特許第6909917号(P6909917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6909917乳化組成物、水中油型(O/W型)乳化組成物、及び化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6909917
(24)【登録日】2021年7月7日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】乳化組成物、水中油型(O/W型)乳化組成物、及び化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20210715BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20210715BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20210715BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20210715BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20210715BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   A61K8/64
   A61K8/73
   A61K8/06
   A61K8/34
   A61K8/31
   A61K8/89
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-203220(P2020-203220)
(22)【出願日】2020年12月8日
【審査請求日】2020年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2020-9778(P2020-9778)
(32)【優先日】2020年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 兼司
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−222594(JP,A)
【文献】 特開2009−095253(JP,A)
【文献】 特開2018−119035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/00−9/72
A61K47/00−47/69
A61K38/00−38/58
C07K1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコール、第1の水性媒体、バイオマスナノファイバー、及び油溶性物質を含有し、前記油溶性物質の含有量が20質量%以上であり、D相中油型(O/D型)である乳化組成物。
【請求項2】
前記バイオマスナノファイバーがシルクナノファイバーである請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
前記油溶性物質が飽和炭化水素系オイル及びシリコーン系オイルの少なくともいずれかである請求項1又は2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の乳化組成物と第2の水性媒体とを含有する水中油型(O/W型)乳化組成物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の乳化組成物、又は請求項に記載の水中油型(O/W型)乳化組成物を含む化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物、水中油型(O/W型)乳化組成物、及び化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加工食品、嗜好食品、健康食品といった各種食品、化粧品、医薬品、塗料、調理・調味料、各種飲料、飼料等の多くの製品において、乳化組成物(エマルション)が利用されている。これらの乳化組成物を含む製品では、品質の安定性を高めるために、油剤に対して安定な乳化能が求められる。乳化組成物の製造方法としては種々の方法が知られている。その中でも、微細な油滴の乳化組成物が得られるD(Detergent=界面活性剤)相乳化法が注目されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
D相乳化法は、まず乳化剤を多価アルコール又は多価アルコール水溶液に溶解し、これに油相を添加して乳化することにより乳化組成物を製造する。次いで、この乳化組成物を水性媒体で希釈することにより微細なエマルションを得る方法である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−59545号公報
【特許文献2】特開2000−102356号公報
【特許文献3】特開2000−83624号公報
【特許文献4】特開2004−290104号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fragrance Journal,4,34−41(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献2には、D相中にHLBが6〜16の乳化剤を含むD相中油型(O/D型)乳化組成物に卵、酢及び油を加えて得られる水相中油型エマルション(マヨネーズ)が開示されている。そして、当該エマルションは、HLBが6〜16の乳化剤を卵、酢および油と単に混合して得られる水相中油型エマルション(マヨネーズ)よりも安定性が高いことが記載されている。特許文献4には、D相中にHLBが11〜16の乳化剤を含むD相中油型(O/D型)乳化組成物は、酸性食品中でも油滴が安定であることが記載されている。また、特許文献3の実施例2には、D相中にモノステアリン酸ジグリセリンエステル(HLB7.6)とジステアリン酸デカグリセリンエステル(HLB11.7)を含むD相中油型(O/D型)乳化組成物を含む全卵液は、冷凍しても安定であることが記載されている。
【0007】
しかしながら、これらのD相中油型(O/D型)乳化組成物は、これを水性媒体と混合して得られる水相中油型(O/W型)エマルションの油滴の安定性、なかでも加温状態における油滴の安定性の点において、まだ満足すべきものとは言い難い。また、今後の製品の多様化に対応すべく、種々の油溶性物質に対して分散性の高い乳化組成物が得られれば汎用性の観点から好ましいが、そのような実用性の高い乳化組成物は未だ見出されていない。
そこで、本発明は、種々の油溶性物質を用いた場合でもエマルションの分散性が良好な乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記のような状況に鑑み鋭意検討した結果、高濃度の油溶性物質を含有させる際に、多価アルコールとバイオマスナノファイバーとを組み合わせることで、安定性が高い微細な油滴を与える乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 多価アルコール、第1の水性媒体、バイオマスナノファイバー、及び油溶性物質を含有し、前記油溶性物質の含有量が20質量%以上である乳化組成物。
