(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
(電動機の構成)
以下、
図1から
図6により本発明の実施の形態1の電動機の構成を説明する。
なお、それぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する場合がある。
なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形、変更することが可能である。
【0011】
図1は本発明の実施の形態1に係る電動機の外観斜視図、
図2は本発明の実施の形態1に係る電動機の側面方向から見た断面図、
図3は本発明の実施の形態1に係る電動機のローター組立体の側面方向から見た断面図、
図4は
図3のA部に示す本発明の実施の形態1に係る電動機の軸の、外径が変わる位置の要部拡大図、
図5は
図3のB部に示す本発明の実施の形態1に係る電動機のローター組立体の要部拡大図、
図6は本発明の実施の形態1に係る電動機のローター組立体に軸受を取付ける前の状態を示す側面方向から見た斜視図である。
【0012】
図1及び2に示すように、本発明の実施の形態1の電動機21はブラシレスモーターであり、ローター組立体6とステーター組立体7とフレーム5で構成されている。フレーム5は電動機21の外郭の一部を形成する部材であり、例えばアルミ合金をプレス成型により形成したもので、一端側が開放している円筒状の胴部と、開放している側の反対側に胴部よりも小径のハウジング部17が形成されている。ハウジング部17の先端部には開口があり、その開口を後述するローター組立体6の軸8が貫通している。
【0013】
ローター組立体6は、軸8、ローターコア9、第1のエンドキャップ10a、第2のエンドキャップ10b、スリーブ11、第1の軸受13a、第2の軸受13b、ウェーブワッシャー14、スペーサー15、クッション16で構成される。
【0014】
ローターコア9はプラスチックマグネットであり、樹脂やエラストマー等の成形材料に磁性材料の粉末や細かく粉砕したものを混練し、射出成型で形成される。軸8は、例えばステンレスの鋼材で形成される。製造方法としては、射出成型の金型に軸8をセットし、軸8の外周にプラスチックマグネットの成形材料が回るようにして射出成型され、軸8にローターコア9が一体化するようにして形成される。このようにして形成することで、別に形成したローターコア9を軸8に接着して固定する方法に比べ組立が安定し、電動機21の信頼性向上、長寿命化が図れる。
【0015】
ローターコア9を構成するプラスチックマグネットは焼結磁石と比べると割れ、欠けが発生し難いものであるが、例えば分速10万回転といった高速で回転するため、万が一破損したときの飛散を防止するために、
図3及び
図5に示すように、軸8の長手方向のローターコア9の両端部に第1のエンドキャップ10aと第2のエンドキャップ10bが取り付けられる。第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bは非磁性の金属材、例えば黄銅などで形成される。
【0016】
第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bを磁性材で形成した場合、不要な磁束の通過経路ができてしまい、ローター組立体6を回転させるときの磁気回路に悪影響を及ぼすことがあるため、磁気回路に影響しないように第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bは非磁性の金属材で形成されている。
【0017】
図3に示すように、第1のエンドキャップ10aは後述する一対の軸受13寄りの位置に取り付けられる。第2のエンドキャップ10bは軸8の端部側に取り付けられる。
【0018】
第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bの内周の径は、軸8の外周の径に対して小さく形成されており、圧入して取り付けるようになっている。軸8の端部側には第2のエンドキャップ10bが圧入で取り付けられ、反対側の端部には第1のエンドキャップ10aが圧入で取り付けられる。
【0019】
第1のエンドキャップ10aの内周の端部には、傾斜部10a1が全周に渡り設けられている。同様に第2のエンドキャップ10bの内周の端部には、傾斜部10b1が全周に渡り設けられている。
【0020】
傾斜部10a1及び傾斜部10b1は、例えばC0.5の面取り形状である。これらの傾斜部10a1、10b1は圧入時の抵抗を緩和するためのもので、傾斜部10a1、10b1を設けることで、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bの内周の端部が角である場合に比べ、軸8に挿入し易くすることができる。
【0021】
