特許第6908691号(P6908691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浅井 和明の特許一覧

特許6908691カウンタープレートをダイに位置合わせする位置合わせ装置および位置合わせ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6908691
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】カウンタープレートをダイに位置合わせする位置合わせ装置および位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/00 20060101AFI20210715BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20210715BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20210715BHJP
   B26F 1/40 20060101ALN20210715BHJP
【FI】
   B26F1/00 A
   B26F1/44 H
   B26D7/20
   !B26F1/40 B
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-506387(P2019-506387)
(86)(22)【出願日】2017年8月3日
(65)【公表番号】特表2019-529129(P2019-529129A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】GB2017052268
(87)【国際公開番号】WO2018025045
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2020年7月31日
(31)【優先権主張番号】1613465.2
(32)【優先日】2016年8月4日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516295019
【氏名又は名称】浅井 和明
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスミス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】アルネド,オリバー
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3141440(JP,U)
【文献】 特許第3533106(JP,B2)
【文献】 特開平10−113897(JP,A)
【文献】 特許第3811830(JP,B2)
【文献】 特許第4772144(JP,B2)
【文献】 特許第4873832(JP,B2)
【文献】 特開2005−74615(JP,A)
【文献】 特公昭57−7880(JP,B2)
【文献】 特許第5566237(JP,B2)
【文献】 特開2007−7829(JP,A)
【文献】 実開平1−42899(JP,U)
【文献】 特公昭54−40798(JP,B2)
【文献】 米国特許第4341008(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00
B26F 1/44
B26D 7/20
B26F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断および折り目付け製造作業のためにカウンタプレートをダイボードに位置合わせする位置合わせ方法であって、前記位置合わせ方法に使用する位置合わせ装置は、
第1の端部、第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長手方向軸を有する、細長い位置合わせピンと、
前記位置合わせピンを内包するように設けられた取付体の組立体であって、
前記位置合わせピンおよび前記取付体が、前記位置合わせピンが前記取付体内で第1の延出位置および第2の後退位置に保持されるように構成されており、前記位置合わせピンが、前記位置合わせピンを前記取付体から離れる方向に引き出して前記位置合わせピンを前記第1の延出位置に配置する設定ツールによって係合することを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項2】
切断および折り目付け製造作業のためにカウンタプレートをダイボードに位置合わせする方法であって、
a)ダイボードのブレード面から突出した1つまたは複数の位置合わせ装置を設ける工程であって、前記位置合わせ装置が、取付体内に保持された位置合わせピンを備え、前記位置合わせピンおよび前記取付体が、前記位置合わせピンが第1の延出位置および第2の後退位置に保持できるように構成されている工程と、
b)前記位置合わせピンへの位置合わせによって、カウンタプレートを前記ダイの上に位置合わせする工程と、
c)プレス機を作動させて、前記カウンタプレートをカウンタプレートボードに押圧する工程であって、前記プレス機の力が、前記位置合わせピンをその延出位置からその後退位置に移動させる工程と、
d)好ましくは前記カウンタプレートおよびダイを使用して1つまたは複数のシートを切断および折り目付けした後に、前記位置合わせピンをブレード面方向から引き出してその延出位置に配置する工程と
を含む、位置合わせ方法。
【請求項3】
カウンタープレートをダイボードに位置合わせする位置合わせ装置であって、前記位置合わせ装置は、
第1の端部、第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長手方向軸を有する、細長い位置合わせピンと、
前記位置合わせピンを内包するように設けられた取付体と、
前記取付体と係合するための前記位置合わせピンから半径方向に延びる保持部を備えるスペーサ部材の組立体であって、
前記位置合わせピン、前記スペーサ部材および/または、前記取付体が、前記位置合わせピンおよびスペーサ部材が前記取付体内で第1の延出位置および第2の後退位置に保持されるように構成されていることを特徴とする位置合わせ装置。
【請求項4】
前記位置合わせピンが前記第2の後退位置に配置されているとき、前記スペーサ部材が、前記位置合わせピンおよび前記取付体により摺動可能に保持され、前記位置合わせピンの長手方向軸に沿って平行移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
