【実施例】
【0043】
本発明を以下の実施例により、さらに詳細に説明する。
【0044】
粘度の測定
東機産業製粘度計U−EIIを用いて、25℃で、粘度を測定した。
【0045】
ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)分析、重量平均分子量(Mw)の測定
カラムは、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL、TSKgelG1000HXLを直列につないだものを使用し、検出器にはGLサイエンス(株)製MODEL504R RI Detectorと日立(株)製L−D4000 UV Detectorを用いた。サンプルをTHF(テトラヒドロフラン)に溶解して1%THF(テトラヒドロフラン)溶液としたものを、流速1.0ml/分の THF(テトラヒドロフラン)を移動相として、カラム温度40℃にて測定した。分子量はポリエチレングリコールを標品として、昭光サイエンティフィック(株)製GPCデータ処理ソフトウェアSIC480IIデータステーションを用いて、重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0046】
SH含有率の測定
試料をトルエンとピリジンの混合溶液に溶解し、ヨウ化カリウム水溶液を加えた後にヨウ素標準溶液を用いて滴定した。
【0047】
エポキシ当量の測定
試料0.2gをビーカーに計り取り、トルエン10mlと酢酸20mlを加え撹拌溶解した。これにテトラエチルアンモニウムブロマイド酢酸溶液10mlを加え撹拌し、さらにクリスタルバイオレット指示薬溶液を2〜3滴加えた。0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液を用いて滴定し、試料溶液の色が緑色につき始める点を終点とし、滴定量を読み取った。エポキシ当量は下記式によって
エポキシ当量={1000×試料重さ(g)}/{0.1×滴定量(ml)×力価}
算出した。
【0048】
50℃保存時の安定性の測定
試料を50℃の恒温槽で保管し、経時での粘度変化を測定した。
【0049】
硬度の測定
硬化剤として、変性脂肪族ポリアミン(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392またはダイトクラールX−7906)を使用した。エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーと変性脂肪族ポリアミン(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392またはダイトクラールX−7906)を混合したサンプルをポリプロピレン製カップにいれ、23℃50%RH雰囲気下で5日間硬化させた。硬化後の試料をポリプロピレン製カップから脱型し、表面を金属やすりを用いて平滑にした後に、高分子計器(株)製「デジタルゴム硬度計DD2−D型」を用いて23℃雰囲気下での「D硬度」値を測定し記録した。
【0050】
ハジキの測定
硬化剤として、変性脂肪族ポリアミン(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392またはダイトクラールX−7906)を使用した。エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーと変性脂肪族ポリアミン(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392またはダイトクラールX−7906)を混合した試料を溶融亜鉛メッキ鋼板へバーコーターを用い120μmの厚さに塗布した。23℃50%RH雰囲気下で5日間硬化後、表面を目視で観察しハジキの有無を測定した。ハジキの直径1mm以上のハジキの数が6個未満のサンプルを○(良)、6個以上のサンプルを×(不良)と判定した。
【0051】
耐屈曲性の測定
硬化剤として、変性脂肪族ポリアミン(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392またはダイトクラールX−7906)を使用した。エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーと変性脂肪族ポリアミン(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392またはダイトクラールX−7906)を混合した試料を溶融亜鉛メッキ鋼板へバーコーターを用い120μmの厚さに塗布した。23℃50%RH雰囲気下で5日間硬化後、直径2mmの心棒を用い、JIS K 5600−5−1に従い、耐屈曲性の測定を行った。塗膜の屈曲部に割れ、はがれが認められなかった試料を○(良)、割れ、はがれが認められた試料を×(不良)と判定した。
【0052】
耐熱性の測定
試料を、熱重量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント製 TGA−Q50)で、窒素雰囲気下で加熱による重量減量を測定した。昇温温度は10℃/分であった。
【0053】
メルカプタン末端ポリサルファイドポリマーの合成
合成例1
2Lの4つ口フラスコにポリ硫化ナトリウム水溶液(2.06mol/L)482.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液1.9g、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタン224.5g、1,2,3−トリクロロプロパン2.4gを仕込み、混合撹拌しながら80℃で4時間反応させた。その後、15.6wt%亜硫酸ナトリウム276.2g、46%水硫化ナトリウム水溶液53.8gを添加し、更に80℃で4時間反応後、水分を除去し、淡黄色透明の液状ポリサルファイドポリマーを得た。得られたポリマーは粘度が730 mPa・s、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)が1500、SH含量が6.8重量%であった。
【0054】
合成例2
2Lの4つ口フラスコにポリ硫化ナトリウム水溶液(2.06mol/L)482.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液3.9g、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタン224.5g、1,2,3−トリクロロプロパン44.2gを仕込み、混合撹拌しながら80℃で4時間反応させた。その後、15.6wt%亜硫酸ナトリウム439.2g、46%水硫化ナトリウム水溶液206.7gを添加し、更に80℃で4時間反応後、水分を除去し、淡黄色透明の液状ポリサルファイドポリマーを得た。得られたポリマーは粘度が180 mPa・s、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)が880、SH含量が15.4重量%であった。
【0055】
合成例3
2Lの4つ口フラスコにポリ硫化ナトリウム水溶液(2.06mol/L)553.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液3.9g、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタン224.5g、1,2,3−トリクロロプロパン3.0gを仕込み、混合撹拌しながら80℃で4時間反応させた。その後、15.6wt%亜硫酸ナトリウム321.7g、46%水硫化ナトリウム水溶液13.5gを添加し、更に80℃で4時間反応後、水分を除去し、淡黄色透明の液状ポリサルファイドポリマーを得た。得られたポリマーは粘度が1220 mPa・s、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)が5100、SH含量が2.3重量%であった。
【0056】
合成例4
2Lの4つ口フラスコにポリ硫化ナトリウム水溶液(2.06mol/L)482.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液1.9g、ビス(2−クロロエチル)ホルマール207.6g、1,2,3−トリクロロプロパン2.4gを仕込み、混合撹拌しながら80℃で4時間反応させた。その後、15.6wt%亜硫酸ナトリウム439.2g、46%水硫化ナトリウム水溶液53.8gを添加し、更に80℃で4時間反応後、水分を除去し、淡黄色透明の液状ポリサルファイドポリマーを得た。得られたポリマーは粘度が1060 mPa・s、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)が5100、SH含量が6.8重量%であった。
【0057】
合成例5
2Lの4つ口フラスコにポリ硫化ナトリウム水溶液(2.06mol/L)553.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液3.9g、ビス(2−クロロエチル)ホルマール207.6g、1,2,3−トリクロロプロパン3.0gを仕込み、混合撹拌しながら80℃で4時間反応させた。その後、15.6wt%亜硫酸ナトリウム321.7g、46%水硫化ナトリウム水溶液13.5gを添加し、更に80℃で4時間反応後、水分を除去し、淡黄色透明の液状ポリサルファイドポリマーを得た。得られたポリマーは粘度が1600 mPa・s、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)が5600、SH含量が2.5重量%であった。
【0058】
エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーの合成
実施例1
