特許第6908690号(P6908690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6908690物体を検査するためのシステム及び方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6908690
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】物体を検査するためのシステム及び方法。
(51)【国際特許分類】
   G01V 11/00 20060101AFI20210715BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   G01V11/00
   G08B21/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-503889(P2019-503889)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公表番号】特表2019-514023(P2019-514023A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】NL2017050215
(87)【国際公開番号】WO2017176117
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年2月14日
(31)【優先権主張番号】16382157.2
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518357759
【氏名又は名称】ファンダランデ インダストリーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ハウスマン コルンブリ、ルイス
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0009747(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/122148(WO,A2)
【文献】 特開平09−118428(JP,A)
【文献】 米国特許第05793639(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00−99/00
G08B 19/00−21/24
B64F 1/30−1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り込みステーション、複数の物体容器、送出ステーション、前記送り込みステーションからの物体容器を自動的に検査するための検査ステーション、及び、使用時に前記送り込みステーションからの物体容器を、前記検査ステーションを介して前記送出ステーションへ搬送するように形成されるコンベアを備える、航空機乗客などの個人の手荷物のような物体を検査するためのシステムであって、
前記送り込みステーションは、前記個人の識別表示を決定するための識別端末と、前記物体容器内に物体を配置するために前記物体容器を前記個人に利用可能にするための物体容器分配器とを備え、
前記送り込みステーションは、該送り込みステーションにいる前記個人を検出するための検出装置を更に備え、
前記物体容器分配器は、前記個人の識別表示が前記識別端末を使用していると判断され、かつ前記検出装置が前記送り込みステーションで前記個人を検出し続けているときにだけ、前記システムの使用中に前記物体容器を前記個人に利用できるようにするように構成される、システム。
【請求項2】
前記検査ステーションは、検査プロセスで用いるために、物体容器内に配置される前記個人の物体のX線画像を生成するための走査ユニットを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の物体容器のうちの1つのそれぞれは、読み取り可能な容器識別表示を有し、前記システムには、前記容器識別表示を読み取るための読取装置と、前記読取装置と前記識別端末とに動作可能に接続されて前記個人に利用可能にされる物体容器の前記容器識別表示をその個人の識別表示に自動的に関連付けるための処理装置とが設けられる請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記物体容器分配器が物体容器場所を有し、この物体容器場所は、その場所にいる前記個人に対して物体容器を利用可能にし、前記物体容器分配器は、ブロッキング位置と解放位置との間で移動できるブロッキング装置を有し、前記ブロッキング装置は、使用時、その前記ブロッキング位置では、前記物体容器場所で物体容器を前記個人に利用可能にすることを阻止するとともに、その前記解放位置では、前記物体容器場所で物体容器を前記個人に利用可能にすることを解放する請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記個人は、自分の一方の手で開口を介して前記物体容器場所にアクセスすることができ、それにより、前記個人は、手で前記開口を介して前記物体容器場所から前記物体容器を取り出すことができ、前記ブロッキング装置は、そのブロッキング位置で、前記開口を少なくとも部分的に遮断して前記開口を通じた前記物体容器の通過を阻止する請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ブロッキング装置は、アクチュエータと、そのブロッキング位置と前記解放位置との間で前記アクチュエータにより移動可能なロックピンとを備える請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記検出装置は、前記送り込みステーションにおける所定の検出エリアで前記個人を非接触検出するように構成されるセンサを備える請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記センサは、好ましくは、光電センサ、ビデオカメラセンサ、容量センサ、受動型赤外線(PIR)センサ、マイクロ波センサ、及び、超音波センサから成るグループから選択される存在センサである請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記個人は、自分の一方の手で開口を介して前記物体容器場所にアクセスすることができ、それにより、前記個人は、手で前記開口を介して前記物体容器場所から前記物体容器を取り出すことができ、前記ブロッキング装置は、そのブロッキング位置で、前記開口を少なくとも部分的に遮断して前記開口を通じた前記物体容器の通過を阻止し、
前記検出装置は、前記送り込みステーションにおける所定の検出エリアで前記個人を非接触検出するように構成されるセンサを備え、
前記センサが前記開口の直ぐ近傍に設けられる請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンベアは、前記送り込みステーションから前記検査ステーションを介して前記送出ステーションまで延び、前記コンベアは、好ましくは、ベルトコンベア、ボールコンベア、又は、ローラコンベアである請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記送出ステーションは、前記検査ステーションから前記個人に到達する物体容器を解放するための解放場所を備える請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のシステムを使用して手荷物などの物体を検査するための方法であって、
a)前記識別端末を使用して前記個人の識別表示を決定するステップと、
b)前記検出装置を使用して、前記送り込みステーションで前記個人を検出するステップと、
c)前記個人の識別表示が前記識別端末を用いて判断され、かつ前記検出装置が前記送り込みステーションで前記個人を検出し続けているときだけ、前記物体容器分配器によって1つ以上の物体容器を前記個人に利用できるようにするステップと、
を含む方法。
【請求項13】
請求項4又はその従属請求項に記載のシステムが使用され、前記ブロッキング装置は、前記個人の識別表示が前記識別端末を用いて判断され、かつ前記検出装置が前記送り込みステーションで前記個人を検出し続けているときだけステップc)中に物体容器を前記個人に利用可能にすることを解放する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項3又はその従属請求項のシステムが使用され、
d)前記読取装置を使用して、前記個人に利用可能にされる物体容器の前記容器識別表示を読み取るステップと、
e)前記処理装置を使用して、前記容器識別表示を前記個人の識別表示に関連付けるステップと、
を更に含む請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検査するためのシステム及び方法に関する。本発明は、特に手荷物などの物体の検査に関し、手荷物の中には、空港の乗客などの個人の財布、コートなどの所持品がある。
