(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の外部接続端子及び複数の実装用電極を有する圧電振動子と、前記複数の実装用電極に接続される複数の実装端子を有して、前記圧電振動子に実装される集積回路素子とを備える圧電振動デバイスであって、
前記圧電振動子は、その両主面に励振電極がそれぞれ形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記両主面の一方の主面側を覆って封止する第1封止部材と、前記圧電振動板の前記両主面の他方の主面側を覆って封止する第2封止部材とを備え、
前記第1封止部材の外面に、前記複数の実装用電極が設けられ、
前記第2封止部材の外面に、前記複数の外部接続端子が設けられ、
前記圧電振動子は、前記第1封止部材、前記圧電振動板、及び、前記第2封止部材を厚み方向に貫通する複数の貫通電極を有しており、
前記複数の実装用電極の内、一対の実装用電極は、前記両主面にそれぞれ形成された前記励振電極に電気的にそれぞれ接続され、残余の複数の実装用電極は、前記複数の貫通電極を介して前記複数の外部接続端子に電気的にそれぞれ接続されており、
前記残余の複数の各実装用電極は、前記複数の各外部接続端子と前記集積回路素子の複数の各実装端子とを電気的にそれぞれ接続するものであって、かつ、前記複数の各貫通電極の周囲の各電極接続部と、前記集積回路素子の複数の各実装端子にそれぞれ接合される各端子接合部と、前記各電極接続部と前記各端子接合部とを電気的にそれぞれ接続する各配線パターンとをそれぞれ備え、
前記残余の複数の実装用電極の少なくとも1つの実装用電極の前記配線パターンは、幅狭の狭窄部を有し、
前記狭窄部を有する前記配線パターンは、前記狭窄部を除いて一定幅の配線パターンであって、前記狭窄部は、前記一定幅の配線パターンの幅方向の一方側が矩形状に切り欠かれて構成されている、
ことを特徴とする圧電振動デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表面実装型の温度補償型圧電発振器では、その外部接続端子が、半田等の接合材を用いて外部の回路基板に接合されて実装される。この外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品(例えばパワートランジスタ)への通電が開始されて、該電子部品が発熱すると、その熱は、当該回路基板に実装された温度補償型圧電発振器の外部接続端子へ伝導する。
【0006】
温度補償型圧電発振器では、集積回路素子は、外部接続端子に内部の配線等を介して直接接続されているのに対して、圧電振動子は、内部の配線等を介して集積回路素子に接続されており、外部接続端子には、直接接続されていない。
【0007】
このため、温度補償型圧電発振器の外部接続端子に伝導した外部の回路基板の熱源からの熱は、熱伝導性が良好な外部接続端子及び内部の配線等を介して
集積回路素子に迅速に伝導され、集積回路素子の温度上昇の勾配は、圧電振動子の温度上昇の勾配に比べて急となる。したがって、集積回路素子と圧電振動子との温度差が大きくなり、この温度差が縮まって、集積回路素子と圧電振動子とが熱平衡状態に達するまでの間は、正確な温度補償が困難となり、周波数変動、いわゆる周波数ドリフトが生じる。
【0008】
この周波数ドリフトは、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が開始されたときに限らず、前記電子部品への通電が停止されたときにも同様に生じる。すなわち、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が停止されると、該電子部品からの熱が温度補償型圧電発振器へ伝導されなくなるので、温度補償型圧電発振器の温度が低下する。このとき、集積回路素子の熱が、熱伝導性の良好な内部の配線等を介して外部接続端子へ迅速に伝導されて放熱される。このため、集積回路素子の温度降下の勾配は、圧電振動子の温度降下の勾配に比べて急となる。したがって、集積回路素子と圧電振動子との温度差が大きくなり、この温度差が縮まって、集積回路素子と圧電振動子とが熱平衡状態に達するまでの間は、周波数ドリフトが生じる。
【0009】
このように当該温度補償型圧電発振器が実装される外部の回路基板の熱源となる電子部品への通電の開始、停止によって、周波数ドリフトが生じるので、かかる電子部品への通電の開始(オン)、停止(オフ)が、比較的頻繁に行われる電子機器では、その影響が顕著となる。
【0010】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであって、当該圧電振動デバイスが搭載される外部の回路基板からの熱などによって生じる圧電振動子と集積回路素子との温度差を可及的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0012】
すなわち、本発明の圧電振動デバイスは、複数の外部接続端子及び複数の実装用電極を有する圧電振動子と、前記複数の実装用電極に接続される複数の実装端子を有して、前記圧電振動子に実装される集積回路素子とを備える圧電振動デバイスであって、
前記圧電振動子は、その両主面に励振電極がそれぞれ形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記両主面の一方の主面側を覆って封止する第1封止部材と、前記圧電振動板の前記両主面の他方の主面側を覆って封止する第2封止部材とを備え、
前記第1封止部材の外面に、前記複数の実装用電極が設けられ、前記第2封止部材の外面に、前記複数の外部接続端子が設けられ、前記圧電振動子は、前記第1封止部材、前記圧電振動板、及び、前記第2封止部材を厚み方向に貫通する複数の貫通電極を有しており、
前記複数の実装用電極の内、一対の実装用電極は、前記両主面にそれぞれ形成された前記励振電極に電気的にそれぞれ接続され、残余の複数の実装用電極は、前記複数の貫通電極を介して前記複数の外部接続端子に電気的にそれぞれ接続されており、
前記残余の複数の各実装用電極は、前記複数の各外部接続端子と前記集積回路素子の複数の各実装端子とを電気的にそれぞれ接続するものであって、かつ、前記複数の各貫通電極の周囲の各電極接続部と、前記集積回路素子の複数の各実装端子にそれぞれ接合される各端子接合部と、前記各電極接続部と前記各端子接合部とを電気的にそれぞれ接続する各配線パターン
とをそれぞれ備え、
前記残余の複数の実装用電極の少なくとも1つの実装用電極の前記配線パターンは、幅狭の狭窄部を有し、
前記狭窄部を有する前記配線パターンは、前記狭窄部を除いて一定幅の配線パターンであって、前記狭窄部は、前記一定幅の配線パターンの幅方向の一方側が矩形状に切り欠かれて構成されている。
【0013】
本発明によれば、圧電振動板の両主面の励振電極に接続された一対の実装用電極以外の残余の複数の実装用電極は、複数の各外部接続端子と集積回路素子の複数の各実装端子とを電気的に接続する配線パターンをそれぞれ備えており、少なくとも1つの実装用電極の配線パターンは、熱の伝導を妨げる幅狭の狭窄部を有しているので、当該圧電振動デバイスが実装される外部の回路基板の熱源の発熱による熱が、当該圧電振動デバイスの外部接続端子から前記配線パターンを介して集積回路素子へ伝導する場合に、その熱の伝導を、配線パターンの狭窄部によって妨げることができる。これによって、集積回路素子の温度上昇の勾配を緩やかにして、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制し、集積回路素子と圧電振動子とを、迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0014】
また、外部の回路基板の熱源の発熱が停止して、当該圧電振動デバイスの温度が低下する場合に、集積回路素子の熱が、前記配線パターンを介して外部接続端子に伝導して放熱されるが、その熱の伝導を、配線パターンの狭窄部によって妨げることができる。これによって、集積回路素子の温度降下の勾配を緩やかにして、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制し、集積回路素子と圧電振動子とを、迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0015】
更に、圧電振動子は、その両主面に励振電極がそれぞれ形成された圧電振動板の各主面側を、第1,第2封止部材でそれぞれ封止した三層の積層構造であるので、窪んだ収容部を有する容器内に、圧電振動片を収容して蓋で封止するパッケージ構造に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【0016】
本発明の圧電振動デバイスの好ましい実施態様では、前記残余の複数の実装用電極の全ての実装用電極の前記配線パターンは、幅狭の前記狭窄部を有している。
【0017】
この実施態様によれば、当該圧電振動デバイスが実装される外部の回路基板の熱源の発熱による熱が、外部接続端子から前記配線パターンを介して集積回路素子へ伝導するのを一層効果的に妨げることができ、また、外部の回路基板の熱源の発熱が停止し、集積回路素子の熱が、前記配線パターンを介して外部接続端子に伝導して放熱されるのを一層効果的に妨げることができる。これによって、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制して、集積回路素子と圧電振動子とを、一層迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0018】