1Lの4つ口フラスコに合成例1のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)69重量部を仕込み、80℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が80/20(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は95Pa・s、エポキシ当量807であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は4400であった。
【0059】
実施例2
1Lの4つ口フラスコに合成例1のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)125.5重量部を仕込み、70℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が60/40(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は51Pa・s、エポキシ当量403はであった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は3200であった。
【0060】
実施例3
1Lの4つ口フラスコに合成例1のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールF型タイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)170.6重量部を仕込み、70℃で混合撹拌しながらSH含有率価が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は17Pa・s、エポキシ当量314はであった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は2200であった。
【0061】
実施例3のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を用いて、50℃保存時の15日後、30日後、45日後、60日後の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
実施例3のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)のポリマー混合物を用い、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
比較例1
1Lの4つ口フラスコに合成例4のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)170.6重量部を仕込み、80℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は22Pa・s、エポキシ当量322であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は2500であった。
【0064】
比較例1のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を用いて、実施例3と同様にして50℃保存時の15日後、30日後、45日後、60日後の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
比較例1のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を用いて、実施例3と同様にして、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定し、結果を表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示すように、本発明のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物は、50℃で60日保存後もほぼ粘度が変わらず、安定なポリマーであることを示した。比較例1のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物は、50℃で60日保存すると、大きく粘度が上昇した。
【0068】
実施例4
1Lの4つ口フラスコに合成例3のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)179.3重量部を混合し、60℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が40/60(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は13Pa・s、エポキシ当量は270であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は5100であった。
【0069】
実施例4のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が40/60(重量比)のポリマー混合物を用い、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定した。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
表2に示すように、本発明のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物は、比較例1のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物と比較して、各温度における重量減少率が小さく、高温加熱での熱分解が少ない事が示された。
【0072】
実施例5
1Lの4つ口フラスコに合成例2のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールF型タイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)259.0重量部を仕込み、50℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は134Pa・s、エポキシ当量は328であった。また混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は2900であった。
【0073】
実施例6
1Lの4つ口フラスコに合成例3のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)86.2重量部を混合し、70℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂が60/40(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は29Pa・s、エポキシ当量は410であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのGPCによる重量平均分子量(Mw)は6500であった。
【0074】
実施例7
1Lの4つ口フラスコに合成例1のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)132.2重量部を仕込み、70℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が60/40(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は68Pa・s、エポキシ当量491はであった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は2900であった。
【0075】
実施例7のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が60/40(重量比)の混合物を用いて、50℃保存時の60日後、80日後の粘度を測定した。結果を表3に示す。
【0076】
実施例7のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が60/40(重量比)のポリマー混合物を用い、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定した。結果を表4に示す。
【0077】
実施例8
1Lの4つ口フラスコに合成例1のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型タイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)248重量部を仕込み、70℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が40/60(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は33Pa・s、エポキシ当量は311であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は2300であった。
【0078】
実施例8のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が40/60(重量比)の混合物を用いて、50℃保存時の60日後、80日後の粘度を測定した。結果を表3に示す。
【0079】
比較例2
1Lの4つ口フラスコに合成例4のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)178.6重量部を仕込み、80℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は54Pa・s、エポキシ当量356であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は2200であった。
【0080】
比較例2のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を用いて、実施例7と同様にして50℃保存時の60日後、80日後の粘度を測定した。結果を表3に示す。
