(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のハウジングに設けられたボスと、第2のハウジングに設けられ前記ボスが圧入されたボス孔を形成する被圧入部との少なくとも一方の温度を変化させることによって、前記ボスと前記ボス孔との接触面圧を低下させる温度変化工程と、
前記ボス孔から前記ボスを抜くことによって、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの組み付け状態を解除する解除工程と、を備え、
前記温度変化工程では、
前記第2のハウジングの外表面から前記被圧入部に向けて延在した孔を経由して前記被圧入部を加熱することによって、前記ボス孔を熱膨張させる医療機器の再製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る処置具1を示す図である。
処置具1は、本発明に係る医療機器に相当する。この処置具1は、生体組織における処置の対象となる部位(以下、対象部位と記載)に対して超音波エネルギ及び高周波エネルギを付与することによって、当該対象部位を処置する。ここで、当該処置とは、例えば、対象部位の凝固及び切開を意味する。この処置具1は、
図1に示すように、ハウジング2と、超音波プローブ3と、超音波トランスデューサ4とを備える。
【0011】
図2は、ハウジング2を示す図である。具体的に、
図2は、超音波プローブ3の中心軸Axを通る平面によってハウジング2を切断した断面図である。なお、当該平面は、第1,第2のハウジング5,6の境界面に相当する。
図3は、
図2に示したIII-III線の位置でハウジング2を切断した断面図である。
図4は、
図2に示したIV-IV線の位置でハウジング2を切断した断面図である。
図5は、
図2に示したV-V線の位置でハウジング2を切断した断面図である。
なお、以下では、超音波プローブ3の中心軸Axに沿う一方側を先端側Ar1(
図1,
図2)と記載し、他方側を基端側Ar2(
図1,
図2)と記載する。
ハウジング2は、
図2ないし
図5に示すように、第1,第2のハウジング5,6の2体によって構成されている。そして、ハウジング2は、当該第1,第2のハウジング5,6を組み付けることによって構成される。当該第1,第2のハウジング5,6を組み付けた状態では、超音波プローブ3の中心軸Ax(
図1〜
図5)に沿って貫通した孔21(
図2〜
図4)が設けられる。すなわち、ハウジング2は、筒形状を有する。
【0012】
第1のハウジング5の内表面において、外縁側には、
図2ないし
図5に示すように、第2のハウジング6側に向けてそれぞれ突出する円柱状の複数(本実施の形態では5つ)のボス51が形成されている。一方、第2のハウジング6の内表面において、複数のボス51に対向する各位置には、
図2ないし
図5に示すように、第1のハウジング5側に向けてそれぞれ突出する被圧入部60が形成されている。また、各被圧入部60には、先端から基端に向けてそれぞれ延在し、当該ボス51がそれぞれ圧入される平面視円形状のボス孔61が形成されている。すなわち、被圧入部60は、ボス51と嵌合する嵌合面を有する凹部である。
すなわち、第1,第2のハウジング5,6は、各ボス51が各ボス孔61に対して圧入されることによって、互いに組み付いた状態となる。
【0013】
以上説明した第1のハウジング5(ボス51)の第1の熱膨張率と第2のハウジング6(被圧入部60)の第2の熱膨張率との関係は、第1の熱膨張率<第2の熱膨張率の関係に設定されている。また、第1のハウジング5(ボス51)の第1の熱伝導率と第2のハウジング6(被圧入部60)の第2の熱伝導率との関係は、第1の熱伝導率<第2の熱伝導率の関係に設定されている。
ここで、熱膨張率が高い樹脂材料としては、ポリエチレン(耐熱温度:70〜90℃)、ポリプロピレン(耐熱温度:100〜140℃)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂(耐熱温度:70〜100℃)等を例示することができる。一方、熱膨張率が低い樹脂材料としては、ポリカーボネート(耐熱温度:120〜130℃)、ポリテトラフルオロエチレン(耐熱温度:260℃)、ポリスルホン(耐熱温度:150℃)等を例示することができる。また、熱伝導率が高い樹脂材料としては、ポリスルホン、ポリエチレン等を例示することができる。一方、熱伝導率が低い樹脂材料としては、ポリカーボネート、PTFE、ABS、ポリプロピレン等を例示することができる。
