(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6909076
(24)【登録日】2021年7月6日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20210715BHJP
G08B 21/04 20060101ALI20210715BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/04
G08B25/10 D
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-129564(P2017-129564)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-12471(P2019-12471A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】中川 義明
(72)【発明者】
【氏名】東 英樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 稔
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 政典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 邦春
(72)【発明者】
【氏名】横山 甲
(72)【発明者】
【氏名】小材 健
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦晴
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】松村 祐貴
【審査官】
吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5927691(JP,B2)
【文献】
特許第5260955(JP,B2)
【文献】
特開2016−208335(JP,A)
【文献】
特開2015−207262(JP,A)
【文献】
特開2015−026353(JP,A)
【文献】
特開2016−126440(JP,A)
【文献】
再公表特許第2005/106503(JP,A1)
【文献】
特開2017−090953(JP,A)
【文献】
特開2013−232806(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0197856(US,A1)
【文献】
特開2015−208335(JP,A)
【文献】
特開2015−026533(JP,A)
【文献】
特開2018−142169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
G08B19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員が保持する端末装置と、情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
加速度センサーと、
前記加速度センサーによって計測された前記作業員の加速度に関する加速度データを前記情報処理装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記加速度データを受信する受信手段と、
前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出手段と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定手段と、
を有し、
前記第2の判定手段により、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出手段は、前記作業員が異常事態にあると検出し、
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記検出手段により前記作業員が異常状態にあると検出された場合、前記作業員が異常状態にあることを通知する通知手段を更に有する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記受信手段は、前記作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を更に通知する請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記受信手段は、複数の作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の周辺にいる他の作業員に前記異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を通知する請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点の加速度と前記処理対象点から第1の設定秒後の加速度との差分が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転落状態であると判定する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から前記第1の設定秒後より後の第2の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転落状態であると判定する請求項5記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から第5の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1の時間、及び、前記第2の時間を設定する設定手段を更に有する請求項1乃至7何れか1項記載の情報処理システム。
【請求項9】
作業員が保持する、加速度センサーと送信手段とを少なくとも有する端末装置から得られる前記作業員の加速度に関する加速度データを受信する受信手段と、
前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出手段と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定手段と、
を有し、
前記第2の判定手段により、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出手段は、前記作業員が異常事態にあると検出し、
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
情報処理装置。
【請求項10】
