特許第6908788号(P6908788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6908788
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210715BHJP
【FI】
   H05K13/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-530799(P2020-530799)
(86)(22)【出願日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】JP2018027044
(87)【国際公開番号】WO2020016978
(87)【国際公開日】20200123
【審査請求日】2020年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】森川 俊治
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−167955(JP,A)
【文献】 特開平2−178998(JP,A)
【文献】 特開2012−156426(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0045066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着ヘッドを用いて部品を基板上に実装する作業機の部品供給装置であって、
前記作業機の前記装着ヘッドにより順次ピックアップして基板上に装着される複数の部品が搭載されたトレイを収納するマガジンと、
マガジン内の収納位置と、
前記作業機の方向へ向かってマガジン外にある前進位置と、
前記収納位置と前記前進位置との間にある中間位置と、
前記装着ヘッドが部品を吸着して基板に装着できるように前記トレイを供給位置に移動させるというトレイ供給動作を行うトレイ移動装置と、
(a)前記トレイから吸着される予定の前記部品の数と、(b)前記装着ヘッドが前記トレイから部品を吸着して実装する場合にトレイ上から基板上への往復動作をする回数との少なくとも一つに応じて、前記供給位置を、前記前進位置と前記中間位置との少なくとも一つに設定する供給位置設定装置と
を備えた部品供給装置。
【請求項2】
前記作業機の方向へ向かっての方向は、前記作業機での基板の搬送方向と交差する方向である請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記供給位置設定装置は、
前記装着ヘッドの往復動作の回数に応じて前記供給位置を設定するものであり、前記装着ヘッドの往復動作の回数が設定回数未満である場合に、前記供給位置を前記中間位置に設定する請求項1または請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記供給位置設定装置は、
前記装着ヘッドの往復動作の回数が前記設定回数以上である場合に、(a)装着ヘッドが部品を吸着して基板に装着できるように前記トレイを供給位置に移動させるという第1トレイ供給動作の場合の前記供給位置を前記中間位置に設定し、その第1トレイ供給動作の後に行う第2トレイ供給動作の場合の前記供給位置を前記前進位置に設定することと、(b)最終回トレイ供給動作の直前に行う直前トレイ供給動作の場合の前記供給位置を前記前進位置に設定し、その後、前記最終回トレイ供給動作の場合の前記供給位置を前記中間位置に設定すること、との少なくとも一つを行うように構成されている請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
さらに、
作業機の撮像装置から画像処理結果を取得し、その画像処理結果によって前記装着ヘッドによりピックアップされた前記部品が装着作業に適した部品であるか否かを判断する画像処理結果取得装置を備え
前記トレイ移動装置は、前記画像処理結果取得装置の前記判断が終わるまで前記トレイを前記供給位置で停止させるように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の部品供給装置。
【請求項6】
さらに、前記トレイのサイズ、前記トレイに搭載されている前記部品のサイズ、前記部品の数の少なくとも一つに応じて、前記中間位置の位置を設定する中間位置設定装置を備えた請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着ヘッドを用いて部品を基板上に実装する作業機の部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品供給装置には、下記特許文献に記載されているように、供給位置にセットされたトレイから部品を供給する装置、所謂、トレイ型の部品供給装置がある。特開2009−147197号公報は作業機のトレイ部品供給装置を開示する。このトレイ部品供給装置では、複数のトレイがハウジング30に収容されており、そこから1つのトレイが供給位置88まで移動させられる。部品はトレイから順番で吸着され、吸着が完了したら、トレイはハウジングに戻される。特開平10−341098号公報も作業機の部品供給装置を開示する。このトレイ部品供給装置では、作業機のヘッドに部品を供給するためにトレイは基板の搬送方向と平行な方向に移動させられ、任意の停止位置において部品を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−147197号公報
