(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記糸特性改質添加剤(220)は、粘土、ポリエステル、ナイロン、金属、イオン、任意の電気的導電性材料、および/または活性炭のいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
自由噴流領域内のノズル出口(201)における前記アルギン酸金属塩ヒドロゲル(230)形成を開始することを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
前記糸特性改質添加剤(220)は、粘土、ポリエステル、ナイロン、金属、イオン、任意の電気的導電性材料、および/または活性炭のいずれか1つであることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
前記アルギン酸金属塩ヒドロゲル(230)形成は、自由噴流領域内のノズル出口(201)において開始されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
天然繊維から作製された数多くの種類の糸が、当該分野において知られている。1つの周知の例は、紙シートから伝統的に作製される抄繊糸である。典型的には、抄繊糸は、最初に紙を細い片に切断することによって紙から作製される。これらの片は、続いて1つの抄繊糸フィラメントを製造するために撚り合わされる。これらのフィラメントは、大きなリールに巻きとられ、様々な最終特性をもたらすために後処理される。この後、糸は、より小さなリールに紡がれ、最終的には特別な乾燥ユニットにて乾燥される。
【0003】
抄繊糸は、不十分な強度、不適当な厚さ、層状構造または折り畳み構造などの、その特性における欠点が原因で限られた用途を有し、さらに、製造方法は、非効率である。
【0004】
抄繊糸の製造において、湿式押出ノズルは、繊維配向および繊維の架橋において重要な役割を果たす。しかし、実現し得る最高の糸強度をもたらすために、繊維は、十分に撚り合わせられなければならない。さらに、繊維の内部結合を向上するために、繊維は、互いに結合しなければならない。従来知られている解決法は、達成可能な糸の直径に上限をもたらす、平均繊維長よりも小さな直径を有するノズルを提供する。そのようなシステムおよび方法のあるものは、国際公開第2013/0347814号に開示された。
【0005】
この国際公開第‘814号において、繊維性糸を製造するための、システムおよび方法が開示されている。前記方法およびシステムは、繊維とレオロジー改質剤とを含む水性懸濁液の提供を必要とする。提供された懸濁液は、ノズルを通過し、続いて脱水システムを用いて脱水される。
【0006】
前記処理において開示された脱水システムは、しかし、抄繊糸に過度のストレスを生じた。これらの過度のストレスは、さらに多くの場合、撚り合わせ、および脱水処理の間に糸の破損をもたらす。
【0007】
別の米国特許第8,945,453号明細書は、ポリテトラフルオロエチレン繊維を製造する方法と、ポリテトラフルオロエチレン繊維とを開示している。前記‘453号明細書は、水性懸濁液からポリテトラフルオロエチレンを作製するために適用されるノズル構造を開示している。しかし、‘453号明細書は、脱水処理の間における糸の破損を回避することができるように、天然繊維性糸の強度を向上するための解決法をなんら提供していない。
【0008】
したがって、撚り合わせ処理および脱水処理の間に糸の破損を回避することができるように、糸強度を制御する必要がある。さらに、前記処理の脱水部または乾燥部に繊維糸をうまく送り届ける、装置および方法が必要である。
【0009】
さらに、そのような処理において、繊維性糸の連続的製造を可能にするために、材料の構造および動態、ならびにそれらの反応に関する知識を使用する必要がある。さらに、運転条件(物理的条件:温度、圧力、速度、滞留時間。化学的条件:pH、濃度)の精密な制御を見出さなければならない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の態様は、したがって、繊維性糸を製造するための、方法およびシステムに向けられている。最初に、繊維と少なくとも1つのレオロジー改質剤とを有する水性懸濁液が作製される。前記水性懸濁液は、少なくとも1つのノズルを通り、ノズルの出口において、水性繊維性糸生成物が出てくる。ノズルの出口において、前記水性繊維性糸生成物は、ヒドロゲルに合流する。具体的には、前記ヒドロゲルは、前記水性繊維性糸生成物の表面を覆う。最終的には、前記水性繊維性糸生成物は、脱水処理が施される。
【0011】
本発明の目的は、繊維性糸を製造するための、方法およびシステムを提供することである。そのように製造された繊維性糸は、水性懸濁液が、ノズルの出口から流れ、水性繊維性糸生成物を形成する間に、同時に引っぱり出され、撚り合わせられる。
【0012】
