(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷媒が、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、1,1-ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、2,2-ジクロロ1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-123)、及び1,2-ジフルオロエタン(HFC152)からなる群より選択される少なくとも一種の追加的化合物をさらに含む、請求項1又は2に記載の共沸又は共沸様組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<用語の定義>
本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、さらに冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。「フルオロカーボン系化合物」には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)が含まれる。「非フルオロカーボン系化合物」としては、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、二酸化炭素(R744)及びアンモニア(R717)等が挙げられる。
【0008】
本明細書において、用語「冷媒を含む組成物」には、(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と、(2)その他の成分をさらに含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることのできる組成物と、(3)冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体とが少なくとも含まれる。本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と区別して「冷媒組成物」と表記する。また、(3)の冷凍機用作動流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」と表記する。
【0009】
本明細書において、用語「共沸様組成物」は、共沸組成物と実質的に同様に取り扱うことができる組成物を意味する。具体的には、本明細書において、用語「共沸様組成物」は、実質的に単一物質として振る舞う2つ以上の物質の定沸点の、または実質的に定沸点の混合物を意味する。共沸様組成物の特徴の一つとして、液体の蒸発又は蒸留によって発生した蒸気の組成が、液体の組成と実質的に変化しないことが挙げられる。すなわち、本明細書においては、ある混合物が、実質的な組成変化なしに沸騰、蒸留又は還流するとき、この混合物のことを、共沸様組成物と呼ぶ。具体的には、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧と、当該組成物の露点蒸気圧との差が3%以下(バブルポイント圧力を基準として)である場合に、当該組成物は共沸様組成物であると本開示では定義する。
【0010】
本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転するために設計された機器において、必要に応じてわずかな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。すなわち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
【0011】
第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
【0012】
本明細書において用語「冷凍機(refrigerator)」とは、物あるいは空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、かつこの低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、冷凍機は温度の低い方から高い方へ熱を移動させるために、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。
【0013】
本発明者は、HFC-143の製造方法において、用いた原料がすべて目的物に転化することはなく、何らかの方法で分離、回収してリサイクルする必要があることを見出した。本発明者は、HCFC-142はこのプロセスにおける有用な中間体であり、回収しなければこれら原料のロスとなり、コスト増につながる点に着眼した。
【0014】
本発明者は、このHCFC-142が、トランス1,2-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1-クロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-133)及び1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン(HCFC-133b)からなる群より選択される少なくとも一種の中間物質との共沸又は共沸様組成物を形成することを見出した。さらに本発明者は、この共沸又は共沸様組成物を利用したHCFC-142の分離回収プロセスを想到するに至った。
【0015】
1.
共沸又は共沸様組成物
本開示の共沸又は共沸様組成物は、冷媒を含み、前記冷媒が、HCFC-142と、トランス1,2-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,2-トリクロロエタン、トランス1-クロロ-2-フルオロエチレン(HCFO-1131(E))、トランス1-クロロ-2-フルオロエチレン(HCFO-1131(Z))、1-クロロ-1,2-ジフルオロエチレン(HCFO-1122a)、1,2-ジクロロ-1フルオロエタン(HCFC-141)、1-クロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-133)及び1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン(HCFC-133b)からなる群より選択される少なくとも一種の追加的化合物(追加的化合物1)とを含む、共沸又は共沸様組成物である。
【0016】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、安定性に優れるという点で、冷媒全体を基準としてHCFC-142を、85質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0017】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、HCFC-142と追加的化合物1とに加えて、さらに別の追加的化合物(追加的化合物2)を含んでいてもよい。
【0018】
追加的化合物2は、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、1,1-ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、2,2-ジクロロ1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-123)及び1,2-ジフルオロエタン(HFC152)からなる群より選択される少なくとも一種の追加的化合物であってもよい。
【0019】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、HCFC-142と追加的化合物1とを含有する組成物が共沸又は共沸様組成物となることを阻害しない点で、組成物全体を基準として追加的化合物2を合計で、0質量%より多く30質量%以下含むことが好ましく、0質量%より多く10質量%以下含むことがより好ましく、0質量%より多く1質量%以下含むことがさらに好ましい。
【0020】
追加的化合物の合計含有割合及び種類は、共沸又は共沸様組成物であるHCC-140とフッ化水素との混合物を含有する組成物1が、共沸又は共沸様組成物となることを阻害しない範囲内で適宜選択することができる。
【0021】
本開示の共沸又は共沸様組成物は、特に限定されないが、例えば熱移動媒体、発泡剤、洗浄剤又は溶剤として使用できる。
【0022】
2.
