(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下にこの発明の実施形態を示して、この発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。この発明は、例えば車載用などの高い信頼性が要求される電子機器に用いられる回路モジュールなどに適用されるが、これに限られるものではない。
【0016】
(回路モジュールの第1の実施形態)
この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態である回路モジュール100の構造およびその特徴について、
図1ないし
図3を用いて説明する。
【0017】
なお、各図面は模式図である。また、製造工程上で発生する各構成要素の形状のばらつきなどは、各図面に必ずしも反映されていない。すなわち、以後、この明細書中で説明のために用いられる図面は、たとえ実際の製品と異なる部分があったとしても、本質的な面で実際の製品を表すものと言うことができる。
【0018】
図1は、回路モジュール100の平面図(下面図)である。
図2は、回路モジュール100の種々の断面図である。
図2(A)は、回路モジュール100を
図1に示されたX1−X1線を含む面で切断した場合の矢視断面図である。
図2(B)は、回路モジュール100をX2−X2線を含む面で切断した場合の矢視断面図である。
図2(C)は、回路モジュール100をX3−X3線を含む面で切断した場合の矢視断面図の要部が拡大された拡大断面図である。
【0019】
なお、
図1は断面図ではないが、構成部材を理解しやすいようにするため、一部の構成部材が塗りつぶされて図示されている。
【0020】
回路モジュール100は、基板10と、第1の電子部品20、30と、第1の樹脂層40と、複数の外部電極B1と、導体膜50と、樹脂膜60とを備えている。基板10は、一方主面S1と、他方主面S2と、一方主面S1と他方主面S2とを接続する側面S3とを有している(
図2(A)参照)。
【0021】
図1に示されている回路モジュール100では、基板10は、平面視で矩形状である。また、基板10は、絶縁体層1と、その内部に形成された複数の内部導体2とを備えている。内部導体2は、パターン導体2aとビア導体2bとを含んでいる。絶縁体層1には、例えば低温焼成セラミック材料およびガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材料などから選ばれた材料が用いられる。内部導体2には、例えばCuなどの金属材料が用いられる。
【0022】
基板10の一方主面S1上には、ランド3、4が設けられている。また、他方主面S2上には、ランド5が設けられている。
【0023】
第1の電子部品20、30は、例えば集積回路、積層コンデンサおよび積層インダクタなどの、種々の電子部品である。第1の電子部品20は、例えばPbフリーはんだなどの接続部材B2により、ランド3と接続されている。第1の電子部品30は、同様の接続部材B3により、ランド4と接続されている。すなわち、第1の電子部品20、30は、基板10の一方主面S1側に接続されている。
【0024】
第1の樹脂層40は、一方主面S1上に設けられ、第1の電子部品20、30を封止している。第1の樹脂層40には、フィラーとしてガラス材料やシリカなどを分散させた樹脂材料が用いられる。ただし、フィラーが含まれないようにしてもよい。
【0025】
複数の外部電極B1は、信号電極と接地電極とを含んでいる。複数の外部電極B1には、例えばPbフリーはんだを含むはんだバンプなどが用いられる。回路モジュール100では、複数の外部電極B1は、ランド5上に設けられている。ただし、他方主面S2に露出しているビア導体2b上に、直に設けられてもよい。すなわち、複数の外部電極B1は、他方主面S2側に設けられている。
【0026】
導体膜50は、第1の樹脂層40の外表面上と、側面S3上と、他方主面S2の外周近傍上とに設けられ、複数の内部導体2のうちの少なくとも1つを介して接地電極と接続されている。導体膜50には、例えばCuなどの金属材料が用いられる。回路モジュール100の側面における導体膜50は、十分なシールド効果を得るために、2μm以上の厚みで付与されている。なお、導体膜50は、異なる種類の金属膜が、複数層積層されたものでもよい。この導体膜50の形成工程については、後述する。
【0027】