なお、本発明の実施の形態では第1のエンドキャップ10aと第2のエンドキャップ10bの内周の端部を傾斜部としたが、例えばR0.5といったR形状でもよく、傾斜部と同様に端部が角である場合に比べ、軸8に挿入し易くすることができる。
【0022】
圧入して取り付けることで、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bを高い保持力で保持することができ、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bを軸8に接着して固定する方法に比べ組立が安定し、電動機21の信頼性向上、長寿命化が図れる。
【0023】
第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bが決められた位置まで圧入された状態において、軸8の長手方向のローターコア9の端部と第1のエンドキャップ10a、軸8の長手方向のローターコア9のもう一端側の端部とローターコア9と第2のエンドキャップ10bの間には、
図5に示すように微小な隙間Wが残るようになっている。微小な隙間Wは、例えば0.01mm程度の隙間である。
【0024】
軸8の長手方向のローターコア9の端部と第1のエンドキャップ10a、軸8の長手方向のローターコア9のもう一端側の端部とローターコア9と第2のエンドキャップ10bの間に、微小な隙間Wが残るようにするのは、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bを圧入するときにローターコア9に残留応力が掛からないようにするためである。
【0025】
第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bを圧入するときにローターコア9に接触させると残留応力がローターコア9に掛かり、前述したようにブラシレスモーターである電動機21は、前述したように分速10万回転といった高速で回転するため、ローターコア9が破損するおそれがある。
【0026】
そのため、ローターコア9に残留応力が掛からないように、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bとローターコア9の間に隙間を残すようにしている。なお、本実施の形態では隙間を残すようにしたが、残留応力が掛からなければ、例えば隙間0mmで接触させるようにしてもよい。
【0027】
さらに、ローターコア9の破損を抑制するために、ローターコア9の外周を覆うように円筒状のスリーブ11が挿入される。スリーブ11は非磁性の、例えばカーボン繊維と樹脂の複合材料で形成されている。カーボン繊維と樹脂の複合材料は軽量かつ高強度、また耐熱性に優れている。
【0028】
ローターコア9の外周の径と第1のエンドキャップ10aの外周の径は同じでφ3である。スリーブ11の内周の径はφ4で、ローターコア9及び第1のエンドキャップ10aの外周の径であるφ3との寸法関係はφ4>φ3となっており、スリーブ11の内周の径はローターコア9及び第1のエンドキャップ10aの外周の径よりも大きい。よって、スリーブ11はスムーズに挿入される。
【0029】
第2のエンドキャップ10bには、スリーブ11の抜け止めのための、段差部であるスリーブ受部10b3が設けられている。第2のエンドキャップ10bの小径部10b3の外周の径φ6は、ローターコア9の外周の径と第1のエンドキャップ10aの外周の径であるφ3と同じ径、つまりφ6=φ3となっている。第2のエンドキャップ10bの小径部10b3を除く外周の径φ5は、スリーブ11の内周の径φ4よりも大きい。
【0030】
そのため、スリーブ11は第2のエンドキャップ10bの小径部10b3まで挿入され、第2のエンドキャップ10bの外周の一部を覆い、段差部であるスリーブ受部10b3に接触してそれ以上、移動しないようになる。
【0031】
スリーブ11の内周とローターコア9及び第1のエンドキャップ10aの外周との間には隙間ができるため、このままではスリーブ11が安定せず高速回転時にアンバランスとなる。そのため、スリーブ11の内周とローターコア9及び第1のエンドキャップ10aの外周との間の隙間に接着剤を注入して、スリーブ11とローターコア9と第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bとを固着させてスリーブ11を安定させる。
【0032】
スリーブ11の内周とローターコア9及び第1のエンドキャップ10aの外周との間の隙間に接着剤を注入すると、前述の軸8の長手方向のローターコア9の端部と第1のエンドキャップ10a、軸8の長手方向のローターコア9のもう一端側の端部とローターコア9と第2のエンドキャップ10bの間の微小な隙間Wにも接着剤が浸入し注入される。接着剤により隙間を埋めることで回転時の安定性を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態ではローターコア9の外周の径と第1のエンドキャップ10aの外周の径は同じであるとしたが、第1のエンドキャップ10aの外周の径の方を小さくしてもよく、第1のエンドキャップ10aの外周の径の方を小さくすることでスリーブ11の内周の径との差を大きくして接着剤の溜まり部として利用することができる。