本発明の圧電振動デバイ
スでは、前記第1封止部材の外面に、前記複数の実装用電極が設けられ、前記第2封止部材の外面に、前記複数の外部接続端子が設けられ、前記圧電振動子は、前記第1封止部材、前記圧電振動板、及び、前記第2封止部材を厚み方向に貫通する複数の貫通電極を有しており、前記残余の複数の実装用電極は、前記複数の貫通電極を介して前記複数の外部接続端子に電気的にそれぞれ接続する。
【0019】
本発明によれば、圧電振動子の一方の面を構成する第2封止部材の外面に、外部の回路基板に接合される外部接続端子が設けられ、圧電振動子の他方の面を構成する第1封止部材の外面に、集積回路素子の実装用端子が接続される実装用電極が設けられ、残余の複数の実装用電極は、第1,第2封止部材及び圧電振動板を厚み方向に貫通する複数の貫通電極を介して複数の外部接続端子に電気的に接続される。
【0020】
したがって、当該圧電振動デバイスが実装される外部の回路基板の熱源の発熱による熱は、当該圧電振動デバイスの、熱伝導性の良好な外部接続端子、貫通電極、及び、残余の複数の実装用電極を介して集積回路素子の複数の実装端子に伝導することになる。この場合、その熱の伝導が、残余の複数の実装用電極の配線パターンの狭窄部によって妨げられるので、熱が、集積回路素子に迅速に伝導されなくなる。これによって、集積回路素子の温度上昇の勾配が緩やかとなり、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制して、集積回路素子と圧電振動子とを、迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0021】
また、外部の回路基板の熱源の発熱が停止して、集積回路素子の熱が、その実装端子から残余の複数の実装用電極、複数の貫通電極及び外部接続端子へ伝導されて放熱される。この場合、その熱の伝導が、残余の複数の実装用電極の配線パターンの狭窄部によって妨げられるので、集積回路素子の温度降下の勾配が緩やかとなり、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制し、集積回路素子と圧電振動子とを、迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0022】
本発明の圧電振動デバイスの他の実施態様では、
前記配線パターンの前記狭窄部が、前記電極接続部と前記端子接合部との間の配線パターンにおいて、前記端子接合部に比べて、前記電極接続部に近接した位置に形成されている。
【0023】
この実施態様によれば、熱の伝導を妨げる狭窄部は、
前記電極接続部と前記端子接合部との間の配線パターンにおいて、集積回路素子の実装端子に接合される端子接合部に比べて、電極接続部に近接した位置に形成されているので、集積回路素子から離れた位置で、熱の伝導を抑制することができる。
【0024】
本発明の圧電振動デバイスの更に他の実施態様では、前記配線パターンの前記狭窄部が、前記集積回路素子が実装される実装領域外に形成されている。
【0025】
この実施態様によると、熱の伝導を妨げる狭窄部は、集積回路素子が実装される実装領域外に形成されているので、集積回路素子が実装される実装領域外で、熱の伝導を抑制することができる。
【0026】
本発明の一実施態様では、前記配線パターンの前記狭窄部の幅が、40μm以下である。
【0027】
この実施態様によると、配線パターンの狭窄部の幅が、40μm以下であるので、熱の伝導を効果的に抑制することができる。
【0028】
本発明の他の実施態様では、前記集積回路素子は、前記複数の実装端子がその外周寄りに配置されており、前記両主面にそれぞれ形成された前記励振電極に電気的にそれぞれ接続される前記一対の実装用電極は、前記集積回路素子が実装される実装領域において、前記複数の前記実装端子よりも内方まで延出されている励振電極用配線パターンを有する。
【0029】
この実施態様によると、圧電振動子の圧電振動板の両主面に電気的にそれぞれ接続されている一対の実装用電極が、集積回路素子の実装領域において、実装端子よりも内方まで延出された各励振電極用配線パターンをそれぞれ有している。これによって、集積回路素子の温度が上昇して圧電振動子よりも高温となった場合には、集積回路素子からの放熱によって加熱された各励振電極用配線パターンの熱が、圧電振動子に効率的に伝導され、集積回路素子と圧電振動子との温度差を一層迅速に縮めて熱平衡状態にすることができる。
【0030】
本発明の更に他の実施態様では、前記一対の前記実装用電極の前記励振電極用配線パターンが、前記集積回路素子が実装される前記実装領域の中心を対称点として略点対称である。
【0031】
この実施態様によると、一対の実装用電極の各励振電極用配線パターンが、実装領域の中心を対称点として略点対称であるので、集積回路素子からの放熱によって、各励振電極用配線パターンが略均等に加熱されて、その熱が、圧電振動板の両主面に伝導されるので、圧電振動板の両主面の温度をバランスよく高めることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、圧電振動板の両主面の励振電極に接続された一対の実装用電極以外の残余の複数の実装用電極は、複数の各外部接続端子と集積回路素子の複数の各実装端子とを電気的に接続する配線パターンをそれぞれ備えており、少なくとも1つの実装用電極の配線パターンは、熱の伝導を妨げる幅狭の狭窄部を有しているので、当該圧電振動デバイスが実装される外部の回路基板の熱源の発熱による熱が、当該圧電振動デバイスの外部接続端子から前記配線パターンを介して集積回路素子へ伝導する場合に、その熱の伝導を、配線パターンの狭窄部によって妨げることができる。これによって、集積回路素子の温度上昇の勾配を緩やかにして、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制し、集積回路素子と圧電振動子とを、迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0035】
また、外部の回路基板の熱源の発熱が停止し、集積回路素子の熱が、その実装端子から前記配線パターンを介して外部接続端子に伝導して放熱される場合に、その熱の伝導を、配線パターンの狭窄部によって妨げることができる。これによって、集積回路素子の温度降下の勾配を緩やかにして、集積回路素子と圧電振動子との温度差を抑制し、集積回路素子と圧電振動子とを、迅速に熱平衡状態にすることができる。
【0036】
更に、圧電振動子は、その両主面に励振電極がそれぞれ形成された圧電振動板の各主面側を、第1,第2封止部材でそれぞれ封止した三層の積層構造であるので、窪んだ収容部を有する容器内に、圧電振動片を収容して蓋で封止するパッケージ構造に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、圧電振動デバイスとして温度補償型水晶発振器に適用して説明する。
【0039】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る温度補償型水晶発振器の概略構成図である。
【0040】
この実施形態の温度補償型水晶発振器1は、水晶振動子2と、この水晶振動子2に実装された集積回路素子としてのIC3とを備えている。
【0041】
水晶振動子2は、圧電振動板である水晶振動板4と、水晶振動板4の一方の主面側を覆って気密に封止する第1封止部材5と、水晶振動板4の他方の主面側を覆って気密に封止する第2封止部材6とを備えている。
【0042】
この水晶振動子2では、水晶振動板4の両主面側に、第1,第2封止部材5,6がそれぞれ接合されて、いわゆるサンドイッチ構造のパッケージが構成される。この水晶振動子2のパッケージは、直方体であって、平面視矩形である。この実施形態の水晶振動子2のパッケージサイズは、平面視で、例えば、1.0mm×0.8mmであり、小型化及び低背化を図っている。
【0043】
なお、パッケージサイズは、上記に限定されるものではなく、異なるサイズであっても適用可能である。
【0044】
水晶振動子2に実装されるIC3は、発振回路、温度センサ及び温度補償回路を1チップ化した外形が直方体の集積回路素子である。
【0045】
次に、水晶振動子2を構成する水晶振動板4及び第1,第2封止部材5,6の各構成について説明する。
【0046】
図2は水晶振動板4の一方の主面側を示す概略平面図であり、
図3は水晶振動板4の一方の主面側から透視した他方の主面側を示す概略平面図である。
【0047】
以下では、説明の便宜上、IC3に近い側(
図1において上側)の一方の主面を表面、IC3から遠い側(
図1において下側)の他方の主面を裏面として説明する。すなわち、
図2は水晶振動板4の表面側を示す概略平面図であり、
図3は水晶振動板4の表面側から透視した裏面側を示す概略平面図である。
【0048】
この実施形態の水晶振動板4は、ATカット水晶板であり、その表裏の両主面が、XZ´平面である。
【0049】
水晶振動板4は、略矩形の振動部41と、この振動部41の周囲を、空間(隙間)42を挟んで囲む枠部43と、振動部41と枠部43とを連結する連結部44とを備えている。振動部41、枠部43及び連結部44は、一体的に形成されている。図示していないが、振動部41及び連結部44は、枠部43に比べて薄く形成されている。