本発明の態様は、繊維性糸を製造するための、方法およびシステムであって、ノズルの出口において水性懸濁液が、アルギン酸金属塩ヒドロゲルの環状流と合流する、方法およびシステムを提供し得る。前記アルギン酸金属塩ヒドロゲルは、水性繊維性糸生成物を架橋するために適用される。前記アルギン酸金属塩ヒドロゲルは、アルギン酸溶液に2価金属カチオンを添加することによって作製される。
【0013】
本発明の態様は、繊維性糸を製造するための、方法およびシステムであって、複数の繊維性糸が、複数の環状流路を通って組み合わせられる、方法およびシステムを提供し得る。本願明細書に示されるような複数の環状流路は、最内環状流路、最外環状流路、および前記最内環状流路と前記最外環状流路との間に挟まれる環状流路とを含む。最内環状流路は、繊維懸濁液とレオロジー改質剤とを提供するために適用される。最外環状流路は、アルギン酸金属塩ヒドロゲルを提供するために適用される。挟まれた環状流路は、糸特性改質添加剤を提供するために適用される。
【0014】
本発明の態様は、繊維性糸を製造するための、方法およびシステムであって、前記繊維性糸が、変形可能な基部上に浮動している複数の板によって少なくとも2つの対向する面から機械的に圧縮される、方法およびシステムを提供し得る。
【0015】
繊維性糸を製造するための方法であって、
− 繊維と、少なくとも1つのレオロジー改質剤とを含む水性懸濁液を作製することと、
− 少なくとも1つの糸を形成するために、前記水性懸濁液を少なくとも1つのノズルに通すことと、
− 続いて、前記少なくとも1つの糸を脱水することとを含む方法において、
ヒドロゲルを、前記少なくとも1つのノズルから出る糸の表面に付与することを特徴とする方法。
【0016】
繊維性糸を製造するためのシステムであって、
− 繊維を有する水性懸濁液と、少なくとも1つのレオロジー改質剤とが提供されることと、
− 前記水性懸濁液が、少なくとも1つの糸を形成するために、少なくとも1つのノズルを通って配設されることと、
− 前記少なくとも1つの糸に、脱水が施されるために配設されることとを含むシステムにおいて、
ヒドロゲルが、前記少なくとも1つのノズルから出る前記少なくとも1つの糸の表面に付与されるように配設されることを特徴とするシステム。
【0017】
脱水された繊維の水性懸濁液と、少なくとも1つのレオロジー改質剤とを有する繊維性糸であって、繊維の水性懸濁液がノズルを出て、出てくる糸にヒドロゲルが提供されたことを特徴とする繊維性糸。
【0018】
一実施形態において、水性懸濁液を、前記少なくとも1つのノズル端から少なくとも1つのノズルに非対称に供給することによって、前記水性懸濁液は、少なくとも1つのノズルの主軸流の周囲に渦巻を生じる。
【0019】
別の実施形態において、水性懸濁液は、水性懸濁液の流れであって、全ての繊維が主流軸の周囲を回転することによって前記流れに良好に整列する水性懸濁液の流れを生み出し、回転させ、促進することによって、前記少なくとも1つのノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じる。
【0020】
さらに別の実施形態において、水性懸濁液は、複数の溝が付いた流路を用いて旋回流を生み出すことによって、前記少なくとも1つのノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じる。
【0021】
さらに別の実施形態において、水性懸濁液は、複数の湾曲流路を用いることによって渦巻流を生み出すことによって、前記少なくとも1つのノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じる。湾曲流路は、90度の湾曲流路を含んでもよい。
【0022】
上述の記載に加え、参照して、本発明の実施形態は、繊維を有する水性懸濁液を含み、少なくとも1つのレオロジー改質剤が、ノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じる。ノズルの主流軸の周囲における水性懸濁液のそのような渦巻は、水性懸濁液をノズル端から非対称に供給することによって完成する。さらに、糸特性改質添加剤も、水性懸濁液に添加される。さらに、アルギン酸金属塩ヒドロゲルは、ノズルの出口において水性懸濁液の流れに合わせられる。さらに、ノズルの出口における水性懸濁液は、引っぱり出され、撚り合わされ、続いて圧縮処理および脱水処理が施される。
【0023】
仕立てられたヒドロゲル形成は、多くの利点を提供する。ヒドロゲルは、繊維性糸の良好な送達を可能にし、形成された糸を、撚り合わせの間、および脱水の間の破損から保護する。繊維に加えて、糸の特性を改良する他の材料は、ヒドロゲルマトリックスに結合可能である。
【0024】
特に、繊維性糸の製造の容易さ、使用目的に従って糸の特性を設計する可能性、少ないウォーターフットプリント、生分解性は、本発明によってもたらされる所望の利点の例である。
【0025】