前記検出手段により前記作業員が異常状態にあると検出された場合、前記作業員が異常状態にあることを通知する通知手段を更に有する請求項9記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記受信手段は、前記作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を更に通知する請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記受信手段は、複数の作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の周辺に
いる他の作業員に前記異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を通知する請求項11記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点の加速度と前記処理対象点から第1の設定秒後の加速度との差分が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転落状態であると判定する請求項9記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から前記第1の設定秒後より後の第2の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転落状態であると判定する請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から第5の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する請求項14記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第1の時間、及び、前記第2の時間を設定する設定手段を更に有する請求項9乃至15何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項17】
作業員が保持する加速度センサーから得られる前記作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定手段と、
前記第2の判定手段により転落後、前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により転倒後、前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出手段と、
を有し、
前記第2の判定手段により、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出手段は、前記作業員が異常事態にあると検出し、
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
情報処理装置。
【請求項18】
作業員が保持する、加速度センサーを有する端末装置と、情報処理装置と、を含む情報処理システムにおける情報処理方法であって、
前記端末装置が、前記加速度センサーによって計測された前記作業員の加速度に関する加速度データを前記情報処理装置に送信する送信工程と、
前記情報処理装置が、前記加速度データを受信する受信工程と、
前記情報処理装置が、前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出工程と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定工程と、
を含み、
前記第2の判定工程において、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程において、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出工程において、前記作業員が異常事態にあると検出され、
前記第1の判定工程において、前記加速度データに基づき、前記第1の判定工程における前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定される
情報処理方法。
【請求項19】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
作業員が保持する、加速度センサーと送信手段とを少なくとも有する端末装置から得られる前記作業員の加速度に関する加速度データを受信する受信工程と、
前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出工程と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定工程と、
を含み、
前記第2の判定工程において、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程において、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出工程において、前記作業員が異常事態にあると検出され、
前記第1の判定工程において、前記加速度データに基づき、前記第1の判定工程における前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定される
情報処理方法。
【請求項20】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
作業員が保持する加速度センサーから得られる前記作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定工程と、
前記第1の判定工程により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定工程と、
前記第2の判定工程により転落後、前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程により転倒後、前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出工程と、
を含み、
前記第2の判定工程において、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程において、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出工程において、前記作業員が異常事態にあると検出され、
前記第1の判定工程において、前記加速度データに基づき、前記第1の判定工程における前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定される
