(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0014】
(1)本発明の一態様に係る制御装置は、直列に接続された第1スイッチ及び第1抵抗を有する第1直列回路と、直列に接続された第2スイッチ及び第2抵抗を有し、前記第1直列回路に並列に接続される第2直列回路と、前記第1スイッチ及び第2スイッチのオンへの切替えを指示する指示部と、前記第1抵抗の両端間の電圧値に応じた電圧値を出力する電圧出力回路と、前記指示部が前記第1スイッチ及び第2スイッチのオンへの切替えを指示している場合にて、前記電圧出力回路が出力した電圧値に基づいて、前記第1スイッチ、第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知する検知部とを備える。
【0015】
(2)本発明の一態様に係る制御装置では、前記電圧出力回路が出力する電圧値は、前記第1抵抗の両端間の電圧値が上昇した場合に上昇し、前記検知部は、前記電圧出力回路が出力した電圧値が第1閾値未満である場合、前記第1スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知し、前記電圧出力回路が出力した電圧値が第2閾値以上である場合、前記第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知し、前記第1閾値は前記第2閾値未満である。
【0016】
(3)本発明の一態様に係る制御装置は、前記第1スイッチ及び第1抵抗間の接続ノードの電圧値を検出する電圧検出回路を備え、前記検知部は、前記第1スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知した場合に、前記電圧検出回路が検出した電圧値に基づいて、前記第1スイッチでの故障の発生を検知する。
【0017】
(4)本発明の一態様に係る制御装置は、前記第2スイッチ及び第2抵抗間の接続ノードの電圧値を検出する第2の電圧検出回路を備え、前記検知部は、前記第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知した場合に、前記第2の電圧検出回路が検出した電圧値に基づいて、前記第2スイッチでの故障の発生を検知する。
【0018】
(5)本発明の一態様に係る制御装置では、電流は、前記第1スイッチ及び第1抵抗の順に流れ、前記電圧出力回路は、前記第1スイッチ及び第1抵抗間の接続ノードから電流を引き込み、引き込んだ電流を出力する電流出力部と、前記電流出力部が出力した電流が流れる電流抵抗とを有し、前記電圧出力回路は、前記電流抵抗の両端間の電圧値を出力する。
【0019】
(6)本発明の一態様に係る制御方法は、第1抵抗に直列に接続される第1スイッチ、及び、第2抵抗に直列に接続される第2スイッチのオンへの切替えを指示するステップと、前記第1抵抗の両端間の電圧値に応じた電圧値を取得するステップと、前記第1スイッチ及び第2スイッチへのオンへの切替えを指示している場合にて、取得した電圧値に基づいて、前記第1スイッチ、第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知するステップとを含み、前記第1スイッチ及び第1抵抗を有する第1直列回路は、前記第2スイッチ及び第2抵抗を有する第2直列回路に並列に接続されている。
【0020】
(7)本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、第1抵抗に直列に接続される第1スイッチ、及び、第2抵抗に直列に接続される第2スイッチのオンへの切替えを指示するステップと、前記第1抵抗の両端間の電圧値に応じた電圧値を取得するステップと、前記第1スイッチ及び第2スイッチへのオンへの切替えを指示している場合にて、取得した電圧値に基づいて、前記第1スイッチ、第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知するステップとを実行させるために用いられ、前記第1スイッチ及び第1抵抗を有する第1直列回路は、前記第2スイッチ及び第2抵抗を有する第2直列回路に並列に接続されている。
【0021】
上記の一態様に係る制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムにあっては、第1スイッチがオンである場合、第1抵抗の両端間の電圧値は、第1直列回路及び第2直列回路を含む並列回路の両端間の電圧値である。第1スイッチ及び第2スイッチのオンへの切替えを指示している場合において、第2スイッチがオフに固定されているとき、又は、第1抵抗若しくは第2抵抗が開放しているとき、並列回路の抵抗値が大きく、第1抵抗の両端間の電圧値が大きい。
【0022】
第1スイッチ及び第2スイッチのオンへの切替えを指示している場合において、第1スイッチがオフに固定されているとき、又は、第1抵抗若しくは第2抵抗が短絡しているとき、第1抵抗の両端間の電圧値はゼロVである。電圧出力回路は、第1抵抗の両端間の電圧値に応じた電圧値を出力する。
第1スイッチ又は第2スイッチがオフで固定された場合、電圧出力部が出力した電圧値が大きく変動する。これにより、第1スイッチ、第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生が検知される。
【0023】
上記の一態様に係る制御装置にあっては、電圧出力部が出力した電圧値は第1閾値未満である場合、第1スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知する。電圧出力部が出力した電圧値は第2閾値以上である場合、第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知する。
【0024】
上記の一態様に係る制御装置にあっては、第1スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知した場合、第1スイッチ及び第1抵抗間の接続ノードの電圧値に基づいて、第1スイッチでの故障の発生を検知する。
【0025】