【0050】
振動部41の表裏の両主面には、一対の第1,第2励振電極45,46がそれぞれ形成されている。第1,第2励振電極45,46からは、第1,第2引出し電極47,48がそれぞれ引出されている。表面側の第1引出し電極47は、連結部44を経て枠部43に形成された接続用接合パターン401まで引出されている。裏面側の第2引出し電極48は、連結部44を経て枠部43に形成された接続用接合パターン402まで引出されている。この接続用接合パターン402は、平面視矩形の水晶振動板4の短辺に沿って延びて、後述の第5貫通電極415の周囲に達している。
【0051】
この実施形態では、振動部41を、一箇所の連結部44によって連結しているので、2箇所以上連結部44で連結する構成に比べて、振動部41に作用する応力を低減することができる。
【0052】
水晶振動板4の表裏の各主面には、水晶振動板4を、第1,第2封止部材5,6にそれぞれ接合するための第1,第2封止用接合パターン403,404が、枠部43の全周に亘って、水晶振動板4の四隅を除いてその外周縁に略沿うように環状にそれぞれ形成されている。第1封止部材5の裏面には、
図5に示すように水晶振動板4の表面の第1封止用接合パターン403に対応する第1封止用接合パターン51が形成されている。また、第2封止部材6の表面には、
図6に示すように水晶振動板4の裏面の第2封止用接合パターン404に対応する第2封止用接合パターン61が形成されている。
【0053】
後述のように、第1封止部材5、水晶振動板4及び第2封止部材6が重ね合わされて、第1封止部材5及び水晶振動板4の環状の第1封止用接合パターン51,403同士が拡散接合されると共に、水晶振動板4及び第2封止部材6の環状の第2封止用接合パターン404,61同士が拡散接合される。これによって、水晶振動板4の表裏両面が、第1,第2封止部材5,6によって封止されて、水晶振動板4の振動部41が収容された収容空間が構成される。
【0054】
このように水晶振動板4及び第1,2封止部材5,6の3枚の水晶板を積層して、振動部41を収容したパッケージが構成されるので、収容空間となる凹部を有するセラミック製の容器内に、水晶振動片を収容して蓋を接合して封止する構成の水晶振動子に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【0055】
水晶振動板4には、
図2,
図3に示すように、表裏の両主面間を貫通する5つの第1〜第5貫通電極411〜415が形成されている。各貫通電極411〜415は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1〜第4貫通電極411〜414は、環状の第1,第2封止用接合パターン403,404の外側の水晶振動板4の四隅に形成されている。第5貫通電極415は、環状の第1,第2封止用接合パターン403,404の内側であって、平面視矩形の水晶振動板4の一方の短辺寄りの枠部43に形成されている。
【0056】
水晶振動板4の表面の四隅の各貫通電極411〜414の周囲であって、環状の第1封止用接合パターン403の外側には、各接続用接合パターン421〜424がそれぞれ形成されている。各貫通電極411〜414は、各接続用接合パターン421〜424にそれぞれ電気的に接続されている。
【0057】
水晶振動板4の裏面の四隅の各貫通電極411〜414の周囲であって、環状の第2封止用接合パターン404の外側には、各接続用接合パターン431〜434がそれぞれ形成されている。各貫通電極411〜414は、各接続用接合パターン431〜434にそれぞれ電気的に接続されている。
【0058】
第1封止部材5及び第2封止部材6には、水晶振動板4の第1〜第4貫通電極411〜414にそれぞれ対応する第1〜第4貫通電極501〜504及び第1〜第4貫通電極601〜604が、後述のようにそれぞれ形成されている(
図5,
図6参照)。
【0059】
水晶振動板4の表面の第5貫通電極415の周囲には、
図2に示すように、接続用接合パターン425が形成されている。第5貫通電極415と接続用接合パターン425は電気的に接続されている。
【0060】
水晶振動板4の裏面の第5貫通電極415の周囲には、
図3に示すように、第2励振電極46から引出された引出し電極48に接続されている接続用接合パターン402が延出されている。第5貫通電極415は、接続用接合パターン402に電気的に接続されており、したがって、第5貫通電極415は、第2励振電極46に電気的に接続されている。
【0061】
水晶振動板4の表面には、
図2に示すように、振動部41を挟んで水晶振動板4の長辺方向(
図2の左右方向)の一方側に、第5貫通電極415の周囲の接続用接合パターン425及び第1引出し電極47に連なる接続用接合パターン401が形成され、前記長辺方向の他方側には、二つの接続用接合パターン441,442が形成されている。
【0062】
これら接続用接合パターン425,401;441,442は、水晶振動板4の長辺方向の中心線CLに略対称に形成されている。また、接続用接合パターン425,441と、接続用接合パターン401,442とは、水晶振動板4の短辺方向の中心線に略対称に形成されている。すなわち、これら接続用接合パターン425,401,441,442は、水晶振動板4の長辺方向及び短辺方向に略対称に形成されている。
【0063】
水晶振動板4の表面の四隅の各貫通電極411〜414の周囲の各接続用接合パターン421〜424も水晶振動板4の長辺方向及び短辺方向に対称に形成されている。
【0064】
このように接続用接合パターン425,401,441,442;421〜424を、水晶振動板4の長辺方向及び短辺方向に略対称又は対称に形成しているので、拡散接合する際に加わる押圧力を均等にすることができる。
【0065】
水晶振動板4の表面と同様に、水晶振動板4の裏面には、振動部41を挟んで水晶振動板4の長辺方向(
図3の左右方向)の一方側に、第5貫通電極415の周囲まで延出されている接続用接合パターン402が形成され、前記長辺方向の他方側には、二つの接続用接合パターン451,452が形成されている。これら接続用接合パターン402,451,452も水晶振動板4の長辺方向及び短辺方向に略対称に形成されている。
【0066】
また、水晶振動板4の裏面の四隅の各貫通電極411〜414の周囲の各接続用接合パターン431〜434も水晶振動板4の長辺方向及び短辺方向に対称に形成されている。
【0067】
水晶振動板4の第1,第2励振電極45,46、第1,第2引出し電極47,48、第1,第2封止用接合パターン403,404、及び、接続用接合パターン401,402,421〜425,431〜434,441,442,451,452は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0068】
図4は第1封止部材5の表面側を示す概略平面図であり、
図5は第1封止部材5の表面側から透視した裏面側を示す概略平面図である。
【0069】
第1封止部材5は、水晶振動板4と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板である。この第1封止部材5の裏面には、
図5に示すように水晶振動板4の表面の第1封止用接合パターン403に接合して封止するための第1封止用接合パターン51が、第1封止部材5の全周に亘って、第1封止部材5の四隅を除いてその外周縁に略沿うように環状に形成されている。
【0070】
第1封止部材5には、その表裏の両主面間を貫通する6つの第1〜第6貫通電極501〜506が形成されている。各貫通電極501〜506は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1〜第4貫通電極501〜504は、水晶振動板4の第1〜第4貫通電極411〜414と同様に、平面視矩形の第1封止部材5の四隅に形成されている。第5貫通電極505は、水晶振動板4の表面の接続用接合パターン441に対応するように、環状の第1封止用接合パターン51の内側であって、第1封止部材5の一方の短辺寄りに形成されている。第6貫通電極506は、水晶振動板4の表面の接続用接合パターン401に対応するように、環状の第1封止用接合パターン51の内側であって、他方の短辺寄りに形成されている。
【0071】
第1封止部材5の裏面の四隅の各貫通電極501〜504の周囲には、
図5に示すように、接続用接合パターン511〜514がそれぞれ形成されている。各貫通電極501〜504は、各接続用接合パターン511〜514にそれぞれ電気的に接続されている。
【0072】
第1封止部材5の裏面の第5貫通電極505の周囲には、接続用接合パターン515が形成されており、第5貫通電極505は、この接続用接合パターン515に電気的に接続されている。この接続用接合パターン515とは、第1封止部材5の長辺方向(
図5の左右方向)の反対側に、水晶振動板4の表面の接続用接合パターン425に対応するように、接続用接合パターン518が形成されている。この接続用接合パターン518と、第5貫通電極505の周囲の接続用接合パターン515とは、接続用配線パターン519によって電気的に接続されている。したがって、第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン518は、第1封止部材5の第5貫通電極505に電気的に接続されている。
【0073】
