特許第6908526号(P6908526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6908526ロボット外科用システムのための入力デバイスアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6908526
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】ロボット外科用システムのための入力デバイスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20210715BHJP
【FI】
   A61B34/37
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-545711(P2017-545711)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公表番号】特表2018-509210(P2018-509210A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2016023519
(87)【国際公開番号】WO2016154173
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年2月8日
(31)【優先権主張番号】62/138,432
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, ウィリアム
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−511334(JP,A)
【文献】 特開2013−035117(JP,A)
【文献】 特開平08−224245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30 − 34/37
B25J 3/00 − 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科用システムを動作させる方法であって、前記ロボット外科用システムは、ツールと処理ユニットとを備え、前記方法は、
前記処理ユニットが、入力アームの入力シャフトに結合された入力デバイスの移動距離を表わす信号を受信することと、
前記処理ユニットが、リングの位置を決定することであって、前記リングは、前記入力デバイスの本体の周りに配置されており、前記リングは、アクティブ位置と非アクティブ位置との間で前記入力デバイスの前記本体の長手方向軸に沿って摺動可能である、ことと、
前記処理ユニットが再位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと、
前記処理ユニットが、前記スケーリングされた移動距離に基づいて前記ロボット外科用システムの前記ツールを移動させること
を含み、
前記移動距離をスケーリングすることは、
前記リングが前記アクティブ位置にあると決定された場合には、前記処理ユニットが、前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、
前記リングが前記非アクティブ位置にあると決定された場合には、前記処理ユニットが、前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記処理ユニットが、前記リングが前記入力デバイスの前記本体の前記長手方向軸に沿って中立位置から離れて摺動されるときに前記リングがアクティブ状態にあることを決定することと、
前記処理ユニットが、前記リングが前記中立位置にあるときに前記リングが非アクティブ状態にあることを決定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リングは、前記本体の前記長手方向軸に沿って遠位に摺動される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
ロボット外科用システムを動作させる方法であって、前記ロボット外科用システムは、ツールと処理ユニットとを備え、前記方法は、
前記処理ユニットが、入力アームの入力シャフトに結合された入力デバイスの移動距離を表わす信号を受信することと、
前記処理ユニットが、花弁状部の位置を決定することであって、前記花弁状部は、前記入力デバイスの本体から放射状に延在し、前記花弁状部は、アクティブ位置と非アクティブ位置との間で移動可能である、ことと、
前記処理ユニットが再位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと、
前記処理ユニットが、前記スケーリングされた移動距離に基づいて前記ロボット外科用システムの前記ツールを移動させること
を含み、
前記移動距離をスケーリングすることは、
前記花弁状部が前記アクティブ位置にあると決定された場合には、前記処理ユニットが、前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、
前記花弁状部が前記非アクティブ位置にあると決定された場合には、前記処理ユニットが、前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと
を含む、方法。
【請求項5】
前記処理ユニットが、前記花弁状部が中立位置から離れて移動されるときに前記花弁状部がアクティブ状態にあることを決定することと、
前記処理ユニットが、前記花弁状部が前記中立位置にあるときに前記花弁状部が非アクティブ状態にあることを決定することと
をさらに含み、
