(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記尿受口(6)は、前記導尿筒(2)の上端の開口(8)と、この開口(8)と連続して導尿筒(2)の筒壁(2a)に穿設した切欠き(10)とで形成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の尿瓶用補助治具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、尿瓶(ペットボトル)を装着する補助治具を、ネジキャップと紙コップとホースとで構成しているが、紙コップに比べてホースが小径であるため、ホース内で尿の流れが滞り、尿を紙コップから尿瓶へ円滑に導くことができない可能性があった。
特許文献2では、尿瓶装着用の治具として、下端に向かって小径となる縦筒体を用いており、その下端側での筒壁の縮径の程度によっては同様の問題を生ずる。
【0006】
この点を改善するため、空気置換孔を用いる技術も提案されている(
図6参照)。
すなわち、尿瓶に代えて、吸水材Aを内蔵したゴム製の尿貯蔵袋Bの上端の口部b1に、上下両端開口で縦長の導尿筒Cの下端部c1を挿入し、この下端部の外面に前記口部を嵌め合わせるとともに、当該下端部よりやや上側に位置させて、前記導尿筒の筒壁に空気置換孔Hを貫通させたものが知られている(特許文献3)。
排尿が完了したときには、前記導尿筒Cの下端部から尿貯蔵袋Bの口部を外し、この口部を紐Sで縛れば良い。
この構成では、尿が導尿筒を通って袋内へ入るとともに、袋内の空気が前記空気置換孔を介して外部へ逃げるように構成しており、尿の導入がスムーズとなる。
前記空気置換孔は、導尿筒の外側から内側に下方へ傾斜させており、尿の飛沫が空気置換孔を通って外部へ飛散することを防止している。
【0007】
特許文献3の装置は、導尿筒の上端の尿受口c2から排尿するときに、前記空気置換孔が手前側(利用者の胴体に近い側)に位置するように導尿筒を把持し、筒壁のうちで空気置換孔と反対側の部分に尿が当たって、そこを伝って尿が流れ落ちるように用いる必要がある。
なぜならば、筒壁の手前側(空気置換孔を設けた側)の部分を尿が伝わると、導尿筒内の空間と空気置換孔とが尿の流れで遮断され、空気の置換ができないからである。
しかしながら、小さい子供が使用すると、放尿の向きを正しくコントロールすることが難しく、空気置換孔が尿の流れで塞がれてしまう可能性がある。
【0008】
また特許文献1〜3の装置は、従来の尿瓶に比べればコンパクトな構成であるが、携帯用品としてバッグ等に入れて持ち歩くことを想定すると、より嵩張らないように改善する余地がある。
さらに特許文献1〜3の装置は、導尿筒の上端開口である尿受口から尿を流し込む構成であり、小さな子供が使用すると、尿受口の外に尿をこぼしてしまう可能性があり、使い勝手が悪い。
【0009】
本発明の第1の目的は、尿瓶側へ導入される尿及び尿瓶内の空気の置換をより確実に実現できる尿瓶用補助治具を提供することである。
本発明の第2の目的は、嵩張らない尿瓶用補助治具を提供することである。
本発明の第3の目的は、使い勝手が良い尿瓶用補助治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の手段は、尿瓶の口部へ接続させて使用するための
携帯用の補助治具において、
前記尿瓶への接続口18を下端側に有する縦向きの筒体であって、上方又は側方に開口する尿受口6を有する導尿筒2と、
この導尿筒2の筒壁2aを貫通して、その導尿筒2の外側から前記接続口18へ延びる空気逃し用パイプ20と、
を具備する。
【0011】
本手段は、導尿筒2及び空気逃し用パイプ20を備えた尿瓶用補助治具を提案している。
前記導尿筒2は、尿受口6を有し、この尿受口6は、
図1に示すように側方へ、或いは
図3に示すように上方へ開口している。また前記導尿筒2の下端には、
図2に示すように、尿瓶90の口部94への接続口18を形成している。
また前記空気逃し用パイプ20は、前記導尿筒2を貫通して前記接続口18へ延びるように形成している。
この構造によれば、前記空気逃し用パイプ20を設けたから、尿と空気との置換がより確実となる。
【0012】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記導尿筒2の筒壁2aには、貫通孔12が穿設されており、
前記空気逃し用パイプ20は、前記貫通孔12から接続口18側に延びる曲がり管であり、その管壁の基部20aを当該貫通孔12に着脱自在に嵌着させることで前記導尿筒2に支持されている。
