特許第6908103号(P6908103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6908103電池用電極、その製造方法及び電極製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6908103
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】電池用電極、その製造方法及び電極製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20210708BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20210708BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20210708BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20210708BHJP
   H01G 11/86 20130101ALN20210708BHJP
   H01G 11/26 20130101ALN20210708BHJP
   H01G 13/00 20130101ALN20210708BHJP
【FI】
   H01M4/04 Z
   H01M4/02 Z
   H01M4/139
   H01M4/13
   !H01G11/86
   !H01G11/26
   !H01G13/00 381
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-508004(P2019-508004)
(86)(22)【出願日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2017013219
(87)【国際公開番号】WO2018179205
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】乙幡 牧宏
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−259625(JP,A)
【文献】 特開2017−10644(JP,A)
【文献】 特開2003−68279(JP,A)
【文献】 特開2016−131941(JP,A)
【文献】 特開2012−30193(JP,A)
【文献】 特開2012−115789(JP,A)
【文献】 特開2014−49184(JP,A)
【文献】 特開2009−38016(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/035602(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/087657(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/02−4/04
H01M 4/139
H01G 9/00
H01G 13/00
B05C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に第1層が形成された基材に対して、少なくとも前記基材と前記第1層の境界部に第2層を塗工する電極の製造方法であって、
前記基材上の前記境界部手前の領域では、塗工装置と前記基材のギャップを、前記塗工装置の塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップよりも小さい第2のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上では前記第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで塗工することを特徴とする電極の製造方法。
【請求項2】
前記境界部手前の前記基材上では、前記塗工装置と前記基材の間に前記塗液の液溜りを形成しながら前記第2層を塗工する請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項3】
前記第2のギャップで塗工したあと、前記境界部直前で、前記ギャップを前記第2のギャップから前記第3のギャップに変更して前記第2層を塗工する請求項1または2に記載の電極の製造方法。
【請求項4】
前記第2のギャップとして、前記境界部の手前1mm以上の前記基材上で、前記第1のギャップから20%以上小さい距離にする請求項1から3のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
【請求項5】
一部に第1層が形成された基材に対して、少なくとも前記第1層と前記基材の境界部に第2層を塗工する電極の製造方法であって、
前記第1層上では、塗工装置と前記第1層のギャップを、塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上の前記境界部手前の領域では前記第3のギャップよりも小さくしかも前記第1層の厚みよりも大きい第4のギャップで前記第2層を塗工し、前記基材上では前記第1のギャップで前記第2層を塗工することを特徴とする電極の製造方法。
【請求項6】
前記境界部手前の前記第1層上では、前記塗工装置と前記第1層の間に前記塗液の液溜りを形成しながら前記第2層を塗工する請求項5に記載の電極の製造方法。
【請求項7】
基材、
前記基材上の少なくとも一部に形成された第1層、
少なくとも前記第1層上の全面と前記基材上の一部に、前記第1層と前記基材との境界部を跨いで形成され、前記境界部上、前記第1層上、前記基材上で厚みがこの順に小さくなっている第2層、