このため、例えば、第1のハウジング5をポリカーボネートによって構成し、第2のハウジング6をポリエチレンによって構成すれば、上述した熱膨張率及び熱伝導率の2つの関係を満足することができる。
【0014】
また、ハウジング2には、
図1または
図2に示すように、複数(本実施の形態では3つ)のスイッチ7が設けられている。
複数のスイッチ7は、ハウジング2の外部に露出した状態でそれぞれ設けられ、術者による出力開始操作を受け付ける。ここで、処置具1は、
図1に示すように、電気ケーブルCを経由することによって、制御装置100と電気的に接続する。そして、スイッチ7は、電気ケーブルCを経由することによって、制御装置100に対して当該出力開始操作に応じた操作信号を出力する。
【0015】
超音波プローブ3は、中心軸Axに沿って延在した長尺形状を有し、導電性材料によって構成されている。この超音波プローブ3は、先端側Ar1の端部が外部に露出した状態で、ハウジング2の孔21内に取り付けられる。なお、超音波プローブ3は、ハウジング2を第1,第2のハウジング5,6の2体に分割しなければ、ハウジング2から取り外すことができない。また、超音波プローブ3は、基端側Ar2の端部が超音波トランスデューサ4を構成するBLT(ボルト締めランジュバン型振動子)に対して接続する。そして、超音波プローブ3は、当該BLTが発生させた超音波振動を基端側Ar2の端部から先端側Ar1の端部まで伝達する。本実施の形態では、当該超音波振動は、中心軸Axに沿う方向に振動する縦振動である。この際、超音波プローブ3における先端側Ar1の端部は、当該縦振動によって、所望の振幅で振動する。
【0016】
超音波トランスデューサ4は、ハウジング2の基端側Ar2から孔21内に挿通されるとともに、ハウジング2に対して着脱自在に構成されている。この超音波トランスデューサ4は、具体的な図示は省略したが、交流電力の供給に応じて超音波振動を発生させるBLTを備える。
【0017】
以上説明した処置具1は、以下に示すように動作する。
術者は、処置具1を手で持ち、超音波プローブ3における先端側Ar1の端部を対象部位に対して接触させる。この後、術者は、スイッチ7を押下する。そして、制御装置100は、スイッチ7からの操作信号に応じて、以下に示す制御を実行する。
制御装置100は、超音波プローブ3と被検体の表面に取り付けられた対極板(図示略)との間に高周波電流を供給する。そして、対象部位には、高周波電流が流れる。言い換えれば、当該対象部位には、高周波エネルギが付与される。
また、制御装置100は、超音波プローブ3と対極板との間への高周波電流の供給と略同時に、超音波トランスデューサ4を構成するBLTに対して交流電力を供給することによって、当該BLTに超音波振動を発生させる。そして、対象部位には、超音波プローブ3における先端側Ar1の端部から超音波振動が付与される。言い換えれば、当該対象部位には、超音波エネルギが付与される。
そして、対象部位には、高周波電流が流れることによってジュール熱が発生する。また、超音波プローブ3の縦振動によって、当該超音波プローブ3における先端側Ar1の端部と対象部位との間に摩擦熱が発生する。これによって、対象部位は、凝固しつつ切開される。
以上のように、本実施の形態に係る処置具1は、超音波処置具及びモノポーラ処置具の双方の機能を有する。
【0018】
〔処置具の再製造方法〕
次に、上述した処置具1の再製造方法について説明する。当該処置具1の再製造方法は、本発明に係る医療機器の再製造方法に相当する。
図6は、処置具1の再製造方法を示すフローチャートである。
作業者は、対象部位を処置した後の使用済みの処置具1を回収する。そして、作業者は、以下に示すように、当該回収した処置具1を分解する(工程S1)。
図7は、工程S1を説明する図である。なお、
図7では、説明の便宜上、第1,第2のハウジング5,6として、ボス51及びボス孔61によって互いに接合された部分のみを図示している。