[2] D相中油型(O/D型)である[1]に記載の乳化組成物。
[3] 前記バイオマスナノファイバーがシルクナノファイバーである[1]又は[2]に記載の乳化組成物。
[4] 前記油溶性物質が飽和炭化水素系オイル及びシリコーン系オイルの少なくともいずれかである[1]〜[3]のいずれかに記載の乳化組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の乳化組成物と第2の水性媒体とを含有する水中油型(O/W型)乳化組成物。
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載の乳化組成物、又は[5]に記載の水中油型(O/W型)乳化組成物を含む化粧料組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、種々の油溶性物質を用いた場合でもエマルションの分散性が良好な乳化組成物を提供することができる。
特に、本発明の乳化組成物がD相中油型(O/D型)乳化組成物である場合、水性媒体でさらに希釈した際に油滴の粒径が小さく安定性に優れたエマルションを与えるので、食品、医薬品、化粧品等の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1〜5における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
図2】比較例1〜5における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
図3】実施例9〜13における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
図4】実施例17〜21における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
図5】実施例22、25〜28における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
図6】実施例29〜33における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
図7】実施例34〜38における乳化組成物の乳化状態を観察した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[乳化組成物]
本発明の実施形態に係る乳化組成物は、多価アルコール、第1の水性媒体、バイオマスナノファイバー、及び油溶性物質を含有し、上記油溶性物質の含有量が20質量%以上となっている。
【0012】
バイオマスナノファイバーとは、バイオマス由来のナノファイバーであり、植物ナノファイバー及び動物ナノファイバー等が挙げられる。これらはいずれもそのネットワーク中に親水部と疎水部とが存在する。この両親媒性に由来して、多価アルコールと水性媒体とがナノファイバーのネットワークに良好に保持された状態となり、20質量%以上という高濃度の油溶性物質の乳化安定性を向上させることができると推察される。
ここで、バイオマスナノファイバーの「ナノファイバー」とは、平均径(平均幅)が1nm〜1000nmのファイバーを意味する。
【0013】
本実施形態に係る乳化組成物は、バイオマスナノファイバーを含む多価アルコールと水性媒体、又は、バイオマスナノファイバーを含む多価アルコール水溶液に、油溶性物質を添加して攪拌することにより得ることができる。特に、バイオマスナノファイバーを含むことでそのネットワーク中の多価アルコールによって油溶性物質が補足されやすくなる。その結果、従来の乳化剤とは異なり、加温状態だけではなく室温にてエマルションの分散性が良好な乳化組成物が得られやすくなる。
【0014】
ここで、本実施形態に係る乳化組成物は、バイオマスナノファイバーのネットワーク中に油溶性物質を効率よく補足する観点から、D相中油型(O/D型)であることが好ましい。以下、各成分等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
(多価アルコール)
多価アルコールは、水溶性多価アルコールが用いることが好ましく、なかでも分子内に水酸基を3個以上有するものが好ましい。例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルトトリオース、澱粉分解糖などの糖およびこれらの糖の還元アルコールなどが挙げられ、ポリグリセリンが好ましく、グリセリンがより好ましい。これらは、単独で用いても、2以上を組み合わせて使用してもよい。また、多価アルコールはそのまま用いても、水に溶解して50〜99.9質量%程度の水溶液として用いてもよい。
【0016】
乳化組成物(特にD相中油型(O/D型)乳化組成物)に占める多価アルコールの割合は、7質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0017】
(第1の水性媒体)
第1の水性媒体としては、水や極性を有する有機溶媒等を含む水溶液等が挙げられ、有機溶媒の濃度が低いことが望ましく、特に水が好ましい。乳化組成物(特にD相中油型(O/D型)乳化組成物)に占める第1の水性媒体の割合は、1.0質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましい。また、8.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
(バイオマスナノファイバー)
バイオマスナノファイバーは、乳化性能に優れており、種々の油溶性物質を用いた場合でも安定した乳化組成物を作ることができる。
バイオマスナノファイバーとしては、植物ナノファイバー及び動物ナノファイバー等が挙げられ、植物ナノファイバーとしては、セルロースナノファイバーが挙げられ、動物ナノファイバーとしては、シルクナノファイバー、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー等が挙げられる。
【0019】
ここで、セルロースナノファイバーとしては、結晶性セルロース由来のナノファイバー及び粉末セルロース由来のナノファイバーが好ましい。これらは、化学的安定性、熱的安定性の点で好ましい。
結晶性セルロース由来のナノファイバーとは、公知の結晶性セルロースを微細化処理し、ナノファイバー化したものをいう。本発明で使用する結晶性セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを酸で部分的に解重合し、精製したものである。結晶性セルロースとしては、例えば、食品添加物公定書(第9版)に記載されたものが知られている。
【0020】
また、粉末セルロース由来のナノファイバーとは、公知の粉末セルロースを微細化処理し、ナノファイバー化したものをいう。本発明で使用する粉末セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを処理した後、ヘミセルロース、リグニン等の非晶成分を残して精製し、機械的に粉砕したものである。粉末セルロースとしては、例えば、食品添加物公定書(第9版)に記載されたものが知られている。
【0021】
