特許第6910194号(P6910194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6910194タッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6910194
(24)【登録日】2021年7月8日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】タッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20210715BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/044 120
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-90477(P2017-90477)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-190086(P2018-190086A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年3月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西川 徹
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−180854(JP,A)
【文献】 特開2015−141557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルと、前記タッチパネルを駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出する制御部とを備えたタッチパネルシステムにおいて、
前記制御部は、
前記ドライブラインを駆動させる駆動回路と、
前記駆動回路と前記ドライブラインとの接続を切り離す切り離し回路と、
前記切り離し回路により一部のドライブラインを切り離した状態にて、前記タッチパネルの静電容量を検出することにより周期的ノイズを検出するノイズ検出部とを備え、
前記ノイズ検出部は、前記周期的ノイズから周期毎に印加されるノイズ周期を検出すると共に、
前記制御部は、前記ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄し、かつ前記ノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、前記破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出することを特徴とするタッチパネルシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記タッチパネルの静電容量分布を検出する検出回路を備えていると共に、
前記タッチパネルには、前記駆動回路と前記ドライブラインとの接続が切り離された一部のドライブラインを前記検出回路に接続する切り替え回路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルを駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出するタッチパネルの駆動方法において、
前記ドライブラインを駆動させる駆動回路と前記ドライブラインとの接続を一部切り離した状態にて、前記タッチパネルの静電容量を検出することによりノイズを検出し、
前記ノイズが周期的ノイズであり、
前記周期的ノイズから周期毎に印加されるノイズ周期を検出すると共に、
前記ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄し、かつ前記ノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、前記破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出することを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルを備えたタッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法に関するものであって、詳細には、タッチパネルのノイズ除去に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の表示装置を備えた情報端末等では、指やペンにより入力が可能なタッチパネルが備えられている。
【0003】
タッチパネルは、格子状に配置された電極の一方向の電極であるドライブラインに駆動信号を与え、他方向の電極であるセンスラインから信号を読み出して、電極間の静電容量がタッチにより変化することを読み取りタッチ位置を検出する。
【0004】
タッチパネルは、表示装置に表示された選択肢の選択や、該タッチパネルへの入力を表示する等を行うため、液晶表装置等の表示装置と組み合わせて使用される。ここで、表示装置からはノイズが発生しており、この表示装置からのノイズを分離しないとタッチパネルからの信号を旨く読み取ることができない。
【0005】
このため、例えば特許文献1に開示された座標入力装置では、駆動していないドライブラインの一つをセンスラインの読み出し回路に繋ぐことにより、タッチパネル外部から侵入してくるノイズを検知している。そして、検知したノイズをセンスラインからの読み出し信号から削除することにより、タッチパネルに侵入してくるノイズを除去することが記載されている。
【0006】
特許文献1に開示された座標入力装置では、ドライブラインを逐次駆動して、センスラインからの信号を読み出す方式を採用している。しかし、タッチパネルの高精細化、及び大型化に対応するため、ドライブラインを並列に駆動して、タッチパネル全面の容量値分布を一括で読み出すことが行われている。例えば特許文献2に開示されたタッチパネルシステムでは、互いに直交するドライブライン及びセンスラインを備えたタッチパネルにおいて、ドライブラインを直交符号で並列駆動を行う。そして、ドライブラインの信号により励起されるセンスラインの信号を読み出す際に、センスライン間の差動信号を読み出すことにより、タッチパネル上の静電容量分布を検出し、タッチ位置を算出する手段が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−180854号公報(2011年09月15日公開)