【0081】
比較例2のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を用いて、実施例7と同様にして150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定し、結果を表4に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
表3に示すように、本発明のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物は、50℃で80日保存後もほぼ粘度が変わらず、安定なポリマーであることを示した。比較例2のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物は、50℃で60日保存すると、大きく粘度が上昇し、80日目にはゲル化し粘度測定が不可能であった。
【0084】
実施例9
1Lの4つ口フラスコに合成例2のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)276.8重量部を混合し、60℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が50/50(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は172Pa・s、エポキシ当量は390であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は3100であった。
【0085】
実施例9のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が50/50(重量比)のポリマー混合物を用い、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定した。結果を表4に示す。
【0086】
実施例10
1Lの4つ口フラスコに合成例3のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型タイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)182.5重量部を仕込み、50℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が40/60(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は25Pa・s、エポキシ当量は297であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は5200であった。
【0087】
実施例10のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が50/50(重量比)のポリマー混合物を用い、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定した。結果を表4に示す。
【0088】
比較例3
1Lの4つ口フラスコに合成例5のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)182.6重量部を仕込み、70℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が40/60(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は32Pa・s、エポキシ当量313であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は5500であった。
【0089】
比較例3のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が40/60(重量比)の混合物を用いて、実施例7と同様にして、150℃、200℃、250℃での加熱による重量減量%を測定し、結果を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
表4に示すように、本発明のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマービスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物は、比較例2および比較例3のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマービスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物と比べ、各温度における加熱による重量減少率が小さく、高温加熱での熱分解が少ない事が示された。
【0092】
実施例11
1Lの4つ口フラスコに合成例3のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)88.3重量部を混合し、70℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が60/40(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は45Pa・s、エポキシ当量は469であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は6200であった。
【0093】
実施例12
1Lの4つ口フラスコに合成例3のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)41.2重量部を混合し、80℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が80/20(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は88Pa・s、エポキシ当量は775であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は7600であった。
【0094】
実施例13
1Lの4つ口フラスコに合成例1のポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)74重量部を仕込み、80℃で混合撹拌しながらSH含有率が0.2%以下になるまで反応させ、エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂が80/20(重量比)の混合物を得た。得られた混合物の粘度は143Pa・s、エポキシ当量895であった。混合物中のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(Mw)は4700であった。
【0095】
実施例14〜19
実施例1〜6のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物に、硬化剤(大都産業(株)製 ダイトクラールX−2392)を合成例のポリマーのエポキシ当量と硬化剤のアミン当量が1:1になるように配合し、混合撹拌した。エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物と硬化剤の混合比は、表5に示した。23℃50%RH雰囲気下で5日間硬化後、硬度、ハジキ、耐屈曲性の測定を行った。結果を表5に示す。
【0096】
比較例4
ビスフェノールF型タイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER807、エポキシ当量170)を使用し、実施例14と同様にして、硬度、ハジキ、耐屈曲性の測定を行った。ビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物と硬化剤の混合比は、表5に示した。結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
表5に示すように、本発明のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物の硬化物は、比較例4のビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用した硬化物に比べ、ハジキがなく、溶融亜鉛メッキ鋼板への塗装性が良好であり、耐屈曲性が良好であった。
【0099】
実施例20〜26
実施例7〜13のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物に、硬化剤(大都産業(株)製 ダイトクラールX−7906)を混合物のエポキシ当量と硬化剤のアミン当量が1:1になるように配合し、混合撹拌した。エポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物と硬化剤の混合比は、表6に示した。23℃50%RH雰囲気下で5日間硬化後、硬度、ハジキ、耐屈曲性の測定を行った。結果を表6に示す。
【0100】
比較例5
ビスフェノールA型タイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828、エポキシ当量190)を使用し、実施例20と同様にして、硬度、ハジキ、耐屈曲性の測定を行った。ビスフェノールA型エポキシ樹脂と硬化剤の混合比は、表6に示した。結果を表6に示す。
【0101】
【表6】
【0102】
表6に示すように、本発明のエポキシ基末端ポリサルファイドポリマーとビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物の硬化物は、比較例5のビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した硬化物に比べ、ハジキがなく、溶融亜鉛メッキ鋼板への塗装性が良好であり、耐屈曲性が良好であった。