このことは、本開示を特徴付ける新規の様々な特徴に沿った本発明の他の態様と共に、特に本明細書に添付された特許請求の範囲に示され、本発明の一部を形成する。本開示、その操作の利点、およびその使用によって達成される特定の目的の適切な理解のために、図示された本発明の例示的実施例が存在する付随の記載事項への参照がなされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例示的目的のために本明細書に詳細に記載された例示的実施例は、多くの変形例がある。しかし、本発明は、繊維性糸を製造する方法およびシステムに限定されないことを強調されるべきである。状況が適切であると示唆またはみなされてもよいとき、様々な省略および等価の置換が予想されるが、本発明の精神または本発明の範囲から逸脱しない用途または実施を含むことを意図されることが理解される。
【0028】
特に言及されない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される用語は、紙製造およびパルプ製造の分野と、糸製造の分野とにおいて通常使用される意味を有する。特に、以下の用語は、以下に示される意味を有する。
【0029】
本明細書において、用語「a」および「an」は、数量の限定を示さず、むしろ表わされる事項の少なくとも1つの存在を示す。
【0030】
用語「having」、「comprising]、「including]、およびそれらの変形例は、構成要素の存在を意味する。
【0031】
本明細書において用語「繊維」は、天然に生じた、または人工的に生じた繊維性原料を表す。
【0032】
本明細書において、用語「糸」は、縫い糸、紡ぎ糸、弦、フィラメント、ワイヤ、ストリング、ロープ、およびストランドを表す。
【0033】
本明細書において、用語「レオロジー改質剤」は、懸濁液の、粘度、降伏応力、チキソトロピーを変更することができる、化合物または薬剤を意味することが理解される。
【0034】
本明細書の下記に示されるような用語「繊維の最大長さ加重繊維長」は、繊維の90パーセントがこの長さ以下である平均長さ加重繊維長を意味し、繊維長は、当該分野において使用される任意の好適な方法によって測定されてもよいことに留意すべきである。
【0035】
本明細書において、用語「架橋剤」は、懸濁液中でそれ自身によって繊維を架橋することができる、ポリマーなどの化合物または薬剤を意味することが理解される。これは、典型的には、水溶液相中で実施され、ゲルをもたらす。
【0036】
本明細書において、用語「ヒドロゲル」は、液相中に懸濁された複数の固体粒子を有するゲル様組成物を意味することが理解される。
【0037】
本発明における用語「水性懸濁液」は、水と、任意の少なくとも1つの植物系原料源または合成繊維に由来する繊維とを含む任意の懸濁液を意味することが理解される。植物性原料源は、セルロースパルプ、精製パルプ、古紙パルプ、泥炭、果肉、または1年生植物を含む。繊維は、ケミカルパルプ化工程、メカニカルパルプ化工程、サーモメカニカルパルプ化工程、またはケミサーモメカニカルパルプ化工程を用いて、材料を含む任意のセルロースから単離されてもよい。合成繊維は、ポリエステル、ナイロンなどを含んでもよい。
【0038】
本明細書において使用される用語「マイクロフィブリル化セルロース」、「ナノフィブリルセルロース」、および/または「ナノフィブリル化セルロース」は、セルロース原料に由来する、単離されたセルロースマイクロフィブリルの集合、またはマイクロフィブリル束を表す。マイクロフィブリルは、典型的には高いアスペクト比を有する。長さは、1マイクロメートルを超え得るが、数平均直径は、典型的には200nm以下である。マイクロフィブリル束の直径は、より大きくてもよいが、一般的には1μιη未満である。最も小さなマイクロフィブリルは、いわゆる基本繊維に類似しており、典型的には2〜12nmの直径である。フィブリルまたはフィブリル束の直径は、原料と分解方法とに依存する。
【0039】
ナノフィブリルセルロースは、いくらかのヘミセルロースを含んでもよい。その量は、植物源に依存する。セルロース原料、セルロースパルプ、または精製パルプからのマイクロフィブリルセルロースの機械的分解は、リファイナ、研磨機、ホモジナイザ、コロイダ、摩耗粉砕機、超音波発生装置、マイクロフルイダイザ、マクロフルイダイザ、またはフルイダイザ型ホモジナイザなどのフルイダイザなどの好適な機器を用いて実施される。この場合、ナノフィブリルセルロースは、植物セルロース材料の分解によって得られ、「ナノフィブリル化セルロース」と称されてもよい。
【0040】
「ナノフィブリルセルロース」は、特定の発酵プロセスから直接単離されてもよい。本発明のセルロース産生微生物は、アセトバクター(Acetobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、リゾビウム(Rhizobium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、またはアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属してもよく、好ましくはアセトバクター(Acetobacter)属、およびより好ましくはアセトバクターキシリナム(Acetobacter xylinum)、またはアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)であってもよい。
