(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウレタンプレポリマー(A)の前記イソシアネート基1molに対して、前記モノアルコール化合物(C)の前記ヒドロキシ基が0.15〜0.23molとなるように、前記モノアルコール化合物(C)が配合されてなる、請求項1に記載の1液湿気硬化型ウレタン組成物。
前記脂肪族イソシアネート化合物の変性体が、前記脂肪族イソシアネート化合物のイソシアヌレート体、前記脂肪族イソシアネート化合物のビウレット体、および、前記脂肪族イソシアネート化合物とトリオールとのアダクト体、からなる群より選択される少なくとも1種の変性体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の1液湿気硬化型ウレタン組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の1液湿気硬化型ウレタン組成物について説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
[1液湿気硬化型ウレタン組成物]
本発明の1液湿気硬化型ウレタン組成物(以下、単に「ウレタン組成物」ともいう。)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)と、脂肪族イソシアネート化合物および脂肪族イソシアネート化合物の変性体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(B)と、ヒドロキシ基を有するモノアルコール化合物(C)と、を含有し、上記ウレタンプレポリマー(A)の上記イソシアネート基1molに対して、上記モノアルコール化合物(C)の上記ヒドロキシ基が0.025〜0.4molとなるように、上記モノアルコール化合物(C)が配合されてなる。
本発明のウレタン組成物は、被着体との接着性に優れ、特に、低温から高温までの幅広い接着条件下における、多様な被着体(特に、塗板、PBT等の樹脂、ガラスプライマーなど)との接着性に優れる。
本発明のウレタン組成物は、ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の2.5〜40モル%が、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基で封鎖されている。このように、反応点となるイソシアネート基の一部が封鎖されているので、通常、被着体との接着性が低下すると考えられるが、本発明のウレタン組成物は被着体との接着性に優れる。
この理由の詳細は未だ明らかになっていないが、以下の理由によるものと推測される。
【0012】
すなわち、上述したようにウレタンプレポリマー(A)の反応点の一部が封鎖されていることから、ウレタン組成物の硬化速度は低下するが、化合物(B)の流動性は確保される。そのため、接着付与成分である化合物(B)が、ウレタン組成物と被着体との接着界面の近傍に移動しやすくなると考えられる。このように、接着界面の近傍に移動した化合物(B)の作用により、ウレタン組成物と被着体との接着性が優れたものになったと推測される。
また、プレポリマー中のウレタン結合の濃度が上がり、被着体への濡れ性が向上していると推測される。
以下、本発明のウレタン組成物に含まれる成分および含まれ得る成分について説明する。
【0013】
〔ウレタンプレポリマー(A)〕
本発明のウレタン組成物は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する。ウレタンプレポリマー(A)は、通常の1液型のウレタン組成物と同様、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物とを、活性水素基に対してイソシアネート基が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物等を用いることができる。
また、上記ウレタンプレポリマー(A)は、0.5〜5質量%のイソシアネート基を分子末端に含有することができる。
【0014】
<ポリイソシアネート化合物>
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H
6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0015】
このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、得られるウレタンプレポリマー(A)を含有する本発明のウレタン組成物のせん断弾性率がより高くなり、高温高湿下での接着性がより良好となる理由から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、TDI、MDIがより好ましく、MDIがさらに好ましい。
【0016】
<1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物>
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用される1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物は特に限定されない。
【0017】
上記活性水素化合物としては、1分子中に2個以上のヒドロキシ(OH)基を有するポリオール化合物、1分子中に2個以上のアミノ基および/またはイミノ基を有するポリアミン化合物等が好適に例示され、中でも、ポリオール化合物であるのがより好ましい。
【0018】
上記ポリオール化合物は、OH基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、低分子多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0019】
低分子多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3−または1,4−)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;等が挙げられる。
【0020】
次に、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとしては、通常、上記低分子多価アルコール類から導かれるものが用いられるが、本発明においては、更に以下に示す芳香族ジオール類、アミン類、アルカノールアミン類から導かれるものも好適に用いることができる。
ここで、芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m−ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