【0019】
先ず、作業者は、第1,第2のハウジング5,6の組み付け状態を解除し、ハウジング2を第1,第2のハウジング5,6の2体に分割する。
具体的に、作業者は、例えば、第2のハウジング6が下方となり第1のハウジング5が上方となる姿勢で、処置具1をホットプレート上に載置する。これによって、第2のハウジング6(被圧入部60)は、ホットプレートからの熱によって、
図7に示すように、外表面側から加熱される(温度変化工程)。本実施の形態では、第2のハウジング6を加熱する温度は、当該第2のハウジング6の耐熱温度未満である。そして、ボス孔61は、熱膨張によって、方向D1(
図6)に拡径する。すなわち、ボス51とボス孔61との接触面圧が低下する。
この後、作業者は、ボス孔61からボス51を抜くことによって、ハウジング2を第1,第2のハウジング5,6の2体に分割する(解除工程)。そして、作業者は、ハウジング2から、超音波プローブ3を取り外す。
【0020】
工程S1の後、作業者は、ハウジング2から取り外した超音波プローブ3を洗浄及び滅菌する(工程S2)。
具体的に、超音波プローブ3の洗浄では、ブラシ等を利用することによって、当該超音波プローブ3に付着した大きな汚れを落とす。この後、血液、体液、及び粘膜等に由来する病原微生物等を除去するため、イソプロパノール含有洗浄剤、タンパク質分解酵素洗剤、及びアルコールのいずれかの洗浄液を用いて、超音波プローブ3を超音波洗浄する。なお、当該洗浄液としては、上述した洗浄液に限らず、その他の洗浄液を採用してもよく、あるいは、消毒液を含んでいても構わない。
また、超音波プローブ3の滅菌では、血液、体液、及び粘膜等に由来する病原微生物等を除去するため、高圧蒸気滅菌、酸化エチレンガス滅菌、及び過酸化水素ガス低温滅菌のいずれかを用いる。
【0021】
工程S2の後、作業者は、新たな処置具1を組み立てる(工程S3:組立工程)。
具体的に、作業者は、工程S1において2体に分割した第1,第2のハウジング5,6を再利用する。そして、作業者は、第1,第2のハウジング5,6の間に、工程S2において洗浄及び滅菌した超音波プローブ3を組み込み、ボス孔61に対してボス51を圧入することによって、新たな処置具1を組み立てる。
【0022】
工程S3の後、作業者は、工程S2において新たに組み立てられた処置具1の検査及び試験を行う(工程S4)。
具体的に、処置具1の検査及び試験としては、生体適合性、洗浄バリデーション、性能、EOG(酸化エチレンガス)滅菌残留物試験、バイオバーデン抵抗性試験、滅菌の比較抵抗性、及び生菌数試験の各種検証試験を例示することができる。ここで、当該性能では、新たに形成された処置具1の性能について、オリジナル品と同等の有効性及び安全性を有することを検証する。
【0023】
工程S4の後、作業者は、工程S4において検査及び試験によってオリジナル品と同等の有効性及び安全性を有することが検証された処置具1の包装(工程S5)、箱詰(工程S6)、滅菌(工程S7:滅菌工程)、及び出荷(工程S8)を順次、実行する。
ここで、工程S7では、工程S6において箱詰された処置具1に対して、例えばエチレンオキサイドガス、プロピレンオキサイドガス等の滅菌ガスを用いた滅菌処理を施す。
以上説明した工程S1〜S8によって、処置具1が再製造される。
【0024】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係る処置具1の再製造方法では、工程S1において、第2のハウジング6(被圧入部60)を加熱する。そして、ボス孔61は、熱膨張によって、拡径する。すなわち、ボス51とボス孔61との接触面圧は、低下する。したがって、作業者は、ハウジング2を破損せずに分解することができ、処置具1を再製造するにあたって、当該ハウジング2を再利用することができる。
【0025】
ところで、第1のハウジング5(ボス51)の第1の熱膨張率が大きい場合には、工程S1において、ボス51は、第2のハウジング6から伝達された熱によって、ボス孔61と同様に、拡径する方向に熱膨張する。すなわち、ボス51とボス孔61との接触面圧を低下させることが難しい。