前記位置合わせピンが前記第2の後退位置に配置されているとき、前記スペーサ部材が、前記位置合わせピンおよび前記取付体により摺動可能に保持され、前記位置合わせピンの長手方向軸に沿って平行移動可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記位置合わせピンが前記第2の後退位置に配置されているとき、前記スペーサ部材の前記保持部が、前記スペーサ部材のカウンタープレートと対向する第1の面を前記取付体から離れる方向に付勢するように構成されている請求項3から5のうちいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
前記位置合わせピンが前記第1の延出位置に配置されているとき、前記スペーサ部材が前記位置合わせピンおよび/または、前記取付体に対して実質的に固定された位置に保持されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項8】
前記スペーサ部材を構成する前記保持部により、前記スペーサ部材の脱落を防止するとともに前記位置合わせピンを前記取付体内に保持するように構成されていることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項9】
前記スペーサ部材を構成する前記保持部が、前記位置合わせピンと前記取付体との間に半径方向に位置するように設けられていることを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項10】
前記位置合わせピンが前記第2の後退位置に配置されているとき、前記スペーサ部材の前記保持部が、前記位置合わせピンの第1のショルダに対して付勢することにより、前記スペーサ部材の前記第1の面を前記取付体から離れる方向に付勢するように構成されていることを特徴とする請求項3から9のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項11】
前記スペーサ部材を構成する前記保持部が、前記スペーサ部材を前記位置合わせピンに保持するように構成されていることを特徴とする請求項3から10のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項12】
前記スペーサ部材を構成する前記保持部に形成された第1の実質的に半径方向に延びる機構と、前記位置合わせピンに形成された前記保持部に形成された第1の実質的に半径方向に延びる機構に対応する実質的に半径方向に延びる機構で係合し、前記スペーサ部材を前記位置合わせピンに保持するように構成されていることを特徴とする請求項3から11のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項13】
前記スペーサ部材を構成する前記保持部に形成された第2の実質的に半径方向に延びる機構と、前記取付体に形成された前記保持部に形成された第2の実質的に半径方向に延びる機構に対応する実質的に半径方向に延びる機構で係合し、前記スペーサ部材を前記取付体に保持するように構成されていることを特徴とする請求項3から12のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項14】
前記位置合わせピンが前記第1の延出位置に配置されているとき、前記位置合わせピンが、前記位置合わせピンの第2のショルダに作用する前記取付体に設けられた1つまたは複数の付勢部材によって前記第2の延出位置に付勢されていることを特徴とする請求項3から13のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項15】
前記スペーサ部材および/または、位置合わせピンは、前記スペーサ部材および/または、位置合わせピンを前記取付体から離れる方向に引き出して前記第1の延出位置に配置するための設定ツールと係合するように構成された係合部を備える、請求項3から14のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項16】
前記位置合わせピンは、前記位置合わせピンを前記取付体から離れる方向に引き出して前記位置合わせピンを前記第1の延出位置に配置する設定ツールによって係合されるように構成された係合面を備えることを特徴とする請求項3から15のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項17】
前記スペーサ部材(を構成する保持部)に、前記位置合わせピンおよび前記スペーサ部材を前記第1の延出位置に保持するように設けられた2次保持手段を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項18】
前記2次保持手段が、前記取付体の係合部材と係合するように構成された、前記スペーサ部材を構成する前記保持部上に設けられた少なくとも1つの突起部であることを特徴とする請求項17に記載の位置合わせ装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の位置合わせ装置と、前記位置合わせ装置を構成する位置合わせピンおよび/またはスペーサ部材を取付体から引き出し、第1の延出位置に配置するため設定ツールからなる請求項1から18のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項20】
前記設定ツールは、長手方向ツール軸と、前記スペーサ部材の取付体対向面と係合して前記スペーサ部材を前記取付体から離れる方向に引き出す少なくとも1つの円周方向に突出したフックを備えることを特徴とする請求項19に記載の位置合わせ装置。
【請求項21】
前記位置合わせピンの外面上の凹部と係合して前記位置合わせピンを前記取付体から離れる方向に前記第1の延出位置まで引き出すように構成された、少なくとも1つの内向きに突出した突出部を備えることを特徴とする請求項19に記載の位置合わせ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断および折り目形成作業のためにダイおよびカウンタプレートを設置する装置および関連方法に関する。詳細には、本発明は、こうした作業におけるダイおよびカウンタプレートの設置に必要な時間および作業を減らす、新規性のある位置合わせピンに関する。
【背景技術】
【0002】
