特許第6909712号(P6909712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6909712支持機構、光学部材駆動装置、カメラ装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6909712
(24)【登録日】2021年7月7日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】支持機構、光学部材駆動装置、カメラ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20210715BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20210715BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20210715BHJP
【FI】
   G02B7/04 E
   G03B17/17
   G03B5/00 J
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-220922(P2017-220922)
(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公開番号】特開2019-90966(P2019-90966A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 厚吉
【審査官】 三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−093118(JP,A)
【文献】 特開2003−166652(JP,A)
【文献】 特開2014−077886(JP,A)
【文献】 特開2003−045715(JP,A)
【文献】 特開2001−169505(JP,A)
【文献】 特開2002−191152(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0060536(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0090211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G03B 5/00
G03B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線の周りに循環配置された少なくとも4つ以上のスライド片を備え、隣接するそれぞれの前記スライド片は互いに引き付け合い且つ移動自在であるように構成され、前記スライド片の一片がステーターに固定される固定片とされ、他の一片がムーバーに固定される可動片とされ、残りの前記スライド片が前記固定片と前記可動片を連結するための連結片とされる支持機構。
【請求項2】
前記スライド片は、隣接するそれぞれの前記スライド片が対向する平面状の対向面を有する請求項1記載の支持機構。
【請求項3】
前記スライド片は、前記スライド片の対向面が交差する稜線部において前記所定の軸線方向と平行に切欠きが形成されている請求項2記載の支持機構。
【請求項4】
前記スライド片同士の間には粘弾性体が介在されている請求項1から3いずれか記載の支持機構。
【請求項5】
前記スライド片の少なくとも2つは磁石から構成されている請求項1から4いずれか記載の支持機構。
【請求項6】
前記磁石から構成されている前記スライド片同士の間には磁性流体が介在されている請求項5記載の支持機構。
【請求項7】
前記磁石から構成され且つ隣接する前記スライド片の着磁方向は、互いに異なる請求項5又は6記載の支持機構。
【請求項8】
前記スライド片同士の間には潤滑層が介在されている請求項1から7いずれか記載の支持機構。
【請求項9】
ステーターと、
光学部材と、
前記光学部材を前記ステーターに対して移動自在に支持する支持機構と、を有し、
前記支持機構は、
所定の軸線の周りに循環配置された少なくとも4つ以上のスライド片を備え、隣接するそれぞれの前記スライド片は互いに引き付け合い且つ移動自在であるように構成され、前記スライド片の一片が前記ステーターに固定される固定片とされ、他の一片が前記光学部材に固定される可動片とされ、残りの前記スライド片が前記固定片と前記可動片を連結するための連結片とされる
光学部材駆動装置。
【請求項10】
請求項9記載の光学部材駆動装置を有するカメラ装置。
【請求項11】