【0041】
「ナノフィブリルセルロース」は、セルロースナノフィブリル、またはナノフィブリル束の、任意に化学的または物理的に修飾された誘導体であってもよい。化学的修飾は、たとえば、セルロース分子の、カルボキシメチル化、酸化、エステル化、またはエーテル化反応に基づいてもよい。修飾は、セルロース表面における、アニオン性物質、カチオン性物質、もしくは非イオン性物質、またはこれらの物質の任意の組み合わせの物理的吸収によって実現されてもよい。記載された修飾は、マイクロフィブリルセルロースの製造前後、または製造中に実施されてもよい。
【0042】
ナノフィブリル化セルロースは、より化学変化を起こしやすくするために化学的に前修飾されたセルロースから作製されてもよい。この種類のナノフィブリル化セルロースの出発物質は、セルロース原料またはセルロースパルプの特定の修飾に由来する不安定なセルロースパルプまたはセルロース原料である。たとえば、N−オキシル媒介酸化(たとえば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン N−オキシド)は、非常に不安定なセルロース材料をもたらし、この材料は、容易にマイクロフィブリルセルロースに分解する。たとえば、国際公開公報09/084566号および特願2007−0340371は、そのような修飾を開示している。この種の前修飾、または「不安定化」によるナノフィブリル化セルロース製造物は、「NFC−L」と省略して称され、これに対して、不安定化されていない、または「通常の」セルロースから作製されるナノフィブリル化セルロースは、NFC−Nと称される。
【0043】
ナノフィブリル化セルロースは、好ましくは、ナノフィブリルが二次細胞壁から得ることができる植物材料から作製される。ある種の豊富な供給源は、木繊維である。ナノフィブリル化セルロースは、木由来の繊維性原料を均質化することによって作製され、この原料は、化学パルプであってもよい。NFC−Lが木繊維から作製される場合、セルロースは、ナノフィブリルへの分解前に酸化によって不安定化される。上述の機器のいくらかにおける分解は、数ナノメートルのみの直径を有するナノフィブリルを生じ、この直径は、最大で50nmであり、水中で透明な分散液をもたらす。ナノフィブリルは、フィブリルの最大直径が、2〜20nmのみの範囲内にある寸法に減少してもよい。二次細胞壁に生じるフィブリルは、本質的に少なくとも55%の結晶度を有する結晶である。
【0044】
本発明の実施形態は、繊維性原料と添加剤とを混合し、続いてそのような混合物に発泡体を添加することによって、水性懸濁液を提供する。その後、前記水性懸濁液は、ノズル端から投与され、ノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じ始める。引力が原因で、水溶性繊維性糸生成物は、ノズルの出口から出る。液圧は、いくつかの実施形態においてノズルから繊維性ゲル糸を排出するために使用されてもよい。さらに、ワイヤは、ノズルから糸を引っぱり出すために使用されてもよく、ゲル糸と、ワイヤとの間の速度差は、ノズルからゲル糸が出ることを誘導するために時折使用される。ノズルの出口において、前記水性繊維性糸懸濁液は、架橋剤と合流し、架橋反応の結果、アルギン酸金属塩ヒドロゲルなどのヒドロゲルが生じる。具体的には、前記アルギン酸金属塩ヒドロゲルは、前記水性繊維性糸生成物の表面を覆う。
【0045】
その後、アルギン酸金属塩ヒドロゲルによって覆われた水性繊維性糸生成物は、撚り合わせ処理、乾燥処理、および脱水処理が施される。乾燥は、真空、機械的処理、および/または熱乾燥に基づく方法を含んでもよい。脱水は、真空、機械的処理、熱伝達、熱伝導、または熱放射を利用する方法によって、加熱された空気流、IR、または加熱表面との接触などの好適な任意の加熱手段によって実施されてもよい。
【0046】
一実施形態において、繊維性糸は、機械的処理方法を用いて脱水される。本発明によって提案されるような機械的処理方法は、変形可能な基部上に浮動している複数の板を含む。変形可能な基部上に浮動している複数の板は、最終的な糸生成物に摩滅および裂け目なく繊維性糸を脱水するために適用される。繊維性糸がこれらの複数の浮動板を通過するとき、繊維性糸を脱水するために必要な圧力のみが加えられる。したがって、脱水処理の間の最少圧力の使用は、好ましい厚さと、均一な構造とを有する糸生成物を製造するために有用である。脱水処理後、糸は乾燥され、乾燥糸生成物が得られる。
【0047】
図1〜6は、本発明の方法、本発明のシステム、および本発明の糸に関する新規かつ進歩的な形態を記載している。図面に示されたような新規かつ進歩的な形態は、本発明の特許請求の範囲と共に読み取られてもよい。
【0048】
