(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第2のヨーク(506)を有するスプライン結合器(404)であって、航空機の第1の高揚力装置の第1の駆動シャフトに固定的に結合されるスプライン結合器(404)と、
第4のヨーク(906)を有する摺動スプラインシャフト(804)であって、前記航空機の第2の高揚力装置の第2の駆動シャフトが摺動可能に結合され、前記航空機の翼が撓むまたは湾曲するときに前記第2の駆動シャフト及び当該摺動スプラインシャフトが互いに対して軸方向で移動することを可能とする、摺動スプラインシャフト(804)と、
第1の端部(302)および前記第1の端部の反対側の第2の端部(308)を有するトルクチューブ(304)であって、第1のヨーク(504)が、前記トルクチューブ(304)の前記第1の端部に結合され、第3のヨーク(904)が、前記トルクチューブ(304)の前記第2の端部に結合され、前記第1のヨーク(504)が、第1のU継手を形成するために前記スプライン結合器(404)の前記第2のヨーク(506)に結合され、前記第3のヨーク(904)が、第2のU継手を形成するために前記摺動スプラインシャフト(804)の前記第4のヨーク(906)に結合されるトルクチューブ(304)と
を備える装置。
前記スプライン結合器(404)が、前記スプライン結合器(404)を前記スプラインギヤ(406)に固定するためにネジ付締具を受け入れるアパーチャ(620)を含む、請求項2に記載の装置。
前記スプライン結合器(404)が、板部(600)および前記板部から第1の方向に延在する環状壁部(602)を含み、前記第2のヨーク(506)が、前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって前記板部から延在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
前記環状壁部および前記板部が、スプラインギヤ(406)を受け入れる開口部(410)を形成しており、前記環状壁部(602)の内面が、スプラインを有する、請求項4に記載の装置。
前記トルクチューブ(304)の前記第1の端部に前記第1の取付具(400)を結合するステップが、前記第1の取付具の端部上に前記トルクチューブ(304)の前記第1の端部を電磁成形するステップを含む、請求項7に記載の方法。
前記トルクチューブ(304)の前記第2の端部に前記第2の取付具(800)を結合するステップが、前記第2の取付具の端部上に前記トルクチューブ(304)の前記第2の端部を電磁成形するステップを含む、請求項8に記載の方法。
前記スプライン結合器(404)を前記駆動部材に結合するステップが、前記スプラインギヤを前記スプライン結合器(404)に挿入するステップと、ネジ付締具によって前記スプライン結合器(404)を前記スプラインギヤに固定して取り付けるステップとを含む、請求項10に記載の方法。
前記摺動スプラインシャフト(804)を前記被駆動部材に結合するステップが、前記スプラインシャフトを前記摺動スプラインシャフト(804)に挿入するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の例が、上で確認した図面に示されており、以下で詳細に説明される。これらの例を説明する際に、同様のまたは同一の参照符号が、同じまたは同様の要素を特定するために使用される。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、図面の特定の特徴および特定の図は、明確におよび/または簡潔にするために縮尺に関して誇張して示されている場合がある。さらに、いくつかの例が、本明細書の全体にわたって説明されている。任意の例の任意の特徴は、他の例の他の特徴と共に含まれてもよいし、他の例の他の特徴と交換されてもよいし、他の例の他の特徴と組み合わされてもよい。
【0009】