バイオマスナノファイバーは、その平均径が1〜1000nmである。平均径が1nm未満では、ナノファイバーのネットワーク構造が脆弱化し、構造保持することができなくなって、エマルションの不安定化を生じることがある。また、1000nmを超えると、サイズが大きくなりすぎてエマルションの安定性を阻害してしまうことがある。バイオマスナノファイバーの平均径は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
【0022】
バイオマスナノファイバーの平均長さは、1000nm以上であることが好ましく、2000nm以上であることがより好ましい。また、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
バイオマスナノファイバーの平均径、平均長さは、例えば、透過型電子顕微鏡観察により繊維の繊維径(繊維幅)及び長さをそれぞれ測定し、その平均値として求めることが可能である。
【0023】
また、バイオマスナノファイバーのアスペクト比(平均長さ/平均径)は、20〜10000であることが好ましく、40〜5000であることがより好ましく、100〜1000であることがより好ましい。
【0024】
また、バイオマスナノファイバーは、いずれも使用可能だが、化粧品用途を始めとした場合、生体への親和性を考慮すると、シルクナノファイバーや植物由来のナノファイバーであることが好ましい。
【0025】
シルクナノファイバーは、希薄なアルカリ薬剤を使用し、100〜245MPaの高圧噴射処理を行って、シルクナノファイバーを得たものを使用することが好ましい。このようなシルクナノファイバーは、アルカリ薬剤を使用しているが、化粧品原料や食品添加物で一般的に使用されている薬剤であり、また溶媒は水であること、シルク原料同志を衝突させることでナノファイバーの形状に解繊するため、不純物がナノファイバーの作製時に発生する可能性がより小さく、臼、砥石などのメディアを介し解繊するナノファイバーに対してより好ましい。
したがって、シルクナノファイバーは、高圧噴射処理を経て得られたものが好ましい。具体的には、当該シルクナノファイバーの結晶化度が3%以上であることが好ましく、10〜90%であることがより好ましい。
なお、結晶化度は、試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置を用いて測定することで求めることができる。具体的には、X線回折図の2θ=5°〜60°の領域を測定することで、結晶部分と非晶部分(アモルファス)の回折強度が算出可能である。
【0026】
シルクナノファイバー以外のバイオナノマスファイバー、例えば、結晶性セルロース由来のナノファイバー、粉末セルロース由来のナノファイバー、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー等についても、例えば、直径0.1〜0.8mmの噴射ノズルを介して、100〜245MPaの高圧噴射処理により、バイオマス分散流体を衝突用硬質体に衝突させるか、または互いに噴射衝突させてバイオマスを微細化させて得られるものを使用することが好ましい。この方法は、市販されている高圧ホモジナイザーのように、分散流体を高圧低速で狭い流路を通過させ、解放時に均質化させるせん断力だけではなく、分散流体を衝突用硬質体に衝突させることによる衝突力や、キャビテーションを利用した、高圧での連続処理ができる。
【0027】
乳化組成物(特にD相中油型(O/D型)乳化組成物)に占めるバイオマスナノファイバーの割合は、水性媒体で希釈して水中油型(O/W型)エマルションとした際に油滴の粒子径を小さくする観点から、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、エマルションの安定性の観点、及び食品や飲料に用いた場合の風味の観点から、10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
【0028】
また、乳化組成物(特にD相中油型(O/D型)乳化組成物)において、バイオマスナノファイバーと油溶性物質との質量比(油溶性物質/バイオマスナノファイバー)は、エマルションの分散性とその安定性の観点から、50〜1000であることが好ましい。
特に、バイオマスナノファイバーがシルクナノファイバーである場合、上記の質量比は、100〜900であることがより好ましい。
また、バイオマスナノファイバーがキチンナノファイバー若しくはキトサンナノファイバーである場合、上記の質量比は、100〜450であることがより好ましく、100〜350であることがさらに好ましい。
さらに、バイオマスナノファイバーが結晶性セルロース由来のナノファイバーである場合、上記の質量比は、100〜450であることがより好ましく、100〜350であることがさらに好ましい。
また、バイオマスナノファイバーが粉末セルロース由来のナノファイバーである場合、上記の質量比は、100〜450であることがより好ましく、100〜350であることがさらに好ましい。
【0029】
(油溶性物質)
油溶性物質は、食品、飼料、化粧品、医薬品および工業等の分野で利用される任意の油溶性物質を用いることができ、例えば、脂肪酸、油脂、ワックス、炭化水素、シリコーン系オイル、高級アルコール、テルペン、精油、脂溶性ビタミン、油溶性薬物、油溶性色素等が挙げられる。
【0030】
脂肪酸は、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、ヘキサデカトリエン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラヘキサエン酸及びこれらの幾何異性体等が挙げられる。脂肪酸エステルは、ミリスチン酸エチル等上述の脂肪酸のエステル等が挙げられる。
【0031】
油脂は、脂肪酸のグリセリンエステルであり、上述の脂肪酸混合物のグリセリンエステルである。例えば、魚油、牛脂、豚脂、乳脂、馬油、蛇油、卵油、卵黄油、タートル油、ミンク油などの動物性油脂類;大豆油、とうもろこし油、綿実油、なたね油、ごま油、シソ油、こめ油、ひまわり油、落花生油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、米胚芽油、小麦胚芽油、玄米胚芽油、ハトムギ油、ガーリックオイル、マカデミアンナッツ油、アボガド油、月見草油、フラワー油、つばき油、やし油、ひまし油、あまに油、カカオ油などの植物性油脂類:およびこれらを水素添加またはエステル交換したもの;中鎖脂肪酸トリグリセライド等が挙げられる。
【0032】
ワックスは、脂肪酸と高級1価または2価アルコールとのエステルである。例えば、ホホバ油、ライスワックス、プロポリス、みつろう、さらしみつろう、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、鯨ろう等が挙げられる。
【0033】
炭化水素は、例えば、軽質流動パラフィン、重質流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等の流動パラフィン類、パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、スクワレン等が挙げられ、中でも、飽和炭化水素系オイルが好ましい。
【0034】