【背景技術】
【0002】
企業、法廷、その他の公共建物などの他のセキュリティ保護された場所で本発明を使用することも考えられる。
【0003】
国際公開第2012/122148号パンフレットは、例えば空港で使用するための自動検査システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/122148号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、そのようなシステムの使い易さを更に高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、送り込みステーション、複数の物体容器、送出ステーション、送り込みステーションからの物体容器を自動的に検査するための検査ステーション、及び、使用時に送り込みステーションからの物体容器、すなわち、複数の物体容器のうちの物体容器を検査ステーションを介して送出ステーションへ搬送するように形成されるコンベアを備える、航空機乗客などの個人の手荷物のような物体を検査するための本発明に係るシステムを用いて達成され、送り込みステーションは、個人の識別表示を判断するための識別端末と、物体容器内に物体を配置するために物体容器、すなわち、複数の物体容器のうちの物体容器を個人に利用可能にするための物体容器分配器とを備え、送り込みステーションは、該送り込みステーションにいる個人を検出するための検出装置を更に備え、
物体容器分配器は、個人の識別表示が識別端末を使用していると判断され、かつ検出装置が送り込みステーションで個人を検出し続けているときにだけ、システムの使用中に物体容器を個人に利用できるようにするように構成される。
【0007】
本発明に係るシステムの検出装置を備える前記送り込みステーションの作用は、空港にいる乗客のような個人が2つ以上の物体容器を必要とする場合であっても自分の識別表示が一回判断されるだけで済むということである。前記個人が送り込みステーションに存在したままである限り、前記個人は容器を利用し続けることができ、したがって、前記1つ以上の容器を例えばシステム内の個人の識別表示に関連付けることができる。前述した従来技術の検査システムにおいて、個人は、次の容器を入手することを望むたびに、自分の識別文書が新たに走査されなければならず、これはユーザフレンドリーではないと見なすことができる。更に、本発明に係るシステムを用いると、例えば個人が航空機乗客の場合に搭乗券などの自分の識別文書を第1の物体容器内に例えば自分のキー及び財布と共に配置するような状況はかなり考えられるが、そのような場合に起こり得るような問題が防止される。前述の公知の検査システムを用いると、前記乗客は、そのような場合に次の容器を得ることができない。これは、乗客の識別文書が第1の容器においてシステムに既に導入されてしまっているため、乗客が自分の識別文書を新たに走査され得ないからである。
【0008】
識別端末は、個人の識別表示を判断するために、個人の搭乗券又はパスポートなどの識別文書を走査するためのスキャナを備えていてもよい。そのようなスキャナに代えて或いはそのようなスキャナと組み合わせて、識別端末は、指紋スキャナ又は例えば虹彩スキャナを備えてもよい。
【0009】
1つの実施形態において、検査ステーションは、検査プロセスで用いるために物体容器内に配置される個人の物体のX線画像を生成するための走査ユニットを備える。このようにすると、送り込みステーションから到達する1つ以上の物体が取り込まれた物体容器は、短期間で非常に効果的且つ効率的に検査され得る。このようにして生成された画像は、その後、判断された個人の識別表示に関連付けられ得る。或いは、前記自動検査は、例えば金属検出のための磁場又は容器内の1つ又は複数の物体に沿って通過する空気流を利用することによって行うことができ、その空気流は、例えば有機材料の検査のための質量分析計を用いて分析される。
【0010】