この第1封止部材5の接続用接合パターン518は、後述のように、水晶振動板4の表面の第5貫通電極415の周囲の接続用接合パターン425に拡散接合されるので、水晶振動板4の第5貫通電極415に電気的に接続される。この水晶振動板4の第5貫通電極415は、上記のように、水晶振動板4の裏面の第2励振電極46に電気的に接続されているので、第1封止部材5の接続用接合パターン518は、水晶振動板4の第2励振電極46に電気的に接続されることになる。この第1封止部材5の接続用接合パターン518は、接続用配線パターン519を介して第5貫通電極505の周囲の接続用接合パターン515に電気的に接続されている。したがって、水晶振動板4の裏面の第2励振電極46は、水晶振動板4の第5貫通電極415、第1封止部材5の接続用接合パターン518、接続用配線パターン519、及び、接続用接合パターン515を介して第1封止部材5の第5貫通電極505に電気的に接続されることになる。
【0074】
第1封止部材5の裏面の第6貫通電極506の周囲には、水晶振動板4の表面の接続用接合パターン401に対応する接続用接合パターン516が形成されている。第6貫通電極506は、この接続用接合パターン516に電気的に接続されている。この接続用接合パターン516とは、第1封止部材5の長辺方向(
図5の左右方向)の反対側に、水晶振動板4の表面の接続用接合パターン442に対応するように、接続用接合パターン517が形成されている。
【0075】
第1封止部材5の接続用接合パターン516は、後述のように、水晶振動板4の表面の接続用接合パターン401に拡散接合されるので、この接続用接合パターン401及び第1引出し電極47を介して第1励振電極45に電気的に接続される。すなわち、第1封止部材5の第6貫通電極506は、水晶振動板4の第1励振電極45に電気的に接続される。
【0076】
第1封止部材5では、水晶振動板4と同様に、拡散接合する際に加わる押圧力を均等にできるように、第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン515〜518は、第1封止部材5の長辺方向及び短辺方向に略対称に形成されている。また、第1封止部材5の裏面の四隅の各貫通電極501〜504の周囲の各接続用接合パターン511〜514も第1封止部材5の長辺方向及び短辺方向に対称に形成されている。
【0077】
第1封止部材5の表面は、IC3が実装される面である。第1封止部材5の表面を示す
図4においては、仮想線によって、第1封止部材5に実装されるIC3の平面視矩形の外形、及び、IC3の6つの第1〜第6実装端子31〜36の外形を示している。
【0078】
この
図4に示されるように、第1封止部材5の表面には、IC3の第1〜第6実装端子31〜36がそれぞれ接続される第1〜第6実装用電極521〜526が形成されている。
【0079】
第1〜第6実装用電極521〜526は、IC3が実装される仮想線で囲まれた矩形の実装領域Sにおいて、IC3の各実装端子31〜36がそれぞれ接合される電極パッド(図示せず)を含む第1〜第6端子接合部531〜536を備えている。更に、第1〜第6実装用電極521〜526は、実装領域Sの前記第1〜第6端子接合部531〜536から実装領域S外に延びて、各貫通電極501,505,502,503,506,504にそれぞれ電気的に接続される第1〜第6電極接続部541〜546を備えている。
【0080】
IC3は、
図1に示されるように、金属部材としての金属バンプ(例えばAuバンプ等)7を用いて第1封止部材5の表面に、FCB(Flip Chip Bonding)法により接合される。金属バンプ7に代えて、金属メッキや金属ペーストを用いて接合してもよい。
【0081】
IC3と第1封止部材5との間には、IC3の能動面を保護すると共に、機械的接合強度を確保するために、封止樹脂としてのアンダーフィル樹脂8が充填される。
【0082】
第1封止部材5の第1封止用接合パターン51、接続用接合パターン511〜518、接続用配線パターン519、及び、第1〜第6実装用電極521〜526は、水晶振動板4の第1,第2封止用接合パターン403,404等と同様に、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0083】
この第1封止部材5の表面の他の構成については、後述する。
【0084】
図6は第2封止部材6の表面側を示す概略平面図であり、
図7は第2封止部材6の表面側から透視した裏面側を示す概略平面図である。
【0085】
第2封止部材6は、水晶振動板4や第1封止部材5と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板である。
【0086】
第2封止部材6の表面には、
図6に示すように、水晶振動板4の裏面の第2封止用接合パターン404に接合して封止するための第2封止用接合パターン61が、第2封止部材6の全周に亘って、第2封止部材4の四隅を除いてその外周縁に略沿うように環状にそれぞれ形成されている。
【0087】
第2封止部材6には、その表裏の両主面間を貫通する4つの第1〜第4貫通電極601〜604が形成されている。各貫通電極601〜604は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1〜第4貫通電極601〜604は、水晶振動板4の第1〜第4貫通電極411〜414と同様に、平面視矩形の第2封止部材6の矩形の四隅に形成されている。第2封止部材6の表面の四隅の各貫通電極601〜604の周囲には、
図6に示すように、接続用接合パターン611〜614がそれぞれ形成されている。各貫通電極601〜604は、各接続用接合パターン611〜614にそれぞれ電気的に接続されている。
【0088】
第2封止部材6の環状の第2封止用接合パターン61の内側の各短辺寄りには、それぞれ二つずつ、合計四つの接続用接合パターン621,622;623,624が、水晶振動板4の裏面の接続用接合パターン451,452,402に対応するようにそれぞれ形成されている。
【0089】
第2封止部材6では、水晶振動板4と同様に、拡散接合する際に加わる押圧力を均等にできるように、第2封止部材6の表面の接続用接合パターン621,622,623,624及び四隅の接続用接合パターン611〜614は、第2封止部材6の長辺方向及び短辺方向に対称に形成されている。
【0090】
第2封止部材6の裏面には、
図7に示すように、当該温度補償型水晶発振器1を、外部の回路基板に実装するための4つの第1〜第4外部接続端子631〜634が設けられている。
【0091】
この例では、第1外部接続端子631は、電源用の外部接続端子であり、第2外部接続端子632は、発振出力用の外部接続端子であり、第3外部接続端子633は、制御電圧入力用の外部接続端子であり、第4外部接続端子634はグランド(接地)用の外部接続端子である。
【0092】
第1〜第4外部接続端子631〜634は、平面視矩形の第2封止部材6の四つの角部にそれぞれ配置されている。各外部接続端子631〜634が設けられている領域には、第1〜第4貫通電極601〜604がそれぞれ形成されており、各貫通電極601〜604は、各外部接続端子631〜634にそれぞれ電気的に接続されている。
【0093】
第2封止部材6の第2封止用接合パターン61、接続用接合パターン611〜614,621〜624、及び、第1〜第4外部接続端子631〜634は、水晶振動板4の第1,第2封止用接合パターン403,404等と同様に、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0094】
この実施形態では、水晶振動子2は、従来技術のような接着剤等の接合専用材を用いることなく、水晶振動板4と第1封止部材5とが、それぞれの第1封止用接合パターン403,51を重ね合わせた状態で拡散接合されると共に、水晶振動板4と第2封止部材6とが、それぞれの第2封止用接合パターン404,61を重ね合わせた状態で拡散接合されて、
図1に示すサンドイッチ構造のパッケージが製造される。これによって、水晶振動板4の振動部41が収容された収容空間が、両封止部材5,6によって気密に封止される。
【0095】
この場合、水晶振動板4の第1封止用接合パターン403と、第1封止部材5の第1封止用接合パターン51との拡散接合によって、接合材が生成されて接合され、また、水晶振動板4の第2封止用接合パターン404と、第2封止部材6の第2封止用接合パターン61との拡散接合によって、接合材が生成されて接合される。
【0096】
この拡散接合を、加圧した状態で行うことによって、接合材の接合強度を向上させることが可能である。
【0097】
また、この拡散接合の際に、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合され、拡散接合によって生成された接合材によって接合される。
【0098】
具体的には、水晶振動板4の表面の四隅の接続用接合パターン421〜424と第1封止部材5の裏面の四隅の接続用接合パターン511〜514とが拡散接合される。水晶振動板4の表面の環状の第1封止用接合パターン403の内側の一方の短辺寄りの接続用接合パターン441,442と第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン515,517とが拡散接合されると共に、水晶振動板4の表面の環状の第1封止用接合パターン403の内側の他方の短辺寄りの接続用接合パターン425,401と第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン518,516とが拡散接合される。