樹脂膜60は、それぞれ基板10の他方主面S2上に設けられた第1の樹脂膜60aと複数の第2の樹脂膜60bとを含んでいる。第1の樹脂膜60aは、他方主面S2と接する面S4と、面S4に対向する面S5とを有している。第2の樹脂膜60bは、一端が側面S3と面一であり、他端が側面S3から離れるように延伸している。
【0028】
図2(B)に示されている回路モジュール100では、第2の樹脂膜60bは、基板10の側面S3と直交する方向に延伸している。そして、第2の樹脂膜60bの他端は、第1の樹脂膜60aに到達し、第1の樹脂膜60aと第2の樹脂膜60bとは一体となっている。また、第1の樹脂膜60aと第2の樹脂膜60bとは同じ厚みとなっているが、これに限られない。
【0029】
ただし、後述の変形例に示されるように、第2の樹脂膜60bの延伸方向は、側面S3と直交する方向でなくてもよい。また、第1の樹脂膜60aと第2の樹脂膜60bとは、一体となっていなくてもよい。樹脂膜60には、例えばエポキシ樹脂のような樹脂材料が用いられる。
【0030】
複数の外部電極B1は、基板10の他方主面S2の法線方向での平面視(回路モジュール100の下面側からの平面視)において、第1の樹脂膜60aの面S5の外周の内側で、かつ面S5から露出するように配置されている(
図1参照)。そして、複数の第2の樹脂膜60bは、隣り合う2つの第2の樹脂膜60bの間に、第1の間隙C1が存在するように配置されている(
図1参照)。この第1の間隙C1の深さ、すなわち第2の樹脂膜60bの厚みは、25μm以上となっている。
【0031】
第1の間隙C1は、全ての隣り合う2つの第2の樹脂膜60bの間において同じ形態でなくてもよく、また同じ幅でなくてもよい。例えば、
図1に示されている回路モジュール100では、矩形状の第1の樹脂膜60aの4つの辺に接している複数の第2の樹脂膜60bにおいて、第1の間隙C1は、全て同じ幅となっている。一方、第1の樹脂膜60aの角部にある2つの第2の樹脂膜60bの間の第1の間隙C1は、上記の各辺上における第1の間隙C1とは形態が異なり、また幅も異なっている。
【0032】
ここで、回路モジュール100の製造工程のうちの導体膜50の形成工程について、
図3を用いて説明する。
図3は、回路モジュール100の製造工程において、半製品に導体膜50が付与された後、基台BLから剥離される工程を説明するための拡大断面図である。第1の電子部品20、30の基板10への接続工程および樹脂膜60(第1の樹脂膜60a、第2の樹脂膜60b)の付与工程など、その他の工程については、説明を省略する。
【0033】
図3(A)は、第1の樹脂膜60aおよび第2の樹脂膜60bが付与された半製品に、導体膜50が付与される工程を示している。導体膜50が付与されていない回路モジュール100の半製品は、粘着層ALが付与されている基台BLに貼り付けられる。外部電極B1は、粘着層ALにめり込み、さらに第1の樹脂膜60aと複数の第2の樹脂膜60bとが、粘着層ALに当接する。
【0034】
前述したように、複数の第2の樹脂膜60bは、一端が側面S3と面一であり、隣り合う2つの第2の樹脂膜60bの間に、第1の間隙C1が存在するように配置されている(
図1参照)。
【0035】
次に、第1の樹脂層40の外表面上と基板10の側面S3上と第2の樹脂膜60bの一端上とに、例えばスパッタリングで金属微粒子を付着させることによるメタライジングが行なわれる。これにより、上記の箇所に、導体膜50が付与される。その際、導体膜50は、第1の間隙C1の存在により露出している基板10の他方主面S2上にも、回り込むようにして形成される(
図2(A)参照)。
【0036】
また、スパッタリングで発生した金属微粒子は、粘着層ALの外表面上にも付着し、導体膜50と接続された余剰の導体膜50sとなる。ただし、
図3(A)に示されるように、第1の間隙C1には、導体膜50が形成されていない空間が残る。その結果、導体膜50には、ミシン目のように配列された、余剰の導体膜50sと接続されていない窓部Wができる。
【0037】
そして、
図3(B)に示されるように、導体膜50が付与された回路モジュール100が基台BLから剥離されると、上記の窓部Wが起点となり、導体膜50と余剰の導体膜50sとが接している箇所が破断する。その結果、
図3(C)の平面図(上面図)に示されるような、余剰の導体膜50s(いわゆるバリ)の付着が抑制された回路モジュール100が得られる。すなわち、このような回路モジュール100は、バリによる電子機器の不具合の発生が抑制されている。