シリコーン系オイルは、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノシリコーン、脂肪酸シリコーン、アルコールシリコーン、ポリエーテルシリコーン、エポキシシリコーン、フッ素シリコーン、グリコシドシリコーンおよび/またはアルキルシリコーンを修飾したシリコーン化合物等が挙げられる。
【0035】
高級アルコールは、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリンアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールオクタコサノール等の炭素数8〜44の飽和または不飽和のアルコールが挙げられる。
テルペンは、例えば、オイゲノール、ゲラニオール、メントール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール等が挙げられる。
【0036】
精油は、例えば、アンブレットシード油、カラシ油、サフラン油、シトロネラ油、ベチバー油、バレリアン油、ヨモギ油、カミツレ油、しょう脳油、サッサフラス油、ホウショウ油、ローズウッド油、クラリーセージ油、タイム油、バジル油、カーネーション油、シダーウッド油、ヒノキ油、ヒバ油、クローブ油、テレピン油、パイン油、オレンジ油、レモングラス油、タラゴン油、ローレル葉油、カシア油、シナモン油、コショウ油、カラムス油、セージ油、ハッカ油、ペパーミント油、スペアーミント油、パッチュリ油、ローズマリー油、ラバンジン油、ラベンダー油、クルクマ油、カルダモン油、ショウガ油、アンゲリカ油、アニス油、ウイキョウ油、パセリ油、セロリ油、カルバナム油、クミン油、コリアンダー油、ジル油、キャロット油、キラウェー油、ウィンターグリン油、ナツメグ油、ローズ油、シプレス油、ビャクダン油、オールスパイス油、グレープフルーツ油、ネロリ油、レモン油、ライム油、ベルガモット油、マンダリン油、オニオン油、ガーリック油、ビターアーモンド油、ゼラニウム油、ミモザ油、ジャスミン油、キンモクセイ油、スターアニス油、カナンガ油、イランイラン油、ユーカリ油等のエッセンシャルオイル;コショウ、ショウズク、ショウガ、パセリ、コリアンダー、ヒメウイキョウ、ピメンタ、バニラ、セロリ、チョウジ、ニクズク、パブリカ、イリスレジノイド、乳香樹等のオレオレジンまたはレジノイドが挙げられる。
【0037】
脂溶性ビタミンは、例えば、ビタミンA、D、E、Kおよびこれらの誘導体が挙げられる。
油溶性薬物は、例えば、コエンザイムQ10、α−リポ酸、ルチン、ルテイン等が挙げられる。
油溶性色素は、例えば、アナトー色素、パプリカ色素、β−カロチン、クロロフィル、紅麹色素、ウコン色素等が挙げられる。これらは単独で用いても、2以上を組み合わせて用いても良い。
【0038】
油溶性物質は、ナノファイバーのネットワーク中への良好な補足性の観点から、飽和炭化水素系オイル及びシリコーン系オイルの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0039】
なお、上記油溶性物質がD相中油型(O/D型)乳化組成物を製造する温度において固体の場合は、その温度において液体の油溶性物質に溶解させて用いればよい。
【0040】
乳化組成物(特にD相中油型(O/D型)乳化組成物)に占める油溶性物質の割合は、20質量%以上であり、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。20質量%未満であると、後の工程で水性媒体により希釈すると相対的に油溶性物質の濃度が低下し、汎用性も低下させてしまう。また、油溶性物質の割合は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0041】
D相中油型(O/D型)乳化組成物は、バイオマスナノファイバーを分散した多価アルコールの水溶液を、10〜80℃の温度で、500〜20,000rpm、好ましくは1,000〜10,000rpmで攪拌し、この中に、親油性乳化剤を溶解した油溶性物質を少量ずつ添加した後、温度を保持したまま、500〜20,000rpm、好ましくは1,000〜10,000rpmで1〜60分間、好ましくは5〜30分間、さらに攪拌することにより得ることができる。
【0042】
(乳化剤)
本実施形態に係る乳化組成物には、乳化剤を含有させてもよい。使用可能な乳化剤としては、例えば、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレエートなどのグリセリンの重合度が4以上、好ましくは4〜12のポリグリセリン脂肪酸エステル;ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;レシチン部分加水分解物、リゾレシチンなどの水溶性リン脂質;糖脂質;サポニン;大豆蛋白、カゼインナトリウムなどの蛋白質やその変性物といったHLBが10以上の乳化剤が挙げられる。これらは単独で用いても、2以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本実施形態に係る乳化組成物(特に、D相中油型(O/D型)乳化組成物)は、化粧品、塗料、医薬などやレトルト食品、インスタント食品、即席麺、ドライフーズ、加工乳などの加工食品や嗜好食品、サプリメント、機能性食品、特別用途食品、病者用食品、高齢者用食品、育児用粉ミルク、特定保健用食などの健康食品などの食品、自己乳化性油脂、ケチャップ、マヨネーズ、タルタルソース、ウスターソース、ラー油、香辛料、ハーブ、油脂、サラダドレッシングなどの調理・調味料、酒、コーヒー、茶などの飲料、に用いることができる。
【0044】
[水中油型(O/W型)乳化組成物]
本発明の水中油型(O/W型)乳化組成物は、既述の本発明の乳化組成物と第2の水性媒体とを含有する。第2の水性媒体としては、第1の水性媒体と同様なものを例示でき、第1の水性媒体と第2の水性媒体とは同一でも異なっていてもよい。
【0045】
本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物は、D相中油型(O/D型)乳化組成物が0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜20質量%となるように第2の水性媒体と混合することにより、水相中油型(O/W型)乳化組成物を与える。
本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物は、水溶性の有効成分や添加剤を加えたものを希釈して、化粧水や美容液等の化粧料組成物として利用することができる。また、本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物から得られる本発明の水中油型(O/W型)乳化組成物は、高温(60℃)での安定性も良好なので、即席スープなどの加熱用食品、ホットミルクコーヒー、ホットミルクティーなどの加温用飲料などにも好適に用いられる。
【0046】
[化粧料組成物]
本発明の化粧料組成物は、本発明の乳化組成物、又は本発明の水中油型(O/W型)乳化組成物を含む。そして、適宜、水溶性の有効成分や添加剤を加えたものを希釈して、化粧水や美容液等の化粧料組成物として利用することができる。