【0099】
更に、水晶振動板4の裏面の四隅の接続用接合パターン431〜434と第2封止部材6の表面の接続用接合パターン611〜614とが拡散接合される。水晶振動板4の裏面の環状の第2封止用接合パターン404の内側の一方の短辺寄りの接続用接合パターン451,452と第2封止部材6の表面の接続用接合パターン621,622とが拡散接合されると共に、水晶振動板4の裏面の環状の第2封止用接合パターン404の内側の他方の短辺寄りの接続用接合パターン402と第2封止部材6の表面の接続用接合パターン623,624とが拡散接合される。
【0100】
上記の拡散接合によって、第2封止部材6の裏面の第1〜第4外部接続端子631〜634に電気的に接続されている第1〜第4貫通電極601〜604は、第2封止部材6の表面の各接続用接合パターン611〜614と水晶振動板4の裏面の各接続用接合パターン431〜434との拡散接合によって生成される接合材によって水晶振動板4の第1〜第4貫通電極411〜414に電気的に接続される。
【0101】
水晶振動板4の第1〜第4貫通電極411〜414は、水晶振動板4の表面の各貫通電極411〜414の周囲の各接続用接合パターン421〜424と、第1封止部材5の裏面の各接続用接合パターン511〜514との拡散接合によって生成される接合材によって第1封止部材5の第1〜第4貫通電極501〜504に電気的に接続される。
【0102】
したがって、第2封止部材6の裏面の第1〜第4外部接続端子631〜634は、第2封止部材6の第1〜第4貫通電極601〜604を介して水晶振動板4の第1〜第4貫通電極411〜414に電気的にそれぞれ接続され、更に、第1〜第4貫通電極411〜414を介して第1封止部材5の第1〜第4貫通電極501〜504に電気的にそれぞれ接続される。
【0103】
第1封止部材5の第1〜第4貫通電極501〜504は、
図4に示すように、第1封止部材5の表面の第1,第3,第4,第6実装用電極521,523,524,526の各電極接続部541,543,544,546にそれぞれ電気的に接続されているので、第2封止部材6の裏面の第1〜第4外部接続端子631〜634は、第1封止部材5の表面の第1,第3,第4,第6実装用電極521,523,524,546の各電極接続部541,543,544,546にそれぞれ電気的に接続される。
【0104】
図2に示される水晶振動板4の表面の第1励振電極45に、第1引出し電極47を介して接続されている接続用接合パターン401は、
図5に示される第1封止部材5の裏面の第6貫通電極506の周囲の接続用接合パターン516との拡散接合によって生成される接合材によって、第1封止部材5の第6貫通電極506に電気的に接続される。第1封止部材5の第6貫通電極506は、
図4に示すように、第1封止部材5の表面の第5実装用電極525の第5電極接続部545に電気的に接続されている。したがって、水晶振動板4の第1励振電極45は、第1封止部材5の第6貫通電極506を介して第1封止部材5の第5実装用電極525の第5電極接続部545に電気的に接続される。
【0105】
図3に示される水晶振動板4の裏面の第2励振電極46に、第2引出し電極48及び接続用接合パターン402を介して電気的に接続されている第5貫通電極415は、
図2に示される水晶振動板4の表面の接続用接合パターン425に電気的に接続されている。この水晶振動板4の接続用接合パターン425と、
図5に示される第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン518との拡散接合によって生成される接合材によって、水晶振動板4の第5貫通電極415が、第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン518に電気的に接続される。この第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン518は、接続用配線パターン519を介して第5貫通電極505の周囲の接続用接合パターン515に接続されている。この第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン515は、第5貫通電極505に電気的に接続されており、この第5貫通電極505は、
図4に示すように、第1封止部材5の表面の第2実装用電極522の第2電極接続部542に電気的に接続されている。
【0106】
したがって、水晶振動板4の裏面の第2励振電極46は、水晶振動板4の第5貫通電極415、第1封止部材5の裏面の接続用接合パターン518、接続用配線パターン519、接続用接合パターン515、及び、第1封止部材5の第5貫通電極505を介して第1封止部材5の表面の第2実装用電極522の第2電極接続部542に電気的に接続される。
【0107】
以上のような構成を有する表面実装型の温度補償型水晶発振器1では、
図1に示される水晶振動子2の裏面側である第2封止部材6の第1〜第4外部接続端子631〜634が、半田等の接合材によって、図示しない外部の回路基板に接合されて実装される。
【0108】
この外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品(例えばパワートランジスタ)への通電が開始されて、該電子部品が発熱すると、その熱は、当該回路基板に実装された温度補償型圧水晶発振器1の第1〜第4外部接続端子631〜634へ伝導する。
【0109】
IC3は、上記のように、第1〜第4外部接続端子631〜634に、内部の配線の一部を構成する第1〜第4貫通電極601〜604,411〜414,501〜504等を介して直接接続されているのに対して、水晶振動子2の第1,第2励振電極45,46は、IC3に接続されており、第2封止部材6の裏面の第1〜第4外部接続端子631〜634には直接接続されていない。
【0110】
このため、回路基板に実装されている熱源となる電子部品の発熱による熱は、温度補償型水晶発振器1に伝導し、更に、熱伝導性の良好な第1〜第4外部接続端子631〜634及び第1〜第4貫通電極601〜604,411〜414,501〜504等を介してIC3に迅速に伝導されることになる。このため、IC3の温度上昇の勾配は、水晶振動子2の温度上昇の勾配に比べて急となる。したがって、水晶振動子2とIC3との温度差が大きくなり、この温度差が縮まって、水晶振動子2とIC3とが熱平衡状態に達するまでの間は、正確な温度補償が困難となり、周波数変動、いわゆる周波数ドリフトが生じる。
【0111】
この周波数ドリフトは、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が停止された場合にも同様に生じる。すなわち、外部の回路基板に実装されている前記電子部品への通電が停止されると、該電子部品からの熱が温度補償型水晶発振器1へ伝導されなくなるので、温度補償型水晶発振器1の温度が低下するが、このとき、IC3の熱が、水晶振動子2に比べて、熱伝導性の良好な第1〜第4貫通電極601〜604,411〜414,501〜504等を介して第1〜第4外部接続端子631〜634へ迅速に伝導されて放熱される。このため、IC3の温度降下の勾配は、水晶振動子2の温度降下の勾配に比べて急となる。したがって、水晶振動子2とIC3との温度差が大きくなり、周波数ドリフトが生じる。
【0112】
この実施形態では、このような周波数ドリフトの発生を抑制するために、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電の開始、停止によって生じるIC3と水晶振動子2との温度差を抑制し、IC3と水晶振動子2とが、迅速に熱平衡状態となるように構成している。
【0113】
すなわち、この実施形態では、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電の開始あるいは停止によって生じるIC3の温度上昇の勾配あるいは温度降下の勾配を緩やかにし、IC3と水晶振動子2との温度差を抑制している。
【0114】
具体的には、
図4に示される、第1封止部材5の表面の第1〜第6実装電極521〜526の内、水晶振動板4の第1,第2励振電極45,46に接続されている一対の第2,第5実装用電極522,525を除く残余の第1,第3,第4,第6実装用電極521,523,524,526は、第1〜第4貫通電極501〜504の周囲の第1,第3,第4,第6電極接続部541,543,544,546と、IC3の第1,第3,第4,第6実装端子31,33,34,36が接合される第1,第3,第4,第6端子接合部531,533,534,536とを電気的に接続する第1〜第4配線パターン571〜574を有している。各配線パターン571〜574は、配線の幅が、他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5711,5722,5733,5744をそれぞれ有している。各狭窄部5711,5722,5733,5744は、各配線パターン571〜574の一側が矩形状に切り欠かれた形状となっている。
【0115】
各狭窄部5711,5722,5733,5744の配線の幅は、例えば、100μm以下、好ましくは、40μm以下であり、この実施形態では、40μm以下としている。
【0116】
ここで、熱伝導速度が、配線の長さ及び幅によって、どのように変化するかについて行ったシミュレーションの結果について説明する。
