(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内壁面と前記突出部との間の上下方向と直交する方向の距離は、前記排水流路部の排水方向に向かうに従って長くなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴槽排水部構造。
【背景技術】
【0002】
浴槽は、浴槽水(浴槽内に溜められた湯水)を外部に排出するための排水口を底面に有している。浴槽の排水口よりも下流側には、浴槽の排水口に対して下方から接続される排水口接続部、及び、排水口接続部から流れ込んだ浴槽水を排出するための排水流路部が設けられている。
【0003】
また、浴槽の排水口に設置される排水栓を開閉させるための操作ワイヤを通す目的や、浴槽が設置される浴槽パンから流れ込んでくる水を排出するための排出口を設ける目的のため、排水口接続部の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大空間部を、排水口接続部と排水口流路部との間に設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような浴槽排水部構造においては、封水を洗い場床側の排水部と共用している場合が多い。この場合、封水の高さは、洗い場床側の排水部によって規定されるため、浴槽の排水部側では、封水の高さをコントロールし難い。結果として、封水の高さが、拡大空間部の底面より高くなり易い。封水の高さが拡大空間部の底面よりも高いと、拡大空間部内にある封水の水量が多くなり、浴槽水を排出した際にも、拡大空間部内にある封水が置換され難くなってしまう。また、封水は、基本的に浴槽水や洗い場床側からの排水などの汚水によって形成される。このように、拡大空間部においては、汚水によって形成された封水が置換され難いため、拡大空間部内には、汚れなどが発生し易い。こうした汚れは、悪臭などの要因となってしまう可能性もある。
【0005】
また、浴槽側の排水部は、洗い場床側の排水部と比べて、使用者などが清掃し難く、拡大空間部内に発生した汚れなどは、非常に取り除き難い。このため、浴槽排水部構造においては、排水口接続部と排水口流路部との間に拡大空間部を設けた場合にも、拡大空間部内に発生した汚れなどを簡単に落とせるようにすることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、排水口接続部と排水口流路部との間の拡大空間部内に発生した汚れなどを簡単に落とすことができる浴槽排水部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、浴槽の排水口の下流側に設けられ、前記浴槽から排出された浴槽水を洗い場床側の排水部に排出する浴槽排水部構造であって、前記浴槽の前記排水口に下方から接続される排水口接続部と、前記排水口接続部の下方に設けられ、底面と、前記底面の外周を囲む内壁面と、前記底面に設けられた排水孔と、を有し、前記排水口接続部の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大空間を前記底面と前記内壁面とで形成し、前記拡大空間内に封水を貯留可能とした拡大空間部と、前記排水孔から排出された前記浴槽水を前記洗い場床側の排水部に流す排水流路部と、を備え、前記排水口接続部は、下方に向かって突出した突出部を有し、前記突出部の下端は、前記拡大空間内に貯留される封水の最高位置よりも下方、かつ前記底面よりも上方に位置し、前記底面との間に間隙を有し、前記拡大空間部は、前記底面と前記内壁面と前記突出部とに囲まれた半隠蔽空間を前記拡大空間内に有し、前記浴槽水の排出の際に、前記間隙から前記半隠蔽空間内に前記浴槽水の一部を流入させることで、前記半隠蔽空間内に上下旋回流を発生させることを特徴とする浴槽排水部構造である。
【0009】