【0047】
添加剤は、例えば、アスコルビン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸等の水溶性ビタミン類;オウバクエキス、カンゾウエキス、アロエエキス、スギナエキス、茶エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、ハマメリス抽出液、プラセンタエキス、海藻エキス、マロニエエキス、ユズエキス、ユーカリエキス、アスナロ抽出液等の動・植物抽出液;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等の塩類;クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩等のpH調整剤;カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルキトサン、ヒアルロン酸ナトリウム等の増粘剤等が挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、これらの実施例は、本発明を何ら限定もしくは制限するものでもない。
なお、各例における分散性は下記のとおりにして評価した。
【0049】
<分散安定性>
分散安定性(分散性)は、最終撹拌後に室温で静置し、72時間後の乳化組成物の外観の様子で評価を行った。「水層と油層の分離が明らかにあるもの」は×とし、「境界面が不鮮明な状態」を△、「分離が若干あるように見えるが、乳化状態にあるといえるもの」を△〇、明確な分離がほとんど確認できない、すなわち乳化状態にあるもの」を〇、明確な分離がまったく確認できない、すなわち非常に良好な乳化状態にあるもの」を◎とした。
【0050】
<実施例1>
油溶性物質としてシリコーンオイル120gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
【0051】
(1)24gのグリセリン(富士フイルム和光純薬(株)製、以下の例も同様)に、シルクナノファイバー水分散体((株)スギノマシン製 高圧噴射処理品 シルクナノファイバー濃度5wt%、平均径100nm以下、以下のシルクナノファイバーの例も同様)とイオン交換水をそれぞれ3g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、製品名KF−96A−100CS、以下の例も同様)を(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表1に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0052】
<実施例2>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gを流動パラフィン(富士フイルム和光純薬(株)製、以下の例も同様)120gとした以外は実施例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
<実施例3>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gをスクワラン(純正化学(株)製、以下の例も同様)120gとした以外は実施例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
<実施例4>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gをオリーブ油(富士フイルム和光純薬(株)製、以下の例も同様)120gとした以外は実施例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
<実施例5>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gをホホバ油(富士フイルム和光純薬(株)製、以下の例も同様)120gとした以外は実施例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
<実施例6>
油溶性物質として、実施例1と同じシリコーンオイル120gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)24gのグリセリンに実施例1使用したシルクナノファイバー水分散体を6g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間撹拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表1に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0057】
<実施例7>
(1)24gのグリセリンに、シルクナノファイバー水分散体を3gとイオン交換水を78g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で45g添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表1に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0058】
<実施例8>
(1)24gのグリセリン(富士フイルム和光純薬製)に、シルクナノファイバー水分散体を3gとイオン交換水を48g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で75g添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表1に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0059】
<比較例1>
比較例1として、油溶性物質としてシリコーンオイル120gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)24gのグリセリンにシルク粒子(平均粒径10〜40μm)とイオン交換水をそれぞれ3g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表1に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0060】
<比較例2>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gをスクワラン120gとした以外は比較例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0061】
<比較例3>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gを流動パラフィン120gとした以外は比較例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0062】
<比較例4>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gをオリーブ油120gとした以外は比較例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