前記入力デバイスの前記花弁状部を係合することは、前記花弁状部を近位に枢動することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記花弁状部は、前記中立位置から離れて枢動されるときに前記中立位置から離れて移動される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記再位置決めスケーリング因子と前記動作スケーリング因子とは、10倍〜200倍異なる、請求項1、のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記再位置決めスケーリング因子は、1000より少ない、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記再位置決めスケーリング因子は、前記動作スケーリング因子が1〜5であるときに、少なくとも50である、請求項1、のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記再位置決めスケーリング因子は、100〜500であり、前記動作スケーリング因子は、10を超えない、請求項1、のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記再位置決めスケーリング因子は、少なくとも50であり、前記動作スケーリング因子は、複数の値の間で選択可能である、請求項1、のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ロボット外科用システムであって、
前記ロボット外科用システムは、処理ユニットとロボットシステムとユーザインターフェースとを備え、
前記ロボットシステムは、
ロボットベースと、
前記ロボットベースから延在する連動機構であって、前記連動機構は、複数の部材を含み、前記複数の部材は、前記処理ユニットからのスケーリングされた信号に応答して移動するように構成されている、連動機構と、
前記連動機構の端部において支持されたツールと
を含み、
前記ユーザインターフェースは、
入力シャフトを有する入力アームと、
前記入力シャフトに結合された入力デバイスであって、前記入力デバイスは、リングを含み、前記リングは、前記入力デバイスの本体の周りに配置されており、前記リングは、アクティブ位置と非アクティブ位置との間で前記入力デバイスの前記本体の長手方向軸に沿って摺動可能である、入力デバイスと
を含み、
前記処理ユニットは、
(a)前記入力デバイスの移動距離を表わす信号を受信することと、
(b)前記リングの位置を決定することと、
(c)位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと
を行うように構成されており、
前記処理ユニットは、
前記リングが前記アクティブ位置にあると決定された場合には、前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、
前記リングが前記非アクティブ位置にあると決定された場合には、前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと
を行うことによって、前記移動距離をスケーリングするように構成されている、ロボット外科用システム。
【請求項13】
ロボット外科用システムであって、
前記ロボット外科用システムは、処理ユニットとロボットシステムとユーザインターフェースとを備え、
前記ロボットシステムは、
ロボットベースと、
前記ロボットベースから延在する連動機構であって、前記連動機構は、複数の部材を含み、前記複数の部材は、前記処理ユニットからのスケーリングされた信号に応答して移動するように構成されている、連動機構と、
前記連動機構の端部において支持されたツールと
を含み、
前記ユーザインターフェースは、
入力シャフトを有する入力アームと、
前記入力シャフトに結合された入力デバイスであって、前記入力デバイスは、花弁状部を含み、前記花弁状部は、前記入力デバイスの本体から放射状に延在し、前記花弁状部は、アクティブ位置と非アクティブ位置との間で移動可能である、入力デバイスと
を含み、
前記処理ユニットは、
(a)前記入力デバイスの移動距離を表わす信号を受信することと、
(b)前記花弁状部の位置を決定することと、
(c)位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと
を行うように構成されており、
前記処理ユニットは、
前記花弁状部が前記アクティブ位置にあると決定された場合には、前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、
前記花弁状部が前記非アクティブ位置にあると決定された場合には、前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと
を行うことによって、前記移動距離をスケーリングするように構成されている、ロボット外科用システム。
【請求項14】
前記花弁状部は、前記非アクティブ位置から前記アクティブ位置まで近位に枢動可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記花弁状部は、前記非アクティブ位置から前記アクティブ位置まで遠位に枢動可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
ロボット外科用システムのための入力デバイスであって、
入力アームの入力シャフトに結合するように構成された本体と、
前記本体の周りに配置されたリングであって、前記リングは、前記本体の長手方向軸に沿ってアクティブ位置と非アクティブ位置との間で摺動可能である、リングと、
前記入力デバイスの移動距離を表わす信号を処理ユニットに伝送するように構成されたコントローラと
を備え、
前記処理ユニットは、
(a)前記入力デバイスの前記移動距離を表わす前記信号を受信することと、
(b)前記リングの位置を決定することと、
(c)位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと
を行うように構成されており、
前記処理ユニットは、
前記リングが前記アクティブ位置にあると決定された場合には、前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、
前記リングが前記非アクティブ位置にあると決定された場合には、前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと
を行うことによって、前記移動距離をスケーリングするように構成されている、入力デバイス。
【請求項17】
ロボット外科用システムのための入力デバイスであって、
入力アームの入力シャフトに結合するように構成された本体と、
前記本体から放射状に延在する花弁状部であって、前記花弁状部は、アクティブ位置と非アクティブ位置との間で移動可能である、花弁状部と、