【0117】
このシミュレーションでは、2つのブロックを配線で接続し、一方のブロックの外側面の温度を、1℃に固定したときに、他方のブロックの外側面の温度が0.9℃に到達するまでの時間を、前記配線の長さを変化させた場合、及び、配線の幅を変化させた場合のそれぞれについて算出した。
【0118】
図8は、配線の長さを変化させた場合に、他方のブロックの外側面の温度が0.9℃に到達するまでの時間の変化を示す図であり、横軸が配線の長さを、縦軸が時間をそれぞれ示している。また、
図9は、配線の幅を変化させた場合に、他方のブロックの外側面の温度が0.9℃に到達するまでの時間の変化を示す図であり、横軸が配線の幅を、縦軸が時間をそれぞれ示している。
【0119】
2つのブロックを接続する配線の長さが長い程、配線の幅が狭い程、他方のブロックの外側面の温度が、0.9℃に到達するまでの時間が長くなることが分る。
【0120】
図9に示されるように、配線の幅は、40μm程度までは、狭くなっても時間にあまり差はないが、40μm程度よりも狭くなると、時間が急激に長くなり、約3倍程度になっている。
【0121】
この実施形態では、上記のように、第1〜第4貫通電極501〜504の周囲の第1,第3,第4,第6電極接続部541,543,544,546と、IC3の第1,第3,第4,第6実装端子31,33,34,36が接合される第1,第3,第4,第6端子接合部531,533,534,536とを接続する第1〜第4配線パターン571〜574は、配線の幅が幅狭となる狭窄部5711,5722,5733,5744を有している。この狭窄部5711,5722,5733,5744によって、第1〜第4貫通電極501〜504と、IC3の第1,第3,第4,第6実装端子31,33,34,36が接合される第1,第3,第4,第6端子接合部531,533,534,536との間の熱の伝導を妨げることができる。
【0122】
したがって、当該温度補償型水晶発振器1が実装される外部の回路基板の熱源となる電子部品への通電が開始されて、該電子部品が発熱し、その熱が、温度補償型圧水晶発振器1に伝導し、更に、第1〜第4外部接続端子631〜634、第1〜第4貫通電極601〜604,411〜414,501〜504、及び、第1〜第4配線パターン571〜574を介してIC3に伝導される場合に、第1〜第4配線パターン571〜574の各狭窄部5711,5722,5733,5744によって、IC3への熱の伝導を抑制することができる。これによって、IC3の温度上昇の勾配は、緩やかとなり、IC3と水晶振動子2との温度差を抑制することができ、迅速にIC3と水晶振動板4とを熱平衡状態にすることができ、周波数ドリフトを抑制することができる。
【0123】
また、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が停止された場合に、電子部品からの熱が温度補償型水晶発振器1へ伝導されなくなるので、温度補償型水晶発振器1の温度が低下する。このとき、IC3の熱が、IC3の第1,第3,第4,第6実装端子31,33,34,36から、第1〜第4配線パターン571〜574、第1〜第4貫通電極501〜504,411〜414,601〜604を介して第1〜第4外部接続端子631〜634へ伝導されて放熱されるが、この場合、第1〜第4配線パターン571〜574の各狭窄部5711,5722,5733,5744によって、IC3からの熱が、第1〜第4貫通電極501〜504へ伝導するのを抑制することができる。これによって、IC3の温度降下の勾配は、緩やかとなり、IC3と水晶振動子2との温度差を抑制することができ、迅速にIC3と水晶振動板4とを熱平衡状態にすることができ、周波数ドリフトを抑制することができる。
【0124】
上記実施形態では、第1〜第4配線パターン571〜574の全ての配線パターン571〜574が狭窄部5711,5722,5733,5744をそれぞれ有しているが、本発明の他の実施形態として、少なくともいずれか1つの配線パターンが狭窄部を有する構成としてもよい。
【0125】
[第2実施形態]
図10は、本発明の他の実施形態に係る温度補償型水晶発振器の概略構成図であり、上記
図1に対応する概略構成図であり、
図11は、温度補償型水晶発振器1aの水晶振動子2aの第1封止部材5aの表面側を示す概略平面図であり、上記
図4に対応する図であり、上記第1実施形態と同一又は対応する部分には、同一又は対応する参照符号を付す。
【0126】
この実施形態では、IC3a及び第1封止部材5aの表面の電極のパターン以外、すなわち、第1封止部材5aの裏面、水晶振動板4及び第2封止部材6は、上記
図2、
図3、
図5〜
図7に示される上記第1実施形態と同様であり、その説明は省略する。
【0127】
この実施形態では、IC3aの第1封止部材5aに対する実装方向が、上記第1実施形態と異なると共に、それに応じて、第1封止部材5aの電極のパターンが異なる。すなわち、上記第1実施形態では、
図4に示すように、IC3は、その長辺方向が第1封止部材5の長辺方向に直交するように実装されていたのに対して、この実施形態では、
図11に示されるように、IC3aは、その長辺方向と第1封止部材5aの長辺方向とが同一方向に沿うように実装されている。
【0128】
第1封止部材5aの表面を示す
図11においては、仮想線によって、第1封止部材5aに実装されるIC3aの平面視矩形の外形、IC3aの6つの第1〜第6実装端子31a〜36a、及び、IC3aに内蔵されている温度センサ301aの外形を示している。
【0129】
この
図11に示されるように、第1封止部材5aの表面には、IC3aの第1〜第6実装端子31a〜36aがそれぞれ接続される第1〜第6実装用電極521a〜526aが形成されている。
【0130】
第1〜第6実装用電極521a〜526aは、IC3aが実装される仮想線で囲まれた矩形の実装領域Saにおいて、IC3aの各実装端子31a〜36aがそれぞれ接合される電極パッド(図示せず)を含む第1〜第6端子接合部531a〜536aを備えている。更に、第1〜第6実装用電極521a〜526aは、実装領域Saの前記第1〜第6端子接合部531a〜536aから実装領域Sa外に延びて、各貫通電極501,505,503,502,506,504にそれぞれ電気的に接続される第1〜第6電極接続部541a〜546aを備えている。
【0131】
第1封止部材5aの表面の第1〜第6実装電極521a〜526aの内、水晶振動板4の第1,第2励振電極45,46に接続されている一対の第2,第5実装用電極522a,525aを除く残余の第1,第4,第3,第6実装用電極521a,524a,523a,526aは、第1〜第4貫通電極501〜504の周囲の第1,第4,第3,第6電極接続部541a,544a,543a,546aと、IC3aの第1,第4,第3,第6実装端子31a,34a,33a,36aが接合される第1,第4,第3,第6端子接合部531a,534a,533a,536aとを電気的に接続する第1〜第4配線パターン571a〜574aをそれぞれ有している。各配線パターン571a〜574aは、配線の幅が、他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5711a,5722a,5733a,5744aをそれぞれ有している。
【0132】
このように第1封止部材5aの第1〜第4貫通電極501〜504の周囲の第1,第4,第3,第6電極接続部541a,544a,543a,546a
と、IC3aの第1,第4,第3,第6実装端子31a,34a,33a,36aが接合される第1,第4,第3,第6端子接合部531a,534a,533a,536aとを接続する第1〜第4配線パターン571a〜574aは、配線の幅が幅狭となる狭窄部5711a,5722a,5733a,5744aを有しているので、この狭窄部5711a,5722a,5733a,5744aによって、第1〜第4貫通電極501〜504と、IC3aの第1,第4,第3,第6実装端子31a,34a,33a,36aが接合される第1,第4,第3,第6端子接合部531a,534a,533a,536aとの間の熱の伝導を妨げることができる。
【0133】
これによって、上記第1実施形態と同様に、当該温度補償型水晶発振器1aが実装される外部の回路基板の熱源となる電子部品への通電が開始された際のIC3aの温度上昇の勾配を緩やかとし、また、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が停止された際のIC3aの温度降下の勾配を緩やかとすることができる。これによって、IC3aと水晶振動子2aとの温度差を抑制して、迅速にIC3aと水晶振動子2aとを熱平衡状態にすることができ、周波数ドリフトを抑制することができる。
【0134】
この実施形態では、上記第1実施形態と同様に、水晶振動板4の第1励振電極45に電気的に接続されている第1封止部材5aの第6貫通電極506は、第5実装用電極525aの第5電極接続部545aに電気的に接続されている。したがって、水晶振動板4の第1励振電極45は、第1封止部材5aの第6貫通電極506を介して第1封止部材5aの第5実装用電極525aの第5電極接続部545aに電気的に接続される。
【0135】
上記第1実施形態と同様に、水晶振動板4の第2励振電極46に電気的に接続されている第1封止部材5aの第5貫通電極505は、第2実装用電極522aの第2電極接続部542aに電気的に接続されている。したがって、水晶振動板4の裏面の第2励振電極46は、第1封止部材5aの第5貫通電極505を介して第1封止部材5aの表面の第2実装用電極522aの第2電極接続部542aに電気的に接続される。