本明細書に開示されているのは、駆動体(高揚力装置のモーターまたはアクチュエータの出力シャフトなど)から被駆動装置(高揚力装置の後続の(例えば、下流の、外側の)アクチュエータの入力シャフトなど)にトルクを機械的に伝達するために採用され得る例示的なトルク管組立体および関係する方法である。本明細書に開示されている例示的なトルク管組立体は、トルクチューブの一方の端部の第1のトルクチューブ取付具とスプライン結合器との間に形成される第1の自在継手(U継手)を含む。スプライン結合器は、第1のU継手を形成するために第1のトルクチューブ取付具のヨークと結合される一体ヨークを含む。第1のトルクチューブ取付具のヨークは、第1のトルクチューブ取付具と一体であり、このようにして、トルクチューブの端部に固定して取り付けられる。スプライン結合器は、駆動部材(例えば、第1の駆動シャフト)のスプラインギヤを受け入れる、スプライン(例えば、リブ)を有する開口部を含む。駆動部材は、ピニオンシャフトおよび/または歯車付回転式アクチュエータ(GRA)の出力シャフトであってもよい。
【0010】
また、例示的なトルク管組立体は、トルクチューブの反対側の端部の第2のトルクチューブ取付具と摺動スプラインシャフトとの間に形成される第2のU継手を含む。摺動スプラインシャフトは、第2のU継手を形成するために第2のトルクチューブ取付具のヨークと結合される一体ヨークを含む。第2のトルクチューブ取付具のヨークは、第2のトルクチューブ取付具と一体であり、このようにして、トルクチューブの他方の端部に固定して取り付けられる。摺動スプラインシャフトは、別の駆動シャフト(例えば、第2の駆動シャフト)(スプラインピニオンシャフトなど)を受け入れるための、スプライン付開口部を有するスリーブを有する。したがって、トルク管組立体の一方の端部は、スプライン結合器(スプラインギヤによって第1のGRAの第1の駆動シャフト(例えば、上流駆動部材)に結合され得る)を含み、トルク管組立体の他方の端部は、摺動スプラインシャフト(第2のGRAの第2の駆動シャフト(例えば、下流被駆動部材)を摺動可能に受け入れ得る)を含む。第1のGRAのスプラインギヤが回転されると、回転力が、第1のGRAの上流駆動シャフトから第2のGRAの下流被駆動シャフトに伝達される。
【0011】
一部の例において、スプラインギヤは、スプライン結合器に固定して結合され、一方、摺動スプラインシャフトは、下流ピニオンシャフト(例えば、第2の駆動シャフト)に摺動可能に係合される。したがって、摺動スプラインシャフトは、下流駆動シャフトに沿って軸方向に平行移動し得る。したがって、翼が撓むとき、トルク管組立体は、トルク管組立体の歪みおよびトルク管組立体にかかる力を軽減するように軸方向に変位され得る。また、翼が撓むとき、U継手は、トルク管組立体が、駆動部材(例えば、第1の駆動シャフトおよび/もしくはスプラインギヤ)または被駆動部材(例えば、第2のGRAの下流駆動シャフト)に対して角度方向に移動することを可能にする。
【0012】
さらに、例示的なトルク管組立体は、フランジを採用しない(例えば、これらは、より小さい範囲の取付部(EMFにより形成される取付部など)を実施する)ため、回転範囲は、公知のトルク管組立体に比べてかなり小さい。また、フランジボルトが緩むリスクが大幅に低減される。さらに、本明細書で説明されている例示的なトルク管組立体は、力学的不均衡(例えばボルトの喪失によって発生し得る)を受けにくい。また、本明細書で説明されている例示的なトルク管組立体は、公知のトルク管組立体よりも少ない締具を用いる。
【0013】
図1は、本明細書に開示されている例が実施され得る例示的な航空機100を示している。図示の例において、航空機100は、胴体102と、胴体102に結合された第1の翼104と、胴体102に結合された第2の翼106とを含む。図示の例の第1の翼104および第2の翼106は、第1の翼104および第2の翼106の前縁および後縁に沿って配置され、離陸または着陸中に航空機100の揚力を変化させるために変位または延伸され得る高揚力装置(例えば、補助翼、スラット、クルーガフラップ、後縁スラットなど)などの操縦翼面を有する。第1の翼104から延伸されるとき、高揚力装置は、第1の翼104の有効サイズ、反りの曲率(curvature camber)、および面積を増大させ、これにより、第1の翼104の揚力を増大させる。例えば、第1の翼104は、前縁122に沿って配置された第1のスラット108、第2のスラット110、第3のスラット112、第4のスラット114、第5のスラット116、第6のスラット118、および第7のスラット120ならびに後縁126に沿って配置されたフラップ124を含む。第1の翼104は、より多いまたはより少ないスラットおよびフラップを含んでもよい。さらにまたはあるいは、第1の翼104は、他の操縦翼面(補助翼(aileron)、スポイラ、タブ、後縁スラット、クルーガフラップなど)を含んでもよい。第2の翼106は、同様の高揚力装置を含み得るが、冗長になるのを避けるために、第2の翼106については述べない。
