(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
排気経路(1)に配置されたDPF(2)と、DPF(2)の排気入口と排気出口の差圧を検出する差圧センサ(3)と、DPF(2)を通過する排気流量を演算する排気流量演算装置(9)と、DPF存否評価マップ(7)と、DPF(2)の存否を判定するDPF存否判定装置(10)を備え、
DPF存否評価マップ(7)は、低差圧少排気側と高差圧多排気側とに亘って形成された存否境界領域(7a)と、存否境界領域(7a)よりも低差圧多排気側の不存在評価領域(7b)と、存否境界領域(7a)よりも高差圧少排気側の存在評価領域(7c)を備え、不存在評価領域(7b)には不存在評価値が、存在評価領域(7c)には存在評価値がそれぞれ割り当てられ、
DPF存否判定装置(10)は、前記差圧と排気流量に対応してDPF存否評価マップ(7)から読み込まれた存在評価値と不存在評価値の集計結果に基づいてDPF(2)の存否を判定するように構成され、
存在評価領域(7c)の存在評価値は、不存在評価領域(7b)の不存在評価値以上の高い評価値に設定されている、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
排気経路(1)に配置されたDPF(2)と、DPF(2)の排気入口と排気出口の差圧を検出する差圧センサ(3)と、DPF(2)を通過する排気流量を演算する排気流量演算装置(9)と、DPF存否評価マップ(7)と、DPF(2)の存否を判定するDPF存否判定装置(10)を備え、
DPF存否評価マップ(7)は、低差圧少排気側と高差圧多排気側とに亘って形成された存否境界領域(7a)と、存否境界領域(7a)よりも低差圧多排気側の不存在評価領域(7b)と、存否境界領域(7a)よりも高差圧少排気側の存在評価領域(7c)を備え、不存在評価領域(7b)には不存在評価値が、存在評価領域(7c)には存在評価値がそれぞれ割り当てられ、
DPF存否判定装置(10)は、前記差圧と排気流量に対応してDPF存否評価マップ(7)から読み込まれた存在評価値と不存在評価値の集計結果に基づいてDPF(2)の存否を判定するように構成され、
不存在評価領域(7b)は、存否境界領域(7a)に隣接する近境界不存在評価領域(7d)と、近境界不存在評価領域(7d)に低差圧多排気側で隣接する遠境界不存在評価領域(7e)を備え、遠境界不存在評価領域(7e)の不存在評価値は、近境界不存在評価領域(7d)の不存在評価値よりも不存在評価が高い値に設定され、
存在評価領域(7c)は、存否境界領域(7a)に隣接する近境界存在評価領域(7f)と、近境界存在評価領域(7f)に高差圧少排気側で隣接する遠境界存在評価領域(7g)を備え、遠境界存在評価領域(7g)の存在評価値は、近境界存在評価領域(7f)の存在評価値よりも存在評価が高い値に設定されている、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜
図5は本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図で、この実施形態では排気処理装置を備えた立形水冷の直列4気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0010】
このエンジンの概要は、次の通りである。
図1に示すように、このエンジンは、シリンダブロック(11)と、シリンダブロック(11)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(12)と、シリンダブロック(11)の後部に設けられたフライホイール(13)と、シリンダブロック(11)の前部に設けられたエンジン冷却ファン(14)と、シリンダヘッド(12)の横一側に配置された吸気マニホルド(図示せず)と、シリンダヘッド(12)の横他側に配置された排気マニホルド(16)と、排気マニホルド(16)に接続された過給機(17)と、過給機(17)の排気下流側に設けられた排気処理ケース(18)と、燃料供給装置(19a)と、電子制御装置(20)を備えている。
