(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の繊維、前記第3の繊維、及び前記第4の繊維の全てが、各セット内に同数の繊維を有する2セットの前記第2の繊維の間に配置されている、請求項11に記載のシートトラック。
前記複合材フレームは、底部支持フランジ、頂部、及び前記底部支持フランジと前記頂部との間に延伸する脚部を備え、前記底部支持フランジは、前記補強コンポーネントに接続された前記頂部と平行である、請求項1に記載のシートトラック。
前記底部支持フランジ、前記頂部、及び前記脚部は一体構造であり、それによって、前記第2の繊維の一部が前記底部支持フランジ、前記頂部、及び前記脚部の間で切れ目なく延伸している、請求項13に記載のシートトラック。
前記複合材フレーム及び前記補強コンポーネントは、前記複合材フレーム及び前記補強コンポーネントの両方を通って延伸し且つ前記複合材フレームの前記第1の繊維の一部と前記第2の繊維の一部を分断する複数の開口を含む、請求項1に記載のシートトラック。
第2の繊維のうちのより多くの繊維を前記荷重に沿って配置するため、前記複合材フレームの脚部を、前記複合材フレームの頂平面部に対して角度決めすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
前記補強コンポーネントから、前記複合材フレームの頂平面部、前記複合材フレームの脚部、及び前記複合材フレームの底部支持体部を通じて、前記底部支持体部に接続された航空機支持ビームに前記荷重を伝達することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の概要】
【0002】
複合材フレームを備えるシートトラックと、こうしたシートトラックの製造方法が提供される。複合材フレームには、異なる配向を有する2セットの繊維が含まれる。第1の繊維はトラックの主軸に平行に延伸していてよい一方、第2の繊維は、その軸に垂直な平面内に延伸していてよい。これらの繊維の様々な特性は、フレームの主軸方向の機械強度が、他の方向の機械強度よりも大きいように、具体的に選択され得る。言い換えれば、この複合材フレームは、異方的特性を有し得る。この差異によって、通常条件と極限条件の両方において、十分な支持が提供されることが確保される。具体的には、通常の動作条件においては、ほとんどの荷重が垂直に向けられ得る一方、極限条件においては、ほとんどの荷重が水平に向けられ得る。複合材フレームの繊維配向を予期される荷重の様々な方向に合わせることによって、非常に軽量でありながら、十分に支持力のあるシートトラックを形成することが可能になる。
【0003】
いくつかの実施形態では、シートトラックには複合材フレームが含まれる。シートトラックはまた、この複合材フレームに取り付けられた補強コンポーネントも含み得る。複合材フレームには、第1の繊維及び第2の繊維が含まれる。複合材フレームはまた、第1の繊維及び第2の繊維に接合された樹脂マトリクスも含み得る。第1の繊維は、シートトラックの主軸に平行に延伸していてよい。第2の繊維は、この主軸に垂直な平面内に延伸していてよい。主軸方向における複合材フレームの機械強度、より具体的には引張強度は、他のいかなる方向における、より具体的には主軸に垂直な平面内のいかなる方向における、複合材フレームの強度よりも大きくてよい。この強度の差異は、第1の繊維と第2の繊維との様々な差異によって提供され得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、複合材フレーム内の第1の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第2の繊維の平均繊維密度よりも大きくてよい。言い換えれば、平均して、単位体積当たりに第2の繊維よりも多くの第1の繊維が存在する。第1の繊維の平均繊維密度の第2の繊維の平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよい。例えば、複合材フレーム中に存在する全ての繊維を考えたとき、第1の繊維は全繊維中の少なくとも約40%を占めてよく、より具体的には少なくとも約50%、さらには少なくとも約60%を占めてさえよい。第2の繊維は約30%未満を占めてよく、より具体的には、約20%未満、さらには約10%未満を占めてさえよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の繊維の平均直径は、第2の繊維の平均直径よりも大きい。さらに、第1の繊維は、第2の繊維の材料とは異なる材料から作られていてよい。例えば、第1の繊維の材料は、第2の繊維の材料よりも高い引張強度を有し得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、複合材フレームの厚さを通じて、第1の繊維及び第2の繊維は不均等に分布している。例えば、複合材フレームは、種々のプライの積層板から形成されていてよく、それによって、1または複数のこれらのプライが第1の繊維を含み、また1または複数の他のプライが第2の繊維を含んでいてよい。厚さを通じた第1の繊維及び第2の繊維の分布は、レイアップ内のプライの配列によって決定され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の繊維の大半、例えば50%より多くは、ほぼ真っ直ぐである。この大半の繊維は、複合材フレームが非平面形状を有していても、例えば複合材フレームのシートの厚さよりも大きい高さを有していても、真っ直ぐであってよい。さらに、第1の繊維の大半は、複合材フレームの長さのほぼ全体にわたって延伸していてよい。第1の繊維のうちのいくつかは、複合材フレーム内の様々な開口によって分断され得る。
【0008】
第2の繊維は、主軸に垂直な平面内で湾曲していてよい。第2の繊維の一部は、複合材フレームの第1のフランジ端と第2のフランジ端の間で切れ目なく延伸していてよい。この一部は、複合材フレーム内のいかなる開口によっても、分断されていることはできない。
【0009】
いくつかの実施形態では、複合材フレームはさらに、第1の繊維に対して約30°〜60°の角度で、また第2の繊維に対して約30°〜60°の角度で配置された、第3の繊維を含み得る。複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第1の繊維の平均繊維密度よりも低い。さらに、複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第2の繊維の平均繊維密度よりも大きくてよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、複合材フレームはさらに、第1の繊維に対して約30°〜60°の角度で、また第2の繊維に対して約30°〜60°の角度で配置された、第4の繊維を含み得る。さらに、第4の繊維は第3の繊維に対して垂直であってよい。例えば、第4の繊維及び第3の繊維は、複合材フレームを形成するのに使用される同一のプライの一部であるか、より具体的には、同一の織布の一部であってよい。複合材フレーム内の第4の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第1の繊維の平均繊維密度よりも低い。さらに、複合材フレーム内の第4の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第2の繊維の平均繊維密度よりも大きくてよい。最後に、複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度とほぼ同じであってよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、複合材フレームは、底部支持フランジ、頂部、及び、底部支持フランジと頂部との間に延伸する脚部を備える。底部支持フランジは、補強コンポーネントに接続された頂部とほぼ平行であってよい。頂部と脚部との間の角度は、約100°と120°の間であってよい。いくつかの実施形態では、底部支持フランジ、頂部、及び脚部は、一体構造であり得る。これらの実施形態では、第2の繊維の一部は、底部支持フランジ、頂部、及び脚部の間を、切れ目なく延伸していてよい。同時に、底部支持フランジ内に延伸する第1の繊維の一部は、頂部または脚部には延伸していることはできない。同様に、頂部内に延伸する第1の繊維の一部は、底部支持フランジまたは脚部には延伸していることはできない。
【0012】
いくつかの実施形態では、複合材フレーム及び補強コンポーネントは、複合材フレーム及び補強コンポーネントの両方を通じて延伸している、複数の開口を含んでいる。この複数の開口は、複合材フレームの第1の繊維の一部及び第2の繊維の一部を分断していてよい。複数の開口は、シートトラックの主軸に沿って列状に配置されていてよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、シートトラックは、複合材フレームに取り付けられた複合材フロア支持体を含んでいる。例えば、複合材フロア支持体は、補強コンポーネントの両側に取り付けられていてよい。複合材フロア支持体は、主軸に平行に延伸する第1の繊維を含み得る。複合材フロア支持体は、主軸とほぼ垂直な平面内に延伸する第2の繊維もまた、含み得る。複合材フロア支持体の第1の繊維及び第2の繊維は、複合材フレームの第1及び第2の繊維と混同されるべきではない。
【0014】
いくつかの実施形態では、主軸に平行な方向における複合材フロア支持体の機械強度、より具体的には引張強度は、主軸とほぼ垂直な平面内の方向における複合材フロア支持体の強度よりも、低い。複合材フロア支持体の第1の繊維の平均繊維密度は、複合材フロア支持体の第2の繊維の平均繊維密度よりも小さくてよい。例えば、複合材フロア支持体の第2の繊維の平均繊維密度の、複合材フロア支持体の第1の繊維の平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよい。いくつかの実施形態では、複合材フロア支持体の頂表面は、補強コンポーネントの頂表面と同一表面である。いくつかの実施形態では、複合材フロア支持体は、接着剤を使用して複合材フレームに取り付けられている。複合材フロア支持体は、ステッチを使用して複合材フレームにさらに取り付けられていてよい。代わりに、いかなる追加のコンポーネントもフロア支持体として使用されずに、補強コンポーネントがフロア支持体として動作可能であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、補強コンポーネントは、接着剤を使用して複合材フレームに取り付けられている。補強コンポーネントは、非複合材コンポーネントであってよい。例えば、補強コンポーネントは、アルミニウムやチタニウムといった金属を含み得る。
【0016】