上記の一態様に係る制御装置にあっては、第2スイッチ、第1抵抗及び第2抵抗中の少なくとも1つでの故障の発生を検知した場合、第2スイッチ及び第2抵抗間の接続ノードの電圧値に基づいて、第2スイッチでの故障の発生を検知する。
【0026】
上記の一態様に係る制御装置にあっては、電圧出力回路では、第1スイッチがオンである場合のみ、電流抵抗に電流が流れて電力が消費される。結果、消費電力が低い。
【0027】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に好適に搭載されており、制御装置10、バッテリ11及び負荷12を備える。制御装置10は、バッテリ11の正極と、負荷12の一端とに接続されている。バッテリ11の負極と、負荷12の他端とは接地されている。
【0029】
負荷12は、車両に搭載される電気機器である。負荷12に電力が供給されている場合、負荷12は作動する。負荷12への給電が停止した場合、負荷12は動作を停止する。
【0030】
制御装置10には、負荷12の作動を指示する作動信号と、負荷12の動作の停止を指示する停止信号とが入力される。制御装置10は、作動信号が入力された場合、バッテリ11の正極と、負荷12の一端とを電気的に接続する。これにより、バッテリ11は、制御装置10を介して負荷12に電力を供給する。
【0031】
制御装置10は、停止信号が入力された場合、バッテリ11及び負荷12間の電気的な接続を遮断する。これにより、バッテリ11から負荷12への給電が停止し、負荷12は動作を停止する。
以上のように、制御装置10は、バッテリ11及び負荷12の電気的な接続と、この電気的な接続の遮断とを行うことによって、バッテリ11から負荷12への給電を制御する。
【0032】
また、制御装置10内で故障が発生した場合、制御装置10は、故障の発生を検知し、故障の発生を報知する報知信号を図示しない装置に出力する。これにより、例えば、車両内において、ランプの点灯又はメッセージの表示等が行われ、車両の乗員に故障の発生が報知される。
【0033】
制御装置10は、駆動回路20、電流検出回路21、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22、第1直列回路A及び第2直列回路Bを有する。マイコン22は、出力部50,51、入力部52,53、A/D変換部54、記憶部55及び制御部56を有する。第1直列回路Aは、第1スイッチ30及び第1抵抗31を有する。第2直列回路Bは、第2スイッチ40及び第2抵抗41を有する。第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々は、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。第1抵抗31として、抵抗素子、又は、基板上に形成されたパターン(導箔)の抵抗等が用いられる。同様に、第2抵抗41として、抵抗素子、又は、基板上に形成されたパターンの抵抗等が用いられる。
【0034】
第2直列回路Bは第1直列回路Aに並列に接続されている。第1直列回路Aでは、第1スイッチ30及び第1抵抗31が直列に接続されている。具体的には、第1スイッチ30のソースが第1抵抗31の一端に接続されている。第2直列回路Bでは、第2スイッチ40が第2抵抗41に直列に接続されている。具体的には、第2スイッチ40のソースが第2抵抗41の一端に接続されている。第1スイッチ30及び第2スイッチ40のドレインはバッテリ11の正極に接続されている。第1抵抗31及び第2抵抗41夫々の他端は、負荷12の一端に接続されている。
【0035】
第1スイッチ30及び第2スイッチ40のゲートは、駆動回路20の出力端に接続されている。駆動回路20の入力端は、マイコン22の出力部50に接続されている。第1抵抗31の両端は電流検出回路21に接続されている。電流検出回路21は、更に、マイコン22の入力部52に接続されている。マイコン22内では、入力部52は、更に、A/D変換部54に接続されている。出力部50,51、入力部53、A/D変換部54、記憶部55及び制御部56は内部バス57に接続されている。
【0036】
第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々について、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値が一定のオン閾値以上である場合、電流がドレイン及びソースを介して流れることが可能である。このとき、第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々はオンである。また、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定のオフ閾値未満である場合、電流がドレイン及びソースを介して流れることはない。このとき、第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々は
オフである。第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々について、オン閾値は、オフ閾値を超えている。
【0037】
出力部50は、駆動回路20にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。出力部50は、制御部56の指示に従って、駆動回路20に出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。駆動回路20は、出力部50から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、接地電位を基準とした第1スイッチ30及び第2スイッチ40のゲートの電圧値を上昇させる。
【0038】
これにより、第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々では、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値がオン閾値以上となり、第1スイッチ30及び第2スイッチ40はオンに切替わる。第1スイッチ30及び第2スイッチ40がオンに切替わった場合、バッテリ11の正極と負荷12の一端とが電気的に接続され、バッテリ11から負荷12に電力が供給され、負荷12は作動する。