【0014】
一般に、スラット108〜120のそれぞれは、2つの別個だが連動する駆動機構またはアクチュエータ(スラット108〜120のそれぞれの内側および外側に1つずつある)を用いて配置される。スラット108〜120のアクチュエータのそれぞれは、本明細書でさらに詳細に開示されるように、例示的なトルク管組立体を介して、互いに結合され、隣の(例えば、上流または下流の)駆動機構に結合される。図示の例において、モーターまたは動力駆動ユニット(PDU)128が、第7のスラット120を配置するためのアクチュエータを駆動するために採用されている。このアクチュエータの出力は、例示的なトルク管組立体を介して、第7のスラット120を配置するための別のアクチュエータに動作可能に結合され、この別のアクチュエータは、例えば、例示的なトルク管組立体を介して、第6のスラット118を配置するために、別のアクチュエータに動作可能に結合される。したがって、PDU128は、高揚力装置を配置するために第1の翼104の前縁122に沿ったトルク管組立体を介してアクチュエータのすべてに駆動力を供給する。一部の例において、PDU128は、第2の翼106のスラットを駆動するためのアクチュエータのすべてにも駆動力を供給する。結果として、第1の翼104および第2の翼106の前縁に沿ったスラットのすべてを同時に配置してもよい。トルク管組立体は、スラット108〜120に関して説明されているが、本明細書に開示されている例は、他の高揚力装置のいずれにも(例えば、後縁フラップにも)同様に適用され得ることが理解される。
【0015】
図2は、第1のスラット108と第2のスラット110との間の、第1の翼104の前縁122の下面を示している。上で開示したように、スラット108〜120のそれぞれは、第1の翼104のリブまたは支持体に取り付けられた2つのアクチュエータ(例えば、ラック・ピニオンア組立体)によって駆動され、アクチュエータは、PDU128(
図1)によって駆動される。第2のスラット110のアクチュエータの1つと第1のスラット108のアクチュエータの1つとの間で回転エネルギーを伝達するために採用された例示的なトルク管組立体200が示されている。詳細には、第1のアクチュエータ202は、第1のスラット108を移動させるために設けられている。第1のアクチュエータ202は、第1のラック204(例えば、ギヤラック、歯付ラック)と、第1のラック204を駆動する第1のピニオンギヤ206(例えば、円形ギヤ)と、第1のピニオンギヤ206を駆動する第1の歯車付回転式アクチュエータ(GRA)208とを含む。第1のピニオンギヤ206は、第1の翼104の第1のリブまたは支持体210に回転可能に結合されている(例えば、取り付けられている)。第1のピニオンギヤ206が回転されると、第1のラック204が外側に駆動され、これにより、第1のスラット108は、第1の翼104から外側に延伸される。一部の例において、第1のピニオンギヤ206は、扇形歯車を駆動し、扇形歯車が、第1のラック204を駆動する。第1のピニオンギヤ206は、第1のGRA208に結合されており、第1のGRA208によって駆動される。第1のGRA208は、上流シャフトまたは入力シャフト212(第1の高揚力装置駆動シャフト)および下流シャフトまたは出力シャフト214(第2の高揚力装置駆動シャフト)(
図3に示されている)(例えば、高揚力装置駆動シャフト)を有する。第1のGRA208は、入力(例えば、入力シャフト212)と第1のピニオンギヤ206との間のギヤ比を変更するために使用され得るギヤ列(例えば、一連のギヤ、トランスミッション)を含む。一般に、PDU128(
図1)は、比較的高速(例えば、約700回転/分(RPM))で回転する。第1のGRA208は、第1のピニオンギヤ206に供給される回転速度を低下させ、これにより、第1のピニオンギヤ206に供給されるトルクを増大させる。第1のスラット108と同様に、第2のスラット110は、第2のラック218および第2のピニオンギヤ220を有する第2のアクチュエータ216を含み、第2のピニオンギヤ220は、第2のリブまたは支持体224に動作可能に結合されており、第2のGRA222によって駆動される。第2のGRA222は、上流シャフトまたは入力シャフト226および下流シャフトまたは出力シャフト228(例えば、高揚力装置駆動シャフト)を有する。第2のGRA222の出力シャフト228から第1のGRA208の入力シャフト212に回転エネルギーを伝達するために、例示的なトルク管組立体200が採用されている。したがって、第2のGRA222の出力シャフト228が回転されると、回転力が、第1のGRA208の入力シャフト212に伝達される。同様のトルク管組立体が、スラット108〜120のそれぞれのアクチュエータ(例えば、ラック・ピニオンア組立体)のそれぞれの間に採用されてもよい。最も内側のスラットである第7のスラット120(