シートトラックの形成方法も提供される。方法は、非平面の形状を有する複合材フレームを形成することを含み得る。複合材フレームは、樹脂マトリクス中に第1の繊維及び第2の繊維を含み得る。第1の繊維は、シートトラックの主軸に平行に延伸していてよい。第2の繊維は、シートトラックの主軸に垂直な平面内に延伸していてよい。主軸方向における複合材フレームの機械強度、より具体的には引張強度は、主軸に垂直な平面内のいかなる方向における、複合材フレームの強度よりも大きくてよい。方法にはまた、補強コンポーネントを複合材フレームに取り付けることも含まれる。
【0017】
補強コンポーネントの複合材フレームへの取付は、補強コンポーネントと複合材フレームとの間に接着剤を塗布することと、それに続いて、補強コンポーネントと複合材フレームの間にある接着剤を硬化させることを含み得る。複合材フレームが硬化されるのと同時に、接着剤もまた硬化され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、複合材フレームを形成することには、複数のプライを使用してフレームのレイアップを形成することが含まれる。複数のプライのうちの1つは第1の繊維を含み得る一方、複数のプライのうちの別の1つは、第2の繊維を含み得る。さらに、複合材フレームを形成することは、フレームのレイアップを形成することを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法には、複合材フレームを通じて、複数のフレーム開口を形成することが含まれる。複数のフレーム開口は、補強コンポーネントを複合材フレームに取り付けた後に形成され得る。例えば、複数の補強コンポーネント開口は、複数のフレーム開口を形成する間、アンビルとして使用されてよい。代替方法では、複数の補強コンポーネント開口と複数のフレーム開口は、同一の工程で形成される。
【0020】
シートトラックを使用したシートの支持方法も、また提供される。方法は、シートから、シートトラックの補強コンポーネント及び複合材フレームに、荷重を分配することを含み得る。荷重分配中、補強コンポーネント及び複合材フレームは、連結されていてよい。補強コンポーネントは、金属を含み得る。複合材フレームは、第1の繊維及び、第1の繊維とは異なる方向を有する第2の繊維を含み得る。荷重は、標準動作(例えば乗客重量の支持)及び非標準動作(例えば緊急着陸)を含み得る、シートの様々な動作中に生成され得る。種々の動作中の荷重は、種々であり得る。いくつかの実施形態では、方法には、シートから複合材フレームを通じて航空機支持ビームへと荷重を流すことが、さらに含まれる。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法には、補強コンポーネントから、複合材フレームの頂平面部、複合材フレームの脚部、及び複合材フレームの底部支持体部分を通じて、底部支持体部分に接続された航空機支持ビームに荷重を伝達することが、さらに含まれる。この方法は、シートから、シートトラックの補強コンポーネント及び複合材フレームに、荷重を分配することの一部であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法には、応力集中エリアを縮小するため、複合材フレームのコーナー半径をサイズ決めすることがさらに含まれる。複合材フレームのコーナー半径は、少なくとも約0.25インチ、例えば約0.5インチであってよい。座屈、剥離、繊維不連続、及び他の負の効果を防止するためには、複合材構造体にとってより大きな半径が望ましい一方、複合材フレームのコンパクトさ、及びその結果としての軽量性を確保するために、複合材フレームのコーナー半径は約0.5インチまたはそれ未満に保たれていてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法には、ファスナの圧縮力を補強コンポーネントに作用させることがさらに含まれる。この工程は、シートをシートトラック、より具体的にはシートトラックの補強コンポーネント及び複合材フレームに締着することの一部であり得る。これらは、この締着の工程中あるいはそれに先立って、互いに連結されていてよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法には、複合材フレームの頂平面部から複合材フレームの脚部まで、第1の半径で移行することがさらに含まれる。方法はまた、複合材フレームの脚部から複合材フレームの底部支持部まで、第2の半径で移行することも含み得る。第1の半径は、少なくとも約0.25インチ、例えば約0.5インチであってよい。第2の半径は、少なくとも約0.25インチ、例えば約0.5インチであってよい。上記のように、座屈、剥離、繊維不連続、及び他の負の効果を防止するためには、複合材構造体にとってより大きな半径が望ましい一方、複合材構造体のコンパクトさ、及びその結果としての軽量性を確保するために、複合材フレームの第1の半径及び/または第2の半径は、約0.5インチまたはそれ未満に保たれていてよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、より多くの第2の繊維を荷重に沿って、より具体的には予期される荷重、特に最大予想荷重の方向に沿って、配置するため、複合材フレームの脚部を複合材フレームの頂平面部に対して角度決めすることをさらに含み得る。例えば、シートトラックは、軸方向の荷重を最も支持し、次いで垂直方向の荷重、そして若干の側面荷重を支持するように設計され得る。垂直荷重及び側面荷重の組み合わせは、脚部と頂平面部との間の角度の決定に使用され得る。この角度は、約100°と120°の間、例えば約110°であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法には、補強コンポーネントを複合材フレームの上方に配置することがさらに含まれる。さらに、この工程は、補強コンポーネントを2つの複合材フロア支持体の間に配置することを含み得る。フロア支持体は、フロアからの荷重を支えるのに使用され得る。フロアからの荷重は、シートにかかる荷重とは異なり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法にはさらに、シートトラックの主軸に対して0°の配向を有する第1の繊維を含む1または複数のプライを位置合わせすることが含まれる。具体的には、1または複数のプライは、第1の繊維が複合材フレーム内でこの0°の配向であることを確保するために、位置合わせされている。同様に、方法は、シートトラックの主軸に対して90°の配向を有する第2の繊維を含む1または複数のプライを位置合わせすることを含み得る。第2の繊維を含む1または複数のプライは、第1の繊維を含む1または複数のプライとは異なっていてよい。このため、第1の繊維の配向は、第2の繊維の配向からは独立して実施され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法には、複合材フロア支持体を、複合材フレームに片持ち梁式に取り付けることがさらに含まれる。フロア支持体は、本開示に記載の1または複数の技法によって、複合材フレームに取り付けられていてよい。さらに、複合材フレームの一部は、フロア支持体として動作可能であってよい。言い換えれば、複合材フレームとフロア支持体は、画定された界面を持たない一体構造であり得る。例えば、複合材フレームとフロア支持体は、複合材プライの同一のレイアップから形成されていてよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法には、複合材フロア支持体を複合材フレームに接合することが、さらに含まれる。この接合は、複合材フロア支持体と複合材フレームとの間に接着剤を塗布すること、及びこの接着剤を硬化させることを含み得る。この接合は、接着剤を塗布することに加えてまたは代えて、複合材フロア支持体を複合材フレームにステッチすることを含み得る。
【0030】
航空機の支持ビームへのシートの取付方法も、また提供される。方法には、シートを補強コンポーネント及び複合材フレームに締着することと、補強コンポーネントを航空機支持ビームに締着することとが含まれる。補強コンポーネントは、複合材フレームに連結される。補強コンポーネントは、金属を含んでいる。複合材フレームには、第1の繊維及び、第1の繊維とは異なる方向を有する第2の繊維が含まれる。
【0031】
補強コンポーネントは、複合材フレームの頂平面部に連結されていてよく、一方で、航空機支持ビームは、複合材フレームの底部支持部に締着されていてよい。頂平面部と底部支持部とは、複合材フレームの脚部によって接続されていてよい。複合材フレームの頂平面部と複合材フレームの脚部との間の移行部の第1の半径は、少なくとも約0.25インチ、より具体的には、約0.5インチであり得る。複合材フレームの脚部と複合材フレームの底部支持部との移行部の第2の半径は、少なくとも約0.25インチ、より具体的には、約0.5インチであり得る。複合材フレームの第1の繊維のうち、シートから航空機支持ビームに伝達される荷重に沿って延伸する繊維が、他のいかなる方向に延伸する繊維よりも多くなるようにして、複合材フレームの脚部が複合材フレームの頂平面部に対して角度付けされている。複合材フレームの脚部と複合材フレームの頂平面部との間の角度は、約100°と120°の間、より具体的には、約110°であり得る。
【0032】
これらの実施形態及び他の実施形態について、図を参照して下記でさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の記載では、提示される概念の包括的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が明記される。提示される概念は、これらの具体的な詳細の一部または全部を含まずに実践され得る。他の事例においては、記載される概念を不必要に分かりにくくしないように、周知のプロセス工程については詳細に記載していない。いくつかの概念は特定の実施形態と関連させて記載するが、これらの実施形態が限定を意図していないことを理解されたい。
【0035】
序論
伝統的に、シートトラックはアルミニウムまたはチタニウムといった金属から作られる。しかし、これらの金属製シートトラックは、重い可能性があり、及び/または、例えば緊急着陸中の急加速または急減速といった一定の極限条件下では、その重量にとって望ましい強度以下の強度しか備えていない可能性がある。金属は、本来的に等方的な機械特性を有する。このため金属の構造は、例えばシートトラック、特に旅客機のシートトラックといった、種々の方向に種々の機械強度が必要である用途にとっては、理想的ではない可能性がある。特定の予想荷重に合わせて調整することができる材料を使用することには、利点がある。具体的には、十分な支持を提供しながら、より小さくより軽い構造体を使用することが可能である。
【0036】
