(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907963
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】CADシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20210708BHJP
G06K 9/20 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
G06F30/10 200
G06K9/20 340C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-15222(P2018-15222)
(22)【出願日】2018年1月31日
(65)【公開番号】特開2019-133422(P2019-133422A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓磨
【審査官】
合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−282679(JP,A)
【文献】
特開2012−226540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/10
G06K 9/20
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書図面をデジタルデータに変換したイメージデータを入力する手書図面入力手段と、
前記イメージデータ内の第1領域を定めた第1フィルタと第2領域を定めた第2フィルタとを予め記憶したフィルタ記憶手段と、
制御装置に挿入される入出力カードのカード型式別に用意されたCAD図面のファイルを記憶するファイル記憶手段と、
前記第1フィルタを用いて前記イメージデータから前記第1領域の画像を抽出し、該画像に含まれる文字を認識してカード型式を抽出し、前記ファイル記憶手段から該抽出されたカード型式に対応するCAD図面を選択するカード型式検出手段と、
前記第2フィルタを用いて前記イメージデータから前記第2領域の画像を抽出し、該画像に含まれる文字を認識して文字データを抽出する文字データ抽出手段と、
前記抽出されたカード型式を前記選択されたCAD図面上の前記第1領域に対応する位置に、前記文字データを前記選択されたCAD図面上の前記第2領域に対応する位置に登録する文字データ登録手段と、
を備えることを特徴とするCADシステム。
【請求項2】
前記CAD図面は、前記入出力カードの入出力信号割付に用いられ、前記入出力カードのカード型式別に作成されるデータであり、
前記第2フィルタは、前記第2領域としてアドレス、インタフェース機器が記載される領域を定め、
前記文字データ登録手段は、アドレス、インタフェース機器に関して抽出された前記文字データを、前記選択されたCAD図面上の前記第2領域に対応する位置に自動的に登録すること、
を特徴とする請求項1記載のCADシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、CADシステムに関する。特に、制御装置の入出力信号割付に用いられるCAD図面の作成に適したCADシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開平6−332964号公報(特許文献1)に開示されるように、CADデータとイメージスキャナにより手書図面を読み込んだイメージデータとを合成した合成データを出力するCADシステムが知られている。
【0003】
図5は、特許文献1のCADシステムの構成図である。手書図面部分削除処理64は、手書図面入力処理61によりイメージ層66に表示したイメージデータから、CAD図面編集処理63によりCADデータを作成したため不要になった部分を削除している。そして、図面合成出力処理65は、CAD図面編集処理63により作成したCADデータおよび手書図面部分削除処理64により削除した後のイメージデータを合成して、合成データを出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−332964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のCADシステムでは、オペレータは、イメージ層66に表示されるイメージデータと編集層67に表示されるCADデータとを合成した合成データを最終的なデータとして確認する。そのため、手書図面の一部をCADデータに描き起こした場合には、イメージデータから当該部分を削除する編集が必要であり、イメージ層66に表示されるイメージデータと、編集層67に表示されるCADデータの両方を管理・編集する必要がある。
【0006】
しかしながら、制御装置の入出力信号を割り付けるために作成されるCAD図面のように、文字情報(入出力カードのカード型式、信号名称、そのアドレス、インタフェース機器など)の記載位置が決まっているような場合には、上記のような管理・編集手法は必ずしも効率的ではない。より効率的に最終的なCADデータを生成できることが望まれる。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、手書図面の文字情報をCAD図面へ反映する入力作業を削減し、CADデータの作成効率を高めることのできるCADシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、CADシステムであって、