前記入力デバイスの移動距離を表わす信号を処理ユニットに伝送するように構成されたコントローラと
を備え、
前記処理ユニットは、
(a)前記入力デバイスの前記移動距離を表わす前記信号を受信することと、
(b)前記花弁状部の位置を決定することと、
(c)位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと
を行うように構成されており、
前記処理ユニットは、
前記花弁状部が前記アクティブ位置にあると決定された場合には、前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、
前記花弁状部が前記非アクティブ位置にあると決定された場合には、前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと
を行うことによって、前記移動距離をスケーリングするように構成されている、入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月26日に出願された米国仮特許出願第62/138,432号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その開示全体が、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
ロボット外科用システムは、最小侵襲医療手技に使用されている。かかる医療手技の間に、ロボット外科用システムは、外科医がユーザインターフェースとインターフェースを取ることによって制御される。ユーザインターフェースは、外科医が、患者に作用するエンドエフェクタを操作することを可能にする。ユーザインターフェースは、ロボット外科用システムを制御するために外科医によって移動可能な入力コントローラまたはハンドルを含む。
【0003】
ロボット外科用システムは、外科医がより精密にエンドエフェクタを患者の内側に移動させ得るように、典型的には、スケーリング因子を使用して外科医の手の動きを縮小し、患者内のエンドエフェクタの所望位置を判断する。入力デバイスハンドルは、動きの固定範囲を有するので、より大きなスケーリング因子の場合、外科医は、入力ハンドルの動きの範囲の終りに達し得ることがより多い。次いで、外科医が、動きの範囲の終りから離れてユーザインターフェースの作業空間内の新しい位置にハンドルを移動し得、一方で、器具は静止したままであるように、外科医は、ハンドルを「クラッチ」して、エンドエフェクタから入力ハンドルの動きを切り離す必要がある。一旦、入力ハンドルが動きの範囲の終りから十分に離れて移動したら、外科医は、入力ハンドルをエンドエフェクタと「再びクラッチ」して、入力ハンドルの動きをエンドエフェクタの動きに再び連結して、エンドエフェクタの所望の移動を完了する。典型的には、フットペダルが、入力ハンドルを「クラッチ」するように使用される。エンドエフェクタからの入力ハンドルの動きの間のこの伝達の切り離しは、適切に管理されない場合、伝達の切り離しが発生するときに「クラッチする」窓の間に安全性問題を引き起こし得る。追加的に、一部の手技の間に、エンドエフェクタが静止したままでないように、及び入力デバイスハンドルが再位置決めされる間に他の移動している本体部分または器具との衝突をより受けやすいように、ハンドルの再位置決めの間にエンドエフェクタの微細な移動を可能にすることが望ましい可能性がある。
【0004】
ロボット外科用システムが、エンドエフェクタを静止に保つ及び/または再位置決めの間に入力デバイスから伝達的に切り離される伝統的な「クラッチング」を要求せずに、簡単に再位置決めされ得る入力デバイスハンドルを有する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある態様では、ロボットシステムのツールを制御する方法が、入力アームの入力シャフトに連結された入力デバイスの移動距離を表わす信号を受信することと、入力デバイスの再位置決め制御の状態を判断することと、再位置決め制御の状態に従って再位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて移動距離をスケーリングすることと、スケーリングされた移動距離に基づいてロボットシステムのツールを移動することと、を含む。ツールは、移動距離が動作スケーリング因子の代わりに再位置決めスケーリング因子に基づいてスケーリングされるときに、少なくともゼロではない桁が1つ低い距離だけ移動する。方法は、再位置決め制御がアクティブ状態にあるときに再位置決めスケーリング因子に基づいて移動距離をスケーリングすることと、再位置決め制御が非アクティブ状態にあるときに動作スケーリング因子に基づいて移動距離をスケーリングすることと、を含んでもよい。
【0006】
態様では、再位置決め制御が、入力デバイスの本体の周りに配置されたリングを含む。方法は、リングが入力デバイスの本体の長手方向軸に沿って中立位置から離れて摺動されるときに、リングがアクティブ状態にあることを判断することと、リングが中立位置にあるときに、リングが非アクティブ状態にあることを判断することと、を含んでもよい。リングは、本体の長手方向軸に沿って遠位に摺動される。
【0007】
一部の態様では、方法は、リングが、入力デバイスの本体の長手方向軸の周りに中立位置から離れて回転されるときに、リングがアクティブ状態にあることを判断することと、リングが中立位置にあるときに、リングが非アクティブ状態にあることを判断することと、を含む。
【0008】
一定の態様では、入力デバイスの再位置決め制御が、本体から放射状に延在する花弁状部を含む。方法は、花弁状部が中立位置から離れて移動されるときに、花弁状部がアクティブ状態にあることを判断することと、リングが中立位置にあるときに、リングが非アクティブ状態にあることを判断することと、を含んでもよい。入力デバイスの花弁状部を係合することが、花弁状部を近位に枢動することを含んでもよい。花弁状部は、中立位置から離れて枢動されるときに、中立位置から離れて移動されてもよい。
【0009】
特定の態様では、再位置決めスケーリング因子が、1000より少ない。再位置決めスケーリング因子は、動作スケーリング因子が1〜5であるときに、少なくとも50であり得る。再位置決めスケーリング因子は、100〜500であってもよく、かつ動作スケーリング因子は、10を超えない。再位置決めスケーリング因子は、少なくとも50であってもよく、かつ動作スケーリング因子は、複数の値の間で選択可能である。
