【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記免疫グロブリンシグナル配列が、配列番号11に対して少なくとも80%同一な核酸配列によってコードされ、コードされたタンパク質が、シグナル配列として機能する、請求項11に記載の単離された核酸分子。
前記CD8膜貫通ドメインおよびヒンジが、配列番号15に対して少なくとも80%同一な核酸配列によってコードされ、コードされたタンパク質が、CD8膜貫通ドメインおよびヒンジとして機能する、請求項7から13のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
前記4−1BBシグナル伝達分子が、配列番号16に対して少なくとも80%同一な核酸配列によってコードされ、コードされたタンパク質が、4−1BBシグナル伝達分子として機能する、請求項7から15のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
前記CD3ゼータシグナル伝達分子が、配列番号17に対して少なくとも80%同一な核酸配列によってコードされ、コードされたタンパク質が、CD3ゼータシグナル伝達分子として機能する、請求項7から17のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
請求項22から24のいずれか一項に記載のベクターの有効量または請求項25から27のいずれか一項に記載のCD3+T細胞および/もしくはナチュラルキラー細胞の治療有効量、ならびに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
CCR4 mRNAを産生する悪性腫瘍を有する対象を処置するための、請求項28に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物の治療有効量が前記対象に投与されることを特徴とする、医薬組成物。
前記悪性腫瘍が、成人T細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、ホジキンリンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項29から32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
CCR4 mRNAを産生する悪性腫瘍を有する対象を処置するための方法における使用のための、キメラ抗原受容体を発現する自家の形質導入された細胞を含む組成物であって、前記方法が、
前記対象由来のCD3+T細胞および/またはナチュラルキラー細胞に、請求項22から24のいずれか一項に記載の発現ベクターを形質導入して、前記キメラ抗原受容体を発現する自家の形質導入された細胞を産生するステップ;ならびに
前記組成物の治療有効量を前記対象に投与し、それによって、前記対象においてCCR4 mRNAを産生する前記悪性腫瘍を処置するステップ
を含む、組成物。
前記悪性腫瘍が、成人T細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、ホジキンリンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項36に記載の組成物。
前記悪性腫瘍が、成人T細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、ホジキンリンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項43に記載の医薬組成物。
前記成人T細胞白血病が、慢性成人T細胞白血病、急性成人T細胞白血病、くすぶり型T細胞白血病またはリンパ腫型T細胞白血病である、請求項44に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
配列
核酸配列およびアミノ酸配列は、米国特許施行規則第1.822条において定義されている通り、ヌクレオチド塩基については標準的な文字略号、およびアミノ酸については1文字コードを使用して示される。各核酸配列の一方の鎖のみが示されるが、示される鎖への任意の言及によって相補鎖が含まれると理解される。配列表は、2017年9月19日に作成された18.2KBのASCIIテキストファイルとして提出され、参照により本明細書に組み込まれる。添付の配列表において:
【0021】
配列番号1は、ヒト化親和性成熟mAb1567のV
Hのアミノ酸配列である。
【0022】
配列番号2は、ヒト化親和性成熟mAb1567のV
Lのアミノ酸配列である。
【0023】
配列番号3は、リンカーのアミノ酸配列である。
【0024】
配列番号4〜5は、シグナル配列のアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号6は、スペーサーとして使用され得る免疫グロブリンドメインのアミノ酸配列である。
配列番号7は、CD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列である。
【0026】
配列番号8は、4−1BBシグナル伝達ドメインのアミノ酸配列である。
【0027】
配列番号9は、CD3ゼータドメインのアミノ酸配列である。
【0028】
配列番号10は、例示的なCARのアミノ酸配列である。
【0029】
配列番号11は、シグナル配列をコードする核酸配列である。
【0030】
配列番号12は、ヒト化親和性成熟mAb1567のV
Lをコードする核酸配列である。
【0031】
配列番号13は、ヒト化親和性成熟mAb1567のV
Hをコードする核酸配列である。
【0032】
配列番号14は、リンカーをコードする核酸配列である。
【0033】
配列番号15は、CD8ヒンジおよび膜貫通ドメインをコードする核酸配列である。
【0034】
配列番号16は、4−1BBシグナル伝達分子をコードする核酸配列である。
【0035】
配列番号17は、CD3ゼータドメインをコードする核酸配列である。
【0036】
配列番号18は、CARをコードする核酸配列である。
【0037】
配列番号19は、例示的なCD28膜貫通ドメインである。
【0038】
いくつかの実施形態の詳細な説明
抗CCR4抗体に由来するヒト化可変重(VH)鎖およびカッパ軽(VL)鎖部分を使用するCCR4を標的化するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように自家T細胞を遺伝子操作するために、遺伝子移入系を産生および使用した。CARを、いくつかの悪性腫瘍、具体的にはリンパ系悪性腫瘍の細胞を標的化することが報告されたT細胞中に導入した。CCR4標的化CARによってex vivo改変されたドナーT細胞は、抗原特異的様式で、CCR4を発現する患者由来腫瘍細胞株を効率的に溶解させることが示され、in vivo有効性が、成人T細胞白血病のモデルにおいて実証された。
【0039】
用語
特記しない限り、技術用語は、従来の用法に従って使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes X、Jones & Bartlett Publishersによる出版、2009年;およびMeyersら(編)、The Encyclopedia of Cell Biology and Molecular Medicine、Wiley-VCHによる出版、全16巻、2008年;ならびに他の類似の参考文献において見出され得る。
【0040】
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」とは、文脈が明らかに他を示さない限り、単数形ならびに複数形の両方を指す。例えば、用語「1つの(an)抗原」は、単数または複数の抗原を含み、語句「少なくとも1つの抗原」と等価とみなされ得る。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」は「含む(includes)」を意味する。核酸またはポリペプチドについて与えられる任意のおよび全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、ならびに全ての分子量または分子質量値はおおよそであり、特記しない限り、説明目的のために提供されていることをさらに理解すべきである。本明細書に記載される方法および材料と類似または等価な多くの方法および材料が使用され得るが、特定の適切な方法および材料が本明細書に記載される。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法および例は例示にすぎず、限定とは解釈されない。種々の実施形態の検討を促進するために、以下の用語の説明が提供される:
【0041】
投与:選択された経路による対象中への組成物の導入。投与は、局所的または全身的であり得る。例えば、選択された経路が静脈内である場合、組成物は、対象の静脈中に組成物を導入することによって投与される。投与の例示的な経路には、経口、注射(例えば、皮下、筋肉内、真皮内、腹腔内および静脈内)、舌下、直腸、経皮(例えば、外用)、鼻腔内、腟および吸入経路が含まれるがこれらに限定されない。
【0042】
成人T細胞白血病(ATL):ATLは通常、拡散パターンおよび成熟T細胞表現型を除いて特徴的な組織学的外観を有さない、非常に悪性度が高い非ホジキンリンパ腫である。変則的な核の輪郭を有する循環リンパ球(白血病性細胞)が頻繁に見られる。いくつかの系統の証拠は、HTLV−1がATLを引き起こすことを示唆している。ATLには、内臓合併症、高カルシウム血症、皮膚病変および溶解性骨病変が頻繁に付随する。特色の1つは、骨病変が、関連する造骨活性をほとんど有さず、優勢に溶骨性であることである。ATLの4つの形態、慢性、急性、くすぶり型およびリンパ腫型が存在する。
【0043】
アミノ酸置換:ペプチド中の1つのアミノ酸の、異なるアミノ酸による置き換え。
【0044】
未分化大細胞型リンパ腫:異常なT細胞が関与する非ホジキンリンパ腫の型。4つのサブタイプが存在し、それらは全て、CD30およびT細胞マーカーを発現する大きい多形性細胞の存在を含む。2つの型のALCLが全身性疾患として現れ、悪性度が高いリンパ腫とみなされるが、2つの型は限局性の疾患として現れ、局所的に進行し得る。皮膚ALCLは、持続し得るまたは時折自発的に退行し一般に再発し得る潰瘍として皮膚中に現れる腫瘍である。この型のALCLは通常、身体の異なる領域において顕在化し、ALCLが腕に現れる場合には、所属リンパ節、即ち、腋窩リンパ節に拡大し得る。
【0045】
抗体:IL−7Rαなどの分析物(抗原)を特異的に結合および認識する、免疫グロブリン、抗原結合性断片、またはそれらの誘導体。用語「抗体」は、最も広い意味で本明細書で使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片が含まれるがこれらに限定されない種々の抗体構造を包含する。
【0046】
抗体の非限定的な例には、例えば、インタクトな免疫グロブリン、ならびに抗原に対する結合親和性を保持する当該分野で公知のそのバリアントおよび断片が含まれる。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)
2;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多特異性抗体が含まれるがこれらに限定されない。抗体断片には、抗体全体の改変によって産生されるまたは組換えDNA方法論を使用してde novoで合成される抗原結合性断片が含まれる(例えば、KontermannおよびDubel(編)、Antibody Engineering、第1〜2巻、第2版、Springer Press、2010年を参照のこと)。
【0047】
単鎖抗体(scFv)は、適切なポリペプチドリンカーによって遺伝的に融合された単鎖分子として連結された1つまたは複数の抗体のV
HおよびV
Lドメインを含有する遺伝子操作された分子である(例えば、Birdら、Science、242巻:423〜426頁、1988年;Hustonら、Proc. Natl. Acad. Sci.、85巻:5879〜5883頁、1988年;Ahmadら、Clin. Dev. Immunol.、2012年、doi:10.1155/2012/980250;Marbry、IDrugs、13巻:543〜549頁、2010年を参照のこと)。scFv中のV
HドメインおよびV
Lドメインの分子内配向は、典型的には、scFvにとって決定的ではない。したがって、両方の可能な配置(V
Hドメイン−リンカードメイン−V
Lドメイン;V
Lドメイン−リンカードメイン−V
Hドメイン)を有するscFvが使用され得る。
【0048】
dsFvでは、V
HおよびV
Lは、鎖の会合を安定化するためにジスルフィド結合を導入するように変異されている。V
HおよびV
Lドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用し、それによって、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を創出する、二価の二重特異性抗体であるダイアボディもまた含まれる(例えば、Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci.、90巻:6444〜6448頁、1993年;Poljakら、Structure、2巻:1121〜1123頁、1994年を参照のこと)。
【0049】
抗体には、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)およびヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体)などの遺伝子操作された形態もまた含まれる。Pierce Catalog and Handbook、1994年〜1995年(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL);Kuby, J.、Immunology、第3版、W.H. Freeman & Co.、New York、1997年もまた参照のこと。
【0050】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいてその抗原に対する参照抗体の結合を50%またはそれよりも大きく遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいてその抗原に対するこの抗体の結合を50%またはそれよりも大きく遮断する。抗体競合アッセイは公知であり、例示的な競合アッセイが本明細書で提供される。
【0051】
抗体は、1つまたは複数の結合部位を有し得る。1つよりも多い結合部位が存在する場合、結合部位は、互いに同一であっても異なってもよい。例えば、天然に存在する免疫グロブリンは、2つの同一の結合部位を有し、単鎖抗体またはFab断片は、1つの結合部位を有するが、二重特異性または二重機能性抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
【0052】
典型的には、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続された重鎖および軽鎖を有する。免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子を含む。2つの型の軽鎖ラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(即ち、アイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEが存在する。
【0053】
各重鎖および軽鎖は、1つの定常領域(即ち、定常ドメイン)および1つの可変領域(即ち、可変ドメイン;例えば、Kindtら、Kuby Immunology、第6版、W.H. Freeman and Co.、91頁(2007年)を参照のこと)を含有する。いくつかの実施形態では、V
HおよびV
Lは、組み合わさって、抗原に特異的に結合する。さらなる実施形態では、V
Hのみが必要とされる。例えば、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ科動物抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安定である(例えば、Hamers-Castermanら、Nature、363巻:446〜448頁、1993年;Sheriffら、Nat. Struct. Biol.、3巻:733〜736頁、1996年を参照のこと)。「V
H」または「VH」に対する言及は、抗原結合性断片、例えば、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、抗体重鎖の可変領域を指す。「V
L」または「VL」に対する言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む、抗体軽鎖の可変ドメインを指す。
【0054】
V
HおよびV
Lは、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域に割り込まれた「フレームワーク」領域を含有する(例えば、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Department of Health and Human Services、1991年を参照のこと)。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成要素である軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、三次元空間でCDRを位置付けアラインさせるように機能する。
【0055】
CDRは、抗原のエピトープへの結合を主に担う。所与のCDRのアミノ酸配列境界は、Kabatら(「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991年;「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikaniら(JMB 273巻、927〜948頁、1997年;「Chothia」番号付けスキーム)およびLefrancら(「IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains」、Dev. Comp. Immunol.、27巻:55〜77頁、2003年;「IMGT」番号付けスキーム)によって記載されたものを含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定され得る。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2およびCDR3(N末端からC末端へ)と呼ばれ、典型的には、特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。したがって、V
H CDR3は、それが見出される抗体のV
H由来のCDR3であり、V
L CDR1は、それが見出される抗体のV
L由来のCDR1である。軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3と呼ばれる場合がある。重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3と呼ばれる場合がある。
【0056】
「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体である、即ち、集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然に存在する変異を含有するまたはモノクローナル抗体調製物の産生の間に生じる可能なバリアント抗体を除いて、同一であるおよび/または同じエピトープに結合し、かかるバリアントは一般に、微量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する抗体である。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるとして抗体の特徴を示すのであって、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈すべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法、組換えDNA方法、ファージディスプレイ方法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法が含まれるがこれらに限定されない種々の技術によって作製され得、かかる方法およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。一部の例では、モノクローナル抗体は、対象から単離される。モノクローナル抗体は、抗原結合または他の免疫グロブリン機能に対して実質的に影響を有さない保存的アミノ酸置換を有し得る(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Publications、New York(2013年)を参照のこと)。
【0057】
「ヒト化」抗体または抗原結合性断片は、ヒトフレームワーク領域、および非ヒト(例えば、マウス、ラットまたは合成)抗体または抗原結合性断片由来の1つまたは複数のCDRを含む。CDRを提供する非ヒト抗体または抗原結合性断片は、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト抗体または抗原結合性断片は、「アクセプター」と呼ばれる。一実施形態では、ヒト化免疫グロブリン中の全てのCDRが、ドナー免疫グロブリン由来である。定常領域は存在しなくてもよいが、存在する場合には、これらは、ヒト免疫グロブリン定常領域に対して実質的に同一、例えば、少なくとも約85〜90%、例えば、約95%またはそれよりも高く同一であり得る。したがって、ヒト化抗体または抗原結合性断片の全ての部分は、おそらくはCDRを除いて、天然ヒト抗体配列の対応する部分に対して実質的に同一である。
【0058】
「キメラ抗体」は、2つの異なる抗体に由来する、典型的には異なる種のものである配列を含む抗体である。一部の例では、キメラ抗体は、1つのヒト抗体由来の1つまたは複数のCDRおよび/またはフレームワーク領域、ならびに別のヒト抗体由来のCDRおよび/またはフレームワーク領域を含む。他の実施形態では、キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体(例えば、4A10または2B8抗体)のVHおよびVL領域、ならびにヒトIgG1領域などのヒト定常領域を含み得る。
【0059】
「完全ヒト抗体」または「ヒト抗体」は、ヒトゲノム由来の(またはそれに由来する)配列を含み、別の種由来の配列を含まない抗体である。一部の実施形態では、ヒト抗体は、ヒトゲノム由来の(またはそれに由来する)CDR、フレームワーク領域および(存在する場合には)Fc領域を含む。ヒト抗体は、例えば、ファージディスプレイによってまたはトランスジェニック動物を使用して、ヒトゲノムに由来する配列に基づいて抗体を創出するためのテクノロジーを使用して、同定および単離され得る(例えば、Barbasら、Phage display: A Laboratory Manuel.第1版、New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、2004年出版;Lonberg、Nat. Biotech.、23巻:1117〜1125頁、2005年;Lonenberg、Curr. Opin. Immunol.、20巻:450〜459頁、2008年を参照のこと)。
【0060】
生物学的試料:対象から得られる試料。生物学的試料には、対象における疾患(例えば、リンパ系悪性腫瘍)の検出に有用な全ての臨床的試料が含まれ、細胞、組織および体液、例えば、血液、血液の誘導体および画分(例えば、血清)、脳脊髄液;ならびに生検されたまたは外科的に取り出された組織、例えば、未固定の、凍結された、またはホルマリンもしくはパラフィン中で固定された組織が含まれるがこれらに限定されない。特定の例では、生物学的試料は、リンパ系悪性腫瘍を有するまたは有すると疑われる対象から得られる。
【0061】
CC−ケモカイン受容体型4(CCR4):CD194としても公知であり、CCR4は、CC−ケモカイン受容体の1つである。ヒトCCR4の例示的なmRNA核酸配列およびコードされるタンパク質配列は、参照により本明細書に組み込まれる、GENBANK(登録商標)受託番号NM_005508、2016年3月18日である。マウスCCR4の例示的なmRNA核酸配列およびコードされるタンパク質配列は、参照により本明細書に組み込まれる、GENBANK(登録商標)受託番号NM_009916、2015年7月19日である。
【0062】
CD3(表面抗原分類3 T細胞共受容体):T細胞の表面上のT細胞受容体と非共有結合的に会合する、少なくとも4つのポリペプチド鎖を含む特異的タンパク質複合体。4つのポリペプチド鎖には、2つのCD3−イプシロン鎖、1つのCD3−デルタ鎖および1つのCD3−ガンマ鎖が含まれる。CD3は、ヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞の両方上に存在する。
【0063】
化学療法剤:異常な細胞成長によって特徴付けられる疾患の処置において治療的有用性を有する任意の化学的薬剤。例えば、化学療法剤は、T−ALLまたはB−ALLなどのがんの処置のために有用であり得る。使用され得る化学療法剤の特定の例には、微小管結合剤、DNAインターカレーターまたはクロスリンカー、DNA合成阻害剤、DNAおよびRNA転写阻害剤、抗体、酵素、酵素阻害剤、遺伝子調節因子、ならびに血管形成阻害剤が含まれる。一実施形態では、化学療法剤は、放射活性化合物である。当業者は、使用される化学療法剤を容易に同定できる(例えば、SlapakおよびKufe、Principles of Cancer Therapy、第86章、Harrison's Principles of Internal Medicine、第14版;Perryら、Chemotherapy、第17章、Abeloff、Clinical Oncology 第2版、(著作権)2000年、Churchill Livingstone, Inc;Baltzer, L.、Berkery, R.(編):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy、第2版、St. Louis、Mosby-Year Book、1995年;Fischer, D.S.、Knobf, M.F.、Durivage, H.J.(編):The Cancer Chemotherapy Handbook、第4版、St. Louis、Mosby-Year Book、1993年;ChabnerおよびLongo、Cancer Chemotherapy and Biotherapy: Principles and Practice(第4版)、Philadelphia:Lippincott Willians & Wilkins、2005年;Skeel、Handbook of Cancer Chemotherapy(第6版)、Lippincott Williams & Wilkins、2003年を参照のこと)。組合せ化学療法は、がんを処置するための1種よりも多い薬剤の投与である。
【0064】
キメラ抗原受容体(CAR):T細胞受容体の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインに連結された細胞外抗体由来標的化ドメイン(例えば、scFv)を有する操作されたT細胞受容体。「キメラ抗原受容体T細胞」は、CARを発現するT細胞であり、CARの抗体由来標的化ドメインによって決定される抗原特異性を有する。CARを作製する方法は利用可能である(例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Parkら、Trends Biotechnol.、29巻:550〜557頁、2011年;Gruppら、N Engl J Med.、368巻:1509〜1518頁、2013年;Hanら、J. Hematol Oncol.、6巻:47頁、2013年;PCT公開第WO2012/079000号、同第WO2013/059593号;および米国公開第2012/0213783号を参照のこと)。
【0065】
コドン最適化された:タンパク質をコードする核酸分子は、アミノ酸配列と共に、特定のアミノ酸をコードする可能性が最も高いコドンを含めることによって、特定の生物におけるタンパク質の発現のためにコドン最適化され得る。コドン用法バイアスは、コードDNA中の同義のコドン(同じアミノ酸をコードする)の存在の頻度における差異である。コドンは、ポリペプチド鎖中の特定のアミノ酸残基をコードする、または翻訳の終結のための、一連の3ヌクレオチド(三つ組)である。20の異なる天然に存在するアミノ酸が存在するが、64の異なるコドン(アミノ酸をコードする61のコドン+3つの終止コドン)が存在する。したがって、1つのアミノ酸が1つよりも多いコドンによってコードされ得るので、縮重が存在する。核酸配列は、特定の生物(例えば、ヒト)におけるコドン用法バイアスを評価し、特定のアミノ酸をコードする可能性が最も高いコドンを選択することによって、その生物における発現のために最適化され得る。多変量の統計的方法、例えば、対応分析および主成分分析が、コドン用法におけるバリエーションを分析するために広く使用される。Codon W、GCUAおよびINCAなどのコンピュータープログラムが、コドン用法に関する統計的分析を実行するために利用可能である。
【0066】
免疫複合体を形成するのに十分な条件:実質的に全ての他のエピトープへの結合よりも検出可能により高い程度まで、および/または実質的に全ての他のエピトープへの結合の実質的な排除まで、抗体またはその抗原結合性断片がその同族エピトープに結合するのを可能にする条件。免疫複合体を形成するのに十分な条件は、結合反応の形式に依存し、典型的には、イムノアッセイプロトコールで利用される条件、またはin vivoで遭遇する条件である。イムノアッセイ形式および条件の説明については、HarlowおよびLane(Antibodies, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Publications、New York、2013年)を参照のこと。方法で使用される条件は、生きた哺乳動物または哺乳動物細胞の内側で典型的な条件(例えば、温度、モル浸透圧濃度、pH)への言及を含む「生理的条件」である。一部の臓器が極端な条件に供されることは認識されるが、生物内および細胞内環境は通常、およそpH7(例えば、pH6.0〜pH8.0、より典型的にはpH6.5〜7.5)であり、優勢な溶媒として水を含有し、0℃よりも上で50℃よりも下の温度で存在する。モル浸透圧濃度は、細胞の生存度および増殖を支持する範囲内である。
