(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔走行作業機の基本構成〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の走行作業機の一例として乗用型田植機を例に挙げて説明する。なお、
図2に示されているように、本実施形態では、矢印Fが走行機体Cの機体前部側、矢印Bが走行機体Cの機体後部側、矢印Lが走行機体Cの機体左側、矢印Rが走行機体Cの機体右側である。
【0026】
図1乃至
図3に示されているように、乗用型田植機には、左右一対の操舵車輪10と、左右一対の後車輪11とを有する走行機体Cと、圃場に対する苗の植え付けが可能な作業装置としての苗植付装置Wと、が備えられている。左右一対の操舵車輪10は、走行機体Cの機体前側に設けられて走行機体Cの向きを変更操作自在なように構成され、左右一対の後車輪11は、走行機体Cの機体後側に設けられている。苗植付装置Wは、昇降用油圧シリンダ20の伸縮作動により昇降作動するリンク機構21を介して、走行機体Cの後端に昇降自在に連結されている。
【0027】
走行機体Cの前部には、開閉式のボンネット12が備えられている。ボンネット12の先端位置には、マーカ装置33によって圃場に描かれる指標ライン(不図示)に沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット14が備えられている。走行機体Cには、前後方向に沿って延びる機体フレーム15が備えられ、機体フレーム15の前部には支持支柱フレーム16が立設されている。
【0028】
ボンネット12内には、エンジン13が備えられている。詳述はしないが、エンジン13の動力が、機体に備えられた不図示のHST(静油圧式無段変速装置)を介して操舵車輪10及び後車輪11に伝達され、変速後の動力が電動モータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して苗植付装置Wに伝達される。
【0029】
図1及び
図2に示されているように、苗植付装置Wに、四個の伝動ケース22と、八個の回転ケース23と、整地フロート25と、苗載せ台26と、マーカ装置33と、が備えられている。回転ケース23は、各伝動ケース22の後部の左側部及び右側部に、夫々回転自在に支持されている。夫々の回転ケース23の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム24が備えられている。整地フロート25は、圃場の田面を整地するものであり、苗植付装置Wに複数備えられている。苗載せ台26に、植え付け用のマット状苗が載置される。マーカ装置33は、苗植付装置Wの左右側部に備えられ、圃場の田面に指標ライン(不図示)を形成する。
【0030】
苗植付装置Wは、苗載せ台26を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース22から伝達される動力により各回転ケース23を回転駆動して、苗載せ台26の下部から各植付アーム24により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。苗植付装置Wは、八個の回転ケース23に備えられた植付アーム24により苗を植え付ける八条植え型式に構成されている。なお、苗植付装置Wは、四条植え型式であったり、六条植え型式であったり、七条植え型式であったり、十条植え型式であったりしても良い。
【0031】
詳述はしないが、マーカ装置33は、作用姿勢と格納姿勢とに切換え可能なように構成されている。作用姿勢の状態で、マーカ装置33は、走行機体Cの走行に伴って圃場の田面に接地して次回の作業工程に対応する田面に指標ライン(不図示)を形成する。格納姿勢の状態で、マーカ装置33は圃場の田面から上方に離れる。マーカ装置33の姿勢切換えは電動モータ(不図示)により行われる。
【0032】
図1乃至
図3に示されているように、走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、複数(例えば四つ)の通常予備苗台28と、予備苗台29と、が備えられている。通常予備苗台28は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なように構成されている。予備苗台29は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なレール式に構成されている。走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、各通常予備苗台28と予備苗台29とを支持する背高のフレーム部材としての左右一対の予備苗フレーム30が備えられ、左右の予備苗フレーム30の上部同士が連結フレーム31にて連結されている。
【0033】
図1乃至
図3に示されているように、走行機体Cの中央部には、各種の運転操作が行われる運転部40が備えられている。運転部40には、運転座席41と、操向ハンドル43と、主変速レバー44と、操作レバー45と、が備えられている。運転座席41は、走行機体Cの中央部に備えられ、運転者が着座可能なように構成されている。操向ハンドル43は、人為操作によって操舵車輪10の操向操作を可能なように構成されている。主変速レバー44は、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能なように構成されている。即ち、主変速レバー44を操作すると、HST(不図示)における斜板の角度が変更され、エンジン13の動力が無段階に変速される。苗植付装置Wの昇降操作と、左右のマーカ装置33の切換えと、が操作レバー45によって行われる。操向ハンドル43、主変速レバー44、操作レバー45等は、運転座席41の機体前部側に位置する操縦塔42の上部に備えられている。運転部40の足元部位には、搭乗ステップ46が設けられている。搭乗ステップ46はボンネット12の左右両側にも延びている。
【0034】
操作レバー45を上昇位置に操作すると、植付クラッチ(不図示)が切り操作されて苗植付装置Wに対する伝動が遮断され、昇降用油圧シリンダ20を作動して苗植付装置Wが上昇し、左右のマーカ装置33(
図1参照)が格納姿勢に操作される。操作レバー45を下降位置に操作すると、苗植付装置Wが下降して田面に接地して停止した状態となる。この下降状態で操作レバー45を右マーカ位置に操作すると、右のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。操作レバー45を左マーカ位置に操作すると、左のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。
【0035】
運転者は、田植え作業を開始するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを下降させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を開始させて田植え作業を開始する。そして、田植え作業を停止するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを上昇させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を遮断する。
【0036】