複合材料は、異方的特性を持って形成され得るが、一方で、金属コンポーネントを、同一の設計を持つ複合材コンポーネントで直接代替することは、しばしば不可能である。例えば、従来型のシートトラックの設計は、複合材料で形成された場合、様々な繊維の不連続、座屈、及び他の問題につながりかねない。具体的には、従来型の設計は、シートをトラックにボルト止めするのに用いられる、大型で近接して位置する開口(複数)の配列を有している。これらの開口は繊維の連続性に影響し得、繊維の方向に沿った実質強度の喪失につながり得る。この不連続は、シートトラックに対して限界荷重がかけられたときに特に問題となり得る。さらに、複合材シートトラックは、0.125’’未満の半径または0.25’’未満でさえある半径の鋭利な角といった、タイトな半径を有しないかもしれない。これらのタイトな半径もまた、繊維強化構造体にとっては困難であるだろう。
【0037】
複合材フレームを備えるシートトラックが提供される。複合材フレームは、少なくとも2セットの繊維を含み、各セットが残りのセットとは異なる配向を有している。第1の繊維はシートトラックの主軸に平行に延伸していてよい一方、第2の繊維は、主軸に垂直な平面内に延伸していてよい。これらの繊維の方向、タイプ、密度、及び他の特性は、シートトラックの予想荷重に基づいて選択される。例えば、第1の繊維は、急加速中または急減速中の荷重といった、主軸に沿った荷重を支持し得る。第2の繊維は、シート、乗客、フロアの重量、及び垂直方向の他の荷重を支持し得る。例えば、シートトラックの種々の部分間での荷重の伝達を確保するため、さらなる繊維が存在し、他の方向に延伸していてよい。シートトラックは、シートトラックの主な表面のそれぞれが別のプライで形成されていてよいか、または別のプライのレイアップによって形成されていてさえよい。複数の別のレイアップが使用される場合、これらのレイアップの構成要素は、例えば接着剤及び/またはステッチを用いて互いに取り付けられ得る。さらに、同一のシートトラックの種々のレイアップは、同時に硬化され得、いくつかの実施形態では、硬化接着剤と共に硬化され得る。種々の複合材部品はまた、金属部品とも共に組み合わされ得る。例えば、繊維の不連続の代償として、開口の周辺で金属補強コンポーネントが使用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ほとんどが複合材構造体から形成されているシートトラックは、同等のチタニウム製シートトラックよりも軽くなり得、及び/または、複合材構造体の異方的特性によって、主軸に沿った方向にシートに対してより多くの機械的支持を提供し得る。例えば急加速中及び急減速中といった極限状態においてシートを所定の位置に保持するため、この追加の支持は重要である。いくつかの実施形態では、製造における複雑性を低減するため、シートトラックは、一定の断面を有し得、主軸に沿って、曲がることなく延伸していてよい。
【0039】
本開示の目的に関しては、ほとんどが複合材構造体から形成されたシートトラックは、複合材シートトラックと称されてよい。しかし、このタイプのシートトラックが、例えば金属といった非複合材料をいくらか含んでよいことは、当業者によって理解されるであろう。例えば、シートトラックは、金属の補強コンポーネントを含み得る。さらに、種々の複合材コンポーネントを互いに(ある例では非複合材コンポーネントに)取り付けるため、接着剤が使用されてよい。最後に、シートトラックは、複数の異なる複合材コンポーネントを含み得、それによってこれらの複合材コンポーネントの機械特性は種々のものになり得る。
【0040】
複合材シートトラックの様々な特徴をより良く理解するため、
図1Aが提示される。この図は、複合材のシートトラックの1つの施用を示している。具体的には、
図1Aは、いくつかの実施形態による、フロアビーム162及び、フロアビーム162に接続され、フロアビーム162によって支持されているシートトラック100が示されている、航空機1102の概略断面図である。この断面図は、
図9で矢印1A−1Aによって概略的に特定される。この概略断面図は縮尺どおりに描かれていなくてよく、むしろいくつかのエレメントは明確化のため誇張されている。例えば、シートトラック100は、実際の縮尺よりもずっと大きく示されている。フロアビーム162は、この断面図の下半分にあってよい。さらに、貨物室の床はもっとキールに近接していてよく、支柱は、ストリンガで補強されている外板を円周方向に支持しているフープ型のフレーム内で終わっていてよい。シートトラック100が他の用途、具体的にはバス、電車、及び/またはボートといった他の輸送体に用いられてよいことは、当業者によって理解されるであろう。航空機1102の様々な態様及び特徴は、以下で
図8及び9を参照して記載される。航空機1102及びシートトラック100の配向は、X軸、Y軸、及びZ軸によって特定される。Y軸は、航空機1102の主軸と平行であり、シートトラック100の主軸と平行である。
【0041】
図1Bは、いくつかの実施形態による、2つのシートトラック100を支持するフロアビーム162の概略断面図である。
図1Bに示すように、シートトラック100は、フロアビーム162にボルト止めされていてよい。インターロック、リベット止め、接着、ステッチ、締着、及びボンディングといった、他の取付形態もまた、範囲の内である。
図1Cを参照して以下でさらに記載されるように、シートトラック100は、シートトラック100をフロアビーム162または他の支持コンポーネントに対してボルト止めまたは他によって取り付けするための、底部開口107を有し得る。底部開口107は、例えば
図1C及び6Bに示すように、複合材フレーム110の底部支持体114内に設けられていてよい。
【0042】
シートトラック100に取り付けられているシート164もまた、
図1Bに示される。例えば、シート164は、(頂部開口とも称され得る)開口102を使用してシートトラック100にボルト止めされていてよい。インターロッキングといった他の形態の取り付けもまた、範囲の内である。Y方向に沿ったシート164の位置調整を可能にするため、シートトラック100内に、複数の近間隔で配置された開口102が設けられてよい。
【0043】
図1Bはまた、2つの隣接するシートトラック100同士の間に延伸し、これらのシートトラック100によって支持されている、フロアボード160も示している。
図1C及び
図5A〜5Dを参照して以下でさらに記載するように、シートトラック100は、フロアボード160を支持するフロア支持体130を有し得る。フロア支持体130は、X−Y平面と平行に延伸しフロアボード160に接触する、頂表面を有し得る。特に危機的状況においてフロアボード160内で行使される典型的な荷重が、シート164に対して行使される典型的な荷重よりも実質的に小さくてよいことは、留意されるべきである。
【0044】
シートトラックの実施例
図1Cは、いくつかの実施形態によるシートトラック100の概略斜視図である。シートトラック100は、Y軸と平行であってよい主軸101に沿って、延伸している。シートトラック100には、複合材フレーム110及び、いくつかの実施形態では、複合材フレーム110に取り付けられた補強コンポーネント120が含まれる。シートトラック100は、複合材フレーム110に取り付けられた複合材フロア支持体130a及び130bも、また含み得る。これらのコンポーネントの各々については、ここでより詳細に説明する。
【0045】
複合材フレーム110は、樹脂マトリクス113中に第1の繊維119a及び第2の繊維119bを含んでいる。第1の繊維119a及び第2の繊維119bが、
図1Cに破線で概略的に示されている。第1の繊維119a及び第2の繊維119bのうちのあるものは、複合材フレーム110の表面では不可視であり得るためである。当業者は、第1の繊維119a及び第2の繊維119bの相対的な方向を、この概略図から理解するであろう。例えば
図4Aを参照して以下で記載されるように、また
図1Dで概略的に示されるように、複合材フレーム110は、複数のプライから形成されていてよい。具体的には、
図1Dは、複合材フレーム110を形成する種々のプライ401〜405を示す、複合材フレームの部分180の概略断面図である。複合材フレームの部分180は、
図1Cでは破線円で概略的に特定されている。
図1Dはまた、種々のプライ401〜405も示している。本例では、第1の繊維119aはプライ401及び405内に配置され、本図と垂直の方向に配向されている。第2の繊維119bはプライ403内に配置され、X軸に沿って配向されている。プライ401〜405及び、これらのプライ内の別の繊維のさらなる例は、以下で
図4Aに関連して記載される。プライの数やこれらのプライの配向、またしたがってこれらのプライの中の繊維の配向が、種々であり得、また複合材フレーム110に加えられる予想荷重に依存し得ることは、当業者に理解されるであろう。
【0046】
最上プライは、例えば0°の配向で特定される第1の繊維119aといった、1つの方向に延びる繊維を含み得、例えば90°の配向で特定される第2の繊維119bといった、他の層に含まれる繊維をブロックし得る。そのため、第1の繊維119a及び第2の繊維119bの両方が同一のプライ内に設けられていない限り、複合材フレーム110の表面に第1の繊維119a及び第2の繊維119bの両方が見えることは不可能であり得る。第1の繊維119a及び第2の繊維119bのより典型的な図が、
図4Aで示され、以下でさらに記載される。当業者は、形成された複合材フレーム110内における第1の繊維119a及び第2の繊維119bの相対的な方向を、
図1Cに示す概略図から理解するであろう。第1の繊維119aは、シートトラック100の主軸101に平行に延伸している。第2の繊維119bは、シートトラック100の主軸101に垂直な面103内に延伸している。第1の繊維119a及び第2の繊維119bの配向は、
図1C及び
図3Bに点線で概略的に示されている。第1の繊維119a及び第2の繊維119bは複合材フレーム110内に組み込まれており、不可視であってよいことを、当業者は理解するであろう。
【0047】
第1の繊維119a及び第2の繊維119bの配向、タイプ、密度、及び他の特性は、複合材フレーム110の荷重支持要件に基づいて設計された複合材フレーム110の異方的機械特性を実現するために、具体的に選択される。例えば、主軸101の方向への複合材フレーム110の引張強度は、主軸101に垂直な平面103内の任意の方向への複合材フレーム110の引張強度よりも大きくてよい。この引張強度の差異は、第1の繊維119aと第2の繊維119bとの差異によって提供され得る。いくつかの実施形態では、複合材フレーム110は、シートトラック110のメインの耐荷重コンポーネントである。
【0048】
ここで、種々の荷重支持要件が、
図2A〜2Cを参照して記載される。具体的には、
図2Aは、いくつかの実施形態によるシートトラック100の概略断面図である。
図2B及び2Cは、シートトラック100の種々の動作条件下でシートトラック100に加えられた種々の力190及び195を示す、
図2Aのシートトラック100の概略的側面図である。複合材フロア支持体130b及び底部支持フランジ114は、参照目的ですべて3桁の数字で特定されている。
【0049】
通常の動作条件下では、シートトラック100は、主にZ軸に沿って指向されている力190を受け得る。例えば、