【特許文献2】特開平10−341098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の供給装置では供給位置が固定されている。これによって、ヘッドの移動速度がトレイ移動速度より早いことによりヘッドの待ち時間が発生する場合などに効率よく部品供給できない。また、特許文献2では供給位置をどのように決めるかについては具体的に開示されていない。そして、特許文献2の構成で供給装置と装着装置を調整するために複雑な制御が必要である。そこで、トレイ型の部品供給装置において、簡単な構成でトレイから適切に部品を供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、装着ヘッドを用いて部品を基板上に実装する作業機の部品供給装置であって、前記作業機の前記装着ヘッドにより順次ピックアップして基板上に装着される複数の部品が搭載されたトレイを収納するマガジンと、マガジン内の収納位置と、前記作業機の方向へ向かってマガジン外にある前進位置と、前記収納位置と前記前進位置との間にある中間位置と、前記装着ヘッドが部品を吸着して基板に装着できるように前記トレイを供給位置に移動させるというトレイ供給動作を行うトレイ移動装置と、(a)前記トレイから吸着される予定の前記部品の数と、(b)前記装着ヘッドが前記トレイから部品を吸着して実装する場合にトレイ上から基板上への往復動作をする回数との少なくとも一つに応じて、前記供給位置を、前記前進位置と前記中間位置との少なくとも一つに設定する供給位置設定装置とを備えた部品供給装置を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、トレイから吸着される予定の部品の数と、装着ヘッドがトレイから部品を吸着して実装する場合にトレイ上から基板上への往復動作をする回数との少なくとも一つに応じて、トレイによる供給位置を前進位置か中間位置に設定する。これにより、簡単な構成でトレイから適切に部品を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】作業ヘッドを示す斜視図である。
図3】シャトルが後退位置に位置した状態の部品供給装置を示す平面図である。
図4】シャトルが第1シャトル位置に位置した状態の部品供給装置を示す平面図である。
図5】制御装置を示すブロック図である。
図6】シャトルが第2シャトル位置に位置した状態の部品供給装置を示す平面図である。
図7】シャトルが第3のシャトル位置に位置した状態の部品供給装置を示す平面図である。
図8】シャトルが変形例の第2シャトル位置に位置した状態の部品供給装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
(A)第1実施例
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ(図2参照)26、パーツカメラ28、ばら部品供給装置30、部品供給装置32、制御装置(図5参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、吸着ノズル68を有しており、吸着ノズル68によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置69とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置69とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0012】
マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置32との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル68に保持された部品を撮像する。
【0013】
ばら部品供給装置30は、図1に示すように、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置30は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
【0014】
部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、図3に示すように、トレイ77に載置された状態の部品78を供給する装置であり、トレイ収納庫80と、トレイ引出テーブル82と、トレイ移動装置84とを有している。トレイ収納庫80は、タワー型の収納庫であり、トレイ収納庫80の内部に、ラック86が昇降可能に配設されている。ラック86は、概して箱形状をなし、前面が開口している。そして、ラック86の内部は棚形状とされており、各棚にトレイ77が収容されている。また、ラック86は、昇降装置(図5参照)90の作動により、トレイ収納庫80の内部において任意の高さに移動する。
【0015】