図1)は、PDU128(
図1)によって駆動されるアクチュエータ(例えば、ピニオンギヤおよびGRA)を含む。このアクチュエータの出力は、例えば、トルク管組立体を介して第7のスラット120の別のアクチュエータまたは第6のスラット118のアクチュエータに動作可能に結合される。したがって、第2のGRAの入力シャフト226(したがって、第2のピニオンギヤ220)は、第2のスラット110の内側のアクチュエータに動作可能に結合された上流トルク管組立体または第3のスラット112のアクチュエータからの上流トルク管組立体を介して(例えば、アクチュエータがスラット108〜120のそれぞれのためにいくつ使用されているかに応じて)回転される。同様に、第1のGRA208の出力シャフト214は、例示的なトルク管組立体を介して第1のスラット108の別のアクチュエータに動作可能に結合されてもよい。
【0016】
図3は、第2のGRA222の出力シャフト228と第1のGRA208の入力シャフト212との間に結合された例示的なトルク管組立体200単独の図を示している。図示の例において、トルク管組立体200は、第2のGRA222の出力シャフト228とトルクチューブ304の第1の端部302との間の第1の継手300を含む。また、トルク管組立体は、トルクチューブ304の第2の端部308と第1のGRA208の入力シャフト212との間の第2の継手306を含む。トルクチューブ304の長さは、必要に応じた長さであってもよい。
【0017】
図4は、第1の継手300の拡大図を示しており、
図5は、第1の継手300の分解図を示している。図示の例に示されているように、トルクチューブ304の第1の端部302は、第1のトルクチューブ取付具400(例えば、端部取付具)に結合される。図示の例において、第1のトルクチューブ取付具400は、電磁取付け(electromagnetic fitting)工程または電磁成形(EMF)工程によってトルクチューブ304の第1の端部302に固定して結合されている。トルクチューブの端部に端部取付具を結合するための例示的なEMF工程は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,983,478号明細書に記載されている。EMFにより、トルクチューブの端部と端部取付具との間に優れた堅い機械的なトルク伝達結合部が作られる。
【0018】
第1のトルクチューブ取付具400は、スプライン結合器404と共に第1のU継手402を形成する。
図5により明瞭に示されているように、第1のU継手402は、十字ジャーナル500(例えば、スパイダ)および4つの軸受キャップ502(針軸受の配列を含む)を含み、これらは、第1のトルクチューブ取付具400の第1のヨーク504(例えば、フォーク)とスプライン結合器404の第2のヨーク506との間に結合される。第1のトルクチューブ取付具400は、壁部または板部508ならびに第1のヨーク504を形成するように板部508から延在する第1の耳部510および第2の耳部512を有する。第1の耳部510および第2の耳部512は、軸線517に沿って同軸に位置合わせされたそれぞれの第1の開口部514および第2の開口部516を有する。第1の開口部514および第2の開口部516は、十字ジャーナル500の軸受キャップ502の2つを受け入れる。図示の例において、第1のヨーク504は、第1のトルクチューブ取付具400と一体であり、したがって、実質的に単体の部品または構造を形成している。しかしながら、他の例において、第1のヨーク504および第1のトルクチューブ取付具400は、互いに動作可能に結合される多数の部品から構成されてもよい。
【0019】
図4および
図5に示されているように、スプラインギヤ406は、第2のGRA222(
図3)の出力シャフト228に結合される。スプラインギヤ406は、スプライン結合器404に結合される。詳細には、スプラインギヤ406は、スプライン結合器404の穴または開口部410内に受け入れられるスプライン環状部(splined annulus)408を有する。