【0067】
免疫複合体の形成は、当業者に公知の従来の方法、例えば、免疫組織化学、免疫沈降、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査、ELISA、イムノブロッティング(例えば、ウエスタンブロット)、磁気共鳴画像化、CTスキャン、X線およびアフィニティークロマトグラフィーを介して検出され得る。選択された抗体の免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を使用して定量化され得る。
【0068】
保存的バリアント:「保存的」アミノ酸置換は、タンパク質の機能、例えば、タンパク質が標的タンパク質と相互作用する能力に実質的に影響を与えることもそれを減少させることもない置換である。例えば、IL−7Rα特異的抗体は、参照抗体配列と比較して最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9つ、または最大で10の保存的置換を含み得、IL−7Rαに対する特異的結合活性を保持し得る。保存的バリエーションという用語は、未置換の親アミノ酸の代わりの、置換されたアミノ酸の使用もまた含む。
【0069】
さらに、当業者は、コードされた配列中の単一のアミノ酸または小さい百分率のアミノ酸(例えば、5%未満、一部の実施形態では1%未満)を変更、付加または欠失させる個々の置換、欠失または付加は、変更が、1つのアミノ酸の、化学的に類似のアミノ酸による置換を生じる場合、保存的バリエーションであることを認識する。
【0070】
機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換表は、当業者に周知である。以下の6つの群は、互いに保存的置換とみなされるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0071】
非保存的置換は、IL−7Rα特異的抗体の活性または機能、例えば、IL−7Rαに特異的に結合する能力を低減させる置換である。例えば、アミノ酸残基がタンパク質の機能にとって必須である場合、他の場合には保存的である置換であっても、その活性を破壊し得る。したがって、保存的置換は、目的のタンパク質の基本的機能を変更させない。
【0072】
接触:in vivoまたはin vitroのいずれかとして起こり得る、固体形態および液体形態の両方を含む、直接的な物理的会合状態にある配置。接触には、1つの分子と別の分子との間の接触、例えば、抗体などの別のポリペプチドと接触する、抗原などの1つのポリペプチドの表面上のアミノ酸が含まれる。接触には、例えば、抗体を細胞との直接的な物理的会合状態に置くことによる、細胞との接触も含まれ得る。
【0073】
対照:参照標準。一部の実施形態では、対照は、陰性対照、例えば、特定の悪性腫瘍を有さない健康な患者から得られた試料である。他の実施形態では、対照は、陽性対照、例えば、悪性腫瘍と診断された患者から得られた組織試料である。なお他の実施形態では、対照は、歴史的対照または標準参照値もしくは値の範囲(例えば、以前に試験された対照試料、例えば、既知の予後もしくは転帰を有する患者の群、またはベースラインもしくは正常値を示す試料の群)である。
【0074】
試験試料と対照との間の差異は、増加または逆に減少であり得る。差異は、質的差異または量的差異、例えば、統計的有意差であり得る。一部の例では、差異は、対照と比較して、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%または少なくとも約500%の増加または減少である。
【0075】
皮膚T細胞リンパ腫:T細胞によって引き起こされる非ホジキンリンパ腫のクラス。悪性T細胞は、最初に皮膚に移動して、種々の病変を出現させる。これらの病変は、疾患の進行に伴って形状を変化させ、典型的には、発疹のように見えるものから始まって、最終的にはプラークおよび腫瘍を形成し、その後、身体の他の部分に転移する。皮膚T細胞リンパ腫には、菌状息肉症、パジェット様細網症、セザリー症候群、肉芽腫様弛緩皮膚、リンパ腫様丘疹症、慢性苔癬状粃糠疹、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、CD30+皮膚T細胞リンパ腫、続発性皮膚CD30+大細胞型リンパ腫、非菌状息肉症CD30−皮膚大細胞型T細胞リンパ腫、多形性T細胞リンパ腫、レンネルトリンパ腫、皮下型T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫および芽球型NK細胞リンパ腫が含まれる。
【0076】
縮重バリアント:本開示に関して、「縮重バリアント」とは、遺伝コードの結果として縮重である配列を含むタンパク質(例えば、CCR4を特異的に認識するCAR)をコードするポリヌクレオチドを指す。20種の天然アミノ酸が存在し、そのほとんどは、1つよりも多いコドンによって特定される。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされるCARのアミノ酸配列が変化しない限り、全ての縮重ヌクレオチド配列が含まれる。
【0077】
検出可能なマーカー:第2の分子の検出を促進するために抗体などの第2の分子に直接的または間接的にコンジュゲートされる検出可能な分子(標識としても公知)。例えば、検出可能なマーカーは、ELISA、分光光度法、フローサイトメトリー、顕微鏡検査または診断的画像化技術(例えば、CTスキャン、MRI、超音波、光ファイバー試験および腹腔鏡下試験)による検出が可能であり得る。検出可能なマーカーの具体的な非限定的な例には、フルオロフォア、化学発光剤、酵素的連結、放射活性同位体および重金属または化合物(例えば、MRIによる検出のための超常磁性酸化鉄ナノ結晶)が含まれる。一例では、「標識された抗体」とは、抗体における別の分子の取り込みを指す。例えば、標識は、検出可能なマーカー、例えば、放射能標識されたアミノ酸の取り込み、またはマークされたアビジン(例えば、光学的または比色的方法によって検出され得る蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分の、ポリペプチドへの結合である。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法は、当該分野で公知であり、使用され得る。ポリペプチドのための標識の例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:放射性同位体もしくは放射性核種(例えば、
35Sまたは
131I)、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、または磁性薬剤、例えばガドリニウムキレート。一部の実施形態では、標識には、潜在的な立体障害を低減させるために、種々の長さのスペーサーアームが結合される。検出可能なマーカーを使用するための方法、および種々の目的のために適切な検出可能なマーカーの選択におけるガイダンスは、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012年)およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、補遺104まで、2013年)で議論されている。
【0078】
検出:何かの存在(existence)、存在(presence)または事実、例えば、リンパ系悪性腫瘍などの悪性腫瘍、またはHIV感染の存在を同定すること。検出の一般的な方法は、当業者に公知であり、これには、本明細書で開示されるプロトコールおよび試薬が追加され得る。
【0079】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:成人における非ホジキンリンパ腫の最も一般的な型。この病気の最初の徴候は、典型的には、発熱、体重減少および寝汗と時折関連する、迅速に成長する塊の観察である。細胞形態学の中で、3つの亜型が最も一般的に見られる:中心芽球型、免疫芽球型および未分化。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のほとんどの症例は、乏しい細胞質を伴う中間から大きいサイズのリンパ球の出現を有する、中心芽球型である。各核内に2〜4つの核小体を有する、細密なクロマチンを含有する卵形または円形の核が顕著に目に見える。時折、腫瘍は、中心芽球からほぼ完全に構成される単形性であり得る。しかし、ほとんどの症例は、中心芽球型細胞および免疫芽球型細胞の混合物を伴う多形性である。免疫芽細胞は、顕著な好塩基球性細胞質および中心核小体を有する。腫瘍は、その細胞の90%よりも多くが免疫芽細胞である場合、免疫芽球型と分類され得る。未分化リンパ腫は、それらの正常なB細胞対応物とは非常に異なる外観の腫瘍細胞からなる。細胞は一般に、円形、卵形または多角形の形状および多形性核を伴って非常に大きく、リード・シュテルンベルグ細胞と類似し得る。
【0080】
薬物:対象における疾患または状態を処置、寛解または予防するために使用される任意の化合物。本明細書の一部の実施形態では、薬物は化学療法剤である。
【0081】
エピトープ:抗原決定基。これらは、抗原性である、即ち、特異的免疫応答を惹起する、分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体は、ポリペプチド上の特定の抗原性エピトープに特異的に結合する。一部の例では、開示された抗体は、CCR4上のエピトープに特異的に結合する。
【0082】
発現:核酸配列の転写または翻訳。例えば、遺伝子は、そのDNAが、一部の例ではプロセシングされてmRNAになるRNAまたはRNA断片へと転写される場合、発現され得る。遺伝子は、そのmRNAがアミノ酸配列、例えば、タンパク質またはタンパク質断片へと翻訳される場合にも、発現され得る。特定の例では、異種遺伝子は、それがRNAへと転写される場合、発現される。別の例では、異種遺伝子は、そのRNAがアミノ酸配列へと翻訳される場合、発現される。発現の調節には、転写、翻訳、RNAの輸送およびプロセシング、mRNAなどの中間分子の分解に対する制御、または産生された後の特定のタンパク質分子の活性化、不活性化、区画化もしくは分解を介した制御が含まれ得る。
【0083】
発現制御配列:動作可能に連結した異種核酸配列の発現を調節する核酸配列。発現制御配列は、発現制御配列が核酸配列の転写を制御および調節し、必要に応じて核酸配列の翻訳を制御および調節する場合、その核酸配列に動作可能に連結している。したがって、発現制御配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(ATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能にするためのその遺伝子の正確なリーディングフレームの維持、および終止コドンが含まれ得る。用語「制御配列」は、最低でも、その存在が発現に影響し得る構成成分を含むことが意図され、その存在が有利であるさらなる構成成分、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列もまた含み得る。発現制御配列には、プロモーターが含まれ得る。
【0084】
プロモーターは、転写を指示するのに十分な最小配列である。プロモーター依存的遺伝子発現を、細胞型特異的、組織特異的、または外部シグナルもしくは薬剤によって誘導性なように制御可能なものにするのに十分であるプロモーターエレメントもまた含まれる;かかるエレメントは、遺伝子の5’または3’領域中に位置し得る。構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitterら、Methods in Enzymology 153巻:516〜544頁、1987年を参照のこと)。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター、例えば、バクテリオファージラムダのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)などが使用され得る。一実施形態では、哺乳動物細胞系においてクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、レトロウイルス長鎖末端反復配列;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が使用され得る。組換えDNAまたは合成技術によって産生されるプロモーターもまた、核酸配列の転写を提供するために使用され得る。
【0085】
ポリヌクレオチドは、宿主の挿入された遺伝子配列の効率的な転写を促進する、プロモーター配列を含有する発現ベクター中に挿入され得る。発現ベクターは、典型的には、複製起点、プロモーター、ならびに形質転換された細胞の表現型選択を可能にする特定の核酸配列を含有する。
【0086】
発現ベクター:発現されるヌクレオチド配列に動作可能に連結した発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクター。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用性エレメントを含む;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、またはin vitro発現系中で供給され得る。発現ベクターには、当該分野で公知のもの全て、例えば、組換えポリヌクレオチドを取り込むコスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド、またはリポソーム中に含有された)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)が含まれる。
【0087】
Fcポリペプチド:第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含むポリペプチド。Fc領域とは、一般に、IgA、IgDおよびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインを指す。Fc領域は、これらのドメインに対してN末端側の可撓性ヒンジの一部または全てもまた含み得る。IgAおよびIgMについて、Fc領域は、尾部を含んでも含まなくてもよく、J鎖によって結合されていてもいなくてもよい。IgGについて、Fc領域は、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCγ2との間のヒンジの下の部分を含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、そのカルボキシル末端に残基C226またはP230を含むと定義され、この番号付けは、Kabatと同様、EUインデックスに従う。IgAについて、Fc領域は、免疫グロブリンドメインCアルファ2およびCアルファ3(Cα2およびCα3)、ならびにCアルファ1(Cα1)とCα2との間のヒンジの下の部分を含む。
【0088】
ホジキンリンパ腫:その約半分がエプスタイン・バーウイルス感染に起因するB細胞リンパ腫の型。2つの主要な型のホジキンリンパ腫が存在する:古典的ホジキンリンパ腫および結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫。診断は、リンパ節中に多核化したリード・シュテルンベルグ細胞(RS細胞)などのホジキン細胞を見出すことによる。古典的ホジキンリンパ腫は、リンパ節生検標本において見られるリード・シュテルンベルグ細胞の形態学および反応性細胞浸潤物の組成(リード・シュテルンベルグ細胞(単数または複数)の周囲の細胞組成)に基づいて、4つの病理的サブタイプ(結節硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型およびリンパ球減少型)に下位分類され得る。結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫はCD20を発現するが、古典的ホジキンリンパ腫はCD20を発現しない。
【0089】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV):HIV感染を引き起こし、時間と共に後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすレンチウイルス。AIDSは、免疫系の進行性の不全が、生命を脅かす日和見感染およびがんを繁栄させる、ヒトにおける状態である。処置しない場合、HIVによる感染後の平均生存時間は、HIVのサブタイプに依存して、9〜11年であると推定される。2つの型のHIVが特徴付けられている:HIV−1およびHIV−2。HIV−1は、最初に発見されたウイルスであり、LAVおよびHTLV−IIIの両方で呼ばれ、より毒性が高くより感染性が高いサブタイプである。HIVは、他のレトロウイルスとは構造が異なる。ウイルス粒子は、大まかに球状であり、約120nmの直径を有する。これは、2,000コピーのウイルスタンパク質p24から構成される円錐体カプシドによって封入されたウイルスの9つの遺伝子をコードする2コピーのプラス鎖一本鎖RNAから構成される。一本鎖RNAは、ヌクレオカプシドタンパク質、p7、ならびにビリオンの発達のために必要な酵素、例えば、逆転写酵素、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼおよびインテグラーゼに緊密に結合される。ウイルスタンパク質p17から構成されるマトリックスは、カプシドを取り囲み、ビリオン粒子の完全性を確実にする。HIVは、種々の免疫細胞、例えば、CD4
+T細胞、マクロファージおよびミクログリア細胞に感染できる。
【0090】
単離された:構成成分が天然に存在する生物の細胞中の他の生物学的構成成分、即ち、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、ならびにタンパク質から実質的に分離された、それらとは別に産生された、またはそれらと別に精製された、生物学的構成成分(例えば、核酸、ペプチド、タンパク質またはタンパク質複合体、例えば抗体)。したがって、単離された核酸、ペプチドおよびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語は、宿主細胞において組換え発現によって調製された核酸、ペプチドおよびタンパク質、ならびに化学合成された核酸もまた包含する。単離された核酸、ペプチドまたはタンパク質、例えば抗体は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%純粋であり得る。
【0091】
リンカー:2つの分子を1つの連続した分子へと連結させるため、例えば、エフェクター分子を抗体に連結させるために使用され得る二重機能性分子。一部の実施形態では、提供されるコンジュゲートは、エフェクター分子または検出可能なマーカーと抗体との間にリンカーを含む。一部の場合には、リンカーは、V
HおよびV
Lを間接的に結合させるように機能する、抗原結合性断片(例えば、Fv断片)内のペプチドである。
【0092】
用語「コンジュゲートする」、「連結させる(joining)」、「結合させる」または「連結させる(linking)」とは、2つの分子を1つの連続した分子にすること;例えば、2つのポリペプチドを1つの連続したポリペプチドへと連結させること、またはエフェクター分子もしくは検出可能なマーカー放射性核種もしくは他の分子を、scFvなどのポリペプチドに共有結合させることを指し得る。具体的な文脈では、これらの用語は、抗体部分などのリガンドをエフェクター分子に連結させることに対する言及を含む。連結は、化学的手段または組換え手段のいずれかにより得る。「化学的手段」とは、抗体部分とエフェクター分子との間で共有結合が形成されて1つの分子を形成するような、これら2つの分子間での反応を指す。
【0093】
リンパ系悪性腫瘍:リンパ腫および白血病。血液学的悪性腫瘍は、2つの主要な血液細胞系譜:骨髄系細胞株およびリンパ系細胞株のいずれかに由来し得る。骨髄系細胞株には、顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージおよび肥満細胞が含まれる;リンパ系細胞株は、B、T、NKおよび形質細胞を生じる。リンパ腫、リンパ性白血病および骨髄腫は、リンパ系系統由来である。
【0094】
ナチュラルキラー(NK)細胞:NK細胞は、大型顆粒リンパ球(LGL)であり、共通のリンパ系前駆体生成性BおよびTリンパ球から分化する、自然リンパ系細胞である。NK細胞は、骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃腺および胸腺において分化および成熟することが公知である。NK細胞は、T細胞抗原受容体(TCR)も汎TマーカーCD3も表面免疫グロブリン(Ig)B細胞受容体も発現しないが、通常、ヒトでは表面マーカーCD16(FcγRIII)およびCD56を発現し、C57BL/6マウスではNK1.1またはNK1.2を発現する。NKp46細胞表面マーカーは、ヒト、いくつかの系統のマウス、およびサル種において発現される。
【0095】
核酸:ホスホジエステル結合、関連する天然に存在する構造的バリアント、およびそれらの合成の天然に存在しないアナログを介して連結されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、関連する天然に存在する構造的バリアント、およびそれらの合成の天然に存在しないアナログ)から構成されるポリマー。したがって、この用語は、ヌクレオチドおよびそれらの間の連結が、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)などであるがこれらに限定されない天然に存在しない合成アナログを含む、ヌクレオチドポリマーを含む。かかるポリヌクレオチドは、例えば自動DNA合成機を使用して合成され得る。用語「オリゴヌクレオチド」とは、典型的には、短いポリヌクレオチド、一般に、約50ヌクレオチド以下のポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(即ち、A、T、G、C)によって示される場合、これは、「U」が「T」を置き換えるRNA配列(即ち、A、U、G、C)もまた含むと理解される。
【0096】
従来の表示法が、ヌクレオチド配列を記述するために本明細書で使用される:一本鎖ヌクレオチド配列の左側末端は5’末端である;二本鎖ヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と呼ばれる。新生RNA転写物へのヌクレオチドの5’から3’の方向での付加は、転写方向と呼ばれる。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は、「コード鎖」と呼ばれる;そのDNAから転写されたmRNAと同じ配列を有し、RNA転写物の5’末端に対して5’側に位置するDNA鎖上の配列は、「上流配列」と呼ばれる;RNAと同じ配列を有し、コードするRNA転写物の3’末端に対して3’側にあるDNA鎖上の配列は、「下流配列」と呼ばれる。
【0097】
「cDNA」とは、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかの、mRNAに対して相補的または同一なDNAを指す。
【0098】
「コードする」とは、規定された配列のヌクレオチド(即ち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または規定された配列のアミノ酸のいずれかを有する、生物学的プロセスにおいて他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として機能するような、ポリヌクレオチド、例えば、遺伝子、cDNAまたはmRNA中のヌクレオチドの具体的配列の固有の特性、ならびにそれらから生じる生物学的特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子によって産生されるmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的系においてタンパク質を産生する場合、タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列に対して同一であり、配列表中に通常提供されるコード鎖、および遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方が、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると言われ得る。特記しない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする、全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含み得る。
【0099】
ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの改変形態であり得る。この用語は、一本鎖形態および二本鎖形態のDNAを含む。
【0100】
作動可能に連結した:第1の核酸配列は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的に関係して配置される場合、第2の核酸配列に作動可能に連結している。例えば、プロモーター、例えばCMVプロモーターは、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合、コード配列に作動可能に連結している。一般に、作動可能に連結したDNA配列は、連続しており、必要に応じて、同じリーディングフレームで2つのタンパク質コード領域を連結する。
【0101】
薬学的に許容される担体:使用される薬学的に許容される担体は、従来のものである。E. W. MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第19版、1995年は、開示された薬剤の薬学的送達に適切な組成物および製剤を記載している。
【0102】
一般に、担体の性質は、使用される特定の投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は、ビヒクルとして、通常、薬学的および生理的に許容される流体、例えば、水、生理的食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどを含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤形態)について、従来の非毒性固体担体には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、添加された防腐剤(例えば、非天然防腐剤)、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有し得る。特定の例では、薬学的に許容される担体は、無菌であり、例えば注射による対象への非経口投与に適切である。一部の実施形態では、活性薬剤および薬学的に許容される担体は、丸剤などの単位投薬形態で、またはバイアル中に選択された量で、提供される。単位投薬形態は、(例えば、薬剤の計量された投薬量が選択的に分配され得るバイアル中に)1つの投薬量または複数の投薬量を含み得る。
【0103】
ポリペプチド:モノマーが、アミド結合を介して一緒に連結されるアミノ酸残基である、ポリマー。アミノ酸がアルファ−アミノ酸である場合、L−光学異性体またはD−光学異性体の異性体のいずれかが使用され得、L−異性体が好ましい。用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、本明細書で使用する場合、任意のアミノ酸配列を包含し、糖タンパク質などの改変配列を含むことが意図される。ポリペプチドは、天然に存在するタンパク質、ならびに組換えまたは合成により産生されたタンパク質の両方を含む。ポリペプチドは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、開示された抗体またはその断片である。
【0104】
ポリペプチド改変:ポリペプチドは、未改変のペプチドと本質的に同じ活性およびコンフォメーションを有し、任意選択で他の望ましい特性を有する誘導体を産生するために、種々の化学的技術によって改変され得る。例えば、タンパク質のカルボン酸基は、カルボキシル末端であれ側鎖であれ、薬学的に許容されるカチオンの塩の形態で提供され得る、またはC
1〜C
16エステルを形成するようにエステル化され得る、または式NR
1R
2のアミドに変換され得、式中、R
1およびR
2は各々独立してHもしくはC
1〜C
16アルキルであり、または5員環もしくは6員環などの複素環式環を形成するように組み合わされ得る。ペプチドのアミノ基は、アミノ末端であれ側鎖であれ、薬学的に許容される酸付加塩、例えば、HCl、HBr、酢酸塩、安息香酸塩、トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩および他の有機塩の形態であり得、あるいはC
1〜C
16アルキルもしくはジアルキルアミノに改変され得、またはアミドにさらに変換され得る。
【0105】
ペプチド側鎖のヒドロキシル基は、十分認識された技術を使用して、C
1〜C
16アルコキシまたはC
1〜C
16エステルに変換され得る。ペプチド側鎖のフェニルおよびフェノール環は、1つもしくは複数のハロゲン原子、例えば、F、Cl、BrもしくはIで、またはC
1〜C
16アルキル、C
1〜C
16アルコキシ、カルボン酸およびそのエステル、もしくはかかるカルボン酸のアミドで置換され得る。ペプチド側鎖のメチレン基は、対応するC
2〜C
4アルキレンへと伸長され得る。チオールは、いくつかの十分認識された保護基のうちいずれか1つ、例えば、アセトアミド基で保護され得る。
【0106】