複数の物体容器のうちの1つのそれぞれが読み取り可能な容器識別表示を有し、その場合、システムには、容器識別表示を読み取るための読取装置と、読取装置と識別端末とに動作可能に接続されて個人に利用可能にされる物体容器の容器識別表示をその個人の識別表示に自動的に関連付けるための処理装置とが設けられれば有利である。このようにして、特定の物体容器内に存在する物体がどの個人に属するかが分かる。これにより、例えば、その検査後に再び容器から自分の物体を取り除くことを忘れた個人を追跡することができる。それに加えて、これは、物体容器内のどの物体がどの個人に属しているかについての議論が生じる可能性を排除し、このことは、システムの特定の用途に応じて、例えば、物体が禁止されていることが検査時に判断されるべき場合に有利である。これに関する例は、空港で出発する乗客の手荷物を検査するためにシステムを使用する場合のナイフの形態の物体である。前述の走査ユニットが使用される場合、物体の生成された画像を更に前記物体容器の容器識別表示に関連付けることができ、また、関連する個人、この場合には乗客の判断された識別表示に画像を関連付けることができる。乗客の識別表示を容器識別表示に関連付けることにより、更に、特定のフライトの乗客の物体容器を認識して、前記容器を例えばオペレータによる手作業検査のためにシステムのサイドトラックに自動的に方向付けることができる。何らかの理由で特定の乗客が処理装置において又は処理装置に動作可能に接続される外部データベースにおいて「疑わしい」と指定されている場合にも同じことが当てはまる。更に、システムは、送り込みステーションにいる前記乗客による「疑わしい」挙動の場合にオペレータからの手動入力信号に基づいて乗客の物体容器を認識させて、走査ユニットによる検査に加えて例えばオペレータによる手作業検査のためのシステムのサイドトラックへ前記物体容器を方向付けるように構成されてもよい。
【0011】
1つの実施形態では、物体容器が利用可能になるときに容器識別表示を直接読み取ることができるように読取装置が物体容器分配器の位置に設けられる。これに代えて又はこれと組み合わせて、検査ステーションの上流側入口に読取装置を設けて、自動化された検査が行われる直前に物体容器の容器識別表示が読み取られる又は再読されるようにしてもよい。
【0012】
容器識別表示は、好ましくは、バーコード、QR(クイックレスポンス)コード、又は、RFID(無線周波数識別)要素などの機械可読固有識別コードの形態を成す。
【0013】
物体容器分配器が好ましくは物体容器場所を有し、この物体容器場所は、その場所にいる個人に対して物体容器を利用可能にし、物体容器分配器は、ブロッキング位置と解放位置との間で移動できるブロッキング装置を有し、ブロッキング装置は、使用時、そのブロッキング位置では、物体容器場所で物体容器を個人に利用可能にすることを阻止するとともに、その解放位置では、物体容器場所で物体容器を個人に利用可能にすることを解放する。このようにして、乗客の識別表示が判断され、乗客が依然として送り込みステーションに存在するときにだけ物体容器を乗客に利用できるようにするという目的が、効果的に且つ構造的に簡単な方法で実現される。
【0014】
その関連で、個人が自分の一方の手で開口を介して物体容器場所にアクセスすることができ、それにより、個人が、手で開口を介して物体容器場所から物体容器を取り出すことができ、その場合に、ブロッキング装置が、そのブロッキング位置で、開口を少なくとも部分的に遮断して開口を通じた物体容器の通過を阻止すれば有利である。このようにして、物体容器を利用できるようにすることは、直感的な態様で解放される又は阻止される。
【0015】
ブロッキング装置が、アクチュエータと、そのブロッキング位置と解放位置との間でアクチュエータにより移動可能なロックピンとを備えれば有利である。その場合、処理装置は、好ましくは電気的手段によってアクチュエータを制御するように構成される。アクチュエータは、例えば、スクリュースピンドルであってもよく、或いは、空気圧作動又は油圧作動のピストン−シリンダアセンブリであってもよい。
【0016】
検出装置は、好ましくは、送り込みステーションにおける所定の検出エリアで個人を非接触検出するように構成されるセンサを備える。このようにすると、個人との物理的な相互作用はなく、これは本発明に係るシステムの使い易さを更に高める。
【0017】
センサが、好ましくは、光電センサ、ビデオカメラセンサ、容量センサ、受動型赤外線(PIR)センサ、マイクロ波センサ、及び、超音波センサから成るグループから選択される存在センサであれば有利である。
【0018】
センサは、好ましくは、個人の存在を確実に検出できるように開口の直ぐ近傍に設けられる。
【0019】
コンベアは、好ましくは、送り込みステーションから検査ステーションを介して送出ステーションまで延び、コンベアは、好ましくは、ベルトコンベア、ボールコンベア、又は、ローラコンベア、或いは、そのようなタイプの組み合わせである。
【0020】