【0011】
吸気装置の概要は、次の通りである。
図1に示すように、吸気装置は、過給機(17)のコンプレッサ(17a)と、コンプレッサ(17a)の吸気上流側に配置されたエアクリーナ(21)と、エアクリーナ(21)とコンプレッサ(17a)の間に配置されたエアフローセンサ(22)と、コンプレッサ(17a)の吸気下流側に配置されたインタークーラ(23)と、インタークーラ(23)の吸気下流側に配置された吸気絞弁(24)と、吸気絞弁(24)の吸気下流側に配置された吸気マニホルド(図示せず)を備えている。
エアフローセンサ(22)と、吸気絞弁(24)の電動アクチュエータ(24a)は、電子制御装置(20)に電気的に接続されている。
電子制御装置(20)にはエンジンECUが用いられている。ECUは電子制御ユニットの略称であり、マイコンである。
【0012】
燃料供給装置(19a)の概要は、次の通りである。
図1に示すように、燃料供給装置(19a)は、コモンレール式で、各気筒に差し込まれた複数の燃料インジェクタ(25)と、蓄圧した燃料を複数の燃料インジェクタ(25)に分配するコモンレール(26)と、コモンレール(26)に燃料を圧送する燃料サプライポンプ(27)と、燃料タンク(28)を備えている。
燃料サプライポンプ(27)と、燃料インジェクタ(25)の電磁弁(25a)は、電子制御装置(20)に電気的に接続されている。電子制御装置(20)には、アクセルセンサ(29)と、クランク軸センサ(30)と、気筒判別センサ(31)が電気的に接続されている。アクセルセンサ(29)では、エンジンの目標回転数が検出され、クランク軸センサ(30)では、エンジンの実回転数とクランク角度が検出される。気筒判別センサ(31)では、各気筒の燃焼行程が検出される。
【0013】
燃料供給装置(19a)では、エンジンの目標回転数と実回転数の偏差に基づいて、電子制御装置(20)でエンジン負荷が演算され、エンジンの目標回転数とエンジン負荷に応じて、燃料インジェクタ(25)の電磁弁(25a)が所定タイミングで所定時間開弁され、燃料インジェクタ(25)から各気筒に所定タイミングで所定量の燃料(32)が噴射される。燃料(32)は軽油である。
【0014】
図1に示すように、アクセルセンサ(29)はアクセルレバー(29a)の目標回転数設定位置を検出するもので、アクセルセンサ(29)にはポテンショメータが用いられている。
【0015】
図1に示すように、クランク軸センサ(30)は、フライホイール(13)に取り付けられたクランク軸検出ディスク(30a)の突起の通過を検出する。クランク軸検出ディスク(30a)は、周縁に1個の起点突起と、等ピッチで設けられた多数の位相突起を備え、これら突起の通過速度に基づいて、電子制御装置(20)でエンジン実回転数が演算され、通過した位相突起の起点突起との位相差に基づいてクランク角度が演算される。
気筒判別センサ(31)は、動弁カム軸(図示せず)に取り付けられた気筒判別ディスク(31a)の突起の通過を検出する。気筒判別ディスク(31a)は、周縁に1個の突起を備え、この突起の通過に基づいて、電子制御装置(20)で4サイクルの燃焼行程が判別される。
クランク軸センサ(30)と気筒判別センサ(31)には、電磁ピックアップセンサが用いられている。
【0016】
排気装置の概要は、次の通りである。
図1に示すように、排気装置は、排気マニホルド(16)と、排気マニホルド(16)の排気下流側に設けられた過給機(17)の排気タービン(17b)と、排気タービン(17b)の排気下流側に設けられた排気処理装置(33)を備えている。排気マニホルド(16)から排気処理装置(33)に至る一連の経路が排気経路(1)となる。
【0017】
排気処理装置(33)の概要は、次の通りである。