組換え:組換え核酸は、天然に存在しない配列を有する核酸、またはさもなければ分離されていた2つのセグメントの配列の人工的組合せによって作製された配列を有する核酸である。この人工的組合せは、化学合成によって、またはより一般的には、例えば遺伝子操作技術による核酸の単離されたセグメントの人工的操作によって、達成され得る。組換えタンパク質は、天然に存在しない配列を有するタンパク質、またはさもなければ分離されていた2つのセグメントの配列の人工的組合せによって作製された配列を有するタンパク質である。いくつかの実施形態では、組換えタンパク質は、宿主細胞、例えば、細菌または真核生物細胞中に導入された異種(例えば、組換え)核酸によってコードされる。核酸は、例えば、導入された核酸によってコードされるタンパク質を発現させることが可能なシグナルを有する発現ベクター上で導入され得、または核酸は、宿主細胞染色体中に組み込まれ得る。
【0107】
配列同一性:アミノ酸配列間の類似性は、配列間の類似性の観点から表現され、配列同一性とも呼ばれる。配列同一性は、百分率同一性(または類似性もしくは相同性)の観点で頻繁に測定される;百分率が高くなるほど、2つの配列はより類似である。ポリペプチドのホモログまたはバリアントは、標準的な方法を使用してアラインした場合、比較的高い程度の配列同一性を有する。
【0108】
比較のための配列のアラインメントの方法は、当該分野で周知である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、以下に記載されている:SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.2巻:482頁、1981年;NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.48巻:443頁、1970年;PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.85巻:2444頁、1988年;HigginsおよびSharp、Gene 73巻:237頁、1988年;HigginsおよびSharp、CABIOS 5巻:151頁、1989年;Corpetら、Nucleic Acids Research 16巻:10881頁、1988年;ならびにPearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.85巻:2444頁、1988年。Altschulら、Nature Genet.6巻:119頁、1994年は、配列アラインメント方法および相同性計算の詳細な留意事項を示している。
【0109】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら、J. Mol. Biol.215巻:403頁、1990年)は、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxと併せた使用のために、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda、MD)を含むいくつかの供給源から、およびインターネット上で利用可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定するための方法の記載は、インターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。
【0110】
ポリペプチドに特異的に結合する抗体のV
LまたはV
Hのホモログおよびバリアントは、典型的には、目的のアミノ酸配列との全長アラインメントにわたって計数した、少なくとも約75%、例えば、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性の保有によって特徴付けられる。参照配列に対してさらに高い類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価した場合、漸増する百分率同一性、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を示す。配列全体未満が配列同一性について比較されている場合、ホモログおよびバリアントは、典型的には、10〜20アミノ酸の短いウインドウにわたって少なくとも80%の配列同一性を保有し、参照配列に対するそれらの類似性に依存して、少なくとも85%または少なくとも90%もしくは95%の配列同一性を保有し得る。かかる短いウインドウにわたって配列同一性を決定するための方法は、インターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。当業者は、これらの配列同一性範囲が、ガイダンスとしてのみ提供されることを理解する;提供された範囲の外側に入る強く顕著なホモログを得ることが完全に可能である。
【0111】
2つまたはそれよりも多くのヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の配列の関係性を記述するために使用される用語には、「参照配列」、「〜から選択される」、「比較ウインドウ」、「同一」、「配列同一性の百分率」、「実質的に同一」、「相補的」および「実質的に相補的」が含まれる。
【0112】
核酸配列の配列比較のために、典型的には1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列は、コンピューターに入力され、必要に応じて、下位配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターが使用される。比較のための配列のアラインメントの方法は、当該分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.2巻:482頁、1981年の局所的相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.48巻:443頁、1970年の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman、Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85巻:2444頁、1988年の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)のコンピューター実行によって、または手動アラインメントおよび目視検査によって、実施され得る(例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012年)およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、補遺104まで、2013年)を参照のこと)。有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、FengおよびDoolittle、J. Mol. Evol.35巻:351〜360頁、1987年の累進アラインメント方法の単純化を使用する。使用される方法は、HigginsおよびSharp、CABIOS 5巻:151〜153頁、1989年によって記載される方法と類似している。PILEUPを使用して、参照配列は、以下のパラメーターを使用してパーセント配列同一性関係を決定するために、他の試験配列と比較される:デフォルトギャップウェイト(3.00)、デフォルトギャップ長ウェイト(0.10)および重み付けエンドギャップ。PILEUPは、GCG配列分析ソフトウェアパッケージ、例えば、バージョン7.0から得ることができる(Devereauxら、Nuc. Acids Res.12巻:387〜395頁、1984年)。
【0113】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために適切なアルゴリズムの別の例は、Altschulら、J. Mol. Biol.215巻:403〜410頁、1990年およびAltschulら、Nucleic Acids Res.25巻:3389〜3402頁、1977年に記載されるBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(ncbi.nlm.nih.gov)を介して公に入手可能である。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、11のワード長(W)、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。BLASTPプログラム(アミノ酸配列について)は、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスをデフォルトとして使用する(HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻:10915頁、1989年を参照のこと)。オリゴヌクレオチドは、最大で約100ヌクレオチド塩基長の直鎖ポリヌクレオチド配列である。
【0114】
特異的に結合する:抗体または抗原結合性断片に言及する場合、タンパク質および他の生物製剤の不均一集団の存在下で標的タンパク質、ペプチドまたは多糖の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定された条件下で、抗体は、特定の標的タンパク質、ペプチドまたは多糖(例えば、CCR4)に優先的に結合し、試料または対象中に存在する他のタンパク質または多糖には、顕著な量で結合しない。特異的結合は、当該分野で公知の方法によって決定され得る。抗体−抗原複合体に関して、抗原と抗体との特異的結合は、約10
−7モル濃度未満、例えば、約10
−8モル濃度、10
−9未満、またはさらには約10
−10モル濃度未満のK
Dを有する。
【0115】
K
Dとは、所与の相互作用、例えば、ポリペプチドリガンド相互作用または抗体抗原相互作用についての解離定数を指す。例えば、抗体または抗原結合性断片と抗原との二分子相互作用について、K
Dは、複合体の濃度によって除算した、二分子相互作用の個々の構成成分の濃度である。
【0116】
本明細書で開示される抗体は、規定された標的(または二重特異性抗体の場合、複数の標的)に特異的に結合する。したがって、CR4上のエピトープに特異的に結合する抗体は、CCR4が結合するCCR4基質を発現する細胞もしくは組織、または生物学的標本中のCCR4を含むCCR4に実質的に結合する抗体である。もちろん、ある程度の非特異的相互作用が、抗体、または抗体を含むコンジュゲート(例えば、CCR4を特異的に結合する抗体、またはかかる抗体を含むコンジュゲート)と非標的(例えば、CCR4を発現しない細胞)との間で生じ得ることが認識される。典型的には、特異的結合は、抗体とタンパク質または抗原を欠く細胞との間よりも、抗体とタンパク質または抗原を保有する細胞との間で、かなり強い会合を生じる。特異的結合は、典型的には、タンパク質またはこのエピトープを欠く細胞もしくは組織と比較して、エピトープを含むタンパク質または標的エピトープを発現する細胞もしくは組織に結合した抗体の量(単位時間当たり)における、2倍よりも大きい、例えば、5倍よりも大きい、10倍よりも大きい、または100倍よりも大きい増加を生じる。かかる条件下でのタンパク質への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体を必要とする。種々のイムノアッセイ形式が、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体または他のリガンドを選択するために適切である。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために慣用的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ形式および条件の記載については、HarlowおよびLane、Antibodies, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Publications、New York(2013年)を参照のこと。
【0117】
対象:生きた多細胞の脊椎動物生物。ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含むカテゴリー。ある例では、対象はヒトである。特定の例では、対象は、小児科対象、例えば、2〜5歳のヒト小児である。さらなる例では、リンパ系悪性腫瘍を有するまたはリンパ系悪性腫瘍を有するリスクがある対象が選択される。さらなる例では、固形腫瘍を有するまたは固形腫瘍を有するリスクがある対象が選択される。
【0118】
T細胞:細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球の型。T細胞は、細胞表面上のT細胞受容体の存在によって、他のリンパ球、例えば、B細胞およびナチュラルキラー細胞から識別され得る。これらは、胸腺において胸腺細胞から成熟するので、T細胞と呼ばれる。一般に、成熟T細胞は、CD3を発現する。
【0119】
治療有効量:単独で、または1つもしくは複数のさらなる薬剤と一緒になって、所望の応答、例えば、対象におけるCCR4陽性がんの処置などを誘導する、薬剤(例えば、CARを発現するT細胞および/またはNK細胞)の量。対象に投与される場合、所望のin vitro効果を達成することが示されている標的組織濃度を達成する投薬量が一般に使用される。理想的には、治療有効量は、対象において実質的な細胞傷害効果を引き起こすことなく、治療効果を提供する。
【0120】
一例では、所望の応答は、対象におけるCCR4陽性がん細胞のサイズ、体積もしくは数(例えば、転移)、および/または対象における新生物性病変、もしくは血液中の白血病細胞の数を減少させることである。例えば、薬剤は、その薬剤の非存在下での応答と比較して、CCR4陽性がん細胞のサイズ、体積もしくは数、および/または新生物性病変、もしくは血液中の白血病細胞の数を、所望の量、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%または少なくとも95%、減少させ得る。
【0121】
本明細書で開示されるいくつかの調製物は、治療有効量で投与される。ヒトまたは獣医学対象に投与される治療有効量は、対象と関連するいくつかの因子、例えば、対象の健康全般に依存して変動する。治療有効量は、投薬量を変動させ、生じた治療応答、例えば、CCR4陽性リンパ系悪性腫瘍の退縮を測定することによって決定され得る。治療有効量は、種々のin vitro、in vivoまたはin situイムノアッセイを介して決定することもできる。開示された薬剤は、所望の応答を得るために必要に応じて、単一の用量でまたはいくつかの用量で投与され得る。しかし、治療有効量は、適用される供給源、処置される対象、処置される状態の重症度および型、ならびに投与様式に依存し得る。
【0122】
治療有効量は、以前の投与または引き続く投与と組み合わせて治療応答の達成に寄与する、部分用量を包含する。例えば、治療有効量の薬剤は、例えば、数日間または数週間持続する処置の過程の間に毎日、単一の用量でまたはいくつかの用量で投与され得る。しかし、治療有効量は、処置される対象、処置される状態の重症度および型、ならびに投与様式に依存し得る。単位投薬形態の薬剤は、例えば、無菌構成成分を有するバイアル(例えば、突き刺し可能な蓋を有する)またはシリンジ中に、1つの治療的量でまたは複数の治療的量で包装され得る。
【0123】
形質導入および形質転換された:形質転換された細胞は、核酸分子が分子生物学の技術によって導入された細胞である。本明細書で使用する場合、形質導入および形質転換という用語は、ウイルスベクターを用いたトランスフェクション、プラスミドベクターの使用、ならびにエレクトロポレーション、リポフェクションおよびパーティクルガン加速によるDNAの導入を含む、核酸分子がかかる細胞中に導入され得る全ての技術を包含する。
【0124】
疾患を処置するまたは予防する:疾患を「予防する」とは、疾患の完全な発達を阻害することを指す。「処置する」とは、疾患または病態が発達し始めた後の、その徴候または症状の寛解、例えば、腫瘍負荷における低減または転移の数もしくはサイズにおける減少をもたらす治療的介入を指す。「寛解させる」とは、悪性腫瘍などの疾患の徴候または症状の数または重症度における低減を指す。
【0125】
腫瘍:良性または悪性(悪性腫瘍)であり得る、細胞の異常な成長。がんは、異常なまたは制御されない細胞成長によって特徴付けられる悪性腫瘍(malignant tumor)(悪性腫瘍(malignancy))である。悪性腫瘍と関連する場合が多い他の特色には、転移、隣接細胞の正常な機能の妨害、異常なレベルでのサイトカインまたは他の分泌産物の放出、および炎症または免疫学的応答の抑制または増悪、周囲または遠位の組織または臓器、例えばリンパ節の浸潤などが含まれる。「転移性疾患」とは、元の腫瘍部位を離れ、例えば血流またはリンパ系を介して身体の他の部分に移動するがん細胞を指す。
【0126】
個体中の腫瘍の量は、腫瘍の数、体積または重量として測定され得る「腫瘍負荷」である。転移しない腫瘍は、「良性」と呼ばれる。周囲の組織に侵襲するおよび/または転移できる腫瘍は、「悪性」と呼ばれる。
【0127】
血液学的腫瘍の例には、急性白血病(例えば、11q23陽性急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病)、慢性白血病(例えば、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ性白血病)を含む白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度および高悪性度形態)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリー細胞白血病および脊髄形成異常症が含まれる。具体的な非限定的な例では、リンパ系悪性腫瘍は、成人T細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、ホジキンリンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であり得る。
【0128】
肉腫および癌腫などの固形腫瘍の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性腫瘍、膵臓がん、乳がん(基底乳癌(basal breast carcinoma)、乳管癌および小葉乳癌を含む)、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィスムス腫瘍、子宮頚がん、精巣腫瘍、精上皮腫、膀胱癌およびCNS腫瘍(例えば、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyrgioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫および網膜芽細胞腫)が含まれる。いくつかの例では、腫瘍は、乳、卵巣、胃または食道がんである。
【0129】
ベクター:宿主細胞中に導入され、それによって、形質転換された宿主細胞を生成する核酸分子。組換えDNAベクターは、組換えDNAを有するベクターである。ベクターは、宿主細胞中でそれが複製するのを可能にする核酸配列、例えば、複製起点を含み得る。ベクターは、当該分野で公知の1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子および他の遺伝子エレメントもまた含み得る。ウイルスベクターは、1種または複数のウイルスに由来する少なくともいくらかの核酸配列を有する組換え核酸ベクターである。複製欠損ウイルスベクターは、複製に重要な少なくとも1つの遺伝子機能における欠損に起因して、複製に必要なウイルスゲノムの1つまたは複数の領域の補完を必要とするベクターである。例えば、典型的な宿主細胞、特に、治療方法の過程においてウイルスベクターが感染し得るヒト患者中の宿主細胞中でウイルスベクターが複製しないように。
キメラ抗原受容体
【0130】
膜貫通ドメインに連結され、1つまたは複数の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに連結された、CCR4に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメイン(例えば、単鎖可変断片(scFv))を含む、人工的に構築されたキメラタンパク質であるキメラ抗原受容体(CAR)が開示される。開示されたCARの特徴には、MHC拘束されない様式で、CCR4発現細胞、例えば、CCR4 mRNAを発現する細胞に対してT細胞の特異性および反応性を再指向させるそれらの能力が含まれる。MHC拘束されないCCR4認識は、開示されたCARを発現するT細胞(またはNK細胞)に、抗原プロセシング非依存的に抗原を認識する能力を与える。
【0131】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインには、例えば、T細胞受容体シグナル伝達ドメイン、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインまたはその両方が含まれ得る。T細胞受容体シグナル伝達ドメインとは、T細胞受容体の細胞内ドメイン、例えば、CD3ゼータタンパク質の細胞内部分を含むCARの部分を指す。共刺激シグナル伝達ドメインとは、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要とされる抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である共刺激分子、例えば4−1BBの細胞内ドメインを含むCARの一部分を指す。CARは、以下にさらに詳細に開示される。
【0132】
一部の実施形態では、CARは、(a)mAB2−3抗体の軽鎖可変ドメイン(V
L)および重鎖可変ドメイン(V
H)を含む細胞外scFvであって、CCR4に特異的に結合する、scFv;(b)CD8由来のヒンジおよび膜貫通ドメイン;(c)細胞内4−1BBシグナル伝達ドメイン;ならびに(d)細胞内CD3ゼータシグナル伝達ドメインを含み、(a)〜(d)は、N末端からC末端の順である。一部の実施形態では、例えば、マウス免疫グロブリンシグナル配列であるがこれに限定されないシグナル配列が、scFvに対してN末端側に含まれる。
【0133】
A.細胞外領域
開示されたCARは、CCR4に特異的に結合するモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含む。一部の実施形態では、CCR4に特異的に結合するmAb1567が、本明細書で開示されるキメラ抗原結合受容体において使用され得る。mAb2−3と呼ばれる、この抗体の親和性成熟したヒト化形態(参照により本明細書に組み込まれる、Changら、Mol Cancer Ther.2012年;11巻(11号):2451〜2461頁を参照のこと)もまた、CAR中に含まれ得る。CCR4に特異的に結合する他のモノクローナル抗体は、市販されており、当該分野で公知である。例えば、PLOS oneのウェブサイト(journals.plos.org_plosone_article?id=10.1371/journal.pone.0103776)上でオンラインで入手可能な、Hagemannら、PLOS One、2014年を参照のこと。CCR4に特異的に結合する任意の抗体またはその抗原結合性断片が、キメラ抗原受容体中に含まれ得る。
【0134】
一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、mAb1567またはmAb2−3抗体(mAb1567の親和性成熟形態)のそれぞれV
HおよびV
LのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含むV
HおよびV
Lを含み得る。これらの抗体についてのHCDRおよびLCDRの位置は、Changらの
図3に提供されている。ヒト化mAb1567のV
Hのアミノ酸配列は、
【化1】
であり、配列中、CDR配列は、太字かつ下線である。
【0135】
したがって、一部の実施形態では、モノクローナル抗体の抗原結合性断片は、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、HCDR1は、配列番号1のアミノ酸26〜33を含み、HCDR2は、配列番号1のアミノ酸51〜58を含み、HCDR3は、配列番号1のアミノ酸99〜107を含む。
【0136】
ヒト化mAb1567のV
Lのアミノ酸配列は、
【化2】
であり、配列中、LCDR配列は、太字かつ下線である。
【0137】
一部の実施形態では、モノクローナル抗体の抗原結合ドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、LCDR1は、配列番号2のアミノ酸27〜38を含み、LCDR2は、配列番号2のアミノ酸56〜61を含み、LCDR3は、配列番号2のアミノ酸95〜102を含む。
【0138】
さらなる実施形態では、抗原結合ドメインの重鎖ドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR2を含み、HCDR1は、配列番号1のアミノ酸26〜33を含み、HCDR2は、配列番号1のアミノ酸51〜58を含み、HCDR3は、配列番号1のアミノ酸99〜107を含み、モノクローナル抗体の抗原結合ドメインの軽鎖ドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、LCDR1は、配列番号2のアミノ酸27〜38を含み、LCDR2は、配列番号2のアミノ酸56〜61を含み、LCDR3は、配列番号2のアミノ酸95〜102を含む。具体的な非限定的な例では、抗原結合ドメインは、配列番号1および2として示されるアミノ酸配列を含むV
HおよびV
Lを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、scFvであり得る。scFvを創出するために、V
LおよびV
H配列が連続した単鎖タンパク質として発現され得、V
LおよびV
Hドメインが可撓性リンカーによって連結されるように、V
LコードDNA断片およびV
HコードDNA断片は、可撓性リンカーをコードする、例えば、アミノ酸配列(Gly
4−Ser)
3をコードする別の断片に動作可能に連結され得る(例えば、Birdら、Science 242巻:423〜426頁、1988年;Hustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:5879〜5883頁、1988年;McCaffertyら、Nature 348巻:552〜554頁、1990年;KontermannおよびDubel(編)、Antibody Engineering、第1〜2巻、第2版、Springer Press、2010年;HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、2013年を参照のこと)。任意選択で、フューリン切断部位などの切断部位が、リンカー中に含まれ得る。一部の実施形態では、scFvは、SSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号3)として示されるアミノ酸配列を含むリンカーなどのペプチドリンカーによって連結されたV
HおよびV
Lを含む。V
LおよびV
Hは、V
LまたはV
HのいずれかがscFvのN末端にあるように、任意の順序であり得る。具体的な非限定的な一例では、V
LがN末端にある。
【0140】
CARは、例えば、抗原結合ドメインに対してN末端側に、シグナルペプチド配列を含み得る。シグナルペプチド配列は、任意の適切なシグナルペプチド配列を含み得る。ある実施形態では、シグナルペプチド配列は、マウス免疫グロブリン軽鎖カッパシグナル配列、例えば、MDFQVQIFSFLLISASVIMSRG(配列番号4)を含むまたはこれからなるアミノ酸配列である。しかし、当該分野で公知の他のシグナル配列が利用され得る。別の例では、シグナルペプチド配列は、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)受容体配列、例えば、LLVTSLLLCELPHPAFLLIPDT(配列番号5)を含むまたはこれからなるアミノ酸配列である。さらなる例では、シグナルペプチド配列は、IL−2シグナルペプチドである。シグナルペプチド配列は、細胞の表面上でのCARの発現を促進し得るが、発現されたCAR中のシグナルペプチド配列の存在は、CARが機能するために必要ではない。細胞表面上でのCARの発現の際に、シグナルペプチド配列は、CARから切断されて除かれ得る。したがって、一部の実施形態では、CARはシグナルペプチド配列を欠く。
【0141】
CARの抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に、ポリペプチド配列を含むスペーサードメインが存在し得る。スペーサードメインは、最大で300アミノ酸、例えば、10〜100アミノ酸、例えば、25〜50アミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、スペーサードメインは、免疫グロブリンドメイン、例えば、ヒト免疫グロブリン配列を含み得る。ある実施形態では、免疫グロブリンドメインは、免疫グロブリンCH2およびCH3免疫グロブリンG(IgG
l)ドメイン配列(CH2CH3)を含む。これに関して、スペーサードメインは、
配列番号6:
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK
として示されるアミノ酸配列を含むまたはこれからなる免疫グロブリンドメインを含み得る。
【0142】
特定の理論に束縛されないが、CH2CH3ドメインは、CAR発現細胞の膜から離れてCARの抗原結合ドメインを伸長させ、ネイティブTCRのサイズおよびドメイン構造をより正確に模倣し得ると考えられる。しかし、CH2CH3ドメインは必要とされない場合がある。一部の実施形態では、スペーサーは省略され、その結果存在しない。
【0143】