を備えたことを特徴とする電池用電極。
【請求項8】
前記基材上の第2層の厚みが、前記境界部近傍ではそれ以外の箇所よりも薄い請求項7に記載の電池用電極。
【請求項9】
基材、
前記基材上の少なくとも一部に形成された第1層、
少なくとも前記第1層上の前記基材との境界部を跨いで形成され、前記境界部上、前記基材上、前記第1層上の前記境界部に隣接する領域で、厚みがこの順に小さくなっている第2層、
を備えたことを特徴とする電池用電極。
【請求項10】
前記第1層は電池の活物質層であり、前記第2層は絶縁層であり、
前記基材は集電体である請求項7から9のいずれか一項に記載の電池用電極。
【請求項11】
第1層が一部に形成された基材を搬送する搬送機構と、
前記基材に対して材料を塗工する塗工用ダイと、
前記塗工用ダイの位置を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記基材上の前記第1層と前記基材の境界部手前の領域では、塗工装置と前記基材のギャップを、前記塗工装置の塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップよりも小さい第2のギャップで第2層を塗工し、前記第1層上では前記第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで塗工するか、
または、
前記第1層上では、前記塗工装置と前記第1層のギャップを、前記第3のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上の前記境界部手前の領域では前記第3のギャップよりも小さくしかも前記第1層の厚みよりも大きい第4のギャップで前記第2層を塗工し、前記基材上では前記第1のギャップで前記第2層を塗工するよう、
前記塗工用ダイの位置を制御することを特徴とする電極製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電極、その製造方法および電極製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートPC等のポータブル機器の電源として、また、車両や家庭用の電源として広く普及している。中でも、高エネルギー密度で軽量なリチウムイオン二次電池は、生活に欠かせないエネルギー蓄積デバイスである。
【0003】
二次電池は大別して捲回型と積層型とに分類される。捲回型二次電池の電池素子は、長尺の正極と負極とがセパレータによって隔離されつつ重ね合わされた状態で複数回巻かれた構造を有する。積層型のものは、正極と負極とをセパレータを介して交互に積層した構造となっている。
【0004】
二次電池は年々大容量化する傾向にある。したがって、仮に短絡が発生した場合には、該二次電池はより発熱する可能性があるため、二次電池の安全性を向上させることが重要である。二次電池の安全性を向上させる方法としては、例えば、活物質層の表面と集電体の露出面の両方にまたがる範囲に、絶縁層を形成する技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1では、塗布部(正極活物質層が形成されている部分)と未塗布部(正極活物質層が形成されていない部分)との境界部分を覆うように絶縁部材を形成する。同文献の図2に示すように、絶縁部材の一方の端部は正極活物質層の薄肉部の上に位置しており、他方の端部は未塗布部上に位置している((0030)段落)。絶縁部材の塗布はダイコータで行っている((0037)段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−010644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ダイコータで絶縁部材の塗工を行う場合、集電箔と塗工用ダイの先端との間のギャップは、未塗布部ではスラリーのウェット厚みとほぼ等しい厚みに設定され、塗布部では活物質厚み+ウェット厚みに設定される。これにより、均一な絶縁層を塗工することができる。
【0008】
しかし、ギャップを、活物質層の間欠塗工部境界の膜厚変化に完璧に追随させて制御するのは困難である。そのためダイ先端と活物質層の接触を防ぐために、活物質層の塗布部と未塗布部の境界部では、塗布部厚みとウェット厚みの合計よりも広いギャップで絶縁部材を塗工する(マージンを設ける)必要がある。ダイコータによる塗工は、通常は、ダイ先端と基材までの距離(ギャップ)を、塗液吐出量とライン速度によって決まるウェット厚みとほぼ等しく設定する。しかし、境界部にマージンを設けたい場合に、ギャップをウェット厚みよりも大きく設定すると、図11(a)、(b)に示すように境界部で塗工されない部分が生じ、そこで短絡する虞がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ダイコータにて、活物質層の間欠塗工部境界前後の表面上に絶縁層を形成する際、絶縁層を途切れることなく、ダイコータ先端と活物質層が接触しないようにマージンを持って塗工できる電池用電極とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一部に第1層が形成された基材に対して、少なくとも前記基材と前記第1層の境界部に第2層を塗工する電極の製造方法であって、
前記基材上の前記境界部手前の領域では、塗工装置と前記基材のギャップを、前記塗工装置の塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップよりも小さい第2のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上では前記第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで塗工することを特徴とする電極の製造方法である。