【0013】
本手段では、
図2に示すように、前記導尿筒2の筒壁2aには、貫通孔12が穿設されている。
また前記空気逃し用パイプ20は、前記貫通孔12から接続口18側に延びる曲がり管である。
空気逃し用パイプ20の管壁の基部20aは、前記貫通孔12に着脱自在に嵌着されている。
この嵌着により、前記空気逃し用パイプ20は、前記導尿筒2に支持されている。
この構造によれば、携帯のためにバッグ内など保管をするときには、空気逃し用パイプ20と導尿筒2とを分離して保管することができ、持ち運びに便利である。
【0014】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記尿受口6は、前記導尿筒2の上端の開口8と、この開口8と連続して導尿筒2の筒壁2aに穿設した切欠き10とで形成した。
【0015】
本手段は、
図4及び
図5に示すように、尿受口6を、前記導尿筒2の上端の開口8と、この開口8と連続して導尿筒2の筒壁2aに穿設した切欠き10とで形成したから、小さい子供が排尿しても、尿受口の外に尿がこぼれにくく、使い勝手が良い。
【0016】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記導尿筒2は、前記尿受口6を有する大径筒部4の下端から小径筒部14を垂下しており、
この小径筒部14の下端側に前記接続口18を開口しており、
前記空気逃し用パイプ20は、大径筒部4の筒壁を貫通して、その大径筒部4の外側から前記小径筒部14内へ突入している。
【0017】
本手段では、
図2に示す如く、前記導尿筒2は、前記尿受口6を有する大径筒部4の下端から小径筒部14を垂下している。
この小径筒部14の下端側に前記接続口18を開口しており、前記空気逃し用パイプ20は、大径筒部4の筒壁を貫通して、その大径筒部4の外側から前記小径筒部14内へ突入している。
この構造によれば、尿の流れがスムーズである。
【0018】
第5の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記大径筒部4を上下方向へ伸縮可能な蛇腹筒に形成しており、
この大径筒部4の筒長は、当該大径筒部4が上下方向に伸びた状態で前記小径筒部14より長く、上下方向に縮めた状態で前記小径筒部14より短くなるように設計した。
【0019】
本手段では、
図4に示すように、大径筒部4を上下方向へ伸縮可能な蛇腹筒に形成している。
この大径筒部4の筒長は、
図4(A)に示すように、当該大径筒部4が上下方向に伸びた状態で前記小径筒部14より長く、
図4(B)に示すように、上下方向に縮めた状態で前記小径筒部14より短くなるように設計した。
この構造によれば、尿瓶用補助治具をコンパクトに収納することができ、保管に場所を取らず、従って、嵩張らない。
【発明の効果】
【0020】
第1の手段に係る発明によれば、
尿瓶の口部へ接続させて使用するための携帯用の補助治具において、導尿筒2を貫通して尿瓶との接続口18へ延びる空気逃し用パイプ20を設けたから、尿と空気との置換がより確実となる。
第2の手段に係る発明によれば、前記空気逃し用パイプ20は、前記導尿筒2の貫通孔12から前記接続口18側に延びる曲がり管であり、その管壁の基部20aを当該貫通孔12に着脱自在に嵌着させたから、携帯のためにバッグ内など保管をするときには、空気逃し用パイプ20と導尿筒2とを分離して保管することができ、持ち運びに便利である。
第3の手段に係る発明によれば、尿受口6を、前記導尿筒2の上端の開口8と、この開口8と連続して導尿筒2の筒壁2aに穿設した切欠き10とで形成したから、小さい子供が排尿しても、尿受口の外に尿がこぼれにくく、使い勝手が良い。
第4の手段に係る発明によれば、前記導尿筒2は、前記尿受口6を有する大径筒部4の下端から小径筒部14を垂下しているから、尿の流れがスムーズである。
第5の手段に係る発明によれば、大径筒部4を上下方向へ伸縮可能な蛇腹筒に形成したから、コンパクトに収納することができ、嵩張らない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る尿瓶用補助治具を示している。この尿瓶用補助治具1は、導尿筒2と、空気逃し用パイプ20とを具備している。これら各部材は、例えば合成樹脂、シリコン、ゴムなどで形成することができる。
なお、
図1には、本発明の尿瓶用補助治具1を適用する尿瓶90を併せて示している。