図1は、本発明のアルギン酸金属塩ヒドロゲルを作製するための好適な一実施形態を提供する。第一に、アルギン酸塩は、ステップ102に従って褐藻多糖から天然に得られる。続いて、そのような天然に抽出されたアルギン酸塩の溶液は、ステップ104に従って形成される。その後、アルギン酸金属塩ヒドロゲルは、ステップ106に従ってそのようなアルギン酸塩溶液に2価金属カチオンを添加することによって形成される。さらに、糸特性改質添加剤は、ステップ108に従ってそのようなアルギン酸金属塩ヒドロゲルに添加される。さらに、前記アルギン酸金属塩ヒドロゲルの特性は、ステップ110に従って、糸生成物の要件に従って調整される。最終的には、ノズルの出口において、繊維性糸は、ステップ112に従ってそのようなアルギン酸金属塩ヒドロゲルによって覆われる。
【0049】
前記繊維性糸の表面を覆う、目的に応じて作製されたアルギン酸金属塩ヒドロゲルは、乾燥部への繊維性糸の良好な送達を可能にし、撚り合わせ処理、および脱水処理の間に破損から繊維性糸を保護することを可能にする。繊維に加えて、繊維性糸の特性を改良する他の材料もアルギン酸金属塩ヒドロゲルマトリックス中に見出すことができる。最終的に、前記水性繊維性糸生成物は、撚り合わせ処理、乾燥処理、および脱水処理が施される。
【0050】
具体的には、水性繊維性糸生成物の表面を覆うアルギン酸金属塩ヒドロゲルの被覆は、繊維を架橋する手段を提供する。したがって、この繊維の架橋は、向上した強度および伸縮性を有する繊維性糸生成物を提供し、したがって、撚り合わせ処理および脱水処理の間における糸の破損を回避することができる。
【0051】
好ましくは、本明細書において提供されるようなアルギン酸金属塩ヒドロゲルは、褐藻多糖から天然に得られ、続いて、そのようなアルギン酸塩の水溶液を形成するようなアルギン酸塩を含む。アルギン酸塩の構造は、マンヌロン酸(M)およびグルロン酸(G)からなる非分枝多糖類である。2価金属カチオンなどのカチオンがアルギン酸塩の溶液に添加されるとき、架橋構造を有するアルギン酸金属塩ヒドロゲルが形成される。前記アルギン酸金属塩ヒドロゲルの架橋構造の特性は、以下の因子に依存する。
アルギン酸塩、グアールガム、ペクチンなどの生体高分子の選択、
水に対する生体高分子の溶解性、
金属イオンに対する生体高分子の反応性(架橋密度および速度)、
アルギン酸金属塩ヒドロゲルマトリックスから水の放出を制御するための、アルギン酸金属塩ヒドロゲルの膨張/収縮(pH)の制御。
【0052】
金属カチオン、特に、好ましくはCa2+,Al2+,Na2+,Mg2+,Sr2+,またはBa2+などの2価カチオンまたは多価カチオン(架橋剤)の存在下において、アルギン酸塩、ペクチン、およびカラギーナン(カラギーナンは、K+とも架橋する)は、安定かつ強固なゲルを容易に形成する。これらの多糖類の架橋において、塩化カルシウムが好ましく使用される。塩溶液の濃度は、1%w/w〜10%w/wまで変化し得る。
【0053】
典型的には、アルギン酸塩のポリ−L−グルロン酸(G−ブロック)含有量、ペクチンもしくはカラギーナンのポリ−D−ガラクロン酸含有量、または2価カチオンもしくは多価カチオン(カルシウムイオン)の量は、ゲル強度の決定に関与すると考えられる。
【0054】
図2は、アルギン酸金属塩ヒドロゲルによって、懸濁液の架橋と共に糸を製造するために適用されたノズルのためのブロック図を提供する。
【0055】
本発明の様々な実施形態において、繊維性糸が、非常に単純かつ効果的な方法で繊維性懸濁液から直接に製造することができ、それによって、細長い片に切り取られ、糸に巻かれる第1紙、または他の繊維性製品を製造する必要がない。
【0056】
繊維性糸を製造するための方法において、懸濁液は、通常ノズルを通過し、その後繊維性糸は、脱水されることが当業者によって理解される。そのような繊維性糸を製造する方法の1つは、国際公開公報2013/034814A1に開示された。好ましくは、システムにおいて必要とされるノズルの量は、使用される製造設備、および製造される製品に応じて選択される。
【0057】
通常、液体および粘性流体に適切なノズルまたは押出機は、そのようなシステムにおいて使用されてもよい。懸濁液がアルギン酸塩、ペクチン、またはカラギーナンを含むとき、好ましくは、懸濁液のための内型またはオリフィス、および少なくとも1つのカチオンを含む水溶液のための外型またはオリフィスを含むノズルが使用される。カチオンは、塩化カルシウム、または硫化マグネシウムなどの塩を含んでもよい。また、カチオン(塩)を含む溶液は、1つのオリフィスを有するノズルを用いるとき、スプレーまたはミストとして提供されてもよい。カチオンは、たとえば、アルギン酸塩またはアルギン酸と接触させられるとき、水溶性懸濁液の粘度を非常に速く増加する効果をもたらし、それによって、糸の強度が増加し、重力を利用する方法の実施形態を非常に魅力的にする。
【0058】
さらに、ノズル出口の内径は、繊維の最大加重繊維長以下に保たれる。これは、繊維を糸の方向に本質的に配向することに役立ち、生成物に強度と柔軟性とをもたらす。
【0059】
本発明のノズルは、特別に設計される。これは、「繊維性糸の製造のための機械的方法およびシステム」と題された相互参照の特許出願第
62/153,635に開示された。この出願は、本願に組み込まれ、本願の任意の特徴は、上述の出願の特徴と置き換えられてもよい。
【0060】