この浴槽排水部構造では、拡大空間部内に半隠蔽空間が設けられ、浴槽水が排出された際に、拡大空間部の底面と突出部との間の間隙から、半隠蔽空間に浴槽水の一部を流入させている。半隠蔽空間に浴槽水が流れ込むと、空間が半隠蔽されているが故に、流れ込んだ浴槽水の内圧によって半隠蔽空間内に強い上下旋回流が形成される。これにより、拡大空間部内に汚れなどが発生した場合であっても、浴槽水を排出する度に、拡大空間部内に発生した汚れなどを、この強い上下旋回流によって洗い流すことができる。従って、部品などを取り外して拡大空間部内を清掃させる手間を使用者などに掛けさせることがなく、拡大空間部内に発生した汚れなどを簡単に落とすことができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記排水孔は、前記突出部よりも前記排水流路部の排水方向に延びた長孔形状であることを特徴とする浴槽排水部構造である。
【0011】
この浴槽排水部構造によれば、排水孔を長孔形状とすることにより、浴槽水が排出された際に、浴槽水を排水流路部に流し易くすることができる。さらには、突出部よりも排水流路部の排水方向に延びた排水孔から排出される浴槽水の引き込み力により、半隠蔽空間内に形成された上下旋回流を、上下旋回流によって剥ぎ落された汚れとともに排水流路部に排出し易くすることができる。従って、上下旋回流によって剥ぎ落された汚れなどが拡大空間部内に残ってしまうことを抑制することができ、拡大空間部内に発生した汚れなどをより確実に洗い流すことができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記排水孔の上下方向及び前記排水方向と直交する方向の横幅は、前記排水方向に向かうに従って広くなることを特徴とする浴槽排水部構造である。
【0013】
この浴槽排水部構造によれば、上下旋回流が、排水孔から排水孔の直下の排水流路部内に流入して、排水流路部の側壁面に衝突した際に、上下旋回の回転のエネルギーの一部を排水流路部の排水方向に向かうエネルギーに利用することができる。従って、排水流路部における排水速度を上げ、上下旋回流をより排水流路部に排出し易くすることができる。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記内壁面と前記突出部との間の上下方向と直交する方向の距離は、前記排水流路部の排水方向に向かうに従って長くなることを特徴とする浴槽排水部構造である。
【0015】
この浴槽排水部構造によれば、内壁面と突出部との間の距離の違いにより、排水流路部の排水方向に向かうに従って、半隠蔽空間内の圧力を低くする圧力差を生じさせることができる。従って、上下旋回流を圧力の低くなる排水流路部の排水方向に向かって流れ易くすることができる。これにより、上下旋回流をより排水流路部に排出し易くすることができる。
【0016】
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記突出部は、筒状であり、前記排水口接続部は、前記排水口から流れ込んだ前記浴槽水を前記突出部の内部を通過させて前記拡大空間部へ流入させることを特徴とする浴槽排水部構造である。
【0017】
この浴槽排水部構造によれば、浴槽の排水口から流れ込んだ浴槽水を速やかに排水孔に流入させるとともに、浴槽の排水口から流れ込んだ一部の浴槽水を拡大空間部の底面と筒状の突出部との間の間隙から半隠蔽空間へ速やかに流入させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、排水口接続部と排水口流路部との間の拡大空間部内に発生した汚れなどを簡単に落とすことができる浴槽排水部構造が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室ユニットを模式的に表す平面図である。
図1に表したように、浴室ユニット2は、浴槽10と、洗い場床20と、を備える。浴槽10は、上下方向と直交する水平方向において洗い場床20と並べて配置される。浴室ユニット2は、例えば、浴槽10、洗い場床20、壁パネル、及び天井パネルなどをユニット化した、いわゆるユニットバスやシステムバスである。
【0021】
浴槽10は、例えば、浴槽本体11と、排水口12と、排水栓13と、操作部14と、を有する。浴槽本体11は、内部に湯水を溜めることができる凹状であり、底面11aと、底面11aの周囲を囲む上端面(リム面)11bと、を有する。
【0022】