B.膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、CARは、CARの細胞外ドメインに融合された膜貫通ドメインを含むように設計され得る。膜貫通ドメインは、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合型または膜貫通タンパク質由来であり得る。開示されたCARにおける使用のための例示的な膜貫通ドメインには、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の膜貫通領域(単数または複数)を少なくとも含み得る。あるいは、膜貫通ドメインは合成であり得、この場合、膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの優勢に疎水性の残基を含む。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンの三つ組が、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。
【0144】
任意選択で、好ましくは2アミノ酸長と10アミノ酸長との間の短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞内T細胞シグナル伝達ドメインおよび/またはT細胞共刺激ドメインとの間に連結を形成し得る。例示的なリンカー配列は、1つまたは複数のグリシン−セリン二つ組を含む。例えば、リンカーは、SSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号3)を含み得るまたはこれからなり得る。
【0145】
一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、T細胞受容体の膜貫通ドメイン、例えば、CD8膜貫通ドメインを含む。したがって、CARは、
ALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQP LSLRPEACRPAAGGAVHTRG LDFAC DIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHR(配列番号7)
を含むまたはこれからなるCD8膜貫通ドメインを含み得る。
【0146】
他の実施形態では、膜貫通ドメインは、T細胞共刺激分子、例えば、CD137またはCD28の膜貫通ドメインを含む。例示的なCD28膜貫通ドメインは、
配列番号19:IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVR
を含むまたはこれからなる。
【0147】
C.細胞内領域
CARの細胞内領域は、CARが発現または配置されるT細胞の正常なエフェクター機能のうち少なくとも1つの活性化を担う1つまたは複数の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。例示的なT細胞シグナル伝達ドメインは、本明細書で提供され、当業者に公知である。
【0148】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン全体がCARにおいて使用され得るが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのトランケートされた部分が使用される限りにおいて、それが適切なT細胞エフェクター機能シグナルを伝達する限り、かかるトランケートされた部分が、インタクトな鎖の代わりに使用され得る。CARにおける使用のための細胞内T細胞シグナル伝達ドメインの例には、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するように協力して作用するT細胞受容体(TCR)および共刺激分子の細胞質配列、ならびにこれらの配列の任意の誘導体またはバリアントおよび同じ機能的能力を有する任意の合成配列が含まれる。
【0149】
CARにおける使用のための細胞内T細胞シグナル伝達ドメインの例には、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するように協力して作用するT細胞受容体(TCR)および共刺激分子の細胞質配列、ならびにこれらの配列の任意の誘導体またはバリアントおよび同じ機能的能力を有する任意の合成配列が含まれる。
【0150】
T細胞受容体シグナル伝達ドメインは、刺激性の方法または阻害性の方法のいずれかで、T細胞受容体複合体の一次的な活性化を調節する。開示されたCARは、免疫受容活性化チロシンモチーフまたはITAMとして公知のシグナル伝達モチーフを含有し得る、刺激性の様式で作用する主要細胞質シグナル伝達配列を含み得る。開示されたCAR中に含まれ得るITAM含有主要細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CDS、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dタンパク質由来のものが含まれる。いくつかの実施形態では、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータ由来の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0151】
CARの細胞内領域は、ITAM含有主要細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3−ゼータ)を、単独で、またはCARに関連して有用な任意の他の所望の細胞質ドメイン(単数または複数)と組み合わせて含み得る。例えば、CARの細胞質ドメインは、CD3ゼータ鎖部分、および例えば4−1BB(CD137)ドメインであるがこれに限定されない細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインとは、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部分を指す。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要とされる抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。かかる分子の例には、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2CおよびB7−H3が含まれる。
【0152】
かかるT細胞シグナル伝達ドメインの例示的なアミノ酸配列が提供される。例えば、4−1BBシグナル伝達ドメインは、
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDG CSCRFPEEEEGGCEL(配列番号8)
として示されるアミノ酸配列を含むまたはこれからなる。
【0153】
さらに、CD3ゼータシグナル伝達ドメインは、
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELN LGRREEYDVLDKRRGRDPEM GGKPRRKNPQEGLYNELQKD KMAEAYSEIGMKGERRRGKG HDGLYQGLSTATKDTYDALH MQALPPR(配列番号9)
として示されるアミノ酸配列を含み得るまたはこれからなり得る。
【0154】
CARの細胞質シグナル伝達部分内の細胞質シグナル伝達配列は、ランダムに、または特定の順序で互いに連結され得る。非限定的な一例では、4−1BBドメインは、CD3ゼータドメインのアミノ末端に含まれる。任意選択で、好ましくは2アミノ酸長と10アミノ酸長との間の短いポリペプチドリンカーが、これら2つのドメイン間に連結を形成し得る。グリシン−セリン二つ組が、特に適切なリンカーを提供する。さらに、CARのシグナル伝達ドメインと膜貫通ドメインとの間に、ポリペプチド配列を含むスペーサードメインが存在し得る。スペーサードメインは、最大で300アミノ酸、例えば、10〜100アミノ酸、例えば、25〜50アミノ酸を含み得る。
D.CARのさらなる記載
【0155】
一部の実施形態では、ドメインの順序は、N末端、シグナル配列、VL−リンカー−VH(またはVH−リンカー−VL)、ヒンジ、膜貫通ドメイン、ヒト4−1BBシグナル伝達分子、ヒトCD3ゼータシグナル伝達分子、C末端である。本開示の例示的なCARは、
【化3】
として示されるアミノ酸配列を含むまたはこれからなる。
【0156】
配列番号10中、シグナル配列は太字で示され、V
Lは下線で示され、リンカーはイタリックで示され、V
Hは、太字/下線の組合せで示され、ヒトCD8ヒンジおよび膜貫通ドメインは強調され、ヒト4−1BBシグナル伝達分子は、イタリックおよび下線の組合せで示され、ヒトCD3ゼータシグナル伝達分子は、紫色(およびプレーンなテキスト)で示される。
【0157】
本明細書に記載されるCARのいずれかの機能的部分もまた提供される。用語「機能的部分」は、CARに関して使用する場合、CARの任意の一部または断片を指し、この一部または断片は、それが一部であるCAR(親CAR)の生物学的活性を保持し、したがって、T細胞および/またはナチュラルキラー細胞をCCR4に標的化するために使用され得る。機能的部分は、例えば、親CARと類似の程度まで、同じ程度まで、またはより高い程度まで、標的細胞を認識する能力、または疾患を検出、処置もしくは予防する能力を保持するCARの一部を包含する。親CARに関して、機能的部分は、例えば、親CARの約60%、70%、80%、90%、95%またはそれよりも多くを含み得る。
【0158】
CARまたはその機能的部分は、アミノ末端もしくはカルボキシ末端、または両方の末端においてさらなるアミノ酸を含み得、このさらなるアミノ酸は、親CARのアミノ酸配列中には見出されない。一部の例では、さらなるアミノ酸は、CARまたは機能的部分の生物学的機能、例えば、標的細胞の認識、がんの検出、がんの処置または予防などを妨害しない。他の例では、さらなるアミノ酸は、親CARの生物学的活性と比較して、生物学的活性を増強する。
【0159】
親CARに対する実質的なまたは顕著な配列同一性または類似性を有する、本明細書に記載されるCARの機能的バリアントもまた提供され、この機能的バリアントは、それがバリアントであるCARの生物学的活性を保持する。機能的バリアントは、例えば、親CARと類似の程度まで、同じ程度まで、またはより高い程度まで、標的細胞を認識する能力を保持する、本明細書に記載されるCAR(親CAR)のバリアントを包含する。親CARに関して、機能的バリアントは、例えば、親CARに対して、アミノ酸配列において少なくとも約30%、約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはそれよりも高く同一であり得る。
【0160】
機能的バリアントは、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親CARのアミノ酸配列を含み得る。あるいはまたはさらに、機能的バリアントは、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親CARのアミノ酸配列を含み得る。この場合には、非保存的アミノ酸置換は、機能的バリアントの生物学的活性を妨害も阻害もしない。非保存的アミノ酸置換は、機能的バリアントの生物学的活性が親CARと比較して増加されるように、機能的バリアントの生物学的活性を増強し得る。CARは、分子の活性が変化しない限り、最大で10の保存的アミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の保存的置換を含み得る。置換は、例えば、リンカー領域、スペーサーおよび/またはシグナル配列においてなされ得る。
【0161】
CAR(本発明の機能的部分および機能的バリアントを含む)は、1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸の代わりに、合成アミノ酸を含み得る。かかる合成アミノ酸は、当該分野で公知であり、これには、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、a−アミノn−デカン酸、ホモセリン、S−アセチルアミノメチル−システイン、トランス−3−およびトランス−4−ヒドロキシプロリン、4−アミノフェニルアラニン、4−ニトロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、4−カルボキシフェニルアラニン、β−フェニルセリンβ−ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α−ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン−2−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’−ベンジル−N’−メチル−リシン、N’,N’−ジベンジル−リシン、6−ヒドロキシリシン、オルニチン、α−アミノシクロペンタンカルボン酸、α−アミノシクロヘキサンカルボン酸、α(oc)−アミノシクロヘプタンカルボン酸、−(2−アミノ−2−ノルボルナン)−カルボン酸、γ−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、ならびにα−tert−ブチルグリシンが含まれる。CAR(機能的部分および機能的バリアントを含む)は、グリコシル化され得、アミド化され得、カルボキシル化され得、リン酸化され得、エステル化され得、N−アシル化され得、例えばジスルフィド架橋を介して環化され得、または酸付加塩へと変換され得、および/あるいは任意選択で二量体化もしくは重合され得、またはコンジュゲートされ得る。
【0162】
キメラ抗原受容体を生成する方法、かかる受容体を含む免疫細胞およびそれらの使用(例えば、がんの処置のため)は、当該分野で公知であり、本明細書にさらに記載されている(例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brentjensら、2010年、Molecular Therapy、18巻:4号、666〜668頁;Morganら、2010年、Molecular Therapy、2010年2月23日にオンライン出版、1〜9頁;Tillら、2008年、Blood、112巻:2261〜2271頁;Parkら、Trends Biotechnol.、29巻:550〜557頁、2011年;Gruppら、N Engl J Med.、368巻:1509〜1518頁、2013年;Hanら、J. Hematol Oncol.、6巻:47頁、2013年;PCT公開第WO2012/079000号、同第WO2013/126726号;および米国公開第2012/0213783号を参照のこと)。例えば、開示されたキメラ抗原結合受容体をコードする核酸分子は、開示されたCARを作製するために、T細胞などの宿主細胞における発現のために発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)中に含まれ得る。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体を使用する方法は、対象からT細胞を単離するステップ、T細胞にキメラ抗原受容体をコードする発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクター)を形質転換するステップ、および処置のため、例えば、対象におけるCCR4陽性がんの処置のために、キメラ抗原受容体を発現する操作されたT細胞を対象に投与するステップを含む。
ポリヌクレオチドおよび発現
【0163】
CCR4に特異的に結合するCARのアミノ酸配列をコードする核酸分子(例えば、cDNA分子)が、本明細書で提供される。これらの分子をコードする核酸は、本明細書で提供されるアミノ酸配列(例えば、CDR配列ならびにV
HおよびV
L配列)、当該分野で利用可能な配列(例えば、フレームワークまたは定常領域配列)、および遺伝コードを使用して、当業者によって容易に産生され得る。いくつかの実施形態では、核酸分子は、例えば、mAb2−3モノクローナル抗体、mAb1567モノクローナル抗体またはそれらの抗原結合性断片であるがこれらに限定されない、CCR4に特異的に結合するモノクローナル抗体のV
H、V
L、またはV
HおよびV
Lの両方を含むCARをコードし得る。いくつかの実施形態では、核酸分子は、CARを産生するために、宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、T細胞)において発現され得る。
【0164】
一部の実施形態では、CARをコードする完全核酸配列は、ヒトT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞などのヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。さらなる実施形態では、CARの1つまたは複数の構成成分(V
H、V
L、シグナル配列、ヒトCD8ヒンジおよび膜貫通ドメイン、ヒト4−1BBシグナル伝達分子、ヒトCD3ゼータシグナル伝達分子)をコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得るが、CARの構成成分をコードする核酸配列の全てが、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。したがって、一部の実施形態では、核酸配列は、1つまたは複数のコドン最適化された核酸配列を含む。
【0165】
一部の実施形態では、マウス免疫グロブリン軽鎖カッパシグナル配列などのシグナル配列をコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。したがって、シグナル配列をコードする核酸分子は、
ATGGACTTTCAAGTGCAGATCTTTAGTTTCCTGCTCATAAGCGCTAGTGTGATCATGTCCAGAGGA(配列番号11)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0166】
他の実施形態では、CAR中のシグナル配列をコードする核酸分子は、配列番号11に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な、シグナル配列をコードする核酸を含み、この配列は、ヒトT細胞および/またはNK細胞などのヒト細胞において、シグナル配列として機能する。
【0167】
さらなる実施形態では、V
Lをコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。したがって、CARのV
Lをコードする核酸は、
GATATTGTGATGACTCAAAGCCCCGACAGTCTGGCCGTGTCTTTGGGCGAGAGAGCCACAATCAACTGCAAGTCCTCACAGAGTATCCTTTATTCCTCTAATCAGAAGAATTACCTCGCATGGTATCAACAAAAACCCGGACAGAGCCCTAAGCTTTTGATCTATTGGGCATCTACCCGAGAATCAGGAGTGCCGGACCGCTTCAGTGGATCAGGATCAGGCACAGACTTTACGCTGACAATATCCTCTCTTCAGGCCGAAGACGTTGCCGTGTACTACTGCCATCAATATATGTCAAGCTACACATTCGGCCAGGGCACCAAACTCGAGATTAAG(配列番号12)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0168】
他の実施形態では、CARをコードする核酸分子は、配列番号12に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な、V
Lをコードする核酸配列を含み、コードされた抗原結合ドメインは、CCR4に特異的に結合する。具体的な非限定的な例では、核酸は、LCDR1が配列番号2のアミノ酸27〜38を含み、LCDR2が配列番号2のアミノ酸56〜61を含み、LCDR3が配列番号2のアミノ酸95〜102を含むV
Lをコードする。
【0169】
さらに他の実施形態では、V
Hをコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。したがって、CARのV
Hをコードする核酸は、
CAGGTTCAGCTCGTGCAATCAGGGGCAGAGGTCAAGAAGCCGGGTGCCTCTGTGAAGGTGTCATGTAAGGCCTCCGGGTATACTTTTGCCAGCGCCTGGATGCATTGGATGAGGCAGGCGCCCGGCCAGGGTCTGGAGTGGATTGGTTGGATTAATCCCGGAAACGTGAATACTAAGTATAACGAGAAGTTTAAGGGCAGGGCCACACTCACAGTCGACACAAGCACCAATACCGCGTACATGGAACTTTCCAGCCTCCGGTCCGAGGACACTGCGGTGTATTACTGCGCACGCTCCACCTATTACAGACCACTTGATTACTGGGGCCAAGGGACCCTGGTGACCGTGTCTAGC(配列番号13)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0170】
他の実施形態では、CARをコードする核酸分子は、配列番号13に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な、V
Hをコードする核酸配列を含み、コードされた抗原結合ドメインは、CCR4に特異的に結合する。具体的な非限定的な例では、核酸配列は、HCDR1が配列番号1のアミノ酸26〜33を含み、HCDR2が配列番号1のアミノ酸51〜58を含み、HCDR3が配列番号1のアミノ酸99〜107を含むV
Hをコードする。
【0171】
さらなる実施形態では、リンカー配列(V
Hをコードする核酸配列とV
Lをコードする核酸配列との間に位置する)をコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得る。したがって、CAR中のリンカーをコードする核酸は、
TCTAGTGGTGGCGGAGGCAGTGGCGGAGGAGGCTCCGGGGGCGGAGGGTCC(配列番号14)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0172】
他の実施形態では、CARをコードする核酸分子は、配列番号14に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な、V
Hをコードする核酸配列を含む。
【0173】
より多くの実施形態では、ヒトCD8ヒンジおよび膜貫通ドメインをコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得る。したがって、CAR中のCD8ヒンジおよび膜貫通ドメインをコードする核酸は、
GCACTCAGCAATTCCATCATGTACTTCTCTCATTTCGTGCCAGTATTTCTGCCTGCCAAGCCAACTACCACACCTGCGCCACGCCCTCCCACGCCCGCACCCACAATTGCTTCACAGCCTCTTTCTCTGCGGCCTGAGGCTTGTCGCCCAGCAGCCGGAGGCGCCGTGCATACGCGCGGCCTTGACTTCGCATGTGACATCTACATTTGGGCTCCTTTGGCTGGAACCTGCGGGGTGTTGTTGCTTAGTCTGGTGATTACCCTCTACTGCAATCATAGA(配列番号15)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0174】
他の実施形態では、CARをコードする核酸分子は、配列番号15に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である、CD8ヒンジおよび膜貫通ドメインをコードする核酸配列を含み、コードされたタンパク質は、膜貫通ドメインとして機能する。
【0175】
一部の実施形態では、ヒト4−1BBシグナル伝達分子をコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得る。したがって、CAR中の4−1BBシグナル伝達分子をコードする核酸は、
AAGCGGGGGCGAAAGAAACTTCTCTATATCTTCAAACAGCCTTTCATGCGACCAGTGCAGACAACCCAAGAGGAAGACGGATGCAGCTGTCGCTTTCCAGAGGAGGAAGAAGGGGGCTGCGAGCTG(配列番号16)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0176】
他の実施形態では、CARをコードする核酸分子は、配列番号16に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である、4−1BBシグナル伝達分子をコードする核酸配列を含み、コードされたタンパク質は、シグナル伝達分子として機能する。
【0177】
さらなる実施形態では、CD3ゼータドメインをコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得る。したがって、CAR中のCD3ゼータドメインをコードする核酸は、
【0178】
AGAGTGAAATTCTCTCGCTCCGCTGACGCCCCCGCGTATCAACAGGGCCAGAATCAGCTCTACAACGAACTTAACCTTGGGCGGAGAGAAGAATACGATGTTCTCGACAAGCGCAGGGGGAGAGACCCTGAGATGGGCGGGAAACCGCGCCGCAAGAACCCCCAAGAAGGGTTGTATAACGAGCTCCAGAAGGACAAAATGGCTGAAGCCTACTCAGAGATAGGTATGAAGGGCGAGCGCCGCAGAGGGAAGGGACACGATGGTCTGTACCAAGGCCTTTCAACCGCCACCAAGGATACCTATGAT(配列番号17)
を含み得るまたはこれからなり得る。
【0179】
他の実施形態では、CARをコードする核酸分子は、配列番号17に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である、CD3ゼータシグナル伝達分子をコードする核酸配列を含み、コードされたタンパク質は、CD3ゼータシグナル伝達分子として機能する。
【0180】
具体的な非限定的な一例では、CARをコードする核酸配列全体が、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、これは、
GCGGCCGCATGGACTTTCAAGTGCAGATCTTTAGTTTCCTGCTCATAAGCGCTAGTGTGATCATGTCCAGAGGAGATATTGTGATGACTCAAAGCCCCGACAGTCTGGCCGTGTCTTTGGGCGAGAGAGCCACAATCAACTGCAAGTCCTCACAGAGTATCCTTTATTCCTCTAATCAGAAGAATTACCTCGCATGGTATCAACAAAAACCCGGACAGAGCCCTAAGCTTTTGATCTATTGGGCATCTACCCGAGAATCAGGAGTGCCGGACCGCTTCAGTGGATCAGGATCAGGCACAGACTTTACGCTGACAATATCCTCTCTTCAGGCCGAAGACGTTGCCGTGTACTACTGCCATCAATATATGTCAAGCTACACATTCGGCCAGGGCACCAAACTCGAGATTAAGTCTAGTGGTGGCGGAGGCAGTGGCGGAGGAGGCTCCGGGGGCGGAGGGTCCCAGGTTCAGCTCGTGCAATCAGGGGCAGAGGTCAAGAAGCCGGGTGCCTCTGTGAAGGTGTCATGTAAGGCCTCCGGGTATACTTTTGCCAGCGCCTGGATGCATTGGATGAGGCAGGCGCCCGGCCAGGGTCTGGAGTGGATTGGTTGGATTAATCCCGGAAACGTGAATACTAAGTATAACGAGAAGTTTAAGGGCAGGGCCACACTCACAGTCGACACAAGCACCAATACCGCGTACATGGAACTTTCCAGCCTCCGGTCCGAGGACACTGCGGTGTATTACTGCGCACGCTCCACCTATTACAGACCACTTGATTACTGGGGCCAAGGGACCCTGGTGACCGTGTCTAGCGCACTCAGCAATTCCATCATGTACTTCTCTCATTTCGTGCCAGTATTTCTGCCTGCCAAGCCAACTACCACACCTGCGCCACGCCCTCCCACGCCCGCACCCACAATTGCTTCACAGCCTCTTTCTCTGCGGCCTGAGGCTTGTCGCCCAGCAGCCGGAGGCGCCGTGCATACGCGCGGCCTTGACTTCGCATGTGACATCTACATTTGGGCTCCTTTGGCTGGAACCTGCGGGGTGTTGTTGCTTAGTCTGGTGATTACCCTCTACTGCAATCATAGAAAGCGGGGGCGAAAGAAACTTCTCTATATCTTCAAACAGCCTTTCATGCGACCAGTGCAGACAACCCAAGAGGAAGACGGATGCAGCTGTCGCTTTCCAGAGGAGGAAGAAGGGGGCTGCGAGCTGAGAGTGAAATTCTCTCGCTCCGCTGACGCCCCCGCGTATCAACAGGGCCAGAATCAGCTCTACAACGAACTTAACCTTGGGCGGAGAGAAGAATACGATGTTCTCGACAAGCGCAGGGGGAGAGACCCTGAGATGGGCGGGAAACCGCGCCGCAAGAACCCCCAAGAAGGGTTGTATAACGAGCTCCAGAAGGACAAAATGGCTGAAGCCTACTCAGAGATAGGTATGAAGGGCGAGCGCCGCAGAGGGAAGGGACACGATGGTCTGTACCAAGGCCTTTCAACCGCCACCAAGGATACCTATGATGCACTGCACATGCAAGCCCTGCCTCCTCGCTAAGGATCC(配列番号18)
を含むまたはこれからなる。
【0181】