【0020】
図6は、スプライン結合器404単独の斜視図を示しており、
図7は、スプライン結合器404に挿入されたスプラインギヤ406の断面図を示している。
図6および
図7に示されているように、スプライン結合器404は、壁部または板部600を含む。環状壁部602は、スプライン結合器404の長手方向軸線604に中心が合わせられた開口部410を形作るように板部600から延在する。スプライン結合器404は、第2のヨーク506を(例えば、環状壁部602とは反対の方向に)形成する、板部600から延在する第1の耳部606および第2の耳部608を含む。第1の耳部606および第2の耳部608は、軸線614に沿って同軸に位置合わせされた第1の開口部610および第2の開口部612を各別に有する。図示の例において、軸線614は、長手方向軸線604に対して垂直である。第1の開口部610および第2の開口部612は、十字ジャーナル500の軸受キャップ502(
図5)の2つを受け入れる。
図6に示されているように、スプライン結合器404の開口部410は、環状壁部602の内面618の周囲にスプライン616(例えば、リブ、溝、通路)を含む。図示の例において、スプライン結合器404(第2のヨーク506を含む)は、実質的に単体の部品または構造である。しかしながら、他の例において、スプライン結合器404は、互いに動作可能に結合される多数の部品から構成されてもよい。
【0021】
図示の例において、スプライン結合器404は、環状壁部602を開口部410まで(例えば、長手方向軸線604に対して垂直な方向に)貫通する3つの孔またはアパーチャ620、622、624を含む。孔620、622、624は、スプラインギヤ406をスプライン結合器404に結合するためにネジ付締具518(
図5)を受け入れるようになっている。図示の例において、孔620、622、624は、環状壁部602の周囲で等間隔に離間されている(例えば、互いに120°離されている)。他の例において、スプライン結合器404は、より多いもしくはより少ない孔を含んでもよく、および/または、孔は、異なる仕方で離間されてもよい。
【0022】
図5および
図7に示されているように、スプライン環状部408は、スプライン環状部408の周囲で周方向に離間された3つの突出している隆起部または延在部520、522、524を有する。延在部520、522、524は、スプライン結合器404の孔620、622、624に位置合わせされるべきそれぞれの孔526、528、530を含む。例えば、
図7に示されているように、スプライン環状部408は、スプライン結合器404の開口部410に挿入される。スプライン環状部408の孔526、528、530は、スプライン結合器404のそれぞれの孔620、622、624に位置合わせされる。ネジ付締具518(
図5)は、スプライン結合器404にスプラインギヤ406を結合するために孔620、622、624および孔526、528、530に螺合される。ネジ付締具518は、ボルト、ネジ、または任意の他の適切な締結機構であってもよい。
【0023】
図8は、第2の継手306の拡大図を示しており、
図9は、第2の継手306の分解図を示している。図示の例に示されているように、トルクチューブ304の第2の端部308は、第2のトルクチューブ取付具800(例えば、端部取付具)に結合される。第2のトルクチューブ取付具800は、第1のトルクチューブ取付具400(
図4)と実質的に同じであり、EMF工程によってトルクチューブ304の第2の端部308に固定して結合される。第2のトルクチューブ取付具800は、摺動スプラインシャフト804と共に第2のU継手802を形成する。
図9により明瞭に示されているように、第2のU継手802は、十字ジャーナル900および4つの軸受キャップ902(針軸受の配列を含む)を含み、これらは、第2のトルクチューブ取付具800の第3のヨーク904と摺動スプラインシャフト804の第4のヨーク906との間に結合される。第2のトルクチューブ取付具800は、壁部または板部908ならびに第3のヨーク904を形成するように板部908から延在する第1の耳部910および第2の耳部912を有する。第1の耳部910および第2の耳部912は、軸線918に沿って同軸に位置合わせされたそれぞれの第1の開口部914および第2の開口部916を有する。第1の開口部914および第2の開口部916は、十字ジャーナル900の軸受キャップ902の2つを受け入れる。図示の例において、第3のヨーク904は、第2のトルクチューブ取付具800と一体であり、したがって、実質的に単体の部品または構造を形成している。しかしながら、他の例において、第3のヨーク904および第2のトルクチューブ取付具800は、互いに動作可能に結合される多数の部品から構成されてもよい。