【0034】
第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bは、ローターコア9を保護する目的の他、ローター組立体6の回転を安定させる目的もある。
図3に示すように、ローター組立体6の軸8は、第1の軸受13aと第2の軸受13bからなる一対の軸受13で回転可能に支持されている。ブラシレスモーターである電動機21は高速回転するため、ローター組立体6が回転するときにバランスが悪いと振動が発生し、電動機21の損傷につながる。そのため、第1のエンドキャップ10aと第2のエンドキャップ10bは同じ質量となるように形成されている。
【0035】
但し、同じ質量であっても圧入の精度や部品の精度などでローター組立体6が回転するときに回転のバランスが悪いことがある。そのため、第1のエンドキャップ10aと第2のエンドキャップ10bの何れか、あるいはその両方を切削して回転のバランスの調整を行う場合がある。
【0036】
バランス調整は、スリーブ11とローターコア9と第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bとを接着剤で固着させた後で行う。そのため、
図3及び
図5に示すように、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bには、それぞれスリーブ11が覆わない箇所が設けられていて、スリーブ11が覆わない箇所の第1のエンドキャップ10aと第2のエンドキャップ10bの何れか、あるいはその両方を切削して回転のバランスの調整が行えるようになっている。このように回転のバランスの調整が行えるようになっているので、容易に回転のバランスを安定させることができる。
【0037】
第1のエンドキャップ10aは圧入するときに、
図3に示す後述する吸引風を発生させるためのファンであるインペラ12(
図8、
図9参照)を取り付ける軸8のインペラ取付部8d側から軸8に挿入する。
【0038】
第1のエンドキャップ10aが固定される位置まで移動するときに、
図3に示す一対の軸受13が取り付けられる位置を通過する。第1のエンドキャップ10aを圧入するときは、
図6に示すように一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bは、まだ取り付けられておらず、第1のエンドキャップ10aが圧入された後に取り付けられる。
【0039】
一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bの取付けは、後述するが軸8に対して圧入して取り付けられる。一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bの取付けは、ローター組立体6の安定した回転に大きく寄与する。一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが良好に圧入されるためには、軸8の表面の傷付き等に細心の注意を払う必要がある。
【0040】
前述したように、第1のエンドキャップ10aが固定される位置まで移動するときに、一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが取り付けられる位置を通過するので、そのときに軸8の表面を傷付ける可能性がある。
【0041】
そこで、
図4に示すように、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bが取り付けられる位置の、軸8の軸大径部8aの外周の径φ1は、一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが取り付けられる位置の、軸8の軸小径部8bの外周の径φ2よりも大きく(太く)なっている。例えば、軸小径部8bの外周の径φ2はφ5mm、軸大径部8aの外周の径φ1はφ5.2mmである。
【0042】
つまり、第1のエンドキャップ10aの内周の径よりも、軸8の軸小径部8bの外周の径が小さく(細く)なっているので、第1のエンドキャップ10aは一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが取り付けられる位置を、余裕を持って通過できるので、軸8の表面を傷付ける可能性が抑制できる。これにより一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが良好に圧入でき、ローター組立体6の安定した回転を得ることができるので、電動機21の高寿命化が図れる。
【0043】