排水口12は、浴槽本体11の底面11aに設けられ、浴槽本体11に溜められた湯水(以下、浴槽水と称す)を外部に排出可能とする。排水栓13は、排水口12に取り付けられ、排水口12を開閉する。操作部14は、浴槽本体11の上端面11bに設けられている。操作部14は、操作ワイヤ16(
図4、
図5参照)などを介して排水栓13と接続され、操作力を排水栓13に伝達する。これにより、操作部14の操作に応じて、排水口12を塞いだ閉状態と、排水口12を開いた開状態と、に排水栓13が切り替えられる。排水栓13を閉状態とすることにより、浴槽本体11内に浴槽水を溜めることが可能となる。そして、排水栓13を開状態とすることにより、浴槽本体11内に溜められた浴槽水が排水口12から外部に排出される。
【0023】
洗い場床20は、床本体21と、排水口部材22と、を有する。排水口部材22は、排水口23を有し、床本体21の床面21aに流された湯水を排水口23から外部に排出する。排水口部材22は、例えば、浴槽10と洗い場床20との境界付近に配置される。排水口23は、例えば、浴槽10と洗い場床20との並ぶ方向において、浴槽10の排水口12と直線状に並べて配置される。排水口部材22は、例えば、接着などにより、床本体21に略一体に取り付けられる。
【0024】
図2は、実施形態に係る浴室ユニットの一部を模式的に表す断面図である。
図3は、実施形態に係る浴室ユニットの一部を模式的に表す分解斜視図である。
図2は、
図1のA1−A2線断面を模式的に表している。
図2及び
図3に表したように、浴室ユニット2は、洗い場床排水部構造30と、浴槽排水部構造40と、をさらに備える。
【0025】
洗い場床排水部構造30は、例えば、排水トラップ31と、封水筒32と、を有する。排水トラップ31は、内部の空間に封水を貯留可能な容器状である。排水トラップ31は、例えば、締付フランジ33及びパッキン34を介して排水口部材22の下方に取り付けられ、排水口23に接続される。排水トラップ31は、排出口31aを有する。排出口31aは、図示を省略した配管と接続され、この配管を介して外部の排水管などと接続される。これにより、洗い場床20の排水口23に流入した排水が、排水トラップ31などを介して外部の排水管などに排出される。
【0026】
封水筒32は、排水口23に対して上方から取り付けられる。封水筒32の下端は、排水口23に取り付けられた状態において、排水トラップ31に貯留される封水の最高位置MHPよりも下方に位置にする。すなわち、封水筒32の下端は、封水内に浸けられる。これにより、排出口31aを介して逆流する臭気や害虫などが、浴室内に侵入してしまうことを抑制することができる。封水の最高位置MHPは、例えば、排水トラップ31の排出口31a側の堰部31bによって規定される。
【0027】
封水筒32には、例えば、ヘアキャッチャ35が取り付けられる。ヘアキャッチャ35は、網状に形成され、毛髪やゴミなどの排水管への侵入を抑制する。ヘアキャッチャ35は、封水筒32に着脱可能に取り付けられ、捕獲した毛髪やゴミなどを容易に捨てられるようにする。
【0028】
また、
図2に表したように、洗い場床20は、カバー24をさらに有する。カバー24は、排水口部材22の開口部に嵌って排水口23の上方を覆う。カバー24は、排水口部材22の開口部との間に僅かに隙間を形成し、この隙間から排水口23に湯水を排水可能にしつつ、床本体21の床面21aと略面一になる。これにより、排水口23を覆って浴室の美観を向上させることができるとともに、排水口部材22の凹部に使用者などが足を引っ掛けてしまうことを抑制することができる。なお、
図1では、便宜的に、カバー24を取り外した状態を図示している。
【0029】
浴槽排水部構造40は、防水パン41と、接続配管42と、接続プレート43と、を有する。防水パン41は、浴槽本体11(浴槽10)の下方に設けられる。換言すれば、浴槽本体11は、防水パン41の上に設けられる。防水パン41は、浴槽本体11から漏れ出た湯水などを受け、浴槽本体11から漏れ出た湯水などが建築躯体に流れてしまうことを抑制する。防水パン41は、接続配管42及び接続プレート43を接続するための接続開口41aを有する。
【0030】
接続配管42の一端は、排水トラップ31に接続される。接続配管42の他端は、防水パン41に接続される。接続配管42は、例えば、締付フランジ44及びパッキン45を介して防水パン41の接続開口41aに下方から接続される。