折曲げ製品用の折曲げ可能ネットを生成するための切断および折り目形成作業はよく知られており、典型的にはダイおよびカウンタプレートで実施される。ダイは、一連の鋭いブレードまたは鈍いブレードを搭載することになり、これらはそれぞれ、たとえば箱や、容器、封筒、店頭陳列台、他の包装関連材料など他の切断および折曲げ製品などのためのネットを生成するために、ダイとカウンタプレートとの間に配置された平面シートの選択領域を切断および/または折り目付けするように構成されている。このプロセスは、ダイ上のブレードが適切なカウンタプレート上のスロットまたは凹部に正しく位置合わせされることに依拠する。これは、ブレードが、それらの力がブランクに加えられ、それらの形状がカウンタプレート上の反対側の機構と正しく対向することにより、ブランクを適切に切断または折り目付けすることができることを確実にするためである。したがって、ダイおよびカウンタプレートは、ブランクから製作されるネットの特定の形に特有のものである。新たなダイを必要とする各生産運転について、新たなカウンタプレートをダイに位置合わせしなければならない。これは一般に、粘着裏面を有するカウンタプレートを、成形機内で位置合わせされ、ダイをカウンタプレートと接触させるこの機械の動作によってカウンタプレート用のキャリアに押圧されるように設けることによって、実現される。
【0003】
図1A図1Dには、ダイおよびカウンタプレートを設置するプロセスにおける工程の一例が示してある。
【0004】
図1Aでは、ダイボード1にカウンタプレート位置合わせピン10が設けられている。位置合わせピン10の突出端部の周りには、弾性スペーサ11が、ダイボード1およびスペーサ11から位置合わせピン10が盛り上がった状態で、配置されている。
【0005】
図1Bに示すように、ブレード12および13の上にはカウンタプレート3が位置する。当技術分野で知られているように、ブレード12および13は、ブレードとカウンタプレート3との間に配置されたシートを切断するために鋭く構成されるか、または、ブレードとカウンタプレート3との間に配置されたシートに折り目付けして、折り目に沿った容易な折曲げを可能にするために、概して湾曲した外側エッジを有するように構成されるかのいずれかである。理解されるように、1つの位置合わせピン10およびスペーサ11のみが示してあり、ダイボード1の小部が示してあるが、完全操業では、ダイボード1に対するカウンタプレート3の確実な2次元位置合わせをもたらすために、複数の位置合わせピン10が使用されることが多いことを理解されたい。図1Cに示すように、ダイ切断機を作動させて、ダイボード1およびカウンタプレートボード4を矢印AおよびBの方向に共に押す。カウンタプレートボード4に対向するカウンタプレート3の面は粘着性であり、一般に、カウンタプレートがカウンタプレートボード4に押圧される前に被覆層が除去される。ダイボード1およびカウンタプレートボード4が共に押圧されると、次いでカウンタプレートが、その粘着裏面を介してカウンタプレートボード4に貼り付く。ダイボード1およびカウンタプレートボード4をいずれも共に圧縮することは、カウンタプレートボードへのカウンタプレートの接着を生じさせ、また位置合わせピン10をダイボード1に押し戻す。これはまた、位置合わせピン10の領域で局所接着を確実にするために、弾
性スペーサ11とカウンタプレートボード4との間でもカウンタプレート3を圧縮する。
【0006】
図1Dに示すように、ダイボード1およびカウンタプレートボード4がもう一度分離されれば、カウンタプレート3はカウンタプレートボード4に接着されたままとなり、システムは、ブランクをブレード12,13とカウンタプレート3との間に設けて、所定の位置に置かれたブレードおよびカウンタプレートの形態に従って折曲げ可能ネットを製造する準備がこれで整う。
【0007】
位置合わせピン10および弾性スペーサ11の標準的な既知の構成では、これらの構成要素は、単に位置合わせピンへの運動に対する多少の抵抗を与えるように設けられている。カウンタプレートの押圧中、位置合わせピンはダイボード1に押し戻される。新たな生産運転のためにさらなるカウンタプレートを位置合わせするのに位置合わせピンが必要な場合、位置合わせピンを手作業でダイボードから延出させなければならない。過去のシステムでは、これは通常、ブレードと反対側のダイボードの面(すなわちダイボードの背面)から、位置合わせピンを押し出すことによって行われる。以前のシステムの弾性スペーサ11は、概して緩い要素であり、したがって、製造作業が開始できる前に、手作業でダイボードから除去しなければならない。これは、位置合わせピンの後退が、弾性スペーサを解放状態にしておくことになり、したがって、スペーサを除去して、後に続く製造作業との干渉を回避しなければならないからである。このようにしてダイボードの背面から作業を行うことは複雑な場合があり、当然、弾性スペーサ11が全てうまく回収されるとは限らないというリスクがあり、これは、それらが依然としてその後の製造作業に関する潜在的問題を引き起こす可能性があることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上記で説明したカウンタプレート位置合わせ手順のために、位置合わせピンおよび/または弾性スペーサの改善された形態が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、位置合わせピンをダイボードのブレード面から取付体内の延出位置に引き出すことを可能にするように構成された位置合わせ装置に関する。ピンは、取付体内の延出位置および後退位置に保持でき、それによってカウンタプレート位置合わせ作業のために延出し、製造作業中はダイボードに後退することができる。装置には、一体型のスペーサ部材が組み込まれることが好ましく、これは、ダイおよびカウンタプレートの設置中に、位置合わせの目的で、またカウンタプレートをカウンタプレートボードに押圧するために、位置合わせピンと共に延出位置に付勢することができる。スペーサ部材および/またはピンを延出位置に付勢する付勢力に打ち勝てば、両方の要素はダイボードに向かって後退し、製造作業中はそこに保持される。さらなる位置合わせ作業のためには、ピンおよびスペーサを、もう一度ダイボードから離れる方向にそれらの延出位置まで引き出すことができる。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、位置合わせ組立体を備える、カウンタプレートをダイプレートに位置合わせする位置合わせ装置であって、位置合わせ組立体が、
第1の端部、第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間に延びる長手方向軸を有する、細長い位置合わせピンと、
取付体であって、ピンが取付体内に配置された取付体と、
スペーサ部材であって、
ピンから半径方向に延びるスペーサ部、および