【0038】
このバリの付着の抑制のためには、回路モジュール100の側面における導体膜50が2μm以上の厚みで付与されている場合、第1の間隙C1の幅およびピッチが200μm以下であることが好ましい。
【0039】
≪回路モジュールの第1の実施形態の変形例≫
この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態である回路モジュール100の種々の変形例について、
図4ないし
図9を用いて説明する。なお、各変形例の構成要素において、回路モジュール100と共通するものの説明については、省略または簡略化されることがある。
【0040】
<第1および第2の変形例>
回路モジュール100の第1および第2の変形例について、
図4を用いて説明する。
図4(A)は、回路モジュール100の第1の変形例を説明するための、
図2(C)に相当する拡大断面図である。
図4(A)に示された第1の変形例では、第2の樹脂膜60bの、延伸方向に直交する断面は、基板10の他方主面S2と接している辺の長さが、それと対向する辺の長さより長いテーパー形状となっている。
【0041】
この場合、導体膜50と余剰の導体膜50sとが接している箇所の長さが短いので、両者の破断が容易に進む。したがって、回路モジュール100へのバリの付着がより抑制される。また、第2の樹脂膜60bの他方主面S2と接触している面の面積が、それと対向している面の面積より大きくなっているため、第2の樹脂膜60bの断面積が小さい場合であっても、他方主面S2からの剥がれが抑制されている。
【0042】
一方、
図4(B)は、回路モジュール100の第2の変形例を説明するための、
図2(C)に相当する拡大断面図である。
図4(B)に示された第2の変形例では、第2の樹脂膜60bの、延伸方向に直交する断面は、基板10の他方主面S2と接している辺の長さが、それと対向する辺の長さより短い第1の変形例とは逆方向のテーパー形状となっている。
【0043】
この場合、スパッタリング時の金属微粒子の第1の間隙C1の内壁への回り込みが抑制されるため、余剰の導体膜50sが第1の間隙C1の内壁に付与されにくくなる。したがって、導体膜50と余剰の導体膜50sとの破断が容易に進む。したがって、回路モジュール100へのバリの付着がより抑制されている。
【0044】
<第3ないし第6の変形例>
回路モジュール100の第3ないし第6の変形例について、
図5を用いて説明する。
図5(A)は、回路モジュール100の第3の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図5(A)に示された第3の変形例では、第2の樹脂膜60bは、延伸方向に直交する断面の面積が、基板10の側面S3から離れるにしたがって大きくなる、延伸方向におけるテーパー形状となっている。
【0045】
なお、テーパー形状となっている方向は、
図5(A)に示されているものと逆方向でもよい。また、テーパー形状の変化は、平面図上では直線状であるが、曲線状であってもよい。
【0046】
図5(B)は、回路モジュール100の第4の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図5(B)に示された第4の変形例では、第2の樹脂膜60bは、一定の距離までは、延伸方向に直交する断面の面積が、基板の側面S3から離れるにしたがって小さくなっている。そして、その先では、延伸方向に直交する断面の面積が、基板10の側面S3から離れるにしたがって大きくなっている。なお、この変化は、平面図上では折れ線状となっている。
【0047】
また、第2の樹脂膜60bの延伸方向に直交する断面の面積は、
図5(B)に示されたものとは逆に、基板の側面S3から離れるにしたがって、一定の距離までは大きくなり、その先では小さくなってもよい。
【0048】
図5(C)は、回路モジュール100の第5の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図5(C)に示された第5の変形例では、第2の樹脂膜60bの断面の面積が、基板10の側面S3から離れるにしたがって第4の変形例と同様に変化する。ただし、その変化は、平面図上では曲線状となっている。
【0049】
図5(D)は、回路モジュール100の第6の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図5(D)に示された第6の変形例では、第2の樹脂膜60bは、側面S3の法線方向から傾いた方向に延伸している。