トレイ引出テーブル82は、トレイ収納庫80の前面側に配設されており、トレイ引出テーブル82の上に、トレイ移動装置84が配設されている。トレイ移動装置84は、1対のガイドレール96とシャトル98とを有している。1対のガイドレール96は、前後方向、つまり、Y方向に延びるように、トレイ引出テーブル82の上面に固定されており、シャトル98は、それら1対のガイドレール96によりスライド可能に保持されている。そして、シャトル98は、電磁モータ(図5参照)100の作動により、トレイ引出テーブル82の上面において、Y方向の任意の位置にスライドする。なお、シャトル98は、図3に示すように、シャトル98がトレイ収納庫80に最も接近した位置(以下、「後退位置」と記載する)と、図4に示すように、シャトル98がトレイ収納庫80から最も離れた位置との間の任意の位置にスライドする。
【0016】
トレイ移動装置84は、さらに、引出・収納装置(図5参照)102も有している。引出・収納装置102は、ラック86の所定の高さに位置する棚に収納されたトレイ77を把持するクランプ(図示省略)と、そのクランプを前後方向に移動させる移動機構(図示省略)とにより構成されている。これにより、シャトル98を後退位置に移動させた状態で、ラック86の棚の収納位置に収納されたトレイ77をクランプにより把持し、そのクランプをラック86から離れる方向に移動させることで、トレイ77が、ラック86の収納位置からシャトル98の上に引き出される。また、シャトル98の上にトレイ77が載置されている場合に、そのシャトル98を後退位置に移動させ、シャトル98の上のトレイ77をクランプにより把持し、そのクランプをラック86に近づく方向に移動させることで、シャトル98の上のトレイ77が、ラック86の収納位置に収納される。
【0017】
なお、部品供給装置32は、トレイ引出テーブル82を部品実装機10の内部に進入させた状態で、フレーム部40の前後方向における端部に連結されている。このため、トレイ引出テーブル82のトレイ収納庫80から離れた側の一部が、作業ヘッド移動装置64の作動による作業ヘッド60,62の移動範囲の内部に位置する。ちなみに、作業ヘッド60,62の移動範囲は、図4の点線106の内側である。
【0018】
なお、ばら部品供給装置30および、部品供給装置32によって供給される部品として、電気部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電気部品には、リード部品などのリードを有する部品,角チップなどのリードを有さない部品、異型電気部品等が有る。
【0019】
制御装置34は、図5に示すように、コントローラ110、複数の駆動回路112、画像処理装置114を備えている。複数の駆動回路112は、上記搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64、昇降装置90、電磁モータ100、引出・収納装置102、ばら部品供給装置30に接続されている。コントローラ110は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路112に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ110によって制御される。さらに、コントローラ110は、画像処理装置114にも接続されている。画像処理装置114は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ110は、画像データから各種情報を取得する。
【0020】
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。この際、マークカメラ26の撮像により得られた撮像データがコントローラ110に送信され、コントローラ110により撮像データが分析される。これにより、回路基材12の保持位置等に関する情報が演算される。
【0021】
また、ばら部品供給装置30若しくは、部品供給装置32が、所定の供給位置において、部品を供給するが、ここでは、部品供給装置32により部品が供給される場合について説明する。部品供給装置32では、上述したように、トレイ収納庫80のラック86に収納されているトレイ77が、後退位置に移動しているシャトル98の上に引き出される。そして、シャトル98がトレイ収納庫80から離れる方向、つまり、部品実装機10の内部に向かってスライドすることで、シャトル98の上に引き出されたトレイ77が、作業ヘッド60,62の移動範囲(図4での点線106の内部)に位置する。これにより、部品供給装置32は、トレイ77に載置された状態の部品78を供給する。
【0022】
また、部品供給装置32により部品が供給されると、作業ヘッド60,62が、部品供給位置、つまり、トレイ77の上方に移動し、吸着ノズル68によって部品78を吸着保持する。なお、作業ヘッドは、生産プログラム(job)の部品データなど(部品サイズ、部品間のピッチ、トレイの上の吸着順番など)によって事前に決定されている順番で吸着保持する。次に、作業ヘッド60,62により部品78が供給されると、作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動し、保持された部品78が、パーツカメラ28により撮像される。この際、パーツカメラ28の撮像により得られた撮像データがコントローラ110に送信され、コントローラ110により撮像データが分析される。これにより、吸着ノズル68による部品78の保持位置等に関する情報が演算される。