【0022】
また、アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
【0023】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類および上記アルカノールアミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
【0024】
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類および上記アルカノールアミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物(縮合系ポリエステルポリオール);ラクトン系ポリオール;ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。
ここで、上記縮合系ポリエステルポリオールを形成する多塩基性カルボン酸としては、具体的には、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、他の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコール(もしくはプロピレングリコール)との反応生成物などのヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
また、上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので両末端にヒドロキシ基を有するものが挙げられる。
【0025】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素−炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、以上で例示した種々のポリオール化合物を1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリプロピレングリコールであるのが、得られるウレタンプレポリマー(A)を含有する本発明のウレタン組成物の硬度と破断伸びのバランスおよびコストのバランスに優れる理由から好ましい。
また、重量平均分子量が100〜10000程度であるポリオールが好ましく、1000〜5000であるポリオールがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、得られるウレタンプレポリマー(A)の物性(例えば、硬度、破断強度、破断伸び)および粘度が良好となる。
【0027】
上記ポリアミン化合物としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD、デュポン・ジャパン社製)などの脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン;3−ブトキシイソプロピルアミンなどの主鎖にエーテル結合を有するモノアミン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148に代表されるポリエーテル骨格のジアミン;イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC、三菱ガス化学社製)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミンなどの脂環式ポリアミン;ノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学社製)などのノルボルナン骨格のジアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、ポリプロピレングリコール(PPG)を骨格に持つサンテクノケミカル社製のジェファーミンD230、ジェファーミンD400;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリエーテル骨格のジアミン(ジェファーミン)、ヘキサメチレンジアミンであるのが好ましい。
【0028】
〔化合物(B)〕
本発明のウレタンポリマーは、化合物(B)を含有する。化合物(B)は、脂肪族イソシアネート化合物および脂肪族イソシアネート化合物の変性体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
【0029】
脂肪族イソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えば、上記ウレタンプレポリマー(A)においてポリイソシアネート化合物の一例として示した脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
すなわち、上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、および、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、脂肪族イソシアネート化合物としては、被着体との接着性により優れる観点から、HDIが好ましい。
【0030】
脂肪族イソシアネート化合物の変性体としては、上記脂肪族イソシアネート化合物のイソシアヌレート体、上記脂肪族イソシアネート化合物のビウレット体、および、脂肪族イソシアネート化合物とトリオールとのアダクト体(上記脂肪族イソシアネート化合物とトリオールとの反応生成物)などが挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ここで、上記トリオールとしては、1分子中に3個のヒドロキシ基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−プロパントリオール(グリセリン)、1,2,3−ベンゼントリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン(TMP)等が挙げられ、トリメチロールプロパン(TMP)が好ましい。
上記脂肪族イソシアネート化合物の変性体における「脂肪族イソシアネート化合物」の具体例は、上述した通りであるが、被着体との接着性がより優れる観点から、HDIが好ましい。
【0031】