排気処理装置(33)は、過給機(17)の排気タービン(17b)の排気下流側に設けられた排気処理ケース(18)と、排気処理ケース(18)内の排気上流側に配置されたDOC(35)と、排気処理ケース(18)内の排気下流側に配置されたDPF(2)を備えている。
【0018】
DPFは、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称であり、エンジン排気中のPMを捕捉する。PMは、粒子状物質の略称である。
図1に示すように、DPF(2)には、内部に軸長方向に沿う多数のセル(2a)が並設され、隣り合うセル(2a)(2a)の入口と出口が交互に目封じされたウォールフロー型のセラミックハニカムが用いられている。
DOCは、ディーゼル酸化触媒の略称であり、エンジン排気中のCO(一酸化炭素)及び、NO(一酸化窒素)を酸化する。DOC(35)には、内部に軸長方向に沿う多数のセル(35a)が貫通状に並設されたフロースルー式のセラミックハニカムが用いられ、セル内には白金やパラジウムのロジウム等の酸化触媒成分が担持されている。
【0019】
排気処理装置(33)は、DPF(2)の再生装置(R)を備えている。
DPF(2)の再生装置(R)は、DPF(2)に堆積するPMの堆積量を推定するPM堆積量推定装置(4)と、排気昇温装置(19)と、電子制御装置(20)を備え、DPF(2)のPM堆積量が所定の再生必要値に至ったことに基づいて、電子制御装置(20)がDPF(2)の再生処理を行うように構成され、DPF(2)の再生処理では、排気昇温装置(19)で排気(39)が昇温されて、DPF(2)に堆積したPMが焼却されるよう構成されている。
【0020】
PM堆積量推定装置(4)は、電子制御装置(20)で構成され、DPF(2)の排気入口側と排気出口側の差圧を検出する差圧センサ(3)で検出された差圧に基づいて、DPF(2)に堆積したPMの堆積量を推定する。DPF(2)の差圧に代え、エンジン運転時間の積算値や燃料供給量の積算値に基づいて、DPF(2)に堆積したPMの堆積量を推定してもよい。
排気昇温装置(19)は、吸気絞弁(24)と、燃料供給装置(19a)と、DOC(35)と、DOC(35)の排気入口側の排気温度を検出するDOC入口側の排気温度センサ(37)と、DPF(2)の排気出口側の排気温度を検出するDPF出口側の排気温度センサ(36)と、DPF(2)の排気入口側の排気温度を検出するDPF入口側の排気温度センサ(38)を備えている。
上記各センサ(36)(37)(38)はいずれも電子制御装置(20)に電気的に接続されている。
【0021】
図1に示すように、排気処理装置(33)では、DPF(2)でエンジン排気(39)中のPMを捕捉し、排気(39)中のNO(一酸化窒素)をDOC(35)で酸化して得られるNO
2(二酸化窒素)で、DPF(2)に堆積したPMを比較的低温で連続的に酸化燃焼させるとともに、差圧センサ(3)で検出された差圧が所定の再生必要値に至ったことに基づいて、電子制御装置(20)の制御により、コモンレール式の燃料供給装置(19a)のポスト噴射で、排気(39)に供給された未燃燃料をDOC(35)で触媒燃焼させ、排気(39)が昇温され、DPF(2)に堆積したPMを、比較的高温で燃焼させて、DPF(2)を再生する。
排気温度が低く、DOC(35)の入口側排気温度がDOC(35)の活性化温度に達していない場合には、電子制御装置(20)の制御により、吸気絞弁(24)が絞られ、排気温度の上昇が図られる。
【0022】
DPFの再生処理の開始時点は、次の通りである。
差圧センサ(3)で検出された差圧が再生必要値に至った時点で、DOC(35)の入口側排気温度がDOC(35)の活性化温度に達しており、その時点でポスト噴射が開始される場合には、ポスト噴射の開始時点が、DPFの再生処理の開始時点となる。
差圧センサ(3)で検出された差圧が再生必要値に至った時点では、DOC(35)の入口側排気温度がDOC(35)の活性化温度に達しておらず、吸気絞弁(24)が絞られる場合には、吸気絞弁(24)の絞り開始時点が、DPFの再生処理の開始時点となる。この場合、DOC(35)の入口側排気温度がDOC(35)の活性化温度に達し、ポスト噴射が開始される時点をDPFの再生処理の開始時点と定義してもよい。