【0039】
このとき、第1直列回路Aでは、電流が第1スイッチ30及び第1抵抗31の順に流れる。第2直列回路Bでは、電流が第2スイッチ40及び第2抵抗41の順に流れる。
【0040】
なお、第1抵抗31及び第2抵抗41の抵抗値は一致していることが好ましい。この場合、第1直列回路A及び第2直列回路Bを流れる電流の電流値が略一致し、第1スイッチ30及び第2スイッチ40の劣化の速度が略一致する。第1スイッチ30及び第2スイッチ40の一方が急速に劣化することが防止される。
【0041】
駆動回路20は、出力部50から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、接地電位を基準とした第1スイッチ30及び第2スイッチ40のゲートの電圧値を低下させる。これにより、第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々では、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値がオフ閾値未満となり、第1スイッチ30及び第2スイッチ40はオフに切替わる。
【0042】
以上のように、駆動回路20は、接地電位を基準とした第1スイッチ30及び第2スイッチ40のゲートの電圧値を調整することによって、第1スイッチ30及び第2スイッチ40をオン又はオフに切替える。
【0043】
第1スイッチ30及び第2スイッチ40がオフに切替わった場合、バッテリ11及び負荷12間の電気的な接続が遮断され、負荷12は動作を停止する。このとき、第1直列回路A及び第2直列回路Bでは、電流は流れることはない。
【0044】
以下では、第1スイッチ30及び第2スイッチ40がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値はゼロオームであるとみなす。また、第1スイッチ30及び第2スイッチ40がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は無限大であるとみなす。
【0045】
電流検出回路21は、第1抵抗31の両端間の電圧値に比例するアナログの電圧値をマイコン22の入力部52に出力する。以下では、電流検出回路21が出力する電圧値を抵抗電圧値と記載する。
【0046】
図2は電流検出回路21の回路図である。電流検出回路21は、回路抵抗60,61,62、差動増幅器63、Pチャネル型のFET64を有する。差動増幅器63は、所謂オペアンプであり、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
【0047】
回路抵抗60の一端は、第1抵抗31の第1スイッチ30側の一端に接続されている。回路抵抗61の一端は、第1抵抗31の負荷12側の一端に接続されている。回路抵抗60,61夫々の他端は、差動増幅器63のプラス端及びマイナス端に接続されている。回路抵抗60の他端は、更に、FET64のソースに接続されている。差動増幅器63の出力端はFET64のゲートに接続されている。FET64のドレインは、マイコン22の入力部52と、回路抵抗62の一端とに接続されている。回路抵抗62の他端は接地されている。
【0048】
FET64は可変抵抗器として機能する。FET64では、ドレイン及びソースを介して電流が流れる。FET64について、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値が低い程、ドレイン及びソース間の抵抗値が小さい。第1スイッチ30がオンである場合、電流が、バッテリ11の正極から、第1スイッチ30、回路抵抗60、FET64及び回路抵抗62の順に流れる。回路抵抗62に流れる電流の電流値は、FET64のドレイン及びソース間の抵抗値が小さい程、大きい。回路抵抗62の両端間の電圧値が抵抗電圧値としてマイコン22の入力部52に出力される。回路抵抗62の両端間の電圧値は、回路抵抗62を流れる電流の電流値が大きい程、大きい。
【0049】
以上のように、電流検出回路21では、FET64は、第1スイッチ30及び第1抵抗31間の接続ノードから電流を引き込み、引き込んだ電流を出力する。FET64が出力した電流は回路抵抗62を流れる。電流検出回路21、FET64及び回路抵抗62夫々は、電圧出力回路、電流出力部及び電流抵抗として機能する。
【0050】
差動増幅器63は、接地電位を基準としたFET64のゲートの電圧値を調整する。差動増幅器63は、第1抵抗31の両端間の電圧値が大きい程、接地電位を基準としたFET64のゲートの電圧値を低下させる。FET64において、接地電位を基準としたゲートの電圧値が低い程、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値も低い。前述したように、FET64において、ソース電位を基準としたゲートの電圧値が低い程、ドレイン及びソース間の抵抗値が小さい。
【0051】
第1スイッチ30がオンである場合において、第1抵抗31の両端間の電圧値が上昇したとき、差動増幅器63がFET64のゲートの電圧値を低下させる。これにより、FET64のドレイン及びソース間の抵抗値が低下し、回路抵抗62を流れる電流の電流値が上昇する。結果、回路抵抗62の両端間の電圧値が上昇する。同様の場合において、第1抵抗31の両端間の電圧値が低下したとき、差動増幅器63がFET64のゲートの電圧値を上昇させる。これにより、FET64のドレイン及びソース間の抵抗値が上昇し、回路抵抗62を流れる電流の電流値が低下する。結果、回路抵抗62の両端間の電圧値が低下する。
【0052】
回路抵抗60,62夫々の抵抗値をr60,r62と記載する。第1抵抗31の両端間の電圧値をV31と記載する。抵抗電圧値、即ち、回路抵抗62の両端間の電圧値をV62と記載する。抵抗電圧値V62は、下記の(1)式で表される。「・」は積を表す。
V62=V31・r62/r60・・・(1)
従って、抵抗電圧値V62は、第1抵抗31の両端間の電圧値V31に比例する。第1抵抗31の両端間の電圧値V31が上昇した場合、抵抗電圧値V62は上昇する。
【0053】