図2B及び2Cに示すように、力190はZ軸と反対方向であってよい。力190は、シートトラック100に対して行使される、シート及び乗客の重量によって生じ得る。通常動作条件下であっても、力190は、航空機の通常の加速中または減速中の力といった、Y軸に沿って延伸する成分を有し得ることは、留意されるべきである。しかし、このY成分はZ成分よりも小さくてよく、したがって明確化のため、
図2B及び2Cには示さない。
【0050】
急加速または急減速、衝撃、及び着地といった極限動作条件下では、シートトラック100は、主にY軸に沿って指向された力195を受け得る。力195は、いくらかのZ成分もまた有し得るが、この成分はY成分に比べて実質的に小さくてよい。Z成分は、
図2B及び2Cに対比して示すように、どちらの方向であってもよい。
【0051】
通常の動作条件と極限の動作条件とを両方考慮に入れると、シートトラック100は、Z方向に沿ってよりもY方向に沿って、より多くの機械的支持を提供する必要がある。この差異は、Z方向よりもY方向により高い機械的強度を有し得る異方性構造に、より良く適合する。比較すると、一般的に当方性構造においては、
より大きな荷重の方向に向けて適度な支持が与えられるように、より小さな荷重の方向に向けては過大設計される必要がある。Y方向と平行に延伸する主軸101の方向への複合材フレーム110の機械的強度(具体的には引張強度)は、Y−Z平面に平行に延在する平面103内の任意の方向への複合材フレーム110の引張強度よりも大きくてよい。
【0052】
シートトラック100内の、即ち具体的には複合材フレーム110内の強度差は、第1の繊維119aと第2の繊維119bとの差異によって提供され得る。例えば、複合材フレーム110内の第1の繊維119aの平均繊維密度は、第2の繊維の平均繊維密度よりも高くてよい。言い換えれば、1単位体積の複合材フレーム110に関して、この単位体積の第1の繊維119aの数は、第2の繊維119bの数よりも大きい。平均繊維密度は、また平均繊維濃度とも呼ばれ得る。第1の繊維119a及び第2の繊維119bの全体の数は、種々の方向に沿った複合材フレーム110のサイズに依存すること、並びに、例えば複合材フレーム110がY方向に特に長い場合には、第1の繊維119aの全体の数が第2の繊維119bの全体の数よりも実は少なくてよいことは、留意されるべきである。さらに、シートトラック100内の第1の繊維119a及び第2の繊維119bの分布は不均一であってよく、シートトラック100全体の平均値が考慮されてよいことは、留意されるべきである。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の繊維119aの平均繊維密度の第2の繊維119bの平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよく、さらには約4と8の間であってさえよい。例えば、複合材フレーム110中に存在する全ての繊維をベースにすると、第1の繊維119aは、複合材110内の全繊維中の少なくとも約40%を占めてよく、より具体的には少なくとも約50%、さらには少なくとも約60%を占めてさえよい。第2の繊維119bは、複合材フレーム110内の全繊維中の約30%未満を占めてよく、より具体的には、約20%未満、さらには約10%未満を占めてさえよい。
【0054】
これらの比は、種々の方向の予想荷重に基づいて選択されてよい。
図2A〜2Cを参照して上記されたように、最大荷重コンポーネントは、Y軸に沿ってであってよい。そのため、これと同じ方向に延伸している第1の繊維119aの平均繊維密度が、最大であってよい。
【0055】
概して、種々の方向に加えられる荷重に対抗する複合材構造体の強度に変化を持たせるためには、複数の方法がある。上記の繊維密度は、1つの方法である。他の方法には、より高係数の繊維を使用することが含まれる。この手法では、繊維密度は種々の方向で同じであってよい。さらに、体積全体の中での、具体的には厚さの中での種々の繊維の分布は、例えば複合材構造体を形成するのに使用されているプライの順序を変更することによって、変化し得る。
【0056】
強度の差は、種々の方向に種々のタイプの繊維を用いることによっても達成され得る。例えば、第1の繊維119aの平均直径は、第2の繊維119bの平均直径よりも大きくてよい。さらに、第1の繊維119aは、第2の繊維119bの材料とは異なる材料から作られていてよい。例えば、第1の繊維119aの材料は、第2の繊維119bの材料よりも高い引張強度を有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の繊維119a及び第2の繊維119bは、複合材フレーム110の厚さ111bにわたって不均等に分布している。例えば
図1Cに示すように、複合材構造体110の厚さ111bとは、Z方向への複合材構造体110全体の高さであるよりはむしろ、Z方向へのシートの厚さである。第1の繊維119a及び第2の繊維119bの不均等な分布は、製造中に制御され得る。例えば、ここで
図4Aを参照して記載されるように、複合材フレーム110は、種々のプライの積層板から形成されていてよく、1または複数のこれらのプライは第1の繊維119aを含み、また1または複数の他のプライは第2の繊維119bを含むというようであってよい。
【0058】
図4Aは、いくつかの実施形態で複合材フレーム110を形成するのに使用され得る、フレームのレイアップ400の例を示す。この例では、フレームのレイアップ400は、5つのプライ401〜405を含んでいる。しかし当業者は、任意の数のプライが使用され得ることを理解するだろう。
図4Aは、プライ401〜405のそれぞれが繊維を含んでいる例を示している。しかし、他の例では、いくつかのプライに繊維が含まれていなくてもよい。
【0059】
図4Aに示す例を参照すると、第1のプライ401は、Y軸に沿って延伸する第1の繊維119aを含んでいる。第4のプライ402は、Y軸及びX軸に対して45°に延伸する、第3の繊維119cを含んでいる。第3のプライ403は、X軸に沿って延伸する第2の繊維119bを含んでいる。第4のプライ404は、Y軸及びX軸に対して45°、第3の繊維119cに対して90°に延伸する、第4の繊維119dを含んでいる。最後に、第5のプライ405は、Y軸に沿って延伸する第1の繊維119aを含んでいる。種々の配向を持つ繊維は、同じプライの一部として設けられてよいことは、留意されるべきである。例えば、第3の繊維119c及び第4の繊維119dは、同じプライ、具体的にはフレームレイアップ内で使用される1つの織布の、一部であってよい。形成された複合材フレーム110内の全繊維の配向は、
図3Bに示されている。
【0060】
複合材フレーム110がフレームレイアップ400から形成されている場合、第1の繊維119aは複合材構造体110の表面付近に位置していてよく、一方で第2の繊維119bは複合材構造体110のより中央近くに位置していてよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、例えば
図1Cに概略的に示すように、第1の繊維119aの大半はほぼ真っ直ぐである。具体的には、複合材フレーム110が非平面形状170を有しているにも関わらず、第1の繊維119aは真っ直ぐであってよい。第1の繊維119aは、屈曲を有しない方向に延伸している。この特徴によって、ほとんどの荷重支持が第1の繊維119aによることが確保される。
【0062】
さらに、例えば
図1C及び
図3Bで概略的に示すように、第1の繊維119aの大多数は、複合材フレーム110の長さ111aのほぼ全体にわたって延伸していてよい。そのため、第1の繊維119aのこの一部は、長繊維と称され得る。長繊維が、例えば短繊維、充填粒子といった不連続な例よりも、概してより良い荷重支持を提供することは、留意されてよい。
【0063】
例えば
図1C及び
図3Bで概略的に示すように、第1の繊維119aのうちの一部は、複合材フレーム110内の様々な開口によって、分断されていてよい。例えば、主軸101の隣に位置する第1の繊維119aは、シートを取り付けるのに使われる開口102によって分断されていてよい。第1のフランジ端115aに隣接する第1の繊維119a及び第2のフランジ端115bに隣接する第1の繊維119aは、例えば、複合材フレーム110をフロアビーム162に取り付けるのに使われる底部開口107によって分断されていてよい。この繊維の不連続は、補強コンポーネントによって緩和され得る。例えば、
図5Bは開口102の周囲に配置された補強コンポーネント120を示している。
図5Bもまた、それぞれ底部開口107a及び107bの周囲に位置する、補強コンポーネント125a及び125bを示している。
【0064】
第2の繊維119bは、主軸101に垂直な平面103内で湾曲していてよい。例えば
図3Bに示すように、第2の繊維119bの一部119b’は、複合材フレーム110の第1のフランジ端115aと第2のフランジ端115bの間に、切れ目なく延伸していてよい。この一部119b’は、複合材フレーム110内のいかなる開口によっても、分断されていることはできない。別の一部119b’’は、
図3Bに示すように、開口102、底部開口107、またはその両方によって分断されていてよい。
【0065】
例えば
図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、複合材フレーム110は、第1の繊維119aに対して、及び第2の繊維119bに対して、約30°と60°の間の角度で配置された、第3の繊維119cをさらに含んでいる。複合材フレーム110内の第3の繊維119cの平均繊維密度は、第1の繊維119aの平均繊維密度よりも低い。例えば、第1の繊維119aの平均繊維密度の第3の繊維119cの平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよい。さらに、複合材フレーム110内の第3の繊維119cの平均繊維密度は、複合材フレーム110内の第2の繊維119bの平均繊維密度よりも高くてよい。例えば、第3の繊維119cの平均繊維密度の第2の繊維119bの平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、複合材フレーム110は、第1の繊維119aに対して、及び第2の繊維119bに対して約30°と60°の間の角度で、またある場合には第3の繊維119cに対して垂直に、配置されたた第4の繊維119dをさらに含んでいる。例えば、第4の繊維119d及び第3の繊維119cは、複合材フレーム110を形成するのに使用される同一のプライの一部であるか、より具体的には、同一の織布の一部であってよい。複合材フレーム110内の第4の繊維119dの平均繊維密度は、第1の繊維119aの平均繊維密度よりも低くてよい。例えば、第1の繊維119aの平均繊維密度の第4の繊維119dの平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよい。さらに、複合材フレーム110内の第4の繊維119dの平均繊維密度は、第2の繊維119bの平均繊維密度よりも高くてよい。例えば、第4の繊維119dの平均繊維密度の第2の繊維119bの平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には3と10の間であってよい。最後に、第3の繊維119cの平均繊維密度は、第3の繊維119cの平均繊維密度とほぼ同じであってよい。例えば、第4の繊維119dの平均繊維密度の第3の繊維119cの平均繊維密度に対する比は、約0.1と10の間であってよく、より具体的には約0.5と2の間であってよい。上記のように、各タイプの繊維の平均繊維密度は、この方向の予想荷重に基づいて選択され得る。第3の繊維119c及び第4の繊維119dは、複合材フレーム内で交差接合を確立し、層間剥離や他のマイナス効果を防止するためにも用いられ得る。