まず尿瓶90について説明する。この尿瓶は、市販のネジキャップ付きのボトル(例えばペットボトル)を利用することができる。
図示例では、前記尿瓶90は、
図2に示すように、胴部92から肩部を介して筒状の口部94を起立している。
図示例の口部94は、大外径の下半部94aから上向き段差部94bを介して小外径の上半部94cを上方へ延出しており、この上半部94cの外面に雄ネジ部96を形成している。
【0023】
前記導尿筒2は、尿を注ぎ込むための尿受口6を有する縦向きの筒体であり、その尿を尿瓶へ導く役割を有する。
本実施形態では、導尿筒2は、前記筒壁2aの上端を頂壁2bで閉塞しており、前記尿受口6は、側方に開放する切欠き10として、前記筒壁2aに形成されている。
この切欠き10は、利用者の局部の挿入口を兼ねている。
その口縁10aとの接触によって利用者の身体を傷つけない程度に軟質の材料(例えばシリコン)で前記導尿筒2を形成することが望ましい。
また前記筒壁2aの適所(図示例では尿受口6と反対側)には、後述の空気逃し用パイプ20を挿通させるための貫通孔12が形成されている。
前記導尿筒2の下端側には、前記尿瓶への接続口18が形成されている。
本実施形態の導尿筒2は、大径筒部4の下端から小径筒部14を垂下しており、この小径筒部14の内側に、前記接続口18を設けている。この接続口18は、前記雄ネジ部96とかみ合う雌ネジ部19を有する。
図示例の小径筒部14は、上方筒部14aから外向きフランジ14bを介して上方筒部14aより拡径させた下方筒部14cを下方へ延出している。そして下方筒部14cの内面を、前記接続口18に形成している。
図示例では、
図2に示す如く、前記上方筒部14aの内面と筒状の口部94の内面とは、面一に形成されている。そして前記口部94の上端を上方筒部14aの下端面に、また前記下方筒部14cの下端を前記上向き段差部94bにそれぞれ突き当てている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
そして、前記尿受口6及び貫通孔12は、前記大径筒部4に形成されている。
【0024】
空気逃し用パイプ20は、前記貫通孔12から前記接続口18へ延びている。
図示例の空気逃し用パイプ20は、前記貫通孔12から前記接続口18へ緩やかに屈曲する曲がり管に形成されている。もっとも空気逃し用パイプ20の構造は適宜変更することができるものとし、例えば市販の蛇腹付きチューブを曲げ変形させて用いても構わない。
前記空気逃し用パイプ20の基部20aは、前記貫通孔12に嵌着している。
この嵌着により、前記空気逃し用パイプ20は、前記導尿筒2に支持されている。
図示例の空気逃し用パイプ20は、前記小径筒部14の下端より下方へ伸びている。もっともこの構造は適宜変更することができ、前記空気逃し用パイプ20の先部20bが少なくとも前記上方筒部14aまで到達していれば良い。
図示例では、前記空気逃し用パイプ20の先部20bは、前記上方筒部14a及び口部94の各内面に当接している。
【0025】
前記構成において、前記空気逃し用パイプ20を導尿筒2に取り付けるときには、利用者が空気逃し用パイプ20の基部20aを摘んで、空気逃し用パイプ20の先部20bが下向きになるように前記空気逃し用パイプ20の向きを調整する。
そして前記先部20bから前記貫通孔12内へ挿入すれば良い。
この挿入作業は、
図2に示す如く、利用者が空気逃し用パイプ20を摘むための必要な長さ(摘み代mという)を導尿筒2の外側に残して、これ以外の空気逃し用パイプ部分を貫通孔12内へ挿入したときに、終了する。
この段階で前記先部20bが前記小径筒部14内に到達するように、前記空気逃し用パイプ20の長さを予め設定しておくものとする。
前記摘み代mを導尿筒2の外に残すことにより、前記空気逃し用パイプ20が前記貫通孔12から脱落してしまうことを防止している。
なお、図示例では、前記貫通孔12は、切欠き10の反対側に配置されているから、切欠き10からの放尿の準備をしているときに、誤って前記空気逃がし用パイプ20の基部20aを押してしまい、空気逃がし用パイプが脱落するという不都合が生ずるリスクが少ない。
なお、前記空気逃し用パイプ20の脱落防止の手段としては、例えば空気逃し用パイプ20の基部20a外面に筒状ストッパ(図示せず)を嵌め合わせ、この筒状ストッパの端部が前記貫通孔12の周囲に当接するように設けるなどのことも考えられる。
そして前記接続口18を前記尿瓶90の口部94にネジ止めにより固定することにより取り付けが完了する。
【0026】