【0011】
また本発明は、一部に第1層が形成された基材に対して、少なくとも前記第1層と前記基材の境界部に第2層を塗工する電極の製造方法であって、
前記第1層上では、塗工装置と前記第1層のギャップを、塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上の前記境界部手前の領域では前記第3のギャップよりも小さくしかも前記第1層の厚みよりも大きい第4のギャップで前記第2層を塗工し、前記基材上では前記第1のギャップで前記第2層を塗工することを特徴とする電極の製造方法である。
【0012】
また本発明は、基材、前記基材上の少なくとも一部に形成された第1層、少なくとも前記第1層上と前記基材上に、前記第一層と前記基材との境界部を跨いで形成され、前記境界部上、前記第1層上、前記基材上で厚みがこの順に小さくなっている第2層、を備えたことを特徴とする電池用電極である。
【0013】
また本発明は、基材、前記基材上の少なくとも一部に形成された第1層、少なくとも前記第1層上の前記基材との境界部を跨いで形成され、前記境界部上、前記基材上、前記第1層上の前記境界部に隣接する領域で、厚みがこの順に小さくなっている第2層、を備えたことを特徴とする電池用電極である。
【0014】
また本発明は、第1層が一部に形成された基材を搬送する搬送機構と、
前記基材に対して材料を塗工する塗工用ダイと、
前記塗工用ダイの位置を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記基材上の前記境界部手前の領域では、塗工装置と前記基材のギャップを、前記塗工装置の塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップよりも小さい第2のギャップで第2層を塗工し、前記第1層上では前記第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで塗工するか、
または、
前記第1層上では、塗工装置と前記第1層のギャップを、前記第3のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上の前記境界部手前の領域では前記第3のギャップよりも小さくしかも前記第1層の厚みよりも大きい第4のギャップで前記第2層を塗工し、前記基材上では前記第1のギャップで前記第2層を塗工するよう、
前記塗工用ダイの位置を制御することを特徴とする電極製造装置、である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ダイコータにて、活物質層の間欠塗工部境界前後の表面上に絶縁層を形成する際、絶縁層を途切れることなく、ダイコータ先端と活物質層が接触しないようにマージンを持って塗工できる電池用電極とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態の電極形成工程を示す模式的断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態の電極形成工程を示す模式的断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態を説明する模式図で、間欠塗工で連続的に電池用電極を製造する例を示す図である。
図4】間欠塗工された電極から電池用電極を製造する過程を示す模式的平面図である。
図5】本発明の第4の実施形態を説明する模式図で、間欠塗工で連続的に電池用電極を製造する別の例を示す図である。
図6】ギャップを制御するための方法を説明する模式図である。
図7】本発明の実施例の電極の製造方法を示す模式的断面図である。
図8】電池の構成を示す模式的断面図である。
図9図8(b)の電池1から電極を1つだけ取り出して示した模式的断面図である。
図10】本発明の実施例で、境界部15の段差を跨いで低い側から高い側に塗工した場合の実験結果を示す。
図11】境界部にマージンを設けようとしてギャップをウェット厚みよりも大きく設定すると、境界部に塗工されない部分が生じることを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の電池用電極製造方法について説明する。図1(a)、(b)、は一部に第1層11を形成した基材10上に、塗工装置14で第2層12を形成する工程を示す模式的断面図である。本実施形態では、境界部15を跨いで低い側(基材10側)から高い側(第1層11側)に塗工する。
【0018】
図1に示すように、基材10上の一部に第1層11が形成してある。少なくとも基材10と第1層11上にその境界部15の段差を跨ぐように塗工装置14から塗液を吐出させて、第2層12を塗工する。本実施形態では塗工装置14を動かさず、基材10を図面右向きに一定速度で動かす。図1中の右向きの矢印は基材10を動かす方向を示している。基材上に第1層を形成したもの、または基材上に第1層と第2層を形成したものを、ここではどちらも電池用電極と呼ぶ。なお単に電極と略称することもある。第2層12を形成するために塗工装置14と基材10の間にはギャップ16を設定する。なおギャップは塗工装置の塗液が吐出する先端部と基材との間の距離とする。塗工装置14の所定時間当たりの塗液吐出量と基材10の移動速度から、第2層12の塗工厚み(以下ウェット厚み)が決まる。境界部15から離れた箇所でのギャップ16の大きさは、そのウェット厚みと同じに設定する。このギャップ16を第1のギャップとする。
【0019】