負荷12に流れる電流の電流値をItと記載する。第1直列回路A及び第2直列回路Bの並列回路の合成抵抗値をrsと記載する。この場合、第1抵抗31の両端間の電圧値V31は、下記の(2)式で表される。
V31=rs・It・・・(2)
【0054】
(1)式及び(2)式より、電圧値V31を消去した場合、電流値Itは、下記の(3)式で表される。
It=V62・r60/(rs・r62)・・・(3)
【0055】
第1抵抗31に電流が流れていない場合、又は、第1抵抗31の両端が短絡した場合、第1抵抗31の両端間の電圧値V31はゼロVである。(1)式に示すように、第1抵抗31の両端間の電圧値V31がゼロVである場合、抵抗電圧値V62はゼロVである。
【0056】
第1スイッチ30がオフである場合、第1抵抗31及び回路抵抗62に電流が流れず、電流検出回路21で電力が消費されることはない。電流検出回路21では、第1スイッチ30がオンである場合のみ、回路抵抗62に電流が流れて電力が消費される。このため、制御装置10の消費電力が低い。
【0057】
電流検出回路21からマイコン22の入力部52に、アナログの抵抗電圧値が入力される。入力部52は、入力されたアナログの抵抗電圧値をA/D変換部54に出力する。A/D変換部54は、入力部52から入力されたアナログの抵抗電圧値を、デジタルの抵抗電圧値に変換する。制御部56は、A/D変換部54からデジタルの抵抗電圧値を取得する。
【0058】
出力部51は、制御部56の指示に従って報知信号を図示しない装置に出力する。
入力部53には、作動信号及び停止信号が入力される。入力部53は、作動信号又は停止信号が入力された場合、入力された信号を制御部56に通知する。
【0059】
記憶部55は不揮発性メモリである。記憶部55には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部56は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部56が有する一又は複数のCPUは、コンピュータプログラムPを実行することによって、作動処理、停止処理、保護処理及び故障検知処理を実行する。作動処理は、負荷12を作動させる処理である。停止処理は、負荷12の動作を停止する処理である。保護処理は、負荷12を過電流から保護する処理である。故障検知処理は、故障の発生を検知する処理である。コンピュータプログラムPは、制御部56が有する一又は複数のCPUに作動処理、停止処理、保護処理及び故障検知処理を実行させるために用いられる。
【0060】
なお、コンピュータプログラムPは、制御部56が有する一又は複数のCPUが読み取り可能に、記憶媒体Eに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Eから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部55に記憶される。記憶媒体Eは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部55に記憶してもよい。
【0061】
制御部56は、入力部53に作動信号が入力された場合、作動処理を実行する。作動処理では、制御部56は、出力部50にハイレベル電圧への切替えを指示する。これにより、出力部50は、駆動回路20に出力している電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路20は第1スイッチ30及び第2スイッチ40をオンに切替える。従って、出力部50にハイレベル電圧への切替えを指示することは、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオンへの切替えを指示することに相当する。制御部56は指示部として機能する。
【0062】
第1スイッチ30及び第2スイッチ40がオンに切替わった場合、バッテリ11から負荷12に電力が供給され、負荷12が作動する。制御部56は、出力部50にハイレベル電圧への切替えを指示した後、作動処理を終了する。
【0063】
制御部56は、入力部53に停止信号が入力された場合、停止処理を実行する。停止処理では、制御部56は、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示する。これにより、出力部50は、駆動回路20に出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路20は第1スイッチ30及び第2スイッチ40をオフに切替える。
【0064】
従って、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示することは、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオフへの切替えを指示することに相当する。第1スイッチ30及び第2スイッチ40がオフに切替わった場合、バッテリ11から負荷12への給電が停止し、負荷12が動作を停止する。制御部56は、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示した後、停止処理を終了する。
【0065】
制御部56は、出力部50にハイレベル電圧への切替えを指示している場合、即ち、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオンへの切替えを指示している場合において、保護処理を周期的に実行する。保護処理では、制御部56は、A/D変換部54から抵抗電圧値を取得し、取得した抵抗電圧値を(3)式に代入することによって、負荷12に流れる電流の電流値を算出する。制御部56は、算出した電流値が所定電流値以上であるか否かを判定する。
【0066】
制御部56は、算出した電流値が所定電流値以上であると判定した場合、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示する。これにより、出力部50は、駆動回路20に出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路20は第1スイッチ30及び第2スイッチ40をオフに切替える。結果、負荷12に過電流が流れることが防止される。その後、制御部56は保護処理を終了する。制御部56は、算出した電流値が所定電流値未満であると判定した場合も保護処理を終了する。