【0023】
また、コントローラ110では、部品78の撮像データに基づいて、その部品78が装着作業に適しているか否かを判断する。例えば、撮像データに基づいて部品78の外縁が認識され、欠けなどが生じている場合に、その部品78は不良品であり、装着作業に適していないと判断される。そして、装着作業に適していないと判断された部品は、ダストボックス(図示省略)に破棄され、再度、作業ヘッド60,62がトレイ77の上方に移動し、トレイ77から部品が保持される。一方、撮像データに基づいて部品78の外縁が認識され、欠けなどが生じていない場合に、その部品78は不良品でなく、装着作業に適していると判断される。そして、作業ヘッド60,62は、回路基材12の装着予定位置の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正した状態で、回路基材12に装着する。
【0024】
なお、コントローラ110では、撮像データに基づいて、作業ヘッド60,62による部品78の保持位置がズレている、つまり、作業ヘッド60,62が正しく部品78を保持しているか否かも判断される。この際、作業ヘッド60,62が正しく部品78を保持していないと判断された場合も、その部品78は装着作業に適していないと判断される。そして、その部品は、ダストボックスに破棄され、再度、作業ヘッド60,62がトレイ77の上方に移動し、トレイ77から部品が保持される。一方、作業ヘッド60,62が正しく部品78を保持していると判断された場合は、その部品78は装着作業に適していると判断される。そして、その部品は回路基材12に装着される。
【0025】
このように、部品実装機10では、部品供給装置32においてトレイ77に載置された状態で供給される部品78が、作業ヘッド60,62により保持され、回路基材12に装着される。このため、装着作業時において、トレイ77に載置されていない部品が装着対象の部品となる場合には、部品供給装置32において、トレイ移動装置84の作動によりトレイの交換作業が行われる。具体的には、例えば、第1のトレイにA部品が載置されており、第2のトレイにB部品が載置されている場合において、回路基材12にA部品が装着された後に、B部品が装着される装着作業について説明する。
【0026】
部品供給装置32では、まず、トレイ移動装置84の作動により第1のトレイがシャトル98の上に引き出され、その第1のトレイが作業ヘッド60,62の移動範囲内に移動するように、シャトル98が部品実装機10の内部に向かってスライドする。そして、その第1のトレイに載置されているA部品が作業ヘッド60,62により保持され、A部品の装着作業が実行される。次に、A部品の装着作業が完了すると、第1のトレイを載せたシャトル98が後退位置まで移動し、第1のトレイがトレイ収納庫80に収納される。続いて、トレイ収納庫80から第2のトレイがシャトル98の上に引き出され、その第2のトレイが作業ヘッド60,62の移動範囲内に移動するように、シャトル98が部品実装機10の内部に向かってスライドする。そして、その第2のトレイに載置されているB部品が作業ヘッド60,62により保持され、B部品の装着作業が実行される。
【0027】
このように、装着作業時において、トレイ77に載置されていない部品が装着対象の部品となる場合には、部品供給装置32においてトレイの交換作業が行われる。しかしながら、トレイの交換作業を実行するトレイ移動装置84の作動速度、つまり、シャトル98の移動速度,引出・収納装置102によるトレイの引出・収納速度は、作業ヘッド60,62の移動速度と比較して、遅い。このため、トレイの交換作業時に、作業ヘッド60,62の待機時間が発生し、サイクルタイムが長くなる虞がある。つまり、例えば、作業ヘッド60,62によるA部品の装着作業が完了した後に、作業ヘッド60,62がB部品を第2のトレイから保持しようとしても、第2のトレイが作業ヘッド60,62の作業範囲に移動しておらず、トレイによる部品の供給遅れが発生する場合がある。このような場合には、第2のトレイが作業ヘッド60,62の移動範囲に移動するまで、作業ヘッド60,62は待機する必要があり、サイクルタイムが長くなる。
【0028】
このようなことを考慮すると、部品供給装置32では、トレイの交換作業に要する時間を短くするために、トレイの移動距離を短くすることが望ましい。つまり、トレイ収納庫80に近い箇所で部品を供給することが望ましい。一方で、トレイ収納庫80に近い箇所で部品が供給されると、部品供給位置が回路基材12から離れるため、部品供給位置と回路基材12との間の距離が長くなる。このため、装着作業時における作業ヘッド60,62の移動距離が長くなり、サイクルタイムが長くなる。
【0029】
そこで、トレイ収納庫80から引き出された1のトレイから供給される部品の装着作業時において、部品供給装置32による部品供給位置と回路基材12との間の作業ヘッド60,62の往復回数が少ない場合は、トレイの交換作業に要する時間の短縮が優先される。つまり、作業ヘッド60,62の往復回数が少ない場合に、部品供給装置32はトレイ収納庫80に近い箇所で部品を供給する。