請求項10記載のカメラ装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持機構、光学部材駆動装置、カメラ装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレンズ等の光学部材を駆動する駆動装置には光学部材を移動自在に支持する支持機構が用いられている。支持機構には、特許文献1に示すように、ばねを用いるものや、特許文献2に示すように、ボールを用いるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−65140号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0256727号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ばねを用いた支持機構においては、衝撃を受けるとばねが座屈するおそれがあり、また、ボールを用いる支持機構においては、衝撃によりボールが枠体から離れ、再度ボールが枠体に当たるので、枠体を傷付けたりするおそれがある。いずれの支持機構においても衝撃には弱く、安定性に欠けているという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、支持対象物に対して安定して移動可能に支持することができる支持機構、光学部材駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は支持機構であり、この支持機構は、所定の軸線の周りに循環配置された少なくとも4つ以上のスライド片を備え、隣接するそれぞれの前記スライド片は互いに引き付け合い且つ移動自在であるように構成され、前記スライド片の一片がステーターに固定される固定片とされ、他の一片がムーバーに固定される可動片とされ、残りの前記スライド片が前記固定片と前記可動片を連結するための連結片とされる。
【0007】
好適には、前記スライド片は、隣接するそれぞれの前記スライド片が対向する平面状の対向面を有する。
【0008】
また、好適には、前記スライド片は、前記スライド片の対向面が交差する稜線部において前記所定の軸線方向と平行に切欠きが形成されている。
【0009】
また、好適には、前記スライド片同士の間には粘弾性体が介在されている。
【0010】
粘弾性体としては、弾性接着剤であったり、粘弾性体を接着剤で張り合わせたりすることもできるが、好適には磁性流体が用いられる。
【0011】
粘弾性体として磁性流体を用いる場合は、前記スライド片の少なくとも2つを磁石から構成し、該少なくとも2つの磁石の間に磁性流体を介在させることが好ましい。
【0012】
また、好適には、前記磁石から構成され且つ隣接する前記スライド片の着磁方向は、互いに異なるようにする。
【0013】
また、前記スライド片同士の間には潤滑層が介在されるようにしてもよい。
【0014】
本発明の他の態様は光学部材駆動装置であり、この光学部材駆動装置は、ステーターと、光学部材と、前記光学部材を前記ステーターに対して移動自在に支持する支持機構と、を有し、前記支持機構は、所定の軸線の周りに循環配置された少なくとも4つ以上のスライド片を備え、隣接するそれぞれの前記スライド片は互いに引き付け合い且つ移動自在であるように構成され、前記スライド片の一片が前記ステーターに固定される固定片とされ、他の一片が前記光学部材に固定される可動片とされ、残りの前記スライド片が前記固定片と前記可動片を連結するための連結片とされる。
【0015】
また、本発明の他の態様は、上記光学部材駆動装置を有するカメラ装置である。
【0016】
さらに、本発明の他の態様は、上記カメラ装置を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、支持機構を引き付け合う少なくとも4つのスライド片を備えて構成したので、支持対象物に対して安定して移動可能に支持することができる
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る支持機構を示し、斜め上方から見た斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る支持機構を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る支持機構を示し、可動片にa方向への力が加わった場合の平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る支持機構を示し、可動片にb方向への力が加わった場合の平面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る支持機構を示し、可動片にab合成方向への力が加わった場合の平面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る支持機構を示し、可動片にc方向への力が加わった場合の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る支持機構を示す平面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る支持機構を示す斜視図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る支持機構を示す平面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る支持機構を用いた第1実施形態のカメラ装置を示し、斜め一方から見た斜視図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る支持機構を用いた第1実施形態のカメラ装置を示し、斜め他方から見た斜視図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る支持機構を用いた第2実施形態のカメラ装置を示し、斜め他方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至図6は、本発明の第1実施形態に係る支持機構10を示す。支持機構10は、少なくとも4つのスライド片を有し、この第1実施形態においては4つのスライド片12a,12b,12c,12dから構成されている。