【0136】
この実施形態では、IC3aの温度が、水晶振動子2aの温度よりも高温になった場合に、その温度差をなくして、IC3aと水晶振動子2aとが、迅速に熱平衡状態となるように次のように構成している。
【0137】
図11に示されるように、IC3aの第1〜第6実装端子31a〜36aは、平面視矩形のIC3aの外周寄りに配置されている。具体的には、第1〜第6実装端子31a〜36aは、矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺である各長辺寄りの位置に、長辺に沿って、二列に配置されている。前記一方の組の対向辺は、「長辺」に代えて「短辺」としてもよい。
【0138】
この実施形態では、第1封止部材5aの表面に形成されている第1〜第6実装用電極521a〜526aの内、水晶振動板4の各励振電極46,45にそれぞれ接続されている一対の第2,第5実装用電極522a,525aは、IC3aが実装される平面視矩形の実装領域Saの内方に延出されている励振電極用配線パターンとして、第5配線パターン565及び第6配線パターン566をそれぞれ有している。各配線パターン565,566は、実装領域Saに実装されるIC3aとの対向面積を大きくするために、幅広に形成されている。
【0139】
第5,第6配線パターン565,566は、矩形の実装領域Saにおいて、IC3aの二列に配置されている第1〜第3実装端子31a〜33aと第4〜第6実装端子34a〜36aとの間を、IC3aの長辺方向(
図11の左右方向)に沿って延出し、中央付近で、第2,第5実装端子32a,35a側へそれぞれ斜めに屈曲して延びている。第5配線パターン565は、IC3aに内蔵された温度センサ301aを、実装領域Saに投影した矩形の投影領域と完全に重なるように延びている。
【0140】
このように、IC3aが実装される実装領域Saには、水晶振動板4の各励振電極46,45にそれぞれ接続されている一対の第2,第5実装用電極522a,525aの幅広の第5,第6配線パターン565,566が、IC3aに対向するように形成されている。
【0141】
IC3aが水晶振動子2aより高温となって、IC3aと水晶振動子2aとの間に温度差が生じると、IC3aからの放熱によって、その直下のIC3aに対向する第5,第6配線パターン565,566が加熱される。
【0142】
第5,第6配線パターン565,566は、第2,第5実装用電極522a,525aの各電極接続部542a,545aから延出されており、各電極接続部542a,545aは、第5,第6貫通電極505,506に電気的に接続されている。更に、第5貫通電極505は、水晶振動板4の裏面の第2励振電極46に接続されている。一方、第6貫通電極506は、水晶振動板4の表面の第1励振電極45に接続されている。
【0143】
このように第5,第6配線パターン565,566は、水晶振動板4の各励振電極46,45にそれぞれ接続されているので、高温のIC3aからの放熱によって加熱された各配線パターン565,566の熱は、水晶振動板4の各励振電極46,45に伝導されて温度が高まる。
【0144】
したがって、水晶振動子2aよりも高温のIC3aは、その熱を放熱して温度が低下する一方、水晶振動子2aには、IC3aからの放熱によって加熱された第2,第5配線パターン562,565から熱が伝導して温度が高まり、IC3aと水晶振動子2aとの温度差を抑制して迅速に熱平衡状態となる。
【0145】
これによって、IC3aに内蔵されている温度センサ301aの検出温度と、水晶振動子2aの温度との温度差に起因する周波数変動を抑制して、正確な温度補償を行うことが可能となる。
【0146】
この実施形態では、第5配線パターン565を有する第2実装用電極522aと、第6配線パターン566を有する第5実装用電極525aとは、平面視矩形の実装領域Saの中心Oを対称点として点対称となるようにパターンが形成されている。これによって、第5,第6配線パターン565,566は、高温のIC3aからの放熱をバランスよく受けて、効率的に加熱される。
【0147】
特に、この実施形態では、第5配線パターン565は、IC3aに内蔵された温度センサ301aの投影領域の全てを含むように形成されているので、IC3aの温度センサ301aの部分からの放熱によって、その直下で対向する第5配線パターン565が加熱され、その熱が、水晶振動子2aの水晶振動板4に伝導することになる。これによって、IC3aの温度センサ301aの部分と水晶振動板4とを速やかに熱平衡状態とすることができ、正確な温度補償を行うことが可能となる。
【0148】
その他の構成及び作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0149】
図12は、本発明の他の実施形態の温度補償型水晶発振器の水晶振動子の第1封止部材5bの表面側を示す概略平面図であり、上記
図11に対応する図である。
【0150】
なお、この実施形態では、IC3b及び第1封止部材5bの表面の電極のパターン以外、すなわち、第1封止部材5bの裏面、水晶振動板4及び第2封止部材6は、
図10,
図11に示される上記実施形態と同様であり、その説明は省略する。
【0151】
この実施形態では、IC3bの第1封止部材5bに対する実装方向が、
図11の上記実施形態と異なると共に、それに応じて、第1封止部材5bの電極のパターンが異なる。すなわち、上記実施形態では、
図11に示すように、IC3aは、その長辺方向と第1封止部材5aの長辺方向とが同一方向に沿うように実装されたのに対して、この実施形態では、
図12に示すように、IC3bは、その長辺方向が第1封止部材5bの長辺方向に直交するように実装されている。
【0152】
第1封止部材5bの表面には、IC3bの第1〜第6実装端子31b〜36bの配列に応じて、各実装端子31b〜36bがそれぞれ接続される第1〜第6実装用電極521b〜526bが形成されている。
【0153】
第1〜第6実装用電極521b〜526bは、IC3bが実装される仮想線で囲まれた矩形の実装領域Sbにおいて、IC3bの各実装端子31b〜36bがそれぞれ接合される電極パッド(図示せず)を含む第1〜第6端子接合部531b〜536bを備えている。更に、第1〜第6実装用電極521b〜526bは、実装領域Sbの前記第1〜第6端子接合部531b〜536bから実装領域Sb外に延びて、各貫通電極501,505,502,503,506,504にそれぞれ電気的に接続される第1〜第6電極接続部541b〜546bを備えている。
【0154】
第1封止部材5bの表面の第1〜第6実装電極521b〜526bの内、水晶振動板4の第1,第2励振電極45,46に接続されている一対の第2,第5実装用電極522b,525bを除く残余の第1,第3,第4,第6実装用電極521b,523b,524b,526bは、第1〜第4貫通電極501〜504の周囲の第1,第3,第4,第6電極接続部541b,543b,544b,546bと、IC3bの第1,第3,第4,第6実装端子31b,33b,34b,36bが接合される第1,第3,第4,第6端子接合部531b,533b,534b,536bとを電気的に接続する第1〜第4配線パターン571b〜574bをそれぞれ有している。各配線パターン571b〜574bは、配線の幅が、他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5711b,5722b,5733b,5744bをそれぞれ有している。
【0155】
このように第1封止部材5bの第1〜第4貫通電極501〜504と、IC3bが接合される第1,第3,第4,第6端子接合部531b,533b,534b,536bとを接続する第1〜第4配線パターン571b〜574bは、配線の幅が幅狭となる狭窄部5711b,5722b,5733b,5744bを有しているので、この狭窄部5711b,5722b,5733b,5744bによって、第1〜第4貫通電極501〜504と、IC3bの第1,第3,第4,第6実装端子31b,33b,34b,36bが接合される第1,第3,第4,第6端子接合部531b,533b,534b,536bとの間の熱の伝導を妨げることができる。
【0156】
これによって、上記実施形態と同様に、当該温度補償型水晶発振器が実装される外部の回路基板の熱源となる電子部品への通電が開始された際のIC3bの温度上昇の勾配を緩やかとし、また、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が停止された際のIC3bの温度降下の勾配を緩やかとし、IC3bと水晶振動子との温度差を抑制して、迅速にIC3bと水晶振動子とを熱平衡状態にすることができ、周波数ドリフトを抑制することができる。
【0157】
この実施形態では、第1封止部材5bの表面に形成されている第1〜第6実装用電極521b〜526bの内、水晶振動板4の各励振電極46,45にそれぞれ接続されている一対の第2,第5実装用電極522b,525bは、IC3bが実装される平面視矩形の実装領域Sbの内方にそれぞれ延出されている励振電極用配線パターンとしての第5配線パターン565b及び第6配線パターン566bをそれぞれ有している。
【0158】