運転部40の操縦塔42の上部の操作パネル47に、液晶表示器を用いて種々の情報を表示可能な表示部48が備えられている。表示部48は、タッチパネル式の液晶表示器であっても良い。また、表示部48の右側には、押し操作式の始点設定スイッチ49Aが備えられ、表示部48の左側には、押し操作式の終点設定スイッチ49Bが備えられている。始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49Bの機能については後述する。
【0037】
主変速レバー44の握り部には、押し操作式の自動操向スイッチ50が備えられている。自動操向スイッチ50は、自動復帰型に設けられ、押し操作する毎に自動操向制御の入り切りの切換えを指令する。自動操向スイッチ50は、主変速レバー44の握り部を手で握った状態で、例えば、親指で押すことができる位置に配置されている。
【0038】
図4に示されているように、走行機体Cには、左右の操舵車輪10を操向操舵可能な操向操作手段として操向操舵ユニットUが備えられている。操向操舵ユニットUには、ステアリング操作軸54と、ピットマンアーム55と、ピットマンアーム55に連動連結される左右の連繋機構56と、操向モータ58と、ギヤ機構57と、が備えられている。ステアリング操作軸54は、クラッチ53を介して操向ハンドル43と連動連結される。ピットマンアーム55は、ステアリング操作軸54の回動に伴って揺動するように構成されている。ギヤ機構57は、ステアリング操作軸54に操向モータ58を連動連結するように構成されている。
【0039】
ステアリング操作軸54は、ピットマンアーム55及び左右の連繋機構56を介して、左右の操舵車輪10に夫々連動連結されている。ステアリング操作軸54の下端部に、ロータリエンコーダからなる操向角センサ60が備えられ、ステアリング操作軸54の回転量は操向角センサ60により検出されるようになっている。ステアリング操作軸54の途中部には、操向ハンドル43に掛かるトルクを検出するトルクセンサ61が備えられている。
【0040】
例えば、操向モータ58が所定の方向にステアリング操作軸54を回動させているときに、その回動方向とは反対方向に向けて操向ハンドル43が人為操作されると、トルクセンサ61にてそのことを検出することができる。また、操向モータ58が作動停止しているときに、操向ハンドル43が任意の方向に人為操作されると、トルクセンサ61にてそのことを検出することができる。このような人為操作が行われると、自動操向制御に優先して、人為操作に基づいて操向モータ58を作動させることができる。
【0041】
クラッチ53は、ステアリング操作軸54と操向ハンドル43との間に設けられ、クラッチ53が切られることによって、操向ハンドル43とステアリング操作軸54との間で動力が伝達しなくなる。クラッチ53は、例えば自動操向制御時に切られるように構成され、自動操向制御時において、操向モータ58の作動によるステアリング操作軸54の回転が、操向ハンドル43に伝達しなくなる構成であっても良い。
【0042】
操向操舵ユニットUの自動操向を行う場合には、操向モータ58を駆動して、操向モータ58の駆動力によりステアリング操作軸54を回動操作し、操舵車輪10の操向角度を変更するようになっている。自動操向を行わない場合には、操向操舵ユニットUは、操向ハンドル43の人為操作により回動操作することができる。
【0043】
〔自動操向制御の構成〕
次に、自動操向制御を行うための構成について説明する。
走行機体Cに、衛星からの電波を受信して機体の位置を検出する衛星測位用システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例として、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して、機体の位置を求める衛星測位ユニット70(位置検出手段)が備えられている。本実施形態では、衛星測位ユニット70は、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)を利用したものであるが、RTK−GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)を用いることも可能である。
【0044】
具体的には、位置検出手段として、衛星測位ユニット70が測位を行う対象(走行機体C)に備えられている。衛星測位ユニット70は、地球の上空を周回する複数のGPS衛星から発信される電波を受信するアンテナ71付きの受信装置72を有する。航法衛星から受信する電波の情報に基づいて、受信装置72すなわち衛星測位ユニット70の位置が測位される。
【0045】
図1乃至
図3に示されているように、衛星測位ユニット70は、走行機体Cの前部に位置する状態で、板状の支持プレート73を介して連結フレーム31に取り付けられている。
図1及び
図3に示されているように、受信装置72が、連結フレーム31と予備苗フレーム30とによって、高い箇所に支持されるものとなる。これにより、受信装置72に受信障害が生じる虞が少なく、受信装置72における電波の受信感度を高めることができる。
【0046】
衛星測位ユニット70の他に、走行機体Cの加速度及び角加速度を計測可能な慣性計測手段として、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)74Aを有する慣性計測ユニット74が、走行機体Cに備えられている。慣性計測ユニット74は、IMU74Aに代えてジャイロセンサや加速度センサを有する構成であっても良い。図示はしないが、慣性計測ユニット74は、例えば、運転座席41の後側下方位置であって走行機体Cの横幅方向中央の低い位置に設けられている。慣性計測ユニット74による走行機体Cの慣性量に基づいて、例えば角加速度を積分することで機体の方位変化角ΔNA(
図7参照)の算出が可能となる。詳述はしないが、慣性計測ユニット74は、走行機体Cの旋回角度の角速度の他、走行機体Cの左右傾斜角度、走行機体Cの前後傾斜角度の角速度等も計測可能である。
【0047】
図5に示されているように、走行機体Cに制御装置75が備えられている。制御装置75は、自動操向制御が実行される自動操向モードと、自動操向制御が実行されない手動操向モードと、に切換え可能なように構成されている。
【0048】
制御装置75に、衛星測位ユニット70、慣性計測ユニット74、自動操向スイッチ50、始点設定スイッチ49A、終点設定スイッチ49B、操向角センサ60、トルクセンサ61、車速センサ62、障害物検知部63(畦際検知部)等の情報が入力される。車速センサ62は、例えば、後車輪11に対する伝動機構中の伝動軸の回転速度により車速を検出するように構成されている。障害物検知部63は、走行機体Cの前部及び左右両側部に備えられ、例えば、光波測距式の距離センサであったり、画像センサであったりして、圃場の畦際や圃場内の鉄塔等を検知可能なように構成されている。障害物検知部63によって障害物が検知されると、例えばブザーや音声案内である警報部64によって運転者に警報が報知される。また、制御装置75は報知部59(報知手段)と接続され、報知部59は、例えば、車速やエンジン回転数や衛星測位ユニット70の受信感度の状態等を報知するように構成されている。報知部59は、表示部48に表示される構成であったりしても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点滅パターンが変わる構成であったりしても良い。また、警報部64は、報知部59を介して表示部48に警報を表示するように構成されていても良い。この場合、例えば畦際検知の警報が表示部48に表示される。また、警報部64は、報知部59の一部として構成されていても良い。報知部59が報知する時間は、任意に設定調整可能なように構成されて良い。
【0049】