【0067】
制御部56は、出力部50にハイレベル電圧への切替えを指示している場合、即ち、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオンへの切替えを指示している場合において、故障検知処理を周期的に実行する。故障検知処理では、制御部56は、電流検出回路21から入力部52に出力された抵抗電圧値に基づいて、第1スイッチ30、第1抵抗31、第2スイッチ40及び第2抵抗41中での少なくとも1つでの故障の発生を検知する。
【0068】
図3は、故障によって生じる現象の説明図である。以下では、スイッチがオフに固定される故障、又は、抵抗の両端が開放される故障を開放故障と記載する。抵抗の両端が短絡される故障を短絡故障と記載する。抵抗電圧値に係る閾値として、下側閾値及び上側閾値が設定されている。下側閾値は、上側閾値未満であり、ゼロを超える。
【0069】
前述したように、制御部56は、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオンへの切替えを指示している状態で故障検知処理を実行する。第1スイッチ30で開放故障が発生した場合、第1抵抗31を電流が流れることはない。このため、第1抵抗31の両端間の電圧値はゼロVであり、抵抗電圧値はゼロVである。更に、第1抵抗31又は第2抵抗41で短絡故障が発生した場合、バッテリ11から負荷12に電流が流れる。しかしながら、第1抵抗31の両端間で電圧降下が発生しないため、第1抵抗31の両端間の電圧値はゼロVであり、抵抗電圧値はゼロVである。
【0070】
以上のように、第1スイッチ30で開放故障が発生した場合、又は、第1抵抗31若しくは第2抵抗41で短絡故障が発生した場合、抵抗電圧値は、ゼロVであり、下側閾値未満である。
【0071】
バッテリ11の出力電圧値(以下、バッテリ電圧値という)をVbと記載する。第2抵抗41が第1抵抗31に並列に接続されている並列回路の合成抵抗値をrpと記載する。負荷12の抵抗値をr12と記載する。前述したように、制御部56は、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオンへの切替えを指示している。従って、第1抵抗31の両端間の抵抗値は、通常、第2抵抗41が第1抵抗31に並列に接続されている並列回路の合成抵抗値である。この場合、第1抵抗31の両端間の電圧値V31は、Vb・rp/(rp+r12)で表される。
【0072】
第1抵抗31の抵抗値をr31と記載する。第2スイッチ40又は第2抵抗41で開放故障が発生した場合、第1抵抗31の両端間の抵抗値は、第1抵抗31の抵抗値r31である。この場合、第1抵抗31の両端間の電圧値V31は、Vb・r31/(r12+r31)で表される。抵抗値r31は抵抗値rpを超えている。このため、Vb・r31/(r12+r31)はVb・rp/(rp+r12)を超えている。
【0073】
第2抵抗41の抵抗値をr41と記載する。第1抵抗31で開放故障が発生した場合、第1抵抗31の両端間の抵抗値は、第2抵抗41の抵抗値r41である。この場合、第1抵抗31の両端間の電圧値V31は、Vb・r41/(r12+r41)で表される。抵抗値r41は抵抗値rpを超えている。このため、Vb・r41/(r12+r41)はVb・rp/(rp+r12)を超えている。
抵抗電圧値V62は、(1)式に示すように、第1抵抗31の両端間の電圧値V31に比例する。
【0074】
上側閾値は、第1抵抗31及び第2抵抗41夫々で開放故障が発生した場合における抵抗電圧値中の低い電圧値以下であり、かつ、通常状態における抵抗電圧値よりも高い電圧値に設定されている。このため、第2スイッチ40、第1抵抗31又は第2抵抗41で開放故障が発生した場合、抵抗電圧値は上側閾値以上である。
【0075】
図4は、故障検知処理の手順を示すフローチャートである。前述したように、制御部56は、駆動回路20にオンへの切替えを指示している場合に故障検知処理を周期的に実行する。
【0076】
故障検知処理では、まず、制御部56は、A/D変換部54から抵抗電圧値を取得し(ステップS1)、取得した抵抗電圧値が下側閾値未満であるか否かを判定する(ステップS2)。前述したように、抵抗電圧値が下側閾値未満である場合、第1スイッチ30、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つで故障が発生している。従って、抵抗電圧値が下側閾値未満であると判定することは、第1スイッチ30、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つでの故障の発生を検知することに相当する。下側閾値は第1閾値に相当する。制御部56は検知部としても機能する。
【0077】
制御部56は、抵抗電圧値が下側閾値以上であると判定した場合(S2:NO)、ステップS1で取得した抵抗電圧値が上側閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。前述したように、抵抗電圧値が上側閾値以上である場合、第2スイッチ40、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つが故障している。従って、抵抗電圧値が上側閾値以上であると判定することは、第2スイッチ40、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つでの故障の発生を検知することに相当する。上側閾値は第2閾値に相当する。
【0078】
制御部56は、抵抗電圧値が下側閾値未満であると判定した場合(S2:YES)、又は、抵抗電圧値が上側閾値以上であると判定した場合(S3:YES)、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示する(ステップS4)。これにより、出力部50は、駆動回路20に出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路20は、第1スイッチ30及び第2スイッチ40をオフに切替える。これにより、第1スイッチ30又は第2スイッチ40に大きな電流が流れることはなく、第1スイッチ30又は第2スイッチ40の温度が異常な温度に上昇することはない。