【0030】
一方、部品供給装置32による部品供給位置と回路基材12との間の作業ヘッド60,62の往復回数が多い場合は、作業ヘッド60,62の移動距離の短縮を優先し、部品供給装置32は回路基材12に近い箇所、つまり、トレイ収納庫80から遠い箇所で部品を供給することが望ましい。ただし、トレイ収納庫80から引き出されたトレイを、トレイ収納庫80から遠い箇所まで移動させる際に、作業ヘッド60,62の待機時間が生じる虞がある。そこで、トレイから最初に部品が供給される際の部品供給位置は、トレイ収納庫80に近い箇所とされ、その後の部品供給位置は、トレイ収納庫80から遠い箇所とされる。つまり、作業ヘッド60,62の往復回数が多い場合に、部品供給装置32は、最初に、トレイ収納庫80に近い箇所で部品を供給し、その後に、トレイ収納庫80から遠い箇所で部品を供給する。これにより、トレイによる部品の供給遅れの抑制と、作業ヘッド60,62の移動距離の短縮との両立を図ることができる。
【0031】
つまり、部品供給装置32では、作業ヘッド60,62の往復回数が設定回数より少ない場合に、トレイ収納庫80に近い箇所で部品が供給されることで、トレイの交換作業に要する時間の短縮が図られる。一方、作業ヘッド60,62の往復回数が設定回数以上である場合に、最初に、トレイ収納庫80に近い箇所で部品が供給され、その後に、トレイ収納庫80から遠い箇所で部品が供給される。つまり、部品供給位置が変更されることで、トレイによる部品の供給遅れの抑制と、作業ヘッド60,62の移動距離の短縮との両立が図られる。
【0032】
具体的には、部品供給装置32による部品供給時におけるトレイの位置、つまり、部品供給位置は、図4に示すように、シャトル98がトレイ収納庫80から最も離れた位置(以下、「第1シャトル位置」と記載する)と、図6に示すように、第1シャトル位置よりトレイ収納庫80に近い位置(以下、「第2シャトル位置」と記載する)との2つの位置が設定されている。なお、第1シャトル位置に位置するシャトル98に載置されたトレイ77は、当然、作業ヘッド60,62の移動範囲(点線106の内部)に位置するが、第2シャトル位置に位置するシャトル98に載置されたトレイ77も、作業ヘッド60,62の移動範囲(点線106の内部)に位置する。そして、作業ヘッド60,62の往復回数が1回の場合に、部品供給装置32は、第2シャトル位置において部品を供給する。つまり、作業ヘッド60,62の往復回数が1回の場合に、部品供給装置32による部品供給位置は、第2シャトル位置に設定される。一方、作業ヘッド60,62の往復回数が2回以上の場合に、部品供給装置32は、最初に、第2シャトル位置において部品を供給し、その後に、第1シャトル位置において部品をする。つまり、作業ヘッド60,62の往復回数が2回以上の場合に、部品供給装置32による最初の部品供給位置は、第2シャトル位置に設定され、部品供給装置32による2回目以降の部品供給位置は、第1シャトル位置に設定される。
【0033】
このため、設定回数が2回に設定されており、作業ヘッド60,62の往復回数が設定回数未満の1回である場合に、トレイ収納庫80から第1のトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第2シャトル位置においてA部品を供給する。この際、トレイからA部品が作業ヘッド60,62により保持され、第1のトレイからのA部品の供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、第1のトレイがトレイ収納庫80に収納される。そして、第2のトレイがシャトル98の上に引き出される。これにより、トレイの移動距離が短くなり、トレイの交換作業に要する時間が短縮されることで、トレイによる部品の供給遅れが抑制される。また、第1のトレイに載置されているA部品の装着作業時に、作業ヘッド60,62は、部品供給位置と回路基材12との間を1回しか往復しないため、部品供給位置と回路基材12との間の距離が長くなっても、サイクルタイムの遅延への影響は非常に少ない。
【0034】
一方、作業ヘッド60,62の往復回数が設定回数の2回以上である場合に、トレイ収納庫80から第1のトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第2シャトル位置においてA部品を供給する。この際、トレイの移動距離は短いため、作業ヘッド60,62の移動に対して遅延することなく、若しくは、作業ヘッド60,62の移動に対する遅延時間を可及的に少なくした状態で、A部品を供給することができる。そして、第1のトレイからA部品が作業ヘッド60,62により保持され、作業ヘッド60,62が回路基材12に向かって移動すると、シャトル98は、第2シャトル位置から第1シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第1シャトル位置においてA部品を供給する。
【0035】