【0024】
図9および
図10に示されているように、摺動スプラインシャフト804は、壁部または板部920および板部920から延在する環状壁部または環状スリーブ922を含む。スリーブ922は、摺動スプラインシャフト804の長手方向軸線926に中心が合わせられた開口部924を形作っている。開口部924は、スリーブ922の内面930にスプライン928(例えば、リブ、溝、通路)を含む。開口部924は、対応するスプラインを含む、第1のGRA208の入力シャフト212を受け入れるようになっている。図示の例において、第4のヨーク906は、板部920から(例えば、スリーブ922とは反対の方向に)延在する第1の耳部932および第2の耳部934によって形成されている。第1の耳部932および第2の耳部934は、軸線940に沿って同軸に位置合わせされたそれぞれの第1の開口部936および第2の開口部938を有する。第1の開口部936および第2の開口部938は、十字ジャーナル900の軸受キャップ902の2つを受け入れる。図示の例において、摺動スプラインシャフト804(第4のヨーク906を含む)は、実質的に単体の部品または構造である。しかしながら、他の例において、摺動スプラインシャフト804は、互いに動作可能に結合される多数の部品から構成されてもよい。
【0025】
図示の例において、摺動スプラインシャフト804は、第1のGRA208の入力シャフト212に固定して結合されていない。その代わりに、摺動スプラインシャフト804は、入力シャフト212に沿って摺動することができ、これにより、トルク管組立体200(
図2)が、第1の翼104(
図2)が撓むとき、または湾曲するときに軸方向に(例えば、長手方向に)移動することが可能となっている。さらに、U継手300、306は、トルク管組立体が、第2のGRA222の出力シャフト228および第1のGRA208の入力シャフト212に対して角度方向に移動することを可能にする。したがって、トルク管組立体200は、角度方向および/または軸方向に変位され、これにより、トルク管組立体200が受ける歪みまたは不都合な力が、公知のシステムが受けるものよりも小さくなり得る。
【0026】
一部の例において、1つ以上のトルクチューブ支持体が、2つのアクチュエータまたは駆動機構間に配置されてもよい(例えば、2つのアクチュエータ間の距離が比較的長い場合に)。したがって、一部の例において、トルク管組立体200は、さらなるトルク管組立体に分けられるか、または分割されてもよい。例えば、シャフト(例えば、上流または下流のアクチュエータの)に結合される代わりに、摺動スプラインシャフト804は、トルクチューブ支持体(例えば、翼のリブまたは支持体)のスプラインシャフトに結合されてもよい。
図11は、トルクチューブ支持体1100に摺動可能に結合された、トルク管組立体200の摺動スプラインシャフト804の例を示している。トルクチューブ支持体1100は、第1の翼104(
図1)のリブまたは支持ビームに取り付けられてもよい。例えば、トルクチューブ支持体1100は、リブまたは支持ビームに(例えば、1つ以上のボルトまたはネジによって)締結され得るフランジ1101を含む。図示の例において、トルクチューブ支持体1100は、摺動スプラインシャフト804の開口部924(
図9および
図10)に挿入されたスプラインシャフト1102を有する。摺動スプラインシャフト804は、スプラインシャフト1102に沿って摺動可能である。スプラインシャフト1102は、トルクチューブ支持体1100の軸受を介して第1の結合器1104に回転エネルギーを伝達する。図示の例において、第1の結合器1104は、トルクチューブ支持体1100に向かって/から外へ移動可能である(例えば、下流トルクチューブが軸方向に移動することを可能にするように)。第2のトルクチューブ1106は、第1の結合器1104から被駆動シャフト(必要に応じてピニオンシャフト、GRAの入力/出力シャフト、またはチューブ支持体など)に回転エネルギーを伝達するために使用される。第2のスプラインギヤ1108は、第2のトルクチューブ1106の第1の端部1110に固定して結合される。第2のスプラインギヤ1108は、