スペーサ部材を組立体に保持する保持部を備えるスペーサ部材と
を備え、
位置合わせピン、スペーサ部材、および/または取付体が、ピンがスリーブまたは取付体内で第1の延出位置および第2の後退位置に保持されるように構成されており、
スペーサ部材が、ピンの延出位置および後退位置の両方において組立体に保持されている、
位置合わせ装置が提供される。
【0011】
位置合わせ装置はさらに、以下の特徴のいずれかを実現するように構成してもよい。位置合わせピンが後退位置に配置されているとき、スペーサ部材は、組立体に摺動可能に保持されてもよく、位置合わせピンの長手方向軸に沿って平行移動可能である。
【0012】
位置合わせピンが後退位置に配置されているとき、スペーサ部材は取付体から離れる方向に付勢されてもよい。
【0013】
位置合わせピンが後退位置に配置されているとき、スペーサ部材の保持部は、スペーサ部材の第1の面を取付体から離れる方向に付勢するように構成されてもよい。
【0014】
位置合わせピンがその延出位置にあるとき、スペーサ部材は、位置合わせピンおよび/または取付体に対して実質的に固定された位置に保持されてもよい。
【0015】
スペーサ部材の保持部は、スペーサ部材を組立体に保持し、ピンを取付体内に保持するように構成されてもよい。
【0016】
スペーサ部材の保持部は、位置合わせピンと取付体との間に半径方向に位置するように構成されてもよい。
【0017】
位置合わせピンの後退位置に配置されているとき、スペーサ部材の保持部は、位置合わせピン上の第1のショルダに対して付勢することによって、スペーサ部材の第1の面を取付体から離れる方向に付勢するように構成されてもよい。
【0018】
ピンの延出位置に配置されているとき、ピンは、ピンの第2のショルダに作用する取付体の1つまたは複数の付勢部材によって延出位置に付勢されてもよい。
【0019】
スペーサ部材の保持部は、スペーサ部材を位置合わせピンに保持するように構成されてもよい。
【0020】
スペーサ部材の保持部は、位置合わせピンの対応する実質的に半径方向に延びる機構と係合する、保持部の第1の実質的に半径方向に延びる機構によって、スペーサ部材を位置合わせピンに保持するように構成されてもよい。
【0021】
スペーサ部材の保持部は、取付体の対応する実質的に半径方向に延びる機構と係合する、保持部の第2の実質的に半径方向に延びる機構によって、スペーサ部材を位置合わせピンに保持するように構成されてもよい。
【0022】
スペーサ部材および/または位置合わせピンは、スペーサおよび/または位置合わせピンを取付体から離れる方向に引き出して位置合わせピンを延出位置に配置する設定ツールによって係合されるように構成された係合部を備えてもよい。
【0023】
位置合わせピンは、位置合わせピンを取付体から離れる方向に引き出して位置合わせピンを延出位置に配置する設定ツールによって係合されるように構成された係合面を備えてもよい。
【0024】
スペーサ部材は、組立体を延出形態に保持するように構成された2次保持手段を備えてもよい。
【0025】
2次保持手段は、取付体の係合部材と係合するように構成された、スペーサ部材の保持部材上の少なくとも1つの突出部を備えてもよい。
【0026】
先の請求項のいずれか1項に記載の位置合わせ装置と、位置合わせピンおよび/またはスペーサ部材の係合部または係合面と係合して位置合わせピンおよび/またはスペーサ部材を延出位置に引き出すように構成された設定ツールとを備える、システム。
【0027】
本発明による位置合わせ装置用の設定ツールは、長手方向ツール軸と、スペーサ部材の取付体対向面と係合してスペーサ部材を取付体から離れる方向に引き出す少なくとも1つの円周方向に突出したフックとを備えてもよい。
【0028】
本発明による位置合わせ装置用の設定ツールは、位置合わせピンの外面上の凹部と係合して位置合わせピンを取付体から離れる方向に延出位置まで引き出すように構成された、少なくとも1つの内向きに突出した突出部を備えてもよい。
【0029】
さらなる態様によれば、位置合わせ組立体を備える、カウンタプレートをダイプレートに位置合わせする位置合わせ装置であって、位置合わせ組立体が、
第1の端部、第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間に延びる長手方向軸を有する、細長い位置合わせピンと、
取付体であって、ピンが取付体内に配置された取付体と
を備え、
位置合わせピンおよび取付体が、ピンが取付体内で第1の延出位置および第2の後退位置に保持できるように構成されており、
位置合わせピンが、位置合わせピンを取付体から離れる方向に引き出して位置合わせピ
ンを延出位置に配置する設定ツールによって係合されるように構成された係合面を備える、
位置合わせ装置が提供される。
【0030】
切断および折り目付け製造作業のためにカウンタプレートをダイに位置合わせする方法であって、
a)ダイボードのブレード面から突出した1つまたは複数の位置合わせ装置を設ける工程であって、位置合わせ装置が、取付体内に保持された位置合わせピンを備え、ピンおよび取付体が、ピンが第1の延出位置および第2の後退位置に保持できるように構成されている工程と、
b)位置合わせピンへの位置合わせによって、カウンタプレートをダイの上に位置合わせする工程と、
c)プレス機を作動させて、カウンタプレートをカウンタプレートボードに押圧する工程であって、プレス機の力が、位置合わせピンをその延出位置からその後退位置に移動させる工程と、
d)好ましくはカウンタプレートおよびダイを使用して1つまたは複数のシートを切断および折り目付けした後に、位置合わせピンをブレード面方向から引き出してその延出位置に配置する工程と
を含む、方法がさらに提供される。
【0031】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A図1Aは、本発明の実施形態を使用することができるカウンタプレートの位置合わせ方法における工程を示す。
図1B図1Bは、本発明の実施形態を使用することができるカウンタプレートの位置合わせ方法における工程を示す。
図1C図1Cは、本発明の実施形態を使用することができるカウンタプレートの位置合わせ方法における工程を示す。
図1D図1Dは、本発明の実施形態を使用することができるカウンタプレートの位置合わせ方法における工程を示す。
図2A図2Aは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図2B図2Bは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図2C図2Cは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図2D図2Dは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図2E図2Eは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図2F図2Fは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図2G図2Gは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第1の実施形態を示す。
図3A図3Aは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3B図3Bは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3C図3Cは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3D図3Dは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3E図3Eは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3F図3Fは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3G図3Gは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
図3H図3Hは、本発明による位置合わせ装置および対応する設定ツールの第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図2Aは、本発明による位置合わせ装置の第1の実施形態を示す。装置200は複数の部品から組み立てられ、一般に、位置合わせピン210と、スペーサ部材230と、取付体260とを備える。位置合わせピンは、第1の端部211と、第2のおよび第2の端部212とを備え、それらの間に延びる長手方向軸Xを有する。位置合わせピン210は、第1のショルダ213と、第2のショルダ214とを備える。ショルダは、位置合わせピン210の実質的に半径方向に延びる面である。それは、軸Xに対して垂直に延びなくてもよい。たとえば、第1のショルダ213は、第1の端部211の方に向き、軸Xから第1の角度で離れる方向に延びる。第2のショルダ214は、第2の端部212の方に向き、軸Xから第2の角度で離れる方向に延びる。ショルダ213の第1の角度は、ショルダ214の角度より大きくても
、または小さくてもよい。例示した実施例では、軸Xに対するショルダ213の角度は、軸Xに対するショルダ214の角度より小さい。
【0034】
位置合わせピン210の側面には、少なくとも1つの凹部215が設けられている。後の図に関して説明するように、これは、スペーサ部材230の1つまたは複数の保持部233,234の、1つまたは複数の半径方向に延びる機構235,236を収容するためのものである。スペーサ部材230は、後の図に関して説明するように、共に組み立てられたときに位置合わせピン210およびスペーサ部材230によって共有される共通の長手方向軸Xから半径方向に延びる、1つまたは複数のスペーサ部231,232を備えてもよい。
【0035】
1つまたは複数のスペーサ部231,232に加えて、スペーサ部材230は、1つまたは複数の保持部233,234を備えてもよい。これらの(1つまたは複数の)保持部は、位置合わせピン210、スペーサ部材230、および取付体260の最終的な組立体に、スペーサ部材を保持するように構成されている。1つまたは複数の保持部233,234は、1つまたは複数の半径方向外向き突出部237および238、ならびに1つまたは複数の半径方向内向き突出部235および236を備えてもよい。後の組立図から明らかになるように、これらの突出部は、異なる組立位置の間の位置合わせピン210および/またはスペースサ部材230の移動を可能にしながら、組立体全体を組立状態に保持するように働くことができる。1つまたは複数のスペーサ部材230,231は一般に、位置合わせピン210から半径方向外向きに延びるように構成されている。スペーサ部材の第1の面239は、取付体260から離れる方向に向いており、一般に、図1A図1Dに関して説明した方法で位置合わせ装置200を使用するときに、カウンタプレート3が当接することができる座面として働くことができる。スペーサ部材230は一般に、図1A図1Dに示した弾性スペーサ11の代わりをするように配置されている。したがって、それは、位置合わせピンの端部211を収容する中央開口と、位置合わせ装置200がダイボード1に位置するときにカウンタプレート3に対向するように構成された上面239とを備える。図2Aに記載するシステムはまた、別個の設定ツール280をも含むことができる。設定ツール280は、1つまたは複数の円周方向に延びるフック281,282を備えることができ、
これらは、一般に装置200の取付体260の方に向いた、スペーサ部材の第2の面240と係合するように構成することができる。フック281および282は、第2の面240と係合するために、スペーサ部材のノッチ241および242を通るように構成してもよい。理解されるように、フックをノッチに通した後のツール280の回転が、フックをスペーサ部材230の面240と係合させることができる。
【0036】
組み立てられると、位置合わせピン210およびスペーサ部材230は、取付体260内に少なくとも部分的に収容される。例示した取付体260は一般に、略円筒形状を有するが、他の形状が取付体のコア機能を果たすことができ、このコア機能とは、位置合わせピン210を、その2つの機能位置であって、第1の位置が、位置合わせピンが取付体の第1の端部261から延出した延出位置であり、第2の位置が、少なくともその延出位置にあるときよりも取付体から小さく突出するように、位置合わせピンが少なくとも部分的に後退して取付体260に戻った後退位置である、機能位置に保持することを可能にするものである。取付体260は、位置合わせピン210の第2のショルダ214と係合して位置合わせピン210をその延出位置に保持することができる、1つまたは複数の弾性係合部材262および263を備えることが好ましい。位置合わせピンがその延出位置にあるとき、スペーサ部材230もまた、位置合わせピン210およびスペーサ部材230が後退位置にあるときよりも面239が取付体260から離れる方向に大きく延出した状態で、延出位置にあると考えることができる。