境界部15に近づいたら(図1(a)のA地点)、ギャップをわざとギャップ16より小さいギャップ16’に変更する。すると吐出した塗液の一部は、第2層として塗膜されず、塗工装置前面の先端部に液溜り13として溜まる。このギャップ16’を第2のギャップとする。境界部15から手前で適切な距離を取る(適切な「助走距離」を設定する)と、液溜りを十分な量だけ溜めることができ、その溜まった液溜りが境界部15に集まって、その前後よりも十分厚い第2層になる。この厚い塗膜18が第1層11あるいは基材10が露出しないためのマージンとなる。
【0020】
その後境界部の段差の直前の箇所でギャップを大きくしていく。制御の遅延等があるため、あまり境界部に接近してからギャップを大きくし始めると塗工装置先端が第1層11にぶつかって第1層を損傷させる。そのため適切な距離だけ手前でギャップを大きくし始める。ギャップ16’’は第1層11の厚みとギャップ16(第1のギャップ)の厚みを合計した値とする。このギャップを第3のギャップとする。
【0021】
なお、第1層11の塗工の最初からギャップ16の厚みで塗工せずギャップ16’の厚みで塗工することも可能である。基材10が十分平滑で凹凸が少なければ、基材10上の第1層を薄くしても基材10が露出することはない。また第2層12は基材10と第1層11の全面に塗工してもよいし、最低限境界部15の前後に塗工するだけでもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、境界部15を跨いで低い側(基材側)から高い側(第1層側)に塗工する場合である。しかし、その逆に、境界部25の段差を跨いで高い側から低い側に塗工して境界部に厚い塗膜を形成することも可能である。
【0022】
図2(a)、(b)は第2の実施形態を説明するための模式的断面図である。基材20と第1層21の境界部25を跨ぐように塗工装置24から塗液を吐出させて、第2層22を塗工する。本実施形態でも塗工装置24を動かさず、基材20を図面右向きに一定速度で動かす。図2中の右向きの矢印は基材20を動かす方向を示している。第2層22を形成するために塗工装置24と基材20の間にはギャップ26(第3のギャップ)を設定する。塗工装置24の所定時間当たりの塗液吐出量と基材20の移動速度から、第2層22のウェット厚み(第1のギャップ)が決まる。第2層22上の、境界部25から離れた領域でのギャップ26の大きさは、そのウェット厚みに第1層21の厚みを加えた大きさ(第3のギャップ)に設定する。そのため境界部25から離れた領域の第2層22上では第1のギャップと同じ厚みで第2層が塗工される。
【0023】
境界部25に近づいたら(図2(a)のB地点)、ギャップをわざと第3のギャップより小さいギャップ26’(第4のギャップ)に変更する。第3のギャップと第4のギャップの差は、第1の実施形態の第1のギャップと第2のギャップの差と同程度でよい。また境界部25とB地点との距離は、図1(a)の境界部15とA地点との間の距離も同程度でよい。すると、吐出した塗液の一部は、第2層として塗膜されず、塗工装置前面の先端部に液溜り23として溜まる。境界部25から手前で適切な距離を取ると、液溜りの量を十分溜めることができ、境界部25には、その前後よりも十分厚い第2層を塗工することができる。この厚い塗膜28が第1層21あるいは基材20が露出しないためのマージンとなる。
【0024】
その後塗工装置24先端が境界部25の段差を過ぎたら、ギャップを第1のギャップまで小さくしてギャップ26’’にする。
【0025】
なお、第2層22は基材20と第1層21の全面に塗工してもよいし、最低限境界部25の前後に塗工するだけでもよい。
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態を説明する模式図で、間欠塗工で連続的に電池用電極を製造する例を示す図である。ダイコータ300は、集電箔30が架け渡される少なくとも1つのバックアップローラ301と、集電箔30の表面に対向するように配置された塗工用ダイ34とを備えている。またダイコータ300は、塗工用ダイ34を進退移動させる不図示の駆動機構(アクチュエータ、リンク機構等を有する)と、塗工用ダイ34のノズル34aから材料を吐出させる機構と、それらの動作を制御する制御回路302とを備えている。塗工用ダイ34は、バックアップローラ301に対して進退移動可能に構成されている。塗工時には図3の矢印で示した方向に回転して下から上に向かって絶縁層32が所定の位置に所定の厚みで塗工される。
【0026】
図3では、予め集電箔30の片面に活物質層31が所定の間隔で間欠塗工されたものがバックアップローラ301に掛け渡されている。
【0027】
またダイコータ300には、検出器39が設けられている。検出器39は、搬送される集電箔上に形成した活物質層31の端部の位置を、集電箔30との光の反射率の違い等を用いて検出する。検出器39は例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像装置、レーザ光を利用した反射率測定装置等である。検出器39は、制御回路302に電気的に接続されている。制御回路302は、検出器39で検出した活物質層31の両端部の位置とバックアップローラ301の回転速度から、塗工用ダイ34と集電箔30あるいは活物質層31とのギャップを制御するタイミングを算出する。算出結果を基に、第1、第2の実施形態で述べたようにして、境界部に絶縁層32の厚い塗膜38を形成する。
【0028】
なお、制御回路302が、バックアップローラ301および/または他の不図示の駆動ローラの回転動作も制御するように構成されていてもよい。制御回路302は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を有するマイクロコンピュータを有し、コンピュータプログラムによって動作制御されるものであってもよい。