【0010】
本開示の別の態様では、ロボット外科用システムが、処理ユニット、ロボットシステム、及びユーザインターフェースを含む。ロボットシステムは、ロボットベース、連動機構、及びツールを含む。連動機構は、ロボットベースから延在し、処理ユニットからのスケーリングされた信号に応答して移動するように構成された複数の部材を有する。ツールは、連動機構の端部において支持される。ユーザインターフェースは、入力シャフトを有する入力アームを含む。ユーザインターフェースはまた、入力シャフトに連結された入力デバイスを含む。入力デバイスは、処理ユニットと通信してツールの移動に対する入力シャフトの移動のスケーリング因子を選択的に変動させる再位置決め制御を含む。
【0011】
態様では、再位置決め制御が、入力シャフトの移動が、ツールの移動に対して第1のスケーリング因子によってスケーリングされるようなアクティブ位置、及び入力シャフトの移動が、ツールの移動に対して第2のスケーリング因子によってスケーリングされるような非アクティブ位置を有する。第2のスケーリング因子は、第1のスケーリング因子とは異なる。再位置決め制御は、入力デバイスの本体の周りに配置されたリングを含み得る。再位置決め制御のリングは、アクティブ位置と非アクティブ位置の間で本体の長手方向軸に沿って摺動可能であってもよいし、またはその軸の周りに回転可能であってもよい。
【0012】
一部の態様では、再位置決め制御が、入力デバイスの本体から放射状に延在する花弁状部を含む。花弁状部は、非アクティブ位置からアクティブ位置へと近位または遠位に枢動可能であってもよい。
【0013】
本開示の別の態様では、ロボット外科用システムのための入力デバイスが、本体、再位置決め制御、及びコントローラを含む。本体は、入力アームの入力シャフトに連結するように構成される。再位置決め制御は、本体上に配置され、アクティブ位置と非アクティブ位置の間で移動可能である。コントローラは、信号を処理ユニットに伝送して、ロボット外科用システムのツールの移動に対して本体の移動のスケーリング因子を選択的に変動させるように構成される。再位置決め制御は、本体の長手方向軸に沿って摺動可能なリング、または本体から放射状に延在する枢動可能な花弁状部であってもよい。
【0014】
本開示の例示的な実施形態の更なる詳細及び態様は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
ロボットシステムのツールを制御する方法であって、
入力アームの入力シャフトに連結された入力デバイスの移動距離を表わす信号を受信することと、
入力デバイス再位置決め制御の状態を判断することと、
前記再位置決め制御の前記状態に従って再位置決めスケーリング因子または動作スケーリング因子に基づいて、前記移動距離をスケーリングすることと、
前記スケーリングされた移動距離に基づいて前記ロボットシステムの前記ツールを移動することであって、前記移動距離が、前記動作スケーリング因子の代わりに前記再位置決めスケーリング因子に基づいてスケーリングされるとき、前記ツールを、少なくともゼロではない桁が1つ低い距離だけ移動することと、を含む、方法。
(項目2)
前記再位置決め制御がアクティブ状態にあるときに前記再位置決めスケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、前記再位置決め制御が非アクティブ状態にあるときに前記動作スケーリング因子に基づいて前記移動距離をスケーリングすることと、を更に含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記再位置決め制御が、前記入力デバイスの本体の周りに配置されたリングを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記リングが前記入力デバイスの前記本体の長手方向軸に沿って中立位置から離れて摺動されるときに前記リングが前記アクティブ状態にあることを判断することと、前記リングが前記中立位置にあるときに前記リングが前記非アクティブ状態にあることを判断することと、を更に含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記リングが、前記本体の前記長手方向軸に沿って遠位に摺動される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記リングが前記入力デバイスの前記本体の長手方向軸の周りに中立位置から離れて回転されるときに前記リングが前記アクティブ状態にあることを判断することと、前記リングが前記中立位置にあるときに前記リングが前記非アクティブ状態にあることを判断することと、を更に含む、項目3に記載の方法。
(項目7)
前記入力デバイスの前記再位置決め制御が、前記本体から放射状に延在する花弁状部を含む、項目2に記載の方法。
(項目8)
前記花弁状部が中立位置から離れて移動されるときに前記花弁状部が前記アクティブ状態にあることを判断することと、前記リングが前記中立位置にあるときに前記リングが前記非アクティブ状態にあることを判断することと、を更に含み、前記入力デバイスの前記花弁状部を係合することが、前記花弁状部を近位に枢動することを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記花弁状部が、前記中立位置から離れて枢動されるときに前記中立位置から離れて移動される、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記再位置決めスケーリング因子及び前記動作スケーリング因子が、10〜200倍異なる、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記再位置決めスケーリング因子が、1000より少ない、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記再位置決めスケーリング因子は、前記動作スケーリング因子が1〜5であるときに、少なくとも50である、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記再位置決めスケーリング因子が、100〜500であり、前記動作スケーリング因子が、10を超えない、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記再位置決めスケーリング因子が、少なくとも50であり、前記動作スケーリング因子が、複数の値の間で選択可能である、項目1に記載の方法。