制御装置75は、経路設定部76と、方位算定部77と、走行軌跡取得手段としての走行軌跡取得部78と、制御部79と、操向制御部80と、を有する。経路設定部76は、走行機体Cが走行すべき目標移動経路LM(
図6参照)を設定する。方位算定部77及び走行軌跡取得部78の詳細は後述する。制御部79は、衛星測位ユニット70にて計測される走行機体Cの位置情報と、慣性計測ユニット74にて計測される走行機体Cの方位情報と、に基づいて、走行機体Cが目標移動経路LMに沿って走行するように、操作量を算定して出力する。操向制御部80は、操作量に基づいて操向モータ58を制御する。具体的には、制御装置75は、マイクロコンピュータを備えており、走行軌跡取得部78と経路設定部76と方位算定部77と制御部79と操向制御部80とが制御プログラムにて構成されている。
【0050】
また、制御装置75は、例えば、衛星測位ユニット70によって測位される測位データと、慣性計測ユニット74によって検出される慣性量と、車速センサ62によって検出される車速と、を不図示のRAM(Random Access Memory)に経時的に記憶するように構成されていても良い。
【0051】
自動操向制御に用いる目標移動経路LMをティーチング処理によって設定するための設定スイッチ49が備えられている。設定スイッチ49には、始点位置Tsを設定する始点設定スイッチ49Aと、終点位置Tfを設定する終点設定スイッチ49Bと、が備えられている。上述したように、始点設定スイッチ49Aは表示部48の右側に備えられ、終点設定スイッチ49Bは表示部48の左側に備えられている。
【0052】
始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49Bの操作に基づくティーチング処理によって、自動操向すべき目標経路に対応するティーチング経路が、経路設定部76によって設定される。
【0053】
方位算定部77は、慣性計測ユニット74にて検出される慣性量に基づいて走行機体Cの検出方位、即ち自機方位NAを算出する。そして方位算定部77は、目標移動経路LMにおける目標方位LAと、自機方位NAと、の角度偏差、即ち方位ずれを算定する。そして、制御装置75が自動操向モードに設定されているとき、制御部79は、角度偏差が小さくなるように、操向モータ58を制御するための操作量を算出して出力する。
【0054】
走行軌跡取得部78は、衛星測位ユニット70によって測位される測位データと、方位算定部77によって算定される自機方位NAと、車速センサ62によって検出される車速と、に基づいて走行機体Cの位置、即ち自機位置NMを算出する。自機位置NMは不図示のRAMに経時的に記憶され、走行軌跡取得部78は、自機位置NMの集合に基づいて走行軌跡FPを算出する。
【0055】
操向制御部80は、走行機体Cの自動操向制御中に、制御部79によって出力された操作量に基づいて、自動操向制御を実行する。即ち、走行軌跡取得部78によって算出される自機位置NMが、目標移動経路LM上の位置になるように、操向モータ58が操作される。
【0056】
〔目標移動経路〕
水田において田植機は、直線状の条植付けの経路に沿って田植え作業を伴う作業走行と、畦際付近で次の条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行と、を交互に繰り返す。
図6に、ティーチング経路に沿って並列する複数の目標移動経路LMが示されている。本実施形態では、夫々の目標移動経路LM(1)〜LM(6)は、経路設定部76によって、以下の手順で設定される。
【0057】
まず、運転者は、走行機体Cを圃場内の畦際の始点位置Tsに位置させ、始点設定スイッチ49Aを操作する。このとき、制御装置75は手動操向モードに設定されている。そして、運転者が手動操縦しながら、始点位置Tsから側部側の畦際の直線形状に沿って走行機体Cを走行させ、反対側の畦際近くの終点位置Tfまで移動させてから終点設定スイッチ49Bを操作する。これにより、ティーチング処理が実行される。つまり、始点位置Tsにおいて衛星測位ユニット70により取得された測位データに基づく位置座標と、終点位置Tfにおいて衛星測位ユニット70により取得された測位データに基づく位置座標と、から始点位置Tsと終点位置Tfとを結ぶティーチング経路が設定される。このティーチング経路に沿う方向が基準となる目標方位LAとして設定される。なお、終点位置Tfにおける位置座標は、衛星測位ユニット70による測位データのみならず、走行軌跡取得部78によって算出されたティーチング走行の走行軌跡に基づいて算出される構成であっても良い。また、始点位置Tsと終点位置Tfとに亘る走行機体Cの走行は、田植え作業を伴う作業走行であっても良いし、非作業状態の走行であっても良い。
【0058】
ティーチング経路の設定完了後、ティーチング経路に隣接する条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行が行われ、本実施形態では、始点位置Ls(1)に走行機体Cが移動する。畦際旋回走行は、運転者が手動で操向ハンドル43を操作することによって行われるものであっても良いし、自動旋回制御によって行われるものであっても良い。このとき、制御部79は、自機方位NAが反転することにより、走行機体Cの旋回が行われたことを判別できる。自機方位NAの反転は、衛星測位ユニット70や慣性計測ユニット74によって検知可能である。
【0059】
走行機体Cの旋回は、自機方位NAの反転以外に、各種機器の動作によって判別されるものであっても良い。各種機器の動作として、例えば、苗植付装置W、整地ロータ(不図示)、整地フロート25等の上昇動作であったり、サイドクラッチ(不図示)が切られることであったり、苗植付装置Wに対する伝動の遮断であったりしても良い。また、走行機体Cの始点位置Ls(1)への到達が、衛星測位ユニット70によって判別されるものであっても良い。
【0060】
ティーチング経路の設定完了後、任意のタイミングで目標移動経路LM(1)が経路設定部76によって設定される。目標移動経路LM(1)は、ティーチング経路の設定完了時に設定されても良いし、走行機体Cの旋回中に設定されても良いし、走行機体Cの旋回後に設定されても良い。また、目標移動経路LM(1)は、設定スイッチ49や自動操向スイッチ50等の操作によって設定される構成であっても良いし、自動的に設定される構成であっても良い。
【0061】
走行機体Cの旋回完了が判別された後、制御装置75の手動操向モードは継続し、人為操作による直進走行が継続される。この間、制御装置75は、方位算定部77によって算定される自機方位NAの方位ずれや、操舵車輪10の向き、操向ハンドル43の操舵角等の判別条件を確認し、自動操向モードに切換え可能な状態であるかどうかを判定する。そして、制御装置75は、自動操向モードに切換え可能な状態であれば、自動操向スイッチ50の操作を許可する。このとき、制御装置75が自動操向モードに切換え可能な状態であるかどうかは、報知部59によって報知される。
【0062】
自動操向スイッチ50の操作が許可された状態で、運転者が自動操向スイッチ50を操作すると、経路設定部76によって目標移動経路LM(1)が設定され、制御装置75が手動操向モードから自動操向モードに切換えられる。そして、目標移動経路LM(1)に沿う自動操向制御が開始される。目標移動経路LM(1)は、ティーチング経路に隣接した状態で、目標方位LAの方位に沿って設定され、ティーチング処理後に走行機体Cが最初に作業走行を行う目標移動経路LMである。なお、運転者は、走行機体Cの旋回後に、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを下降させて田植え作業を実行するが、制御装置75が手動操向モードから自動操向モードに切換えられると、苗植付装置Wが下降して田植え作業が開始される構成であっても良い。