【0067】
例えば
図3Aに示すように、いくつかの実施形態では、複合材フレーム110は、底部支持フランジ114、頂部116及び、底部支持フランジ114と頂部116との間に延伸する脚部118を含んでいる。底部支持フランジ114は、頂部116とほぼ平行であってよい。頂部116と脚部118との間の角度117は、100°と120°の間、例えば110°である。この角度によって、第1の繊維119a及び第2の繊維119bに対する種々の荷重の方向が決定される。なぜならば、複合材フレーム110はこれらの荷重をシート164から航空機支持ビーム162に対して伝達するからである。繊維配向、所望の配向を持つプライの数、及びシートトラックのウエブの角度によって、複合材フレーム110内を通る荷重経路が作成され、複合材フレーム110内で荷重に反応する手段が提供される。例えば
図3A及び3Bに概略的に示すように、いくつかの実施形態では、底部支持フランジ114、頂部116、及び脚部118は一体構造であり、それによって第2の繊維119bの一部が底部支持フランジ114、頂部116、及び脚部118の間を切れ目なく延伸している。同時に、底部支持フランジ114内に延伸する第1の繊維119aの一部は、頂部116または脚部118内に延伸していることはできない。同様に、頂部116内に延伸する第1の繊維119aの一部は、底部支持フランジ114または脚部118には延伸していることはできない。
【0068】
いくつかの実施形態では、シートトラック100は、複合材フレーム110と補強コンポーネント120の両方を通って延伸する開口102を含んでいる。例えば
図5Aに示すように、具体的には、複合材フレーム110はフレーム開口112を含み、一方で補強コンポーネント120は補強コンポーネント開口122を含む。補強コンポーネント開口122は、フレーム開口112と位置合わせされていてよく、合わせてシートトラック100の開口102を形成していてよい。
図3Bに概略的に示すように、開口102は、複合材フレーム110の第1の繊維119aの一部及び第2の繊維119bの一部を、分断していてよい。開口102は、シートトラック100の主軸101に沿って1列で配列されていてよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、シートトラック100は、複合材フレーム110に取り付けられた複合材フロア支持体130を含んでいる。例えば
図1Cに示すように、補強コンポーネント120が使用される場合、複合材フロア支持体130(複数)は、補強コンポーネント120の両側に位置していてよい。例えば
図3C及び3Dに概略的に示すように、複合材フロア支持体130は、主軸101に平行に延伸する、第1の繊維139aを含んでいてよい。
図1C、3C及び5A〜5Dでは複合材フロア支持体130は一体構造として示されているが、複合材フロア支持体130は、複数の構成要素、例えば繊維139a及び139b、並びに他の構成要素を有していることは、留意されるべきである。さらに、
図1E及び4Bに概略的に示すように、またこれら2点の図面を参照して以下に記載するように、複合材フロア支持体130は、レイアップを積層することによって形成されていてよい。
【0070】
複合材フロア支持体130はまた、主軸101とほぼ垂直な平面103内に延伸する、第2の繊維139bも含み得る。複合材フロア支持体130の第1の繊維139a及び第2の繊維139bは、複合材フレーム110の第1の繊維119a及び第2の繊維119bとは混同されるべきでない。複合材フロア支持体130と複合材フレーム110は、異なる機能を持ち、異なる荷重を受ける。結果として、複合材フロア支持体130と複合材フレーム110は、異なる繊維配向、具体的には異なる繊維特性を有し得る。
図1Eは、いくつかの実施形態による複合材フロア支持体の部分182の概略断面図であり、種々のプライ422〜428及び、これらのプライ内の種々の繊維139a〜139bを示している。フロア支持体の部分182は、
図1Cでは破線円で概略的に特定されている。プライの数やこれらのプライの配向、またその結果これらのプライの中の繊維の配向が、種々であり得、また複合材フロア支持体130に加えられる予想荷重に依存し得ることは、当業者に理解されるであろう。さらに、複合材フロア支持体130内の繊維の配向が複合材フレーム110内のそれと異なり得ることは、留意されるべきである。
【0071】
いくつかの実施形態では、主軸101に平行な方向への複合材フロア支持体130の引張強度は、主軸101にほぼ垂直な平面103内の方向への複合材フロア支持体130の引張強度よりも小さい。複合材フロア支持体130の第1の繊維139aの平均繊維密度は、複合材フロア支持体130の第2の繊維139bの平均繊維密度よりも小さくてよい。例えば、第2の繊維139bの平均繊維密度の第1の繊維139aの平均繊維密度に対する比は、約2と20の間であってよく、より具体的には約3と10の間であってよい。複合材フロア支持体130内の繊維配向の例は、
図3D及び
図4Bに示されている。具体的には、
図4Bは、複合材フロア支持体130の製造に使用され得る、レイアップ420の例である。レイアップ420は、繊維139bを含む第1のプライ422と、繊維139cを含む第2のプライ424と、繊維139aを含む第3のプライ426と、こちらも繊維139bを含む第4のプライ428とを含むものとして示されている。主軸101は、レイアップ420内の繊維139a〜139bの、互いに対する、及びシートトラック100内の他の構成要素に対する、配向を表すための参照用として示されている。例えば、繊維139aは0°の配向を有し得、一方で繊維139bは90°の配向を有し得る。繊維139cは、+/−45°の配向を有する網目の一部であり得る。これらの配向は、
図3Dを参照して上記にも記されている。
【0072】
例えば
図5A及び5Bに示すように、いくつかの実施形態では、複合材フロア支持体130の頂表面は、補強コンポーネント120の頂表面と同一表面上にある。補強コンポーネント120は、フロアボードとオーバーラップし、支持を提供してもまたよい。例えば
図5Cに示すように、いくつかの実施形態では、補強コンポーネント120が、別々のフロア支持体130(複数)を代替している。これらの実施形態では、補強コンポーネント120の部分(複数)が、複合材フロア支持体130a及び130bの機能を果たし得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、複合材フロア支持体130は、接着剤104を使用して複合材フレーム110に取り付けられている。接着に加えてまたは代えて、他の取付方法もまた使用され得る。例えば、
図5Aで概略的に示すように、複合材フロア支持体130は、ステッチ105を用いて複合材フレーム110にさらに取り付けられ得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、補強コンポーネント120は、接着剤104を使用して複合材フレーム110に取り付けられている。補強コンポーネント120は、非複合材コンポーネントであり得る。例えば、補強コンポーネント120は、アルミニウムやチタニウムといった金属を含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、複合材フレーム110は、フロアビームによって直接支持されていなくてよい。代わりに、シートトラック100は、例えば
図5Dに示すように、複合材フレーム110に取り付けられた複合材脚部140a及び140bを有していてよい。これらの実施形態では、複合材フレーム110ではなく、複合材脚部140a及び140bが、フロアビームに取り付けられている。さらに、複合材フロア支持体130bは、複合材脚部140bに取り付けられていてよい。複合材フレーム110は、複合材フロア支持体の対130bと複合材脚部の対140bとの間のブリッジとして動作可能であってよい。
【0076】
シートトラック形成の実施例
図6Aは、いくつかの実施形態による、シートトラック100を形成する方法600に対応するプロセスフロー図である。方法600は、工程610中で、複合材フレーム110を形成することを含み得る。複合材フレーム110の様々な例が、
図1C、3A、3B、4A、及び5A〜5Dを参照して上記されている。
図1C、3A、3B、4A、及び5A〜5Dでは複合材フレーム110は一体構造として示されているが、複合材フレーム110が、繊維119a及び119b、並びに樹脂マトリクス113を含む複数層の積層板であることは、留意されるべきである。さらに、
図1D及び4Aに概略的に示すように、またこれら2点の図面を参照して記載するように、複合材フレーム110は、積層されたレイアップによって形成されていてよい。
【0077】
例えば
図3Aに示すように、いくつかの実施形態では、複合材フレーム110は非平面形状170を有している。そのため、Z方向における複合材フレーム110の高さ111cは、同方向におけるシートの厚さ111bよりも大きい。上記のように、複合材フレーム110は、樹脂マトリクス113中に第1の繊維119a及び第2の繊維119bを含み得る。第1の繊維119aは、シートトラック100の主軸101に平行に延伸していてよい。第2の繊維119bは、シートトラック100の主軸101に垂直な面103内に延伸していてよい。主軸101の方向への複合材フレーム110の引張強度は、主軸101に垂直な平面103内の任意の方向への複合材フレーム110の引張強度よりも大きくてよい。
【0078】
工程610中の複合材フレーム110の形成には、オプションの工程612中のフレームレイアップ400の形成が含まれていてよい。例えば
図4Aで概略的に示すように、またこの図面を参照して上記されたように、フレームレイアップ400は、複数のプライ401〜405を使用し得る。複数のプライ401〜405のうちの1つは、第1の繊維119aを含み得、一方でこれらのプライ401〜405のうちの別の1つは、第2の繊維119bを含み得る。プライ401〜405内の繊維の配向と、レイアップ内のプライ401〜405の配列は、結果としてできる複合材フレーム110内の繊維の分布を制御するために使用され得る。次いで、フレームレイアップ400は、オプションの工程614中に硬化されてよい。