(項目15)
処理ユニットと、
ロボットシステムであって、
ロボットベースと、
前記ロボットベースから延在し、複数の部材を含む連動機構であって、前記複数の部材が、前記処理ユニットからのスケーリングされた信号に応答して移動するように構成される、連動機構と、
前記連動機構の端部において支持されたツールと、を含む、ロボットシステムと、
ユーザインターフェースであって、
入力シャフトを有する入力アームと、
前記入力シャフトに連結され、再位置決め制御を含む入力デバイスであって、前記再位置決め制御が、前記処理ユニットと通信して、前記ツールの移動に対する前記入力シャフトの移動のスケーリング因子を選択的に変動させる、入力デバイスと、を含む、ユーザインターフェースと、を備える、ロボット外科用システム。
(項目16)
前記再位置決め制御は、前記入力シャフトの移動が前記ツールの移動に対して第1のスケーリング因子によってスケーリングされるアクティブ位置と、前記入力シャフトの移動が前記ツールの移動に対して第2のスケーリング因子によってスケーリングされる非アクティブ位置と、を有し、前記第2のスケーリング因子が、前記第1のスケーリング因子とは異なる、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記再位置決め制御が、前記入力デバイスの本体の周りに配置されたリングを含む、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記リングが、アクティブ及び非アクティブ位置の間で、前記本体の長手方向軸に沿って摺動可能である、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記リングが、アクティブ及び非アクティブ位置の間で、前記本体の長手方向軸の周りに回転可能である、項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記再位置決め制御が、前記入力デバイスの本体から放射状に延在する花弁状部を含む、項目15に記載のシステム。
(項目21)
前記花弁状部が、非アクティブ位置からアクティブ位置へと近位に枢動可能である、項目20に記載のシステム。
(項目22)
前記花弁状部が、非アクティブ位置からアクティブ位置へと遠位に枢動可能である、項目20に記載のシステム。
(項目23)
ロボット外科用システムのための入力デバイスであって、
入力アームの入力シャフトに連結するように構成された本体と、
前記本体上に配置され、アクティブ位置と非アクティブ位置の間を移動可能な再位置決め制御と、
信号を処理ユニットに伝送し、前記ロボット外科用システムのツールの移動に対する前記本体の移動のスケーリング因子を選択的に変動させるように構成されたコントローラと、を備える、入力デバイス。
(項目24)
前記再位置決め制御が、前記本体の長手方向軸に沿って摺動可能なリングである、項目23に記載のデバイス。
(項目25)
前記再位置決め制御が、前記本体から放射状に延在する花弁状部である、項目23に記載のデバイス。
【0015】
本開示の様々な態様は、図面を参照して下記に説明され、それらの図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ユーザインターフェース及びロボットシステムを含む本開示に従うロボット外科用システムの概略図である。
図2】2次元作業空間内の図1のユーザインターフェースのアームの平面図である。
図3】本開示に従って提供された入力デバイスの側面図である。
図4】本開示に従って提供された別の入力デバイスの側面図である。
図5図4の入力デバイスの端面図である。
図6】本開示に従って図1のロボット外科用システムの移動を制御するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本開示の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、図面中、同じ参照番号は、いくつかの図のそれぞれにおける同一または対応する要素を示す。本明細書に使用される際、用語「臨床家」は、医師、看護師、または任意の他の看護提供者のことを言い、支援要員を含み得る。この説明全体を通して、用語「近位」は、臨床家に最も近いデバイスまたはそれの構成要素の部分のことを言い、用語「遠位」は、臨床家から最も遠いデバイスまたはそれの構成要素の部分のことを言う。
【0018】
一部の実施形態は、再位置決めスケーリング因子を入力デバイスの移動に適用するための制御を含み、入力デバイスが移動されるときにロボットアーム連動機構に連結されたツールの少ない移動を結果としてもたらす。より少ない移動は、入力デバイスが、ツールに対して再位置決めされる一方で、入力デバイスが、依然としてツールに動作的に連結されたままにすることを可能にする。入力デバイスが再位置決めされると、再位置決めスケーリング因子が変更され得、外科手技の間に使用された動作スケーリング因子に戻され、ロボットアーム連動機構に連結されたツールのより大きな移動を結果としてもたらす。このより大きな移動は、臨床家が、入力デバイスを動作させて、効果的な様態において外科手技を完了することを可能にする。動作スケーリング因子はまた、外科手技の間に臨床家によって変更されてもよく、入力デバイスに連結されたツールのより微細なまたは粗い移動を可能にする。
【0019】
図1を参照すると、本開示に従うロボット外科用システム1が、一般に、ロボットシステム10、処理ユニット30、及びユーザインターフェース40として示される。ロボットシステム10は、一般に、連動機構12及びロボットベース18を含む。連動機構12は、エンドエフェクタまたはツール20を移動可能に支持し、それは、組織に作用するように構成される。連動機構12は、組織に作用するように構成されたエンドエフェクタまたはツール20を支持する端部14をそれぞれ有するアームの形態であってもよい。加えて、連動機構12の端部14は、手術部位「S」を画像化するために画像化デバイス16を含んでもよい。ユーザインターフェース40は、処理ユニット30を通してロボットベース18と通信する。