【0063】
自動操向制御は、目標移動経路LM(1)の始点位置Ls(1)の位置する側の反対側にある終点位置Lf(1)の付近で、障害物検知部63による畦際の検知が判定されるまで継続する。走行機体Cと畦際との距離が、予め設定された範囲内であることが、障害物検知部63によって判定されると、警報部64の警報によって運転者に報知される。このとき、警報部64による警報は、ブザー等の音声であっても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点灯や点滅であっても良いし、表示部48に表示されるものであっても良い。そして、障害物検知部63が、予め設定された時間に亘って畦際を検出し続けることによって、畦際の検知が判定され、制御装置75が手動操向モードに切換えられて自動操向制御は解除される。
【0064】
走行機体Cが目標移動経路LM(1)の終点位置Lf(1)に到達すると、運転者は、目標移動経路LM(1)の未作業領域側に操向ハンドル43を操作して畦際旋回走行を行い、走行機体Cは、次の作業走行の始点位置Ls(2)に移動する。走行機体Cの旋回前に、運転者が操作レバー45を操作して苗植付装置Wを上昇させることができるが、操向ハンドル43の操作によって、苗植付装置Wに対する伝動が遮断され、苗植付装置Wが上昇する構成であっても良い。そして、走行機体Cの旋回が行われたことが判別される。
【0065】
目標移動経路LM(1)における作業走行の完了後、任意のタイミングで目標移動経路LM(2)が経路設定部76によって設定される。目標移動経路LM(2)は、障害物検知部63による畦際の判定時に設定されても良いし、走行機体Cの旋回中に設定されても良いし、走行機体Cの旋回後に設定されても良い。また、目標移動経路LM(2)は、設定スイッチ49や自動操向スイッチ50等の操作によって設定される構成であっても良いし、自動的に設定される構成であっても良い。目標移動経路LM(2)が、目標移動経路LM(1)の未作業領域側に隣接して設定された後、目標移動経路LM(2)に沿って自動操向制御が開始され、走行機体Cが作業走行する。
【0066】
走行機体Cが目標移動経路LM(2)の終点位置Lf(2)に到達した後、目標移動経路LM(3),LM(4),LM(5),LM(6)の順番で、畦際旋回走行後の目標移動経路LMの設定と、作業走行と、が繰り返される。つまり、夫々の目標移動経路LMは、一つずつ設定される。
【0067】
〔走行軌跡の取得手段〕
本実施形態における乗用型田植機では、植苗の植付間隔を適度に保持するため、自機位置NMの誤差範囲は、例えば十センチメートル以内の範囲での精度が要求される。衛星測位ユニット70としてRTK−GPSが用いられる構成では、一般的にRTK−GPSの誤差が数センチメートル以内であるため、精度良い走行軌跡を取得可能である。しかし、衛星測位ユニット70としてDGPSが用いられる構成では、一般的にDGPSの誤差が数メートルの範囲に及ぶ場合があるため、精度良い走行軌跡を取得できない可能性がある。このため、衛星測位ユニット70としてDGPSが用いられる構成では慣性計測ユニット74による走行軌跡の取得手段が用いられる。
【0068】
自動操向制御が行われる間、
図7に示されているように、慣性計測ユニット74によって検出される慣性量に基づいて、相対的な方位変化角ΔNAが、方位算定部77によって経時的に計測される。方位算定部77は、方位変化角ΔNAの積分によって、自動操向制御が開始された地点からの自機方位NAを経時的に算出する。走行軌跡取得部78は、車速センサ62によって検出される車速と、自機方位NAと、に基づいて自機位置NMを算出する。その結果、自機位置NMの集合に基づいて、走行機体Cの走行軌跡FPが、走行軌跡取得部78によって経時的に算出される。
【0069】
方位算定部77は、自機方位NAと目標方位LAとの方位ずれを算定する。制御部79は、自機方位NAが目標方位LAと合致するように操作量を出力し、操向制御部80は、操作量に基づいて操向モータ58を操作する。これにより、走行機体Cが、目標移動経路LMに沿って精度良く走行する。運転者は、操向ハンドル43の操作を行わない状態となっている。
【0070】
前述したようにDGPSの誤差は数メートルの範囲に及ぶ場合があるが、例えば十秒程度の短時間の間に、DGPSによる二点間の測位が行われる場合、当該二点間における位置の相対的な誤差は極めて小さいことが知られている。この特性を利用すると、当該二点間の測位データに基づいて算定される絶対方位は、当該二点間の距離が離れるほど高精度なものとなる。このことから、衛星測位ユニット70としてDGPSが用いられる構成では、方位算定部77は、衛星測位ユニット70によって測位される二点間の測位データから絶対方位を算出し、慣性計測ユニット74に基づく自機方位NAに方位誤差が生じないように、自機方位NAのキャリブレーション処理を行うように構成されている。つまり、慣性計測ユニット74による方位変化角ΔNAの計測に誤差が含まれる場合であっても、ΔNAの積分による誤差の累積が解消されて、走行軌跡FPの取得と、自動操向制御と、が正確なものとなる。
【0071】
〔基本的な目標移動経路の設定〕
図8に、走行済目標移動経路LM1に隣接する状態で、後工程用目標移動経路LM2が示されている。
図8における走行軌跡FPは、予め設定された移動経路としての走行済目標移動経路LM1と略一致した状態で、走行機体Cが走行した走行軌跡である。後工程用目標移動経路LM2は、走行機体Cが走行済目標移動経路LM1の次に作業走行を行う目標移動経路として設定される。このことから、
図8の走行済目標移動経路LM1が
図6の目標移動経路LM(1)に相当する場合、
図8の後工程用目標移動経路LM2は、
図6の目標移動経路LM(2)に相当する。また、
図8の走行済目標移動経路LM1が
図6の目標移動経路LM(2)に相当する場合、
図8の後工程用目標移動経路LM2は、
図6の目標移動経路LM(3)に相当する。後述する
図9乃至
図13における走行済目標移動経路LM1及び後工程用目標移動経路LM2も、同様である。
【0072】
なお、予め設定された移動経路としての走行済目標移動経路LM1は、上述したティーチング経路であっても良い。この場合、
図8の後工程用目標移動経路LM2は、
図6の目標移動経路LM(1)に相当する。
【0073】
基本的に、後工程用目標移動経路LM2は、衛星測位ユニット70の測位データに基づいて、走行済目標移動経路LM1から予め設定された設定距離Pだけ離して設定される。ここで、設定距離Pは、苗植付装置Wが田植え作業を行う作業幅に相当する距離である。
【0074】
しかし、衛星測位ユニット70としてDGPSが用いられる場合、前述したDGPSの位置誤差によって、測位データに基づく自機位置NMの位置座標NM3が、実際の走行済目標移動経路LM1に対して位置ずれする場合が考えられる。つまり、走行機体Cが実際に走行済目標移動経路LM1に精度良く沿う状態で自動操向制御が行われる場合であっても、衛星測位ユニット70の測位データに基づく位置座標NM3は絶対的な誤差を含む。よって、
図8に示されるように、位置座標NM3が走行済目標移動経路LM1に対して偏差d1だけ位置ずれする可能性がある。このことから、実際に位置座標NM3のみに基づいて後工程用目標移動経路LM2が設定される構成である場合、既作業領域の既植苗が踏み荒らされたり、畦際旋回前後の走行軌跡の間に不作業領域が発生したりする虞がある。
【0075】