第1のエンドキャップ10aが固定される位置まで、軸8の軸小径部8bから軸大径部8aまで移動するときに、第1のエンドキャップ10aがスムーズに移動できるよう軸小径部8bから傾斜部8cで軸大径部8aと接続される。
【0044】
言い換えると傾斜部8cで軸小径部8bから軸大径部8aに径を変化させている。傾斜部8cは
図3に示すように一対の軸受13と第1のエンドキャップ10aが取り付けられている位置の間に設けられている。この傾斜部8cにより第1のエンドキャップ10aが圧入して固定する位置と同じ径となる軸大径部8aにスムーズに移動でき、第1のエンドキャップ10aが圧入し易くなる。
【0045】
第1のエンドキャップ10aを軸8に圧入した後、第1の軸受13aを軸小径部8bの取付け位置に圧入する。その後、ウェーブワッシャー14、スペーサー15、クッション16を挿入する。
【0046】
このときウェーブワッシャー14、スペーサー15、クッション16を軸8の軸小径部8bが貫通する訳であるが、ウェーブワッシャー14、スペーサー15、クッション16の図示しない軸8の軸小径部8bが貫通する貫通孔の内周の径は、軸8の軸小径部8bの外周の径よりも大きくなっており、ウェーブワッシャー14、スペーサー15、クッション16は軸8の軸小径部8bに圧入していない。
【0047】
次に、第2の軸受13bを軸小径部8bの取付け位置に圧入して、
図3に示すローター組立体6が完成する。
【0048】
ウェーブワッシャー14は、円環状の押しバネであり第1の軸受13aと第2の軸受13bが離間する方向へ予圧を掛けるものである。ウェーブワッシャー14は、弾性変形した状態で取り付けられるようになっているため、その反発力が第1の軸受13aとスペーサー15が離間する方向へ働き、スペーサー15とクッション16を介して第2の軸受13bが離間する方向に反発力が働く。
【0049】
ウェーブワッシャー14は、取り付けられた状態で第1の軸受13aと第2の軸受13bが離間する方向へ予め反発力が働く、つまり予圧が掛かるようになっている。第1の軸受13aと第2の軸受13bは玉軸受であり、予圧を掛けることで軸受の挙動が安定し、電動機21の回転が安定することで電動機21の長寿命化が図れる。
【0050】
クッション16は例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムといったゴム材で形成され、ウェーブワッシャー14の予圧を受けて、摩擦により第2の軸受13bが後述する電動機の運転時にクリープすることを防止するためのものである。
【0051】
図2に示すステーター組立体7のステーター7aは、鉄心である図示しないステーターコアに図示しないコイルを巻いて構成される。ステーター7aはフレーム5の内部空間において、ローター組立体6のローターコア9を取り囲むように配置される。ステーター7aは、ローター組立体6に作用する磁力を発生させるためのものである。
【0052】
前述したように、フレーム5は電動機21の外郭を形成する部材であり、一端側が開放している円筒状の胴部と、開放している側の反対側に胴部よりも小径のハウジング部17が形成されていて、円筒状の胴部内にステーター組立体7とローター組立体6のローターコア9の部分が収容される。
【0053】
ハウジング部17内には、ローター組立体6の第1の軸受13a、ウェーブワッシャー14、スペーサー15、クッション16、第2の軸受13bが収容される。ハウジング部17の内周の径に対し、スペーサー15の外周の径は、スペーサー15に応力が掛からずにハウジング部17内に収容できるようになっている。スペーサー15は、ハウジング部17の外周から加締めることでハウジング部17内に固定される。これによりローター組立体6がフレーム5に固定される。なお、スペーサー15は、ハウジング部17の外周から加締めることでハウジング部17内に固定されると説明したが、ハウジング部17の内周とスペーサー15の外周との間に接着剤を注入して固着させて固定するようにしてもよい。
【0054】
このとき、第1の軸受13aと第2の軸受13bはフレーム5のハウジング部17内に直接固定されてない。スペーサー15は、軸8の軸小径部8bの取付け位置に圧入された第1の軸受13aと第2の軸受13bに挟まれて取付け位置が決まるので、スペーサー15がフレーム5のハウジング部17に固定されることで、軸8の軸方向でスペーサー15を挟むように軸8の軸小径部8bに圧入された第1の軸受13aと第2の軸受13bが間接的にフレーム5のハウジング部17内に固定、収容される。
【0055】
前述したように、スペーサー15の軸8の軸小径部8bが貫通する貫通孔の内周の径は、軸8の軸小径部8bの外周の径よりも大きく、スペーサー15は軸8の軸小径部8bに圧入されていないので、スペーサー15に対し軸8は回転可能である。
【0056】
第1の軸受13aと第2の軸受13bは軸8の軸小径部8bに圧入されているが、第1の軸受13aと第2の軸受13bはフレーム5のハウジング部17内に直接固定されてない。スペーサー15がフレーム5のハウジング部17に固定されることで、ローター組立体6は軸8が回転可能にフレーム5に固定される。