【0050】
図5(D)に示されている回路モジュール100では、第2の樹脂膜60bの延伸方向は一定ではなく、基板10の矩形状の他方主面S2の角部に近づくにつれて、側面S3の法線方向からの傾きが大きくなっている。ただし、側面S3の法線方向からの傾きが一定であってもよい。
【0051】
回路モジュール100の第3ないし第6の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果がある。第3の変形例において、第2の樹脂膜60bのテーパー形状の方向が
図5(A)に図示されているものである場合、第2の樹脂膜60bが他方主面S2から剥がれることが抑制されている。また、導体膜50と余剰の導体膜50sとが接している箇所の長さが短いので、両者の破断が容易に進む。したがって、回路モジュール100へのバリの付着がより抑制される。
【0052】
一方、テーパー形状の方向が
図5(A)に示されているものと逆方向である場合、基板10の側面S3での第1の間隙C1が狭くなっている。そのため、スパッタリング時の金属微粒子の第1の間隙C1の内への回り込みが抑制されている。
【0053】
第4および第5の変形例において、第2の樹脂膜60bの断面積の変化が
図5(B)および(C)に示されているものである場合、基板10の側面S3での第1の間隙C1が狭くなっている。そのため、スパッタリング時の金属微粒子の第1の間隙C1の内への回り込みが抑制されている。
【0054】
一方、第2の樹脂膜60bの断面積の変化が
図5(B)および(C)に示されているものと逆である場合、導体膜50と余剰の導体膜50sとが接している箇所の長さが短いので、両者の破断が容易に進む。したがって、回路モジュール100へのバリの付着がより抑制される。
【0055】
第6の変形例の場合、第2の樹脂膜60bが他方主面S2から剥がれることが抑制されている。
【0056】
<第7ないし第11の変形例>
回路モジュール100の第7ないし第11の変形例について、
図6を用いて説明する。
図6(A)は、回路モジュール100の第7の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図6(A)に示された第7の変形例では、第1の樹脂膜60aの周縁部に、第1の樹脂膜60aの外周と平行に配置された第2の間隙C2が存在している。すなわち、第1の樹脂膜60aと第2の樹脂膜60bとが一体となっていない。
【0057】
図6(B)は、回路モジュール100の第8の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図6(B)に示された第8の変形例でも、第1の樹脂膜60aの周縁部に、第1の樹脂膜60aの外周と平行に配置された第2の間隙C2が存在している。ただし、第2の間隙C2は、破線状となっており、複数の第2の樹脂膜60bは、1つおきに第1の樹脂膜60aと一体となっている。
【0058】
図6(C)は、回路モジュール100の第9の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図6(C)に示された第9の変形例では、第1の樹脂膜60a内に、第1の樹脂膜60aの外周と平行に配置された第2の間隙C2が存在している。すなわち、第1の樹脂膜60aと第2の樹脂膜60bとが一体となっている。ただし、第2の樹脂膜60bの他端が到達している第1の樹脂膜60aの周縁部と、複数の外部電極B1が配置されている第1の樹脂膜60aの中央部とは、第2の間隙C2により分離されている。
【0059】
図6(D)は、回路モジュール100の第10の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図6(D)に示された第10の変形例でも、第1の樹脂膜60a内に、第1の樹脂膜60aの外周と平行に配置された第2の間隙C2が存在している。ただし、第2の間隙C2は、破線状となっている。すなわち、第2の樹脂膜60bの他端が到達している第1の樹脂膜60aの周縁部と、複数の外部電極B1が配置されている第1の樹脂膜60aの中央部とは、第2の間隙C2により分離されていない。
【0060】
図6(E)は、回路モジュール100の第11の変形例を説明するための平面図(下面図)である。