本実施形態では、走行済目標移動経路LM1に沿って自動操向制御が行われた走行機体Cの実際の位置ずれに基づいて、後工程用目標移動経路LM2の走行済目標移動経路LM1に対する離間距離が算定される。前述したように、短時間の間にDGPSによる二点間の測位が行われる場合、二点間における位置の相対的な誤差は極めて小さいことが知られている。この特性を利用して、後工程用目標移動経路LM2の設定時に、畦際旋回の直前で測位される測位データに基づいて、自機位置NMから相対的な距離だけ離間した位置に後工程用目標移動経路LM2を設定するように、経路設定部76は構成されている。つまり、後工程用目標移動経路LM2は、衛星測位ユニット70の測位データに基づいて算出される自機位置NMから、設定距離Pだけ離間した位置に設定される。
【0076】
走行済目標移動経路LM1に沿う自動操向制御において、走行機体Cが、走行済目標移動経路LM1よりも未作業領域側に偏差d1だけ位置ずれした状態で作業走行する場合、
図8で示される一点鎖線が走行機体Cの実際の走行軌跡FPとなる。なお、走行軌跡FPは、走行軌跡取得部78によって算出される。
【0077】
畦際旋回走行の直前で、自機位置NMの位置座標NM3が、衛星測位ユニット70によって測位データとして測位される。位置座標NM3が測位された後、かつ、自動走行制御が開始される前に、畦際旋回走行が行われると共に、任意のタイミングで、後工程用目標移動経路LM2が設定される。通常の畦際旋回走行は数秒程度で完了するため、畦際旋回走行の完了直後に衛星測位ユニット70によって測位される位置座標と、畦際旋回走行の直前における位置座標NM3と、の間の相対的な誤差は小さなものとなる。なお、位置座標NM3は、終点位置Lfの付近において、衛星測位ユニット70によって測位される複数の測位データが平均化されたものであっても良い。
【0078】
本来であれば、後工程用目標移動経路LM2は、走行済目標移動経路LM1に対して設定距離Pだけ離間した位置、即ち、
図8で示される破線lmの位置に設定される。これに対して本実施形態では、走行機体Cの偏差d1に対応して、後工程用目標移動経路LM2が破線lmから偏差d1だけ未作業領域側に平行移動した状態で設定される。
【0079】
また、走行機体Cの実際の走行軌跡FPが、走行済目標移動経路LM1よりも既作業領域側に偏差d1だけ位置ずれする場合は、後工程用目標移動経路LM2は、走行済目標移動経路LM1に対する設定距離Pから、既作業領域側に偏差d1の分だけ平行移動した状態で設定される。
【0080】
これにより、衛星測位ユニット70によって測位される測位データに誤差が含まれる場合であっても、位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置に設定することができる。苗植付装置Wの作業幅の分だけ離れた位置に、後工程用目標移動経路LM2が設定される構成によって、既作業領域の既植苗が踏み荒らされたり、畦際旋回前後の走行軌跡の間に不作業領域が発生したりする虞が防止される。
【0081】
〔走行軌跡が考慮された目標移動経路の設定〕
走行機体Cは、必ずしも目標移動経路LMに沿って作業走行するとは限らない。例えば、
図9に示されているように、移動経路として直線状の走行済目標移動経路LM1が予め設定された場合であっても、走行機体Cのスリップや圃場の障害物の回避等によって、走行機体Cが蛇行する可能性がある。即ち、走行機体Cの実際の走行軌跡FPが、
図9の蛇行軌跡fpに示されているように、走行済目標移動経路LM1の左右方向に位置ずれする。このような場合、蛇行軌跡fpが考慮されないまま後工程用目標移動経路LM2が設定されると、以下の不都合が生じる。つまり、終点位置Lf付近の位置座標NM3から未作業領域側に設定距離Pだけ離れた箇所に、後工程用目標移動経路LM2が一本の直線状にそのまま設定されると、蛇行軌跡fpによる既作業領域と、後工程用目標移動経路LM2に沿って作業走行する際の作業幅と、が重複する。そして、走行機体Cが後工程用目標移動経路LM2に沿って作業走行すると、当該既作業領域の既植苗が踏み荒らされる虞がある。この不都合を回避するため、後工程用目標移動経路LM2は、複数の経路の組合せによって構成される。
【0082】
後工程用目標移動経路LM2の構成について、
図9に基づいて説明する。走行機体Cの走行済目標移動経路LM1に対する位置ずれは、走行軌跡FPに基づいて経路設定部76によって判定される。具体的に、走行済目標移動経路LM1に沿って左右両側に偏差d2の閾値が設けられている。第一領域A1は、走行軌跡FPのうち、偏差d2よりも走行済目標移動経路LM1の位置する側の箇所である。また、第二領域A2は、走行軌跡FPのうち、偏差d2よりも走行済目標移動経路LM1の位置する側と反対側の箇所である。
【0083】
本実施形態では、後工程用目標移動経路LM2は、直線状の第一経路lm1と、直線状の第二経路lm2と、によって構成されている。走行済目標移動経路LM1に沿って自動操向制御が支障なく行われたとき、走行軌跡FPは第一領域A1の範囲内に収束し、走行軌跡FPが走行済目標移動経路LM1と一致又は略一致するものと判定される。そして、第一経路lm1が第一領域A1に対応して設定される。なお、偏差d2の値は、例えば十センチメートル以下の値である。
【0084】
走行軌跡FPのうち、第二領域A2に位置する箇所が蛇行軌跡fpとして
図9に示されている。このことから、第二領域A2の蛇行軌跡fpに基づいて、第二経路lm2が第二領域A2に対応して設定される。
図9において第二領域A2の蛇行軌跡fpは、走行済目標移動経路LM1よりも未作業領域側に位置ずれした状態となっている。このため、第二経路lm2は第一経路lm1よりも未作業領域側に位置ずれする状態で設定される。
【0085】
本実施形態では、位置座標NM3を基準に後工程用目標移動経路LM2が設定され、位置座標NM3は第一領域A1の範囲内の箇所である。このため、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp1が走行軌跡取得部78によって算出される。また、走行軌跡FPのうち、第二領域A2に位置ずれする走行距離R1も、走行軌跡取得部78によって算出される。なお、走行距離R1は、走行済目標移動経路LM1に沿う方向の長さであり、蛇行軌跡fpの実際の蛇行する長さを意味するものではない。
【0086】
第二経路lm2は、走行済目標移動経路LM1と平行な経路であり、蛇行軌跡fpのうち、最も未作業領域側に位置ずれする箇所から設定距離Pだけ未作業領域側に離間する状態で設定される。第二経路lm2の経路長さは、蛇行軌跡fpの走行距離R1に対応する長さに設定されている。また、第二経路lm2の経路長さは、走行距離R1よりも前後方向に亘って長く設定されていても良い。
【0087】
第一経路lm1と第二経路lm2とは不連続な経路である。本実施形態では、第二経路lm2は、第一経路lm1に対して平行に、かつ、走行軌跡FPから離れる側に、位置ずれ幅Δp2だけ位置ずれする。つまり、第一経路lm1と第二経路lm2とに亘る自動操向制御が行われると、目標となる経路が第一経路lm1から第二経路lm2に切換わる。このことから、走行機体Cが第一経路lm1に沿って作業走行した後に、走行機体Cが第二経路lm2に対して機体横方向に位置ずれする。この場合、以下のような位置ずれ修正処理が、制御部79によって実行される。
【0088】
図10に示されているように、まず、目標となる経路が、第一経路lm1から第二経路lm2に切換わるとき、切換るタイミングにおける自機位置NMの位置座標NM4が、衛星測位ユニット70によって測位される。上述したように、例えば十秒程度の短時間の間に、DGPSによる二点間の測位が行われる場合、二点間における位置の相対的な誤差は極めて小さい。このようなDGPSの特性を利用して、位置座標NM4から横方向に位置ずれ幅Δp2だけ位置ずれする箇所、即ち第二経路lm2の位置する箇所に、走行機体Cを出来るだけ速やかに移動させる制御が行われる。