【0079】
次に、制御部56は、出力部51に報知信号の出力を指示する(ステップS5)。これにより、出力部51は報知信号を出力し、故障の発生が報知される。制御部56は、抵抗電圧値が上側閾値未満であると判定した場合(S3:NO)、又は、ステップS5を実行した後、故障検知処理を終了する。
【0080】
以上のように、制御装置10では、第1スイッチ30で開放故障が発生した場合、抵抗電圧値が下側閾値未満となり、第2スイッチ40で開放故障が発生した場合、抵抗電圧値が上側閾値以上となる。このため、第1スイッチ30又は第2スイッチ40で開放故障が発生した場合、制御部56は、第1スイッチ30、第2スイッチ40、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つでの故障の発生を検知する。
【0081】
なお、電流検出回路21において、FET64の型は、Nチャネル型であってもよい。この場合、差動増幅器63のプラス端及びマイナス端夫々は、回路抵抗60,61夫々の他端に接続される。更に、FET64について、ドレインが回路抵抗60の他端に接続され、ソースが回路抵抗62の一端に接続される。この場合、第1抵抗31の両端間の電圧値が大きい程、差動増幅器63は、FET64のゲートの電圧値を高い電圧値に調整する。FET64のドレイン及びソース間の抵抗値は、ゲートの電圧値が高い程、小さい。
【0082】
また、FET64は可変抵抗器として機能すればよい。このため、FET64の代わりに、バイポーラトランジスタを用いてもよい。Pチャネル型のFETは、PNP型のバイポーラトランジスタに対応する。Nチャネル型のFETは、NPN型のバイポーラトランジスタに対応する。
更に、電流検出回路21は、第1抵抗31の第1スイッチ30側の一端から電流を引き込む回路に限定されず、第1抵抗31の両端間の電圧値に応じた電圧値を出力する回路であってもよい。
【0083】
(実施形態2)
図5は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0084】
実施形態2を実施形態1と比較した場合、制御装置10の構成が異なる。実施形態2における制御装置10は、実施形態1における制御装置10が有する構成部に加えて、電圧検出回路70,71を有する。実施形態2におけるマイコン22は、実施形態1におけるマイコン22が有する構成部に加えて、入力部80,81及びA/D変換部82,83を有する。
【0085】
電圧検出回路70は、第1スイッチ30及び第1抵抗31間の接続ノードと、マイコン22の入力部80に接続されている。入力部80は、更に、A/D変換部82に接続されている。A/D変換部82は、更に、内部バス57に接続されている。電圧検出回路71は、第2スイッチ40及び第2抵抗41間の接続ノードと、マイコン22の入力部81に接続されている。入力部81は、更に、A/D変換部83に接続されている。A/D変換部83は、更に、内部バス57に接続されている。
【0086】
電圧検出回路70は、第1スイッチ30及び第1抵抗31間の接続ノードの電圧値を検出する。この電圧値は、接地電位を基準とした電圧値である。電圧検出回路70は、検出した電圧値を示すアナログの第1検出値を入力部80に出力する。
【0087】
入力部80は、電圧検出回路70からアナログの第1検出値が入力された場合、入力されたアナログの第1検出値をA/D変換部82に出力する。A/D変換部82は、入力部80から入力されたアナログの第1検出値をデジタルの第1検出値に変換する。制御部56は、A/D変換部82からデジタルの第1検出値を取得する。
【0088】
電圧検出回路71は、第2スイッチ40及び第2抵抗41間の接続ノードの電圧値を検出する。この電圧値は、接地電位を基準とした電圧値である。電圧検出回路71は、検出した電圧値を示すアナログの第2検出値を入力部80に出力する。電圧検出回路71は第2の電圧検出回路として機能する。
【0089】
入力部80は、電圧検出回路71からアナログの第2検出値が入力された場合、入力されたアナログの第2検出値をA/D変換部83に出力する。A/D変換部83は、入力部81から入力されたアナログの第2検出値をデジタルの第2検出値に変換する。制御部56は、A/D変換部83からデジタルの第2検出値を取得する。
【0090】
制御部56は、実施形態1と同様に、コンピュータプログラムPを実行することによって、作動処理、停止処理、保護処理及び故障検知処理を実行する。実施形態2における作動処理、停止処理及び保護処理夫々は、実施形態1における作動処理、停止処理及び保護処理と同様である。実施形態2における故障検知処理は、実施形態1における故障検知処理と異なる。
【0091】
図6は、故障によって生じる現象の説明図である。実施形態1の説明で述べたように、第1スイッチ30で開放故障が発生した場合、又は、第1抵抗31若しくは第2抵抗41で短絡故障が発生した場合、抵抗電圧値は下側閾値未満である。
【0092】
第1スイッチ30で開放故障が発生している場合、電圧検出回路70が検出する電圧値、即ち、第1検出値が示す電圧値は、負荷12の両端間に印加されている電圧値(以下、負荷電圧値という)である。この電圧値はバッテリ電圧値よりも低い。第1抵抗31又は第2抵抗41で短絡故障が発生した場合、第1検出値が示す電圧値は、バッテリ電圧値である。
【0093】
実施形態1の説明で述べたように、第2スイッチ40、第1抵抗31又は第2抵抗41で開放故障が発生した場合、抵抗電圧値は上側閾値以上である。第2スイッチ40で開放故障が発生している場合、電圧検出回路71が検出する電圧値、即ち、第2検出値が示す電圧値は、負荷電圧値である。この電圧値はバッテリ電圧値よりも低い。第1抵抗31又は第2抵抗41で開放故障が発生した場合、第2検出値が示す電圧値は、バッテリ電圧値である。
【0094】
一定の基準電圧値が予め設定されている。基準電圧値は、第1スイッチ30で開放故障が発生している場合における負荷電圧値、及び、第2スイッチ40で開放故障が発生している場合における負荷電圧値よりも高い。更に、基準電圧値は、バッテリ電圧値以下である。
