とを有する。第1部分62は、端子電極面である第1端面20aと対向面である端子内面36eとが第1の距離W1である位置にあり、Sb/Snが第1の値である。これに対して、第2部分64は、第1端面20aと端子内面36eとが第1の距離W1より小さい第2の距離W2である位置にあり、Sb/Snが第1の値より大きい第2の値である。
【0044】
接合部材60は、SnおよびSbが主成分であることが好ましいが、Sn又はSb以外の主成分又は微量成分を含む場合がある。たとえば、接合部材60が接続する第1端子電極22は、Cuを含む電極下地層2Aと、NiやSnを含む電極表面層2Bとを有しており、第1端子電極22に含まれるCu、Ni、Snが、接合時などに接合部材60中に拡散し、接合部材60の第1部分62や第2部分64に、CuやNiが含まれる場合がある。また、たとえば、接合部材60が接続する第1金属端子部30の電極対向部36は、Fe、Ni、Cr、Cu、Sn、Pなどを含む基材部3Aと、Snを含む表面部3Bとを有しており、第1金属端子部30に含まれるFe、Ni、Cr、Cu、Sn、Pが、接合時などに接合部材60中に拡散し、接合部材60の第1部分62や第2部分64に、Fe、Ni、Cr、Cu、Pが含まれる場合がある。
【0045】
図3に示すように、接合部材60における第1部分62は、第1端面20aと端子内面36eとが第1の距離W1である位置にあり、たとえば、端子内面36eのうち突起36aが形成されていない場所と第1端面20aの間に設けられる。第1部分62は、第2部分64より第1端面20aと端子内面36eとのギャップが広く、また、第1部分62におけるSbのSnに対する含有比であるSb/Snの値(第1の値)は、第2部分64におけるそれ(第2の値)より小さい。すなわち、第1端面20aと端子内面36eとのギャップが広い第1部分62では、Sbの含有量が相対的に少なくなっている。
【0046】
これに対して、接合部材60における第2部分64は、第1端面20aと端子内面36eとが第2の距離W2である位置にあり、たとえば、端子内面36eのうち突起36aと第1端面20aの間に設けられる。第2部分64は、第1部分62より第1端面20aと端子内面36eとのギャップが狭く、また、第2部分64におけるSbのSnに対する含有比であるSb/Snの値(第2の値)は、第1部分62におけるそれ(第1の値)より大きい。すなわち、第1端面20aと端子内面36eとのギャップが狭い第2部分64では、Sbの含有量が相対的に多くなっている。
【0047】
また、突起36aは、
図1において点線36faで示される接合領域内の内部に形成されているため、
図3に示すように、第1端面20aと端子内面36eとのギャップが広い第1部分62は、突起36aと第1端面20aの間に設けられる第2部分64を取り囲んでいる。
【0048】
互いにSb/Snの値が異なる第1部分62及び第2部分64を有する接合部材60は、例えば、Sb/Snの値が異なる2種類のはんだ(接合部材材料)を準備し、Sb/Snの値が大きいはんだを突起36aに対応する端子内面36e又は第1端面20aに塗布し、Sb/Snの値が小さいはんだを突起36a周辺の端子内面36e又は第1端面20aに塗布した後、加熱接合することにより形成することができる。また、接合部材60は、接合時における接合部材材料および接合部材60への熱の伝え方を調整して第1部分62及び第2部分64を形成するなど、他の方法で形成してもよい。
【0049】
図1及び
図2に示す第2金属端子部40は、第1金属端子部30と同様に、第2端子電極24が形成される端子電極面である第2端面20bに対向する電極対向部46と、チップコンデンサ20を高さ方向に挟んで個別に把持する二対の嵌合アーム部を構成する上部アーム部41a、43aおよび下部アーム部と、電極対向部46からチップコンデンサ20側へ延びており電極対向部46に対して略垂直である実装部48と、を有する。
図1に示すように、第2金属端子部40は、第1金属端子部30に対して対称に配置されており、チップコンデンサ20に対する配置が第1金属端子部30とは異なる。しかし、第2金属端子部40は、配置が異なるだけで、第1金属端子部30と同様の形状を有するため、詳細については説明を省略する。
【0050】
図1に示すセラミックコンデンサ10は、例えば、チップコンデンサ20と、金属端子部30、40と、Sb/Sn比の異なる2種類の接合部材材料(はんだペースト、はんだクリーム)とを準備し、接合部材材料によってチップコンデンサ20と金属端子部30、40とを接合して接合部材60を形成することにより、製造することができる。チップコンデンサ20は、グリーンシートを積層して焼成して素体を形成した後、メッキによって第1及び第2端子電極22、24を形成する一般的な方法により製造することができるが、その他の方法で製造してもよい。