【0021】
3次元直交座標系の1つの方向をa、このaに直交する方向をb、さらにaとbに直交する方向をcとすれば、4つのスライド片12a,12b,12c,12dは、c方向の所定の軸線Coの周りに循環配置されている。
【0022】
また、各スライド片12a,12b,12c,12dは、例えばc方向に延びた四角柱状をなしている。また、各スライド片12a,12b,12c,12dは、隣接するスライド片12a,12b,12c,12dに対向するように平面状の対向面14a−1,14a−2、14b−1,14b−2、14c−1,14c−2、14d−1,14d−2を有する。また、各スライド片12a,12b,12c,12dは、abc各方向においてほぼ同じ寸法を有している。
【0023】
即ち、スライド片12aの対向面14a−1は、スライド片12bの対向面14b−1に対向し、スライド片12bの対向面14b−2は、スライド片12cの対向面14c−2に対向し、スライド片12cの対向面14c−1は、スライド片12dの対向面14d−1に対向し、スライド片12dの対向面14d−2は、スライド片12aの対向面14a−2に対向する。
【0024】
また、前記スライド片12a,12b,12c,12dは、対向面4a−1と14a−2、14b−1と14b−2、14c−1と14c−2、14d−1と14d−2が交差する稜線部において切欠き16a,16b,16c,16dが形成されている。この切欠き16a,16b,16c,16dは、前述した軸線Coと平行に形成され、それぞれの稜線部に軸線Coと平行な空間18を与えるようになっている。
【0025】
また、スライド片12a,12b,12c,12d同士の間、即ち、対向面14a−1と14b−1、14b−2と14c−2、14c−1と14d−1、14d−2と14a−2の間、及び空間18には、粘弾性体20が介在されている。粘弾性体20は、この第1実施形態においては磁性流体からなる。
【0026】
スライド片12a,12b,12c,12dは、永久磁石から構成されている。隣接するスライド片12aと12b、12bと12c、12cと12d、及び12dと12aは、互いに異なる方向に着磁されている。この結果、軸線Coを対象軸として、180度回転対象位置にあるスライド片12aと12c、12bと12dとは着磁方向が反対の方向を向く。
【0027】
即ち、図2に示すように、例えばスライド片12aと12cとは、共に軸線Coから見て外側をN極、内側をS極とし、スライド片12bと12cとは、共に軸線Coから見て外側をS極、内側をN極としている。
【0028】
なお、スライド片12a〜12dの永久磁石の使用材料としては制限なく合金系(SmCo磁石,NdFeB磁石等)でもよいが、好ましくはセラミクス系(Baフェライト,Srフェライト等)を使用して、対向面を平面研削加工して滑らかな移動を担保する。
【0029】
これにより、対向位置関係にあるスライド片12aとスライド片12c及びスライド片12bとスライド片12dとがそれぞれ互いに反発する一方、隣接するスライド片同士であるスライド片12aとスライド片12b、スライド片12bとスライド片12c、スライド片12cとスライド片12d及びスライド片dとスライド片12aはそれぞれ互いに引きあう。
その結果、各スライド片12a〜12dに外力が加わらない場合には、各スライド片12a〜12dは等間隔に開き、軸線Coを中心に数珠状に繋がっている。
【0030】
前述したように、粘弾性体20は磁性流体からなる。この磁性流体は、スライド片12a〜12dの磁力により吸着されて各スライド片12a〜12dの間に挟持されて外部に漏出することがなく、スライド片12a〜12dの各間に生じる摩擦を軽減するとともに制振の役割を担う。
【0031】
スライド片12aをステーターに固定される固定片とし、スライド片12cをムーバーに固定される可動片とし、スライド片12b及びスライド片12dを固定片と可動片とを連結するための連結片とした場合の動作について説明する。
なお、以下の動作説明にあっては、スライド片12aを固定片12a、スライド片12cを可動片12c、スライド片12b,12dを連結片12b,12dとする。
【0032】
図3に示すように、可動片12cにa方向への力が加わった場合、固定片12aとこの固定片12aに隣接する連結片12b,12d、及び可動片12cとこの可動片12cに隣接する連結片12b,12dは、磁力により互いに引き合って繋がった状態のまま、粘弾性体(磁性流体)20が変形し、可動片12cと連結片12dとが固定片12aに対してa方向へ移動する。そして、a方向への力を取り去ると、磁力により元の位置に戻る。
【0033】