これに対して、本実施の形態に係る処置具1の再製造方法では、工程S1において、第1のハウジング5(ボス51)よりも大きい熱膨張率を有する第2のハウジング6(被圧入部60)を加熱する。このため、第2のハウジング6から伝達された熱によって、ボス51が熱膨張した場合であっても、その熱膨張量を小さくすることができる。すなわち、ボス51とボス孔61との接触面圧を容易に低下させることができる。
特に、第2のハウジング6(被圧入部60)の第2の熱伝導率は、第1のハウジング5(ボス51)の第1の熱伝導率よりも大きい。このため、第2のハウジング6を目標温度まで迅速に加熱することができる。また、第2のハウジング6(被圧入部60)からボス51への熱伝達を抑制することができる。すなわち、ボス51の拡径する方向への熱膨張を抑制することができる。
【0026】
(変形例1)
図8は、
図7に対応した図であって、本実施の形態の変形例1を示す図である。
本変形例1に係るハウジング2A(第2のハウジング6A)は、
図8に示すように、上述した実施の形態において説明した第2のハウジング6に対して孔62を形成した点が異なるのみである。
孔62は、
図8に示すように、第2のハウジング6Aの外表面から被圧入部60の先端まで貫通している。本変形例1では、孔62は、ボス孔61に近接した位置であって、当該ボス孔61を囲む位置に、複数、設けられている。
そして、本変形例1では、作業者は、工程S1において、第2のハウジング6Aの外表面から孔62内に熱風等の熱流体を流入することによって、当該第2のハウジング6A(被圧入部60)を加熱する。なお、本変形例1においても、上述した実施の形態と同様に、第2のハウジング6Aを加熱する温度は、当該第2のハウジング6Aの耐熱温度未満である。
【0027】
以上説明した本変形例1によれば、上述した実施の形態と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本変形例1では、工程S1において、第2のハウジング6Aの外表面から被圧入部60に向けて延在した孔62を経由することによって、第2のハウジング6A(被圧入部60)を加熱する。このため、第2のハウジング6Aにおいて、被圧入部60を重点的に加熱することができる。すなわち、工程S1を実行するにあたって、処置具1における被圧入部60以外の部位を加熱することによる悪影響を回避することができる。
【0028】
なお、本変形例1において、第2のハウジング6Aに対して、孔62内に流入した熱流体をハウジング2Aの外部に流出させる孔をさらに設けても構わない。
【0029】
(変形例2)
図9は、
図7に対応した図であって、本実施の形態の変形例2を示す図である。
上述した実施の形態では、工程S1において、第2のハウジング6(被圧入部60)を加熱していたが、さらに、第1のハウジング5(ボス51)を冷却しても構わない。
この際、
図9に示した本変形例2に係るハウジング2B(第1のハウジング5B)のように、上述した実施の形態において説明した第1のハウジング5に対して孔52を形成しても構わない。
孔52は、
図9に示すように、第1のハウジング5Bの外表面からボス51の先端まで貫通している。
そして、本変形例2では、作業者は、工程S1において、上述した変形例1と同様に、第2のハウジング6Aの外表面から孔62内に熱風等の熱流体を流入することによって、当該第2のハウジング6A(被圧入部60)を加熱する。これと同時に、作業者は、第1のハウジング5Bの外表面から孔52内に冷却風等の冷却流体を流入することによって、当該第1のハウジング5B(ボス51)を冷却する。そして、ボス孔61は、熱膨張によって、拡径する。一方、ボス51は、冷却に伴う収縮によって、縮径する。
【0030】
以上説明した本変形例2によれば、上述した実施の形態及び変形例1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本変形例2では、工程S1において、第2のハウジング6A(被圧入部60)を加熱するとともに、第1のハウジング5B(ボス51)を冷却する。そして、ボス孔61は、熱膨張によって、拡径する。また、ボス51は、冷却に伴う収縮によって、縮径する。このため、ボス51とボス孔61との接触面圧を効果的に低下させることができる。