CCR4に特異的に結合する抗体、抗体結合性断片、CARおよびコンジュゲートをコードする核酸配列は、例えば、適切な配列のクローニングを含む任意の適切な方法によって、またはNarangら、Meth. Enzymol.68巻:90〜99頁、1979年のホスホトリエステル方法;Brownら、Meth. Enzymol.68巻:109〜151頁、1979年のホスホジエステル方法;Beaucageら、Tetra. Lett.22巻:1859〜1862頁、1981年のジエチルホスホロアミダイト方法;例えば、Needham-VanDevanterら、Nucl. Acids Res.12巻:6159〜6168頁、1984年などに記載される自動合成機を使用する、BeaucageおよびCaruthers、Tetra. Letts.22巻(20号):1859〜1862頁、1981年によって記載される固相ホスホロアミダイトトリエステル方法などの方法による直接的化学合成;ならびに米国特許第4,458,066号の固体支持体方法によって、調製され得る。化学合成は、一本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。これは、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、または鋳型として単一の鎖を使用するDNAポリメラーゼを用いた重合によって、二本鎖DNAへと変換され得る。
【0182】
例示的な核酸は、クローニング技術によって調製され得る。適切なクローニングおよび配列決定技術、ならびに多くのクローニング訓練を介して当業者を導くのに十分な指示の例は、公知である(例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012年)およびAusubelら(Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、補遺104まで、2013年)を参照のこと)。生物学的試薬および実験機器の製造業者からの製品情報も、有用な情報を提供する。かかる製造業者には、SIGMA Chemical Company(Saint Louis、MO)、R&D Systems(Minneapolis、MN)、Pharmacia Amersham(Piscataway、NJ)、CLONTECH Laboratories,Inc.(Palo Alto、CA)、Chem Genes Corp.、Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)、Glen Research,Inc.、GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Gaithersburg、MD)、Fluka Chemica−Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG、Buchs、Switzerland)、Invitrogen(Carlsbad、CA)およびApplied Biosystems(Foster City、CA)、ならびに当業者に公知の多くの他の商業的供給源が含まれる。
【0183】
核酸は、増幅方法によっても調製され得る。増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅法(TAS)、自家持続配列複製法(3SR)が含まれる。広範な種々のクローニング方法、宿主細胞およびin vitro増幅方法論は、当業者に周知である。改変は、その生物学的活性を弱めることなしに、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸に対してなされ得る。一部の改変は、クローニング、発現、または融合タンパク質中への標的化分子の取り込みを促進するためになされ得る。かかる改変は、当業者に周知であり、これには、例えば、終結コドン、開始部位を提供するためにアミノ末端において付加されるメチオニン、好都合に位置付けられた制限部位を創出するためにいずれかの末端に配置されるさらなるアミノ酸、または精製ステップにおいて補助するためのさらなるアミノ酸(例えば、ポリHis)が含まれる。組換え方法に加えて、本開示のCARはまた、当該分野で周知の標準的なペプチド合成を使用して、全部または一部が構築され得る。
【0184】
キメラ抗原結合受容体をコードする核酸分子は、プロモーターに作動可能に連結され得る。CARをコードする核酸分子は、宿主細胞における発現のために、ベクター(例えば、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクター)中に含まれ得る。例示的な細胞は哺乳動物細胞であり、これには、T細胞、例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)または調節性T細胞およびNK細胞が含まれる。具体的な非限定的な例では、細胞は、T細胞、例えば、CD3
+T細胞である。CD3
+T細胞は、CD4
+またはCD8
+T細胞であり得る。他の具体的な非限定的な例では、細胞はNK細胞である。キメラ抗原受容体をコードする核酸分子、およびかかる受容体を含むT細胞(またはNK細胞)を生成する方法は、当該分野で公知である(例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brentjensら、2010年、Molecular Therapy、18巻:4号、666〜668頁;Morganら、2010年、Molecular Therapy、2010年2月23日にオンライン出版、1〜9頁;Tillら、2008年、Blood、112巻:2261〜2271頁;Parkら、Trends Biotechnol.、29巻:550〜557頁、2011年;Gruppら、N Engl J Med.、368巻:1509〜1518頁、2013年;Hanら、J. Hematol Oncol.、6巻:47頁、2013年;PCT公開第WO2012/079000号、同第WO2013/126726号;および米国公開第2012/0213783号を参照のこと)。
【0185】
興味がもたれる場合、いったん発現されると、CARは、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィーなどを含む当該分野の標準的な手順に従って精製され得る(一般に、Simpson編、Basic methods in Protein Purification and Analysis: A laboratory Manual、Cold Harbor Press、2008年を参照のこと)。抗体、抗原結合性断片およびコンジュゲートは、100%純粋である必要はない。必要に応じて、部分的にまたは均一になるまで精製されると、治療的に使用する場合、ポリペプチドは、内毒素を実質的に含んではならない。発現および精製のためのさらなる方法は、当該分野で公知である。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、2013年、Simpson編、Basic methods in Protein Purification and Analysis: A laboratory Manual、Cold Harbor Press、2008年、ならびにWardら、Nature 341巻:544頁、1989年を参照のこと。
【0186】
核酸分子は、組換え的に操作された細胞、例えば、細菌、植物、酵母、昆虫および哺乳動物細胞においても発現され得る。CARは、融合タンパク質として発現され得る。抗体および抗原結合性断片を発現および精製する方法は、公知であり、本明細書にさらに記載されている(例えば、Al-Rubeai(編)、Antibody Expression and Production、Springer Press、2011年を参照のこと)。当業者は、E.coli、他の細菌宿主、酵母、ならびに種々の高等真核生物細胞、例えば、COS、CHO、HeLaおよび骨髄腫細胞株を含む、タンパク質の発現のために利用可能な多数の発現系に通じている。用語「宿主細胞」は、対象宿主細胞の任意の子孫もまた含む。複製の間に変異が生じ得るので、全ての子孫が親細胞と同一であるわけではないことが理解される。外来DNAが宿主において持続的に維持されることを意味する安定な移入の方法は、当該分野で公知である。本明細書で開示されるように、本開示の具体的な実施形態は、CARを発現するT細胞、例えば、ヒトT細胞およびヒトNK細胞を含む。これらのT細胞は、CD3
+T細胞、例えば、CD4
+またはCD8
+T細胞であり得る。興味がもたれる場合、いったん発現されると、CARは、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィーなどを含む当該分野の標準的な手順に従って精製され得る(一般に、Simpson編、Basic methods in Protein Purification and Analysis: A laboratory Manual、Cold Harbor Press、2008年を参照のこと)。抗体、抗原結合性断片およびコンジュゲートは、100%純粋である必要はない。必要に応じて、部分的にまたは均一になるまで精製されると、治療的に使用する場合、ポリペプチドは、内毒素を実質的に含んではならない。発現および精製のためのさらなる方法は、当該分野で公知である。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、2013年、Simpson編、Basic methods in Protein Purification and Analysis: A laboratory Manual、Cold Harbor Press、2008年、ならびにWardら、Nature 341巻:544頁、1989年を参照のこと。
【0187】
本明細書に記載される抗体および抗原結合性断片をコードする核酸の発現は、CARをコードするDNAを、プロモーター(これは、構成的または誘導性のいずれかである)に作動可能に連結し、その後発現カセット中に取り込むことによって、達成され得る。プロモーターは、サイトメガロウイルスプロモーターおよびヒトT細胞リンパ向性ウイルスプロモーター(HTLV)−1を含む、目的の任意のプロモーターであり得る。任意選択で、エンハンサー、例えば、サイトメガロウイルスエンハンサーが、構築物中に含まれる。カセットは、原核生物または真核生物のいずれかにおける複製および組み込みに適切であり得る。典型的な発現カセットは、タンパク質をコードするDNAの発現の調節に有用な特定の配列を含有する。例えば、発現カセットは、適切なプロモーター、エンハンサー、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(即ち、ATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能にするためのその遺伝子の正確なリーディングフレームの維持のための配列、ならびに終止コドンを含み得る。ベクターは、選択可能なマーカー、例えば、薬物耐性(例えば、アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性)をコードするマーカーをコードし得る。
【0188】
クローニングされた遺伝子の高レベル発現を得るために、最低でも、転写を指示するための強いプロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位(内部リボソーム結合配列)および転写/翻訳ターミネーターを含有する発現カセットを構築することが望ましい。E.coliについて、これは、プロモーター、例えば、T7、trp、lacまたはラムダプロモーター、リボソーム結合部位、および好ましくは転写終結シグナルを含み得る。真核生物細胞について、制御配列は、例えば、免疫グロブリン遺伝子、HTLV、SV40またはサイトメガロウイルスに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサー、ならびにポリアデニル化配列を含み得、スプライスドナーおよび/またはアクセプター配列(例えば、CMVおよび/またはHTLVのスプライスアクセプターおよびドナー配列)をさらに含み得る。カセットは、E.coliについては形質転換またはエレクトロポレーション、哺乳動物細胞についてはリン酸カルシウム処理、エレクトロポレーションまたはリポフェクションなどの周知の方法によって、選択された宿主細胞中に移入され得る。カセットによって形質転換された細胞は、amp、gpt、neoおよびhyg遺伝子などの、カセット中に含有される遺伝子によって付与される抗生物質に対する耐性によって選択され得る。
【0189】
宿主が真核生物である場合、DNAのトランスフェクションの方法、例えば、リン酸カルシウム共沈、従来の機械的手順、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム中に包まれたプラスミドの挿入、またはウイルスベクターが使用され得る。真核生物細胞はまた、CARをコードするポリヌクレオチド配列、および選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子、例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子で共形質転換され得る。別の方法は、真核生物細胞を一過的に感染または形質転換し、タンパク質を発現させるために、真核生物ウイルスベクター、例えば、サルウイルス40(SV40)、レンチウイルスまたはウシパピローマウイルスを使用することである(例えば、Viral Expression Vectors、Springer press、Muzyczka編、2011年を参照のこと)。当業者は、高等真核生物細胞、例えば、COS、CHO、HeLaおよび骨髄腫細胞株を含む細胞においてタンパク質を産生する際に使用されるプラスミドおよびベクターなどの発現系を容易に使用できる。
【0190】
一部の実施形態では、ウイルスベクターが、CARの発現のために利用される。ウイルスベクターには、サルウイルス40、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルスベクター、およびレトロウイルス、例えば、ガンマレトロウイルスが含まれるがこれらに限定されない。レトロウイルスベクターは、真核生物細胞中への遺伝子移入のための高度に効率的な方法を提供する。さらに、レトロウイルス組み込みは、制御された様式で起こり、細胞1つ当たり1または数コピーの新たな遺伝子情報の安定な組み込みを生じる。理論に束縛されないが、レンチウイルスベクターは、それらが非増殖性細胞、例えば、肝細胞に形質導入できるという点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコ−レトロウイルスに由来するベクターを超える利点を有する。これらは、低い免疫原性というさらなる利点もまた有する。CARを発現させるためのレンチウイルスベクターの使用は、当該分野で公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国出願第2014/0050708号に開示されている。
【0191】
一部の実施形態では、宿主細胞は、目的の対象中への導入のために産生される。宿主細胞は、末梢血リンパ球(PBL)もしくは末梢血単核球(PBMC)、精製されたT細胞、または精製されたNK細胞であり得る。T細胞は、任意のT細胞、例えば、培養T細胞、例えば、初代T細胞、または培養T細胞株由来のT細胞、例えば、Jurkat、SupTlなど、または哺乳動物(例えば、CAR−T細胞が後に投与されるヒト患者)から得られたT細胞であり得る。哺乳動物対象、例えば、ヒト対象から得られる場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または他の組織もしくは体液が含まれるがこれらに限定されない多数の供給源から得ることができる。T細胞は、富化または精製もされ得る。T細胞は、任意の型のT細胞であり得、CD3
+細胞、CD4
+/CD8
+二重陽性T細胞、CD4
+ヘルパーT細胞、例えば、Th
1およびTh
2細胞、CD8
+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤細胞、メモリーT細胞、ナイーブT細胞などが含まれるがこれらに限定されない、任意の発生段階のものであり得る。T細胞は、CD3
+T細胞、例えば、CD8
+T細胞またはCD4
+T細胞であり得る。代替的な実施形態では、細胞は、CAR−NK細胞が後に投与される同じ対象から得られたNK細胞などのNK細胞であり得る。
【0192】
本明細書に記載される少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞の集団もまた提供される。細胞の集団は、いずれの組換え発現ベクターも含まない少なくとも1つの他の細胞、例えば、宿主細胞(例えば、T細胞)、またはT細胞以外の細胞、例えば、B細胞、マクロファージ、好中球、赤血球、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋肉細胞、脳細胞などに加えて、記載される組換え発現ベクターのいずれかを含む宿主細胞を含む不均一集団であり得る。あるいは、細胞の集団は、CARをコードする組換え発現ベクターを含む宿主細胞を主に含む(例えば、それから本質的になる)、実質的に均一な集団であり得る。集団はまた、集団の全ての細胞が、組換え発現ベクターを含む単一の宿主細胞のクローンであり、その結果、集団の全ての細胞がこの組換え発現ベクターを含む、細胞のクローン性集団であり得る。本発明の一実施形態では、細胞の集団は、本明細書に記載される組換え発現ベクターを含む宿主細胞を含むクローン性集団である。T細胞は、CD3+T細胞、例えば、CD8
+T細胞またはCD4
+T細胞であり得る。一部の実施形態では、T細胞は、エプスタイン・バーウイルスで形質転換される。参照により本明細書に組み込まれる、Savoldoら、Blood 110巻:2620〜2630頁、2007年を参照のこと。他の実施形態では、細胞は、レシピエントにとって異種であり(以下を参照のこと)、HLAクラスIおよび/またはT細胞受容体が欠失しており、したがって、移植片対宿主病(GVHD)も宿主対移植片反応も惹起しない。細胞はまた、NK細胞であり得る。細胞は、レシピエントにとって自家、または同種であり得る。これらの集団は、本明細書で開示される方法のいずれかで使用される。
【0193】
処置の方法および医薬組成物
腫瘍を処置するための方法が本明細書で開示され、腫瘍の細胞は、CCR4を発現し、具体的には、CCR4をコードするmRNAおよび/またはCCR4タンパク質を産生する。一部の実施形態では、腫瘍は、リンパ系悪性腫瘍などの悪性腫瘍である。リンパ系悪性腫瘍は、成人T細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、ホジキンリンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であり得る。成人T細胞白血病は、慢性、急性、くすぶり型またはリンパ腫型のタイプであり得る。皮膚T細胞リンパ腫は、菌状息肉症、パジェット様細網症、セザリー症候群、肉芽腫様弛緩皮膚、リンパ腫様丘疹症、慢性苔癬状粃糠疹、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、CD30+皮膚T細胞リンパ腫、続発性皮膚CD30+大細胞型リンパ腫、非菌状息肉症CD30−皮膚大細胞型T細胞リンパ腫、多形性T細胞リンパ腫、レンネルトリンパ腫、皮下型T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫または芽球型NK細胞リンパ腫であり得る。具体的な非限定的な例では、皮膚T細胞リンパ腫は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)/皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)または菌状息肉症(MF)/セザリー症候群(SS)である。他の実施形態では、腫瘍は固形腫瘍であり、腫瘍の細胞は、CCR4を発現し、具体的には、CCR4をコードするmRNAおよび/またはCCR4タンパク質を産生する。固形悪性腫瘍などの固形腫瘍の具体的な非限定的な例は、乳、卵巣、胃または食道がんである。理論に束縛されないが、微小環境中のTregは、本明細書で開示されるCARを使用して標的化され得る。
【0194】
方法は、CARをコードするレンチウイルスベクターなどのベクターを含む医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップ、ならびに/またはCARを発現するT細胞および/もしくはNK細胞などの細胞を含む医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含む。
【0195】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染およびその結果生じる後天性免疫不全症候群(AIDS)は、抗HIV治療剤を開発するための大規模な努力にもかかわらず、世界の公衆衛生にとって依然として脅威である。抑制的な組合せ抗レトロウイルス処置(cART)にもかかわらず持続するウイルスは、HIV感染の根治的処置にとって依然として障壁である。二次リンパ系組織のB細胞濾胞の免疫特権部位中に避難した感染T濾胞性ヘルパー細胞(Tfh)は、かかる残留ウイルスの重要な供給源を示し、これは、少なくとも一部は、他の部位から感染細胞を除去できるエフェクターCD8+T細胞が、B細胞濾胞に効率的にアクセスできないからである。HIV感染を有する対象などの対象を処置するための方法が、本明細書で開示される。方法は、CARを発現するT細胞および/またはNK細胞の治療有効量を対象に投与するステップを含む。
【0196】
一部の実施形態では、CARをコードするレンチウイルスベクターなどのベクターを含む医薬組成物の治療有効量を対象に投与すること、ならびに/またはCARを発現するT細胞および/もしくはNK細胞などの細胞を含む医薬組成物の治療有効量を投与することによって、HIV感染を処置する方法が開示される。それを必要とする対象は、化学療法もしくは手術(がんについて)または抗ウイルス剤(HIV感染について)による標準的な処置を引き続いて受けてもよい。対象においてHIVに対する免疫系を増強するためなどの、免疫応答を増加させるための方法が、本明細書で開示される。本明細書で開示されるCARを発現するT細胞の投与は、残留HIVを排除する、例えばB細胞濾胞において、残留ウイルスを低減させるまたは排除する、対象の能力を増加させる。
【0197】
医薬組成物は、1種または複数の薬学的または生理的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載されるCAR発現細胞、例えば、複数のCAR発現細胞を含み得る。CAR発現細胞は、T細胞、例えば、CD3
+T細胞、例えば、CD4
+および/もしくはCD8
+T細胞、ならびに/またはNK細胞であり得る。かかる組成物は、緩衝液、例えば、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン;抗酸化剤;キレート剤、例えば、EDTAまたはグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および防腐剤を含み得る。
【0198】
細胞は、レシピエントにとって自家であり得る。しかし、細胞は、異種(同種)でもあり得る。一部の実施形態では、細胞は、T細胞、例えば、エプスタイン・バーウイルスで形質転換されたT細胞である。参照により本明細書に組み込まれる、Savoldoら、Blood 110巻:2620〜2630頁、2007年を参照のこと。他の実施形態では、細胞は、レシピエントにとって異種(同種)であり(以下を参照のこと)、HLAクラスIおよび/またはT細胞受容体が欠失しており、したがって、移植片対宿主病(GVHD)も宿主対移植片反応も惹起しない。
【0199】
細胞に関して、例えば、緩衝食塩水などの種々の水性担体が、細胞を導入するために使用され得る。これらの溶液は、無菌であり、一般に、望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の無菌化技術によって無菌化され得る。組成物は、生理的条件に近づけるために必要に応じて、薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤など、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含有し得る。これらの製剤中の濃度は、広く変動し得、選択された特定の投与様式および対象の要求に従って、流体体積、粘度、体重などに主に基づいて選択される。
【0200】
一実施形態では、医薬組成物は、混入物、例えば、内毒素、マイコプラズマ、複製コンピテントなレンチウイルス(RCL)、p24、VSV−G核酸、HIV gag、残留抗CD3/抗CD28コーティングされたビーズ、マウス抗体、プールされたヒト血清、ウシ血清アルブミン、ウシ血清、培養培地構成成分、ベクターパッケージング細胞またはプラスミド構成成分、細菌および真菌を実質的に含まない、例えば、検出可能なレベルのそれらは存在しない。
【0201】
投与される組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、転移の程度、および患者(対象)の状態における個々の差異を考慮して、医師によって決定され得る。本明細書に記載されるT細胞(および/またはNK細胞)を含む医薬組成物は、その範囲内の全ての整数値を含む、10
4〜10
9細胞/kg体重、例えば、10
5〜10
6細胞/kg体重の投薬量で投与され得ると一般に言うことができる。例示的な用量は、10
6細胞/kg〜約1×10
8細胞/kg、例えば、約5×10
6細胞/kg〜約7.5×10
7細胞/kg、例えば、約2.5×10
7細胞/kg、または約5.0×10
7細胞/kgである。
【0202】
組成物は、これらの投薬量において1回または複数回、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10回投与され得る。組成物は、免疫療法において一般に公知の注入技術を使用することによって投与され得る(例えば、Rosenbergら、New Eng. J. of Med.319巻:1676頁、1988年を参照のこと)。組成物は、毎日、毎週、1ヶ月に2回(bimonthly)または毎月投与され得る。一部の非限定的な例では、組成物は、静脈内投与のために製剤化され、複数回投与される。投与の量および頻度は、対象の状態、ならびに対象の疾患の型および重症度などの因子によって決定されるが、適切な投薬量は、臨床試験によって決定され得る。
【0203】
一実施形態では、CARは、T細胞またはNK細胞などの細胞中に導入され、対象は、細胞の初回投与および細胞の1または複数回の引き続く投与を受け、1または複数回の引き続く投与は、以前の投与の15日未満後、例えば、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3または2日後に投与される。一実施形態では、1週間当たり、CAR細胞の1回よりも多い投与が対象(例えば、ヒト)に投与され、例えば、1週間当たり、本発明のCAR細胞の2、3または4回の投与が投与される。一実施形態では、対象は、1週間当たり、CAR T細胞の1回よりも多い投与(例えば、1週間当たり2、3または4回の投与)を受け(サイクルとも呼ばれる)、その後、CAR細胞投与なしの1週間が続き、次いで、CAR細胞の1または複数回のさらなる投与(例えば、1週間当たりCAR T細胞の1回よりも多い投与)が対象に投与される。別の実施形態では、対象(例えば、ヒト対象)は、1回よりも多いサイクルのCAR細胞を受け、各サイクル間の時間は、10、9、8、7、6、5、4または3日未満である。一実施形態では、CAR細胞は、1週間当たり3回の投与にわたって、1日おきに投与される。別の実施形態では、CAR細胞は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8週間またはそれよりも長い週にわたって投与される。患者に投与される上記処置の投薬量は、処置される状態および処置のレシピエントの正確な性質によって変動する。ヒト投与のための投薬量の縮小拡大は、当該分野で受容された実務に従って実施され得る。
【0204】
一部の実施形態では、CAR改変されたT細胞は、in vivoで複製でき、持続性の腫瘍制御をもたらし得る長期持続を生じる。種々の態様では、対象に投与されるT細胞、またはこれらの細胞の子孫は、対象へのT細胞の投与後、少なくとも4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、13ヶ月間、14ヶ月間、15ヶ月間、16ヶ月間、17ヶ月間、18ヶ月間、19ヶ月間、20ヶ月間、21ヶ月間、22ヶ月間、23ヶ月間または数年間にわたって、対象において持続する。他の実施形態では、細胞およびそれらの子孫は、対象へのT細胞の投与後、6ヶ月間、5ヶ月間、4ヶ月間、3ヶ月間、2ヶ月間または1ヶ月間未満、例えば、3週間、2週間、1週間にわたって存在する。
【0205】
対象組成物の投与は、注射、摂取、輸注、インプランテーションまたは移植によるものを含む、任意の簡便な様式で実施され得る。開示された組成物は、経動脈で、皮下で、真皮内で、腫瘍内で、リンパ節内で、髄内で、筋肉内で、静脈内(i.v.)注射によって、または腹腔内で、患者に投与され得る。一部の実施形態では、組成物は、真皮内または皮下注射によって患者に投与される。他の実施形態では、本発明の組成物は、i.v.注射によって投与される。組成物はまた、腫瘍またはリンパ節中に直接注射され得る。
【0206】
一部の実施形態では、対象は、目的の細胞、例えば、T細胞およびまたはNK細胞を選択および/または単離するために、白血球がex vivoで収集、富化または枯渇される、白血球アフェレーシスを受け得る。これらの細胞単離体は、当該分野で公知の方法によって拡大増殖され得、1つまたは複数のCAR構築物が導入され、それによって、CARを発現する自家細胞を創出できるように、処置され得る。一態様では、CAR発現細胞は、レンチウイルスウイルスベクターを使用して生成される。
【0207】
一部の実施形態では、T細胞および/またはNK細胞は自家である。他の実施形態では、T細胞および/またはNK細胞は同種である。次いで、T細胞および/またはNK細胞は、上に開示されたように、対象中に導入される。一実施形態では、細胞は、形質導入後4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15日間にわたって、ベクターを一過的に発現する。非限定的な一例では、ベクターは、エレクトロポレーションによってT細胞中に形質導入される。
【0208】
一部の実施形態では、対象には、開示されたCARを発現するT細胞および/またはNK細胞の治療有効量が投与される。特定の実施形態(参照により本明細書に組み込まれる、米国出願公開第US20140271635号A1を参照のこと)では、拡大増殖および遺伝子改変の前に、T細胞の供給源が、対象から得られる。