【0057】
なお、本発明の実施の形態では、ハウジング部17の取付け位置にスペーサー15を圧入するようにしたが、接着剤で固定してもよく、接着剤で固定しても圧入で固定するのと同様にローター組立体6は軸8が回転可能にフレーム5に固定することができる。
【0058】
以上のように、第1のエンドキャップ10a及び第2のエンドキャップ10bが取り付けられる位置の、軸8の軸大径部8aの外周の径は、一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが取り付けられる位置の、軸8の軸小径部8bの外周の径よりも大きく(太く)なっていて、第1のエンドキャップ10aの内周の径よりも、軸8の軸小径部8bの外周の径が小さく(細く)なっており、第1のエンドキャップ10aは一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが取り付けられる位置を、余裕を持って通過できるので、軸8の表面を傷付ける可能性が抑制でき、一対の軸受13を構成する第1の軸受13aと第2の軸受13bが良好に圧入できるのでローター組立体6の安定した回転を得ることができる。よって、ローター組立体6の安定した回転を得ることができるので、電動機21の高寿命化が図れる。
【0059】
また、傾斜部8cで軸小径部8bから軸大径部8aに径を変化させているので、軸小径部8bから第1のエンドキャップ10aが圧入して固定する位置と同じ径となる軸大径部8aにスムーズに移動でき、第1のエンドキャップ10aが圧入し易くなる。
【0060】
さらに、第1のエンドキャップ10aの内周の端部には、傾斜部10a1が、第2のエンドキャップ10bの内周の端部には、傾斜部10b1がそれぞれ全周に渡り設けられているので、圧入時の抵抗を緩和することができ、内周の端部が角である場合に比べ、軸8に挿入し易くすることができる。
【0061】
前述したように、フレーム5のハウジング部17の先端部には開口があり、ローター組立体6をフレーム5に固定すると、
図2に示すように、その開口からローター組立体6の軸8が貫通して突出する。フレーム5のハウジング部17から突出した軸8には、インペラ取付部8dが設けられている。
【0062】
(電動送風機の構成)
以下、
図7から
図8により本発明の実施の形態1に掛かる電動機21を組み込んだ電動送風機1の構成を説明する。
なお、それぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する場合がある。
なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形、変更することが可能である。
【0063】
図7は本発明の実施の形態1に係る電動機を組み込んだ電動送風機の分解図、
図8は本発明の実施の形態1に係る電動機を組み込んだ電動送風機の側面方向から見た断面図である。
【0064】
本発明の実施の形態1に係る電動機21を組み込んだ電動送風機1は、
図7に示すように、ローター組立体6とステーター組立体7とフレーム5で構成された電動機21の、フレーム5のハウジング部17側にブラケット4が取り付けられる。
【0065】
ここではブラケット4は、まだフレーム5に固着されていない。ブラケット4は、電動送風機1の外郭の一部を形成するものである。ブラケット4は、樹脂材料を射出成型して形成される。
【0066】
次に、ディフューザー3が取り付けられる。ディフューザー3は、電動機21に取り付けられた後述するインペラ12が発生した送風の圧力を高め、安定させて効率よく送出するためのものである。ディフューザー3は、樹脂材料を射出成型して形成される。ディフューザー3を取り付けた後、ネジ18によりディフューザー3とブラケット4が共締めでフレーム5に固着される。
【0067】
次に、フレーム5のハウジング部17、ブラケット4、ディフューザー3を貫通した電動機21のローター組立体6の軸8に設けられたインペラ取付部8dにインペラ12を取り付ける。インペラ12は、電動機21により回転し送風を発生させるものである。インペラ12は、樹脂材料を射出成型して形成される。インペラ12は金属材料で形成されてもよいが、電動送風機1の軽量化のため、樹脂材料で形成している。
【0068】
インペラ取付部8dの先端部には図示しないネジが切られていて、インペラ取付部8dにインペラ12を挿入し、先端部のネジにナット19を嵌めて締め付けることによりインペラ12は軸8に固着される。
【0069】
次に、インペラ12を覆うようにファンカバー2が取り付けられる。ファンカバー2は、ブラケット4と組み合わされて送風経路を構成するケーシングである。ファンカバー2は、樹脂材料を射出成型して形成される。
【0070】