1つの実施形態において、送出ステーションは、検査ステーションから個人に到達する物体容器を解放するための解放場所を備える。簡単な変形例において、これは、個人がアクセス可能なコンベアの一部であってもよい。送出ステーションが、個人に属する物体容器のみの判断された識別表示が対象の個人に解放されることに基づいて個人の識別表示を判断するための更なる識別端末を備えることも考えられる。したがって、容器識別表示を伴う物体容器の場合には、その個人の識別表示に関連付けられる容器のみが解放される。
【0021】
更なる態様によれば、本発明は、前述した本発明に係るシステムを使用して手荷物などの物体を検査するための方法であって、
a)識別端末を使用して個人の識別表示を判断するステップと、
b)検出装置を使用して、送り込みステーションで個人を検出するステップと、
c)個人の識別表示が識別端末を用いて判断され、かつ検出装置が送り込みステーションで個人を検出し続けているときだけ、物体容器分配器によって1つ以上の物体容器を個人に利用できるようにするステップと、
を含む方法に関する。
【0022】
本発明に係る方法の利点は、本発明に係るシステムの前述の利点と同様である。
【0023】
この方法は、好ましくは、前述の物体容器場所及びブロッキング装置を備えるシステムを使用し、ブロッキング装置は、個人の識別表示が識別端末を用いて判断され、かつ検出装置が送り込みステーションで個人を検出し続けているときだけ、ステップc)中に物体容器を個人に利用可能にすることを解放する。
【0024】
システムの1つの実施形態において、複数の物体容器のうちの1つのそれぞれが読み取り可能な容器識別表示を有し、システムが前述の読取装置と処理装置とを備え、方法は、好ましくは、
d)読取装置を使用して、個人に利用可能にされる物体容器の容器識別表示を読み取るステップと、
e)処理装置を使用して、前記容器識別表示を前記個人の識別表示に関連付けるステップと、
を更に含む。
【0025】
以下、本発明に係るシステム及び方法の好ましい実施形態の説明によって本発明を説明し、その場合、以下の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る物体を検査するための2つのシステムが設けられる空港の一部の3次元図である。
図2図1に示されるシステムの一部のより詳細な3次元図である。
図3図2に示されるシステムの一部のその後側から示される3次元図である。
図4図1に示されるシステムの一部の更に一層詳しい図である。
図5図1に示されるシステムの一部の3次元図である。
図6図1に示されるシステムの一部の3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係るシステムは様々な用途に使用されるが、以下では、本発明に係るシステムの一実施形態、すなわち、航空機乗客の手荷物を検査するためのシステム1に関連して本発明を説明する。システム1は、その目的のために、多くの場合に幾つかのそのようなシステムと共に、空港の出発エリア2a、2b、2cに設けられる。図1には一例として2つのシステム1,1aが示され、これらのシステムは、同一であるが、それらの形態に関して互いに鏡像を成す。この形態は、2つのそのようなシステム1,1aの間に、乗客のための検査システム、この例では、通常の検査ゲート3及び乗客自身を検査するためのボディースキャナ4を配置できるようにする。したがって、空港の出発エリアにおいて、出発エリアの区域2aは、(未だ)検査されていなかった乗客がアクセスでき、区域2bは、検査されてしまって自分の手荷物も検査されてしまった乗客がアクセスでき、また、区域2cは、セキュリティ要員及びシステム1,1aのオペレータなどの空港職員のみがアクセスできる。したがって、区域2cへのアクセスは乗客にとって禁止される。システム1に関連して以下で記載されることは、システム1aにも同様に当てはまる。同様の部分は、図1において同じ数字により示される。1つ以上のシステム1を伴う同程度の設備が、他のタイプの建物に、例えば企業や裁判所などの公共建物などに設けられてもよい。
【0028】
システム1は、したがってシステム1aも、基本的に、4つの送り込みステーション10、送出ステーション12、検査ステーション14、及び、送り込みステーション10から検査ステーション14を介して送出ステーション12へと延びるコンベア16から構成され、コンベアは、この例では、連続するローラとベルトコンベアとの組み合わせから構成される。4つよりも少ない又は4つよりも多い送り込みステーション10、例えば、1つ、2つ、或いは、6個又は8個又は更に他の数の送り込みステーションの使用も本発明の範囲内で想定し得る。システム1は、この例ではトレイ18の形態を成すが代わりにクレート、皿、プレート、バスケットなどとしても構成される多数の物体容器を更に備える。様々なタイプの物体容器の組み合わせ、随意的には様々なサイズの物体容器の組み合わせも同様に本発明の範囲内で想定し得る。使用時、コンベア16は、トレイ18を送り込みステーション10から検査ステーション14を介して送出ステーション12へ搬送する。本発明の範囲内において、他の物体、例えば、それに限定されないが、トレイ18内に配置されない乗客のスーツケース及び手押し車も、検査のためにコンベア16によって搬送することができる。