続いて、作業ヘッド60は、保持したA部品を回路基材12に装着すると、第1シャトル位置のトレイから部品を保持する。この際、作業ヘッド60の移動距離は、第2シャトル位置のトレイから部品を保持する場合と比較して短くなっている。つまり、作業ヘッド60が1回目に往復移動した際の作業ヘッド60の移動距離より、作業ヘッド60が2回目に往復移動した際の作業ヘッド60の移動距離は短くなり、サイクルタイムの短縮を図ることができる。そして、作業ヘッド60が3回目以降、部品供給位置と回路基材12との間を往復し、A部品の装着作業が実行される場合は、2回目と同様に、第1シャトル位置のトレイから部品を保持する。これにより、複数回、短い移動距離で作業ヘッド60,62が移動することになり、サイクルタイムを効果的に短縮することができる。
【0036】
そして、第1のトレイからのA部品の供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、第1のトレイがトレイ収納庫80に収納される。次に、第2のトレイがシャトル98に上に引き出される。このように、第1のトレイから最初に部品が供給される際の部品供給位置が第2シャトル位置とされることで、トレイの移動距離が短くなり、第1のトレイによる部品の供給遅れを抑制することができる。また、第1のトレイからの2回目以降の部品供給時において、部品供給位置が第2シャトル位置から第1シャトル位置に変更されることで、作業ヘッド60,62の移動距離が短縮される。このように、第1のトレイから最初に部品が供給される際に、部品供給位置が第2シャトル位置に設定され、第2のトレイから2回目以降に部品が供給される際に、部品供給位置が第1シャトル位置に設定されることで、トレイによる部品の供給遅れの抑制と、作業ヘッド60,62の移動距離の短縮との両立を図ることができる。また、第1シャトル位置でも第2シャトル位置でも複雑な制御を使わず作業ヘッド60,62が事前に決められている順番で部品を吸着することができる。
【0037】
また、部品実装機10では、トレイの交換作業を実行するべく、部品の供給を完了したトレイが後退位置に戻される手法として、2種類のモードが用意されている。具体的には、トレイからの部品の供給が完了して直ぐに後退位置に戻されるモード(以下、「第1モード」と記載する)と、トレイからの部品の供給が完了し、その供給された部品が装着作業に適していると判断された場合に、トレイが後退位置に戻されるモード(以下、「第2モード」と記載する)とが用意されている。そして、第1モードと第2モードとの何れかを選択するための選択ボタン(図示省略)が部品実装機10に配設されている。
【0038】
この選択ボタンへの操作により第1モードが選択されている場合に、トレイからの部品の供給が完了すると、直ぐに、トレイが後退位置に戻される。つまり、例えば、作業ヘッド60,62の往復回数が1回の場合に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、第2シャトル位置において、作業ヘッド60,62によりトレイから部品が保持され、トレイからの部品供給が完了すると、シャトル98は直ぐに後退位置に向けて移動する。
【0039】
また、作業ヘッド60,62の往復回数が2回以上の場合に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、第2シャトル位置において、作業ヘッド60,62によりトレイから部品が保持された後に、シャトル98は第1シャトル位置に移動する。続いて、第1シャトル位置において、作業ヘッド60,62によりトレイから部品が保持される。そして、トレイからの部品供給が完了すると、シャトル98は直ぐに後退位置に向けて移動する。
【0040】
一方、選択ボタンへの操作により第2モードが選択されている場合に、トレイからの部品の供給が完了すると、直ぐに、トレイが後退位置に戻されず、トレイから供給された部品が装着作業に適している判断された場合に、トレイは後退位置に戻される。つまり、例えば、作業ヘッド60,62の往復回数が1回の場合に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、第2シャトル位置において、作業ヘッド60,62によりトレイから部品が保持される。作業ヘッド60,62は、トレイから部品を保持すると、上述したように、パーツカメラ28の上方に移動し、保持された部品が、パーツカメラ28により撮像される。そして、その撮像により得られる撮像データに基づいて、作業ヘッド60,62に保持された部品が装着作業に適したものであるか否かが判断される。この際、部品が装着作業に適していれば、その部品は回路基材12に装着されるが、部品が装着作業に適していなければ、その部品は回路基材12に装着されず、破棄されるため、再度、トレイから部品を保持する必要がある。
【0041】
このため、作業ヘッド60,62の往復回数が1回の場合に、第2シャトル位置でのトレイからの部品の供給が完了し、トレイから供給された部品が装着作業に適していると判断された場合に、シャトル98が第2シャトル位置から後退位置に向けて移動する。一方、第2シャトル位置でのトレイからの部品の供給が完了し、トレイから供給された部品が装着作業に適していないと判断された場合に、シャトル98は第2シャトル位置に留まる。これにより、作業ヘッド60,62は、再度、トレイから部品を保持することができる。
【0042】