化合物(B)は、低温から高温までの幅広い接着条件下における、多様な被着体(特に、塗板、PBT等の樹脂、ガラスプライマーなど)との接着性により優れるという観点から、脂肪族イソシアネート化合物の変性体が好ましく、上記脂肪族イソシアネート化合物のイソシアヌレート体、上記脂肪族イソシアネート化合物のビウレット体、および、脂肪族イソシアネート化合物とトリオールとのアダクト体から群より選択される少なくとも1種であるのがより好ましく、HDIのビウレット体、HDIのイソシアヌレート体、および、HDIとトリメチロールプロパンとのアダクト体からなる群より選択される少なくとも1種であるのがさらに好ましい。以下に、これらの化合物の構造の具体例を示す。
【0032】
<HDIのイソシアヌレート体>
HDIのイソシアヌレート体は、下記式(1)で表される化合物である。
【0034】
<HDIのビウレット体>
HDIのビウレット体は、下記式(2)で表される化合物である。
【0036】
<HDIとTMPとのアダクト体>
HDIとTMPとのアダクト体(HDIとTMPとの反応生成物)としては、イソシアネート基を3個有しているのが好ましく、例えば、下記式(3)で表される化合物が好適に挙げられる。
ここで、HDIとTMPとの反応は、HDIとTMPとを、イソシアネート基/水酸基(水酸基1個あたりのイソシアネート基の基数)(以下、NCO/OHという)が、1.8〜2.2となる当量比で混合させて行うのが好ましい。
また、HDIとTMPとのアダクト体の調製は、例えば、上述の当量比のHDIとTMPとを50〜100℃で加熱撹拌することによって行うことができる。なお、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
【0038】
本発明のウレタン組成物中の化合物(B)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.5〜5.0質量部が好ましく、1.0〜4.0質量部がより好ましく、1.0〜3.5質量部がさらに好ましい。化合物(B)の含有量が0.5質量部以上であると、低温から高温までの幅広い接着条件下における、多様な被着体(特に、塗板、PBT等の樹脂、ガラスプライマーなど)との接着性により優れる。化合物(B)の含有量が5.0質量部以下であると、ウレタン組成物を高温、多湿下で硬化させても接着剤中に気泡が残らない(すなわち、ウレタン組成物が発泡しにくい)。
【0039】
〔モノアルコール化合物(C)〕
本発明のウレタン組成物は、モノアルコール化合物(C)を含有する。モノアルコール化合物(C)は、分子中に1つのヒドロキシ(OH)基を有するアルコールである。
【0040】
モノアルコール化合物(C)としては、例えば、脂肪族アルコールおよび芳香族アルコールが挙げられ、イソシアネート基との反応性という観点から、脂肪族アルコールが好ましい。
脂肪族アルコールは、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。
モノアルコール化合物(C)の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロペン−1−オール、ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
モノアルコール化合物(C)は、取り扱い性およびウレタン組成物の硬化物の物性の観点から、炭素数1〜18のモノアルコール化合物が好ましく、炭素数2〜12のモノアルコール化合物がより好ましく、炭素数6〜10のモノアルコール化合物がさらに好ましい。特に、炭素数が2以上であることで、モノアルコール化合物の揮発を抑制できるので、反応前に揮発する量を低減できる。これにより、反応量(反応率)によって生じる、ウレタン組成物の特性がばらつくことを抑制できる。また、炭素数が12以下であることで、封鎖モル量当たりの添加量を低減できるので、硬化物の物性がより優れる。このように、炭素数2〜12のモノアルコール化合物を使用することで、安定性に優れたウレタン組成物が得られること、および、これの硬化物の物性低下が小さいこと、の両方のバランスが優れる。
【0041】
モノアルコール化合物(C)は、ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1molに対して、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基が0.025〜0.4molとなるように配合されるが、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基が0.025〜0.25molとなるように配合されることが好ましく、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基が0.15〜0.23molとなるように配合されることがより好ましい。
上記ヒドロキシ基の物質量が0.025mol以上であると、塗板との接着発現までの時間を短くできる。また、上記ヒドロキシ基の物質量が0.4mol以下であると、ガラスプライマーとの接着性に優れる。特に、上記ヒドロキシ基の物質量が0.23mol以下であると、ウレタン組成物の硬化物のゴム物性(特に、破断伸び)が優れる。
【0042】
〔アルコキシシリル化合物(D)〕
本発明のウレタン組成物は、アルコキシシリル基を有するアルコキシシリル化合物(D)を含有するのが好ましい。これにより、ウレタン組成物と被着体との接着性(特に、耐水接着性)がより向上する。本効果は、表面に塗料層が設けられている被着体を用いた場合により顕著に発揮され、さらには、塗料層を構成する塗料(以下、「被着体塗料」ともいう。)がシリコーン樹脂を含む場合により一層顕著に発揮される。すなわち、アルコキシシリル基の加水分解反応で生じたシラノール基により被着体塗料との濡れ性が向上し、さらに、被着体塗料表面のシラノール基と水素結合を形成することにより、接着性(特に耐水接着性)がより一層向上すると推定される。
【0043】
アルコキシシリル化合物(D)は、1分子中にアルコキシシリル基を1つ以上有する。
ここで、アルコキシシリル基とは、ケイ素原子にアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基)が1〜3個結合している基を意味する。
ケイ素原子に結合しているアルコキシ基が1個または2個である場合、ケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、例えば、水素原子およびアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)が挙げられる。
アルコキシシリル基は、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種のアルコキシ基を有するのが好ましい。