【0029】
検査ステーション14は、検査プロセスで用いるトレイ18内に配置される乗客の1つ又は複数の物体のX線画像又は画像を生成するための走査ユニット20を備える。その後、自動化されたプロセスで又はオペレータによって、物体が(場合により)禁止された物体であるかどうかを判断することができる。本発明の範囲内において、「物体」という用語は、財布、ラップトップコンピュータ、コートなどの乗客の手荷物に属する物品を意味すると理解される。乗客は、物体を1つのトレイ内に別々に配置することができ、或いは、多くの物体を一緒に、例えば衣類などの物品を収容するバッグをトレイ内に配置できる。検査プロセスの目的は、この例では航空機内で禁止される物体を途中で捕捉することである。
【0030】
図2は、4つの送り込みステーション10をより詳細に示す。図4は、別個の送り込みステーション10を更に一層詳しく示す。各送り込みステーション10は、乗客の身元確認を行う識別端末22を有する。この例において、識別端末22は、搭乗券を走査する及び/又はパスポートなどの識別文書を走査するように構成されるスキャナによって形成される。前記走査によって得られる情報、すなわち、乗客の識別表示は、未だ記載されていない処理装置の記憶素子に記憶され得る、或いは、代わりに、例えばシステムに接続される外部データベースに記憶され得る。
【0031】
多数のトレイ18のうちの1つはそれぞれ、読み取り可能な容器識別表示をこの例ではRFIDコード25(詳細に図示されない)の形態で有する。システム1は、容器識別表示を読み取るためのRFIDリーダ23の形態を成す読取装置と、読取装置23及び識別端末22に動作可能に接続されて乗客に与えられるトレイ18の容器識別表示を送り込みステーション10でスキャナ22により判断される前記乗客の識別表示に自動的に関連付けるための処理装置26とを更に備える。或いは、処理装置は、システムの残りの部分から離れた位置に別個に設けられてもよい。読取装置23(図4参照)は、後述する区画室35の内側で該区画室の開口36の位置に設けられる。
【0032】
処理装置26は、プロセッサ、記憶素子、及び、プロセッサに動作可能に接続される入力手段及び出力手段を備える。記憶素子は、使用時にプロセッサによりシステムにロードされる際に処理装置を使用して以下に記載されるステップを実行するソフトウェアを備える。処理装置は、オペレータのためのタッチディスプレイなどのユーザインタフェースに電気的に接続されてもよい。識別端末22及び読取装置23は、処理装置26の入力手段に動作可能に接続される。処理装置は、更に、乗客識別表示及び容器識別表示などのデータ並びに2つの間の関連性に関する情報の外部記憶のための更なる外部処理装置に動作可能に接続されてもよい。
【0033】
各送り込みステーション10は、物体容器分配器、したがってこの例では、送り込みステーションにいる乗客に前記乗客がトレイ18内に物体を配置できるように1つのトレイ18又は幾つかのトレイ18を連続して利用できるようにするためのトレイ分配器24を更に備える。空のトレイ18の供給コンベア(図示しない)を介して行われ、供給コンベアは、前記コンベア16の下側で、送出ステーション12から又は空のトレイのためのバッファから又は送出ステーション12から空のトレイのためのバッファを介して送り込みステーション10へと延びる。
【0034】
特に図5及び図6を参照されたい。各送り込みステーション10は、送り込みステーション10の位置で個々の乗客を検出するための検出装置を更に備える。検出装置はセンサ32から構成され、該センサ32は、図6に一例として34で示される送り込みステーション10にある所定の検出エリア内で乗客5を非接触で検出するように構成される。この例では、センサ32が存在センサ、より具体的には光電センサである。センサ32は、乗客が存在しているかどうかを連続的に又は短い間隔で(少なくとも実質的に)感知して、それが送り込みステーションからの乗客の出発を知覚できるように調整される。検出装置は、信頼性を高めるために幾つかのそのようなセンサ32又は互いに異なるタイプの幾つかのセンサを備えてもよい。検出装置は、その入力手段を介して処理装置26に電気的に動作可能に接続される。