また、本変形例2では、工程S1において、第1のハウジング5Bの外表面から内部に向けて延在した孔52を経由することによって、第1のハウジング5B(ボス51)を冷却する。このため、第1のハウジング5Bにおいて、ボス51が設けられた部位を重点的に冷却することができる。すなわち、工程S1を実行するにあたって、処置具1におけるボス51が設けられた部位以外の部位を冷却することによる悪影響を回避することができる。
【0031】
なお、本変形例2において、第2のハウジング6Aに対して、孔62内に流入した熱流体をハウジング2Bの外部に流出させる孔をさらに設けても構わない。同様に、第1のハウジング5Bに対して、孔52内に流入した冷却流体をハウジング2Bの外部に流出させる孔をさらに設けても構わない。
また、本変形例2において、工程S1では、第2のハウジング6A(被圧入部60)を加熱するとともに、第1のハウジング5B(ボス51)を冷却していたが、これに限らず、第2のハウジング6A(被圧入部60)を加熱せずに、第1のハウジング5B(ボス51)の冷却のみを実行しても構わない。
【0032】
(変形例3)
図10及び
図11は、
図7に対応した図であって、本実施の形態の変形例3を示す図である。
上述した実施の形態では、工程S1において、ボス孔61の熱膨張によってボス51とボス孔61との接触面圧を低下させていたが、これに限らず、ボス51のクリープ変形を利用することによって当該接触面圧を低下させても構わない。
具体的に、作業者は、工程S1において、第1のハウジング5(ボス51)を耐熱温度以上に加熱する。そして、ボス51は、縮径する方向D2(
図10,
図11)へのクリープ変形における歪み速度が増加する。これによって、ボス51とボス孔61との接触面圧が低下する。
この際、
図10または
図11に示した本変形例3に係るハウジング2C(第2のハウジング6C)のように、上述した実施の形態において説明した第2のハウジング6に対して孔63を形成しても構わない。
孔63は、
図10または
図11に示すように、第2のハウジング6Cの外表面からボス孔61の内周面まで貫通している。より具体的に、孔63は、ボス51の基端から先端に向かう長手方向に直交する方向に沿って延在するとともに、当該ボス51の外周面の一部をハウジング2Cの外部に露出させる。また、孔63の形成位置としては、
図10に示すようにボス51の基端側に形成してもよく、あるいは、
図11に示すようにボス51の先端側に形成してもよい。
そして、本変形例3では、作業者は、工程S1において、第2のハウジング6Cの外表面から孔63内に熱風等の熱流体を流入することによって、ボス51を加熱する。
【0033】
以上説明した本変形例3のようにボス51のクリープ変形を利用することによってボス51とボス孔61との接触面圧を低下させた場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本変形例3では、工程S1において、第2のハウジング6Cの外表面から内部に向けて延在した孔63を経由することによって、第1のハウジング5(ボス51)を加熱する。このため、ボス51を重点的に加熱することができる。すなわち、工程S1を実行するにあたって、処置具1におけるボス51以外の部位を加熱することによる悪影響を回避することができる。
【0034】
なお、本変形例3において、第1のハウジング5または第2のハウジング6Cに対して、孔63内に流入した熱流体をハウジング2Cの外部に流出させる孔をさらに設けても構わない。
また、本変形例3において、ボス孔61のクリープ変形を利用することによって、ボス51とボス孔61との接触面圧を低下させても構わない。すなわち、工程S1において、第2のハウジング6C(被圧入部60)を耐熱温度以上に加熱する。そして、ボス孔61は、拡径する方向へのクリープ変形における歪み速度が増加する。これによって、ボス51とボス孔61との接触面圧が低下する。
【0035】
(変形例4)
図12は、本実施の形態の変形例4を示す図である。具体的に、
図12(a)は、
図7に対応した図である。
図12(b)は、ボス51Dの基端から先端に向かう長手方向に直交する平面によって当該ボス51Dを切断した断面図である。
本変形例4に係るハウジング2D(第1のハウジング5D)は、