図4に示されているスプラインギヤ406とほぼ同様であってもよい。第2のスプラインギヤ1108は、第1の結合器1104の開口部に挿入され、第1の結合器1104に固定して結合される。第1の結合器1104の開口部は、スプライン結合器404(
図4)の開口部410とほぼ同様であってもよい。第2のスプラインギヤ1108および第1の結合器1104は、1つ以上のネジ付締具によって同様に結合されてもよい。図示の例において、第2のスプラインギヤ1108は、EMF工程によって第2のトルクチューブ1106の第1の端部1110に固定して結合されている。しかしながら、他の例において、他の締結技術が、第2のトルクチューブ1106の第1の端部1110に第2のスプラインギヤ1108を結合するために実施されてもよい。
【0027】
図示の例において、第3のスプラインギヤ1112は、第2のトルクチューブ1106の第2の端部1114に固定して結合されている。一部の例において、第3のスプラインギヤ1112は、EMF工程によって第2のトルクチューブ1106の第2の端部1114に同様に固定して結合される。図示の例において、第3のスプラインギヤ1112は、第2の結合器1116に摺動可能に結合されている。第2の結合器1116は、第4のスプラインギヤ1118に結合されている。第4のスプラインギヤ1118は、ピニオンシャフト、GRAの入力/出力シャフト、または別のチューブ支持体に結合されてもよい。図示の例において、第4のスプラインギヤ1118は、第1の結合器1104および第2のスプラインギヤ1108と同様に、1つ以上のネジ付締具によって第2の結合器1116に固定して結合されている。図示の例において、第1の結合器1104は、トルクチューブ支持体1100と相対的に軸方向に移動可能であり、第3のスプラインギヤ1112は、第2の結合器1116内で摺動可能である。これにより、第2のトルクチューブ1106が、トルクチューブ支持体1100と下流の部材(ピニオンシャフト、GRA、または別のチューブ支持体のスプラインシャフト)との間で軸方向に移動することが可能となっている。
【0028】
図12は、例示的なトルク管組立体(
図2の例示的なトルク管組立体200など)の構成および/または組立を行うために実施され得る例示的な方法1200を示すフローチャートである。例示的な方法1200は、第1のヨークを有する第1の取付具をトルクチューブの第1の端部に結合するステップ(ブロック1202)を含む。一部の例において、第1の取付具は、EMFによってトルクチューブの第1の端部に結合される。例えば、第1のトルクチューブ取付具400(第1のヨーク504を含む)は、EMFによってトルクチューブ304の第1の端部302に結合される。例示的な方法1200は、第2のヨークを有する第2の取付具をトルクチューブの第2の端部に結合するステップ(ブロック1204)を含む。一部の例において、第2の取付具は、EMFによってトルクチューブの第2の端部に結合される。例えば、第2のトルクチューブ取付具800(第3のヨーク904を含む)は、EMFによってトルクチューブ304の第2の端部308に結合される。しかしながら、他の例において、第1のトルクチューブ取付具400および第2のトルクチューブ取付具800は、他の結合技術(例えば、溶接)によってトルクチューブ304に結合されてもよい。
【0029】
例示的な方法1200は、第1のU継手を形成するために第1の取付具の第1のヨークをスプライン結合器の第3のヨークに結合するステップ(ブロック1206)を含む。例えば、
図5に示されているように、第1のトルクチューブ取付具400の第1のヨーク504は、第1のU継手402を形成するためにスプライン結合器404の第2のヨーク506に結合される(例えば、十字ジャーナル500および軸受キャップ502を介して)。例示的な方法1200は、第2のU継手を形成するために第2の取付具の第2のヨークを摺動スプラインシャフトの第4のヨークに結合するステップ(ブロック1208)を含む。例えば、
図9に示されているように、第2のトルクチューブ取付具800の第3のヨーク904は、第2のU継手802を形成するために摺動スプラインシャフト804の第4のヨーク906に結合される(例えば、十字ジャーナル900および軸受キャップ902を介して)。
【0030】