<比較例5>
油溶性物質として、シリコーンオイル120gをホホバ油120gとした以外は比較例1と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0064】
図1は、実施例1〜5である、シルクナノファイバーとシリコーンオイル、スクワラン、流動パラフィン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
【0065】
図2は、比較例1〜5である、シルク粒子とシリコーンオイル、スクワラン、流動パラフィン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
【0066】
図1図2から次のことが判明した。本実施例の、シルクナノファイバーと多価アルコールを添加した乳化組成物に油剤を加えたものは、乳化状態を維持し、72時間後にも分離しなかった。その後も経過観察しているが、同様に乳化状態を維持していた。ナノファイバーに解繊されていないシルク粒子では、油層と水層がほぼ完全に分離した。
【0067】
また、シルクナノファイバー濃度が0.1%(実施例1)、0.2%(実施例6)における粘度(25℃)を測定(レオメーターで72時間後)したところ、それぞれ、13000mPa・s、30000mPa・sであり、これらの粘度の比較から、乳化組成物の粘度は、ナノファイバーの濃度で制御することが可能であった。
【0068】
【表1】
【0069】
本実施例によれば、シルクナノファイバーと多価アルコールを添加した乳化物を60℃で30分間加熱した後に放冷したものは、ほとんど変色せずに優れた乳化性能を長期に亘って維持することができるといえる。
【0070】
<実施例9>
油溶性物質としてシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
【0071】
(1)16gのグリセリンに、キチンナノファイバー水分散体((株)スギノマシン製 BiNFi−s(SFO−20010)、キチンナノファイバー濃度10wt%、平均径20〜50nm、以下のキチンナノファイバーの例も同様)とイオン交換水をそれぞれ2g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表2に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0072】
<実施例10>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は実施例9と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0073】
<実施例11>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は実施例9と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0074】
<実施例12>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は実施例9と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0075】
<実施例13>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は実施例9と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0076】
<実施例14>
油溶性物質として、実施例1と同じシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリンに実施例9で使用したキチンナノファイバー水分散体を4g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間撹拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表2に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0077】
<実施例15>
(1)16gのグリセリンに、キチンナノファイバー水分散体を2gとイオン交換水を52g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で30g添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表2に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0078】
<実施例16>
(1)16gのグリセリン(富士フイルム和光純薬製)に、キチンナノファイバー水分散体を2gとイオン交換水を32g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で50g添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表2に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0079】
<比較例6>
比較例6として、油溶性物質としてシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリン(富士フイルム和光純薬製)にキチン粒子(平均粒径1〜300μm、アスペクト比(長径/短径)10未満)0.2gとイオン交換水を3.8g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表2に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0080】
<比較例7>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は比較例6と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0081】
<比較例8>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は比較例6と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0082】
<比較例9>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は比較例6と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0083】
<比較例10>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は比較例6と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
図2は、実施例9〜13である、キチンナノファイバーとシリコーンオイル、流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
【0085】
【表2】
【0086】
<実施例17>
油溶性物質としてシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