図2を参照すると、ノズル200が提供され、水性懸濁液210がノズル端に向けられ、水性懸濁液は、ノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じる。さらに、糸特性改質添加剤220が、水性懸濁液に添加される。水性懸濁液は、発泡材料と混合された繊維原料を含む。ノズル200の出口201において、水性繊維性糸は、アルギン酸金属塩ヒドロゲル230の環状流と合流する。
【0061】
さらに、本発明は、水性懸濁液(210)がノズル(200)の出口から繊維性糸が流れ出る間に、同時に取り出され、撚り合わされる仕組みを提供する。繊維性糸のそのような取り出し、および撚り合わせは、最終的な糸生成物の強度および柔軟性を増加する。ノズル(200)の排出後、水性糸懸濁液は、脱水および乾燥が施される。
【0062】
様々な実施形態において、ノズル(200)は、当該ノズル(200)の主流軸の周囲に水性懸濁液(210)の流れに渦を巻かせるために適用される。別の実施形態において、水性懸濁液(210)は、水性懸濁液を前記ノズル(200)の端から非対称に供給することによって、少なくとも1つのノズル(200)の主流軸の周囲に渦巻を生じる。
【0063】
別の実施形態において、ノズル(200)は、水性懸濁液(210)が、水性懸濁液の流れを、生じ、回転させ、促進することによって、少なくとも1つのノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じ、全ての繊維が主流軸の周囲を回転することによって前記流れに良好に配向されるように設計される。
【0064】
別の実施形態において、ノズル(200)は、複数の溝付き流路を通る渦巻流を生じることによって、少なくとも1つのノズルの主流軸の周囲に渦巻を生じるようなものである。
【0065】
様々な実施形態において、水性懸濁液(210)は、複数の湾曲流路を通る渦巻流を生じることによって、少なくとも1つのノズル(200)の主流軸の周囲に渦巻を生じる。湾曲流路は、90°湾曲流路を含んでもよい。
【0066】
別の実施形態において、アルギン酸金属塩ヒドロゲルの環状流は、複数の環状流路によって複数の繊維性糸を組み合わせるために適用される。多数の繊維性糸は、アルギン酸金属塩ヒドロゲルの環状流の内側に放射状に向けられた複数の小さなノズルを用いることによって組み合わせられる。
【0067】
上述のような複数の環状流路は、最内環状流路、最外環状流路、および前記最内環状流路と前記最外環状流路との間に挟まれる環状流路とを含む。
【0068】
様々な実施形態において、最内環状流路は、繊維懸濁液とレオロジー改質剤とを提供するために適用される。最外環状流路は、アルギン酸金属塩ヒドロゲルを提供するために適用される。挟まれた環状流路は、糸特性改質添加剤を提供するために適用される。
【0069】
したがって、最終的な糸生成物は、向上した糸強度と、向上した糸の直径とを有する上述の方法によって製造される。ノズルの主流軸の周囲における水性懸濁液の渦巻、およびアルギン酸金属塩ヒドロゲルを用いる当該懸濁液の処理、ならびに複数の環状流路を通る糸特性改質添加剤は、向上した強度と直径とを有する繊維性糸を生じる。
【0070】
図3は、原料を選択する方法のフロー図を提供する。さらに、
図4は、原料を選択する方法のブロック図を提供する。
【0071】
第1に、繊維性原料は、工程302に従って、天然繊維または合成繊維から選択される。続いて、マイクロフィブリル化セルロースまたは粘土(たとえば、ベントナイト、モンモリロナイト)などの添加剤は、工程304および工程306に従って、繊維性原料に添加される。さらに、活性炭などのいくらかの導電性材料は、工程308に従って、繊維原料に添加されてもよい。さらに、水性懸濁液は、工程310に従って、発泡体をそのような繊維性原料に添加することによって作製される。最後に、より高い強度および伸縮特性を有する糸が、工程312に従って作製される。
【0072】
本明細書において提供されるような天然繊維は、未使用供給源、もしくは再利用供給源、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい原料源に基づく植物から選択される。それは、木材料または非木材料であってもよい。木は、トウヒ、マツ、モミ、カラマツ、ダグラスモミ、もしくはツガなどの軟材、またはカバ、アスペン、ポプラ、ハンノキ、ユーカリノキ、もしくはアカシアなどの硬材、または軟材および硬材の混合物であってもよい。非木材料は、トウモロコシ、ワタ、コムギ、オートムギ、ライムギ、オオムギ、コメ、アマ、アサ、マニラアサ、サイザルアサ、ジュート、ラミー、ケナフ、バガス、タケ、アシ、またはピートに由来する、わら、葉、樹皮、種子、外皮、花、野菜、または果実などの植物であってもよい。
【0073】
マツに由来する未使用繊維を好適に使用してもよい。前記繊維は、典型的には、2〜3ミリメートルの平均加重繊維長を有してもよい。また、より長い繊維とより短いものとの組み合わせ、たとえば、マツからの繊維とユーカリノキからの繊維とを使用してもよい。
【0074】
本明細書に提供されるような水性懸濁液は、ガラス繊維、ポリマー繊維、金属繊維などの合成材料に由来するか、またはウール繊維もしくはシルク繊維などの天然材料に由来する、未使用繊維または再利用繊維を任意に含んでもよい。