手書図面をデジタルデータに変換したイメージデータを入力する手書図面入力手段と、
前記イメージデータ内の一部領域を定めたフィルタを予め記憶したフィルタ記憶手段と、
前記フィルタを用いて前記イメージデータから前記一部領域の画像を抽出し、該画像に含まれる文字を認識して文字データを抽出する文字データ抽出手段と、
前記文字データをCAD図面上の前記一部領域に対応する位置に登録する文字データ登録手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記CAD図面は、制御装置に挿入される入出力カードの入出力信号割付に用いられ、前記入出力カードのカード型式別に作成されるデータであり、
前記フィルタは、前記一部領域としてカード型式、アドレス、インタフェース機器が記載される領域を定め、
前記文字データ登録手段は、カード型式、アドレス、インタフェース機器に関して抽出された前記文字データを、前記CAD図面上の前記一部領域に対応する位置に自動的に登録すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るCADシステムによれば、手書図面の指定位置に記載された文字情報を抽出し、自動的にCAD図面に登録することができる。そのため、手書図面の文字情報をCAD図面へ反映する入力作業を削減し、CADデータの作成効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るプログラマブルロジックコントローラ(PLC)のユニット構成を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る入出力カードの入出力信号割付に関するCAD図面の一例である。
【
図3】本実施形態に係るCADシステムがCAD図面を自動作成する処理フローについて説明するための図である。
【
図4】CADシステムが有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本実施形態に係るPLCのユニット構成を説明するための図である。PLC1は、産業システムの中核コンポーネントである制御装置として利用される。PLC1は、ネットワークを介して上位計算機、エンジニアリングツール、センサ、スイッチ、アクチュエータなどに接続している。
【0014】
PLC1のユニット10は、複数のスロットを有している。スロットには、電源モジュールやCPUモジュールの他、複数の入出力カード20(入出力モジュール)が挿入されている。入出力カード20には、デジタルインプット(DI)、デジタルアウトプット(DO)の他、パルスインプット(PI)、アナログインプット(AI)など様々な種類がある。入出力カード20は、多数(16点、32点、64点など)の入出力点(I/O)を有する。入出力点は、ユニット内部の信号線でユニット10の端子(インタフェース機器)に接続し、その端子は外部の信号線に接続している。
【0015】
図2は、本実施形態に係る入出力カードの入出力信号割付に関するCAD図面の一例である。このような図は展開図とも称される。
図2に示すように、入出力信号割付には、カード型式21、信号名称のアドレス22、インタフェース機器23といった文字情報を含むCAD図面が必要である。これらの文字情報の記載位置は予め決められている。
【0016】
そこで、本実施形態に係るCADシステムでは、入出力信号に関する文字情報を手書図面から抽出し、自動的にCAD図面に描き込むことで作業効率を高めることとした。
【0017】
図3は、本実施形態に係るCADシステムがCAD図面を自動作成する処理フローについて説明するための図である。この処理フローは、オペレータがCADシステムを操作することで開始される。なお、CADシステムは、上述のエンジニアリングツールが稼働するコンピュータに構成されるものであってもよいし、別のコンピュータに構成されるものであってもよい。
【0018】
また、後述する
図4のストレージ108はフィルタ記憶手段として、イメージデータ12内のカード型式が記載される領域251を定めたカード型式フィルタ25と、アドレスが記載される領域261を定めたアドレスフィルタ26と、インタフェース機器が記載される領域271を定めたインタフェース機器フィルタ27とを予め記憶している。各フィルタは、イメージデータに重ね合わせて各領域内の画像を検出する検出層として用いられる。
【0019】
図3において、まず、手書図面入力部11は、イメージスキャナにより手書図面をデジタルデータに変換したイメージデータ12を入力する。手書図面には、カード型式、アドレス、インタフェース機器といった文字情報が書き込まれている。
【0020】
次に、カード型式検出部13は文字データ抽出手段として、カード型式フィルタ25を用いて、イメージデータ12から領域251の画像を抽出し、該画像に含まれる文字を認識し文字データを抽出する。文字認識には、OCR(Optical Character Recognition/Reader)技術を用いる。さらに、カード型式検出部13は、抽出したカード型式に応じて、文字データを登録する対象であるCADデータ(CAD図面)のファイルを選択する。CADデータのファイルは、所定フォーマットでカード型式別に用意されており、抽出したカード型式に対応する入力カードCAD図面16aや出力カードCAD図面16bが選択される。