【0020】
ユーザインターフェース40は、3次元画像を表示するように構成された表示デバイス44を含む。表示デバイス44は、手術部位「S」の3次元画像を表示し、それは、連動機構12の端部14上に位置決めされた画像化デバイス16によって捕捉されたデータを含み得る及び/または外科手術室の周りに位置決めされた画像化デバイス(例えば、手術部位「S」内に位置決めされた画像化デバイス、患者「P」に隣接して位置決めされた画像化デバイス、画像化アーム52のデータ遠位端において位置決めされた画像化デバイス56)によって捕捉されたデータを含み得る。画像化デバイス(例えば、画像化デバイス16、56)は、手術部位「S」の視覚画像、赤外画像、超音波画像、X線画像、熱画像、及び/または任意の他の既知の実時間画像を捕捉してもよい。画像化デバイスは、捕捉された画像化データを処理ユニット30に伝送し、その処理ユニットは、画像化データから実時間に手術部位「S」の3次元画像を生成し、3次元画像を表示のために表示デバイス44に伝送する。
【0021】
ユーザインターフェース40はまた、臨床家がロボットシステム10を操作する(例えば、連動機構12、連動機構12の端部14、及び/またはツール20を移動させる)ことを可能にする入力アームまたはハンドル42を含む。入力ハンドル42のそれぞれは、処理ユニット30と通信して、制御信号をその処理ユニットに伝送し、フィードバック信号をその処理ユニットから受信する。入力ハンドル42のそれぞれは、入力デバイス(例えば、入力デバイス60(図3)または入力デバイス70(図4))を含み得、それは、外科医が、連動機構12の端部14において支持されたツール20を操作すること(例えば、つかむ、把持する、焼く、開く、閉じる、回転する、突く、薄く切ること等)を可能にする。
【0022】
更に図2に関して、入力デバイス(例えば、入力デバイス60及び70)は、所定の作業空間「W」を通して移動可能であり、手術部位「S」内に連動機構12の端部14を移動させるか、または連動機構12の端部14上に支持されたツール20を移動させる。作業空間「W」は、図2において2次元に示されるが、作業空間「W」は3次元作業空間であることが認識されるであろう。表示デバイス44上の3次元画像は、表示デバイス44上に見られる際に、入力デバイスの移動が連動機構12の端部14を移動させるように配向される。表示デバイス上の3次元画像の配向が、患者「P」の上方からの眺めへと鏡像化または回転されてもよいことが認識されるであろう。加えて、表示デバイス44上の3次元画像のサイズは、手術部位の実際の構造より大きいまたは小さいようにスケーリングされてもよいことが認識され得、外科医が、手術部位「S」内の構造をより良く見ることを可能にする。入力デバイスが移動される際、ツール20は、以下に詳述されるように、手術部位「S」内に移動される。本明細書に詳述されるように、ツール20の移動はまた、ツール20を支持する連動機構12の端部14による移動を含み得る。
【0023】
ロボット外科用システム1の構築及び動作の詳細な記述のために、参照が、「医療ワークステーション」と題された米国特許公開第2012/0116416号になされ得る。
【0024】
ツール20の移動は、入力デバイス(例えば、入力デバイス60及び70)の移動に対してスケーリングされる。処理ユニット30は、スケーリングされた制御信号をロボットベース18に伝送して、入力ハンドル42の移動に応答してツール20を移動させる。処理ユニット30は、入力距離(例えば、入力デバイスの一方によって移動された距離)をスケーリング因子Sで割ることによって、制御信号をスケーリングし、スケーリングされた出力距離(例えば、端部14の一方が移動される距離)に到達する。一部の事例では、外科手技の間に動作中に使用される1つ以上のスケーリング因子「S」が、約1〜約10(例えば、3)の範囲にあってもよい。このスケーリングは、以下の式によって表わされ得る。
出力距離=入力距離/S
スケーリング因子「S」が大きくなればなるほど、入力デバイスの移動に対するツール20の移動が小さくなることが認識されるであろう。それゆえ、入力デバイスによって駆動される外科用ツール20に対する入力デバイスの再位置決めを容易にするために、ツール20が、入力デバイスよりもはるかに少なく移動するように、より大きなスケーリング因子「S」が、代わりに使用されてもよい。一部の事例では、この再位置決めスケーリング因子が、少なくとも約100またはそれ以上であってもよい。
【0025】
スケーリング因子が1より少ない(例えば、動作スケーリング因子が約0.5であり、再位置決めスケーリング因子が0.005である)事例では、スケーリング因子は、入力距離を掛けられ得、ツールが移動される出力距離を計算する。
【0026】
入力デバイス(例えば、入力デバイス60及び70)は、図3〜5に示されるように、信号を処理ユニット30に送信する再位置決め制御(例えば、再位置決め制御64及び74)を含み得、外科手技の間に使用される動作スケーリング因子「OS」と、入力デバイス60及び/または70の再位置決めを容易にする再位置決めスケーリング因子「RS」の間でスケーリング因子「S」を切り換える。動作スケーリング因子「OS」は、スケーリング因子の両方が1より大きいときに再位置決めスケーリング因子「RS」よりもかなり小さくてもよく、スケーリング因子の両方が1より少ないときには大きくてもよい。一部の事例では、動作スケーリング因子「OS」が、約1.0〜約10.0(例えば、3.0)の範囲にあってもよく、再位置決めスケーリング因子「RS」が、約100.0〜約1000.0の範囲(例えば、500.0)にあってもよい。2つのスケーリング因子は、臨床家が、動作スケーリング因子「OS」を使用して外科手技を行うことを可能にし、次いで、入力デバイスが、依然として外科用ツールに十分に連結されることを保ちながら、入力デバイスが所定の作業空間「W」の移動の縁または限界に接近するときに、再位置決めスケーリング因子「RS」を使用して入力デバイスを再位置決めすることを可能にする。それ故、臨床家は、再位置決め制御をアクティブ位置「A」へとトグルで切り換えて、再位置決めスケーリング因子「RS」に切り換えて、次いで、入力デバイスがツール20に動作的に連結されることを保ちながら、入力デバイスを(中心「C」に隣接した)所定の作業空間「W」内の所望の位置に移動させてもよい。一旦、入力デバイスが、所定の作業空間「W」内の所望の位置にあると、臨床家は、次いで、再位置決め制御を非アクティブ位置へとトグルで切り換えて、所望された動作スケーリング因子「OS」に戻し切り換えて、外科手技を続けてもよい。
【0027】
ツール20から入力デバイス60、90を「クラッチすること」は、少なくとも1つの所定の方向における入力デバイス60、90の移動が、必ずしもツールの対応する移動20を結果としてもたらさないように、入力デバイス60、90からツール20を動作的に切り離し得る。しかしながら、再位置決めの間に、入力デバイス60、90は、所定の方向における入力デバイス60、90の移動が、外科手技の間に使用される「動作」スケーリング因子量の代わりに「再位置決め」スケーリング因子量によって少なくされるツールの対応する移動20を結果としてもたらすように、ツール20に動作的に連結されたままである。入力ハンドル42の移動に応答したロボットシステム10の連動機構12の移動のクラッチング及びスケーリングのより詳細な記述のために、参照が、2015年2月19日に出願された米国特許出願通し番号第62/118,123号に対してなされてもよい。
【0028】
図3に関して、入力デバイス60は、入力ハンドル42の入力シャフト43に連結される。入力デバイス60は、入力シャフト43の周りに回転可能であり、入力シャフト43によって定義された長手方向軸に沿って移動可能であってもよい。入力デバイス60は、本体62、コントローラ63、再位置決め制御64、及び入力インターフェース(例えば、レバー66)を含む。本体62は、臨床家の手による係合のために人間工学的に成形される。本体62は、臨床家に、外科用器具を保持することに類似した触感を提供し得る。本体62はまた、触感フィードバック(例えば、触角フィードバック)を臨床家に提供し得る。コントローラ63は、処理ユニット30と通信して、入力デバイス60からの信号を処理ユニット30に送信して、本体62、再位置決め制御64、及び入力デバイス60の入力インターフェースの操作に応答してロボットシステム10のツール20(図1)の操作を制御する。コントローラ63は、有線または無線様態で制御信号を処理ユニット30に送信してもよいことが考えられる。
【0029】
入力インターフェースは、連動機構12の端部14において支持されるそれぞれのツール20に特有のものであってもよい。例えば、入力デバイス60の入力インターフェースまたはレバー66は、ツール20のジョー(図示せず)を移動させるためのものであってもよい。追加的または代替的に、レバー66は、ツール20を用いて電気外科的エネルギーを組織に加えるためのものであってもよい。
【0030】
引き続き図3を参照すると、再位置決め制御64は、入力デバイス60の本体62の周りに位置決めされる。上記で詳述したように、再位置決め制御64は、入力デバイス60及び/またはツール20との入力インターフェースの操作を選択的に「再位置決めする」ように機能する。再位置決め制御64は、入力デバイス60の本体62の周りに位置決めされたリングであってもよい。図示されるように、再位置決め制御64は、入力シャフト43に係合する本体62の端部とレバー66の間に位置付けられる。再位置決め制御64は、本体62の他端の周りに位置付けられてもよいことが考えられる。そのように構成される際、再位置決め制御64は、入力デバイス60の周りの任意の放射状方向の場所においてアクティブにされてもよい。
【0031】
再位置決め制御64は、非アクティブ位置「D」とアクティブ位置「A」の間で摺動可能であってもよい。再位置決め制御64は、臨床家によって係合可能であってもよく、非アクティブ位置「D」に向かって付勢され得る。再位置決め制御64の付勢は、較正され得、臨床家の指の係合を可能にして、再位置決め制御64をアクティブ位置「A」まで移動させる。図示されるように、再位置決め制御64をアクティブ位置「A」まで移動させるために、再位置決め制御64は、遠位にまたは入力シャフト43に向かって移動されてもよい。しかしながら、近位移動または入力シャフト43から離れた移動が、再位置決め制御64をアクティブ位置「A」の方へ移動させるように、再位置決め制御64の配向は逆にされてもよいことが考えられる。また、再位置決め制御64を本体62の軸の周りに回転して、再位置決め制御64をアクティブ位置「A」の方へ移動させてもよいことも考えられる。
【0032】
再位置決め制御64の非アクティブ位置「D」では、処理ユニット30が、入力デバイス60及び入力インターフェースの操作に応答して、入力デバイス60がツール20を操作することを可能にする。再位置決め制御64のアクティブ位置「A」では、ツール20が、上記で詳述したようにかなり少なく移動するように、処理ユニット30が、入力デバイス移動に適用されるスケーリング因子を変更してもよい。
【0033】
他の事例では、再位置決め制御64のアクティブ位置「A」及び非アクティブ位置「D」の一方が、伝統的な「クラッチング」モードに入るために使用され得、そのモードにおいて、ツール20は、入力デバイス60から動作的に切り離され、それゆえ、入力デバイス60が移動されるとき、ツール20は移動しない。再位置決め制御64のアクティブ位置「A」及び非アクティブ位置「D」の他方は、入力デバイス70が移動される際にツール20が移動するように、「クラッチング」モードを出るために使用され得、入力デバイス70をツール20に再連結する。
【0034】