図7は、フレームレイアップを硬化して複合材フレーム110を形成するのに使用され得る、金型700を示す。この工程はまた、複合材フロア支持体130の硬化と、補強コンポーネント120の複合材フレームへの接着も含んでいてよい。
【0079】
方法600は、オプションの工程620中に、補強コンポーネント120を複合材フレーム110に取り付けることもまた含み得る。この工程は、オプションの工程622中に、補強コンポーネント120と複合材フレーム110との間に接着剤104を塗布することを含み得る。さらに、工程620は、オプションの工程624中に、補強コンポーネント120と複合材フレーム110との間の接着剤104を硬化させることも含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤104は、工程614中に、複合材フレーム110の硬化と同時に硬化され得る。このプロセスは、コキュア(共硬化)とも称され得る。言い換えると、工程624は、上記の工程614の一部であり得る。
【0080】
方法600は、オプションの工程630中に、複合材フレーム110を貫通してフレーム開口112を形成することを含み得る。複合材フレーム110内の複数のフレーム開口112は、オプションの工程620中に補強コンポーネント120を複合材フレーム110に取り付けた後に、形成されてよい。例えば、補強コンポーネント開口122は、複数のフレーム開口112を形成する間、アンビルとして使用されてよい。代わりに、補強コンポーネント開口122及びフレーム開口112が同じ工程内で形成されてもよい。
図6Aで工程630、640の順で示すように、例えばフレーム開口112は、補強コンポーネント120を複合材フレーム110に取り付けるのに先立って形成されてよい。
【0081】
図6Bは、いくつかの実施形態による、シートトラック100を形成するための別の方法650に対応するプロセスフロー図である。方法650は、工程651中に、第1の繊維119aを含む1または複数のプライを位置合わせすることを含み得る。この工程の後、第1の繊維119aは、シートトラック100の主軸101に対して0°の配向を有し得る。具体的には、この1または複数のプライは、第1の繊維119aが複合材フレーム110内でこの0°の配向であることを確保するために、位置合わせされている。この工程は、方法650の後の諸工程中、及びそれに続くシートトラック100の稼働中、持続していてよい。
図4Aを参照して上記されたように、第1の繊維119aは、第1のプライ401及び第5のプライ405といった複数のプライ内に提供されてよい。これらのプライは、互いに対して位置合わせされていてよく、また例えば他のプライに対しても位置合わせされていてよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、工程651は、第2の繊維119bを含む1または複数のプライを位置合わせすることもまた、含み得る。上記のように、第2の繊維119bは、シートトラック100の主軸101に対して90°の配向を有し得る。例えば、プライの配列の異なる例が示されている
図1D及び4Aに示すように、第2の繊維119bを含むこの1または複数のプライは、第1の繊維119aを含む1または複数のプライとは異なっていてよい。これらの場合には、第1の繊維119aの配向は、第2の繊維119bの配向から独立して実施され得る。代替方法として、第1の繊維119aと第2の繊維119bは、同時に実施されてよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、方法650は、工程652中に複合材フレーム110のコーナー半径302をサイズ決めすることを含み得る。コーナー半径302は、例えば複合材フレーム110内の応力集中エリアを減らすためにサイズ決めされてよい。複合材フレーム110のコーナー半径302は、少なくとも約0.25インチ、例えば約0.5インチであってよい。座屈、剥離、繊維不連続、及び他の負の効果を防止するためには、複合材構造体にとってより大きな半径が望ましい一方、複合材フレーム110のコンパクトさ、及びその結果としての軽量性を確保するために、複合材フレーム110のコーナー半径302は約0.5インチまたはそれ未満に保たれていてよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、方法650には、工程654中に、複合材フレーム110の頂平面部116から複合材フレーム110の脚部118まで移行することがさらに含まれる。例えば
図3Aに示すように、この移行は第1の半径302と対応し得る。例えば
図3Aに示すように、いくつかの実施形態では、工程654は、複合材フレーム110の脚部118から複合材フレーム110の底部支持体部114へと、第2の半径304で移行していくこともまた含み得る。第1の半径302は、少なくとも約0.25インチ、例えば約0.5インチであってよい。第2の半径304は、少なくとも約0.25インチ、例えば約0.5インチであってよい。上記のように、座屈、剥離、繊維不連続、及び他の負の効果を防止するためには、複合材構造体にとってより大きな半径が望ましい一方、複合材フレーム110のコンパクトさ、及びその結果としての軽量性を確保するために、複合材フレーム110の第1の半径302及び/または第2の半径は、約0.5インチまたはそれ未満に保たれていてよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法650は、工程656中に、複合材フレーム110の脚部118を、複合材フレーム110の頂平面部116に対して角度決めすることをさらに含み得る。この工程は、荷重に沿って、即ち具体的には予想荷重、特に最大予想荷重の方向に沿って、第2の繊維119bのより多くの繊維を配置するために実施されてよい。
図2A〜2Dを参照して上記されたように、例えばシートトラック100は、軸方向の荷重を最も支持し、次いで垂直方向の荷重、そして若干の側面荷重を支持するように設計され得る。例えば
図3Aに示すように、垂直の荷重と側面荷重との組み合わせは、脚部118と頂平面部116との間の角度117を決定するのに用いられ得る。角度117は、約100°と120°の間、例えば約110°であってよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法650には、工程657中に、補強コンポーネント120を複合材フレーム110上に配置することが含まれる。さらに、この工程は、補強コンポーネント120を2つの複合材フロア支持体130同士の間に配置することを含み得る。フロア支持体130は、フロアからの荷重を支えるのに使用され得る。フロアからの荷重は、シート164にかかる荷重とは異なり得る。補強コンポーネント120及び複合材フレーム110の配向の様々な例が、
図5A〜5Dを参照して上記されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、方法650には、工程658中に、複合材フロア支持体130を複合材フレーム110に片持ち梁式に取り付けることがさらに含まれる。フロア支持体130は、本開示に記載の1または複数の技法によって、複合材フレーム110に取り付けられ得る。さらに、複合材フレーム110の一部は、フロア支持体130として動作可能であってよい。言い換えれば、複合材フレーム110及びフロア支持体130は、画定された界面を持たない一体構造であり得る。例えば、複合材フレーム110及びフロア支持体130は、複合材プライの同一のレイアップから形成されていてよい。さらに、
図5Cに示すように、複合材フロア支持体130は補強コンポーネント120によって形成されていてよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、方法650には、工程659a中に、複合材フロア支持体130を複合材フレーム110に接合することがさらに含まれる。この接合工程659aは、複合材フロア支持体130と複合材フレーム100との間に接着剤を塗布すること、及びこの接着剤を硬化させることを含み得る。いくつかの実施形態では、方法650には、工程659b中に、複合材フロア支持体130を複合材フレーム110にステッチすることがさらに含まれる。ステッチ工程659bは、接合工程659aに加えてまたは代えて実施され得る。
【0089】
シートトラックを使用して種々の荷重を支持する方法の実施例
図6Cは、いくつかの実施形態による、シートトラック100を使用して種々の荷重を支持するための方法660に対応するプロセスフロー図である。方法600は、シート164から、シートトラック100の補強コンポーネント120及び複合材フレーム110へ、荷重を分配することを含み得る。補強コンポーネント120及び複合材フレーム110は、この荷重分配工程662中、連結されていてよい。
図2A〜2Eを参照して上記されたように、荷重は、標準動作(例えば乗客重量の支持)及び非標準動作(例えば緊急着陸)を含み得る、シート164の様々な動作中に生成され得る。種々の動作中の荷重は、種々であってよい。さらに、シートトラック100の様々な例が、上記されている。例えば、補強コンポーネント120は金属を含み得る。複合材フレーム110は、第1の繊維119a及び、第1の繊維119aとは異なる方向を有する第2の繊維119bを含み得る。
【0090】
例えば
図3Aで示すように、いくつかの実施形態では、工程662中に荷重を分配することには、サブ工程664中に、補強コンポーネント120からの荷重を、複合材フレーム110の頂平面部116と、複合材フレーム110の脚部118と、複合材フレーム110の底部支持体部114を通じて伝達することが含まれる。例えば
図1Bで示すように、荷重は、底部支持体部114に接続された航空機支持ビーム162に伝達される。この工程は、シート164から、シートトラック100の補強コンポーネント120及び複合材フレーム110に、荷重を分配することの一部であり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法660には、工程666中にシート164から複合材フレーム110を通じて航空機支持ビーム162に荷重を流すことがさらに含まれる。
【0092】
シートトラックの設置方法の実施例
図6Dは、いくつかの実施形態による、シートトラック100を航空機の支持ビーム162に設置するための方法670に対応するプロセスフロー図である。方法670には、工程671中に、シート164を補強コンポーネント120及び複合材フレーム110に締着することが含まれる。補強コンポーネント120は、金属を含む。複合材フレーム110は、第1の繊維119a及び、第1の繊維119aとは異なる方向を有する第2の繊維119bを含んでいる。例えば
図6Dのブロック672に示すように、工程671は、ファスナの圧縮力を補強コンポーネント120に作用させることを含み得る。
【0093】
方法670はまた、工程674中に、複合材フレーム110を航空機支持ビーム162に締着することを含み得る。上記のように、補強コンポーネント120は複合材フレーム110に連結されている。航空機支持ビーム162に締着された複合材フレーム110の一例が、