情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータを、請求項9乃至16何れか1項記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置
、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や製造所等の現場には様々な装置や資材等が配置されており、現場作業員の安全管理のため、立ち入り禁止区域や危険区域等は目印ライン等で表示されている。
しかしながら、作業中に何かにつまずいて転倒したり、高所作業を行う者は転落したりする危険性があり、また、夏場等は熱中症や体調不良により倒れてしまう危険性もある。
工場や製造所等での作業の自動化が進み少ない人員で作業が行えるようになった反面、作業員に上記のような異常事態が発生しても他の作業員が気づかない危険性は高まっており、特に転倒・転落による怪我で身動きできない場合や、意識を失ってしまった場合などは深刻な状況に陥る可能性がある。
特許文献1には、人の所要位置に加速度センサーを装着し、センサーから得られた加速度が予め設定された基準加速度を超えた場合に転倒を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−252618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、少しつまずいただけであったり、センサーを落としてしまって拾い上げたりしたような場合にも転倒検出する可能性があるため、深刻な状況等ではなく、何ら問題とならないような事象であっても過検出してしまうおそれがあった。
本発明は、加速度センサーから得られるデータに基づき、過検出を抑制して、転倒、転落による従業員の異常事態の発生を信頼性高く検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)
作業員が保持する端末装置と、情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
加速度センサーと、
前記加速度センサーによって計測された前記作業員の加速度に関する加速度データを前記情報処理装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記加速度データを受信する受信手段と、
前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出手段と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定手段と、
を有し、
前記第2の判定手段により、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出手段は、前記作業員が異常事態にあると検出し、
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
情報処理システム。
(2)
前記情報処理装置は、
前記検出手段により前記作業員が異常状態にあると検出された場合、前記作業員が異常状態にあることを通知する通知手段を更に有する
(1)記載の情報処理システム。
(3)
前記受信手段は、前記作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を更に通知する
(2)記載の情報処理システム。
(4)
前記受信手段は、複数の作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の周辺にいる他の作業員に前記異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を通知する
(3)記載の情報処理システム。
(5)
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点の加速度と前記処理対象点から第1の設定秒後の加速度との差分が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転落状態であると判定する
(1)記載の情報処理システム。
(6)
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から前記第1の設定秒後より後の第2の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転落状態であると判定する
(5)記載の情報処理システム。
(7)
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から第5の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
(1)記載の情報処理システム。
(8)
前記第1の時間、及び、前記第2の時間を設定する設定手段を更に有する(1)乃至
(7)何れか1項記載の情報処理システム。
(9)
作業員が保持する、加速度センサーと送信手段とを少なくとも有する端末装置から得られる前記作業員の加速度に関する加速度データを受信する受信手段と、
前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出手段と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定手段と、
を有し、
前記第2の判定手段により、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出手段は、前記作業員が異常事態にあると検出し、
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
情報処理装置。
(10)
前記検出手段により前記作業員が異常状態にあると検出された場合、前記作業員が異常状態にあることを通知する通知手段を更に有する
(9)記載の情報処理装置。
(11)
前記受信手段は、前記作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を更に通知する
(10)記載の情報処理装置。
(12)
前記受信手段は、複数の作業員の位置情報を更に受信し、
前記通知手段は、前記検出手段により異常状態にあると検出された前記作業員の周辺に
いる他の作業員に前記異常状態にあると検出された前記作業員の位置情報を通知する
(11)記載の情報処理装置。
(13)
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点の加速度と前記処理対象点から第1の設定秒後の加速度との差分が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転落状態であると判定する
(9)記載の情報処理装置。
(14)