図6(E)に示された第11の変形例では、第1の樹脂膜60aの周縁部および内部に、破線状の第2の間隙C2が存在している。ただし、第2の間隙C2は、複数の第2の樹脂膜60bの配列方向および延伸方向のそれぞれにおいて、第1の樹脂膜60aの一部と交互に配置されている。すなわち、第1の樹脂膜60aの一部と破線状の第2の間隙C2とは、チェック柄を為すように配列されている。
【0061】
回路モジュール100の第7ないし第11の変形例であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、第2の間隙C2により、導体膜50と、信号電極との短絡の発生が抑制されている。なお、第2の間隙C2は、第1の樹脂膜60aの外周と平行ではなく、傾いた状態で配置されていてもよい。
【0062】
回路モジュール100の第12および第13の変形例について、
図7を用いて説明する。
図7(A)は、回路モジュール100の第12の変形例を説明するための、
図2(C)に相当する拡大断面図である。第12の変形例の平面図(下面図)は、
図1に示された回路モジュール100と同様である。ただし、第12の変形例では、第2の樹脂膜60bの、その延伸方向に平行で、他方主面S2に直交する断面は、第1の樹脂膜60aとの接している箇所から側面S3に向かって厚みが薄くなるテーパー形状となっている。
【0063】
図7(B)は、回路モジュール100の第13の変形例を説明するための、
図2(C)に相当する拡大断面図である。第13の変形例の平面図(下面図)も、
図1に示された回路モジュール100と同様である。ただし、第13の変形例では、第2の樹脂膜60bの厚みが、第1の樹脂膜60aの厚みより薄くなっている。
【0064】
回路モジュール100の第12および第13の変形例であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
回路モジュール100の第14の変形例について、
図8を用いて説明する。
図8は、回路モジュール100の第14の変形例を説明するための、
図2(C)に相当する拡大断面図である。
図8に示された第14の変形例では、樹脂膜60が、第1の樹脂膜60aおよび第2の樹脂膜60bに加えて、隣り合う2つの第2の樹脂膜60bを互いに接続する第3の樹脂膜60cをさらに含んでいる。
【0066】
また、基板10の他方主面S2は、凹部D1を有している。そして、第3の樹脂膜60cは、凹部D1に入り込んでいる。この場合においても、隣り合う2つの第2の樹脂膜60bの間には、第1の間隙C1が存在するように配置されている。
【0067】
なお、第3の樹脂膜60cの厚さは、第3の樹脂膜60cが凹部D1に入り込んだ状態で第1の間隙C1ができる厚さであればよい。すなわち、第3の樹脂膜60cの厚さは、第1の樹脂膜60aの厚さおよび第2の樹脂膜60bの厚さより薄くなっている必要はない。
【0068】
第14の変形例でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、第14の変形例では、隣り合う2つの第2の樹脂膜60bが、凹部D1に入り込み、他方主面S2と強固に接続された第3の樹脂膜60cにより、互いに接続されている。したがって、第2の樹脂膜60bが他方主面S2から剥がれることが抑制されている。
【0069】
回路モジュール100の第15の変形例について、
図9を用いて説明する。
図9は、回路モジュール100の第15の変形例を説明するための、
図1に相当する平面図(下面図)である。
図9に示された第15の変形例では、回路モジュール100の構成に加えて、外部電極B1の周囲に、環状の間隙G1が設けられている。
【0070】
回路モジュール100の第15の変形例であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、間隙G1の内壁は、基板10が基台BLに対して傾いている状態でスパッタリングが行なわれたとしても、金属微粒子の回り込みが抑制される。その結果、導体膜50と信号電極との短絡の発生が抑制されている。
【0071】
(回路モジュールの第2の実施形態)
この発明に係る回路モジュールの第2の実施形態である回路モジュール100Aの構造およびその特徴について、
図10および
図11を用いて説明する。なお、回路モジュール100Aの構成要素において、回路モジュール100と共通するものの説明については、省略または簡略化されることがある。
【0072】
図10は、回路モジュール100Aの平面図(下面図)である。
図11(A)は、回路モジュール100Aを図