【0035】
トレイ分配器24は物体容器場所を有し、この物体容器場所は、トレイ18をその場所で乗客5が利用できるようにするための開口36を正面側に備える区画室35として構成される。区画室35は、正面側、すなわち、乗客5が存在する送り込みステーション10の側にある開口36を介して乗客5がアクセスでき、この開口を介して乗客はトレイ18を手で区画室35から取り出すことができる。乗客5は、トレイ18を区画室35から取り出してそれを各送り込みステーション10ごとに利用できる2つの取り込み位置21のうちの一方に配置することができる。トレイ18に1つ以上の物体が取り込まれた後、乗客5は、満たされたトレイ18を検査ステーション14へ輸送するためにコンベア16上へスライドさせる。随意的に、容器識別表示を読み取るための更なる読取装置が各取り込み位置21に設けられてもよい。
【0036】
トレイ分配器24は、ロック位置と解放位置との間で移動できるロックピン38を更に有し、このロックピンは、ブロッキング装置を形成して、使用時、そのブロッキング位置では、物体容器場所35で乗客5に対してトレイを利用可能にすることを防止する或いは言い換えると阻止するとともに、その解放位置では、ロックピン38が解放位置で区画室35を取り囲む送り込みステーション10のフレーム39内に埋め込まれるという点において物体容器場所35で乗客に対してトレイを利用可能にすることを解放する。図示のように、ロックピン38は、トレイ18がロックピン28を越えてロック位置にある開口36を通過して移動できないように、関連する区画室35のための開口36内の中央に設けられる。ロックピン38は、ロックピン38をブロッキング位置と解放位置との間で電気的に移動させるためのアクチュエータ(図示せず)を更に有する。ブロッキング装置は、その出力手段を介して処理装置26に電気的に接続されて、使用時に処理装置26によって制御される。前述のセンサ38は、開口36の直ぐ近傍に、より具体的には開口36の真上に設けられる。
【0037】
この例ではトレイ分配器24の形態を成す物体容器分配器は、システム1の使用時にのみ、すなわち、乗客5の識別表示が識別端末22によって判断された後であって、処理装置26の制御下で検出装置32が送り込みステーション10での前記乗客の存在を検出し続ける限りにおいて、トレイ分配器24がその一部を形成する送り込みステーション10に存在する乗客5にトレイ18を利用できるようにするべく構成される。その時間の間、ロックピン38は解放位置にあるため、空のトレイ18は、乗客5に利用できるようにするために前のトレイ18が前記乗客によって除去されると直ぐにトレイ場所35に自動的に配置される。したがって、乗客5の識別表示の判断前であって、乗客5が送り込みステーション10から離れて検出手段32がもはや乗客の存在を検出しなくなった後、ロックピン38はそのブロッキング位置にあるため、トレイ18を除去することはもはや不可能である。
【0038】
乗客が1つ以上のトレイ18を物体、例えば図1に示される物体19で満たして、前記トレイが処理装置26の制御下で乗客5の識別表示に関連付けられた後、トレイ18は、コンベア16によって走査ユニット20を介して運ばれ、場合により禁止物体に関してそこで検査される。禁止物体又は場合により禁止される物体が走査ユニット20によって又は走査ユニット20により形成される画像に基づいてオペレータによって認識された状況では、対象の物体を収容するトレイ18が、例えば、オペレータ又は他のオペレータがアクセスできるが乗客5がアクセスできないシステム1の後側のサイドトラック40へと方向付けられ得る。その場所では、物体の更なる手作業検査が行われ得る。走査ユニット20による走査によって禁止物体又は場合により禁止される物体がトレイ18内に存在しないように思われると分かれば、対象18のトレイ18は、乗客5がアクセスできるとともに送出ステーション12の解放場所を形成するコンベア16の部分42上で送出ステーション12へと方向付けられる。
【0039】
システム1は、後側、すなわち言い換えると区域2cの側に、システム1のオペレータが使用するための付加的なトレイ分配器50(図3参照)を更に備える。例えばトレイ内に存在すべき物体がコンベア16上に載った場合には、トレイをオペレータが容易に利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6