【0023】
なお、コモンレール式の燃料供給装置(19a)のポスト噴射に代えて、過給機(17)の排気タービン(17b)とDOC(35)の間に配置した排気管燃料インジェクタ(図示せず)で排気(39)に未燃燃料を噴射する排気管噴射を用いてもよい。また、コモンレール式の燃料供給装置(19a)のポスト噴射に代えて、電気ヒータの発熱や、排気絞弁の排気絞りにより排気昇温を行ってもよい。
【0024】
図1に示すように、このエンジンは、排気経路(1)に配置されたDPF(2)と、DPF(2)の排気入口と排気出口の差圧を検出する差圧センサ(3)と、DPF(2)を通過する排気流量を演算する排気流量演算装置(9)と、DPF存否評価マップ(7)と、DPF(2)の存否を判定するDPF存否判定装置(10)を備えている。
【0025】
図2に示すように、DPF存否評価マップ(7)は、低差圧少排気側と高差圧多排気側とに亘って形成された存否境界領域(7a)と、存否境界領域(7a)よりも低差圧多排気側の不存在評価領域(7b)と、存否境界領域(7a)よりも高差圧少排気側の存在評価領域(7c)を備え、不存在評価領域(7b)には不存在評価値が、存在評価領域(7c)には存在評価値がそれぞれ割り当てられている。
DPF存否判定装置(10)は、前記差圧と排気流量に対応してDPF存否評価マップ(7)から読み込まれた存在評価値と不存在評価値の集計結果に基づいてDPF(2)の存否を判定するように構成されている。
【0026】
このエンジンでは、DPF(2)の存否を判定することができるため、DPF(2)の設置忘れやDPF(2)の抜き取りによる排気処理装置の異常を検出することができる。
また、DPF(2)の不存在の信憑性が高い低差圧多排気側の不存在評価領域(7b)の不存在評価値と、DPF(2)の存在の信憑性が高い高差圧少排気側の存在評価領域(7c)の存在評価値を集計して、DPF(2)の存否判定を行うため、DPF(2)の存否判定の精度を高めることができる。
【0027】
図1に示すように、このエンジンは、計時装置(5)を備え、
図4に示すように、DPF(2)の存否判定は、計時装置(5)で計測された所定の集計時間の経過時に行われるように構成されている。
このエンジンでは、所定の集計時間の経過時に判定がなされるため、判定時間の不要な長期化を避けることができる。
【0028】
果
図2に示すように、DPF存否評価マップ(7)の存否境界領域(7a)では、DPF(2)の存否が評価されない存否無評価値が割り当てられている。
このエンジンでは、DPF(2)の存否評価が不確かな存否境界領域(7a)では存否無評価値が割り当てられているため、DPF(2)の存否判定の精度を高めることができる。
【0029】
図2に示すように、存在評価領域(7c)の存在評価値は、不存在評価領域(7b)の不存在評価値以上の高い評価値に設定されている。
このエンジンでは、存在評価値が不存在評価値よりも高い評価値に設定されているため、不存在判定の誤判定が起こりにくく、エンジン使用者のDPF(2)の抜き取り等の不正が疑われる不存在判定の精度を高め、エンジン使用者に不当な嫌疑がかかるのを防止することができる。
【0030】
図2に示すように、不存在評価領域(7b)は、存否境界領域(7a)に隣接する近境界不存在評価領域(7d)と、近境界不存在評価領域(7d)に低差圧多排気側で隣接する遠境界不存在評価領域(7e)を備え、遠境界不存在評価領域(7e)の不存在評価値は、近境界不存在評価領域(7d)の不存在評価値よりも不存在評価が高い値に設定されている。
存在評価領域(7c)は、存否境界領域(7a)に隣接する近境界存在評価領域(7f)と、近境界存在評価領域(7f)に高差圧少排気で隣接する遠境界存在評価領域(7g)を備え、遠境界存在評価領域(7g)の存在評価値は、近境界存在評価領域(7f)の存在評価値よりも存在評価が高い値に設定されている。