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から前記第1の設定秒後より後の第2の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転落状態であると判定する
(13)記載の情報処理装置。
(15)
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、更に、前記処理対象点から第5の設定秒後までの間の加速度の最大値が一定値以上である場合に、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
(14)記載の情報処理装置。
(16)
前記第1の時間、及び、前記第2の時間を設定する設定手段を更に有する
(9)乃至(15)何れか1項記載の記載の情報処理装置。
(17)
作業員が保持する加速度センサーから得られる前記作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定手段と、
前記第2の判定手段により転落後、前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により転倒後、前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出手段と、
を有し、
前記第2の判定手段により、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定手段により、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出手段は、前記作業員が異常事態にあると検出し、
前記第1の判定手段は、前記加速度データに基づき、前記第1の判定手段による前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定する
情報処理装置。
(18)
作業員が保持する、加速度センサーを有する端末装置と、情報処理装置と、を含む情報処理システムにおける情報処理方法であって、
前記端末装置が、前記加速度センサーによって計測された前記作業員の加速度に関する加速度データを前記情報処理装置に送信する送信工程と、
前記情報処理装置が、前記加速度データを受信する受信工程と、
前記情報処理装置が、前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出工程と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定工程と、
を含み、
前記第2の判定工程において、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程において、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出工程において、前記作業員が異常事態にあると検出され、
前記第1の判定工程において、前記加速度データに基づき、前記第1の判定工程における前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定される
情報処理方法。
(19)
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
作業員が保持する、加速度センサーと送信手段とを少なくとも有する端末装置から得られる前記作業員の加速度に関する加速度データを受信する受信工程と、
前記加速度データに基づき、前記作業員が転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記加速度データに基づき、前記作業員が転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出工程と、
前記加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程において前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定工程と、
を含み、
前記第2の判定工程において、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程において、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出工程において、前記作業員が異常事態にあると検出され、
前記第1の判定工程において、前記加速度データに基づき、前記第1の判定工程における前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定される
情報処理方法。
(20)
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
作業員が保持する加速度センサーから得られる前記作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、前記作業員の状態判定を行う第1の判定工程と、
前記第1の判定工程により前記作業員の状態が転落状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転落後、前記作業員の不動状態が第1の時間以上継続しているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程により前記作業員の状態が転倒状態であると判定された場合、前記加速度データに基づいて、転倒後、前記作業員の不動状態が第2の時間以上継続しているか否かを判定する第3の判定工程と、
前記第2の判定工程により転落後、前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程により転倒後、前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記作業員が異常事態にあると検出する検出工程と、
を含み、
前記第2の判定工程において、転落後に前記作業員の不動状態が前記第1の時間以上継続していると判定された場合、及び、前記第3の判定工程において、転倒後に前記作業員の不動状態が前記第2の時間以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、前記検出工程において、前記作業員が異常事態にあると検出され、
前記第1の判定工程において、前記加速度データに基づき、前記第1の判定工程における前記作業員の状態判定の処理対象の時点である処理対象点の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から第3の設定秒前の加速度が一定値以下であり、かつ、前記処理対象点から前記第3の設定秒前より前の第4の設定秒前までの間の加速度の最大値が一定値以下である場合、前記作業員の状態が転倒状態であると判定される