【0031】
接続プレート43は、例えば、ネジ止めなどによって防水パン41に取り付けられる。接続プレート43は、上方から防水パン41に取り付けられ、接続開口41aを上方から塞ぐ。
【0032】
接続プレート43は、浴槽本体11の排水口12との接続に用いられる浴槽接続部43aを有する。浴槽接続部43aは、例えば、上方に向かって延びる筒状であり、排水口12と接続された状態において、排水口12から排出された浴槽水を流すための貫通孔を有する。浴槽接続部43aは、例えば、締付フランジ46で浴槽本体11の排水口12の周囲を共締めすることにより、排水口12に下方から接続される。
【0033】
浴槽10に溜められた浴槽水は、排水口12、浴槽接続部43a、接続開口41a、及び接続配管42を介して排水トラップ31に排出される。このように、浴槽排水部構造40は、浴槽10の排水口12の下流側に設けられ、浴槽10から排出された浴槽水を洗い場床排水部構造30に排出する。浴槽排水部構造40の構成は、上記に限ることなく、浴槽水を洗い場床排水部構造30側に排出可能な任意の構成でよい。
【0034】
図4及び
図5は、実施形態に係る浴槽排水部構造を模式的に表す断面図である。
図4は、
図1のA1−A2線断面を模式的に表す。
図5は、
図1のB1−B2線断面を模式的に表す。
図4及び
図5に表したように、浴槽排水部構造40は、排水口接続部50と、拡大空間部60と、排水流路部70と、を有する。
【0035】
排水口接続部50は、浴槽10の排水口12に下方から接続される。この例において、排水口接続部50は、例えば、接続プレート43及び締付フランジ46などによって構成される。
【0036】
拡大空間部60は、排水口接続部50の下方に設けられる。拡大空間部60は、底面61と、底面61の外周を囲む内壁面62と、底面61に設けられた排水孔63と、を有する。拡大空間部60は、排水口接続部50の流路断面積S1よりも大きい流路断面積S2を有する拡大空間64を底面61と内壁面62とで形成する。拡大空間64の少なくとも一部は、洗い場床排水部構造30によって規定される封水の最高位置MHPよりも下方に位置する。これにより、拡大空間部60は、拡大空間64内に封水を貯留可能とする。
【0037】
この例において、拡大空間部60は、例えば、接続配管42、接続プレート43、及び締付フランジ44などによって構成される。排水口接続部50の流路断面積S1は、例えば、締付フランジ46の流路断面積である。拡大空間部60の流路断面積S2は、例えば、締付フランジ44の流路断面積である。
【0038】
排水流路部70は、排水孔63から排出された浴槽水を洗い場床排水部構造30に流す。この例において、排水流路部70は、例えば、接続配管42によって構成される。
【0039】
排水口接続部50は、下方に向かって突出した突出部52を有する。突出部52の下端52bは、拡大空間64内に貯留される封水の最高位置MHPよりも下方、かつ底面61よりも上方に位置し、底面61との間に間隙SPを有する。
【0040】
突出部52は、例えば、筒状である。排水口接続部50は、排水口12から流れ込んだ浴槽水を突出部52の内部を通過させて拡大空間部60へ流入させる。この例において、突出部52は、接続プレート43に設けられている。突出部52は、例えば、浴槽接続部43aの貫通孔と連続して設けられる。これにより、突出部52の内部に浴槽水を通過させることができる。
【0041】
排水孔63の少なくとも一部は、突出部52の直下に位置する。これにより、突出部52の内部を通過する浴槽水を、スムーズに排水孔63及び排水流路部70に流すことができる。例えば、突出部52が設けられていない場合などと比べて、浴槽10に溜められた浴槽水の排水速度を高めることができる。
【0042】
突出部52の形状は、筒状に限ることなく、下方に向かって突出し、封水の最高位置MHPよりも下方、かつ底面61よりも上方に位置する下端52bを有する任意の形状でよい。
【0043】
拡大空間部60は、底面61と内壁面62と突出部52とに囲まれた半隠蔽空間65を拡大空間64内に有する。拡大空間部60は、浴槽水の排出の際に、間隙SPから半隠蔽空間65内に浴槽水の一部を流入させることで、半隠蔽空間65内に上下旋回流RFを発生させる。