熱移動媒体組成物
本開示の組成物は、熱移動媒体組成物として用いられる場合、従来から用いられるHFC冷媒である、HFC134a、HFC410A、HFC407C又はHFC404A等の冷媒を代替する、より低い地球温暖化係数(GWP)を有する冷媒、又は冷媒の成分としても使用しうる。
【0023】
熱移動媒体組成物として用いられる本開示の組成物は、追加的化合物に加え、さらに少なくとも一種のその他の成分を含有していてもよい。本開示の組成物は、さらに少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることができる(この場合の本開示の組成物を「本開示の冷媒組成物」という)。
【0024】
本開示の冷媒組成物は、必要に応じて、以下のその他の成分のうち少なくとも一種を含有していてもよい。その他の成分は、特に限定されないが、具体的には、例えば、水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤、重合禁止剤等が挙げられる。
【0025】
本開示の冷媒組成物を、冷凍機における作動流体として使用するに際しては、通常、少なくとも冷凍機油と混合して用いられる。したがって、本開示の冷媒組成物は、好ましくは冷凍機油を実質的に含まない。具体的には、本開示の冷媒組成物は、組成物全体に対する冷凍機油の含有量が好ましくは0〜1質量%であり、より好ましくは0〜0.1質量%である。
【0026】
本開示の冷媒組成物は、微量の水を含んでもよい。冷媒組成物における含水割合は、冷媒全体に対して、0.1質量%以下とすることが好ましい。冷媒組成物が微量の水分を含むことにより、冷媒中に含まれ得る不飽和のフルオロカーボン系化合物の分子内二重結合が安定化され、また、不飽和のフルオロカーボン系化合物の酸化も起こりにくくなるため、冷媒組成物の安定性が向上する。
【0027】
トレーサーは、本開示の冷媒組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本開示の冷媒組成物に添加される。
【0028】
本開示の冷媒組成物は、トレーサーとして、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0029】
トレーサーとしては、特に限定されず、一般に用いられるトレーサーの中から適宜選択することができる。
【0030】
トレーサーとしては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N
2O)等が挙げられる。トレーサーとしては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン及びフルオロエーテルが特に好ましい。
【0031】
トレーサーとしては、以下の化合物が好ましい。
FC-14(テトラフルオロメタン、CF
4)
HCC-40(クロロメタン、CH
3Cl)
HFC-23(トリフルオロメタン、CHF
3)
HFC-41(フルオロメタン、CH
3Cl)
HFC-125(ペンタフルオロエタン、CF
3CHF
2)
HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン、CF
3CH
2F)
HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン、CHF
2CHF
2)
HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン、CF
3CH
3)
HFC-152(1,2-ジフルオロエタン、CH
2FCH
2F)
HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、CF
3CH
2CHF
2)
HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF
3CH
2CF
3)
HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF
3CHFCHF
2)
HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、CF
3CHFCF
3)
HCFC-22(クロロジフルオロメタン、CHClF
2)
HCFC-31(クロロフルオロメタン、CH
2ClF)
CFC-1113(クロロトリフルオロエチレン、CF
2=CClF)
HFE-125(トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル、CF
3OCHF
2)
HFE-134a(トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル、CF
3OCH
2F)
HFE-143a(トリフルオロメチル−メチルエーテル、CF
3OCH
3)
HFE-227ea(トリフルオロメチル−テトラフルオロエチルエーテル、CF
3OCHFCF
3)HFE-236fa(トリフルオロメチル−トリフルオロエチルエーテル、CF
3OCH
2CF
3)
【0032】
本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、約10重量百万分率(ppm)〜約1000ppm含んでいてもよい。本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、好ましくは約30ppm〜約500ppm、より好ましくは約50ppm〜約300ppm含んでいてもよい。
【0033】
本開示の冷媒組成物は、紫外線蛍光染料として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0034】
紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、一般に用いられる紫外線蛍光染料の中から適宜選択することができる。
【0035】
紫外線蛍光染料としては、例えば、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。紫外線蛍光染料としては、ナフタルイミド及びクマリンのいずれか又は両方が特に好ましい。
【0036】
本開示の冷媒組成物は、安定剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0037】
安定剤としては、特に限定されず、一般に用いられる安定剤の中から適宜選択することができる。
【0038】
安定剤としては、例えば、ニトロ化合物、エーテル類及びアミン類等が挙げられる。
【0039】
ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン及びニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、並びにニトロベンゼン及びニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0040】
エーテル類としては、例えば、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
【0041】
アミン類としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0042】
その他にも、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0043】
安定剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜2質量%とすることがより好ましい。
【0044】
本開示の冷媒組成物は、重合禁止剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0045】
重合禁止剤としては、特に限定されず、一般に用いられる重合禁止剤の中から適宜選択することができる。
【0046】
重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0047】
重合禁止剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜2質量%とすることがより好ましい。
【0048】
本開示の組成物は、冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体としても使用できる(この組成物を「本開示の冷凍機油含有作動流体」という)。本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍機における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。冷凍機油含有作動流体には冷凍機油は一般に10〜50質量%含まれる。
【0049】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機油として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0050】
冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、前記混合物との相溶性及び前記混合物の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0051】
冷凍機油の基油としては、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0052】
冷凍機油は、基油に加えて、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
【0053】
冷凍機油として、40℃における動粘度が5〜400 cStであるものが、潤滑の点で好ましい。
【0054】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、必要に応じて、さらに少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば以下の相溶化剤等が挙げられる。
【0055】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、相溶化剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0056】
相溶化剤としては、特に限定されず、一般に用いられる相溶化剤の中から適宜選択することができる。
【0057】
相溶化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1-トリフルオロアルカン等が挙げられる。相溶化剤としては、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが特に好ましい。
【0058】
3.