情報処理方法。
(21)
コンピュータを、
(9)乃至(16)何れか1項記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、加速度センサーから得られるデータに基づき、過検出を抑制して、転倒、転落による従業員の異常事態の発生を信頼性高く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、サーバ装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置が実行する情報処理方法の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、転落に係る加速度データの推移等の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、転倒に係る加速度データの推移等の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図4のS14の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図4のS16の処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、情報処理システムは、作業員が保持する端末装置200と、サーバ装置100と、を含む。サーバ装置100は、本発明における情報処理装置の一例である。端末装置200は、加速度センサーと、サーバ装置100へ加速度データを送信可能な送信手段とを少なくとも有し、例えば、加速度センサーとGPS機能を有するスマートフォン等である。端末装置200と、サーバ装置100とは、通信網を介して通信可能に接続されている。
図1には、端末装置200を保持する作業員は1人だけしか図示されていないが、複数の作業員がそれぞれ端末装置200を保持して例えば工場内で作業を行っている場合も含むものとする。端末装置200は、加速度センサーから得られる作業員の加速度に関する加速度データを、サーバ装置100に送信する。サーバ装置100は、受信した加速度データに基づき、転落後不動状態であると判定した場合と、転倒後不動状態であると判定した場合に、作業員が異常状態であると検出する。サーバ装置100が作業員の異常状態を検出するだけでも、特に、作業者の作業箇所が予め把握されている場合や、作業者が少ない場合に異常状態の作業員を特定でき、救助等に向かうことができるため、効果がある。サーバ装置100は、作業員の異常状態を検出すると、設定された管理者や、設定された同じグループの作業員等に、作業員が異常状態にあることを通知する。サーバ装置100は、本発明の情報処理装置の一例となる。端末装置200は、本発明の端末装置の一例となる。また、
図1の情報処理システムは、本発明の情報処理システムの一例となる。
【0010】
図2は、サーバ装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、サーバ装置100は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、HDD(Hard Disk Drive)103と、通信I/F104と、を含む。
CPU101は、サーバ装置100の全体を制御する。CPU101は、メモリ102、又はHDD103に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって、後述する
図3に示すサーバ装置100のソフトウェア構成や、後述する
図4、
図5、
図7に示すフローチャートの処理が実現される。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等であり、プログラムや、CPU101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。また、メモリ102は、CPU101の作業領域としても用いられる。HDD103は、プログラムや、端末装置200から送信された加速度データ等を含むデータを記憶する。通信I/F104は、サーバ装置100と端末装置200とが通信を行うための通信インタフェースである。メモリ102やHDD103は、記憶媒体の一例である。また、サーバ装置100のハードウェア構成として、ディスプレイ等の表示装置や、キーボード及びマウス等の入力装置が含まれてもよい。
端末装置200のハードウェア構成もサーバ装置100のハードウェア構成と同様であり、端末装置200のCPUが端末装置200のメモリ等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することにより、端末装置200の機能が実現される。
【0011】
図3は、サーバ装置100の各機能部(として機能するソフトウェア)の構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、サーバ装置100は、各機能部の(ソフトウェア)構成として、受信部10と、状態判定部11と、転落後不動判定部12と、転倒後不動判定部13と、検出部14と、通知部15と、設定部16と、を含む。
受信部10は、作業員が保持する端末装置200の加速度センサーから得られる作業員の加速度に関する加速度データを端末装置200から受信する。また、作業員が保持する端末装置200のGPS機能から得られる作業員の位置情報を端末装置200から受信してもよい。また、受信部10は、複数の作業員がそれぞれ保持する端末装置200のGPS機能から得られるそれぞれの作業員の位置情報をそれぞれの端末装置200から受信してもよい。
状態判定部11は、第1の判定手段として機能し、作業員が保持する端末装置200の加速度センサーから得られる作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、作業員の状態判定を行う。より具体的には、状態判定部11は、加速度データに基づいて、作業員が転落状態か、転倒状態か、不動状態か、正常状態か、の判定を行う。状態判定部11の処理は、第1の判定の処理の一例である。
転落後不動判定部12は、第2の判定手段として機能し、作業員が保持する端末装置200の加速度センサーから得られる作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、状態判定部11において転落状態と判定された後、作業員の不動状態がt1秒以上継続しているか否かを判定する。t1は、設定部16によって設定された閾値に係る時間であり、メモリ102、又はHDD103に記憶される。t1は、第1の時間の一例である。また、転落後不動判定部12の処理は、第2の判定の処理の一例である。