【0095】
従って、抵抗電圧値が下側閾値未満である場合、即ち、第1スイッチ30、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つで故障が発生している場合において、第1スイッチ30で開放故障が発生しているとき、第1検出値が示す電圧値は基準電圧値未満である。また、抵抗電圧値が上側閾値以上である場合、即ち、第2スイッチ40、第1抵抗31及び第2抵抗41中の少なくとも1つで故障が発生している場合において、第2スイッチ40で開放故障が発生しているとき、第2検出値が示す電圧値は基準電圧値未満である。
【0096】
図7及び
図8は、故障検知処理の手順を示すフローチャートである。実施形態1と同様に、制御部56は、駆動回路20にオンへの切替えを指示している場合に故障検知処理を周期的に実行する。実施形態2における故障検知処理のステップS11,S12,S18夫々は、実施形態1における故障検知処理のステップS1,S2,S3と同様である。実施形態2における故障検知処理のステップS17,S23夫々は、実施形態1における故障検知処理のステップS4と同様である。このため、ステップS11,S12,S17,S18,S23の詳細な説明を省略する。
【0097】
制御部56は、ステップS11で取得した抵抗電圧値が下側閾値未満であると判定した場合(S12:YES)、A/D変換部82から第1検出値を取得する(ステップS13)。次に、制御部56は、ステップS13で取得した第1検出値が示す電圧値が基準電圧値未満であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0098】
前述したように、抵抗電圧値が下側閾値未満である場合において、第1検出値が示す電圧値が基準電圧値未満であるとき、第1スイッチ30で開放故障が発生している。従って、ステップS13で第1検出値が示す電圧値が基準電圧値未満であると判定することは、第1スイッチ30での故障の発生を検知することに相当する。制御部56は、第1スイッチ30及び第1抵抗31間の接続ノードの電圧値に基づいて、第1スイッチ30での開放故障の発生を検知する。
【0099】
制御部56は、電圧値が基準電圧値未満であると判定した場合(S14:YES)、第1スイッチ30の開放故障を示す報知信号の出力を出力部51に指示する(ステップS15)。これにより、出力部51は、報知信号を出力し、第1スイッチ30での開放故障の発生が報知される。
【0100】
制御部56は、電圧値が基準電圧値以上であると判定した場合(S14:NO)、第1抵抗31又は第2抵抗41の短絡故障を示す報知信号の出力を出力部51に指示する(ステップS16)。これにより、出力部51は、報知信号を出力し、第1抵抗31又は第2抵抗41の短絡故障の発生が報知される。制御部56は、ステップS15,S16の一方を実行した後、ステップS17を実行し、故障検知処理を終了する。
【0101】
制御部56は、ステップS11で取得した抵抗電圧値が下側閾値以上であると判定した場合(S12:NO)、ステップS18を実行する。次に、制御部56は、ステップS11で取得した抵抗電圧値が上側閾値以上であると判定した場合(S18:YES)、A/D変換部82から第2検出値を取得する(ステップS19)。制御部56は、ステップS19で取得した第2検出値が示す電圧値が基準電圧値未満であるか否かを判定する(ステップS20)。
【0102】
前述したように、抵抗電圧値が上側閾値以上である場合において、第2検出値が示す電圧値が基準電圧値未満であるとき、第2スイッチ40で開放故障が発生している。従って、ステップS20で第2検出値が示す電圧値が基準電圧値未満であると判定することは、第2スイッチ40での故障の発生を検知することに相当する。制御部56は、第2スイッチ40及び第2抵抗41間の接続ノードの電圧値に基づいて、第2スイッチ40での開放故障の発生を検知する。
【0103】
制御部56は、電圧値が基準電圧値未満であると判定した場合(S20:YES)、第2スイッチ40の開放故障を示す報知信号の出力を出力部51に指示する(ステップS21)。これにより、出力部51は、報知信号を出力し、第2スイッチ40の開放故障の発生が報知される。
【0104】
制御部56は、電圧値が基準電圧値以上であると判定した場合(S20:NO)、第1抵抗31又は第2抵抗41の開放故障を示す報知信号の出力を出力部51に指示する(ステップS22)。これにより、出力部51は、報知信号を出力し、第1抵抗31又は第2抵抗41の開放故障の発生が報知される。制御部56は、ステップS11で取得した抵抗電圧値が上側閾値未満であると判定した場合(S18:NO)、又は、ステップS21,S22の一方を実行した後、ステップS23を実行し、故障検知処理を終了する。
【0105】
実施形態2における制御装置10は、実施形態1における制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0106】
なお、実施形態2では、制御装置10の制御部56は、第1スイッチ30及び第2スイッチ40中の少なくとも1つでの短絡故障の発生を検知することができる。ここで、短絡故障は、スイッチがオンに固定される故障である。制御部56は、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオフへの切替えを指示している状態で、A/D変換部82,83から取得した第1検出値及び第2検出値が示す電圧値、即ち、電圧検出回路70,71が検出した電圧値に基づいて、第1スイッチ30及び第2スイッチ40中の少なくとも1つでの短絡故障の発生を検知する。具体的には、制御部56は、駆動回路20に第1スイッチ30及び第2スイッチ40のオフへの切替えを指示している状態で第1検出値及び第2検出値が示す電圧値がゼロVを超えている場合、第1スイッチ30及び第2スイッチ40中の少なくとも1つでの短絡故障の発生を検知する。第1検出値及び第2検出値の中で、バッテリ電圧値と同様の電圧値を示す検出値に対応するスイッチが、短絡故障が発生しているスイッチである。
【0107】
(実施形態3)