図4に示すように、可動片12cにb方向への力が加わった場合、固定片12aとこの固定片12aに隣接する連結片12b,12d、及び可動片12cとこの可動片12cに隣接する連結片12b,12dは、磁力により互いに引き合って繋がった状態のまま、粘弾性体20が変形し、可動片12cと連結片12bとが固定片12aに対してb方向へ移動する。そして、b方向への力を取り去ると、磁力により元の位置に戻る。
【0034】
図5に示すように、可動片12cにab合成方向への力が加わった場合(図5の場合、+a、−b方向)、固定片12aとこの固定片12aに隣接する連結片12b,12d、及び可動片12cとこの可動片12cに隣接する連結片12b,12dは、磁力により互いに引き合って繋がった状態のまま、粘弾性体20が変形し、可動片12cは、固定片12aに対して互いの距離が短くなるように、連結片12b,12dは、互いの距離が長くなるようにそれぞれab合成方向に移動する。そして、ab方向への力を取り去ると、磁力により元の位置に戻る。
【0035】
ここで、固定片12aと可動片12cとは、ab合成方向で互いの距離が縮まるが、固定片12a及び可動片12cには、切欠き16a,16cが形成されているので、可動片12cが固定片12aにぶつかるのを避けることができる。
【0036】
図5とは逆方向の力が可動片12cに加わった場合は、連結片12b,12d間の距離が縮まるが、連結片12b,12dには、切欠き16b,16dが形成されているので、同様に連結片12b,12dの衝突を避けることができ、可動片12cは固定片12aに対してスムーズに離れることができる。
【0037】
図6に示すように、可動片12cにc方向への力が加わった場合、固定片12aとこの固定片12aに隣接する連結片12b,12d、及び可動片12cとこの可動片12cに隣接する連結片12b,12dは、磁力により互いに引き合って繋がった状態のまま、粘弾性体20が変形し、可動片12c及び連結片12b,12cが固定片12aに対してc方向へ移動する。そして、c方向への力を取り去ると、磁力により元の位置に戻る。
【0038】
図示はしないが、可動片12cにabc合成方向への力が加わった場合、同様に可動片12c及び連結片12b,12cが固定片12aに対してabc合成方向へ移動する。
【0039】
以上説明したように、本支持機構10において可動片12cは固定片12aに対して3軸自由度を有する。
【0040】
ここで、可動片12c,連結片12b,12dがabcの各方向に移動しても、挟持された磁性流体20は外側に流れ出すことなく可動片12c,連結片12b,12dを滑らかに移動させる。また、可動片12c,連結片12b,12dに衝撃が加わっても磁性流体20が衝撃力を吸収する。また、衝撃が加わり、スライド片12a,12b,12c,12dが仮に離れたとしても、再度連結するときに面で当接するので、互いに傷つけたりしにくい。
また、仮に、例えば、図1の紙面上方で+a方向、紙面下方で−a方向に力が加わると、回転力が生じる。しかし、その場合、磁力による反発力が生じ、元の位置(方向)に戻すように力が働く。従って、このような回転もしにくい。
【0041】
図7は、本発明の第2実施形態に係る支持機構10を示す。
【0042】
この第2実施形態は、前述した第1実施形態と比較すると、スライド片12a〜12dの着磁方向を軸線Coに沿って長手方向とした点で異なる。
【0043】
即ち、固定片であるスライド片12a及び可動片であるスライド片12cは、‐c方向に着磁され、連結片であるスライド片12b,12dは、+c方向に着磁されている。この第2実施形態においても隣接するスライド片12a〜12dが引き合うようになっている。
なお、第1実施形態と同一部分については図面に同一番号を付して説明を省略する。
【0044】
図8は、本発明の第3実施形態に係る支持機構10を示す。
【0045】
この第3実施形態は、支持機構10は、8つのスライド片12a〜12hを有し、この8つのスライド片12a〜12hが軸線Coに沿って延在して均等角に分割され、円筒状に形成されている。
【0046】
この第3の実施形態においては、例えばスライド片12aを固定片とし、スライド片12eを可動片とし、スライド片12b〜12d及び12f〜12hを連結片としている。このように構成すると、第1実施形態と比較して、連結片12b〜12d及び12f〜12hの数が多いので、滑らかに可動片12eを移動させることができる。
【0047】
ただし、固定片又は可動片は1つに限定されず、複数あってもよい。例えばスライド片12eの他にスライド片12c及びスライド片12gを可動片とすることができる。
【0048】
図9は、本発明の第4実施形態に係る支持機構10を示す。
【0049】
この第4実施形態においては、連結片であるスライド片12b,12dの対向面14b−1,14b−2,14d−1,12d−2及び切欠き16b,16dに潤滑層22が固着形成されている。
この潤滑層22は、アセタール樹脂やフッ素樹脂等の低摩擦係数の部材が用いられ、磁性流体20による潤滑とともに、可動片であるスライド片12cのより滑らかな移動を可能にする。
なお、上記に限らず、潤滑層22はいずれのスライド片12a〜12dの対向面に形成してもよい。また、磁性流体20を用いる必要もない。
第1実施形態と同一部分については図面に同一番号を付して説明を省略する。
【0050】
なお、対向面14a−1〜14d−2の表面を荒らして実際の接触面積を小さくして、摩擦係数を小さくしてもよい。また、磁性流体20は通常のいわゆる潤滑剤であっても構わないし、用いなくてもよい。