【0087】
(1)16gのグリセリンに、結晶性セルロース由来のナノファイバー水分散体((株)スギノマシン製BiNFi−s(AFO−10010)、結晶性セルロース由来のナノファイバー濃度10wt%、平均径20〜50nm、以下の結晶性セルロース由来のナノファイバーの例も同様)とイオン交換水をそれぞれ2g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表3に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0088】
<実施例18>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は実施例17と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0089】
<実施例19>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は実施例17と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0090】
<実施例20>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は実施例17と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0091】
<実施例21>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は実施例17と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0092】
<比較例11>
比較例11として、油溶性物質としてシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリン(富士フイルム和光純薬製)に結晶性セルロース粒子(平均粒径10〜250μm、アスペクト比(長径/短径)10未満)を0.2gとイオン交換水を3.8g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表3に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0093】
<比較例12>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は比較例11と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0094】
<比較例13>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は比較例11と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0095】
<比較例14>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は比較例11と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0096】
<比較例15>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は比較例11と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0097】
<実施例22>
油溶性物質として、実施例17と同じシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリンに実施例17で使用した結晶性セルロース由来のナノファイバー水分散体を3gとイオン交換水を1g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間撹拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表3に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0098】
<実施例23>
(1)16gのグリセリンに、結晶性セルロース由来のナノファイバー水分散体を2gとイオン交換水を52g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で30g添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表3に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0099】
<実施例24>
(1)16gのグリセリン(富士フイルム和光純薬製)に、結晶性セルロース由来のナノファイバー水分散体を2gとイオン交換水を32g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で50g添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表3に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0100】
<実施例25>
油溶性物質として、実施例18と同じ流動パラフィン80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリンに実施例17で使用した結晶性セルロース由来のナノファイバー水分散体を3g、イオン交換水を1gそれぞれ添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機で流動パラフィンを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間撹拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表3に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0101】
<実施例26>
油溶性物質として、流動パラフィン80gをスクワラン80gとした以外は実施例25と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0102】
<実施例27>
油溶性物質として、流動パラフィン80gをオリーブ油80gとした以外は実施例25と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0103】
<実施例28>
油溶性物質として、流動パラフィン80gをホホバ油80gとした以外は実施例25と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0104】
図4は、実施例17〜21である、結晶性セルロース由来のナノファイバーとシリコーンオイル、流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
図5は、実施例22、25〜28である、結晶性セルロース由来のナノファイバーとシリコーンオイル、流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