アルコキシシリル基としては、具体的には、モノメトキシシリル基、ジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、モノエトキシシリル基、ジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、エトキシ(ジメトキシ)シリル基、メトキシ(ジエトキシ)シリル基等が挙げられる。
アルコキシシリル化合物(D)が有するアルコキシシリル基は、ケイ素原子に結合するアルコキシ基の数が2〜3個であるのが好ましい。これにより、ウレタン組成物と被着体との接着性がより向上する。
【0044】
アルコキシシリル化合物(D)は、1分子中に活性水素を1つ以上有するのが好ましい。これにより、アルコキシシリル化合物(D)の活性水素と、ウレタンプレポリマー(A)および/または化合物(B)のイソシアネート基と、が反応するので、本発明のウレタン組成物と被着体との接着性がより向上する。
活性水素は、アルコキシシリル化合物(D)中に活性水素基として導入される。このような活性水素基としては、例えば、アミノ基(例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基)、メルカプト基が挙げられる。
アルコキシシリル化合物(D)は、1分子中に活性水素を1つ以上有するのが好ましいが、ウレタン組成物の貯蔵安定性(粘度安定性)に優れる観点から、1分子中に活性水素を1つだけ有するのがより好ましい。
【0045】
アルコキシシリル化合物(D)において、アルコキシシリル基および必要に応じて導入される活性水素基は、有機基と結合しているのが好ましい。このような有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0046】
アルコキシシリル化合物(D)としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシラン等の第1級アミノ基を有するアミノシラン化合物、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、3−(n−ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(n−プロピルアミノ)プロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の第2級アミノ基を有するアミノシラン化合物、ならびに、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランおよびγ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン等のメルカプト基を有する化合物(メルカプトシラン化合物)が挙げられる。
アルコキシシリル化合物(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのアルコキシシリル化合物(D)の中でも、ウレタン組成物の貯蔵安定性(粘度安定性)に優れる観点から、第2級アミノ基を有するアミノシラン化合物が好ましく、芳香族炭化水素基と結合した第2級アミノ基を有するアミノシラン化合物がより好ましい。
【0047】
本発明のウレタン組成物がアルコキシシリル化合物(D)を含有する場合、アルコキシシリル化合物の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)および化合物(B)の合計100質量部に対して、0.08〜10.2質量部が好ましく、0.08〜10.0質量部がより好ましく、0.10〜10.0質量部がさらに好ましい。アルコキシシリル化合物(D)の含有量が0.08質量部以上であると、多様な被着体(特に、塗板)との耐水接着性により優れる。アルコキシシリル化合物(D)の含有量が10.2質量部以下であると、低温から高温までの幅広い接着条件下における、多様な被着体(特に、塗板、PBT等の樹脂、ガラスプライマーなど)との接着性により優れる。
【0048】
〔添加剤〕
本発明のウレタン組成物は、上記以外の成分(添加剤)を含有してもよい。添加剤としては、カーボンブラック、触媒および可塑剤などが挙げられる。
【0049】
<カーボンブラック>
カーボンブラックには、通常の1液型のウレタン組成物と同様、従来公知のものを用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
具体的には、上記SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、ISAFとしてはショウワブラックN220(昭和キャボット社製)、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)およびニテロン#200(新日化カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(中部カーボン社製)等が例示される。また、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シースト5(東海カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)、三菱#5(三菱化学社製)、FTとしては旭サーマル(旭カーボン社製)、HTC#20(中部カーボン社製)、MTとしては旭#15(旭カーボン社製)等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
本発明においては、上記カーボンブラックの含有量は、上記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して20〜100質量部が好ましく、30〜80質量部がより好ましい。
【0051】
<触媒>
触媒としては、通常の1液型のウレタン組成物と同様、従来公知の硬化触媒を用いることができる。
上記触媒としては、具体的には、例えば、オクチル酸鉛;ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズラウレート、オクチル酸スズ等のスズ触媒;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルアミルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、トリアリルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、4,4′−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス−モルフォリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−1、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエタノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、テトラメチルブタンジアミン、ビス(2,2−モルフォリノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル等の第三級アミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