【0089】
図10に示されているように、自機位置NMが第二経路lm2から横方向に位置ずれ幅Δp2だけ位置ずれした状態で、走行機体Cが走行する場合、制御部79は、目標方位LAを設定傾斜角α1だけ傾斜した方位に変更する。つまり、制御部79は、自動操向制御するときの目標方位LAとして、第二経路lm2の位置する側に設定傾斜角α1だけ傾斜した方位に目標方位LAを変更して自動操向制御を実行する。
【0090】
このとき、自機位置NMが第二経路lm2に相当する箇所から離れているほど、設定傾斜角α1が大側に設定され、自機位置NMが第二経路lm2に相当する箇所に近づくほど、設定傾斜角α1が緩く設定される。また、車速が低速であれば、設定傾斜角α1が大側に設定され、車速が高速であるほど設定傾斜角α1が緩く設定される。但し、設定傾斜角α1には上限値が設定され、車速がどのように低速であっても、位置ずれが大きくても、設定傾斜角α1が設定上限値を越えることはない。これにより、走行機体Cが急旋回して走行状態が不安定になる虞が防止される。
【0091】
自機方位NAが、設定傾斜角α1だけ傾斜した目標方位LAに達すると、目標方位LAは、設定傾斜角α1よりも緩い傾斜角α2だけ傾斜した方位に変更される。このように、第二経路lm2に対する方位偏差が徐々に小さくなる状態で、走行機体Cが斜め方向に走行するので、迅速に走行機体Cが第二経路lm2に近づく。
【0092】
上述した第二経路lm2に相当する箇所は、第二経路lm2に相当する位置の左右両側に横方向に所定幅の領域を有している。すなわち、位置偏差に対する制御不感帯が設定されており、位置偏差が制御不感帯の範囲内に入ると、目標方位LAは傾斜せず、本来の第二経路lm2に沿う方向に設定される。
【0093】
上述した構成によって、走行機体Cが第二経路lm2に誘導される。また、目標となる経路が第二経路lm2から第一経路lm1に切換わるときも、上述した位置ずれ修正処理が実行される。その結果、後工程用目標移動経路LM2に沿う作業走行が、蛇行軌跡fpによる既作業領域を迂回するように行われ、当該既作業領域における既植苗が踏み荒らされる虞が回避される。
【0094】
走行軌跡FPから設定距離Pだけ離れて第一経路lm1及び第二経路lm2が設定される構成であれば、走行軌跡FPによる既作業領域の既植苗と、後工程用目標移動経路LM2に沿って田植えされる既植苗と、の間隔が等間隔になり易い。しかし、設定距離Pだけ離間して設定された第一経路lm1及び第二経路lm2に沿って作業走行が行われると、当該作業走行に基づく走行軌跡も蛇行する。また、当該蛇行の度合いが走行軌跡FPよりも更に大きくなる場合、更に後工程の後工程用目標移動経路LM2に基づく走行軌跡も大きく蛇行する可能性があり、自動操向制御として好ましくない。この不都合を回避するため、蛇行する走行軌跡FPに基づいて設定される後工程用目標移動経路LM2は、直線的な経路に戻るように設定される。
【0095】
走行軌跡FPの全てが第一領域A1の範囲内に収束する場合、第一経路lm1は、自機位置NMの位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置に設定される。しかし、
図9に示されているように、走行済目標移動経路LM1よりも未作業領域側に位置する蛇行軌跡fpが走行軌跡FPに含まれる場合、第一経路lm1は、位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置から、更に補正間隔pだけ離れた位置に設定される。換言すると、第一経路lm1と第二経路lm2との位置ずれ幅Δp2は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp1よりも補正間隔pだけ小さくなる。補正間隔pは、走行軌跡FPにおける苗植付装置Wの作業幅と、第一経路lm1に沿って作業走行が行われる際の苗植付装置Wの作業幅と、の間隔が大き過ぎない程度の適度な間隔として設定される。
【0096】
つまり、蛇行軌跡fpが走行済目標移動経路LM1よりも未作業領域側に位置ずれしていることに対応して、第一経路lm1は、既作業領域側から離れる側に余分に離間するように設定される。これにより、第一経路lm1と第二経路lm2とに亘って作業走行が行われると、当該作業走行の走行軌跡は走行軌跡FPよりも直線的になる。
【0097】
図11に示されているように、蛇行軌跡fpが走行済目標移動経路LM1よりも既作業領域側に蛇行する場合、走行軌跡FPに基づく既作業領域に、苗が植えられない凹入形状の空白領域A3が発生する。この場合、後工程用目標移動経路LM2の第一経路lm1に沿って走行機体Cが作業走行しても、走行軌跡FPにおける既植苗が踏み荒らされる虞はない。このため、第一経路lm1は、位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置に設定される。第二経路lm2は、蛇行軌跡fpに対応して、第一経路lm1よりも既作業領域側に位置ずれして設定される。つまり、走行軌跡FPと、後工程用目標移動経路LM2と、の間の空白領域A3を埋めるように、第二経路lm2が設定される。
【0098】
図11において、蛇行軌跡fpのうち最も既作業領域側に位置ずれする箇所と、第二経路lm2と、の離間距離は、設定距離Pに補正間隔pだけ加えられた距離に設定される。換言すると、第一経路lm1と第二経路lm2との位置ずれ幅Δp2は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp1よりも補正間隔pだけ小さくなる。これにより、第一経路lm1と第二経路lm2とに亘って作業走行が行われると、空白領域A3が植苗で埋められつつも、当該作業走行の走行軌跡は走行軌跡FPよりも直線的になる。
【0099】
図12に示されているように、走行軌跡FPが複数の蛇行軌跡fp(1)〜fp(3)を有する場合、後工程用目標移動経路LM2は、複数の第二経路lm2を有する。
図12において、第二経路lm2(1)及びlm2(3)が走行済目標移動経路LM1よりも未作業領域側に位置し、第二経路lm2(2)が走行済目標移動経路LM1よりも既作業領域側に位置する。複数の蛇行軌跡fp(1)〜fp(3)のうち、蛇行軌跡fp(1)が最も未作業領域側に位置ずれする。このため、蛇行軌跡fp(1)のうち最も未作業領域側に位置ずれする箇所から、未作業領域側に設定距離Pの距離だけ離間した個所に、第二経路lm2(1)が設定される。また、第一経路lm1は、位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置から、更に補正間隔paだけ離れた位置に設定される。位置ずれ幅Δp1は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fp(1)において最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅である。また、位置ずれ幅Δp1は、蛇行軌跡fp(1)において最も位置ずれする箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅であっても良い。換言すると、第一経路lm1(1)と第二経路lm2との位置ずれ幅Δp2は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fp(1)において最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp1よりも補正間隔paだけ小さくなる。