転倒後不動判定部13は、第3の判定手段として機能し、作業員が保持する端末装置200の加速度センサーから得られる作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、状態判定部11において転倒状態と判定された後、作業員の不動状態がt2秒以上継続しているか否かを判定する。t2は、設定部16によって設定された閾値に係る時間であり、メモリ102、又はHDD103に記憶される。t2は、第2の時間の一例である。また、転倒後不動判定部13の処理は、第3の判定の処理の一例である。
検出部14は、検出手段として機能し、転落後不動判定部12により転落後、作業員の不動状態がt1秒以上継続していると判定された場合、及び、転倒後不動判定部13により転倒後、作業員の不動状態がt2秒以上継続していると判定された場合、の何れか一方の場合に、作業員が異常事態にあると検出する。
【0012】
通知部15は、通知手段として機能し、検出部14により作業員が異常状態にあると検出された場合、作業員が異常状態にあることを通知する。通知部15は、予め設定された管理者の端末装置200にメールを送信することで通知してもよいし、電話をかけることで通知してもよい。また、通知部15は、端末装置200に搭載された通知機能(Push通知機能)により通知してもよい。また、通知部15は、異常状態にあると検出された作業員と同じグループの作業員に、異常状態にあると検出された作業員が異常状態にあることを通知するようにしてもよい。即ち、例えば、サーバ装置100は、同じグループの作業員の端末装置のIDを一覧としてメモリ102に保持しているものとする。また、受信部10は、通信プロトコル等から加速度データを受信した端末装置200の端末装置IDを取得し、通知部15に渡すようにしてもよい。通知部15は、渡された端末装置IDを含む一覧をメモリ102より検索し、該当するグループの作業員の端末装置のIDを取得し、異常状態にあると検出された作業員と同じグループの作業員に、異常状態にあると検出された作業員が異常状態にあることを通知するようにしてもよい。
また、通知部15は、検出部14により作業員が異常状態にあると検出された作業員の位置情報を通知するようにしてもよい。また、通知部15は、検出部14により作業員が異常状態にあると検出された作業員の位置情報と、受信部10により受信された複数の作業員の位置情報と、に基づき、異常状態にあると検出された作業員の周辺にいる他の作業員に、異常状態にあると検出された作業員の位置情報を通知するようにしてもよい。このような構成にすることにより、通知を受けた者は、異常状態にある作業員の位置を把握することができるため、速やかに異常状態にある作業員の救助等に向かうことができる。
設定部16は、設定手段として機能し、例えば、入力装置等を介した管理者の設定操作に応じて、又は通信I/F104等を介した他の装置からの設定コマンドに応じて、t1の値、t2の値等をメモリ102又はHDD103に設定する。
【0013】
図4は、サーバ装置100が実行する本発明の情報処理方法の一例を示す図である。
S10において、状態判定部11は、作業員が保持する端末装置200の加速度センサーから得られる作業員の加速度に関する加速度データに基づいて、作業員が転落状態か、転倒状態か、不動状態か、の判定を行う。状態判定部11は、加速度データに基づいて、加速度のブレ幅(分散)が設定された時間(例えば60秒以上)、一定の範囲内(例えば0.0005m
2/s
4以内)にある場合、不動状態であると判定する。
図5は、転落に係る加速度データの推移等の一例を示す図である。y軸は、合成ベクトルのスカラー値の大きさであり、単位はm/s
2(メートル毎秒毎秒)である。また、x軸は、時間(時分秒)である。ここで、端末装置200からサーバ装置100への加速度データの送信は、予め定められた所定の時間間隔(例えば1秒間隔)で行われる。また、図の黒丸が現在、状態判定部11によるS10における判定処理の対象となっている時点(以下、処理対象点という(以下同じ))の加速度データを示している。後述する
図6も同様である。ここで、サーバ装置100は、
図4の判定に必要な時間分の加速度データが得られた時点で、
図4に示した判定の処理を行う。例えば、サーバ装置100は、処理対象点から転倒・転落後不動判定が終了するまでの全ての加速度データが得られた時点で判定の処理を行う。また、サーバ装置100は、処理対象点が得られた時点で判定処理を開始し、判定に必要なデータが得られる毎に判定処理を進めてもよい。
状態判定部11は、加速度データに基づいて、処理対象点の合成ベクトルのスカラー値の大きさ(以下同じ)が一定値(例えば1.4m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点の加速度と処理対象点から第1の設定秒後(例えば、0.2秒後)の加速度との差分が一定値(例えば0.36m/s
2)以下である場合、作業員の状態が転落状態であると判定する。更に、状態判定部11は、加速度データに基づき、処理対象点の加速度が一定値(例えば1.4m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点の加速度と処理対象点から第1の設定秒後の加速度との差分が一定値(例えば0.36m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点から第1の設定秒後より後の第2の設定秒後(例えば、2秒後)までの間の加速度の最大値が一定値(例えば25m/s
2)以上である場合に、作業員の状態が転落状態であると判定してもよい。ここで、加速度が急激に減少する状態を落下と呼ぶ。
図6は、転倒に係る加速度データの推移等の一例を示す図である。状態判定部11は、加速度データに基づき、処理対象点の加速度が一定値(例えば3.33m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点から第3の設定秒前(例えば、0.2秒前)の加速度が一定値(例えば7.46m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点から第3の設定秒前(例えば、0.2秒前)より前の第4の設定秒前(例えば、0.8秒前)までの間の加速度の最大値が一定値(例えば10.28m/s
2)以下である場合、作業員の状態が転倒状態であると判定する。更に、状態判定部11は、加速度データに基づき、処理対象点の加速度が一定値(例えば3.33m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点から第3の設定秒前(例えば、0.2秒前)の加速度が一定値(例えば7.46m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点から第3の設定秒前(例えば、0.2秒前)より前の第4の設定秒前(例えば、0.8秒前)までの間の加速度の最大値が一定値(例えば10.28m/s