この尿瓶90及び尿瓶用補助治具1を使用するときには、前記尿受口6に子供の局部を挿入させて、排尿させれば良い。尿は、前記大径筒部4から小径筒部14へ入り、前記接続口18を経て尿瓶に流れ落ちる。
これと同時に尿瓶90内の空気が空気逃し用パイプ20を介して導尿筒2の外へ排気される。
これにより、尿と空気との置換がスムーズに行われるため、尿の流れがより円滑となる。
また空気逃がし用パイプ20を導入することにより、尿の流路と空気の通り道とが完全に遮断されているため、前記特許文献3のように、利用者の使い方次第で空気置換孔が尿の流れにより塞がるという不都合を生じない。
従って、たとえ小さな子供が使用したとしても、空気置換作用が確実に実現される。
排尿が終了したときには、前記接続口18から尿瓶90の口部94を分離させる。そして尿瓶90のキャップ(図示せず)を口部94に装着し、後刻尿を処分するまでそのまま保管することができる。
【0027】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において、第1実施形態と同じ構成については、解説を省略する。
【0028】
図3は、本発明の第2実施形態に係る尿瓶用補助治具を示している。
本実施形態は第1実施形態のうち尿受口6の構成を変更したものである。
具体的には、第1実施形態において筒壁2aに形成した切欠き10を省略し、その代わりに、前記筒壁2aを上端開口とし、この開口8を尿受口にしたものである。
本発明では、前述のように空気逃し用パイプ20を設けることで、尿の流路のうち最も狭まった部分(狭窄部)における尿の流れがスムーズになるようにしている。
しかしながら、そうした構成を採用していても、接続口18の内径等の条件次第では、前記接続口18を経て流れ落ちる尿の流量に比べて、前記尿受口6へ放尿される尿の量が多くなり、尿が一時的に前記導尿筒2内に溜まってしまう可能性がある。
本実施形態では、前記導尿筒2の筒壁2aに前記切欠き10がないため、第1実施形態に比べて導尿筒2内に仮に留めておく尿の量を多くすることができる。
【0029】
図4は、本発明の第3実施形態に係る尿瓶用補助治具を示している。
本実施形態は第1実施形態のうちで大径筒部4の構造を変更したものである。
具体的には、大径筒部4を上下方向への伸縮可能な蛇腹13に形成している。
既述特許文献2の蛇腹は、導尿筒の向きを変更するために、導尿筒の長手方向の中間部に形成している。
他方、本実施形態の蛇腹13の導尿筒2をコンパクトに収納するための手段であり、大径筒部4の筒長方向全長に形成している。
図示例の蛇腹13は、折り畳んだ状態で第1筒部4aの下端の谷線13aから上内方へ第2筒部4bを突出するとともに、第2筒部4bの上端の稜線13bを介して再び第1筒部4aを突出するという構造を、外側から内側へ繰り返すように構成されている。
折り畳んだ蛇腹13全体は、略円盤状であり、そのときの谷線13a同士、並びに稜線13bはほぼ同じ高さにある。
図示例では、第1筒部4aを垂直筒部に、また第2筒部4bを下端側が小径であるテーパ状筒部にそれぞれ形成している。
これら第1筒部4a及び第2筒部4bで形成される大径筒部4は、上下方向に伸ばした状態で、
図4(A)に示すように、上端側が大径の漏斗形状となる。
図示例の大径筒部4は、上下方向に延ばした状態の蛇腹筒の上部の周方向一部に切欠き10を穿設した形状に形成され、この切欠き10と上端側の開口8とで尿受口6を形成している。
また前記貫通孔12は一つの垂直筒部4aに穿設されている。
本実施形態の導尿筒2は、例えばゴムで形成することができる。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
なお、前記大径筒部4の筒長は、当該大径筒部4が上下方向に伸びた状態で前記小径筒部14より長く、上下方向に縮めた状態で前記小径筒部14より短くなるように設計されている。
【0030】
図5は、本発明の第4実施形態に係る尿瓶用補助治具を示している。
本実施形態は第1実施形態のうちで導尿筒2の構造を変更したものである。具体的には、導尿筒2を、筒壁2aの下端に底壁3を付設した有底筒状に形成し、その底壁3の中央部に接続口18である孔を形成する。この孔の内周面の下部18bは、上部18aに比べて大内径に形成されている。そしてこの下部18bに前記口部94の雄ネジ部96とかみ合う雌ネジ部19を形成している。
前記筒壁2aは上端開口であり、その開口8と、この開口に連続させて筒壁2aに穿設した切欠き10とで尿受口6を形成している。