【0029】
集電箔30は不図示のロールから引き出された長尺な部材である。制御回路302が、バックアップローラ301の回転に合わせて適宜のタイミングで塗工用ダイ34の位置の制御、および、吐出の制御を行うことで、活物質層31が間欠的に形成された集電箔30上に絶縁層32が間欠塗工される。なお図3では絶縁層32を活物質層31の上面と側面に間欠塗工し、隣の活物質層31との間の集電箔30上には絶縁層32を塗工しない領域を設けたが、全面に塗工してもよい。
【0030】
図4は間欠塗工された電極から電池用電極を製造する過程を示す模式的平面図である。集電箔30は、図4(a)に示すように、その長さ方向に平行な切断線40aに沿って切断され(この工程を「スリット」ともいう)、複数の長尺部材となる。そして、図4(b)のように、さらに電極切断線40bの形状に打ち抜き、これにより、図4(c)のような最終的な電極が得られる。なお、負極も正極と同様に製作することができる。
【0031】
なお、図3では集電箔30の片面のみに活物質層31、絶縁層32を形成したが、集電箔30の両面に活物質層と絶縁層を形成してもよい。また図3では絶縁層32の端部は理想形として記載しているが、図1図2のようにテーパ状になり得る。活物質層31上の絶縁層32の高さ(活物質層厚+絶縁層厚)より高くならない範囲で活物質層31の端部を絶縁層が途切れることなく覆っていることが望ましい。
(第4の実施形態)
図5は本発明の第4の実施形態を説明する模式図で、間欠塗工で連続的に電池用電極を製造する別の例を示す図である。ダイコータ400では、塗工用ダイを2つ(塗工用ダイ54,55)備え、また膜厚計56、56’、56’’を備えている点で、ダイコータ300と構成上違いがある。第1の膜厚計56は第1のバックアップローラ401の上流に配置され、第2の膜厚計56’は第1のバックアップローラ401と第2のバックアップローラ402との間に配置され、第3の膜厚計56’’は第2のバックアップローラ402の下流に配置されている。なお図5では、制御回路と、活物質層の端部検出器は省略している。
【0032】
まず、塗工用ダイ54によって集電箔40の片面に活物質層41を所定の間隔で間欠塗工する。活物質層41を塗工した後に、塗工用ダイ55で絶縁層52を塗工する。401、402はバックアップローラである。膜厚計56、56’、56’’はそれぞれ集電箔40、活物質層41、絶縁層52の膜厚を計測する。
【0033】
膜厚計としては、放射線(β線、γ線、X線)膜厚計や、レーザ膜厚計など、既知の膜厚計を用いることができる。このような構成によれば、集電箔40、活物質層51、活物質層上の絶縁層52の厚みを導出することができる。なお、3つの膜厚計のうち、いずれか1つのみ、または、2つのみを設ける構成としてもよい。また、膜厚計56’、56’’の位置のいずれか1つ、または両方に、塗工欠点検出用のカメラを設けても良い。なお図5では絶縁層52を活物質層41の上面と側面に間欠塗工し、隣の活物質層41との間の集電箔40上には絶縁層52を塗工しない領域を設けたが、全面に塗工してもよい。また図5では絶縁層52の端部は理想形として記載しているが、図1図2のようにテーパ状になり得る。活物質層41上の絶縁層52の高さ(活物質層厚+絶縁層厚)より高くならない範囲で活物質層41の端部を絶縁層が途切れることなく覆っていることが望ましい。
(第5の実施形態)
図6はギャップを制御するための方法を説明する模式図である。ギャップを制御するための方法としては、塗工装置を接近または離脱させて電極との間の距離を制御することが挙げられる。塗工装置がダイコータであれば、ダイ60本体を接近または離脱させることがまず考えられる。それ以外にも図6(a)に断面を示すように、ダイ先端部を圧電体61で構成し、圧電体に電圧を印加して伸縮させてダイを接近または離脱させる方法もある。
【0034】
また、図6(b)に示すように、電極に対してダイ本体の角度を変える機構を持たせて、ギャップを小さくする時にダイの進行方向に傾ける方法もある。ダイ本体の電極とは反対側にダイ中心軸を通る回転軸62を設け、電極に対して角度可変になるようにする。なお回転軸とダイ本体との間を固定しておけば、回転軸はダイ本体の中になくてもよい。
【0035】
さらに図6(c)に示すように、バックアップローラ63の位置を上下させてその上に載っている電極の位置を変えて、ギャップを制御する方法もある。なおダイ本体の上下、図6(a)、(b)、(c)の方法を適宜組み合わせて用いてもよい。
(第6の実施形態)
第1〜第5の実施形態の方法で製造された二次電池の構成の一例について説明する。
【0036】
リチウムイオン二次電池1は、図7図8(a)、(b)に示すように、電池素子400と、それを電解質とともに封入する外装容器450とを備えている。この積層型のリチウムイオン二次電池1における電池素子400は、図7に示すように、正極100と負極200とがセパレータ350によって隔離されながら交互に繰り返し積層された構造を有している。なおこの例では正極と負極の間にセパレータを設けているが、設けなくても良い。例えば、少なくとも正極または負極の一方の電極の、対極との対向面すべてに絶縁層を形成することで、絶縁層がセパレータを兼ねることができる。
【0037】
正極100は、集電体に活物質層等が形成されたものであり、正極活物質形成部110と、リード部を設けるために活物質層が形成されていない正極活物質層未形成部120とを有している。同様に、負極200も、集電体上に活物質層等が形成されたものであり、負極活物質形成部210と負極活物質未形成部220とを有している。