図12に示すように、上述した実施の形態において説明したボス51の構成を変更した点が異なるのみである。
具体的に、本変形例4に係るボス51Dは、
図12に示すように、ボス本体53aと、調整部材53bとを備える。
ボス本体53aは、上述した実施の形態において説明したボス51と同一の形状を有する。
調整部材53bは、
図12に示すように、ボス本体51aの外周面の全周に亘って設けられ、ボス51Dの外周面を構成する。すなわち、調整部材53bは、ボス51Dをボス孔61に対して圧入した状態で、当該ボス孔61の内周面に対して接触する。この調整部材53bを構成する材料としては、ポリアミド(耐熱温度:80〜140℃)、ポリメチルメタクリレート(耐熱温度:70〜90℃)、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(耐熱温度:40〜80℃)等の樹脂材料を例示することができる。
そして、本変形例4では、作業者は、工程S1において、第1のハウジング5D(ボス51D)を調整部材53bの耐熱温度以上に加熱する。これによって、調整部材53bは、縮径する方向へのクリープ変形(熱変形)における歪み速度が増加する。そして、ボス51Dとボス孔61との接触面圧が低下する。
【0036】
以上説明した本変形例4によれば、上述した実施の形態と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本変形例4では、調整部材53bのクリープ変形を利用することによって、ボス51Dとボス孔61との接触面圧を低下させる。すなわち、ボス本体53aのクリープ変形を利用する必要がないため、第1のハウジング5Dにおいて、調整部材53b以外の部分を構成する材料の選択の自由度を向上させることができる。
【0037】
なお、本変形例4において、調整部材53bは、ボス51Dの外周面に形成された構成に限らず、ボス孔61の内周面に形成した構成を採用しても構わない。
また、本変形例4に対して、上述した変形例3の構成を組み合わせても構わない。
【0038】
(変形例5)
図13は、本実施の形態の変形例5を示す図である。具体的に、
図13は、本変形例5に係るハウジング2E〜2Gにおけるボス51,51E,51G及びボス孔61,61Fによって互いに接合された部分を当該ボス51,51E,51Gの長手方向に直交する平面によって切断した断面図である。
上述した実施の形態では、ボス51を円柱状に形成し、ボス孔61を平面視円形状に形成していたが、これに限らない。
例えば、
図13(a)に示した本変形例5に係るハウジング2E(第1のハウジング5E)のように、断面六角形状を有するボス51Eを採用しても構わない。
また、例えば、
図13(b)に示した本変形例5に係るハウジング2F(第2のハウジング6F)のように、平面視六角形状を有するボス孔61Fを採用しても構わない。
さらに、例えば、
図13(c)に示した本変形例5に係るハウジング2G(第1のハウジング5G)のように、断面十字形状を有するボス51Gを採用しても構わない。
【0039】
以上説明した本変形例5によれば、上述した実施の形態と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本変形例5では、ボス51,51E,51Gの外周面とボス孔61,61Fの内周面との間には、ボス51,51E,51Gの基端から先端に向かう長手方向に沿って延び、流体を流通可能とする流路PAが設けられる。このため、工程S7では、滅菌ガスは、当該流路PAを経由することによって、ボス孔61,61F内に流入する。すなわち、滅菌ガスを用いた滅菌処理を適切に実行することができる。
また、本変形例5では、ボス51,51E,51Gの外周面とボス孔61,61Fの内周面との接触面積を小さくすることができる。このため、工程S1において、第2のハウジング6,6F(被圧入部60)からボス51,51E,51Gへの熱伝達を抑制することができる。すなわち、ボス51,51E,51Gの拡径する方向への熱膨張を抑制することができる。
【0040】
なお、本変形例5に対して、上述した変形例1〜4の構成を適宜、組み合わせても構わない。ここで、本変形例5に対して、上述した変形例4の構成を組み合わせる際には、調整部材53bは、ボス51,51E,51Gの外周面とボス孔61,61Fとが接触する部位に設けることが好ましい。