また、作業ヘッド60,62の往復回数が2回以上の場合に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、第2シャトル位置において、作業ヘッド60,62によりトレイから部品が保持された後に、シャトル98は第1シャトル位置に移動する。続いて、第1シャトル位置において、作業ヘッド60,62によりトレイから部品が保持される。そして、トレイからの部品供給が完了し、トレイから供給された部品が装着作業に適していると判断された場合に、シャトル98が後退位置に向けて移動するが、第1シャトル位置から後退位置まで移動していては、トレイの移動距離が長い。このため、作業ヘッド60,62に保持された部品がパーツカメラ28により撮像され、撮像データに基づいて部品の良否が判断されている間に、トレイが第1シャトル位置から第2シャトル位置に移動する。
【0043】
つまり、第1シャトル位置において、トレイからの部品供給が完了すると、シャトル98は、第1シャトル位置から第2シャトル位置に移動する。そして、トレイから供給された部品が装着作業に適していると判断された場合に、シャトル98が第2シャトル位置から後退位置に向けて移動する。これにより、トレイの移動距離が短くなり、トレイの交換作業に要する時間を短縮できる。なお、トレイから供給された部品が装着作業に適していないと判断された場合に、シャトル98は、第2シャトル位置に留まり、第2シャトル位置において、作業ヘッド60,62が再度、トレイから部品を保持する。
【0044】
このように、部品実装機10では、部品の供給を完了したトレイが後退位置に戻される手法として、第1モードと第2モードとが用意されており、第1モードが選択されることで、部品供給が完了したトレイを直ぐに後退位置に戻すことができ、トレイの交換作業に要する時間を短縮できる。一方、第2モードが選択されることで、トレイから供給された部品が装着作業に適していない場合において、再度、トレイから部品を供給することができる。
【0045】
(B)第2実施例
第1実施例の部品実装機10では、トレイから最初に部品が供給される際に、部品供給位置が第2シャトル位置とされ、トレイから2回目以降に部品が供給される際に、部品供給位置が第1シャトル位置とされている。一方、第2実施例の部品実装機10では、トレイから最初に部品が供給される際および、トレイから最後に部品が供給される際に、部品供給位置が第2シャトル位置とされ、トレイから最後を除く2回目以降に部品が供給される際に、部品供給位置が第1シャトル位置とされる。
【0046】
具体的には、作業ヘッド60,62の往復回数が1回である場合は、第1実施例と同様に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第2シャトル位置において部品を供給する。続いて、トレイから部品が作業ヘッド60,62により保持され、トレイからの部品の供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、トレイがトレイ収納庫80に収納される。
【0047】
また、作業ヘッド60,62の往復回数が2回である場合は、最初である1回目と、最後である2回目とにおいて、第2シャトル位置でトレイから部品が供給される。つまり、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第2シャトル位置において最初に部品を供給する。この際、トレイから部品が作業ヘッド60,62により保持されても、シャトル98は、第2シャトル位置に留まる。そして、トレイからの2回目の部品供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、トレイがトレイ収納庫80に収納される。
【0048】
また、作業ヘッド60,62の往復回数が3回以上である場合は、最初に第2シャトル位置でトレイから部品が供給され、2回目以降に第1シャトル位置でトレイから部品が供給される。そして、最後に第2シャトル位置でトレイから部品が供給される。つまり、例えば、作業ヘッド60,62の往復回数が5回である場合に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第2シャトル位置において最初に部品を供給する。次に、シャトル98は第2シャトル位置から第1シャトル位置に移動し、部品供給装置32は、第1シャトル位置において、トレイから2〜4回目の部品供給を行う。続いて、トレイからの4回目の部品供給が終了すると、シャトル98が、第1シャトル位置から第2シャトル位置に移動し、部品供給装置32は、第2シャトル位置において、トレイから5回目、つまり最後の部品供給を行う。そして、トレイからの5回目の部品供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、トレイがトレイ収納庫80に収納される。
【0049】