上記触媒の含有量は、上記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0.001〜1.0質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。
【0053】
<可塑剤>
可塑剤としては、通常の1液型のウレタン組成物と同様、従来公知の可塑剤を用いることができる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジイソノニルフタレート(DINP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
上記可塑剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して10〜80質量部が好ましく、15〜60質量部がより好ましい。
【0055】
<他の添加剤>
本発明のウレタン組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記カーボンブラック、触媒および可塑剤以外の他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、具体的には、カーボンブラック以外の充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤等が挙げられる。
【0056】
上記カーボンブラック以外の充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0057】
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
【0058】
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩などの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラックなどの有機顔料;等が挙げられる。
【0059】
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0060】
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
【0061】
〔ウレタン組成物の製造方法〕
本発明のウレタン組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述したウレタンプレポリマー(A)、化合物(B)、モノアルコール化合物(C)、所望により添加してもよいアルコキシシリル化合物(D)および/または各種添加剤を混合し、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて室温下または加熱下(例えば、30〜80℃)で十分に混合し、均一に分散(混練)させることにより製造することができる。
【0063】
本発明のウレタン組成物の用途としては、これに限定されないが、例えば、自動車用シーリング剤、建築部材用シーリング剤、樹脂部品または金属部品用接着剤、が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例を用いて、本発明のウレタン組成物について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
<ウレタンプレポリマー(A)>
ポリオキシプロピレンジオール(平均分子量2000)500g、ポリオキシプロピレントリオール(平均分子量5000)750g、および4,4′−ジイソシアネートフェニルメタン(分子量250)214gを混合し(この時NCO/OH=1.8)、さらにフタル酸ジイソノニル160gを加えて、窒素気流中、80℃で24時間撹拌を行い、反応させて、イソシアネート基を1.95%含有するウレタンプレポリマー(A)を合成した。
【0066】
<化合物(B)>
化合物(B)としては、上記式(1)で表されるHDIイソシアヌレート体(D170N、三井武田ウレタン社製)を用いた。
【0067】
<モノアルコール化合物(C)>
モノアルコール化合物(C)としては、2−エチルヘキサノール(関東化学社製)を使用した。
【0068】
<添加剤>
カーボンブラック:ニテロン#200(新日化カーボン社製)
触媒:ジオクチルスズラウレート(ネオスタンU−810、日東化成社製)
可塑剤:ジイソノニルフタレート(DINP、ジェイプラス社製)
【0069】
〔実施例1〜5、比較例1〜3〕
後述する第1表に示す各成分を、第1表に示す組成で、攪拌機を用いて、50℃で混合し、第1表に示される実施例1〜5および比較例1〜3の各ウレタン組成物を得た。
なお、後述する第1表中、モノアルコール化合物(C)の配合量は、ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1molに対する、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基の物質量(mol)を表す。また、モノアルコール化合物(C)以外の各成分の配合量は、「質量部」である。
【0070】
〔評価試験〕
<接着性試験1(塗板接着)>
塗料(アクリル/シリコン系塗料)を鋼板に塗布した塗板に、プライマーを用いず直接ウレタン組成物をφ10mmで塗布して、5分後に硬化後の厚みが3mmとなるように圧着した後、下記条件1−1〜1−6の条件で放置して、ウレタン組成物を硬化させることにより、試験片を作製した。なお、湿度は、いずれの条件も50%RHに設定した。
その後、作製した試験片について、ナイフカットによる手剥離試験を実施して、破壊状態を観察した。評価結果を第1表に示す。
評価基準は、ウレタン組成物の硬化物の全体が凝集破壊して界面剥離しなかったものを接着性に優れるものとして「CF」と評価し、ウレタン組成物の硬化物が塗板との界面で剥離した界面剥離を「AF」として示した。なお、「AF」に付された数値は、ウレタン組成物の硬化物を剥離した全面積に対する、界面剥離が生じている領域の面積の割合(%)を示す。
(条件1−1)ウレタン組成物を塗布後の塗板を、23℃で3日間放置した。
(条件1−2)ウレタン組成物を塗布後の塗板を、23℃で7日間放置した。