このエンジンでは、DPF(2)の不存在評価の信憑性が高い遠境界不存在評価領域(7e)と、存在評価の信憑性が高い遠境界存在評価領域(7g)では、存否評価が高い値に設定されているため、DPF(2)の存否の判定精度が高まる。
【0031】
図1に示すように、不存在報知装置(8)を備え、DPF(2)の不存在の判定がなされた場合には、電子制御装置(20)が不存在報知装置(8)でDPF(2)の不存在を報知するように構成されている。
このエンジンでは、DPF(2)の不存在の報知により、エンジン使用者にDPF(2)の設置の必要を勧告することができる。
【0032】
図1に示すように、不揮発性記憶媒体(6)を備え、DPF(2)の不存在の判定がなされた場合には、電子制御装置(20)が不揮発性記憶媒体(6)に判定結果を記憶させるように構成されている。
このエンジンでは、DPF(2)の不存在の判定が不揮発性記憶媒体(6)に記憶されるため、DPF(2)の不存在の判定の履歴を事後的に確認することができる。
【0033】
図1に示すように、不揮発性記憶媒体(6)と計時装置(5)は電子制御装置(20)に内蔵されている。PM堆積量推定装置(4)と排気流量演算装置(9)とDPF存否判定装置(10)は、電子制御装置(20)で構成されている。
不揮発性記憶媒体(6)には、フラッシュメモリ、P−ROM、EP−ROM、E2P−ROMを用いることができる。
不存在報知装置(8)は、電子制御装置(20)に電気的に接続された警報ランプで構成され、警報は、警報ランプの点灯により発せられる。警報ランプには、発光ダイオードが用いられている。
不存在報知装置(8)には、警報ランプに代えて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイを用いることができ、警報は、文字、図形、記号の表示により発せられるようにしてもよい。ELはエレクトロルミネッセンスの略称である。
不存在報知装置(8)には、警報ランプに代えて、警報ブザーや、警報ベル等の警報音発生装置を用いることができ、警報は警報音により発せられるようにしてもよい。
【0034】
不揮発性記憶媒体(6)に記憶されるDPF(2)の不存在の判定は、故障診断コードによって異常データとして記憶される。
不揮発性記憶媒体(6)に記憶された異常データは、サービスマンの点検、規制当局からの報告要請等に基づき、故障診断ツールで不揮発性記憶媒体(6)から読み取られ、DPF(2)の不存在の履歴が事後に確認される。
故障診断コードは、複数桁の数字や記号で示される。
故障診断ツールには、故障診断プログラムをインストールしたノートパソコンや携帯用端末等を用いることができる。
【0035】
DPF存否評価マップには、排気流量と差圧に対応する存否評価値が割り当てられている。
特定排気流量と特定差圧の格子点には、
図2(A)に示す存否評価値が割り当てられ、例えば、排気流量15(kg/h)と差圧0(kPa)の格子点には、1の不存在評価値が割り当てられ、排気流量0(kg/h)で差圧10(kPa)の格子点には、−5の存在評価値が割り当てられている。
各格子点中間での運転状態の場合、マップ上の複数点から最適値を補完して決定される。
【0036】
図1に示すように、このエンジンは、エアフローセンサ(22)と、大気圧センサ(40)と、燃料供給マップ(15)を備えている。
電子制御装置(20)は、エアフローセンサ(22)で計量された吸気流量と、大気圧センサ(40)で検出された大気圧と、差圧センサ(3)で検出された差圧と、燃料供給マップ(15)で計量された燃料供給量に基づいて、排気流量演算装置(9)で排気流量を演算するように構成されている。
燃料供給マップ(15)は、不揮発性記憶媒体(6)に記憶され、燃料供給マップ(15)には、エンジン回転数とエンジン負荷に対応する燃料供給量が入力されている。
この場合、吸気流量と、大気圧と、差圧と、燃料供給量に基づいて排気流量を演算するため、正確な排気流量の推定を行うことができる。