【0041】
(変形例6)
図14は、本実施の形態の変形例6を示す図である。具体的に、
図14(a)は、
図7に対応した図である。
図14(b)は、ボス51Hの基端から先端に向かう長手方向に直交する平面によって当該ボス51Hを切断した断面図である。
本変形例6に係るハウジング2H(第1のハウジング5H)は、
図14に示すように、上述した実施の形態において説明したボス51の構成を変更した点が異なるのみである。
具体的に、本変形例6に係るボス51Hは、
図14に示すように、ボス本体54aと、調整部材54bとを備える。
ボス本体54aは、上述した実施の形態において説明したボス51と同一の外形形状を有する。そして、ボス本体54aには、
図14に示すように、当該ボス本体54Aの先端から基端側に向けて延在し、当該ボス本体54Aを径方向に沿って2体に分割する切欠部54cが形成されている。
調整部材54bは、
図14に示すように、切欠部54c内に埋め込まれている。この調整部材54bを構成する材料としては、上述した変形例4において説明した調整部材53bと同一の材料を採用することができる。
そして、本変形例6では、作業者は、工程S1において、第1のハウジング5H(ボス51H)を調整部材54bの耐熱温度以上に加熱する。これによって、調整部材54bは、縮径する方向へのクリープ変形(熱変形)における歪み速度が増加する。すなわち、切欠部54cによって2体に分割されたボス本体54aは、径方向に沿って近接する方向に傾く。そして、ボス51Hとボス孔61との接触面圧が低下する。
【0042】
以上説明した本変形例6によれば、上述した実施の形態及び変形例4と同様の効果を奏する。
なお、本変形例6に対して、上述した変形例3の構成を組み合わせても構わない。
【0043】
(変形例7)
図15は、
図7に対応した図であって、本実施の形態の変形例7を示す図である。
上述した実施の形態では、ボス51は、第1のハウジング5に一体形成されていたが、これに限らない。
本変形例7に係るハウジング2I(第1のハウジング5I)は、
図15に示すように、第1のハウジング本体55と、ボス51Iとを備える。
第1のハウジング本体55は、上述した実施の形態において説明した第1のハウジング5に対して、ボス51が省略されているとともに、当該ボス51の形成位置にボス51Iが圧入される圧入孔56が形成されている点が異なる。
ボス51Iは、金属材料によって構成されている。すなわち、ボス51Iの熱膨張率は、第1のハウジング本体55及び第2のハウジング6(被圧入部60)よりも小さい。また、ボス51Iは、圧入孔56に対して圧入される。そして、ボス51Iは、第1,第2のハウジング5I,6を互いに組み付ける際に、ボス孔61に対して圧入される。
【0044】
以上説明した本変形例7のようにボス51Iを第1のハウジング本体55とは別体によって構成した場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
なお、本変形例7に対して、上述した変形例1〜6の構成を適宜、組み合わせても構わない。
【0045】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態及びその変形例1〜7によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態及びその変形例1〜7では、本発明に係る医療機器として、処置具1を採用していたが、これに限らず、その他の医療機器を本発明に係る医療機器として採用しても構わない。
【0046】
上述した実施の形態及びその変形例1〜7では、処置具1は、対象部位に対して超音波エネルギ及び高周波エネルギの双方を付与する構成としていたが、これに限らない。例えば、処置具1として、対象部位に対して超音波エネルギのみを付与する構成を採用しても構わない。また、処置具1として、対象部位に対して高周波エネルギのみを付与する構成を採用しても構わない。さらに、処置具1として、ヒータからの熱を対象部位に伝達することによって当該対象部位を処置する構成を採用しても構わない。