【0038】
それぞれの正極活物質未形成部は超音波接合等によって束ねられて、図8(a)に示すように、正極リード部410となっている。同様に、それぞれの負極活物質未形成部220も束ねられて負極リード部420となっている。正極リード部410と負極リード部420には、それぞれ正極端子430と負極端子440とに電気的に接続されている。
【0039】
電池素子400は、正極端子430および負極端子440が外装容器450の外部に引き出されるように、外装容器450内に封入される。なお、外装容器450は既知の材質および構成のものを利用できる。例えば、熱融着樹脂からなる内面層460、アルミニウム薄膜からなる金属層470、保護用樹脂からなる表面層480が積層されたフィルム部材で形成されるものであってもよい。
【0040】
電極の製造以外の電池の製造手順に関しても、基本的には既存の方法を用いることができる。すなわち、予め用意した正極100、負極200、セパレータ350を、図7のように交互に積層して電池素子400とする。そして、図8(a)に示すように正極端子430および負極端子440を電気的に接続した電池素子400を外装容器450内に電解質とともに密閉封止して、図8(b)に断面を示すようなリチウムイオン二次電池1を得る。
【0041】
図8(b)の絶縁層180、185が上述の実施形態で述べた第2層である。この例では集電箔155の両面を絶縁層で被覆している。図9(a)は図8(b)のリチウムイオン二次電池1から電極を1つだけ取り出して示した模式的断面図である。集電箔155は正極端子430または負極端子440に接続するために曲げられる。そのため集電箔155と活物質層の境界部150にストレスがかかり、集電箔の破断や絶縁層が剥離する可能性がある。しかし本実施形態では境界部の絶縁層が厚いため、曲げに強く強度が高い。そのため集電箔の破断や絶縁層が剥離する可能性を低くすることができる。一方図9(b)のように境界部の絶縁層が厚くない場合は曲げに弱く、境界部150にストレスがかかり、集電箔の破断や絶縁層が剥離する可能性がある。
【実施例】
【0042】
図10は境界部15の段差を跨いで低い側から高い側に塗工した場合の実験結果を示す表である。本実施例では塗工装置としてダイコータ、基材として二次電池の集電箔、第1層として二次電池の活物質層、第2層として絶縁層を用いている。なおダイからの塗液の吐出量は常に一定量である。絶縁層Wet厚みと活物質層厚みはそれぞれ、絶縁層の塗工厚み、活物質層の塗工厚みである。
【0043】
またギャップ変更マージンは、液溜り13を形成するために小さく(ギャップ16’)していたギャップを、大きくし始める箇所から一定値(ギャップ16’’)にするまでの移動距離である。ダイを上昇させるためにわずかではあるが時間がかかるので、境界部15に到達する手前で、ダイの上昇を始め、しかも同じく境界部15の手前でギャップ16’’に到達するようにする。本実施例では0.7、1.5mmの二種類である。ギャップはダイを上下させることで制御するが、既知の位置センサ等を用いてロールとダイ先端との距離を計測して制御すればよい。また助走距離はギャップをギャップ16’に短縮している距離であり、液溜りを形成するための距離である。本実施例では0、3、5mmの三種類である。ギャップ短縮割合は、助走距離の最中に、その手前のギャップの大きい領域(ギャップ16)と比べて、ギャップをどの程度小さくすれば良いかを示す。本実施例では0,20,50%である。つまりギャップを小さくする前に比べて、それぞれ0%、20%、50%だけ小さくする。
【0044】
なお図11のNo.1、4は比較例である。この2つはギャップ変更マージンはゼロであるが、これは境界部の段差の手前でギャップ16をギャップ16’に縮めず(ギャップ短縮割合=0%)ギャップ16のままで塗工したことを意味する。
【0045】
また判定の○は段差が露出せず厚い絶縁層で被覆されたことを意味する。△は○の場合ほどには厚くないが十分な厚みの絶縁層で段差が被覆されたことを意味する。×は絶縁層が段差で被覆されず段差が露出した場所があったことを意味する。
【0046】
図10で、No.1のギャップ短縮割合=0%の場合は段差が露出した(判定×)。一方No.2,3のように、ギャップ変更マージンを1.5mm、助走距離を5mm取り、ギャップ短縮割合を20%,50%にして塗工すれば、それぞれ判定△、○となり、厚い絶縁層で段差を被覆できた。絶縁層Wet厚みと活物質層厚みが異なるNo.4,5,6の場合もNo.1、2、3の場合と同じことが言える。
またNo.7,8はギャップ変更マージンを0.7mmと小さくし、助走距離を3mmと短くした場合である。この場合も段差が露出せず厚い絶縁層で被覆された。
【0047】
なお第2の実施形態のように、境界部25の段差を跨いで高い側から低い側に塗工する場合も同様であり、図10で述べた絶縁層Wet厚み、活物質層厚み等が同じであれば、上述のギャップ変更マージン、助走距離、ギャップの短縮割合も同じでよい。
(電極構成材料)
ここで電極を構成する材料について絶縁層も含めて述べる。以下は例示であり、材料は特に限定されず、既知の材料を用いることができる。
【0048】
基材の例は二次電池の集電箔、集電体であるが、正極用材料としてはアルミニウム、ニッケル、銅、銀、それらの合金等を用いることができる。負極用材料も正極用材料と同様であるが、特に銅、鉄・ニッケル・クロム系・モリブデン系のステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができる。
【0049】