例示的な方法1200は、歯車付回転式アクチュエータ(GRA)のシャフトまたは駆動部材の他の出力シャフトにスプラインギヤを結合するステップ(ブロック1210)を含む。例えば、
図4に示されているように、スプラインギヤ406が、第2のGRA222(
図2)の出力シャフト228に結合される。例示的な方法1200は、スプラインギヤをスプライン結合器に挿入するステップ(ブロック1212)を含む。例えば、スプライン結合器404が、スプラインギヤ406が、スプライン結合器404の開口部410に挿入されるようにスプラインギヤ406に移動されてもよい。例示的な方法1200は、スプラインシャフト(例えば、ピニオンギヤ、GRA、またはチューブ支持体)を摺動スプラインシャフトに挿入するステップ(ブロック1214)を含む。例えば、摺動スプラインシャフト804が、入力シャフト212が、摺動スプラインシャフト804の開口部924内に受け入れられるように第1のGRA208の入力シャフト212に移動されてもよい。
【0031】
例示的な方法1200は、スプラインギヤをスプライン結合器に結合する(例えば、固定して結合する)ステップ(ブロック1216)を含む。例えば、
図5から
図7に示されているように、スプライン結合器404は、スプラインギヤ406の3つの孔526、528、530に位置合わせされる3つの孔620、622、624を含む。ネジ付締具518は、スプラインギヤ406をスプライン結合器404に固定して結合するために孔620、622、624、526、528、530に螺合されてもよい。
【0032】
スプライン結合器は、駆動部材の出力に結合されるものとして説明され、摺動スプラインシャフトは、被駆動部材に結合されるものとして説明されているが、トルク管組立体は、逆にして使用されてもよいことが理解される。言い換えれば、摺動スプラインシャフトが、駆動部材のスプラインシャフトに結合され、これにより、駆動部材が、スプライン結合器を駆動してもよい。さらに、例示的なトルク管組立体は、航空機の高揚力装置に関して開示されているが、例示的なトルク管組立体は、回転エネルギーがある駆動シャフトから別の駆動シャフトに伝達される産業または用途で使用され得る。
【0033】
前述の内容から、上に開示されたトルク管組立体およびこれを作製する方法が、上流の一連の駆動部と下流の駆動シャフトとのより柔軟な接続を実現することが認められる。詳細には、トルク管組立体は、航空機の翼またはトルク管組立体が連結される他の構造において発生し得る撓みおよび/または湾曲に適応するように軸方向および角度方向に移動し得る。結果として、トルク管組立体に集中する力または張力がより小さくなり、この結果、トルク管組立体の構造的完全性が改善される。
【0034】
付記項1.航空機の翼に結合される第1の歯車付回転式アクチュエータであって、第1の駆動シャフトを有する第1の歯車付回転式アクチュエータと、
航空機の翼に結合される第2の歯車付回転式アクチュエータであって、第2の駆動シャフトを有する第2の歯車付回転式アクチュエータと、
第1の駆動シャフトと第2の駆動シャフトとの間に結合されるトルクチューブであって、トルクチューブの第1の端部が、第1のU継手によって第1の駆動シャフトに結合され、第1のU継手が、スプライン結合器とトルクチューブの第1の端部に結合される第1の端部取付具との間に形成されるトルクチューブと
を備える装置。
【0035】
付記項2.スプライン結合器が、一体ヨークを含む、付記項1に記載の装置。
【0036】
付記項3.第1の駆動シャフトに結合されるスプラインギヤをさらに含み、スプラインギヤが、スプライン結合器に結合される、付記項1または2に記載の装置。
【0037】
付記項4.トルクチューブの第2の端部が、第2のU継手によって第2の駆動シャフトに結合される、付記項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0038】
付記項5.第2のU継手が、摺動スプラインシャフトとトルクチューブの第2の端部に結合される第2の取付具との間に形成される、付記項4に記載の装置。
【0039】
付記項6.摺動スプラインシャフトが、第2の駆動シャフトに沿って摺動可能である、付記項5に記載の装置。
【0040】
特定の例示的な方法、装置、および製品が、本明細書に開示されているが、本特許の対象の範囲は、これらに限定されない。それどころか、本特許は、本特許の特許請求の範囲内に正当に含まれるあらゆる方法、装置、および製品を含む。