分離方法
本開示の共沸又は共沸様組成物は、HCFC-142と追加的化合物1との混合物において、追加的化合物1をHCFC-142から分離する共沸蒸留を行う際に重要な組成物となりうる。
【0059】
共沸蒸留とは、共沸又は共沸様組成物が分離されるような条件下で蒸留塔を運転することにより目的物を濃縮乃至分離する方法である。共沸蒸留によって、分離対象成分のみを蒸留することができる場合もあるが、分離対象成分の1つ以上と共沸混合物を形成する別の成分を外部から添加した場合に初めて共沸蒸留が起こる場合もある。狭義には、後者のみを共沸蒸留と呼ぶ。例えば、HCFC-142と追加的化合物1とを含む共沸又は共沸様組成物を、HCFC-142と追加的化合物1とを少なくとも含む組成物から共沸蒸留によって抜き出すことによって、追加的化合物1をHCFC-142から分離することができる。
【0060】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例】
【0061】
実施例1
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)及びトランス1,2-ジクロロエチレン(HCFO-1130(E))との混合物(表1)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)及びシス1,2-ジクロロエチレン(HCFO-1130(Z))との混合物(表2)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)及び1,1,2-トリクロロエタン(HCC-140)との混合物(表3)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)及び1,2-ジクロロ-1フルオロエタン(HCFC-141)との混合物(表4)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)及びトランス-1-クロロ-2-フルオロエタン(HCFO-1131(E))との混合物(表5)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)とシス-1-クロロ-2-フルオロエタン(HCFO-1131(Z))との混合物(表6)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)と1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン(HCFO-1122a)との混合物(表7)、
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)と1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン(HCFC-133b)との混合物(表8)並びに
2-クロロ-1,
1-ジフルオロエタン(HCFC-142)と1-クロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-133)との混合物(表9)についての、40℃での気液平衡データをそれぞれ以下に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
この表より、HCFC-142のモル比率が0.5以上0.9未満のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に換算するとHCFC-142が51質量%以上91質量%未満となる。なお、共沸点はHCFC-142のモル比率が0.63のときであり、圧力は0.182MPaである。
【0064】
【表2】
【0065】
この表より、HCFC-142のモル比率が0.9以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFO-1131(E)が88質量%以上となる。
【0066】
【表3】
【0067】
この表より、HCFC-142のモル比率が0.999以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFC-142が99.9質量%以上となる。
【0068】
【表4】
【0069】
この表より、HCFC-142のモル比率が0.99を超えるとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFC-142が99質量%以上となる。
【0070】
【表5】
【0071】
この表より、HCFO-1131(E)のモル比率が0.9以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFO-1131(E)が88質量%以上となる。
【0072】
【表6】
【0073】
この表より、HCFO-1131(Z)のモル比率が0.9以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFO-1131(Z)が88質量%以上となる。
【0074】
【表7】
【0075】
この表より、HCFO-1122aのモル比率が0.9以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に換算するとHCFO-1122aが90質量%以上となる。
【0076】
【表8】
【0077】
この表より、HCFC-142のモル比率が0.8以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFC-142が77%質量以上となる。
【0078】
【表9】
【0079】
この表より、HCFC-142のモル比率が0.9以上のとき、共沸様組成物となることがわかる。このとき、モル比率を質量比率に変換するとHCFC-142が88質量%以上となる。
【0080】
以上のデータにより、各混合物が、それぞれ特定の組成範囲で共沸又は共沸様組成物を形成することが示される。