【0037】
図2Bは、位置合わせピン210に取り付けられたスペーサ部材230を示す。例示した形態では、スペーサ部材230は、位置合わせピン210上の第1の前進位置にあり、この場合、スペーサ部材の第1の面239は、位置合わせピン210の第1の端部211に向かって前進し、好ましくはこれと整列している。段差のないフラットな状態となっている。第1および第2の半径方向内向きに突出した突出部235および236は、凹部215および/または216の一方または両方との係合によって、スペーサ部材230が位置合わせピン210の端部211を越えてこの方向に延出するのを防止することができる。
【0038】
図2Cは、第2の後退位置にある、位置合わせピン210に取り付けられたスペーサ部材230を示し、この場合、スペーサ部材の面239は、位置合わせピン210の第1の端部211の後ろに後退している。この位置にあるとき、(1つまたは複数の)保持部233,234は、位置合わせピン210の第1のショルダ213との係合によって、長手方向軸Xから離れるように半径方向外向きに付勢されている。理解されるように、スペーサ部材230が矢印Cの方向に押し下げられるほど、保持部材233および234の外向きの付勢は大きくなることになる。保持部材233および234は軸Xに向かって内向きにバイアスなので、スペーサ部材230は、第1のショルダ213との保持部材との相互作用によって、位置合わせピンの第1の端部211に向かって、またその第2の端部212から離れる方向に付勢される。位置合わせピン210が取付体260内の後退位置にあるとき、スペーサは自由に図2Bの前進位置または図2Cの後退位置を占め、その間を移動することができる。位置合わせピンの第1の端部211に向かうスペーサ部材230の付勢は、弾性力を与え、したがって、図1Aのダイボード1に設置されたとき、スペーサ部材230は、図1Aに示した弾性スペーサ11の付勢力を再現することができる。これは、位置合わせピン210の第1の端部211に向かってスペーサ部材を付勢する好ましい方法であるが、ピン210の軸Xに沿って軸方向にスペーサ部材を付勢する他の方法を想定することができる。
【0039】
図2Dは、取付体260のさらなる詳細を示し、好ましくはスペーサ部材230の「レッグ」または保持部233および234を収容する1つまたは複数の内側開口265を備える、任意の内側段264が確認できる。
【0040】
図2E図2F、および図2Gは、位置合わせピン210がその延出位置にある状態の位置合わせ装置の異なる図を示す。図に見られるように、この形態では、位置合わせピン210は、ピン210の第2のショルダ214と、取付体26の付勢部材262および263との間の締まり嵌め(重なり部分で示す)によって、その延出位置に付勢されている。さらに、ピン210がこの位置に付勢されているとき、スペーサ部材230は、位置合わせピン210に対して図2Cの後退位置に実質的に固定されている。これは、スペーサ部材230の保持部233,234が、位置合わせピンの第1のショルダ213と、スペーサ部材230の1つまたは複数の保持部の半径方向外向き突出部237および/または238の一方または両方と係合することができる取付体260の半径方向内向き突出面267との間で、実質的に固定的に圧縮されているからである。
【0041】
特に図2Fから理解されるように、位置合わせピン210が、図2Fに示す延出位置にあろうと、または位置合わせピンのショルダ214および213が付勢部材262および263より下にある状態の後退位置にあろうと、スペーサ部材230の(1つまたは複数の)保持部の内向き突出部235および/または236は、位置合わせピン210が取付体260から矢印Dの方向に出るのを防止するために設けることができる。さらに、スペーサ部材230の1つまたは複数の保持部233,234の外向き突出部237および238の一方または両方は、スペーサ部材および位置合わせピン210の一方または両方が取付体260から図2Fの矢印Eの方向に出るのを防止するために設けることができる。
【0042】
この組立体は、位置合わせピン210を、取付体260の付勢部材262および263によって、図2E図2Gのその延出位置に付勢し、保持および配置することを可能にする。理解されるように、位置合わせピン210および/またはスペーサ部材230に、図2Gの矢印Dの方向に、すなわち位置合わせピン210の第2の端部212に向かう方向に、十分な力が加えられると、その場合には付勢部材262および263の付勢力に打ち勝つことができ、位置合わせピン210は、ショルダ214が付勢部材262および263より下にある位置に移動することになる。これは、位置合わせピン210の後退位置と考えることができる。位置合わせピン210は一般に、第2の端部212が取付体260の下端268と整列する位置を通り過ぎるのを防止されることになる。これは、位置合わせピン210が、第2の端部268、すなわちダイボード1の面と整列した面に載置されることによって達成されてもよい。あるいは、これは、図3A図3Hに関して示すように、取付体260の内面上に適当なリップまたは突出部を設けて、矢印Dの方向への位置合わせピン210の移動を制限することによって達成されてもよい。位置合わせピンのこの位置は、位置合わせピン210の第1の端部211を取付体260の上部から盛り上がらせることになり、図2Bおよび図2Cに示すように、スペーサ部材230は、面239が位置合わせピン210の第1の端部211に向かって付勢された、図2Bに示す前進位置に付勢されることになる。
【0043】
次に、図1A図1Dに示したプロセスに照らして、位置合わせピン210およびスペーサ部材230のこれらの延出位置および後退位置を説明することができる。
【0044】
図1Aに示した工程について、取付体260をダイボード1に取り付け、設定ツール280を使用して、ピン210およびスペーサ部材230を、図2E図2Gに示す延出位置に引き出すことができる。
【0045】