第5,第6配線パターン565b,566bは、IC3bが実装される矩形の実装領域Sbにおいて、二列に配置されている第1〜第3実装端子31b〜33bと、第4〜第6実装端子34b〜36bとの間まで延出している。
【0159】
特に、第5配線パターン565bは、IC3bに内蔵された温度センサ301bを、実装領域Sbに投影した矩形の投影領域と完全に重なるように延びている。
【0160】
上記実施形態では、
図11に示すように、第2,第5実装用電極522a,525aの第2,第5端子接合部532a,535aと第2,第5電極接続部542a,545aとは、離れて配置され、その間を、第5,第6配線パターン565,566によってそれぞれ電気的に接続した。
【0161】
これに対して、この実施形態では、第2,第5実装用電極522b,525bの第2,第5端子接合部532b,535bと第2,第5実装用電極522b,525bの第2,第5電極接続部542b,545bとを、近接して配置して、それらを電気的にそれぞれ接続しているので、第5,第6配線パターン565b,566bは、第2,第5端子接合部532b,535bと第2,第5電極接続部542b,545bとの電気的な接続を行うのではなく、熱伝導の機能のみを有している。
【0162】
この実施形態でも、第5配線パターン565bを有する第2実装用電極522bと、第6配線パターン566bを有する第5実装用電極525bとは、平面視矩形の実装領域Sbの中心Oを対称点として点対称となるようにパターンが形成されている。
【0163】
この実施形態においても、第5,第6配線パターン565b,566bは、水晶振動板4の各励振電極46,45にそれぞれ接続されているので、水晶振動子2bより高温となったIC3bからの放熱によって加熱された各配線パターン565b,566bの熱は、水晶振動板4の各励振電極46,45に伝導されて温度が高まる。
【0164】
したがって、高温のIC3bは、その熱を放熱して温度が低下する一方、水晶振動子には、IC3bからの放熱によって加熱された第5,第6配線パターン565b,566bから熱が伝導して温度が高まり、IC3bと水晶振動子との温度差を抑制して迅速に熱平衡状態となる。
【0165】
これによって、IC3bの温度センサ301bの検出温度と水晶振動板4との温度差に起因する周波数変動を抑制して、正確な温度補償を行うことが可能となる。
【0166】
[
参考例]
図13は、
参考例の温度補償型水晶発振器の概略構成図であり、上記
図1に対応する概略構成図であり、
図14は、温度補償型水晶発振器1cの水晶振動子2cの第1封止部材5cの表面側を示す概略平面図であり、上記
図4に対応する図であり、上記第1実施形態と同一又は対応する部分には、同一又は対応する参照符号を付す。
【0167】
この
参考例では、IC3c及び第1封止部材5cの表面の電極のパターン以外、すなわち、第1封止部材5cの裏面、水晶振動板4及び第2封止部材6は、上記
図2、
図3、
図5〜
図7に示される上記第1実施形態と同様であり、その説明は省略する。
【0168】
図14に示されるように、第1封止部材5cの表面には、IC3cの第1〜第6実装端子31c〜36cがそれぞれ接続される第1〜第6実装用電極521c〜526cが形成されている。
【0169】
第1〜第6実装用電極521c〜526cは、IC3cが実装される仮想線で囲まれた矩形の実装領域Scにおいて、IC3cの各実装端子31c〜36cがそれぞれ接合される電極パッド(図示せず)を含む第1〜第6端子接合部531c〜536cを備えている。更に、第1〜第6実装用電極521c〜526cは、実装領域Scの前記第1〜第6端子接合部531c〜536cから実装領域Sc外に延びて、各貫通電極504,505,502,503,506,501にそれぞれ電気的に接続される第1〜第6電極接続部541c〜546cを備えている。
【0170】
矩形の実装領域Scの各短辺寄りの中央には、短辺に沿って延びる接続用接合パターン551,552がそれぞれ形成されている。
【0171】
第1封止部材5cの第1〜第4貫通電極501〜504は、
図14に示すように、第1封止部材5cの表面の第6,第3,第4,第1実装用電極526c,523c,524c,521cの各電極接続部546c,543c,544c,541cにそれぞれ電気的に接続されているので、第2封止部材6の裏面の第1〜第4外部接続端子631〜634は、第1封止部材5cの表面の第6,第3,第4,第1実装用電極526c,523c,524c,521cの各電極接続部546c,543c,544c,541cにそれぞれ電気的に接続される。
【0172】
この
参考例では、IC3cの実装端子31〜36の配置の関係で、第6実装用電極526cの第1貫通電極501の周囲の第6電極接続部546cは、離れた位置にある第6端子接合部536cに、斜めに延びる第1配線パターン571cを介して電気的に接続されている。また、第1実装用電極521cの第4貫通電極504の周囲の第1電極接続部541cは、離れた位置にある第1端子接合部531cに、斜めに延びる第4配線パターン574cを介して電気的に接続されている。
【0173】
第1配線パターン571cは、第1貫通電極501の周囲の第6電極接続部546cの近傍で、配線の幅が他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5711cを有している。第4配線パターン574cは、第4貫通電極504の周囲の第1電極接続部541cの近傍で、配線の幅が、他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5744cを有している。第1,第4配線パターン571c,574cの各狭窄部5711c,5744cは、第6,第1端子接合部536c,531cから延びる各配線パターン571c,574cの幅が徐々に絞られるように形成されている。
【0174】
第1封止部材5cの第3,第4実装用電極523c,524cは、この第3,第4実装用電極523c,524c自体が、第2,第3貫通電極502,503の周囲の第3,第4電極接続部543c,544cと、IC3cの第3,第4実装端子33c,34cが接合される第3,第4端子接合部533c,534cとを電気的に接続する第2,第3配線パターン572c,573cを構成している。
【0175】
第2配線パターン572cとしての第3実装用電極523cは、第3電極接続部543cと第3端子接合部533cとの略中間位置で、配線の幅が、他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5722cを有している。第3配線パターン573cとしての第4実装用電極524cは、第4電極接続部544cと第4端子接合部534cとの略中間位置で、配線の幅が、他の部分に比べて幅狭となる狭窄部5733cを有している。第2,第3配線パターン572c,573cの各狭窄部5722c,5733cは、各配線パターン572c,573cの一側が細長い矩形状に切り欠かれた形状となっている。
【0176】
このように第1封止部材5cの表面の第1〜第6実装電極521c〜526cの内、水晶振動板4の第1,第2励振電極45,46に接続されている一対の第2,第5実装用電極522c,525cを除く残余の第6,第3,第4,第1実装用電極526c,523c,524c,521cは、第1〜第4貫通電極501〜504と、IC3cが接合される第6,第3,第4,第1端子接合部536c,533c,534c,531cとを接続する第1〜第4配線パターン571c〜574cを備え、各配線パターン571c〜574cは、配線の幅が幅狭となる狭窄部5711c,5722c,5733c,5744cをそれぞれ有している。この狭窄部5711c,5722c,5733c,5744cによって、第1〜第4貫通電極501〜504と、IC3cの第6,第3,第4,第1実装端子36c,33c,34c,31cが接合される第6,第3,第4,第1端子接合部536c,533c,534c,531cとの間の熱の伝導を妨げることができる。
【0177】
これによって、上記第1実施形態と同様に、当該温度補償型水晶発振器が実装される外部の回路基板の熱源となる電子部品への通電が開始された際のIC3cの温度上昇の勾配を緩やかとし、また、外部の回路基板に実装されている熱源となる電子部品への通電が停止された際のIC3cの温度降下の勾配を緩やかとすることができる。これによって、IC3cと水晶振動子との温度差を抑制して、迅速にIC3cと水晶振動子とを熱平衡状態にすることができ、周波数ドリフトを抑制することができる。
【0178】
配線パターンの狭窄部の形状
の参考例としては、図15(a)に示すように、第1貫通電極501の周囲の第6電極接続部546cの近傍で、第6端子接合部536cから延びる配線パターン571cに比べて幅の狭い一定幅の狭窄部5711c1であってもよい。あるいは、
図15(b)に示すように、第1貫通電極501の周囲の第6電極接続部546cから配線パターン571cに向けて徐々に幅が狭くなるような狭窄部5711c2であってもよい。あるいは、
図15(c)に示すように、第1貫通電極501の周囲の第6電極接続部546cの近傍で、配線パターン571cの幅方向の両側から円弧状に絞られるような狭窄部5711c3であってもよい。
【0179】
上記実施形態では、1つの配線パターンに1箇所の狭窄部を形成したが、1つの配線パターンに複数箇所の狭窄部を形成してもよい。
【0180】
上記各実施形態では、ICは、水晶振動子の表面側である第1封止部材に実装したが、ICは、水晶振動子の裏面側である第2封止部材6に実装するようにしてもよい。