また、スライド片12a,12b,12c,12dは全て磁石である必要はなく、例えば、固定片12aと可動片12cを磁石で形成し、連結片12b,12dを軟磁性材料で形成してもよい。
【0051】
図10及び図11は、第1実施形態に係る支持機構10を用いたカメラ装置24の第1実施形態を示す。
【0052】
カメラ装置24は、断面三角形状のプリズム26及び直方体状のレンズ体28から構成された屈曲光学系を有する。
なお、プリズム26に光が入射する方向をZ、レンズ体28から光が出射する方向をX、Z及びXと直交する方向をYとする。
【0053】
Z方向から入射した被写体からの光はプリズム26の斜面にてX方向へ反射され、レンズ体28に入射する。レンズ体28を通過して出射した光は不図示のイメージセンサ上で結像し、撮影画像として取り込まれる。
【0054】
支持機構10は、レンズ体28のY方向2側面下方に軸線CoがX方向となるようにそれぞれ設けられている。固定片であるスライド片12a,12aはステーターである基台30に固定されている。また、可動片であるスライド片12c,12cはムーバーであり光学部材でもあるレンズ体28の側面下部に固定されている。
【0055】
図10に示すように、レンズ体28のY側の一方の側面には+Y方向に着磁された直方体形状のY側駆動磁石32が取付けられ、空隙を隔てて対向する位置にY側駆動コイル34が配置され、このY側駆動コイル34が基台30側に取り付けられる。
【0056】
図11に示すように、レンズ体28のY側の他方の側面にはZ方向に2片に分割されて+Y方向及び−Y方向に着磁された直方体形状のZ側駆動磁石36が取付けられ、空隙を隔てて対向する位置にZ側駆動コイル38が配置され、このZ側駆動コイル38が基台30側に取り付けられる。
【0057】
さらにレンズ体28の他方の側面には、X方向に2片に分割されて+Y方向及び−Y方向に着磁された直方体形状のX側駆動磁石40が取付けられ、空隙を隔てて対向する位置にX側駆動コイル42が配置され、このX側駆動コイル42が基台30側に取り付けられる。
【0058】
上記構成において、Y側駆動コイル32が通電されると、Y側駆動磁石32をY方向に移動させるローレンツ力がY側駆動コイル34に生じる。Z側駆動コイル38が通電されると、Z側駆動磁石36をZ方向に移動させるローレンツ力がZ側駆動コイル38に生じる。X側駆動コイル42が通電されると、X側駆動磁石40をX方向に移動させるローレンツ力がX側駆動コイル42に生じる。これらのX,Y,Z方向に向けて生じたローレンツ力はX/Y/Z側駆動磁石40,32,36に反力として働き、レンズ体28をX,Y,Zの各方向及び合成方向へ駆動する力として作用する。
【0059】
レンズ体28は上述の支持機構10により支持されているので、駆動力の発生に伴ってレンズ体28を所定の3軸方向に移動させることが可能になる。即ち、レンズ体28をX方向に移動させることにより焦点合わせが可能となり、Y方向及び/またはZ方向に移動させることにより手振れ補正を行うことが可能となる。
【0060】
図12は、本発明のカメラ装置24に係る第2実施形態を示す。
【0061】
前述の第1実施形態においては、支持機構10をレンズ体28のY方向2側面下方に設けたが、この第2実施形態においては、支持機構10は、レンズ体28のX方向2側面下方に設けている点が異なる。
【0062】
要するに、支持機構10の取付位置や取付個数は上記実施形態に限ることなく、例えば一方の支持機構10をY側側面の下方に取り付け、他方の支持機構10をY側側面の上方に取り付ける等、様々な変形が可能である。支持機構10は一つであっても構わない。
【0063】
本支持機構10は小型であり、レンズ体28のY側側面にだけ取り付ければよいので、カメラ装置24のZ側寸法を低く抑えることができ、搭載する端末機器の薄型化を可能とする。
【0064】
なお、上記2つの実施形態においては、屈曲光学系の駆動装置について説明したが、光線が直進する通常の光学部材駆動装置(レンズ駆動装置)に本支持機構10を用いてもよい。
【0065】
また、本支持機構10の取付けはレンズ体に限らず、プリズム26に設けることもできるし、イメージセンサに取り付けて、イメージセンサを3軸移動させるようにしてもよい。これらの光学部材駆動装置(レンズ駆動装置)やカメラ装置24は携帯電話やスマートフォン等の電子機器に搭載されることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 支持機構
12a〜12h スライド片
14a−1,14a―2〜14d−1,14d−2 対向面
16a〜16d 切欠き
18 空間
20 粘弾性体(磁性流体)
22 潤滑層
24 カメラ装置
26 プリズム
28 レンズ体
30 基台
32 Y側駆動磁石
34 Y側駆動コイル
36 Z側駆動磁石
38 Z側駆動コイル
40 X側駆動磁石
42 X側駆動コイル
図1
図2
図3
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図5
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図12