図1Bの工程では、カウンタプレート3をダイボードに取り付け、位置合わせの目的でダイボードに設けられた1つまたは複数の位置合わせピン210の1つまたは複数の第1の端部211上に位置合わせすることができる。スペーサ部材230は、位置合わせピン210の第1の端部211に対して固定した関係で保持されており、ダイプレートから適当な間隔をあけてカウンタプレートを保持し、一方、位置合わせピン210は位置合わせ機能を提供する。図1Cに示した工程では、カウンタプレートボード4およびダイボード1を、図1Cに示したように矢印AおよびBの方向に衝合させる。カウンタプレート3がカウンタプレートボード4と接触すると、スペーサ部材230は、カウンタプレート3へのカウンタプレートボードの圧縮力が取付体の付勢部材262および263の付勢力に打ち勝つ時点まで、そのカウンタプレート対向面239を介して圧縮力を与えることになる。この動作により、圧縮力は、図2Gの矢印Dの方向へのカウンタプレートボードの力がそれに打ち勝つ時点まで、スペーサ部材230によって加えられることになる。その時点後、位置合わせピン210はその後退位置に押し戻されることになり、図2Bの前進位置に向かう付勢力は依然として有効であって、カウンタプレート3をカウンタプレートボード4に付勢する付加的な弾性力を与えることになる。
【0046】
このプロセスが完了すれば、ここで位置合わせピン210は取付体260内に後退する。その場合、ピン210はスペーサ部材230から突出しているが、ブレード12,13に対してほぼ面一に位置し、または、特に断りがない場合、ピンの第1の端部211は、ブレード12,13の外側エッジとダイボード1の面との間にとどまる。スペーサ部材230はそれによって、そこからピン210が突出した状態で、ダイ内で打ち抜かれるシートが当接する面を提供することができる。しかし、位置合わせピンは、製造作業中は切断および折り目付けされるシートから完全に離れているのに十分なほどダイボード内で低く位置してもよい。したがって、図1A図1Dに例示および記載した従来技術のプロセスでは除去しなければならなかった、1つまたは複数の位置合わせピン210も、どんな弾性スペーサ部材11も除去する必要なしに、製造作業を続行することができる。
【0047】
さらに、新たなカウンタプレートを使用して新たなダイに位置合わせするために、プロセスを再構築する必要がある場合、本システムにおける位置合わせ装置は、単に設定ツー
ル280でリセットすることができ、図1A図1Dに記載した従来技術のプロセスにおいてそうであったはずのように、どんなピン10も、どんな弾性スペーサ11も再設置する必要はない。
【0048】
図3A図3Fは、位置合わせ装置の代替実施形態300を示す。装置300の構成および機能は、図2A図2Gに示した実施形態に多くの点で等しい。たとえば、位置合わせピンの端部311は、図2A図2Gの位置合わせピンの端部211と同じように、その延出位置と後退位置との間を移動することができる。位置合わせピン310とスペーサ部材330との間の付勢移動を引き起こすための、スペーサ部材330と位置合わせピン310との係合は、図2Bおよび図2Cに関して説明したものに等しく、一般的な意味では、本装置は、図2A図2Gの先の実施形態に関して説明したのと同じように、図1A図1Dに示したプロセスに組み込むことができる。図3A図3Fの同等の機構には、図示された2A〜2Fと同一の符号を付すが、最初の数字を2ではなく3とする。
【0049】
図3A図3Fの実施形態と図2A図2Gとの間の主な違いは、位置合わせピン310の第1の端部311に向けて1つまたは複数のツール係合凹部317および318を設けること、スペーサ部材330の(1つまたは複数の)保持部上の1つまたは複数の対応する係合突出部351および352との、取付体360上の1つまたは複数の2次係合部371,372を設けること、取付体360の内腔の内側のさらなる保持突出部370、ならびに異なる形態の設定ツール380を含め、多数の部分にある。以下、これらの機構をより詳細に説明し、一方、他の機構は、図2A図2Gに関して説明したものに等しいと考えることができる。
【0050】
図3Aおよび図3Eに示すように、1つまたは複数のツール係合凹部317,318は、位置合わせピン310の第1の端部311に向けて設けられている。この1つまたは複数の凹部は、位置合わせピン310の第2の端部312の方に向いた少なくとも1つの実質的に半径方向に突出した面を備える。この面は、設定ツール380の1つまたは複数の突出部381および/または382が、図3Eの矢印Eで示すように、位置合わせピン310を取付体から離れるように長手方向に引き出すために、この面と係合することを可能にする。これは、設定ツール380の牽引力を位置合わせピン310に直接的に与えることを可能にし、これにより、図2A図2Gの実施形態のスペーサ部材230を介してピンを引き出すときにスペーサ部材330に誘起される応力を回避することができる。これは、スペーサ部材330をより少ない材料から製作し、より効率的な構造とすることを可能にすることができる。これはさらに、設定作業中に、位置合わせピン310をスペーサ部材330よりも高い位置まで引き出すことを可能にする。
【0051】
スペーサ部材330には、半径方向内向きに対向する凹部341および342も設けることができる。これらは、設定ツール380の1つまたは複数の先端部381および382が、位置合わせピンの第1の端部311の周りを通って、ツール係合凹部317および/または318に入るのに十分なスペースを与えることができる。これらの凹部341および341は任意であるが、これらがない場合、スペーサ部材330の内腔はさもなければ、係合凹部317/318への設定ツール380の関連部の通過を可能にするのに十分なスペースを、位置合わせピン310とスペーサ部材330の開口の内径との間に与えなければならないことになる。
【0052】
図3A図3Fに示す実施形態に含まれてもよいさらなる任意の機構は、取付体360に設けられた追加の2次係合部371および372である。1つまたは複数のこうした機構は、位置合わせピン310が取付体360内のその延出位置にあるときにスペーサ部材330をその延出位置に保持する、付加的な保持力を与えるために設け得る。これは、たとえば、図3Dおよび図3Eに見ることができる。具体的には、2次係合部371はスペーサ部材の係合突出部351の下に引っかかっており、したがって、位置合わせピン311およびスペーサ部材330をそれらの後退位置に後退させるためには、係合部材371を半径方向外向きに付勢して、突出部351が矢印Dの方向に下行することを可能にすることが必要である。同様に、スペーサ部材330のさらなる保持部334上の、さらなる2次係合部材372に接触する突出部352を介して、同じ効果を与えることができる。したがって、取付体360とのスペーサ部材330の直接係合を実施して、位置合わせピン310およびスペーサ部材330をそれらのそれぞれの延出位置に保持することができる。
【0053】