図8に示すように、ファンカバー2には、電動送風機1の空気を吸い込むための吸気口1aが設けられている。電動機21の回転によりインペラ12が回転し、吸気口1aから空気が吸い込まれる。この吸い込まれた空気は、排気口1bから電動送風機1外へ送出される。
【0071】
このように、ローター組立体6の安定した回転を得ることができ、高寿命化が図られた電動機21を組み込んで電動送風機1が構成されているので、安定した回転により高寿命化を図ることができる電動送風機1を得ることができる。
【0072】
(電気掃除機の構成)
以下、
図9から
図11により本発明の実施の形態1に掛かる電動機21を組み込んだ電動送風機1を組み込んだ電気掃除機100の構成を説明する。
なお、それぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する場合がある。
なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形、変更することが可能である。
【0073】
図9は本発明の実施の形態1に係る電動機を組み込んだ電気掃除機の外観を示す斜視図、
図10は本発明の実施の形態1に係る電動機を組み込んだ電気掃除機の本体部を側面方向から見た外観図、
図11は本発明の実施の形態1に係る電動機を組み込んだ電気掃除機の本体部の側面方向から見た断面図である。
【0074】
本発明の実施の形態1に掛かる電動機21が組み込まれた電動送風機1を組み込んだ電気掃除機100は、
図9に示すように、本体101と集塵部102と延長管103と吸込具104で構成される。
【0075】
本体101には、電気掃除機100を取り回すときのハンドル101bが設けられている。また、本体101には、電気掃除機100を運転するときに電動送風機1を駆動させるための図示しないスイッチなどを備える操作部101cが設けられている。
【0076】
延長管103は、本体101と吸込具104を通気可能に接続するためのもので、
図10に示す本体101の本体管部101aと接続される。延長管103の本体管部101aと接続される側の端部の反対側の端部と吸込具104が接続される。図示しないが本体101と吸込具104は、延長管103を介さずに接続することも可能である。
【0077】
吸込具104は、床などの被清掃面から塵埃を含んだ空気を吸い込むものである。吸込具104には、床などの被清掃面と対向する面に図示しない開口が設けられている。この開口は、塵埃を含んだ空気を吸い込むための開口である。
【0078】
図11に示すように、集塵部102は集塵室102aを有する。集塵室102aは塵埃を収容するためのものである。集塵室102a内には分離部114が設けられる。分離部114は、塵埃を含んだ空気を旋回させて、塵埃を分離するためのものである。分離された塵埃が集塵室102aに収容される。電気掃除機100は、サイクロン式の電気掃除機である。
【0079】
本体101の内部には、電動送風機1を駆動させるための電力を供給する二次電池111が収容されている。電気掃除機100は、電動送風機1を二次電池111で駆動させるコードレス式の電気掃除機である。
【0080】
また、本体101の内部には、本発明の実施の形態1に掛かる電動機21が組み込まれた電動送風機1が収容されている。電動送風機1は、電気掃除機100が塵埃を含んだ空気を吸引する吸引風を発生させるものである。電動送風機1は、言わば電気掃除機100の心臓部である。電動送風機1の吸気口1aは集塵部102と通気可能に配置されている。
【0081】
電気掃除機100の動作は、操作部101cの電動送風機1を駆動させるための図示しないスイッチをONすると、二次電池111から電動送風機1に電力が供給される。電力が供給された電動送風機1が駆動を開始すると、電動送風機1が発生させた吸引風により、吸込具104の開口から塵埃を含んだ空気の吸引を開始する。
【0082】
吸込具104の開口から吸引した塵埃を含んだ空気は、延長管103の図示しない通風路を通過し、本体101の本体管部101a内の吸引風路112を通過して集塵部102の旋回部113に送られる。
【0083】
塵埃を含んだ空気は、旋回部113で旋回し遠心分離され、分離部114で塵埃と空気を分離する。分離された塵埃は集塵室102a内に収容され、分離された空気は電動送風機1の吸気口1aから電動送風機1内に吸い込まれ、電動送風機1の排気口1bから電動送風機1外へ送出されて、
図10に示す本体101に設けられた本体排気口101dから本体101外へ排出される。
【0084】
このようにして、電気掃除機100は電動送風機1の駆動により吸引風を発生させて塵埃を含んだ空気を吸引し、塵埃を分離して集塵室102a内に収容することで掃除を行う。本発明の実施の形態1に掛かる電動機21が組み込まれた電動送風機1を組み込んだ電気掃除機100は、安定した回転により高寿命化を図ることができる電動送風機1が組み込まれているので、言わば電気掃除機100の心臓部である電動送風機1の高寿命化が図れるので、電気掃除機100の高寿命化をも図ることができる。