図9は、実施形態3における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。
以下では、実施形態3について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態2と共通しているため、実施形態2と共通する構成部には実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0108】
実施形態3を実施形態2と比較した場合、制御装置10の構成が異なる。実施形態3における制御装置10は、実施形態2と同様に、駆動回路20、電流検出回路21、マイコン22、電圧検出回路70及び第1直列回路Aを有する。実施形態3における制御装置10は、更に、N個の第2直列回路B,B,・・・と、N個の電圧検出回路71,71,・・・とを有する。Nは2以上の整数である。
【0109】
各第2直列回路Bでは、第2スイッチ40及び第2抵抗41は、実施形態2と同様に接続されている。従って、第2スイッチ40のドレインは、バッテリ11の正極に接続されている。第2スイッチ40のソースは第2抵抗41の一端に接続されている。第2抵抗41の他端は、負荷12の一端に接続されている。第2スイッチ40のゲートは、駆動回路20の出力端に接続されている。
【0110】
各第2直列回路Bにおいて、第2スイッチ40及び第2抵抗41間の接続ノードは電圧検出回路71に接続されている。N個の電圧検出回路71,71,・・・夫々は、マイコン22に接続されている。
【0111】
図10はマイコン22の要部構成を示すブロック図である。実施形態3におけるマイコン22は、実施形態2と同様に、出力部50,51、入力部52,53,80、A/D変換部54,82、記憶部55及び制御部56を有する。実施形態3におけるマイコン22は、更に、N個の入力部81,81,・・・及びN個のA/D変換部83,83,・・・を有する。
【0112】
N個の入力部81,81,・・・夫々は、N個の電圧検出回路71,71,・・・に接続されている。N個の入力部81,81,・・・夫々は、更に、N個のA/D変換部83,83,・・・に接続されている。N個のA/D変換部83,83,・・・夫々は、更に、内部バス57に接続されている。
【0113】
電圧検出回路71、入力部81及びA/D変換部83は、実施形態2と同様に作用する。制御部56は、実施形態2と同様に、作動処理、停止処理、保護処理及び故障検知処理を実行する。
【0114】
基準電圧値は、第1スイッチ30で開放故障が発生している場合における負荷電圧値、及び、N個の第2スイッチ40,40,・・・夫々で開放故障が発生している場合における負荷電圧値よりも高い。更に、基準電圧値は、バッテリ電圧値以下である。
N個の第2抵抗41夫々の抵抗値は、他の第2抵抗41の抵抗値中の少なくとも1つと異なっていてもよい。
【0115】
故障検知処理のステップS19では、制御部56は、N個のA/D変換部83,83,・・・からN個の第2検出値を取得する。故障検知処理のステップS20では、制御部56は、ステップS19で取得したN個の第2検出値が示すN個の電圧値の少なくとも1つが基準電圧値未満であるか否かを判定する。
【0116】
制御部56は、N個の電圧値中の少なくとも1つが基準電圧値未満であると判定した場合(S20:YES)、ステップS21を実行する。ステップS21では、制御部56は、基準電圧値未満である一又は複数の電圧値に対応する一又は複数の第2スイッチ40,40,・・・の開放故障を示す報知信号の出力を出力部51に指示する。これにより、一又は複数の第2スイッチ40,40,・・・での開放故障の発生が報知される。
【0117】
制御部56は、N個の電圧値中の少なくとも1つが基準電圧値未満ではない、即ち、N個の電圧値の全てが基準電圧値以上であると判定した場合(S20:NO)、ステップS22を実行する。
実施形態3における制御装置10は、実施形態2における制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0118】
なお、実施形態3においても、制御装置10の制御部56は、第1スイッチ30及びN個の第2スイッチ40,40,・・・中の少なくとも1つでの短絡故障の発生を検知することができる。制御部56は、駆動回路20に第1スイッチ30及びN個の第2スイッチ40,40,・・・のオフへの切替えを指示している状態で、A/D変換部82及びN個のA/D変換部83,83,・・・から取得した第1検出値及びN個の第2検出値が示す電圧値に基づいて、第1スイッチ30及びN個の第2スイッチ40,40,・・・中の少なくとも1つでの短絡故障の発生を検知する。具体的には、制御部56は、駆動回路20に第1スイッチ30及びN個の第2スイッチ40,40,・・・のオフへの切替えを指示している状態で第1検出値及びN個の第2検出値が示す電圧値がゼロVを超えている場合、第1スイッチ30及びN個の第2スイッチ40,40,・・・中の少なくとも1つでの短絡故障の発生を検知する。第1検出値及びN個の第2検出値の中で、バッテリ電圧値と同様の電圧値を示す検出値に対応するスイッチが、短絡故障が発生しているスイッチである。
【0119】
なお、実施形態1〜3において、第1スイッチ30及び第2スイッチ40夫々は、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタ等であってもよい。
また、電流検出回路21が出力した抵抗電圧値に基づいて算出した電流値を用いる処理は、保護処理に限定されず、例えば、電流値からバッテリ11及び負荷12間に接続される電線温度を算出する処理であってもよい。
【0120】
更に、第1直列回路Aでは、第1スイッチ30及び第1抵抗31が直列に接続されていればよい。このため、例えば、第1スイッチ30及び第1抵抗31に加えて、インダクタが更に直列に接続されてもよい。同様に、第2直列回路Bでは、第2スイッチ40及び第2抵抗41が直列に接続されていればよい。このため、例えば、第2スイッチ40及び第2抵抗41に加えて、インダクタが更に直列に接続されてもよい。
【0121】
開示された実施形態1〜3はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。