【0021】
次に、アドレス検出部14は、アドレスフィルタ26を用いてイメージデータ12から領域261の画像を抽出し、該画像に含まれる文字を認識し文字データを抽出する。
【0022】
次に、インタフェース機器検出部15は、インタフェース機器フィルタ27を用いてイメージデータ12から領域271の画像を抽出し、該画像に含まれる文字を認識し文字データを抽出する。
【0023】
次に、CAD図面生成部17は文字データ登録手段として、カード型式検出部13が抽出した文字データをCADデータ(CAD図面)上の領域251に対応する位置(例えば
図2のカード型式21の位置)に登録する。同様に、CAD図面生成部17は、アドレス検出部14が抽出した文字データをCADデータ上の領域261に対応する位置(例えば
図2のアドレス22の位置)に登録する。同様に、CAD図面生成部17は、インタフェース機器検出部15が抽出した文字データをCADデータ上の領域271に対応する位置(例えば
図2のインタフェース機器23の位置)に登録する。各文字データが入力カードCAD図面16aおよび出力カードCAD図面16bの対応領域に埋め込まれ、新入力カードCAD図面18aおよび新出力カードCAD図面18bとして出力される。
【0024】
以上説明したように、
図3に示す処理フローによれば、手書図面の指定位置に記載された文字情報を抽出し、自動的にCAD図面に登録することができる。そのため、本実施形態のシステムによれば、手書図面の文字情報をCAD図面へ反映する入力作業を削減し、CADデータの作成効率を高めることができる。
【0025】
ところで、上述した実施の形態1のシステムにおいては、CAD図面に登録される文字情報として、カード型式21、アドレス22、インタフェース機器23を例に挙げて説明したが、文字情報はこれに限定されるものではない。例えば、
図2のCAD図面にはコメントも記載される。そのため、コメントについてもフィルタを用意しCAD図面へ登録しても良い。
【0026】
(ハードウェア構成例)
CADシステムのハードウェア構成について
図4を参照しつつ説明する。
図4は、CADシステムが有する処理回路のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示す各機能は、CADシステムが有する機能の一部を示し、各機能は処理回路により実現される。例えば、処理回路は、CPU101、ROM102、RAM103、入出力インタフェース104、システムバス105、入力装置106、モニタ107、ストレージ108、ネットワークI/F(インタフェース)109を備えたコンピュータである。
【0027】
CPU101は、ROM102やRAM103に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する処理装置である。ROM102は、コンピュータに各機能を実現させるための基本プログラムや環境ファイルなどを記憶する読み取り専用の記憶装置である。RAM103は、CPU101が実行するプログラムおよび各プログラムの実行に必要なデータを記憶する主記憶装置であり、高速な読み出しと書き込みが可能である。入出力インタフェース104は、各種のハードウェアとシステムバス105との接続を仲介する装置である。システムバス105は、CPU101、ROM102、RAM103および入出力インタフェース104で共有される情報伝達路である。
【0028】
また、入出力インタフェース104には、入力装置106、モニタ107、ストレージ108、ネットワークI/F109などのハードウェアが接続されている。入力装置106は、オペレータによる入力を処理する装置であり、例えばキーボードやマウスである。モニタ107は、表示装置である。ストレージ108は、プログラムやデータを蓄積する大容量の補助記憶装置であり、例えばハードディスク装置や不揮発性の半導体メモリなどである。ストレージ108には、オペレーティングシステム、コンピュータを上述のように機能させるためのプログラム、イメージデータ、CADデータなどが記憶されている。ネットワークI/F109は、外部のコンピュータと通信するための通信装置である。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 PLC
10 ユニット
11 手書図面入力部
12 イメージデータ
13 カード型式検出部
14 アドレス検出部
15 インタフェース機器検出部
16a 入力カードCAD図面
16b 出力カードCAD図面
18a 新入力カードCAD図面
18b 新出力カードCAD図面
20 入出力カード
21 カード型式
22 アドレス
23 インタフェース機器
25 カード型式フィルタ
26 アドレスフィルタ
27 インタフェース機器フィルタ
61 手書図面入力処理
64 手書図面部分削除処理
66 イメージ層
67 編集層
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 入出力インタフェース
105 システムバス
106 入力装置
107 モニタ
108 ストレージ
109 ネットワークI/F