【0044】
上下旋回流RFは、より詳しくは、間隙SPから半隠蔽空間65内に流入した後、底面61、内壁面62、拡大空間部60の天井面、及び突出部52に沿って上下に旋回する。上下旋回流RFは、上記の旋回を繰り返しながら排水孔63に向かって流れ、排水孔63から洗い場床排水部構造30側に排出される。
【0045】
突出部52の下端52bと排水孔63との間の上下方向の距離(間隙SPの距離)は、例えば、5mm以上15mm以下である。これにより、半隠蔽空間65を適切に形成し、上下旋回流RFを適切に発生させることができる。また、突出部52の下端52bを排水孔63に近づけ、前述のように、突出部52の内部を通過する浴槽水を、スムーズに排水孔63及び排水流路部70に流すことができる。
【0046】
図4及び
図5に表したように、浴槽10は、例えば、昇降機構15と、操作ワイヤ16と、をさらに有する。昇降機構15は、排水口12の近傍に取り付けられる。この例では、昇降機構15は、排水口12に対して所定の高さとなるように、接続プレート43に取り付けられている。より詳しくは、昇降機構15は、筒状の突出部52の内部に嵌め込まれて取り付けられている。昇降機構15は、排水栓13と接続されている。昇降機構15は、排水栓13を昇降させることにより、排水栓13を開状態と閉状態とに切り替える。
【0047】
操作ワイヤ16の一端は、操作部14に接続されている。操作ワイヤ16の他端は、昇降機構15に接続されている。これにより、操作部14の操作力が、操作ワイヤ16を介して昇降機構15に伝達され、操作部14の操作に応じて排水栓13が昇降する。
【0048】
接続プレート43は、操作ワイヤ16を挿通するための挿通口43bを有する。操作ワイヤ16は、挿通口43bを介して拡大空間部60の拡大空間64内に挿通され、拡大空間64内において下方から昇降機構15と接続される。
【0049】
挿通口43bには、チューブ17の一端が接続されている。チューブ17の他端は、例えば、操作部14に接続されている。チューブ17は、例えば、可撓性を有し、操作ワイヤ16とともに任意の方向に曲げることができる。このように、挿通口43bと操作部14との間をチューブ17で接続することにより、拡大空間部60内に流入した浴槽水などが、挿通口43bから外部に漏れ出てしまうことを抑制することができる。
【0050】
また、接続プレート43には、図示を省略した排水弁が設けられている。接続プレート43は、防水パン41に漏れ出た湯水などを排水弁を介して拡大空間部60内に流入させる。これにより、防水パン41に漏れ出た湯水なども、洗い場床排水部構造30側、及び外部の排水管などに適切に排水することができる。
【0051】
このように、拡大空間部60は、操作ワイヤ16を挿通したり、防水パン41からの排水を受けたりするための空間として用いられる。拡大空間部60は、例えば、昇降式の排水栓13、及び防水パン41の少なくとも一方を備えた浴室ユニット2において必要となる。
【0052】
図6は、実施形態に係る接続配管を模式的に表す斜視図である。
図6に表したように、排水孔63は、突出部52よりも排水流路部70の排水方向WDDに延びた長孔形状である。排水孔63の上下方向及び排水方向WDDと直交する方向の横幅BWは、排水方向WDDに向かうに従って広くなる。
【0053】
また、
図4及び
図6に表したように、突出部52は、拡大空間部60の中央に対して排水方向WDDと反対の方向にずれて配置されている。このため、内壁面62と突出部52との間の上下方向と直交する方向の距離は、排水流路部70の排水方向WDDに向かうに従って長くなる。例えば、
図6に表したように、排水方向WDD側の距離L1は、排水方向WDDと反対側の距離L2よりも長い。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態に係る浴室ユニット2及び浴槽排水部構造40では、拡大空間部60内に半隠蔽空間65が設けられ、浴槽水が排出された際に、拡大空間部60の底面61と突出部52との間の間隙SPから、半隠蔽空間65に浴槽水の一部を流入させている。半隠蔽空間65に浴槽水が流れ込むと、空間が半隠蔽されているが故に、流れ込んだ浴槽水の内圧によって半隠蔽空間65内に上下旋回流RFが形成される。突出部52を設け、比較的狭い半隠蔽空間65を拡大空間部60内に設けることにより、比較的強い上下旋回流RFを形成することができる。