第1層の例は二次電池の活物質層であるが、正極活物質としては例えば、LiNiO、LiNi(1−x)・・・(式A)(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)を用いることができる。
【0050】
また例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)なども挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
なおNiの含有量を高くすると(例えば0.6を超える)、電池のエネルギー密度を高くすることができるが、本発明はそのような場合でも有効である。
【0051】
また、上述の(式A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、(式A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
【0052】
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0053】
また負極活物質は金属および/または金属酸化物ならびに炭素を負極活物質として含む。金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
【0054】
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。また、金属や金属酸化物を、たとえば蒸着などの方法で、炭素等の導電物質を用いて被覆することでも、同様に電気伝導度を向上させることができる。
【0055】
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
【0056】
金属および金属酸化物は、リチウムの受容能力が炭素に比べて遥かに大きいことが特徴である。したがって、負極活物質として金属および金属酸化物を多く使用することで電池のエネルギー密度を改善することができる。高エネルギー密度を達成するため、負極活物質中の金属および/または金属酸化物の含有比率が高い方が好ましい。金属および/または金属酸化物は、多いほど負極全体としての容量が増加するので好ましい。金属および/または金属酸化物は、負極活物質の0.1質量%以上の量で負極に含まれることが好ましく、1質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。しかしながら、金属および/または金属酸化物は、炭素にくらべてリチウムを吸蔵・放出した際の体積変化が大きくなり、電気的な接合が失われる場合があることから、99質量%以下、好ましくは90質量%以下である。上述した通り、負極活物質は、負極中の充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料であり、それ以外の結着剤などは含まない。
【0057】
また第2層は例えば正極又は負極を被覆する絶縁層であるが、例えば無機酸化物を用いることができる。無機酸化物の例としては、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンの酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、γ−LiAlO、LiTiO等が挙げられる。また絶縁層として有機膜も用いることができ、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。
【0058】
以上、本発明の幾つかの形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記に説明した具体的な内容に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
【0059】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
一部に第1層が形成された基材に対して、少なくとも前記基材と前記第1層の境界部に第2層を塗工する電極の製造方法であって、
前記基材上の前記境界部手前の領域では、塗工装置と前記基材のギャップを、前記塗工装置の塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップよりも小さい第2のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上では前記第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで塗工することを特徴とする電極の製造方法。
(付記2)
前記境界部手前の前記基材上では、前記塗工装置と前記基材の間に前記塗工液の液溜りを形成しながら前記第2層を塗工する付記1に記載の電極の製造方法。
(付記3)
前記第2のギャップで塗工したあと、前記境界部直前で、前記ギャップを前記第2のギャップから前記第3のギャップに変更して前記第2層を塗工する付記1または2に記載の電極の製造方法。
(付記4)
前記第2のギャップとして、前記境界部の手前1mm以上の前記基材上で、前記第1のギャップから20%以上小さい距離にする付記1から3のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記5)
前記境界部の手前1mm以上で、前記ギャップを、前記第1のギャップから20%以上50%以下の間で小さくする(付記4)に記載の電極の製造方法。
(付記6)
前記基材上で前記第1のギャップで前記第2層を塗工し、次いで前記境界部手前の領域で前記第2のギャップで前記第2層を塗工する付記1から5のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記7)