排気流量は、単位時間当たりの排気体積流量であり、エアフローセンサ(22)で計量された吸気流量を変換して求められる。
【0037】
このエンジンでは、上記精密な排気流量の推定に代えて、簡易な排気流量の推定を行ってもよい。
すなわち、このエンジンでは、エアフローセンサ(22)を備え、電子制御装置(20)は、エアフローセンサ(22)で計測された吸気流量を排気流量とみなして、排気流量演算装置(9)で排気流量を演算するようにしてもよい。
この場合、吸気流量を排気流量とみなして排気流量を演算するため、簡易に排気流量の推定を行うことができる。
【0038】
電子制御装置によるDPFの存否判定の処理の手順を、
図4のフローチャートで説明する。
図4に示すように、ステップ(S1)では集計開始条件が満たされたか否かが判定され、判定は肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されると、ステップ(S2)に移行する。
集計開始条件は、最初は、エンジン出荷後のエンジン運転時間の積算値が所定値に至った時、その後は、先のDPFの存否の判定時からエンジン運転時間の積算値が所定値(0を越えた値)に至った時である。
ステップ(S2)では、差圧と排気流量に対応して存否評価マップから読み込まれたDPFの存否評価値を集計し、ステップ(S3)に移行し、ステップ(S3)で所定の集計時間が経過したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S4)に移行し、判定が否定された場合には、ステップ(S2)に戻る。
ステップ(S4)ではDPFの存否の判定がなされ、ステップ(S5)でDPF不存在の判定がなされたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S6)に移行し、判定が肯定された場合にはステップ(S1)に戻る。
【0039】
ステップ(S6)では、不揮発性媒体(6)にDPFの不存在が記憶され、ステップ(S7)に移行し、不存在報知装置(8)でDPFの不存在の報知を開始し、ステップ(S8)でDPFの存在の判定がなされる。ステップ(S8)での判定は、肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されると、ステップ(S9)でDPFの不存在の報知を終了する。
ステップ(S8)でDPFでの存在の判定は、ステップ(S2)〜(S4)と同様、存否評価マップのDPFの存否評価値を集計し、所定の集計時間が経過した時に行う。
【0040】
電子制御装置(20)によるDPFの再生処理の手順を
図5のフローチャートで説明する。
図5に示すように、ステップ(S11)でDPF(2)に堆積するPMの堆積推定値が再生必要値に至ったか否かが判定される。ステップ(S11)での判定は肯定されるまで繰り返され、判定が肯定されると、ステップ(S12)でDOC(35)が活性化温度に至っているか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S13)でDPF(2)の再生が開始され、ステップ(S14)でDPF(2)の再生終了条件が満たされたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、処理は終了し、判定が否定された場合には、ステップ(S12)に戻る。
【0041】
再生終了条件は、ポスト噴射により、DPF入口排気温度が所定の再生要求温度(例えば500°C前後)を維持した積算時間が所定の終了設定時間(例えば20分)に至ることである。
尚、DPF(2)の再生途中で、DPF出口側排気温度が異常高温(例えば700°C前後)に至った場合には、DPF(2)の熱損傷を避けるため、ポスト噴射は中止される。
【0042】
ステップ(S12)で、DOC(35)の入口側排気温度がDOC(35)の活性化温度に達していない場合には、ステップ(S15)で吸気絞弁(24)による吸気絞りで、排気(39)が昇温され、ステップ(S12)に戻る。