2)以下であり、かつ、処理対象点から第5の設定秒後(例えば、2秒後)までの間の加速度の最大値が一定値(例えば25m/s
2)以上である場合、作業員の状態が転倒状態であると判定してもよい。
また、状態判定部11は、加速度データに基づき、作業員が、不動状態でもなく、転落状態でもなく、転倒状態でもない場合、正常状態であると判定する。
【0014】
S11において、状態判定部11は、S10の判定結果に基づき、作業員の状態が不動状態であるか否かを判定する。状態判定部11は、S10の判定結果に基づき、作業員の状態が不動状態であると判定すると(S11においてYES)、S12に進み、不動状態でないと判定すると(S11においてNO)、S13に進む。
S12において、状態判定部11は、作業員の状態を不動状態とする。
S13において、状態判定部11は、S10の判定結果に基づき、作業員の状態が転落状態か否かを判定する。状態判定部11は、S10の判定結果に基づき、作業員の状態が転落状態であると判定すると(S13においてYES)、S14に進み、転落状態でないと判定すると(S13においてNO)、S15に進む。
S14において、転落後不動判定部12及び検出部14は、転落後に不動状態になっているか否かを判定し、転落後に不動状態になっている場合は、転落後不動状態を検出する。S14の処理の詳細は、
図5及び後述する
図7を用いて説明する。
S15において、状態判定部11は、S10の判定結果に基づき、作業員の状態が転倒状態か否かを判定する。状態判定部11は、S10の判定結果に基づき、作業員の状態が転倒状態であると判定すると(S15においてYES)、S16に進み、転倒状態でないと判定すると(S15においてNO)、S17に進む。
S16において、状態判定部11及び検出部14は、転倒後に不動状態になっているか否かを判定し、転倒後に不動状態になっている場合は、転倒後不動状態を検出する。S16の処理の詳細は、
図6及び後述する
図8を用いて説明する。
S17において、状態判定部11は、作業員の状態を正常状態と判定する。
S11、S13、S15の判定の順番は
図4に示すものに限らず、任意の順番で実施してもよい。
【0015】
図7は、
図4のS14の処理の詳細を示すフローチャートである。
S20において、転落後不動判定部12は、転落後、作業員の不動状態がt1秒(例えば、60秒)以上継続しているか否かを判定する。転落後不動判定部12は、転落後、作業員の不動状態がt1秒以上継続していると判定した場合(S20においてYES)、S21に進む。
図5の例では、転落後、不動状態がt1秒以上継続しているため、転落後不動判定部12により、S20においてYESと判定される。また、転落後不動判定部12は、転落後、作業員の不動状態がt1秒以上継続していないと判定した場合(S20においてNO)、S22に進む。ここで、転落後不動判定部12は、転落後、n1秒(例えば、60秒)以内に作業員の不動状態がt1秒以上継続しているか否かを判定するようにしてもよい。n1の値は、予め設定された時間であってもよいし、t1と同様、設定部16が設定する時間であってもよい。
S21において、検出部14は、転落後不動状態を検出したとする。転落後不動状態は、異常事態の一例である。
S22において、転落後不動判定部12は、転落と判定する。
【0016】
図8は、
図4のS16の処理の詳細を示すフローチャートである。
S30において、転倒後不動判定部13は、転倒後、作業員の不動状態がt2秒(例えば、60秒)以上継続しているか否かを判定する。転倒後不動判定部13は、転倒後、作業員の不動状態がt2秒以上継続していると判定した場合(S30においてYES)、S31に進む。
図6の例では、転落後、不動状態がt2秒以上継続しているため、転倒後不動判定部13により、S30においてYESと判定される。また、転倒後不動判定部13は、転倒後、作業員の不動状態がt2秒以上継続していないと判定した場合(S30においてNO)、S32に進む。ここで、転倒後不動判定部13は、転倒後、n2秒(例えば、60秒)以内に作業員の不動状態がt2秒以上継続しているか否かを判定するようにしてもよい。n2の値は、予め設定された時間であってもよいし、t2と同様、設定部16が設定する時間であってもよい。
S31において、検出部14は、転倒後不動状態を検出したとする。転倒後不動状態は、異常事態の一例である。
S32において、転倒後不動判定部13は、転倒と判定する。
【0017】
本実施形態の処理によれば、加速度センサーから得られるデータに基づき、過検出を抑制して、転倒、転落による従業員の異常事態の発生を信頼性高く検出することができる。
【0018】
(変形例1)
上述した実施形態では、サーバ装置100が
図3に示す構成をすべて有するものとして説明を行ったが、作業員が保持する端末装置200が状態判定部11、転落後不動判定部12、転倒後不動判定部13、検出部14、設定部16等を有する構成としてもよい。この構成の場合、端末装置200が情報処理装置の一例となる。検出部14で異常状態が検出された場合、端末装置200は、サーバ装置100に、GPS機能から得られる作業員の位置情報、異常状態が検出された旨の情報等を送信する。そしてサーバ装置100が、予め設定された管理者の端末装置200、又は異常状態にあると検出された作業員と同じグループの作業員の端末装置200に、異常状態にあると検出された作業員が異常状態にあることを通知する。
【0019】
(変形例2)
上述した変形例1の端末装置200の構成に加えて、端末装置200が更に通知部15等を有する構成としてもよい。即ち、変形例2では、情報処理システムは、サーバ装置100を有さない。そして、端末装置200が異常状態を検出すると、直接、予め設定されている管理者の端末装置200、又は異常状態にあると検出された作業員と同じグループの作業員の端末装置200に、異常状態にあると検出された作業員が異常状態にあることを通知する。
【0020】
以上、本発明の実施形態の一例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。ソフトウェア構成の一部又は全てはハードウェア構成として装置に実装してもよい。また、装置のハードウェア構成において、CPUは1つに限られず、複数のCPUが複数のメモリ、HDDに記憶されているデータ等を利用しながら、プログラムに基づき処理を実行することによっても、上述した処理等は実現される。
【0021】
以上、本発明の実施形態の一例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した数値は一例である。上述した数値は、実際に作業員が転倒、転落した際に計測したデータの統計をとり、統計データに基づいて転倒、転落と判定される精度の高い数値を決定している。
【符号の説明】
【0022】
100 サーバ装置
101 CPU
102 メモリ
103 HDD