図4及び5に関して、別の入力デバイス70が、本開示に従って提供される。入力デバイス70は、類似の様態において名付けられた同じ要素を用いる上記で詳述した入力デバイス60に類似し、しかるがゆえに、違いのみが本明細書に詳述される。入力デバイス70は、本体72、コントローラ73、及び複数の花弁状部74、76を含む。本体72は、ツール20(図1)のジョー(図示せず)の移動を制御するように圧搾可能であってもよい。複数の花弁状部74、76のそれぞれが、選択的に係合可能であり得るように、複数の花弁状部74、76のそれぞれは、本体72から離れて延在し、かつ互いから離間されている。複数の花弁状部74、76は、再位置決め花弁状部74及び入力インターフェース花弁状部76を含む。再位置決め花弁状部74は、近位アクティブ位置「A」と非アクティブ位置「D」の間を移動可能であってもよい。再位置決め花弁状部74はまた、遠位アクティブ位置「A」を有してもよい。再位置決め花弁状部74の近位アクティブ位置「A」及び遠位アクティブ位置「A」は、上記で詳述した再位置決め制御64のアクティブ位置「A」及び非アクティブ位置に実質的に類似し得る。追加的または代替的に、再位置決め花弁状部74のアクティブ位置「A」、「A」の一方は、上記で詳述したように、外科手技の間に使用された動作スケーリング「OS」から適用されたスケーリング因子を再位置決めスケーリング因子「RS」に変更してもよく、再位置決め花弁状部のアクティブ位置「A」、「A」の他方が、スケーリング因子を前のスケーリング因子に戻してもよい。
【0035】
他の事例では、再位置決め花弁状部74のアクティブ位置「A」及び非アクティブ位置「A」の一方が、伝統的な「クラッチング」モードに入るために使用され得、そのモードにおいて、ツール20は、入力デバイス70から動作的に切り離され、それゆえ、入力デバイス70が移動されると、ツール20は移動しない。再位置決め花弁状部74のアクティブ位置「A」及び非アクティブ位置「A」の他方は、入力デバイス70が移動される際にツール20が移動するように、「クラッチング」モードを出るために使用され得、入力デバイス70をツール20に再連結する。
【0036】
図6に関して、入力デバイス60の移動に応答して処理ユニット30を用いてロボットシステム10のツール20を制御する方法100が、本開示に従って開示される。方法100は、種々の他の入力デバイス(例えば、入力デバイス70)と共に使用され得ることが認識されるであろう。
【0037】
処理ユニット30は、ロボット外科用システム10の入力アーム42の入力シャフト43に連結された入力デバイスの移動を示す信号を受信する(ステップ110)。信号は、入力デバイス60のコントローラ63からまたはユーザインターフェース40の別の構成要素からのものであってもよい。処理ユニット30は、コントローラ63からの信号を、連動機構12の端部14に取り付けられたツール20に特有の識別情報と比較して、入力デバイス60がツール20と互換性があることを検証する(ステップ120)。処理ユニット30は、ツール20からの特性信号をコントローラ63からの信号と比較することによって、入力デバイス60がツール20と互換性があることを検証してもよい。処理ユニット30が、入力デバイス60がツール20と互換性があることを検証する場合、処理ユニット30は、以下に詳述されるように、再位置決め制御64の位置を判断する。処理ユニットが、入力デバイス60がツール20と互換性がないことを判断する場合、処理ユニット30は、コントローラ63からの信号に応答してツール20の位置を維持する(ステップ155)。追加的に、ツール20が、入力デバイス60と互換性があるまたは互換性がない場合、処理ユニット30は、指示を臨床家に提供してもよい。例えば、処理ユニット30は、視覚指示を表示デバイス44上に提供してもよいし(図1)、または本体62を別個の色で照明してもよい。また、処理ユニット30が、可聴指示を臨床家に提供してもよいことも考えられる。
【0038】
次に、処理ユニット30は、再位置決め制御64の位置を判断する(ステップ130)。コントローラ63からの信号は、再位置決め制御64の位置を含むデータを含み得ることが認識されるであろう。追加的または代替的に、コントローラ63は、別個の再位置決め制御信号を処理ユニット30に送信して、再位置決め制御64の位置を提供してもよい。
【0039】
再位置決め制御64が非アクティブ位置にあるとき、処理ユニット30は、第1のスケーリング因子(例えば、スケーリング因子「SF1」または動作スケーリング因子「OS」)によって入力デバイス60からの信号をスケーリングする(ステップ142)。次いで、処理ユニット30は、スケーリングされた信号に応答してツール20を操作する(ステップ150)。
【0040】
再位置決め制御64がアクティブ位置にあるとき、処理ユニット30は、第2のスケーリング因子(例えば、スケーリング因子「SF2」または再位置決めスケーリング因子「RS」)によって入力デバイス60からの信号をスケーリングする(ステップ144)。次いで、処理ユニット30は、スケーリングされた信号に応答してツール20を操作する(ステップ150)。
【0041】
一部の事例では、スケーリング因子の1つがゼロであるように選択される場合には、処理ユニット30は、スケーリング因子が非ゼロの値に変更されるまで、ツール20が入力デバイス60から伝達的に切り離されるように、ツール20の位置を維持してもよい。
【0042】
本明細書に詳述される(例えば、コントローラ63と処理ユニット30の間の)無線接続は、無線周波数、光学式、WIFI、Bluetooth(登録商標)(固定及び移動式デバイスから(短い長さの電波を使用する)短距離上でデータを交換するためのオープン無線プロトコルであって、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を生成するプロトコル)、ZigBee(登録商標)(無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)用のIEEE802.15.4−2003標準に基づいて、小さな、低電力デジタル無線を使用する一連の高レベル通信プロトコルのための規格)等を介してもよい。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は当分野が認めるような広さの範囲にあること及び明細書も同様に読み取られることが意図されるように、本開示がそれに限定されることを意図されない。上記実施形態の任意の組み合わせもまた想定され、添付の特許請求の範囲内にある。したがって、上記説明は、限定するものとして解釈されるべきではなくて、単に、特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲内の他の修正を想定するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6