【0051】
金属端子部30、40は、たとえば金属の板材(基材部3A)を機械加工し、メッキなどにより基材部3Aの表面に表面部3Bを形成することにより作製することができる。また、接合部材60の基となる接合部材材料は、Sb、Sn、およびフラックスの他に、Ag、Cuその他の材料を含んでいてもよい。
【0052】
図3に示す第1部分62のSb/SnをSb(A)、第2部分64のSb/SnをSb(B)とした場合、Sb(B)/Sb(A)は、第2部分64の耐熱性を向上させる観点から、1.2〜5.0とすることが好ましく、1.3〜3.0とすることがさらに好ましい。また、第2部分64における第1端面20aと端子内面36eとの距離である第2の距離W2は、第2部分64による補強効果を高める観点から、1〜20μmとすることが好ましく、2〜12μmとすることがさらに好ましい。
【0053】
また、
図1に示す例では、第2部分64は、突起36aの位置に対応して設けられている。第2部分64の形成数は特に限定されないが、1つのチップコンデンサ20の第1端面20aと1つの金属端子部30、40の端子内面36eとの間の接合につき1箇所以上設けられることが好ましく、1つのチップコンデンサ20の第1端面20aと1つの金属端子部30、40の端子内面36eとの間の接合につき複数箇所設けられることが、チップコンデンサ20と金属端子部30、40との、温度上昇時における接合信頼性を高める観点から好ましい。
【0054】
図1〜
図3に示すセラミックコンデンサ10は、
図3に示すように、第1端面20aと端子内面36eとのギャップが狭い位置にある接合部材60における第2部分64のSb含有量を高めることにより、温度上昇時における第2部分64の軟化及び流動が効果的に抑制される。これにより、第2部分64は、温度上昇時において第1端面20aと端子内面36eとをつなぎ留めるアンカーとして作用することができる。したがって、このような第2部分64を有するセラミックコンデンサ10は、Sb含有量が接合部材中で均一である場合に比べて、接合部材60の温度上昇時における接合信頼性を向上させることができる。したがって、セラミックコンデンサ10は、接合部材60が少なくても、接合信頼性が保たれるため、接合部材の過度な使用に伴い生じるチップコンデンサ20におけるクラックの形成を防止できる。したがって、セラミックコンデンサ10は、接合部材60の使用量が少なくても、良好な耐熱性を有する。
【0055】
また、セラミックコンデンサ10において、接合部材60における第1部分62は、第2部分64に比べてSn含有量が高く、溶融時に濡れ広がり易くなっている。第1端面20aと端子内面36eとのギャップが広い位置に、濡れ広がり易い第2部分64を配置することにより、セラミックコンデンサ10は、端子内面36eと接合部材60、及び、第1端面20aと接合部材60との接合面積を広くすることができる。したがって、このような第1部分62を有するセラミックコンデンサ10は、冷温状態(非温度上昇時)において、良好な接合強度を有する。また、接合部材60に含まれる第1部分62と第2部分64の面積(接合面積)を比較した場合、第1部分62の面積は、第2部分64の面積より広いことが、接合面積を広げて接合強度を確保する観点から好ましい。
【0056】
また、端子内面36eに突起36aが形成されていることにより、意図した位置に接合部材60の第2部分64を配置することができるため、セラミックコンデンサ10は、接合強度や耐熱性の製造ばらつきを抑制することができる。また、
図3に示すように、第2部分64は第1部分62によって周辺を取り囲まれていてもよく、これにより、温度上昇により接合部材60が流動し始めた場合にも、第2部分64のアンカー効果が生じることにより、接合部材60全体の流動が抑制される。
【0057】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、様々な金属端子付き電子部品に適用可能であることは言うまでもない。本発明は、たとえば、金属端子やチップ部品の数、金属端子の形状、チップ部品の形状、端子電極面及び対向面の配置などが、実施形態とは異なる様々な金属端子付き電子部品の実施形態や変形例を有する。また、上述の実施形態では、チップコンデンサ20の第1端面20aと第1金属端子部30との間に形成される接合部材60は、第2端面20bと第2金属端子部40との間に形成される接続部材と同様の構成を有するが、2つの接続部材は、異なる構成を有していてもよい。