【0209】
用語「対象」は、免疫応答が惹起され得る生きた生物(例えば、哺乳動物)を含むことが意図される。対象の例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ブタ(および他の獣医学対象)および非ヒト霊長類が含まれる。T細胞は、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含むいくつかの供給源から得ることができる。他の実施形態では、当該分野で入手可能ないくつものT細胞株が使用され得る。一部の非限定的な例では、T細胞および/またはNK細胞は、当業者に公知のいくつもの技術、例えば、FICOLL(商標)分離を使用して対象から収集された血液の単位から得ることができ、または細胞は、アフェレーシスによって得ることができる。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、NK細胞を含むリンパ球、他の有核白血球細胞、赤血球細胞および血小板を含有する。一部の具体的な非限定的な例では、細胞は自家である。
【0210】
アフェレーシスによって収集された細胞は、血漿画分を除去するため、および引き続くプロセシングステップに適切な緩衝液または培地中に細胞を配置するために、洗浄され得る。一部の非限定的な例では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。代替的な例では、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得るか、または全てではないにしろ多くの二価カチオンを欠き得る。カルシウムの非存在下での初回活性化ステップは、拡大された活性化をもたらし得る。洗浄ステップは、例えば、製造業者の指示に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー、Baxter CYTOMATE(登録商標)またはHAEMONETICS CELL SAVER 5(登録商標))を使用することによって、当該分野で公知の方法によって達成され得る。洗浄後、細胞は、種々の生体適合性緩衝液、例えば、緩衝液ありまたはなしの食塩水溶液中に再懸濁され得る。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない構成成分が除去され得、細胞が、培養培地中で直接再懸濁され得る。
【0211】
一部の実施形態では、T細胞は、赤血球細胞を溶解させ、例えば、PERCOLL(商標)勾配を介した遠心分離によって、または向流遠心水簸によって単球を枯渇させることによって、末梢血リンパ球から単離される。T細胞の特定の下位集団、例えば、CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+およびCD45RO+T細胞は、陽性または陰性選択技術によってさらに単離され得る。例えば、T細胞は、所望のT細胞の陽性選択に十分な期間にわたる、抗CD3/抗CD28(例えば、3×28)コンジュゲートビーズ、例えば、DYNABEADS(登録商標)M−450 CD3/CD28 Tとのインキュベーションによって単離され得る。米国出願公開第US20140271635号A1を参照のこと。非限定的な例では、期間は約30分間である。他の非限定的な例では、期間は、30分間から36時間またはそれよりも長い期間までの範囲、およびそれらの間の全ての整数値である。さらなる非限定的な例では、期間は、少なくとも1、2、3、4、5、6時間、10〜24時間、24時間またはそれよりも長い期間である。より長いインキュベーション時間が、免疫無防備状態の個体からの単離などにおいて、他の細胞型と比較して少ないT細胞が存在する任意の状況においてT細胞を単離するために使用され得る。さらに、より長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕捉の効率を増加させ得る。したがって、T細胞をCD3/CD28ビーズに結合させる時間を単純に短縮もしくは延長すること、および/またはビーズのT細胞に対する比を増加もしくは減少させることによって(本明細書にさらに記載される)、T細胞の下位集団は、培養の開始時に、またはプロセスの間の他の時点において、それについてまたはそれに対して優先的に選択され得る。さらに、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比を増加または減少させることによって、T細胞の下位集団は、培養の開始時に、または他の所望の時点において、それについてまたはそれに対して優先的に選択され得る。複数ラウンドの選択も使用され得る。
【0212】
陰性選択によるT細胞集団の富化は、陰性選択された細胞に独自の表面マーカーに対する抗体の組合せを用いて達成され得る。1つの方法は、細胞選別および/または陰性選択される細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する陰性磁性免疫付着もしくはフローサイトメトリーを介した選択である。例えば、陰性選択によってCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA−DRおよびCD8に対する抗体を含む。1種または複数のサイトカインを発現するT細胞集団が選択され得る。細胞発現についてスクリーニングするための方法は、PCT公開第WO2013/126712号に開示されている。
【0213】
陽性または陰性選択による細胞の所望の集団の単離について、細胞とビーズとの最大の接触を確実にするために、細胞および表面(例えば、粒子、例えばビーズ)の濃度は変動され得る。一部の実施形態では、10億細胞/mlの濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億細胞/mlよりも高い濃度が使用される。他の実施形態では、10、15、20、25、30、35、40、45、50、65、70、75、80、85、90、95または100×100万細胞/mlの細胞の濃度が使用される。理論に束縛されないが、高い濃度を使用することは、増加した細胞収量、細胞活性化および細胞拡大増殖を生じ得る。より低い濃度の細胞も使用され得る。理論に束縛されないが、T細胞および表面(例えば、粒子、例えばビーズ)の混合物を顕著に希釈することで、粒子と細胞との間の相互作用は最小化される。これは、粒子に結合される所望の抗原を高い量で発現する細胞について選択する。例えば、CD4+T細胞は、より高いレベルのCD28を発現し、希薄な濃度でCD8+T細胞よりも効率的に捕捉される。一部の実施形態では、使用される細胞の濃度は、5×10
6/mlである。他の実施形態では、使用される濃度は、約1×10
5/ml〜1×10
6/ml、およびそれらの間の任意の整数値であり得る。
【0214】
細胞は、2〜10℃または室温のいずれかにおいて変動する速度で変動する長さの時間にわたってローテーター上でインキュベートされ得る。刺激のためのT細胞はまた、洗浄ステップの後に凍結もされ得る。理論に束縛されないが、凍結および引き続く解凍のステップは、細胞集団中の顆粒球、およびある程度までは単球を除去することによって、より均一な産物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄ステップの後、細胞は、凍結溶液中に懸濁され得る。多くの凍結溶液およびパラメーターが当該分野で公知であり、これに関して有用であるが、1つの方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSO、もしくは31.25%Plasmalyte−A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSOを含有する培養培地、または例えば、HespanおよびPlasmaLyte Aを含有する他の適切な細胞凍結培地を使用することを含み、次いで、細胞は、1分当たり1度の速度で−80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中で貯蔵される。制御された凍結の他の方法、ならびに−20℃でまたは液体窒素中で即座の制御されない凍結が使用され得る。米国公開第US−2014−0271635号A1を参照のこと。
【0215】
血液試料またはアフェレーシス産物は、本明細書に記載される拡大増殖された細胞が必要とされ得る前の期間において、対象から収集され得る。このように、拡大増殖される細胞の供給源は、必要な任意の時点で収集され得、所望の細胞、例えばT細胞は、本明細書に記載されるものなどの、T細胞治療から利益を得るいくつもの疾患または状態に対するT細胞治療における後の使用のために単離および凍結され得る。一態様では、血液試料またはアフェレーシスは、概して健康な対象から採取される。ある特定の態様では、血液試料またはアフェレーシスは、疾患を発達させるリスクがあるが疾患をまだ発達させていない概して健康な対象から採取され、目的の細胞は、後の使用のために単離および凍結される。ある特定の態様では、T細胞は、後の時点において拡大増殖、凍結および使用され得る。ある特定の態様では、試料は、本明細書に記載される特定の疾患の診断の直後であるが任意の処置の前に、患者から収集される。さらなる態様では、細胞は、薬剤、例えば、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートおよびFK506、抗体、または他の免疫除去剤(immunoablative agents)、例えば、CAMPATH、抗CD3抗体、cytoxan、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、および照射による処置が含まれるがこれらに限定されない、いくつもの適切な処置モダリティーの前に、対象由来の血液試料またはアフェレーシスから単離される。ある特定の態様では、凍結保存された細胞は、本明細書に記載されるように解凍および洗浄され、使用前に室温で1時間静置される。血液試料またはアフェレーシス産物は、必要に応じて対象から収集され得、凍結されなくてもよい。
【0216】
T細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号;同第6,534,055号;同第6,905,680号;同第6,692,964号;同第5,858,358号;同第6,887,466号;同第6,905,681号;同第7,144,575号;同第7,067,318号;同第7,172,869号;同第7,232,566号;同第7,175,843号;同第5,883,223号;同第6,905,874号;同第6,797,514号;同第6,867,041号;および米国特許出願公開第20060121005号に記載される方法を一般に使用して、活性化および拡大増殖され得る。
【0217】
T細胞は、それに結合したCD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する因子およびT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドを有する表面との接触によって、拡大増殖され得る。一部の非限定的な例では、T細胞集団は、例えば、表面上に固定化された抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片、または抗CD2抗体との接触によって、あるいはカルシウムイオノフォアと併せた、タンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触によって、本明細書に記載されるように刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触され得る。CD4+T細胞またはCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体。抗CD28抗体の例には、9.3、B−T3、XR−CD28(Diaclone、Besancon、France)が含まれ、これらは、当該分野で一般に公知の他の方法と同様に使用され得る(Bergら、Transplant Proc.30巻(8号):3975〜3977頁、1998年;Haanenら、J. Exp. Med.190巻(9号):13191328頁、1999年;Garlandら、J. Immunol. Meth.227巻(1〜2号):53〜63頁、1999年)。
【0218】
CCR4 CARがいったん構築されると、種々のアッセイが、例えば、抗原刺激後にT細胞を拡大増殖させる能力、再刺激の非存在下でT細胞の拡大増殖を持続する能力、ならびに適切なin vitroおよび動物モデルにおける抗がん活性であるがこれらに限定されない分子の活性を評価するために使用され得る。
【0219】
CARを発現する単離された免疫細胞、例えば、T細胞、例えば、CD3
+T細胞、例えば、CD4
+および/もしくはCD8
+T細胞、ならびに/またはNK細胞は、対象への投与に適切な薬学的に許容される担体、例えば、緩衝食塩水または別の媒体中で投与され得る。細胞は、他の細胞と併せて、または他の細胞の非存在下で投与され得る。一実施形態では、細胞の単離された集団を含有する組成物は、1種または複数のさらなる医薬剤、例えば、1種または複数の抗微生物剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤および抗真菌剤)、抗腫瘍剤(例えば、フルオロウラシル、メトトレキサート、パクリタキセル、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシンまたはビンクリスチン)、枯渇剤(例えば、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシンまたはビンクリスチン)、または非ステロイド性抗炎症剤、例えば、アセチルサリチル酸、イブプロフェンもしくはナプロキセンナトリウム)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−2)、またはワクチンもまた含有し得る。多くの化学療法剤が、現在当該分野で公知である。一実施形態では、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、インターカレート抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、抗生存剤、生物学的応答改変因子、抗ホルモン薬、例えば抗アンドロゲン薬および抗血管形成剤からなる群から選択される。
【0220】
他の実施形態では、対象には、in vivo産生を提供するために、CARをコードするDNAが投与される。核酸構築物による免疫化は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第5,643,578号および米国特許第5,593,972号および米国特許第5,817,637号に教示されている。米国特許第5,880,103号は、コードする核酸の生物への送達のいくつかの方法を記載している。これらの方法には、核酸のリポソーム送達が含まれる。かかる方法は、当業者によって、抗体またはその抗体結合性断片の産生に適用され得る。
【0221】
核酸の投与のための1つのアプローチは、プラスミドDNA、例えば、哺乳動物発現プラスミドを用いた直接的投与である。開示された抗体またはその抗体結合性断片をコードするヌクレオチド配列は、発現を増加させるために、プロモーターの制御下に配置され得る。
【0222】
核酸を使用するための別のアプローチでは、開示されたCARは、弱毒化ウイルス宿主もしくはベクターまたは細菌ベクターによっても発現され得る。組換えワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、サイトメガロウイルスまたは他のウイルスベクターが、抗体を発現させるために使用され得る。例えば、ワクシニアベクターおよび方法有用なプロトコールは、米国特許第4,722,848号に記載されている。BCG(カルメット・ゲラン桿菌)は、開示された抗体の発現のための別のベクターを提供する(Stover、Nature 351巻:456〜460頁、1991年を参照のこと)。具体的な非限定的な例では、ベクターはレンチウイルスベクターである。
【0223】
一実施形態では、開示されたCARをコードする核酸は、細胞中に直接導入される。例えば、核酸は、標準的な方法によって金ミクロスフェア上に負荷され得、Bio−RadのHELIOS(商標)Gene Gunなどのデバイスによって導入され得る。核酸は、強いプロモーターの制御下にあるプラスミドからなる「ネイキッド」であり得る。核酸は、RNAであり得る;CARをコードするRNAは、細胞に直接投与され得る。一部の実施形態では、細胞は、NK細胞またはT細胞である。
【0224】
悪性腫瘍の処置のために、方法は、さらなる化学療法剤、手術または放射線の治療有効量を対象に投与するステップもまた含み得る。一部の実施形態では、悪性腫瘍は、リンパ系悪性腫瘍、例えば、成人T細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、ホジキンリンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。対象は、例えば、乳がん、卵巣がん、胃がんまたは食道がんであるがこれらに限定されない固形腫瘍もまた有し得る。
【0225】
化学療法剤は、抗体であり得る。抗体は、凍結乾燥形態で提供され得、投与前に無菌の水で再水和され得るが、これらは、既知の濃度の無菌溶液でも提供される。次いで、抗体溶液は、0.9%塩化ナトリウム、USPを含有する注入バッグに添加され、典型的には、0.5〜15mg/kg体重の投薬量で投与される。1997年のRITUXAN(登録商標)の承認以来、米国で市販されている抗体薬物の投与におけるかなりの経験が、当該分野において利用可能である。抗体は、プログラム死(PD)−1またはプログラム死リガンド(PD−L1)に特異的に結合し得る(以下を参照のこと)。抗体は、静脈内プッシュまたはボーラスでではなく、緩徐な注入によって投与され得る。一例では、より高い負荷用量が投与され、引き続いて、維持用量が、より低いレベルで投与される。例えば、4mg/kgの初回負荷用量が、約90分間の期間にわたって注入され得、その後、以前の用量が十分に耐容された場合、4〜8週間にわたる、30分間の期間にわたって注入される2mg/kgの毎週の維持用量が続き得る。
【0226】
悪性腫瘍の処置のためのさらなる実施形態では、本明細書に記載されるCAR発現細胞は、手術、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートおよびFK506、抗体、または他の免疫除去剤、例えば、CAMPATH、抗CD3抗体もしくは他の抗体治療、cytoxin、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、ならびに照射と組み合わせた処置レジメンにおいて使用され得る。Izumotoら、2008年J Neurosurg 108巻:963〜971頁に記載されるものなどのペプチドワクチン。例示的な化学療法剤には、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ダカルバジン(decarbazine)、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ(alemtuzamab)、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ)、代謝拮抗薬(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、フルダラビン)を含む)、mTOR阻害剤、TNFRグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシンまたはボルテゾミブ)、免疫調節薬、例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体(例えば、レナリドミド)が含まれる。
【0227】
組合せ治療における使用のために検討される一般的な化学療法剤には、アナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))、ビカルタミド(CASODEX(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(BLENOXANE(登録商標))、ブスルファン(MYLERAN(登録商標))、ブスルファン注射(BUSULFEX(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、N4−ペントキシカルボニル−5−デオキシ−5−フルオロシチジン、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標))、カルムスチン(BICNU(登録商標))、クロラムブシル(LEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(PLATINOL(登録商標))、クラドリビン(LEUSTATIN(登録商標))、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)またはNEOSAR(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(CYTOSAR−U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DEPOCYT(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−DOME(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(CERUBIDINE(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射(DAUNOXOME(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、RUBEX(登録商標))、エトポシド(VEPESID(登録商標))、リン酸フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、5−フルオロウラシル(ADRUCIL(登録商標)、EFUDEX(登録商標))、フルタミド(EULEXIN(登録商標))、テザシチビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(HYDREA(登録商標))、イダルビシン(IDAMYCIN(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標))、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(ALKERAN(登録商標))、6−メルカプトプリン(PURINETHOL(登録商標))、メトトレキサート(FOLEX(登録商標))、ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))、mylotarg、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、フェニックス(phoenix)(イットリウム90/MX−DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロサン(polifeprosan)20カルムスチンインプラント(GLIADEL(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、テニポシド(VUMON(登録商標))、6−チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(TIRAZONE(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(HYCAMPTIN(登録商標))、ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))およびビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))が含まれる。例示的なアルキル化剤には、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレアおよびトリアゼン):ウラシルマスタード(AMINOURACIL MUSTARD(登録商標)、CHLORETHAMINACIL(登録商標)、DEMETHYLDOPAN(登録商標)、DESMETHYLDOPAN(登録商標)、HAEMANTHAMINE(登録商標)、NORDOPAN(登録商標)、URACIL NITROGEN MUSTARD(登録商標)、URACILLOST(登録商標)、URACILMOSTAZA(登録商標)、URAMUSTIN(登録商標)、URAMUSTINE(登録商標))、クロルメチン(MUSTARGEN(登録商標))、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標)、CLAFEN(登録商標)、ENDOXAN(登録商標)、PROCYTOX(登録商標)、REVIMMUNE(商標))、イホスファミド(MITOXANA(登録商標))、メルファラン(ALKERAN(登録商標))、クロラムブシル(LEUKERAN(登録商標))、ピポブロマン(AMEDEL(登録商標)、VERCYTE(登録商標))、トリエチレンメラミン(HEMEL(登録商標)、HEXYLEN(登録商標)、HEXASTAT(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン(triethylenethiophosphoramine)、テモゾロミド(TEMODAR(登録商標))、チオテパ(THIOPLEX(登録商標))、ブスルファン(BUSILVEX(登録商標)、MYLERAN(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CEENU(登録商標))、ストレプトゾシン(ZANOSAR(登録商標))およびダカルバジン(DTIC−DOME(登録商標))が含まれるがこれらに限定されない。さらなる例示的なアルキル化剤には、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標));テモゾロミド(TEMODAR(登録商標)およびTEMODAL(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン−Dとしても公知、COSMEGEN(登録商標));メルファラン(L−PAM、L−サルコリシン(sarcolysin)およびフェニルアラニンマスタードとしても公知、ALKERAN(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、HEXYLEN(登録商標));カルムスチン(BICNU(登録商標));ベンダムスチン(TREANDA(登録商標));ブスルファン(BUSULFEX(登録商標)およびMYLERAN(登録商標));カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても公知、CEENU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても公知、PLATINOL(登録商標)およびPLATINOL(登録商標)−AQ);クロラムブシル(LEUKERAN(登録商標));シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)およびNEOSAR(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミドとしても公知、DTIC−DOME(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、HEXYLEN(登録商標));イホスファミド(IFEX(登録商標));プレドニムスチン(Prednumustine);プロカルバジン(MATULANE(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチン(mustine)および塩酸メクロレタミン(mechloroethamine)としても公知、MUSTARGEN(登録商標));ストレプトゾシン(ZANOSAR(登録商標));チオテパ(チオホスホアミド(thiophosphoamide)、TESPAおよびTSPAとしても公知、THIOPLEX(登録商標));シクロホスファミド(ENDOXAN(登録商標)、CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標)、PROCYTOX(登録商標)、REVIMMUNE(登録商標));およびベンダムスチンHCl(TREANDA(登録商標))が含まれるがこれらに限定されない。例示的なmTOR阻害剤には、例えば、テムシロリムス;リダフォロリムス(以前にはデフェロリムス(deferolimus)として公知、(1R,2R,4S)−4−[(2R)−2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−2,3,10,14,20−ペンタオキソ−11,36−ジオキサ−4−アザトリシクロ[30.3.1.0
4,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−12−イル]プロピル]−2−メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573およびMK8669としても公知、PCT公開第WO03/064383号に記載される);エベロリムス(AFINITOR(登録商標)またはRAD001);ラパマイシン(AY22989、SIROLIMUS(登録商標));シマピモド(simapimod)(CAS164301−51−3);テムシロリムス(emsirolimus)、(5−{2,4−ビス[(3S)−3−メチルモルホリン−4−イル]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル}−2−メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2−アミノ−8−[トランス−4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]−6−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−4−メチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF04691502、CAS1013101−36−4);ならびにN