【0105】
【表3】
【0106】
<実施例29>
油溶性物質としてシリコーンオイル80g使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
【0107】
(1)16gのグリセリン(富士フイルム和光純薬(株)製、以下の例も同様)に、粉末セルロース由来のナノファイバー水分散体((株)スギノマシン製BiNFi−s(WFO−10010)、粉末セルロース由来のナノファイバー濃度10wt%、平均径20〜50nm、以下の粉末セルロース由来のナノファイバーの例も同様)とイオン交換水をそれぞれ2g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表4に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0108】
<実施例30>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は実施例29と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0109】
<実施例31>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は実施例29と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0110】
<実施例32>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は実施例29と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0111】
<実施例33>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は実施例29と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0112】
<比較例16>
比較例16として、油溶性物質としてシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリン(富士フイルム和光純薬製)に粉末セルロース粒子(平均粒径10〜250μm、アスペクト比(長径/短径)10未満)を0.2gとイオン交換水を3.8g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表4に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0113】
<比較例17>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は比較例16と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0114】
<比較例18>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は比較例16と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0115】
<比較例19>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は比較例16と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0116】
<比較例20>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は比較例16と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0117】
<実施例34>
油溶性物質として、実施例29と同じシリコーンオイル80gを使用して、以下の手順で乳化組成物(D相中油型(O/D型)乳化組成物)の作製を行った。
(1)16gのグリセリンに実施例29で使用した粉末セルロース由来のナノファイバー水分散体を4g添加して、撹拌を10分間行い、均一な混合体を作製した。
(2)スリーワンモーター撹拌機でシリコーンオイルを(1)で作製した混合体に5ml/分の速度で添加した。
(3)添加終了後、300rpmで15分間撹拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。作製した乳化組成物について分散安定性の評価を行った。表4に乳化組成物中の各成分の割合(質量%)とともに評価結果とを示す。
【0118】
<実施例35>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gを流動パラフィン80gとした以外は実施例34と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0119】
<実施例36>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをスクワラン80gとした以外は実施例34と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0120】
<実施例37>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをオリーブ油80gとした以外は実施例34と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0121】
<実施例38>
油溶性物質として、シリコーンオイル80gをホホバ油80gとした以外は実施例34と同様にして、D相中油型(O/D型)乳化組成物を作製し分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0122】
図6は、実施例29〜33である、粉末セルロース由来のナノファイバーとシリコーンオイル、流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
図7は、実施例34〜38である、粉末セルロース由来のナノファイバーとシリコーンオイル、流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油のそれぞれとを撹拌して得られた乳化組成物を観察した画像であり、72時間後の乳化組成物の画像である。
【0123】
【表4】
【0124】
以上の実施例等から、本発明の乳化組成物は、加熱処理が必要なレトルト食品や医療薬品や化粧料への適用が容易となり、また、例えば、化粧料に適用した場合に、熱処理に影響を受ける原料を処方に組み入れることが可能となり、その温度管理範囲の幅が広くなり、温度管理が容易となる等の効果が得られる。
【要約】
【課題】種々の油溶性物質を用いた場合でもエマルションの分散性が良好な乳化組成物を提供する。
【解決手段】油溶性物質、多価アルコール、バイオマスナノファイバー、及び第1の水性媒体を含有し、前記油溶性物質の含有量が20質量%以上である乳化組成物であり、当該乳化組成物は、D相中油型(O/D型)であることが好ましい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7