【0100】
更に
図12において、蛇行軌跡fp(2)のうち最も既作業領域側に位置ずれする箇所と、第二経路lm2(2)と、の離間距離は、設定距離Pに補正間隔pbだけ加えられた距離に設定される。位置ずれ幅Δp3は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fp(2)において最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅である。また、位置ずれ幅Δp3は、蛇行軌跡fp(2)において最も位置ずれする箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅であっても良い。換言すると、第一経路lm1と第二経路lm2(2)との位置ずれ幅Δp4は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fp(2)において最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp3よりも補正間隔pbだけ小さくなる。
【0101】
また、
図12において、蛇行軌跡fp(3)のうち最も未作業領域側に位置ずれする箇所と、第二経路lm2(3)と、の離間距離は、設定距離Pであっても良いし、設定距離Pに任意の補正間隔だけ加えられた距離であっても良い。位置ずれ幅Δp5は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fp(3)において最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅である。また、位置ずれ幅Δp5は、蛇行軌跡fp(3)において最も位置ずれする箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅であっても良い。つまり、第一経路lm1と第二経路lm2(3)との位置ずれ幅Δp6は、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fp(3)において最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp5よりも小さくなれば良い。これにより、第一経路lm1と第二経路lm2とに亘って作業走行が行われると、当該作業走行の走行軌跡は走行軌跡FPよりも直線的になる。なお、補正間隔pa及び補正間隔pbは、同じ値であっても良いし、夫々異なる値であっても良い。
【0102】
上述した構成によって、後工程用目標移動経路LM2に沿って自動操向制御が行われた後の走行軌跡の蛇行の度合いは、走行済目標移動経路LM1に沿って自動操向制御が行われた後の走行軌跡FPの蛇行の度合いよりも小さくなる。つまり、後工程用目標移動経路LM2に沿って自動操向制御が行われた後の走行軌跡は、走行済目標移動経路LM1に沿って自動操向制御が行われた後の走行軌跡FPよりも直線的な走行軌跡となる。このため、
図13に示されているように、後工程用目標移動経路LM2(1)〜LM2(5)は、作業走行の工程を重ねるごとに直線的な経路に形成される。つまり、後工程用目標移動経路LM2(1)〜LM2(5)は、圃場の作業走行と畦際の旋回走行とを繰り返しながら複数設定され、後工程の後工程用目標移動経路LM2になる程、第一経路lm1と第二経路lm2との位置ずれ幅Δp2が小さくなる。これにより、例えば走行機体Cのスリップや圃場の障害物の回避等によって、走行軌跡FPが蛇行する場合であっても、その後に設定される後工程用目標移動経路LM2は、徐々に直線的な経路に修正され、最終的に一本の直線状に収束する。
【0103】
〔表示部〕
図14に示されているように、機体の状態が報知部59を介して表示部48の画面に表示される。表示部48は、作業情報領域100、位置ずれ情報領域101、車速情報領域102等の複数の表示領域に区分けされている。作業情報領域100は、表示部48の上側の左端に作業日時や作業実績などを表示する。位置ずれ情報領域101は、上側の中央に目標移動経路LMに対する走行機体C(自機位置NM)の位置ずれ量を表示する。車速情報領域102は、上側の右端に車速を表示する。表示部48の上側以外の大きな領域は位置情報領域104となっており、位置情報領域104は圃場における走行機体Cの位置を示す。位置情報領域104の左端の小さな領域は操舵状態情報領域103となっており、操舵状態情報領域103は制御装置75の自動操向モード又は手動操向モードの状態を表示する。位置情報領域104の右端には、タッチパネル操作式のソフトウエアボタン群120が配置されている。表示部48の更に右側には、物理ボタン群121が配置されている。
【0104】
位置情報領域104には、走行機体C周辺の圃場の作業状態及び、目標移動経路LMと、自機位置NMを示す機体シンボルSYが表示されている。なお、目標移動経路LMのうち、作業走行中の目標移動経路LMは、分かりやすくするために太い実線で描画されている。また、目標移動経路LMが第一経路lm1と第二経路lm2とによって構成される場合、第一経路lm1及び第二経路lm2が表示される。更に、既に田植えが完了した領域は各植付苗を点描化して表示される。これにより、既作業領域と未作業領域とが視覚的に明確に区別されている。走行機体Cが蛇行して作業走行が行われると、点描化された植付苗によって、蛇行の度合いが視覚化される。なお、この植付苗跡の表示は、点描以外に線状の植付条を示す線であっても良い。
【0105】
図14では明示されていないが、走行機体Cの走行軌跡FPを、表示部48に表示することもできる。この走行軌跡FPと目標移動経路LMとを比べることで、自動操向制御の精度をチェックすることができる。走行軌跡FPは、衛星測位ユニット70による測位データに基づいて表示部48に表示される。また、機体シンボルSYは矢印状で示されており、尖鋭方向が進行方向、即ち自機方位NAを示している。自機方位NAと目標方位LAとの方位ずれをより視覚的に分かりやすくするため、機体シンボルSYの中心から進行方向に延びた指針110と、その向きの角度範囲を示す向き目盛111と、が上書き表示されている。方位ずれのデジタル値も表示可能である。運転者は、表示部48を通じて、目標移動経路LMに対する走行機体Cの位置ずれ及び方位ずれを視認できる。
【0106】
走行済目標移動経路LM1における作業走行に基づいて後工程用目標移動経路LM2が設定されると、
図14に示されているように、位置ずれ情報領域101に、後工程用目標移動経路LM2に対する走行機体Cの位置ずれ量が表示される。位置ずれ量が表示されるタイミングは、走行済目標移動経路LM1から後工程用目標移動経路LM2に畦際旋回走行する際中であっても良いし、当該畦際旋回走行の完了後であっても良い。また、目標となる経路が第一経路lm1から第二経路lm2に切換わるとき、位置ずれ情報領域101に表示される位置ずれ量は、第一経路lm1に対する位置ずれ量から、第二経路lm2に対する位置ずれ量に切換えられる。
【0107】
〔別実施形態〕
本発明は、上述した実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0108】
〔1〕上述した実施形態において、夫々の目標移動経路LMは一つずつ設定される構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、
図13に示される夫々の後工程用目標移動経路LM2が、同時に複数設定される構成であっても良い。