(条件1−3)ウレタン組成物を塗布後の塗板を、23℃で10日間放置した。
(条件1−4)ウレタン組成物を塗布後の塗板を、5℃で7日間放置した。
(条件1−5)ウレタン組成物を塗布後の塗板を、5℃で14日間放置した。
(条件1−6)ウレタン組成物を塗布後の塗板を、5℃で21日間放置した。
【0071】
<接着性試験2(ガラス接着)>
実施例および比較例の各ウレタン組成物の○ビード(φ10mm)を、被着体(プライマー(MS−90、横浜ゴム社製)を塗布したガラス)に塗布し、厚さ3mmに圧着した後、下記条件2−1〜2−4の条件で放置して、ウレタン組成物を硬化させることにより、試験片を作製した。なお、湿度は、いずれの条件も50%RHに設定した。
その後、作製した試験片について、ナイフカットによる手剥離試験を実施して、破壊状態を観察した。評価結果を第1表に示す。
評価基準は、ウレタン組成物の硬化物の全体が凝集破壊して界面剥離しなかったものを接着性に優れるものとして「CF」と評価し、ウレタン組成物の硬化物がプライマーとの界面で剥離した界面剥離を「PS」として示した。なお、「PS」に付された数値は、ウレタン組成物の硬化物を剥離した全面積に対する、界面剥離が生じている領域の面積の割合(%)を示す。
(条件2−1):試験片を23℃の条件下で7日間放置した。
(条件2−2):試験片を23℃の条件下で7日間放置後、さらに100℃の条件下で14日間放置した。
(条件2−3):試験片を23℃の条件下で7日間放置後、さらに100℃の条件下で21日間放置した。
(条件2−4):試験片を23℃の条件下で7日間放置後、さらに100℃の条件下で28日間放置した。
【0072】
<ゴム物性(破断伸び)>
各ウレタン組成物の硬化物を厚さ2mmのダンベル状試験片(ダンベル状3号形)に切り出し、JISK6251:2010に準拠して、破断伸び(%)を測定した。測定結果を第1表に示す。
【0073】
〔評価結果〕
以上の評価試験の結果を第1表に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
第1表に示すように、ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1molに対して、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基が0.025〜0.4molとなるように、モノアルコール化合物(C)が配合されてなる実施例1〜5のウレタン組成物は、被着体との接着性に優れることが示された。
また、実施例1〜5の対比により、ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1molに対して、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基が0.23mol以下となるように、モノアルコール化合物(C)が配合されてなる実施例1および2のウレタン組成物は、実施例3〜5のウレタン組成物よりも、ゴム物性(破断伸び)が優れることが示された。
【0076】
これに対して、比較例1のウレタン組成物は、これに含まれるモノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基の物質量が0.025mol未満であったため、塗板との接着性が劣ることが示された。
また、比較例2のウレタン組成物は、これに含まれるモノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基の物質量が0.4molよりも多かったため、ガラスとの接着性が劣ることが示された。
また、比較例3のウレタン組成物は、化合物(B)を含有しないため、塗装鋼板との接着性が劣ることが示された。
【0077】
〔実施例6〜9〕
ウレタン組成物の調製時に、アルコキシシリル化合物(D)(信越化学社製、商品名「KBM−573」、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)をさらに添加した以外は、上述した実施例2と同様にして、実施例6〜9の各ウレタン組成物を得た。
なお、後述する第2表中、モノアルコール化合物(C)の配合量は、ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1molに対する、モノアルコール化合物(C)のヒドロキシ基の物質量(mol)を表す。また、モノアルコール化合物(C)以外の各成分の配合量は、「質量部」である。
【0078】
〔評価試験〕
<接着性試験1(塗板接着)>
実施例6〜9の各ウレタン組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、上記接着性試験1を実施した。評価結果を第2表に示す。
<接着性試験2(ガラス接着)>
実施例6〜9の各ウレタン組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、上記接着性試験2を実施した。評価結果を第2表に示す。
<接着性試験3(耐水接着性)>
塗板A(酸−エポキシ硬化系)または塗板B(アクリル/シリコン系塗料を鋼板に塗布した塗板)に、プライマーを用いず直接、実施例2および実施例6〜9の各ウレタン組成物をφ10mmで塗布して、5分後に硬化後の厚みが3mmとなるように圧着した後、20℃で3日放置して、ウレタン組成物を硬化させることにより、試験片を作製した。なお、湿度は、いずれの条件も50%RHに設定した。
次に、試験片を40℃の温水に14日間浸漬した後、試験片を温水から取り出して、20℃で24時間乾燥した。
その後、作製した試験片について、ナイフカットによる手剥離試験を実施して、破壊状態を観察した。評価結果を第2表に示す。
評価基準は、ウレタン組成物の硬化物の全体が凝集破壊して界面剥離しなかったものを接着性に優れるものとして「CF」と評価し、ウレタン組成物の硬化物が塗板との界面で剥離した界面剥離を「AF」として示した。なお、「AF」に付された数値は、ウレタン組成物の硬化物を剥離した全面積に対する、界面剥離が生じている領域の面積の割合(%)を示す。
【0079】
<ゴム物性(破断伸び)>
実施例6〜9の各ウレタン組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、上述したゴム物性(破断伸び)を測定した。評価結果を第2表に示す。
【0080】
〔評価結果〕
以上の評価試験の結果を第2表に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
第2表に示すように、アルコキシシリル化合物(D)を含有する実施例6〜9のウレタン組成物は、これを含有しない実施例2のウレタン組成物と比較して、被着体との耐水接着性に優れることが示された。