【0075】
本明細書において提供されるような水性懸濁液は、0.1〜10パーセント(%)重量/重量(w/w)、好ましくは0.2〜5%w/wの、任意の植物系原料源に由来する繊維を含んでもよい。
【0076】
好ましくは、本発明の実施形態において、水性懸濁液は、発泡体の形態であってもよい。その場合、懸濁液は、アニオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択された少なくとも1つの界面活性剤を、典型的には0.001〜1%w/wの量で含む。
【0077】
水性懸濁液は、当該水性懸濁液を架橋することによってゲルを形成する少なくとも1つのレオロジー改質剤を含んでもよい。レオロジー改質剤は、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム塩などのアルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、およびナノフィブリルセルロース(NFC)、またはレオロジー改質剤の組み合わせから選択されてもよい。
【0078】
好ましくは、レオロジー改質剤は、最終的糸生成物の特性を改質するために添加されてもよい。そのような添加剤は、モンモリロナイト、ポリエステル、ナイロン、金属、イオン、任意の電気的導電性材料、および/または活性炭などの成分の群から選択される。
【0079】
前記レオロジー改質剤は、0.1〜20重量%の量で使用されてもよい。アルギン酸塩などのレオロジー改質剤の濃度は、好ましくは0.5〜20%w/wである。
【0080】
また、本明細書において提供される水性懸濁液は、アニオン性長鎖ポリマーもしくはNFCである少なくとも1つの分散剤、または分散剤の組み合わせを含んでもよい。好適な分散剤の例は、高い分子量を有する、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン(アニオン性、または中性)、およびアニオン性ポリアクリルアミド(APAM)である。分散剤は、懸濁液をずり流動化させるために懸濁液レオロジーを修飾する。好ましくは、高いせん断速度(500l/s)において、せん断粘度は、懸濁液のゼロせん断粘度の10%未満である。
【0081】
前記分散剤は、0.1〜20重量%の量で使用されてもよい。
【0082】
本明細書において提供される水性懸濁液は、当該分野において公知の任意の好適な混合方法を用いて得ることができる。
【0083】
(工程312において)ノズルから得られるようなアルギン酸金属塩ヒドロゲルを有する湿った糸は、典型的には30〜99.5%w/wの水を最初に含む。脱水工程において、糸は、所望の水分含有量まで乾燥されてもよい。したがって、ノズルから出るゲル形態の繊維性糸は、脱水処理および撚り合わせ処理が施される。
【0084】
上記に加え、参照して、本発明の実施形態は、繊維と少なくとも1つのレオロジー改質剤とを有する水性懸濁液を含み、少なくとも1つのレオロジー改質剤は、ノズルの主流軸周囲に渦巻を生じる。ノズルの主流軸の周囲における、水性懸濁液のそのような渦巻は、水性懸濁液をノズル端から非対称に供給することによって達成される。さらに、糸特性改質添加剤も、水性懸濁液に添加される。さらに、アルギン酸金属塩ヒドロゲルは、ノズルの出口における水性懸濁液の流れに合わせられる。さらに、ノズルの出口における水性懸濁液は、引っぱり出され、撚り合わされ、続いて圧縮処理および脱水処理が施される。
【0085】
糸の、脱水および撚り合わせは、これまでに説明された、
図5〜6に示されるような脱水装置(580)を用いて促進される。
【0086】
ノズル(200)などのノズルの出口における繊維性ゲル糸は、ローラ(552)および(554)において作動する搬送ベルト(550)[ワイヤ(550)またはベースワイヤ(550)としても表わされる]を有する搬送システム(560)に下される。搬送システム(560)の動きによって、繊維性ゲル糸は、脱水装置(580)に着く。
【0087】
その後、引かれた繊維性ゲル糸は、工程608において、その目的のために集合した圧縮板(505)およびローラ(504)などの圧縮板によって前圧縮が施される。その後、工程610において、繊維性ゲル糸は、
図5において、板(510)などの複数の板によって圧縮される。浮動板(510)は、変形可能な基部(520)上に浮動している。一実施形態において、浮動板(510)は、固定された基部(520)上に浮動している。
【0088】
浮動板(510)と変形可能/固定基部(520)とは、[ワイヤ(518)または上部ワイヤ(518)としても表わされる]搬送ベルト(518)を駆動する複数のローラ(516)を有する搬送システムによって支持される。このシステムは、脱水装置(580)において繊維性糸の引っぱり移動および撚り合わせを可能にする。
【0089】