【0055】
これにより、拡大空間部60内に汚れなどが発生した場合であっても、浴槽水を排出する度に、拡大空間部60内に発生した汚れなどを、この強い上下旋回流によって洗い流すことができる。例えば、拡大空間部60内に発生した汚れなどを、比較的強い上下旋回流RFによって剥ぎ落とすことができる。ここで、「拡大空間部60内に発生した汚れなど」とは、例えば、拡大空間部60内に繁殖した菌、表面に菌によって形成されたバイオフィルム、バイオフィルムを栄養に繁殖したカビなどである。従って、部品などを取り外して拡大空間部60内を清掃させる手間を使用者などに掛けさせることがなく、拡大空間部60内に発生した汚れなどを簡単に落とすことができる。
【0056】
また、突出部52を設けることにより、突出部52の下端52bと排水孔63との間の上下方向の距離を短くすることができる。これにより、浴槽水をスムーズに排水孔63及び排水流路部70に流すことができる。例えば、突出部52が設けられていない場合などと比べて、浴槽10に溜められた浴槽水の排水速度を高めることができる。
【0057】
また、浴室ユニット2及び浴槽排水部構造40では、排水孔63を長孔形状とすることにより、浴槽水が排出された際に、浴槽水を排水流路部70に流し易くすることができる。さらには、突出部52よりも排水流路部70の排水方向WDDに延びた排水孔63から排出される浴槽水の引き込み力により、半隠蔽空間65内に形成された上下旋回流RFを、上下旋回流RFによって剥ぎ落された汚れとともに排水流路部70に排出し易くすることができる。従って、上下旋回流RFによって剥ぎ落された汚れなどが拡大空間部60内に残ってしまうことを抑制することができ、拡大空間部60内に発生した汚れなどをより確実に洗い流すことができる。
【0058】
また、浴室ユニット2及び浴槽排水部構造40では、排水孔63の上下方向及び排水方向WDDと直交する方向の横幅BWが、排水方向WDDに向かうに従って広くなる。これにより、上下旋回流RFが、排水孔63から排水孔63の直下の排水流路部70内に流入して、排水流路部70の側壁面70s(
図6参照)に衝突した際に、上下旋回の回転のエネルギーの一部を、排水方向WDDに向かって広くなる側壁面70sの傾斜に従って、排水流路部70の排水方向WDDに向かうエネルギーに利用することができる。従って、排水流路部70における排水速度を上げ、上下旋回流RFをより排水流路部70に排出し易くすることができる。
【0059】
また、浴室ユニット2及び浴槽排水部構造40では、内壁面62と突出部52との間の上下方向と直交する方向の距離が、排水流路部70の排水方向WDDに向かうに従って長くなる。このような内壁面62と突出部52との間の距離の違いにより、排水流路部70の排水方向に向かうに従って、半隠蔽空間65内の圧力を低くする圧力差を生じさせることができる。
【0060】
例えば、
図6に表したように、半隠蔽空間65(拡大空間部60)内において、比較的圧力の高い領域R1と、領域R1よりも圧力の低い領域R2、R3と、を設けることができる。従って、上下旋回流RFを圧力の低くなる排水流路部70の排水方向WDDに向かって流れ易くすることができる。例えば、領域R1から領域R2、R3に向かう流れf1、f2を形成することができる。これにより、上下旋回流RFをより排水流路部70に排出し易くすることができる。
【0061】
また、浴室ユニット2及び浴槽排水部構造40では、突出部52が、筒状であり、排水口接続部50は、排水口12から流れ込んだ浴槽水を突出部52の内部を通過させて拡大空間部60へ流入させる。これにより、浴槽10の排水口12から流れ込んだ浴槽水を速やかに排水孔63に流入させるとともに、浴槽10の排水口12から流れ込んだ一部の浴槽水を拡大空間部60の底面61と筒状の突出部52との間の間隙SPから半隠蔽空間65へ速やかに流入させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室ユニット2及び浴槽排水部構造40などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。