2−[1,4−ジオキソ−4−[[4−(4−オキソ−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−2−イル)モルホリニウム−4−イル]メトキシ]ブチル]−L−アルギニルグリシル−L−α−アスパルチルL−セリン−、分子内塩(SF1126、CAS936487−67−1)およびXL765が含まれる。例示的な免疫調節薬には、例えば、アフツズマブ(ROCHE(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(NEULASTA(登録商標));レナリドミド(CC−5013、REVLIMID(登録商標));サリドマイド(THALOMID(登録商標))、アクチミド(actimid)(CC4047);およびIRX−2(インターロイキン1、インターロイキン2、およびインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS951209−71−5、IRX Therapeuticsから入手可能)が含まれる。例示的なアントラサイクリンには、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)およびRUBEX(登録商標));ブレオマイシン(LENOXANE(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン(dauorubicin)、ダウノマイシンおよび塩酸ルビドマイシン(rubidomycin)、CERUBIDINE(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DAUNOXOME(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、NOVANTRONE(登録商標));エピルビシン(ELLENCE(商標));イダルビシン(IDAMYCIN(登録商標)、IDAMYCIN PFS(登録商標));マイトマイシンC(MUTAMYCIN(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン(ravidomycin);およびデスアセチルラビドマイシン(desacetylravidomycin)が含まれる。例示的なビンカアルカロイドには、例えば、酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))およびビンデシン(ELDISINE(登録商標)));ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチンおよびVLBとしても公知、ALKABAN−AQ(登録商標)およびVELBAN(登録商標));ならびにビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))が含まれる。例示的なプロテオソーム阻害剤には、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));カルフィルゾミブ(PX−171−007、(S)−4−メチル−N−((S)−1−(((S)−4−メチル−1−((R)−2−メチルオキシラン−2−イル)−1−オキソペンタン−2−イル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)−2−((S)−2−(2−モルホリノアセトアミド)−4−フェニルブタンアミド)−ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI−0052);イキサゾミブクエン酸エステル(MLN−9708);デランゾミブ(CEP−18770);およびO−メチル−N−[(2−メチル−5−チアゾリル)カルボニル]−L−セリル−O−メチル−N−[(1S)−2−[(2R)−2−メチル−2−オキシラニル]−2−オキソ−1−(フェニルメチル)エチル]−L−セリンア
ミド(ONX−0912)が含まれる。例示的なGITRアゴニストには、例えば、GITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)、例えば、米国特許第6,111,090号、欧州特許第090505号B1、米国特許第8,586,023号、PCT公開第WO2010/003118号および同第2011/090754号に記載されるGITR融合タンパク質、または例えば、米国特許第7,025,962号、欧州特許第1947183号B1、米国特許第7,812,135号、米国特許第8,388,967号、米国特許第8,591,886号、欧州特許第EP1866339号、PCT公開第WO2011/028683号、PCT公開第WO2013/039954号、PCT公開第WO2005/007190号、PCT公開第WO2007/133822号、PCT公開第WO2005/055808号、PCT公開第WO1999/40196号、PCT公開第WO2001/03720号、PCT公開第WO1999/20758号、PCT公開第WO2006/083289号、PCT公開第WO2005/115451号、米国特許第7,618,632号およびPCT公開第WO2011/051726号に記載される抗GITR抗体などが含まれる。
【0228】
HIV感染の処置のために、対象には、抗レトロウイルス剤が投与され得る。抗レトロウイルス薬は、その薬物が阻害するレトロウイルス生活環の相によって大まかに分類される。開示された抗体は、ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(nRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、侵入阻害剤(または融合阻害剤)、成熟化阻害剤、または広いスペクトルの阻害剤、例えば、天然抗ウイルス薬と併せて投与され得る。例示的な薬剤には、ロピナビル、リトナビル、ジドブジン、ラミブジン、テノホビル、エムトリシタビンおよびエファビレンツが含まれる。
【0229】
一部の実施形態では、対象には、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤が投与され得る。例えば、一実施形態では、薬剤は、阻害性分子を阻害する薬剤であり得る。阻害性分子、例えば、プログラム死1(PD−1)は、一部の実施形態では、免疫エフェクター応答を開始させるCAR発現細胞の能力を減少させ得る。阻害性分子の例には、PD−1、PD−L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFR−ベータが含まれる。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質レベルでの阻害による、阻害性分子の阻害は、CAR発現細胞の性能を最適化できる。実施形態では、阻害性核酸、例えば、阻害性核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNAは、CAR発現細胞における阻害性分子の発現を阻害するために使用され得る。ある実施形態では、阻害剤はshRNAである。ある実施形態では、阻害性分子は、CAR発現細胞内で阻害される。これらの実施形態では、阻害性分子の発現を阻害するdsRNA分子は、CARの構成成分、例えば、全ての構成成分をコードする核酸に連結される。一実施形態では、阻害性シグナルの阻害剤は、例えば、阻害性分子に結合する抗体または抗体断片であり得る。例えば、薬剤は、PD−1、PD−L1、PD−L2またはCTLA4に結合する抗体または抗体断片(例えば、イピリムマブ(MDX−010およびMDX−101とも呼ばれ、YERVOY(登録商標)として市販されている;Bristol−Myers Squibb;トレメリムマブ(Pfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体、以前にはチシリムマブ(ticilimumab)として公知、CP−675,206))であり得る。ある実施形態では、薬剤は、TIM3に結合する抗体または抗体断片である。ある実施形態では、薬剤は、LAG3に結合する抗体または抗体断片である。
【0230】
プログラム死(PD)−1は、CD28、CTLA−4、ICOSおよびBTLAも含むCD28ファミリーの受容体の阻害性メンバーである。PD−1は、活性化されたB細胞、T細胞および骨髄系細胞上で発現される(Agataら、1996年、Int. Immunol 8巻:765〜75頁)。PD−1に対する2つのリガンドPD−L1およびPD−L2は、PD−1への結合の際にT細胞活性化を下方調節することが示されている(Freemanら、2000年、J Exp Med 192巻:1027〜34頁;Latchmanら、2001年、Nat Immunol 2巻:261〜8頁;Carterら、2002年、Eur J Immunol 32巻:634〜43頁)。PD−L1は、ヒトがん中で豊富である(Dongら、2003年、J Mol Med 81巻:281〜7頁;Blankら、2005年、Cancer Immunol. Immunother 54巻:307〜314頁;Konishiら、2004年、Clin Cancer Res 10巻:5094頁)。免疫抑制は、PD−1とPD−L1との局所的相互作用を阻害することによって逆転され得る。抗体、抗体断片、ならびにPD−1、PD−L1およびPD−L2の他の阻害剤は、当該分野で入手可能であり、本明細書に記載されるCCR4 CARと組み合わせて使用され得る。例えば、ニボルマブ(BMS−936558またはMDX1106とも呼ばれる;Bristol−Myers Squibb)は、PD−1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)およびPD−1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第8,008,449号およびPCT公開第WO2006/121168号に開示されている。ピディリズマブ(CT−011;Cure Tech)は、PD−1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピディリズマブおよび他のヒト化抗PD−1モノクローナル抗体は、PCT公開第WO2009/101611号に開示されている。ランブロリズマブ(MK03475とも呼ばれる;Merck)は、PD−1に結合するヒト化IgG
4モノクローナル抗体である。ランブロリズマブおよび他のヒト化抗PD−1抗体は、米国特許第8,354,509号およびPCT公開第WO2009/114335号に開示されている。MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD−L1に結合するヒトFc最適化IgG
1モノクローナル抗体である。MDPL3280AおよびPD−L1に対する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号および米国公開第2012/0039906号に開示されている。他の抗PD−L1結合剤には、YW243.55.S70(重鎖および軽鎖可変領域は、PCT公開第WO2010/077634号において配列番号20および21に示される)およびMDX−1 105(BMS−936559とも呼ばれる、例えば、PCT公開第WO2007/005874号に開示される抗PD−L1結合剤)が含まれる。AMP−224(B7−DCIg;Amplimmune;例えば、PCT公開第WO2010/027827号およびPCT公開第WO2011/066342号に開示されている)は、PD−1とB7−H1との間の相互作用を遮断するPD−L2 Fc融合可溶性受容体である。他の抗PD−1抗体には、とりわけ、AMP 514(Amplimmune)、例えば、米国特許第8,609,089号、米国公開第2010/028330号および/または米国公開第2012/0114649号に開示された抗PD−1抗体が含まれる。
キット
【0231】
キットもまた提供される。例えば、CCR4を発現するがんを有する対象を処置するための、またはHIVに対するキット。キットは、典型的には、CARをコードする開示された核酸、CAを発現するT細胞、またはかかる分子を含む組成物を含む。
【0232】
キットは、コンテナ、およびコンテナ上のまたはコンテナと関連するラベルまたは添付文書を含み得る。適切なコンテナには、例えば、ビン、バイアル、シリンジなどが含まれる。コンテナは、種々の材料、例えば、ガラスまたはプラスチックで形成され得る。コンテナは、典型的には、開示された抗体、抗原結合性断片、コンジュゲート、核酸分子または組成物のうち1つまたは複数を含む組成物を保持する。いくつかの実施形態では、コンテナは、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、コンテナは、皮下注射針によって突き刺し可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。ラベルまたは添付文書は、組成物が特定の状態を処置するために使用されることを示す。
【0233】
ラベルまたは添付文書は、典型的には、キット中に含まれる抗体、抗原結合性断片、コンジュゲート、核酸分子または組成物の使用のための指示書をさらに含む。添付文書は、典型的には、かかる治療製品の使用に関する適応症、用法、投薬量、投与、禁忌および/または警告についての情報を含む治療製品の市販の包装中に習慣的に含まれる指示書を含む。指示資料は、電子的形態(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクまたはコンパクトディスク)で書かれ得る、または視覚的であり得る(例えば、ビデオファイル)。キットは、キットがそれに対して設計される特定の適用を促進するために、さらなる構成成分もまた含み得る。したがって、例えば、キットは、標識を検出する手段(例えば、酵素標識のための酵素基質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、適切な二次標識、例えば二次抗体など)をさらに含み得る。キットは、特定の方法の実施のために慣用的に使用される緩衝液および他の試薬をさらに含み得る。かかるキットおよび適切な内容物は、当業者に周知である。
【実施例】
【0234】
CD19指向性のキメラ抗原受容体(CAR)を発現するex vivo改変された自家T細胞を用いて、CD19発現B細胞悪性腫瘍を処置することが、新たに成功している。このテクノロジーは、固形腫瘍を含む他の悪性腫瘍を処置するのに有効なモダリティーを開発するために拡張され得る。レンチウイルスベースのCAR遺伝子移入系を生成して、あるスペクトルのT細胞悪性腫瘍において、ならびに抗腫瘍免疫に対する障壁を構成する腫瘍微小環境中に蓄積するCD4
+CD25
+Foxp3
+調節性T細胞において過剰発現されるケモカイン受容体CCR4を標的化した。CCR4指向性CARを発現したex vivo改変されたドナー由来T細胞が、ATL、CTCL、ALCL、およびHDLのサブセットを代表する患者由来細胞株に対して、抗原依存的な強力な細胞傷害性を示したことが、本明細書で開示される。さらに、これらのCAR T細胞はまた、ATLのマウス異種移植モデルにおいて白血病を根絶し、これは、広いスペクトルのT細胞悪性腫瘍の処置におけるこのモダリティーの潜在的有用性を示している。
(実施例1)
材料および方法
【0235】
CCR4キメラ抗原受容体の構築およびレンチウイルスストック調製:抗ヒトCCR4モノクローナル抗体1567およびその親和性成熟したバリアントmAb2−3のヒト化は、mAb2−3の可変重(VH)および可変軽(VL)カッパドメインのアミノ酸配列と共に報告されており(参照により本明細書に組み込まれる、Changら、Mol Cancer Ther.2012年;11巻(11号):2451〜2461頁)、これらの配列を、本発明者らのCCR4 CAR構築物の構築において利用した。その分子配置は
図1Aに示される。CD8ヒンジおよび膜貫通ドメイン、4−1BB(CD137)シグナル伝達モジュールならびにCD3ζシグナル伝達モジュールのアミノ酸配列は、それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる、GENBANK(登録商標)受託番号NM_001768、U03397.1およびNM_00734に由来した。個々のドメイン配列を、1つの転写/翻訳単位へとアセンブルし、機能的単位のコドン最適化されたDNA配列を、de novoで合成した。次いで、合成DNA断片を、CSII−EF−MCS−IRES−Venusプラスミド中にクローニングした。次いで、得られた発現プラスミドに、ヒト胎児由来腎臓細胞HEK 293T中に、レンチウイルスパッケージングヘルパープラスミドpCAG−HIVgp(CAGプロモーター、HIV−1 gagおよびpol発現プラスミド)およびpCMV−VSV−Gを共トランスフェクトして、CCR4 CARコードレンチウイルス粒子のストックを生成した(第二世代非複製性)。HEK 293T細胞のトランスフェクション後、培養物上清を、48時間後に回収し、2500rpmで10分間遠心分離し、0.45ミクロンフィルターを通過させることによって清澄化した。次いで、清澄化した上清を、24000rpmで4℃で2時間の超遠心分離に供した。次いで、CCR4 CARレンチウイルスペレットを、一定体積のPBS中に溶解させて1000倍濃度を達成し、使用まで−80℃で貯蔵した。
【0236】
細胞および培養条件:ATL細胞株ED−40515(+)、ATL55T(+)、KOB、LM−Y1、KK1、ATL−43T(+)およびED−41214(+)の成長は、IL−2依存的であるが、ED−40515(−)、ST1、ATL−43Tb(−)、Su9T01、ATN1、ED−41214C(−)およびMT1は、IL−2非依存的であり、これらは記載されている(Nakagawaら、J Exp Med.2014年;211巻(13号):2497〜2505頁)。皮膚T細胞リンパ腫細胞株HH、HuT78、MJ、HuT102は、American Type Culture Collectionから得た。Mac−1、Mac−2AおよびMac2−B細胞株は、ALK陰性ALCLに由来するが、Karpas299、SUDHL−1、SR−786、SUP−M2およびDELは、ALK陽性ALCLに由来する。検出可能なCCR4 mRNAを欠く、ホジキン細胞株L428、HDLM−2、KM−H2およびL1236、ならびにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に由来するSUDHL−4も使用した。細胞株ATL41214は、CMVプロモーターから駆動される組み込まれたルシフェラーゼ遺伝子を有する、ED−41214C(−)の誘導体である。上記細胞株を、10%ウシ胎仔血清を有するRPMI中で培養した。健康なボランティアドナー由来の末梢血単核球を、インフォームドコンセントを得て、承認されたプロトコール下で得た。ヒトリンパ球を培養するために、10%ヒトAB血清(Invitrogen)および300IU/ml組換えヒトIL−2(Peprotec)を補充したAIM−V(Invitrogen)培地を使用した。
【0237】
T細胞形質導入:汎T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用して、ヒト末梢血単核球から手つかずのT細胞を精製し、次いで、細胞を、48時間にわたって、1細胞当たり3個のビーズの比でDynabeads T活性化因子CD3/CD28ビーズ(Life Technologies)を添加することによって、30IU/mlのIL−2の存在下で活性化した。retronectinコーティングされたディッシュ(Takara Bio)を、CCR4 CARレンチウイルス粒子を添加した後に、2000gで2時間最初に事前遠心分離して、32〜35℃でプレート表面にレンチウイルス粒子を吸着させ、次いで、活性化されたT細胞(1×10
6)を、ディッシュに添加した。次いで、培養培地中のIL−2濃度を300IU/mlまで増加させ、細胞を、およそ1〜3×10
6細胞/mlの細胞密度を維持しつつ、2日毎に新鮮な培地を供給することによって、37℃で拡大増殖させた。
【0238】
フローサイトメトリー:CCR4 CAR形質導入されたT細胞を免疫表現型決定するために、100万個の細胞を、CD4−PerCP、CD8−APCまたはプロテインL−ビオチン(Thermo Scientific)で染色した(Zhengら、J Transl Med.2012年;10巻:29頁)。細胞表面結合したプロテインLの存在を、SA−PerCPを用いて検出した。
【0239】
細胞傷害性:CCR4 CAR T細胞の細胞傷害性エフェクター活性を、ATL41214細胞株を使用して標準的な4時間
51Cr放出アッセイ(Phillipsら、Cancer Res.2000年;60巻(24号):6977〜6984頁)またはバイオフォトニック(biophotonic)細胞傷害性アッセイ(Brownら、J Immunol Methods.2005年;297巻(1〜2号):39〜52頁)のいずれかを使用し、マイクロプレートカウンター/ルミノメーター(PerkinElmer)を使用して示された時点におけるD−ルシフェリン(1ウェル当たり0.14mg/mlの最終濃度、Xenogen製)の添加による生物発光を測定して決定した。以下の式を使用して計算したパーセント特異的溶解:
%溶解=
[1−(CPS実験−CPS最小)]×100
(CPS
最大−CPS
最小)
【0240】
細胞増殖アッセイ:CCR4 CAR改変されたT細胞(0.5×10
5)を、3000ラドの線量で72時間照射した1×10
4のATL55T(+)(CCR4陽性)またはSUDHL−4細胞(CCR4陰性)のいずれかと共に三連で共培養した。含んだ対照は、単独で培養したCAR改変されたT細胞、単独で培養したATL55T(+)細胞、および単独で培養したSUDHL−4細胞であった。共培養期間の最後の6時間の間に、細胞に、1μCiの[
3H]チミジンをパルスした。[
3H]チミジンの取り込みを、β−カウンター(PerkinElmer)で測定した。
【0241】
サイトカイン測定:CCR4 CAR改変されたT細胞(0.5×10
5)を、3000ラドの線量で24時間照射したATL55T(+)またはSUDHL−4細胞(1×10
4)のいずれかと共に三連で共培養した。含んだ対照は、単独で培養したCAR改変されたT細胞、単独で培養したATL55T(+)細胞、および単独で培養したSUDHL−4細胞であった。培養物上清を回収し、サイトカインを、製造業者が提供した指示書に従ってV−PLEXヒトサイトカイン30−Plexキットを使用して測定し、変化倍数を、単独で培養したCAR改変された細胞について得られた値対ATL55T細胞と共に共培養した場合に基づいて計算した。
【0242】
Taqmanリアルタイム定量的PCRによるCCR4 mRNA転写物の検出:総細胞RNAを、市販のキット(QiagenのRNEASY(登録商標)ミニキット)を使用して単離した。逆転写(RT)反応を、Superscript IIII First−Strand Synthesis System(Invitrogen)を使用して各試料(60ng)について実施した。TAQMAN(登録商標)Gene Expression Master Mix、ヒトCCR4プライマー/プローブ(アッセイID:Hs00747615_s1)およびHPRT1プライマー/プローブ(カタログ番号4333768F)を、Life Technologies(Foster City、CA)から購入した。ヒトCCR4およびHPRT1の相対的定量化を、製造業者の指示に従ってABI7500 Real Time Sequence Detection System(Life Technologies)を使用して実施した。標的遺伝子発現を、ハウスキーピングHPRT1遺伝子発現に対して標準化した相対量についての比較方法を使用して計算した。
【0243】
in vivo研究:1000万個のATL41214 ATL細胞を、NSGマウス(NOD scidガンマ、NOD.Cg−Prkdc
scidIl2rg
tm1Wjl/SzJ JAX、Jackson Laboratories)の群中に、100マイクロリットルの体積で腹腔内接種した。3日間の生着期間後、処置群のマウスに、CAR改変されたT細胞(1×10
7細胞/動物)を腹腔内注射し、その後7日間にわたってヒトIL−2(600IU)の毎日の腹腔内注射を受けさせた。腫瘍負荷を、3mgのD−ルシフェリン/マウスを腹腔内注射した後、Xenogen IVIS画像化システム(Caliper Life Science)を使用して毎週測定した。ソフトウェアLiving Imageバージョン4.1を使用して、生物発光シグナルを光子/s/cm2/srとして分析した。
(実施例2)
キメラ抗原受容体で改変されたT細胞の産生および使用
【0244】
CAR分子の構造的配置は、
図1A中に示され、このCAR分子は、ヒト化抗CCR4抗体に由来する細胞外CCR4結合ドメインに加えて、4−1BB(CD137)およびCD3ζに由来する2つの細胞内シグナル伝達モジュールと共に、ヒトCD8分子に由来する膜貫通モジュールを含む。ドナー由来の活性化されたCD3
+T細胞に1回形質導入したところ、80%を超える形質導入効率が、フローサイトメトリーによるGFP陽性およびプロテインL結合活性によって決定される通り、常に達成された(
図1、パネルBおよびC)。培養物中での形質導入後72時間の期間の後の、形質導入された細胞集団中のCD4
+およびCD8
+サブセットの表示は、
図1のパネルDおよびEに示される。形質導入されたT細胞におけるCCR4標的化CARのロバストな発現を確認し、次いで、これらのCCR4指向性のCAR形質導入されたCD3+T細胞の機能的活性を評価した。細胞株ATL 41214は、HTLV−1関連慢性成人T細胞白血病を有する患者に由来し、細胞表面CCR4を発現するが、EBV関連NKリンパ腫を有する患者に由来したYT−1細胞株は、CCR4を発現しない(
図2、パネルAを参照のこと)。以前に、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するこれらの2つの細胞株の安定な誘導体を創出したが、これらのルシフェラーゼタグ化細胞株の利用能は、高感度の生物発光ベースの細胞溶解アッセイを使用することを可能にした。
図2Bに示されるように、細胞溶解活性は、標的およびエフェクター細胞の120分間の共培養によって明らかであり、20時間の観察期間を通じて増加し続けた。さらに、複数ラウンドの死滅に関与するこれらのCAR T細胞の能力は、特に、低いエフェクター:標的比における死滅活性の百分率を考慮する場合、経時的に増加し続けるデータによって明らかであり、したがって、このCARのロバストな機能性が検証された。
【0245】
今日までに報告された全てではないがほとんどの臨床試験では、最小のテロメア分解を伴った分化の最適な状態、および注入されている細胞の可能な老化または消耗の回避を確実にするために、ex vivoのCD28ベースの拡大増殖相を10〜12日間の期間に限定することに重点が置かれた。この問題をさらに探求する場合、最初の12日間のCD28ベースの拡大増殖の後に、CAR T細胞の拡大増殖を、IL−2(300IU/ml)の存在下で、照射されたED−41214C(−)細胞を用いて継続した。驚くべきことに、CAR T細胞は、実に最大で8週間ロバストに拡大増殖し続け、CCR4を保有する標的細胞を溶解することにおいて等しい効力をなおも保持した(
図2C)。対照的に、CCR4 CAR T細胞をYT−1細胞と共に共培養した場合、細胞溶解活性は観察されず、したがって、このCCR4 CARのロバストな機能性および特異性が検証された(
図2D)。
【0246】
CCR4指向性のCARアプローチのより広い有用性を評価するために、あるスペクトルのリンパ系悪性腫瘍を提示する患者由来の悪性細胞株のパネルを使用して、CCR4 CAR形質導入されたドナー由来CD3+T細胞に対するそれらの感受性を評価した(
図3)。細胞株ED−40515(+)、ATL55T(+)、KOB、LM−Y1、KK1、ATL−43T(+)およびED−41214(+)は、慢性/くすぶり型成人T細胞白血病を代表し、それらの成長についてIL−2依存的であるが(パネルA)、ED−40515(−)、ST1、ATL−43Tb(−)、Su9T01、ATN1、ED−41214C(−)およびMT1は、急性成人T細胞白血病患者由来であり、成長についてIL−2に依存しない(パネルB)。細胞株HH、HuT78、MJ、HuT102は、皮膚T細胞リンパ腫を代表する(パネルC)。細胞株Mac−1、Mac−2AおよびMac2−B細胞株は、染色体t(2;5)転座なしの未分化大細胞型リンパ腫に由来し、したがって、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)陰性であるが、Karpas299、SUDHL−1、SR−786、SUP−M2およびDELは、ALK陽性ALCLに由来した(パネルD)。ホジキン細胞株L428、HDLM−2、KM−H2およびL1236もまた、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に由来するSUDHL−4と同様、分析に含めた(パネルE)。
【0247】
T細胞悪性腫瘍に由来するほぼ全ての細胞株が、CCR4 CAR T細胞による溶解に対して感受性であったが、感受性のレベルは、試験した細胞株間でいくらか変動した。試験したALCL細胞株のパネルにおいて、ALK陰性細胞株(Mac−1、Mac−2AおよびMac−2B)の明確な分離が、ALK陽性細胞株よりも高感度の群として存在した。HDL細胞株を用いると、T細胞起源のHDLM−2およびB細胞起源のL428は共に、顕著な感受性を示したが、他のHDL細胞株は、DLBCL由来細胞株SUDHL−4と同様、不応性であった。
【0248】
全てのCTCLおよびATL細胞株はかなり高感度であったが、例外は、不応性であったED(−)40515であり、このことは、感受性における差異を説明する方法としての、ATL細胞株における細胞表面CCR4レベルの探索を促進する。CCR4の表面発現を、フローサイトメトリーによってこれらの細胞株上で決定したところ、それらのほとんどは、細胞表面上に検出可能なレベルのCCR4を有することが見出された(