10に示されたX3−X3線を含む面で切断した場合の矢視断面図である。
図11(B)は、回路モジュール100
AをX4−X4線を含む面で切断した場合の矢視断面図である。なお、
図10は断面図ではないが、構成部材を理解しやすいようにするため、一部の構成部材が塗りつぶされて図示されている。
【0073】
回路モジュール100Aは、回路モジュール100の構成に加えて、第2の電子部品70と、複数のビア導体80と、第2の樹脂層90とを備えている。第2の電子部品70は、第1の電子部品20、30と同様の、種々の電子部品である。第2の電子部品70は、例えばPbフリーはんだなどの接続部材B4により、ランド5と接続されている。
【0074】
複数のビア導体80は、面S6側の端面がランド6と接続されている。ビア導体80は、ランド6上に直接形成されてもよく、また予め形成されたものが接続部材によりランド6と接続されてもよい。すなわち、第2の電子部品70と複数のビア導体80とは、基板10の他方主面S2側に接続されている。
【0075】
第2の樹脂層90は、他方主面S2上に設けられ、第2の電子部品70と複数のビア導体80とを封止している。また、第2の樹脂層90は、他方主面S2と接する面S6と、面S6に対向する面S7と、面S6と面S7とを接続する面S8とを有している。第2の樹脂層90にも、フィラーとしてガラス材料やシリカなどを分散させた樹脂材料が用いられる。ただし、フィラーが含まれないようにしてもよい。また、第1の樹脂層40と第2の樹脂層90とは、異なる種類の樹脂材料が用いられてもよい。
【0076】
複数の外部電極B1は、信号電極と接地電極とを含んでいる。複数の外部電極B1には、回路モジュール100と同様に、例えばPbフリーはんだを含むはんだバンプなどが用いられる。ただし、回路モジュール100Aでは、外部電極B1は、複数のビア導体80の、面S7側の端面上にそれぞれ設けられている。なお、外部電極B1は、めっきなどにより形成された中間膜を介して、ビア導体80の面S7側の端面上に設けられていてもよい。
【0077】
導体膜50は、第1の樹脂層40の外表面上と、側面S3上と、面S8上と、面S7の外周近傍上とに設けられている。そして、導体膜50は、基板10内の複数の内部導体のうちの少なくとも1つと複数のビア導体80のうちの少なくとも1つとを介して接地電極と接続されている。導体膜50には、例えばCuなどの金属材料が用いられる。
【0078】
樹脂膜60は、それぞれ第2の樹脂層90の面S7上に設けられた第1の樹脂膜60aと複数の第2の樹脂膜60bとを含んでいる。第1の樹脂膜60aは、面S7と接する面S4と、面S4に対向する面S5とを有している。第2の樹脂膜60bは、一端が面S8と面一であり、他端が面S8から離れるように延伸している。樹脂膜60には、例えばエポキシ樹脂のような樹脂材料が用いられる(
図11(A)参照)。
【0079】
複数の外部電極B1は、第2の樹脂層90の面S7の法線方向での平面視(回路モジュール100Aの下面側からの平面視)において、第1の樹脂膜60aの面S5の外周の内側で、かつ面S5から露出するように配置されている(
図10参照)。また、複数の第2の樹脂膜60bは、隣り合う2つの第2の樹脂膜60bの間に、第1の間隙C1が存在するように配置されている(
図10参照)。
【0080】
第1の間隙C1は、回路モジュール100と同様に、全ての隣り合う2つの第2の樹脂膜60bの間において同じ形態でなくてもよく、また同じ幅でなくてもよい。例えば、
図10に示されている回路モジュール100Aでは、矩形状の第1の樹脂膜60aの4つの辺に接している複数の第2の樹脂膜60bにおいて、第1の間隙C1は、全て同じ幅となっている。一方、第1の樹脂膜60aの角部にある2つの第2の樹脂膜60bの間の第1の間隙C1は、上記の各辺上における第1の間隙C1とは形態が異なり、また幅も異なっている。
【0081】
回路モジュール100Aにおいても、製造工程において、導体膜50を形成するためのスパッタリングで発生した金属微粒子は、粘着層ALの外表面上にも付着し、導体膜50と接続された余剰の導体膜50sとなる(
図3(A)参照)。ただし、回路モジュール100の製造工程と同様に、第1の間隙C1には、導体膜50が形成されていない空間が残る。その結果、導体膜50には、ミシン目のように配列された、余剰の導体膜50sと接続されていない窓部Wができる。
【0082】