図1Bに示され上記されている。
【0094】
補強コンポーネント120は、複合材フレーム110の頂平面部116に連結されていてよく、その一方、航空機支持ビーム162は複合材フレーム110の底部支持体部114に締着されていてよい。頂平面部116と底部支持体部114とは、複合材フレーム110の脚部118によって接続されていてよい。上記のように、頂平面部116と脚部118との間の移行部の第1の半径302は、少なくとも約0.25インチ、より具体的には約0.5インチであり得る。脚部118と底部支持部114との間の移行部の第2の半径304は、少なくとも約0.25インチ、より具体的には、約0.5インチであり得る。複合材フレーム110の第2の繊維119bのうち、シート164から航空機支持ビーム162に伝達される荷重に沿って延伸する繊維が、他のいかなる方向に延伸する繊維よりも多くなるようにして、脚部118が頂平面部116に対して角度付けされていてよい。脚部118と頂平面部116との間の角度117は、約100°と120°の間、より具体的には約110°であってよい。
【0095】
航空機、及び航空機を製造及び運航する方法の実施例
示されている実施形態によって、複合材シートトラックの新規の態様と、こうしたシートトラックの製造方法が提供される。この実施形態に関しては、例えば航空宇宙産業におけるものを含む多種多様な潜在的用途において、適用可能な利用法が見出される。開示される方法は、シートトラックがかなりの量の荷重を受ける、旅客航空機内で使用されるシートトラックに理想的に適している。
【0096】
本開示の実施例は、
図8に示した航空機の製造及び保守方法1100、並びに
図9に示した航空機1102に照らして記載され得る。製造前の段階では、方法1100は、ブロック1104で表されている、航空機1102の仕様及び設計を含み得る。さらに、方法1100は、ブロック1106で表されている材料の調達を含み得る。製造中、ブロック1108で表されている航空機1102のコンポーネント及びサブアセンブリの製造、並びにブロック1110で表されている航空機1102のシステムインテグレーションが行われ得る。複合材シートトラックは、これらのステップ、例えば、航空機1102の仕様及び設計(ブロック1104)、材料調達(ブロック1106)、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1108)、及びシステムインテグレーション(ブロック1110)のうちの任意の1つにおいて形成され、使用され得る。その後、航空機1102は認可及び納品(ブロック1112)を経て運航(ブロック1114)に供され得る。運航中、航空機1102には、定期的な整備及び保守(ブロック1116)が予定され得る。定期的な整備及び保守は、航空機1102の1または複数のシステムの修正、再構成、改修などを含み得る。
【0097】
方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/またはオペレータ(例えば顧客)によって実行され、または実施され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含み得、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0098】
図10に示されるように、方法1100によって製造された航空機1102は、複数の高レベルシステム1120及び内装1122を有する機体1118を含み得る。高レベルシステム1120の例には、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び環境システム1130のうちの1または複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれ得る。航空宇宙産業の例が示されているが、本書で開示される原理は、自動車産業のような他の産業にも適用され得る。そのため、本書で開示されている原理は、航空機1102に加え、他の輸送体、例えば陸上輸送体、海洋輸送体、宇宙用輸送体などにも適用され得る。
【0099】
本書で示され説明されている装置及び方法は、方法1100の、1または複数の任意の段階において用いられ得る。例えば、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック1108)に対応するコンポーネントまたはサブアセンブリは、航空機1102の運航(ブロック1114)中に製造されるコンポーネントまたはサブアセンブリと同様の方法で製作または製造され得る。また、装置、方法またはそれらの組み合わせの1または複数の実施例は、例えば、航空機1102の組立てを実質的に効率化するか、またはそのコストを削減することにより、製造段階(ブロック1108及びブロック1110)において利用され得る。同様に、装置もしくは方法実現の1つ以上の実施例、またはそれらの組み合わせは、限定するものではないが例としては、航空機1102の運航(ブロック1114)中に、並びに/または整備及び保守(ブロック1116)中に利用され得る。
【0100】
結論
本書で開示されている装置及び方法の種々の実施例は、多種多様な構成要素、特徴及び機能を含む。本書が開示する装置及び方法の様々な実施例には、本書が開示する装置及び方法の任意の他の実施例中の、任意の構成要素、特徴及び機能が、任意の組み合わせで含まれ得ること、並びに、こうした可能性が全て、本開示の本質及び範囲に含まれる意図であることは、理解されるべきである。
【0101】
本開示に関する当業者は、上記の記載及び添付図面に提示された教示を利用することで、本書に明記された例示の多数の修正例を想起するであろう。
【0102】
したがって、要約すると、本発明の第1態様によって下記が提供される。
【0103】
A1.第1の繊維及び第2の繊維を樹脂マトリクス中に含む複合材フレームであって、
第1の繊維はシートトラックの主軸に平行に延伸し、
第2の繊維はシートトラックの主軸と垂直な平面内に延伸し、
主軸の方向における複合材フレームの引張強度は、主軸に垂直な平面内のいかなる方向における複合材フレームの引張強度よりも大きい、複合材フレームと、
複合材フレームに取り付けられた補強コンポーネントと
を含む、シートトラック。
【0104】
A2.複合材フレーム内の第1の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第2の繊維の平均繊維密度よりも高い、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0105】
A3.第1の繊維の平均繊維密度の、第2の繊維の平均繊維密度に対する比は、約2と20の間である、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0106】
A4.第1の繊維の平均直径は、第2の繊維の平均直径よりも大きい、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0107】
A5.第1の繊維は、第2の繊維とは異なる材料で形成されている、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0108】
A6.第1の繊維と第2の繊維が複合材フレームの厚さにわたって不均等に分布している、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0109】
A7.第1の繊維は、複合材フレームの厚さ方向で見て、各セット内に同数の繊維を有する2セットの第2の繊維の間に配置されている、段落A6のシートトラックもまた、提供される。
【0110】
A8.第2の繊維は、複合材フレームの厚さ方向で見て、各セット内に同数の繊維を有する2セットの第1の繊維の間に配置されている、段落A6のシートトラックもまた、提供される。
【0111】
A9.第1の繊維の大半がほぼ真っ直ぐである、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0112】
A10.第1の繊維の大半が、複合材フレームのほぼ全長にわたって延伸する、段落A9のシートトラックもまた、提供される。
【0113】
A11.第2の繊維は、主軸に垂直な平面内で湾曲している、段落A1のシートトラックもまた提供される。
【0114】
A12.第2の繊維の一部が、複合材フレームの第1のフランジ端と第2のフランジ端の間で切れ目なく延伸している、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0115】
A13.複合材フレームは、第1の繊維及び第2の繊維に対して約30°から60°の角度で配置されている第3の繊維をさらに含む、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0116】
A14.複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第1の繊維の平均繊維密度よりも低い、段落A13のシートトラックもまた、提供される。
【0117】
A15.複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第2の繊維の平均繊維密度よりも高い、段落A13のシートトラックもまた、提供される。
【0118】
A16.第3の繊維の全てが、複合材フレームの厚さ方向で見て、第1の繊維の少なくとも一部と第2の繊維の少なくとも一部との間に配置されている、段落A13のシートトラックもまた、提供される。
【0119】
A17.複合材フレームは、第1の繊維及び第2の繊維に対して約30°から60°の角度で、また第3の繊維に対して垂直に、配置されている第4の繊維をさらに含む、段落A13のシートトラックもまた、提供される。
【0120】
A18.複合材フレーム内の第4の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第1の繊維の平均繊維密度よりも低い、段落A17のシートトラックもまた、提供される。
【0121】
A19.さらに、複合材フレーム内の第4の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第2の繊維の平均繊維密度よりも高い、段落A17のシートトラックもまた、提供される。
【0122】
A20.複合材フレーム内の第4の繊維の平均繊維密度は、複合材フレーム内の第3の繊維の平均繊維密度とほぼ同じである、段落A17のシートトラックもまた、提供される。
【0123】
A21.第3の繊維と第4の繊維が1つの織布の一部である、段落A17のシートトラックもまた、提供される。
【0124】
A22.第1の繊維の全てが、第3の繊維と第4の繊維の間に配置されている、段落A13のシートトラックもまた、提供される。
【0125】
A23.第1の繊維、第3の繊維、及び第4の繊維の全てが、各セット内に同数の繊維を有する2セットの第2の繊維の間に配置されている、段落A22のシートトラックもまた、提供される。