複数の浮動板(510)は、工程610において、繊維性ゲル糸の脱水に必要であるような好適な圧力を加える。さらに、複数の浮動板(510)は、工程612における脱水のために、繊維性ゲル糸を撚り合わせ、脱水するために適用される。さらに、浮動板(510)は、脱水段階の間に糸の均一な円形状を維持し、工程614において最終糸生成物に良好な引張強度をもたらすために適用される。
【0090】
図5および
図6は、本発明によって提案されたような糸製造装置(500)全体のシステムのための各ブロック図およびフローチャートを提供する。システムは、ノズル(200)に供給された繊維と少なくとも1つのレオロジー改質剤とを有する水性懸濁液を含む。システムは、脱水装置(580)をさらに含む。ノズル(200)は、水性懸濁液の渦巻流を配設するために適用される。システムは、脱水装置(580)に繊維性ゲルを引いて移動させる、ローラ(552)、(554)、およびベルトを備える搬送システム(560)を有する圧縮機をさらに含む。
【0091】
脱水装置(580)は、それを脱水するために糸を前圧縮する前圧縮ローラ(504)と板(505)と、糸を撚り合わせる、固定/浮動基部(520)上に支持される浮動板(510)とを含む。
【0092】
図6は、糸製造装置の動作を説明するフロー図を具体的に示す。繊維と発泡体とを有する水性懸濁液は、特性改質添加剤と共にノズル(200)から供給される。一実施形態において、それらは、工程602において、ノズル(200)などのノズル端から供給されてもよい。ノズル(200)は、工程604において、ノズルの主流軸に沿って水性懸濁液の流れに渦を巻かせるように適用される。続いて、ノズルの出口において、水性懸濁液は、引いて移動され、撚り合わされ、工程606においてアルギン酸金属塩ヒドロゲルの環状流と合わされる。続いて、ノズルの出口において繊維性ゲル糸は、上記に説明されたような脱水処理が施される。
【0093】
上記に開示されたような実施形態の、任意の、特徴、工程、段階、または部分は、本発明に係る2以上の実施形態の組み合わせにおいてお互いに自由に変更し、組み合わせることができることに留意すべきである。
【0094】
本発明は、いくつかの利点を提供する。製造方法は、非常に単純、かつ効果的であり、必要な設備は、単純で、比較的安価である。糸は、繊維懸濁液から直接に製造され、第1紙片を製造する必要がない。
【0095】
繊維懸濁液のレオロジーは、繊維懸濁液を、それにクロッギングを生じることなく、ノズルを通って引っぱり出すことが可能であるが、湿った糸を、典型的には、乾燥工程の間にその形態を維持するために十分な強度を有するゲルの形態で同時に提供する、粘度およびチキソトロピー範囲に、レオロジー改質剤を用いて調整されてもよい。したがって、レオロジー改質剤は、せん断減粘性特性と糸に対する強度とをもたらし、アルギン酸塩が使用される場合、典型的には分散剤が必要とされ、十分な強度を提供するために、塩溶液を用いて湿った糸の処理がなされる。繊維の最大長加重繊維長未満のノズル出口の内径の選択は、最終生成物に柔軟性および強度を提供する糸の方向に繊維を配向させる。
【0096】
乾燥後に放出された水は、本方法において凝縮し再利用することによって、たとえば、密閉システムを用いることによって回復されてもよい。したがって、実質的に廃水が生じない。また、処理において必要な水の量は、特に繊維懸濁液が発泡体の形態で提供される実施形態において非常に制限される。
【0097】
生成物は、使用される出発材料が天然材料であるとき、完全に生分解性である。
【0098】
綿の必要性は、繊維が、木および再利用紙などのより環境に優しい植物材料から少なくとも部分的に生じる本発明の方法および生成物によって減少させることができる。
【0099】
特に、ノルディックパインから好適に作製された長い繊維パルプは、0.1mm未満の厚みと非常に良好な強度特性とを有する糸を提供するために、本方法において使用されてもよい。
【0100】
本発明は、本発明を実施する現に好ましいモードを含めて、図に示された具体的な例に関して記載されたが、当業者は、本発明の精神および範囲内に入る上述の実施形態の、非常に多くの変形例と、順序の変更とが存在することを正しく理解する。本発明は、その用途において、本明細書に記載された構成要素の、構成および配設詳細に限定されないことが理解される。上述の変形および修飾は、本発明の範囲内にある。
【0101】
したがって、これらの実施形態の多くの変形は、本発明の範囲内にあると予想される。
【0102】
本発明の特定の実施形態の上述の記載は、例示および記載の目的で示された。それらは、網羅的であるか、または開示された正確な形態に本発明を限定することを意図せず、上述の教示に照らして明らかに多くの修飾および変形が可能である。実施形態は、本発明の原理とその実際の用途とを説明するために選択および記載され、それによって、当業者が本発明を利用することができ、様々な修飾を伴う様々な実施形態が想定される特定の使用に好適にすることができる。状況が適切であると示唆またはみなされ得るとき、等価物の様々な省略および置換が想定されるが、そのような省略および置換は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、用途または実施に及ぶように意図されることが理解される。