そして、導体膜50が付与された回路モジュール100Aが基台BLから剥離されると、上記の窓部Wが起点となり、導体膜50と余剰の導体膜50sとが接している箇所が破断する。その結果、余剰の導体膜50s(いわゆるバリ)の付着が抑制された回路モジュール100Aが得られる。すなわち、このような回路モジュール100Aは、バリによる電子機器の不具合の発生が抑制されている。
【0083】
(回路モジュールの第3の実施形態)
この発明に係る回路モジュールの第3の実施形態である回路モジュール100Bの構造およびその特徴について、
図12および
図13を用いて説明する。なお、回路モジュール100Bの構成要素において、回路モジュール100Aと共通するものの説明については、省略または簡略化されることがある。
【0084】
図12は、回路モジュール100Bの平面図(下面図)である。
図13(A)は、回路モジュール100Bを
図12に示されたX5−X5線を含む面で切断した場合の矢視断面図である。
図13(B)は、回路モジュール100
BをX6−X6線を含む面で切断した場合の矢視断面図である。なお、
図12は断面図ではないが、構成部材を理解しやすいようにするため、一部の構成部材が塗りつぶされて図示されている。
【0085】
回路モジュール100Bは、回路モジュール100Aのように、第2の電子部品70と、複数のビア導体80と、第2の樹脂層90とを備えている。第2の電子部品70と、複数のビア導体80と、第2の樹脂層90とは、回路モジュール100Aと接続関係および封止関係も含めて同様であるため、それぞれについての説明は省略される。導体膜50は、回路モジュール100Aと同様に、第1の樹脂層40の外表面上と、側面S3上と、面S8上と、面S7の外周近傍上とに設けられている。
【0086】
一方、回路モジュール100Bは、樹脂膜60(第1の樹脂膜60aおよび第2の樹脂膜60b)を備えていない。代わりに、第2の樹脂層90は、仮想的な面である面S7上に凸部91を備えている。言い換えると、凸部91は、第2の樹脂層90の一部分である。凸部91は、第1の凸部91aと、複数の第2の凸部91bとを含んでいる。第1の凸部91aは、面S7に対向する面S9を有している。第2の凸部91bは、一端が面S8と面一であり、他端が面S8から離れるように延伸している。
【0087】
すなわち、回路モジュール100Bの第2の樹脂層90は、回路モジュール100Aにおける樹脂膜60と第2の樹脂層90とが、同一の材料で、一体に成形されたものと見なすことができる。
【0088】
複数の外部電極B1は、第2の樹脂層90の面S7の法線方向での平面視(回路モジュール100Bの下面側からの平面視)において、第1の凸部91aの面S9の外周の内側で、かつ面S9から露出するように配置されている(
図12参照)。また、複数の第2の凸部91bは、隣り合う2つの第2の凸部91bの間に、第2の間隙C2が存在するように配置されている(
図12参照)。
【0089】
第
2の間隙C
2は、回路モジュール100Aと同様に、全ての隣り合う2つの第2の凸部91bの間において同じ形態でなくてもよく、また同じ幅でなくてもよい。例えば、
図12に示されている回路モジュール100Bでは、矩形状の第1の凸部91aの4つの辺に接している複数の第2の凸部91bにおいて、第2の間隙C2は、全て同じ幅となっている。一方、第1の凸部91aの角部にある2つの第2の凸部91bの間の第2の間隙C2は、上記の各辺上における第2の間隙C2とは形態が異なり、また幅も異なっている。
【0090】
回路モジュール100Bにおいても、製造工程において、導体膜50を形成するためのスパッタリングで発生した金属微粒子は、粘着層ALの外表面上にも付着し、導体膜50と接続された余剰の導体膜50sとなる(
図3(A)参照)。ただし、回路モジュール100Aの製造工程と同様に、第2の間隙C2には、導体膜50が形成されていない空間が残る。その結果、導体膜50には、ミシン目のように配列された、余剰の導体膜50sと接続されていない窓部Wができる。
【0091】
そして、導体膜50が付与された回路モジュール100Bが基台BLから剥離されると、上記の窓部Wが起点となり、導体膜50と余剰の導体膜50sとが接している箇所が破断する。その結果、余剰の導体膜50s(いわゆるバリ)の付着が抑制された回路モジュール100Bが得られる。すなわち、このような回路モジュール100Bは、バリによる電子機器の不具合の発生が抑制されている。
【0092】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。