一部に第1層が形成された基材に対して、少なくとも前記第1層と前記基材の境界部に第2層を塗工する電極の製造方法であって、
前記第1層上では、塗工装置と前記第1層のギャップを、塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上の前記境界部手前の領域では前記第3のギャップよりも小さくしかも前記第1層の厚みよりも大きい第4のギャップで前記第2層を塗工し、前記基材上では前記第1のギャップで前記第2層を塗工することを特徴とする電極の製造方法。
(付記8)
前記境界部手前の前記第1層上では、前記塗工装置と前記第1層の間に前記塗工液の液溜りを形成しながら前記第2層を塗工する付記7に記載の電極の製造方法。
(付記9)
前記第4のギャップとして、前記境界部の手前1mm以上の前記第1層上で、前記第3のギャップから20%以上小さい距離にする付記7または8に記載の電極の製造方法。
(付記10)
前記第4のギャップとして、前記境界部の手前1mm以上の前記第1層上で、前記第3のギャップから20%以上50%以下小さい距離にする付記7から9のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記11)
前記第1層上で前記第3のギャップで前記第2層を塗工し、次いで前記境界部手前の領域で前記第4のギャップで前記第2層を塗工する付記7から10のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記12)
前記ギャップの変化は、前記塗工装置を構成するダイの移動、前記ダイ先端部の伸縮、前記ダイの角度変化または前記基材を載せるバックアップロールの移動の少なくとも一つによって行う付記1から11のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記13)
前記第1層を前記基材上に塗工し乾燥させた後前記第2層を塗工するか、または、前記第1層を前記基材上に塗工し乾燥させずに前記第2層を塗工する、付記1から12のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記14)
前記第1層は電池の活物質層であり、前記第2層は絶縁層であり、前記基材は集電体である付記1から13のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記15)
前記第1層は、前記基材上に間欠的に形成されている、付記1から14のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記16)
前記塗工装置がダイコータである、付記1から15のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記17)
基材、
前記基材上の少なくとも一部に形成された第1層、
少少なくとも前記第1層上と前記基材上に、前記第一層と前記基材との境界部を跨いで形成され、前記境界部上、前記第1層上、前記基材上で厚みがこの順に小さくなっている第2層、
を備えたことを特徴とする電池用電極。
(付記18)
基材、
前記基材上の少なくとも一部に形成された第1層、
少なくとも前記第1層上の前記基材との境界部を跨いで形成され、前記境界部上、前記基材上、前記第1層上の前記境界部に隣接する領域で、厚みがこの順に小さくなっている第2層、
を備えたことを特徴とする電池用電極。
(付記19)
前記第1層は電池の活物質層であり、前記第2層は絶縁層であり、前記基材は集電体である付記17または18に記載の電池用電極。
(付記20)
第1層が一部に形成された基材を搬送する搬送機構と、
前記基材に対して材料を塗工する塗工用ダイと、
前記塗工用ダイの位置を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記基材上の前記境界部手前の領域では、塗工装置と前記基材のギャップを、前記塗工装置の塗液吐出量と前記基材の移動速度によって決まるウェット厚みに相当する第1のギャップよりも小さい第2のギャップで第2層を塗工し、前記第1層上では前記第1のギャップに前記第1層の厚みを加えた第3のギャップで塗工するか、
または、
前記第1層上では、塗工装置と前記第1層のギャップを、前記第3のギャップで前記第2層を塗工し、前記第1層上の前記境界部手前の領域では前記第3のギャップよりも小さくしかも前記第1層の厚みよりも大きい第4のギャップで前記第2層を塗工し、前記基材上では前記第1のギャップで前記第2層を塗工するよう、
前記塗工用ダイの位置を制御することを特徴とする電極製造装置。
【符号の説明】
【0060】
1 リチウムイオン二次電池
10、20 基材
11、21 第1層
12、22 第2層
13、23 液溜り
14、24 塗工装置
15、25 境界部
16、16’、26、26’、26’’ ギャップ
18、28、38 厚い塗膜
30 集電箔
32 絶縁層
34 塗工用ダイ
39 検出器
40 集電箔
56、56’、56’’ 膜厚計
60 ダイ
61 圧電体
62 回転軸
63 バックアップローラ
100 正極
110 正極活物質形成部
120 正極活物質未形成部
155 集電箔
180、185 絶縁層
200 負極
210 負極活物質形成部
220 負極活物質未形成部
300 ダイコータ
301 バックアップローラ
302 制御回路
350 セパレータ
400 電池素子
410 正極リード部
420 負極リード部
430 正極端子
440 負極端子
450 外装容器
460 内面層
470 金属層
480 表面層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11