図4を参照のこと)。フローサイトメトリーによって検出したCCR4の細胞表面発現は、定量的分析のための非常に高感度の尺度ではないようであったが、細胞表面CCR4レベルの傾向は、一般に、CCR4 CAR媒介性細胞溶解に対するそれらの感受性と対応した。しかし、ある特定の細胞株、例えば、SUDHL−1、Karpas299およびDELは、フローサイトメトリーによってCCR4発現について陰性であるにもかかわらず、CCR4 CAR T細胞に対して完全には不応性でなかった。したがって、CCR4 mRNAレベルを、定量的PCR(TAQMAN(登録商標))によってこれらの細胞株において測定し(
図5Aおよび以下の表2を参照のこと)、細胞表面CCR4発現よりも、CCR4 mRNAレベル間でのより良い相関が、溶解感受性と共に、フローサイトメトリーによって観察された(
図5を参照のこと)。例えば、CCR4 mRNAを欠くSUDHL−4およびED−40515もまた、YT−1細胞に加えて、CCR4 CAR T細胞媒介性細胞溶解に対して不応性であった。
図2Dを参照のこと。CCR4 CARの機能性をさらに記述して、増殖シグナルの強さを、CAR T細胞と照射したCCR4保有標的細胞との共培養によって測定した。H
3チミジン取り込みにおける3倍を超える増加が、72時間の期間内に見出された(
図5B)。
【0249】
並行実験において、標的細胞とCCR4 CAR T細胞との共培養によって誘発されたサイトカイン/ケモカインを、24時間の期間にわたって測定した(表1)。
【表1】
【表2】
【0250】
TNF−アルファ、TNF−ベータおよびIFN−ガンマなどのいくつかの炎症性サイトカインの誘導にもかかわらず、CAR T細胞治療と関連する場合が多い、サイトカイン放出症候群の主要な駆動因子であるサイトカインIL−6は誘導されず、これは、サイトカイン放出症候群において見られるIL−6の供給源がCAR T細胞ではないことを示している。CCR4 CAR T細胞におけるMIP−1αおよびMIP−1β発現の基底レベルはかなり高く(それぞれ、19ng/mlおよび31ng/ml)、これらのレベルは、標的細胞との共培養によってさらにいくらか増加した(それぞれ、36%および25%)。さらに、以下のサイトカインの意味のある誘導は検出されなかった:IL−12/23p40、IL−12p70、IL−15、IL−16、IL−1α、IL−1β、IL−7、VEGF、IL−10、エオタキシン、エオタキシン−3、IP−10、MCP−1、MCP−4、TARCおよびIL−17。
【0251】
最後に、CCR4 CARのin vivo有効性を、成人T細胞白血病のマウス異種移植モデルにおいて試験した。CCR4 CAR T細胞を注入したマウスは、腫瘍細胞を完全に根絶し、研究の終局において腫瘍を有さないままであったが(
図6のパネルB)、対照マウスは全て、ATL細胞移植の12週間後に、腫瘍細胞の継続的な成長を示した(
図6A)。腫瘍成長を、白血病性腫瘍負荷の代理測定値として生物発光イメージングフラックス(bioluminescence imaging flux)(光子/秒)を使用して定量化した(
図9)。
【0252】
T細胞悪性腫瘍は、臨床転帰不良を伴う場合が多いリンパ系新生物の不均一な群を示す(Fossら、Blood.2011年;117巻(25号):6756〜6767頁)。t(2;5)を有するALK(+)ALCLをおそらくは除いて、十分に規定された遺伝的異常の相対的な欠如は、根治的診断マーカーの欠如と共に、病理発生を解明し、ほとんどのT細胞悪性腫瘍に対する新規の有効な治療戦略を考案する際の主要な障害であった(Fossら、2011年、上記)。遺伝子発現プロファイリングを用いると、PTCLの約50%を占める多様な群であるPTCL−NOSのほぼ半分が、任意の分類可能なマーカーを欠くが、T
H2マスター転写調節因子GATA−3を過剰発現し、予後不良を有する場合が多いことが、最近証明された(Wangら、Blood.2014年;123巻(19号):3007〜3015頁;Iqbalら、Blood.2014年;123巻(19号):2915〜2923頁)。正常なT
H2 CD4
+Tリンパ球中と同様、GATA−3は、これらのPTCL−NOSにおいてCCR4の転写を駆動し、結果として、細胞表面CCR4を過剰発現する(Sundrudら、J Immunol.2003年;171巻(7号):3542〜3549頁)。ほぼ全てのCTCLおよびATL、ならびに大きい百分率のALCL、特に、より悪性度が高いALK(−)サブタイプもまたCCR4を過剰発現するので、表面CCR4の過剰発現は、T細胞悪性腫瘍の処置においてより広い適用可能性を有する治療戦略を開発するために利用できる標的と思われる。理論に束縛されないが、Treg細胞はCCR4を豊富に発現するので(Hiraharaら、J Immunol.2006年;177巻(7号):4488〜4494頁)、CCR4指向性の治療は、腫瘍微小環境中で、腫瘍を根絶する宿主免疫応答に対する恐るべき障壁を構成するTregを排除する可能性が高い。
【0253】
標的細胞上での共阻害性リガンドの発現は、CAR T細胞の細胞溶解活性にも影響を与え得る。PDL−1の発現をATL細胞株のパネルにおいて評価した場合、ST1のみが、認識できる量のPDL−1を示した。対照的に、CCR4 CAR T細胞媒介性細胞溶解に対して高度に感受性であるALK陰性のMac−1、Mac−2AおよびMac−2B細胞株を含む全てのALCL細胞株が、PDL−1の豊富な細胞表面発現を示した(
図8Aおよび8Bを参照のこと)。したがって、PDL−1自体の発現は、CCR4発現と細胞溶解の有効性との間のいずれの食い違いも説明しない可能性が高い。
【0254】
したがって、本明細書で開示されるCCR4 CARは、患者におけるあるスペクトルの新生物性T細胞疾患を除去するためにex vivo操作されたT細胞が利用される、T細胞悪性腫瘍に対する新規養子細胞治療アプローチを示す。モガムリズマブを用いた蓄積しつつある臨床経験およびCCR4遺伝子破壊マウスの報告された平凡な表現型特色は心強く(Oguraら、J Clin Oncol.2014年;32巻(11号):1157〜1163頁;Duvicら、Blood.2015年;125巻(12号):1883〜1889頁;Chvatchkoら、J Exp Med.2000年;191巻(10号):1755〜1764頁)、CCR4標的化CAR T細胞治療の毒性プロファイルが生成され得る。B細胞の長期または恒久的な形成不全を生じるCD19指向性CAR治療(Karlosら、Sci Transl Med.2011年;3巻(95号):95ra73頁)とは異なり、CCR4指向性CAR治療は、処置された個体においてT細胞サブセットの主要な混乱を引き起こす可能性が低い。
図1Aのデータでわかるように、CD4
+T細胞およびCD8
+T細胞の両方が、開示されたCARを発現でき、培養物中での自己除去も兄弟殺し(fratricidal death)も受けることなく、長期生存し続けることが明らかである。アカゲザルCCR4の細胞外ドメインは、ヒトCCR4の細胞外ドメインに対して100%同一であり(それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる、GENBANK(登録商標)受託番号NP_001252949およびP51679)、CCR4 CARが由来する抗体は、アカゲザルCCR4と反応する。したがって、安全性評価研究を、CCR4 CARによるサルCD3
+T細胞のex vivo操作、および自家改変T細胞の動物中への戻し再注入を用いて、アカゲザルにおいて実施できる。
【0255】
したがって、既存の処置レジメンがほとんど不適切であり、長期生存を付与しないあるスペクトルのT細胞悪性腫瘍を処置するために使用できるケモカイン受容体CCR4指向性CARが、本明細書で開示される。
(実施例3)
マカク研究
【0256】
以下は、毒性研究のための例示的なプロトコールである。アカゲザルは、抗CCR4 CAR T細胞を評価するのに適切な非ヒト霊長類種である。ヒトおよびアカゲザルのCCR4は、臨床試験において使用されるCAR T受容体によって標的化される領域中で、ほぼ完全に相同である。ヒトおよびアカゲザルの4−1BBおよびCD3ζシグナル伝達分子は、高度に保存されており(95%)、CD3ζの免疫受容体チロシン活性化モチーフには100%の同一性が存在する。したがって、任意のプロトコールの安全性は、アカゲザルにおいて確認できる。
【0257】
単離されたT細胞を、rhIL−2(100IU/mL)を補充した培地中でCD3/CD28 Dynabeadsで刺激し、CCR4 CAR T細胞受容体をコードする複製インコンピテントなレンチウイルスベクターにそれらを曝露させることによって形質導入する。細胞を−80℃で貯蔵する。CCR4 CAR T細胞は、CD3およびプロテインLの両方について染色される細胞として定義される。細胞を、十分な数の細胞が産生されるまで、少なくとも7日間にわたって培養物中で拡大増殖させる(初回注入および潜在的な使用のための1つの完全バックアップ)。
【0258】
Cytoxan(2時間かけて40mg/kg)およびフルダラビン(2時間かけて40mg/m
2)を、プレコンディショニングレジメンとして、1日1回×2(−7日目および−6日目)にIVで与える。生理食塩水(NS)およびMesna(10mg/kg)による静脈内水分補給を、Cytoxanの30分前、その4、6および8時間後に与えて、尿収集系毒性を予防する。例示的なプロトコールでは、白血球アフェレーシスを、−28日目〜−8日目に実施し、CCR4 CAR T細胞を上記のように産生する。−7日目および−6日目に、動物をリンパ枯渇させる。1日目に、CCR4 CAR T細胞を投与する。
【0259】
2つの処置群(各々3匹のマカク)が存在し、1つの群は、プレコンディショニングレジメン単独によるものであり、2番目の群は、1日目に1×10
7の形質導入された細胞/kgで投与されるCCR4 CAR T細胞によるものである。CD4
+およびCD8
+CAR T細胞を選択し、1:1の比で与える。
【表A】
【0260】
試験動物を、バイタルサイン(少なくとも12時間毎、CRSの徴候が存在する場合にはより頻繁に)、尿検査によって臨床的にモニタリングし、CRSまたは神経毒性の徴候について観察する。完全化学パネル+アミラーゼおよびリパーゼ、CBCならびに凝固試験を含む日常的な臨床検査を、定期的に評価する。
(実施例4)
臨床試験
【0261】
例示的な臨床試験を以下に開示する。この研究の目的は、T細胞白血病/リンパ腫上で広く発現される抗原を標的化する対象自身の形質導入されたT細胞を使用することによって、有効な養子細胞治療を樹立することである。
【0262】
組み入れ基準:皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、セザリー症候群(SS)または慢性、リンパ腫型もしくは急性のサブタイプの成人T細胞白血病を含む、病理学的に確認された再発性/不応性CCR4
+リンパ系悪性腫瘍を有する成人対象。対象は、測定可能または評価可能な疾患を有さなければならない。循環ATL細胞についての特徴的な異常な(即ち、CD3
dim、CD4
+CD25
+発現)FACSプロファイルを有する>10%のPBMCを有するATL対象を、評価可能な疾患を有するとみなす。対象は、適切な生理的パラメーターを有さなければならない:
a)絶対的顆粒球計数≧1000K/uL、血小板計数≧75,000K/uLおよびヘモグロビン≧9g/dL。
b)ビリルビンおよびクレアチニン≦1.5×施設のULN。
c)AST、ALT≦3.0×施設のULN。
d)心エコー図によって決定される正常心駆出率
e)カルノフスキーパフォーマンススコア≧70%またはECOG≦1;ならびに
f)FEV1およびDLco>予測の60%。
【0263】
除外基準
1.症候性白血病性髄膜炎、中枢神経系(CNS)転移、>100,000細胞/mm
3を有する白血病性合併症、GI管合併症、血清カルシウムまたはLDH>1.5×正常値の上限を有する対象は除外する。しかし、ATLおよび別のHTLV−1関連疾患、例えば熱帯性痙性不全対麻痺症(HAM/TSP)の両方を有する対象は、それらの症状の重症度に依存して、プロトコールに登録してもよい。
【0264】
2.以前に同種幹細胞移植片を受けた対象。
【0265】
3.治療の開始前4週間以内にATLの処置のために高用量の全身コルチコステロイドを受けた対象。
【0266】
4.研究の開始前4週間に、任意の細胞傷害性治療、免疫療法、抗腫瘍ワクチンまたはモノクローナル抗体を受けた対象。
【0267】
5.3ヶ月未満の平均余命。
【0268】
6.報告された活動性細菌感染、活動性または慢性のB型肝炎、C型肝炎またはHTLV−II感染。
【0269】
7.B型またはC型肝炎(Hep)の既知の病歴を有する対象は、前処置化学療法と関連する肝炎の再活性化のリスクに起因して、適格でない。対象は、抗原陰性でない場合、Hep BおよびCについて血清陰性でなければならない。B型またはC型肝炎抗体試験が陽性である場合、対象を、定量的HBV DNAまたはHCV RNAによってこれらのウイルスの存在について試験しなければならない。
【0270】
8.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を有する対象は、その免疫応答が欠損していて日和見感染のリスクがかなり高い状態に置かれているという定義によって、この研究には適格でない。
【0271】
9.妊娠中および授乳中の対象は、発生中の胎児に対するCCR4 CAR T細胞の影響は未知であるので、研究には適格でない。
【0272】
10.治療の間有効な避妊を実施できないことまたは実施を拒否すること。出産可能な潜在力を有する男性および女性は、処置の間および処置の完了後4ヶ月間にわたって、受胎調節または禁欲の有効な方法を使用しなければならない。
【0273】
11.治験責任者の判断によって、ベースライン来診の時点で、対象の登録または研究手順の順守を危険にさらす顕著なおよび/または制御されない心、腎、肝もしくは他の全身障害または顕著な心理学的状態を有する対象。
【0274】
概要:対象の適格性を確立した後、対象は、十分な数の末梢血単核球(PBMC)を得るために白血球アフェレーシスを受け、活性化されたリンパ球を、レンチウイルスCCR4−CAR.BBζベクターを含有する上清に曝露させることによって、CCR4に対して特異的なキメラ抗原受容体を発現するように形質導入するために、CD8
+末梢血リンパ球について選択される。形質導入された細胞を、7〜10日間拡大増殖させ、対象への投与の前に、抗腫瘍活性および無菌性について試験する。これらのエフェクター細胞は、産生の直後に使用すること、または凍結保存し、後日の使用の前に解凍することができる。これらのエフェクター細胞の計画した再注入の5日前に、対象は、シクロホスファミドおよびフルダラビンの標準的な3日間前処置レジメンを開始し、その後、CCR4−CAR−T細胞の注入と事後処置を行う。
【0275】
用量制限毒性:用量制限毒性は以下のように定義される:
・ グレード4の好中球減少症が、細胞移入の日から21日間よりも長く持続する
・ グレード4の血小板減少症が、細胞移入の日から35日間よりも長く持続する
・ 以下を除く、グレード3および4の全ての毒性:
・ 3日以内に適切な医学的介入に応答し、≦グレード2まで回復する、グレード3のサイトカイン放出症候群(CRS)。
・ 敗血症グレード4の感染または出血の非存在下で7日未満持続する、グレード4の好中球減少症(ANC<500/mm
3)またはグレード4の血小板減少症(血小板計数<25,000/mm
3)。
・ 無併発性のグレード3の感染
・ 適切な医学的治療によって8時間以内に≦グレード2まで可逆的である、細胞注入後24時間以内に(細胞注入に関連して)起きる毒性。
・ 72時間またはそれ未満にわたる昇圧剤(>2mcg/分または等価なノルエピネフリン用量、2mcg/分未満またはそれと等しい用量は、DLTではない)による処置を必要とする低血圧。72時間は、昇圧剤が一時的に中断されその後再開される場合であっても、昇圧剤の最初の開始から測定する。
・ 7日以内にベースラインまたはグレード1に回復する、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはビリルビンにおけるグレード4の上昇。
・ 3日未満持続するグレード3の悪心、嘔吐または下痢。
【0276】
用量漸増:用量漸増は、対象の実際の体重に基づいて投与されるCCR4 CAR T細胞−T細胞[これは正しいでしょうか?T細胞を繰り返しますか?]の数を用いて、3〜6人の対象のコホートで進行する。最大耐用量(MTD)は、最大で6人の対象のうち1人以下が処置の間に用量制限毒性(DLT)を経験する用量レベル、および(≦6人のうち)少なくとも2人の対象が薬物に起因するDLTを有する用量を下回る用量である。評価不能な対象の代わりの最大で3人の交代要員を含む、合計21〜33人の対象を登録する。対象がDLTを経験しなかったが、CCR4 CAR T細胞注入を受けなかった場合、その対象は、毒性について評価可能ではなく、その用量レベルで交代させる。
【表3】
【0277】
各用量レベルは、最低3人の対象を含み、細胞用量を、新鮮に培養したCAR T細胞または注入の直前に解凍した凍結保存されたCAR T細胞の計数によって決定する。同じ用量レベルで順次処置される対象間には、CAR T細胞注入において少なくとも14日間の遅延が存在する。
【0278】
用量漸増は、以下の表4に概説した規則に従う。
【表4】
【0279】
処置投与:
【0280】
白血球アフェレーシス:対象は、およそ6〜10×10
9の単核細胞の標的収量を得るために、15リットルの白血球アフェレーシスを受ける。この手順は、二重静脈アクセスを必要とし、完了までおよそ3〜4時間かかる。末梢静脈アクセスが十分でない場合、中心ラインを置く。
【0281】
細胞産物の調製:末梢血CD8リンパ球を、CD8マイクロビーズを使用して単離する。単離されたT細胞を、rhIL−2(100IU/mL)を補充した培地中でCD3/CD28ビーズで刺激し、抗CCR4 CAR T細胞をコードする複製インコンピテントなレンチウイルスベクターにそれらを曝露させることによって形質導入する。細胞を、十分な数のエフェクター細胞が産生されるまで、少なくとも7日間にわたって培養物中で維持する。CCR4 CAR T細胞は、フローサイトメトリーアッセイにおいて、CD3およびプロテインLの両方について染色される細胞として定義され(Zhengら、.J Transl Med 2012年;10巻:29〜35頁)、フローサイトメトリーによって定量化され、CCR4発現ED(−)41214細胞株標的に対する溶解能について評価される。十分な細胞が、対象への投与のための初回細胞注入用に産生され、潜在的な後の使用のための1つの完全バックアップ細胞産物が産生される。
【0282】
細胞産物の検証:細胞産物を、以下の表5に列挙する手順を実施することによって、生存度、および感染性因子の混入について評価する。
【表5】
【0283】
コンディショニング化学療法および抗CCR4 CAR T細胞投与:
処置計画の全体的概要
【表6】
【0284】
−4、−3、−2および−1日目の詳細な化学療法処置。対象は、毎日の200または300mgの経口アロプリノールを開始する。対象は、1〜3時間にわたる1000mLの0.9%塩化ナトリウムIVによる事前水分補給を受ける。対象は、化学療法(IVオンダンセトロンを置換できる)の1時間前に始まって、−4、−3および−2日目に16〜24mgの経口オンダンセトロンを受ける。ロラゼパムおよびプロクロルペラジンなどのさらなる制吐薬もまた、突出性悪心のために与えられ得る。300mg/m
2 IVの用量のシクロホスファミドを、100mlの5%デキストロース溶液中に希釈し、30分間にわたって注入する。シクロホスファミド注入が完了した後、対象は、30分間にわたって、100mLの0.9%塩化ナトリウム中のフルダラビン30mg/m
2 IVを受ける。CKD−EPI方程式によって計算した80ml/分未満のクレアチニンクリアランスを有する対象では、フルダラビンの1日用量を20%低減させる。フルダラビン注入の完了後、対象は、1〜2時間にわたって1000mLの0.9%塩化ナトリウムIVを受ける。必要に応じてフロセミドを与える。
【0285】
−1日目:必要に応じた制吐薬などの一般的な支持的ケア以外、介入なし。膀胱毒性を最小化するために、対象は、通常の経口流体摂取を少なくとも2L/日まで増加させるべきである。
1日目の詳細な処置計画:
【0286】
1.対象が血行力学的に安定であり、呼吸不全、顕著な生化学的実験室異常を発生させていない、または新たな感染性プロセスの徴候を有し、CAR T細胞の投与を耐容できることを確認する。細胞産物の投与を複雑化する健著な問題を対象が発生させている場合、CAR T細胞の投与は、最大で72時間遅延され得る。CCR4 CAR T細胞注入のおよそ30〜45分前に、対象に、650mgの経口アセトアミノフェンおよび25〜50mgの経口または25mgのIVジフェンヒドラミンを事前薬物適用する。
【0287】
2.CAR T細胞が凍結保存されている場合、細胞産物を解凍し、室温(約25℃)にする。抗CCR4 CAR T細胞がその放出基準を満たしたことを確認した後、細胞産物を送達する。
【0288】
3.CAR T細胞の凝集を防止するために注入バッグを穏やかにかき混ぜながら、CCR4 CAR T細胞を、非濾過チュービングを介して自由流動性中心静脈カテーテルを通じて20分間にわたって静脈内注入する。
【0289】
4.対象のバイタルサイン(心拍数、呼吸数、温度、血圧および酸素飽和度)を、細胞注入の開始直前、細胞注入の開始後最初の1時間にわたって15分毎(±5分)、次の1時間わたって30分毎(±10分)、およびさらなる2時間にわたって1時間毎(±10分)に評価する。対象が臨床的に示されるような細胞注入に関連する急性毒性を有する場合、バイタルサインを、安定するまでより頻繁に実施する。細胞産物の注入は、必要に応じて緩徐化しても中断してもよい。
【0290】
5.適切な呼吸器治療、さらなるIVF、利尿薬、さらなる抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、昇圧剤、利尿薬および酸素治療を、急性または亜急性の注入毒性に対処するために必要に応じて投与する。
【0291】
6.そのベースライン血圧(BP)の<80%または<100mmHgの収縮期BPを有する対象は、2〜3分間にわたって1LのNSを受ける。この最初の1Lの生理食塩水(NS)に応答しない対象は、10分間にわたってさらに1LのNSを受け、ICUに移送すべきである。<85mmHgの収縮期BPを有する対象は、ICUに移送すべきである。3時間離れて2回、>125拍/分の頻脈を有する対象は、ICUに移送すべきである。経鼻カニューレによる4Lまたはそれよりも多くの追加の酸素を必要とする対象は、ICUに移送すべきである。
2〜7日目の詳細な処置計画:
【0292】
1.必要に応じた、観察および処置のための義務的入院。対象から、4時間毎、および臨床的に示された場合にはより頻繁に、慣用のバイタルサインを得る。対象が入院中に、慣用の化学および血液学のパネルを、CAR T細胞注入期間の直後に毎日評価する。低血圧、頻脈、低酸素または顕著な(>グレード2の)神経機能障害を経験する対象も、同様にICUに移送すべきである。
【0293】
2.フィルグラスチム(約5mcg/kg/日)SCを、2日目に開始し、対象の絶対的好中球計数(ANC)が500細胞/mm
3に達するまで継続して投与する。
【0294】
3.好中球減少性(ANC<500/mm
3)でありながら熱性である対象、または局在症状もしくは感染が疑われる知見と共に発熱を有する対象は、適切な経験的抗生物質で処置し、適切な微生物学的培養物を得る。臨床知見および/または培養結果は、抗微生物治療におけるさらなるX線検査手順または変化を指示する。
【0295】
4.CAR T細胞注入後最初の数日以内に一般に発生するサイトカイン放出症候群(CRS)を有する対象を処置する
応答基準:
1.悪性リンパ腫についての応答の基準
【0296】
a.完全奏効:完全奏効(CR)の指定は、以下の全てを必要とする:(1)存在する場合には治療前の疾患および疾患関連症状の全ての検出可能な臨床的証拠の完全な消失;(2)PET陰性である限り、処置後の残留塊が許容される。処置前PETスキャンが陰性であった場合、全てのリンパ節および結節塊は、CT上で正常サイズまで退縮していなければならない(治療前に>1.5cmであった節について、その最大横径で<1.5cm);(3)処置前にその長軸が1.1〜1.5cmでありその短軸が1.0cmよりも大きかった以前に侵されていた節は、処置後にその短軸が<1.0cmまで減少していなければならない;(4)身体検査またはCTスキャンに基づいて治療前に肥大したとみなされる場合、脾臓および/または肝臓は、身体検査で触知可能であってはならず、画像化研究によって正常サイズとみなされなければならない、ならびに(5)骨髄が処置前にリンパ腫によって侵されていた場合、浸潤物は、反復する骨髄生検で取り除かれていなければならない。
【0297】
b.部分奏効:部分奏効(PR)の指定は、以下の全てを必要とする:(1)最大の優位な節または結節塊のうち最大で6つの直径の積和における、少なくとも50%の低減。これらの節または塊は、以下の全てに従って選択すべきである:これらは、少なくとも2つの垂直寸法で明らかに測定可能でなければならない;可能な場合、これらは、身体の異なる領域からでなければならない;これらは、これらの部位が侵されている場合は常に、疾患の縦隔および後腹膜領域を含むべきである;(2)他の節、肝臓または脾臓のサイズに増加がないこと;(3)脾臓および肝臓の小結節は、そのSPDにおいて、または単一の小結節については最大横径において、>50%退縮しなければならない;(4)脾臓および肝臓の小結節を除いて、他の臓器の合併症が通常評価可能であり、測定可能な疾患は存在すべきではない。骨髄評価は、試料が処置前に陽性であった場合、PRの決定には無関係である。上記基準によってCRを達成するが、持続性の形態的骨髄合併症を有する対象は、部分奏効者とみなす;(5)疾患の新たな部位が存在しないこと;(6)処置前PETスキャンが陽性であった場合、処置後PETは、少なくとも1つの以前に侵された部位において陽性でなければならない;ならびに(7)処置前PETが陰性であった場合、CT基準を使用すべきである。
【0298】
c.安定疾患:対象は、CRまたはPRに必要な基準を達成できないが、進行性疾患の基準を満たさない場合、安定疾患(SD)を有するとみなされる。PETは、疾患の以前の部位において陽性でなければならないが、処置後CTまたはPETで合併症の新たな領域は存在しない。処置前PETが陰性であった場合、処置後CTスキャン上で以前の病変のサイズに変化があってはならない。
【0299】
d.進行性疾患:リンパ節は、短軸にかかわらず長軸が1.5cmよりも大きい場合、異常とみなされる。リンパ節が1.1〜1.5cmの長軸を有する場合、その短軸が1.0cmよりも大きい場合にのみ、異常とみなされる。<1.0×<1.0cmのリンパ節は、再発性または進行性疾患について異常とはみなされない。進行性疾患についての他の基準には、以下が含まれる:(1)他の病変のサイズが減少している場合であっても、治療の間または治療の最後の時点での、いずれかの軸における1.5cmよりも大きい任意の新たな病変の出現。以前に影響されなかった部位における増加したFDG取り込みは、他のモダリティーを用いた確認後にのみ、再発性または進行性疾患とみなされる。(2)任意の以前に侵された節の直径の積和、または単一の侵された節、または他の病変のサイズにおける、最下点からの少なくとも50%の増加。1.0cm未満の短軸の直径を有するリンパ節は、>50%、および1.5×1.5cmのサイズまで、または長軸が1.5cmよりも大きくなるまで、増加しなければならない。(3)その短軸が1cmよりも大きい任意の単一の以前に同定された節の最長直径における、少なくとも50%の増加;(4)病変がPETによって検出するには小さすぎる場合を除き、病変が治療前にPET陽性であった場合には、病変はPET陽性でなければならない;(5)測定可能な節外性疾患は、結節性疾患と同様の様式で評価すべきである。これらの推奨について、脾臓は、結節性疾患とみなされる。画像化研究または身体検査によって異常がなおも認められるが、組織学的に陰性であることが見出される場合を除き、評価しかできない疾患は、存在または非存在とのみ記録する。
2.ATLについての応答の基準
【0300】
a.完全奏効:完全奏効(CR)は、疾患の全ての臨床的、顕微鏡的およびX線検査的証拠の消失として定義される。全ての節は、正常サイズ(その最大横径が1.5cm)まで退縮していなければならず、1.1〜1.5cmであった以前に侵された節は、1.0cmまで減少していなければならない。HTLV−1キャリアは、末梢血中に、小さい百分率の多葉(polylobated)核を有する異常なリンパ球、いわゆる花細胞を頻繁に有するので、5%未満のかかる細胞が残存し、花細胞を含む絶対的リンパ球計数が4×10
9/L未満であった場合に限り、CRが達成される。
【0301】
b.不確定完全奏効:不確定完全奏効(CRu)の指定は、処置後の、残留塊を伴う、腫瘍サイズにおける75%の低減を必要とする。
【0302】
c.部分奏効:部分奏効(PR)は、新たな病変の出現を伴わない、測定可能な疾患の最大直径の積和における50%の低減として定義される。さらに、末梢血中の絶対的異常なリンパ球計数における50%またはそれよりも大きい低減が、PRを達成するために必要とされる。
【0303】
d.進行性疾患:末梢血中の進行性疾患(PD)は、4×10
9/Lの花細胞を含む、花細胞の計数および絶対的リンパ球計数における最下点からの50%の増加によって定義される。他の病変におけるPDまたは再発性疾患は、測定可能な疾患の積和における最下点からの50%の増加、または皮膚を除く新たな病変の出現として定義される。
【0304】
e.安定疾患:安定疾患は、CR/PRもPDも達成できないこととして定義される。
【0305】
本発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態が本発明の例にすぎず、本発明の範囲に対する限定と解釈すべきでないことを認識すべきである。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲および精神内に入る全てのものを本発明者らの発明として主張する。