【0126】
A24.第2の繊維の全てが、第3の繊維と第4の繊維の間に配置されている、段落A13のシートトラックもまた、提供される。
【0127】
A25.第2の繊維、第3の繊維、及び第4の繊維の全てが、各セット内に同数の繊維を有する2セットの第1の繊維の間に配置されている、段落A24のシートトラックもまた、提供される。
【0128】
A26.複合材フレームは、底部支持フランジ、頂部、及び底部支持フランジと頂部との間に延伸する脚部を備え、底部支持フランジは、補強コンポーネントに接続された頂部とほぼ平行である、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0129】
A27.頂部と脚部との間の角度が約100°と120°の間である、段落A26のシートトラックもまた、提供される。
【0130】
A28.底部支持フランジ、頂部、及び脚部は一体構造であり、それによって、第2の繊維の一部が底部支持フランジ、頂部、及び脚部の間で切れ目なく延伸している、段落A26のシートトラックもまた、提供される。
【0131】
A29.複合材フレーム及び補強コンポーネントは、複合材フレーム及び補強コンポーネントの両方を通って延伸し、複合材フレームの第1の繊維の一部と第2の繊維の一部を分断する、複数の開口を含む、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0132】
A30.複数の開口は、シートトラックの主軸に沿って1列に配列されている、段落A29のシートトラックもまた、提供される。
【0133】
A31.補強コンポーネントの両側で複合材フレームに取り付けられている複合材フロア支持体をさらに備える、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0134】
A32.複合材フロア支持体は、主軸と平行に延伸する第1の繊維を含み、主軸とほぼ垂直な平面内に延伸する第2の繊維を含む、段落A31のシートトラックもまた、提供される。
【0135】
A33.主軸に平行な方向における複合材フロア支持体の引張強度は、主軸とほぼ垂直な平面内の方向における複合材フロア支持体の引張強度よりも小さい、段落A32のシートトラックもまた、提供される。
【0136】
A34.複合材フロア支持体内の第1の繊維の平均繊維密度は、複合材フロア支持体内の第2の繊維の平均繊維密度よりも低い、段落A32のシートトラックもまた、提供される。
【0137】
A35.複合材フロア支持体内の第2の繊維の平均繊維密度の、複合材フロア支持体内の第1の繊維の平均繊維密度に対する比は、約2と20の間である、段落A32のシートトラックもまた、提供される。
【0138】
A36.複合材フロア支持体の頂表面は、補強コンポーネントの頂表面と同一表面である、段落A31のシートトラックもまた、提供される。
【0139】
A37.複合材フロア支持体が、接着剤を用いて複合材フレームに取り付けられている、段落A31のシートトラックもまた、提供される。
【0140】
A38.複合材フロア支持体が、ステッチを用いて複合材フレームにさらに取り付けられている、段落A37のシートトラックもまた、提供される。
【0141】
A39.補強コンポーネントが、フロア支持体として動作可能である、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0142】
A40.補強コンポーネントが、接着剤を用いて複合材フレームに取り付けられている、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0143】
A41.補強コンポーネントが、非複合材コンポーネントである、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0144】
A42.補強コンポーネントが金属を含む、段落A1のシートトラックもまた、提供される。
【0145】
本発明のさらなる態様により、下記が提供される。
【0146】
B43.シートから、シートトラックの補強コンポーネント及び複合材フレームへ荷重を分配することを含み、
補強コンポーネントと複合材フレームは互いに連結されている、
シートトラックを使用してシートを支持する方法。
【0147】
B44.補強コンポーネントが金属を含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0148】
B45.複合材フレームが第1の繊維及び、第1の繊維とは異なる方向を有する第2の繊維を含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0149】
B46.シートから複合材フレームを通じて航空機支持ビームへと荷重を流すことをさらに含む、段落B43の方法が提供される。
【0150】
B47.応力集中エリアを縮小するため、複合材フレームのコーナー半径をサイズ決めすることをさらに含む、段落B43の方法が提供される。
【0151】
B48.複合材フレームのコーナー半径は約0.5インチである、段落B47に記載の方法も提供される。
【0152】
B49.ファスナの圧縮力を補強コンポーネントに作用させることをさらに含む、段落B43に記載の方法もまた、提供される。
【0153】
B50.複合材フレームの頂平面部から複合材フレームの脚部への第1の半径によって移行させることをさらに含み、複合材フレームの脚部から複合材フレームの底部支持体部への第2の半径によって移行させることを含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0154】
B51.第1の半径は少なくとも約0.25インチである、段落B50に記載の方法もまた、提供される。
【0155】
B52.第2の半径は少なくとも約0.25インチである、段落B50に記載の方法もまた、提供される。
【0156】
B53.第2の繊維のうちのより多くの繊維を荷重に沿って配置するため、複合材フレームの脚部を、複合材フレームの頂平面部に対して角度決めすることをさらに含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0157】
B54.脚部と頂平面部との間の角度が約100°と120°の間である、段落B53の方法もまた、提供される。
【0158】
B55.脚部と頂平面部との間の角度が約110°である、段落B53の方法もまた、提供される。
【0159】
B56.補強コンポーネントを、複合材フレームの上方、且つ2つの複合材フロア支持体の間に配置することをさらに含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0160】
B57.シートを補強コンポーネント及び複合材フレームに締着することをさらに含む、段落B43に記載の方法もまた、提供される。
【0161】
B58.補強コンポーネントから、複合材フレームの頂平面部、複合材フレームの脚部、及び複合材フレームの底部支持体部を通じて、底部支持体部に接続された航空機支持ビームに荷重を伝達することをさらに含む、段落B43に記載の方法もまた、提供される。
【0162】
B59.シートトラックの主軸に対して0°の配向を有する第1の繊維を含む1または複数のプライを位置合わせすることをさらに含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0163】
B60.シートトラックの主軸に対して90°の配向を有する第2の繊維を含む1または複数のプライを位置合わせすることをさらに含む、段落B43の方法もまた、提供される。
【0164】
B61.複合材フロア支持体を、複合材フレームに片持ち梁式に取り付けることをさらに含む、段落B43に記載の方法もまた、提供される。
【0165】
B62.複合材フロア支持体を、複合材フレームに接合することをさらに含む、段落B43に記載の方法もまた、提供される。
【0166】
B63.複合材フロア支持体の複合材フレームへの接合が、複合材フロア支持体と複合材フレームとの間に接着剤を塗布することと、この接着剤を硬化させることとを含む、段落B62の方法もまた、提供される。
【0167】
B64.複合材フロア支持体を、複合材フレームにステッチすることをさらに含む、段落B56に記載の方法もまた、提供される。
【0168】
本発明のさらなる態様により、下記が提供される。
【0169】
C65.シートを、補強コンポーネント及び複合材フレームに締着することであって、
補強コンポーネントは複合材フレームに連結されている、締着することと、
複合材フレームを航空機支持ビームに締着することと
を含む、航空機支持ビームにシートを取り付ける方法。
【0170】
C66.補強コンポーネントが金属を含む、段落C65の方法もまた、提供される。
【0171】
C67.複合材フレームが第1の繊維及び、第1の繊維とは異なる方向を有する第2の繊維を含む、段落C65の方法もまた、提供される。
【0172】
C68.補強コンポーネントは複合材フレームの頂平面部に連結され、航空機支持ビームは複合材フレームの底部支持体部に締着され、頂平面部と底部支持体部とは、複合材フレームの脚部によって連結されている、段落C65の方法もまた、提供される。
【0173】
C69.複合材フレームの頂平面部と複合材フレームの脚部との間の移行の第1の半径が、少なくとも約0.25インチである、段落C68の方法もまた、提供される。
【0174】
C70.複合材フレームの脚部と複合材フレームの底部支持体部との間の移行の第2の半径が、少なくとも約0.25インチである、段落C68の方法もまた、提供される。
【0175】
C71.複合材フレームの第2の繊維のうち、シートから航空機支持ビームに伝達される荷重に沿って延伸する繊維が、他のいかなる方向に延伸する繊維よりも多くなるようにして、複合材フレームの脚部が複合材フレームの頂平面部に対して角度付けされている、段落C65の方法もまた、提供される。
【0176】
C72.複合材フレームの脚部と複合材フレームの頂平面部との間の角度が約100°と120°の間である、段落C71の方法もまた、提供される。
【0177】
C73.複合材フレームの脚部と複合材フレームの頂平面部との間の角度が約110°である、段落C71の方法もまた、提供される。
【0178】
したがって、本開示は例示した特定の実行形態に限定されるものでなく、変形及び他の実施例が添付の特許請求の範囲に含まれることを意図しているものと理解されたい。さらに、上述の記載及びこれに関連する図面では、要素及び/または機能の特定の例示的な組み合わせに照らして本開示の実施例が記載されているが、代替的な実行形態によって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、要素及び/または機能の異なる組み合わせが提供され得ることは、理解されるべきである。これに伴い、添付の特許請求の範囲に記載されたカッコ内の参照番号は、例示の目的のみのために提示されているのであって、それによって特許請求される主題を、本開示に提供された特定の例示の範囲に限定することを意図するものではない。