したがって、図3A図3Fに示す実施形態では、スペーサ部材330および位置合わせピン310をそれらの延出位置からそれらの後退位置に移動させるのに必要な力を増加させることができる。これは、図1Cに示した工程でカウンタプレートをカウンタプレートボードに押圧するための、スペーサ部材330によって与えられる付勢力を増加させるのを助けることができる。理解されるように、係合部材371,372および突出部351,352のサイズおよび強度を変更して、スペーサ部材330および位置合わせピン310を取付体360内に後退させるためにスペーサ部材330に加える必要がある力全体を変更することができる。
【0054】
図3Eおよび図3Fに見られるように、取付体360内には、任意の半径方向内向き突出部370を設けることができる。これは、位置合わせピン310を取付体360内に保持する助けとなるように、位置合わせピン310の第2のショルダ314と係合するように配置されることが好ましい。これは、取付体360からの矢印Dの方向へのピン310の通過を妨げることによって、ピン310を取付体内の所定の後退位置に保持することができる。これは、図2Fおよび図2Gに関して任意的に説明したように、ピン310の第2の端部312が、いずれかの2次要素のいずれかの面に載置されるのに頼るのではなく、取付体360の機構を介して、予め設定された後退位置を設けるのを助けることができる。これは、位置合わせ装置300の動作の信頼性および反復性を向上させることができる。
【0055】
設定ツール380に目を向けると、図に見られるように、それは、1つまたは複数のア
ーム383および384を備え、アームの1つまたは複数の端部には、半径方向内向きに延びる突出部381および382が設けられている。これらの内向き突出部は一般に、実質的に位置合わせピン310の第2の端部312の方に向いた、ツール係合凹部317および/または318の1つまたは複数の面と係合することができるように、位置合わせピン310の第1の端部311の方に向くように構成された実質的に内向きに延びる面を備える。例示した実施形態では、突出部は、実質的に丸みを帯びて、または実質的に一部球状に形成されている。しかし、どんな実質的に直線的なまたは湾曲した面も設けることができる。1つまたは複数の凹部317,318へのツール380の1つまたは複数の先端の容易な通過の助けとなることができるので、例示した湾曲面を設けることが有利であると言える。2つ以上の実質的に対向した突出部381,382がある、例示した形態では、設定ツール280は、位置合わせピン310への把持力を与えるために、ユーザによって、または自動手段によって「狭持」でき、これが、位置合わせピン310を取付体360から離れるように軸方向に引き出してピンをその延出位置に移動させるために、位置合わせピン310とのツールの正確な係合を確実にする助けとなる。
【0056】
設定ツール380には、スペーサ部材係合部385も設けられている。この部分は、スペーサ部材330を取付体360に圧入するために、スペーサ部材330と係合するように構成されている。これは、たとえば、装置を延出形態にしておくことが不要になった場合や、または、位置合わせピン310およびスペーサ部材330を手作業によって後退位置に配置することが望ましいどんな場合にも、必要であり得る。スペーサ部材係合部385には、圧入時にツールによって与えられるどんな力も、位置合わせピン310ではなくスペーサ部材330に与えられるように、その延出位置にあるときのピンの第1の端部311に一致するように構成された開口または凹部を設けてもよい。
【0057】
図2A図2Gおよび図3A図3Fの実施形態に見られるように、位置合わせピン210,310の第2の端部212,312に隣接して、間隙275,375を設けることができ、というのは、この領域の材料なしに十分な強度および構造を有するピンを生成することが可能であり、したがって、これによってピン210,310の製造に必要な材料の量が減るからである。
【0058】
図3Gは、位置合わせ装置300との係合形態の設定ツール380を示し、先の図から理解されるように、位置合わせ装置を図1Bおよび図1Cに関して説明した工程の準備が整った状態にするために、矢印Fの方向に与えられる牽引力を用いて、位置合わせピン310およびスペーサ部材330をそれらの延出位置に引き出すことができる。
【0059】
図3Hは、設定ツール380をどのように使用すれば、図3Hの矢印Gの方向に力を加えることによって、位置合わせピン310およびスペーサ部材330をそれらの後退位置に圧入することもできるかを示す。スペーサ部材係合部385の少なくとも一部が、スペーサ部材330と係合したときにスペーサ部材330の縁部を越えて延びるように、設定ツール380の本体から離れるように横方向に延びてもよい。これは、設定ツール380が装置300をダイボードにあまりに深く押し込むのを防止するために用いることができる。スペーサ部材係合部385と面一に延びる場合、これは、装置300が、ダイボード1の面にまたはそれより下にほぼ面一に押し込まれるのを防止することができる。したがって、設定ツール380は、この効果を与えるために、フィン386および387などの1つまたは複数の突出部を有するが、様々な形状の突出部がこの機能を提供することができる。上記で説明したように、これを使用して、たとえば、装置300を延出形態に不用意に設定した場合に、または、たとえば、図1A図1Dに示した設置作業中に装置が正しく後退し損なった場合に、位置合わせピンおよびスペーサ部材を後退させることができる。
【0060】
1つまたは複数の好ましい実施形態を参照して、本発明の好適な実施形態を上記実施形態で説明したが、添付の請求項で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更または修正を行ってもよいことを理解されたい。
【符号の説明】
【0061】
200,300 装置(位置合わせ装置、位置合わせ組立体)、
210,310 位置合わせピン、
211,311 位置合わせピンの第1の端部、
212,312 位置合わせピンの第2の端部、
213,313 位置合わせピンの第1のショルダ、
214,314 位置合わせピンの第2のショルダ、
230,330 スペーサ部材、
233,333,234,334 スペーサ部材に設けられた保持部、
235,335,236,336 スペーサ部材に設けられた半径方向内向き突出部、
237,337,238,338 スペーサ部材に設けられた半径方向外向き突出部、
239,339 スペーサ部材の第1の面、 240 スペーサ部材の第2の面、
260,360 取付体、
262,362,263,363 取付体に設けられた付勢部材、
280,380 設定ツール、
281,282 フック、
X 長手方向軸
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H