つまり、第2実施例の部品実装機10では、設定回数が3回に設定されており、作業ヘッド60,62の往復回数が設定回数未満である1回および2回である場合に、部品供給装置32は、第2シャトル位置において部品を供給する。一方、作業ヘッド60,62の往復回数が設定回数以上である3回以上である場合に、部品供給装置32は、トレイから最初に部品が供給される際および、トレイから最後に部品が供給される際に、第2シャトル位置において部品を供給し、トレイから最初と最後以外に部品が供給される際に、第1シャトル位置において部品を供給する。これにより、第1実施例と比較して、更に、トレイの交換作業に要する時間を短縮し、トレイによる部品の供給遅れを効果的に抑制することができる。
【0050】
ちなみに、上記実施例において、部品実装機10は、作業機の一例である。パーツカメラ28は、撮像装置の一例である。部品供給装置32は、部品供給装置の一例である。作業ヘッド60,62は、装着ヘッドの一例である。トレイ77は、トレイの一例である。トレイ収納庫80は、マガジンの一例である。トレイ移動装置84は、トレイ移動装置の一例である。コントローラ110は、供給位置設定装置、画像処理結果取得装置、および、中間位置設定装置の一例である。第1シャトル位置は、前進位置の一例である。第2シャトル位置は、中間位置の一例である。トレイ収納庫80に収納されているトレイ77の位置は、収納位置の一例である。
【0051】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、トレイから最後に部品が供給される際に、部品供給位置が第2シャトル位置とされ、トレイから最後以外に部品が供給される際に、部品供給位置が第1シャトル位置とされてもよい。
【0052】
具体的には、作業ヘッド60,62の往復回数が1回である場合は、上記実施例と同様に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第2シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第2シャトル位置において部品を供給する。続いて、トレイからの部品の供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、トレイがトレイ収納庫80に収納される。
【0053】
また、作業ヘッド60,62の往復回数が2回以上である場合、例えば、5回である場合に、トレイ収納庫80からトレイがシャトル98の上に引き出されると、シャトル98は、第1シャトル位置まで移動する。そして、部品供給装置32は、第1シャトル位置において最初に部品を供給する。また、部品供給装置32は、第1シャトル位置において、トレイから2〜4回目の部品供給を行う。そして、トレイからの4回目の部品供給が終了すると、シャトル98が、第1シャトル位置から第2シャトル位置に移動し、部品供給装置32は、第2シャトル位置において、トレイから5回目、つまり最後の部品供給を行う。そして、トレイからの5回目の部品供給が完了すると、シャトル98が後退位置に移動し、トレイがトレイ収納庫80に収納される。
【0054】
また、上記実施例では、部品供給位置として、第1シャトル位置と第2シャトル位置との2つのシャトル位置が設定されているが、3つ目以降のシャトル位置を設定してもよい。例えば、トレイ77のサイズに応じた第3のシャトル位置を設定してもよい。つまり、例えば、図7に示すように、小さなサイズのトレイ77に供給対象の部品が載置されている場合は、その小さなサイズのトレイ77が作業ヘッド60,62の移動範囲(点線106の内部)の内部に位置するシャトル98の位置を、第3のシャトル位置として設定してよい。このように、小さなサイズに応じた第3のシャトル位置を設定することで、トレイの移動距離を短くすることができる。また、例えば、トレイ77のサイズでなく、トレイに搭載される部品のサイズ,数などに応じて第3のシャトル位置を設定してもよい。
【0055】
また、上記実施例では、第2シャトル位置として、トレイ77の全体が作業ヘッド60,62の移動範囲(点線106の内部)に位置するように、第2シャトル位置が設定されているが、トレイ77の一部が作業ヘッド60,62の移動範囲(点線106の内部)に位置するように、第2シャトル位置が設定されてもよい。つまり、図8に示すように、トレイ77に載置された部品の一部が作業ヘッド60,62の移動範囲(点線106の内部)に位置するように、第2シャトル位置が設定されてもよい。このように、第2シャトル位置を設定することで、トレイの移動距離を更に短くすることができる。
【0056】
また、上記実施例では、作業ヘッド60,62の往復回数に応じて、トレイによる部品の供給位置が設定されているが、トレイから吸着される予定の部品の数に応じて、トレイによる部品の供給位置が設定されてもよい。例えば、予定部品数が設定数より少ない場合に、供給位置を第2シャトル位置に設定し、予定部品数が設定数以上である場合に、供給位置を第1シャトル位置に設定してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10:部品実装機(作業機) 28:パーツカメラ(撮像装置) 32:部品供給装置 60:作業ヘッド(装着ヘッド) 62:作業ヘッド(装着ヘッド) 77:トレイ 80:トレイ収納庫(マガジン) 84:トレイ移動装置 110:コントローラ(供給位置設定装置)(画像処理結果取得装置)(中間位置設定装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8