図13において、走行済目標移動経路LM1の未作業領域側に、後工程用目標移動経路LM2(1)〜LM2(5)の幾つかが、走行軌跡FPに基づいて、予め設定された等間隔で夫々設定される。後工程用目標移動経路LM2は、例えば二つや三つの予め設定された数で設定される構成であっても良いし、後工程用目標移動経路LM2が一本の直線状の経路になるまで一度に設定される構成であっても良い。
【0109】
〔2〕上述した実施形態に限定されず、例えば、
図12に示された第二経路lm2は、
図15に示されるように、夫々の第二経路lm2の位置ずれ間隔が狭い状態で、複数備えられている構成であっても良い。
図15において、第一経路lm1と第二経路lm2(1)との間には、複数の第二経路lm2が階段状に備えられ、第一経路lm1と第二経路lm2(1)とが段階的に設定される。また、第二経路lm2(1)と第二経路lm2(2)との間にも複数の第二経路lm2が階段状に備えられ、第二経路lm2(2)と第二経路lm2(3)との間にも複数の第二経路lm2が階段状に備えられている。この構成であれば、第一経路lm1と第二経路lm2(1)とに亘って自動操向制御が行われる際に、より蛇行軌跡fpに沿う作業走行が可能になる。また、第一経路lm1と第二経路lm2(3)との間の第二経路lm2に例示されるように、走行軌跡FPの位置ずれ度合に応じて、階段状に備えられる第二経路lm2の数が増減する構成であっても良い。また、夫々の第二経路lm2が必ずしも直線形状でなくて良く、例えば夫々の第二経路lm2が近似曲線であっても良い。
【0110】
〔3〕上述した実施形態に例示された後工程用目標移動経路LM2は、直線状の経路として形成される第一経路lm1及び第二経路lm2によって構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、後工程用目標移動経路LM2は、走行軌跡FPに基づく近似曲線の経路であっても良い。
図16に示されているように、後工程用目標移動経路LM2が曲線状に形成され、後工程用目標移動経路LM2は、公知の波形フィルタ処理等を介して走行軌跡FPよりも直線的な経路となるように構成されても良い。蛇行軌跡fpのうち、蛇行軌跡fp(1)が最も未作業領域側に位置ずれする。このため、蛇行軌跡fp(1)のうち最も位置ずれする箇所と、後工程用目標移動経路LM2のうち蛇行軌跡fp(1)に対応する箇所と、の離間距離が設定距離Pの距離になるように、後工程用目標移動経路LM2は走行軌跡FPから未作業領域側に離間する。これにより、後工程用目標移動経路LM2の何れの箇所も、走行軌跡FPから未作業領域側に設定距離P以上離間し、走行軌跡FPによる既作業領域と、後工程用目標移動経路LM2に沿って作業走行する際の作業幅と、が重複しなくなる。その結果、後工程用目標移動経路LM2に沿って、走行軌跡FPによる既作業領域に対して隙間なく田植え作業ができる。この構成は、衛星測位ユニット70としてRTK−GPSが用いられる場合、顕著に有用である。
【0111】
〔4〕上述した実施形態では、走行軌跡FPが、走行済目標移動経路LM1の終点位置Lfにおいて位置ずれしていない場合を例示したが、上述した実施形態に限定されない。例えば、
図17に示されているように、走行軌跡FPが、走行済目標移動経路LM1の終点位置Lfにおいて第一領域A1に収束せず、未作業領域側の第二領域A2に位置ずれする場合も考えられる。このような場合、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp1aが走行軌跡取得部78によって算出される。また、位置座標NM3が測位される箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅Δp1bが走行軌跡取得部78によって算出される。つまり、位置ずれ幅Δp1aと位置ずれ幅Δp1bとの和が、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅Δp1となる。
【0112】
第二経路lm2は、位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置から、更に位置ずれ幅Δp1aだけ離れた位置に設定される。つまり、第二経路lm2は、蛇行軌跡fpのうち、最も未作業領域側に位置ずれする箇所から設定距離Pだけ未作業領域側に離間する状態で設定される。また、第一経路lm1は、走行軌跡FPのうち、第一領域A1に収束する経路に対応して、第二経路lm2よりも既作業領域側に設定され、第一経路lm1と第二経路lm2との位置ずれ幅Δp2は、位置ずれ幅Δp1よりも補正間隔pだけ小さく設定される。
【0113】
図18に示されているように、走行軌跡FPが、走行済目標移動経路LM1の終点位置Lfにおいて第一領域A1に収束せず、既作業領域側の第二領域A2に位置ずれする場合も考えられる。このような場合、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、の位置ずれ幅Δp1aが走行軌跡取得部78によって算出される。また、位置座標NM3が測位される箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅Δp1bが走行軌跡取得部78によって算出される。なお、
図18において、位置座標NM3が測位される箇所と、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、が重複するため、位置ずれ幅Δp1aは略零値となる。つまり、位置ずれ幅Δp1aと位置ずれ幅Δp1bとの和が、蛇行軌跡fpにおいて最も位置ずれする箇所と、走行済目標移動経路LM1と、の位置ずれ幅Δp1となる。第一経路lm1は、走行軌跡FPのうち、第一領域A1に収束する経路に対応して、走行済目標移動経路LM1から設定距離Pだけ離間した位置に設定される。換言すると、第一経路lm1は、位置座標NM3から設定距離Pだけ離間した位置よりも、更に位置ずれ幅Δp1bだけ離れた位置に設定される。第二経路lm2は、蛇行軌跡fpに対応して、第一経路lm1よりも既作業領域側に位置ずれして設定される。蛇行軌跡fpのうち最も既作業領域側に位置ずれする箇所と、第二経路lm2と、の離間距離は、設定距離Pに補正間隔pだけ加えられた距離に設定される。
【0114】
〔5〕上述した実施形態において、目標移動経路LMは一つの完結した圃場内で設定される構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、目標移動経路LMは、複数の圃場に亘って設定される構成であっても良い。この場合、ティーチング経路や、目標移動経路LMに対する実際の走行軌跡FPが基準経路として記憶され、他の圃場における目標移動経路LMの設定に用いられる構成であっても良い。基準経路は、走行機体Cに設けられたマイクロコンピュータの記憶部に記憶される構成であっても良いし、外部端末の記憶部に記憶される構成であっても良い。基準経路が外部端末の記憶部に記憶される構成である場合、走行機体Cに、WAN(Wide Area Network)等を介して外部端末と通信可能な通信機器が備えられ、基準経路が外部端末の記憶部から走行機体Cのマイクロコンピュータに読み出される構成であっても良い。基準経路は、外部端末や走行機体Cのマイクロコンピュータに備えられる記憶部に、複数記憶される構成であっても良い。この構成によって、圃場毎に対応した基準経路を読み出すだけで、ティーチング走行が無くても目標移動経路LMを設定できる。
【0115】
〔6〕上述した田植機のみならず、本発明は、直播機等を含むその他の直播系作業機に適用可能である。また、直播系作業機以外に、トラクタやコンバイン等の農作業機にも、本発明は適用可能である。