【特許文献2】特開2012−168919号公報(2012年09月06日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献2に開示されたタッチパネルシステムにおいて採用された並列駆動では、駆動していないドライブラインが存在しない。このため、特許文献1に開示された座標入力装置のように駆動していないドライブラインを使用して、外部からのノイズを検知するということができない。
【0009】
このため、特許文献1に開示された技術を使用してノイズ検知を行う場合、例えば、駆動とは別のドライブラインを新たに設ける必要がある。
【0010】
しかしながら、駆動とは別のドライブラインを新たに設けるとコストが上昇する上、タッチパネル上でタッチ位置が検出できない箇所が増えるという問題が発生する。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ドライブラインを並列駆動する場合においても、ノイズの影響による誤タッチを低減し得るタッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様におけるタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルと、該タッチパネルを駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出する制御部とを備えたタッチパネルシステムにおいて、上記制御部は、上記ドライブラインを駆動させる駆動回路と、上記駆動回路と上記ドライブラインとの接続を切り離す切り離し回路と、上記切り離し回路により一部のドライブラインを切り離した状態にて、上記タッチパネルの静電容量を検出することによりノイズを検出するノイズ検出部とを備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明の一態様におけるタッチパネルの駆動方法は、上記の課題を解決するために、複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルを駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出するタッチパネルの駆動方法において、上記ドライブラインを駆動させる駆動回路と、上記ドライブラインとの接続を一部切り離した状態にて、上記タッチパネルの静電容量を検出することによりノイズを検出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、ドライブラインを並列駆動する場合においても、ノイズの影響による誤タッチを低減し得るタッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本実施の形態のタッチパネルシステムの構成を示すブロック図であり、(b)は上記タッチパネルシステムに備えられたタッチパネルの構成を示す平面図である。
図2】上記タッチパネルに対してタッチが行われない状態における該タッチパネルの静電容量の測定値を示す模式図である。
図3】上記タッチが行われない状態のタッチパネルに対して初期化を行った場合のタッチパネルの静電容量を示す模式図である。
図4】上記タッチパネルに対してタッチが行われたときのタッチパネルの静電容量の変化の状態を示す模式図である。
図5】上記タッチパネルのドライブラインにおける中央の1本にダミーラインを設けた場合において、検出されたタッチパネルの静電容量を示す初期化前の模式図である。
図6】上記タッチパネルシステムにおける周期ノイズ検出モードの動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2におけるタッチパネルシステムの構成を示すブロック図である。
図8】上記タッチパネルシステムにおけるタッチパネル、ドライブライン駆動回路及びダミーライン選択回路の構成を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態3におけるタッチパネルシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0017】
本実施の形態のタッチパネル2を備えたタッチパネルシステム1Aの構成について、図1の(a)(b)に基づいて説明する。図1の(a)は、本実施の形態のタッチパネルシステム1Aの構成を示すブロック図である。図1の(b)は、上記タッチパネルシステム1Aに備えられたタッチパネル2の構成を示す平面図である。
【0018】
(タッチパネルシステムの構成と基本的動作)
本実施の形態のタッチパネルシステム1Aは、図1の(a)(b)に示すように、タッチパネル2と、このタッチパネル2を駆動制御する制御部としてのタッチパネルコントローラ3Aとからなっている。
【0019】
上記タッチパネル2は、容量検出用の複数のドライブライン及び複数のセンスラインを例えば格子状に備え、被検出体としての指又はペンをタッチパネル2にタッチすることによって、タッチパネルコントローラ3Aにより、タッチパネル2におけるタッチ位置の座標位置を検出することができるものとなっている。
【0020】
タッチパネルコントローラ3Aは、図1の(a)に示すように、タッチパネル2のドライブラインDLに駆動信号を印加するドライブライン駆動回路11と、このドライブライン駆動回路11の駆動信号の印加によって生じたセンス信号をセンスラインSLから受信し、センス信号に対するタッチ情報を生成する信号処理部10とを備えている。
【0021】
信号処理部10は、増幅回路12、信号選択部13、A/D変換部14、復号処理部15、ダミーラインデータ観測部16、ダミーラインデータ決定部17、及びタッチ位置処理部18を備えている。
【0022】
上記構成のタッチパネルシステム1Aにおけるタッチパネル2のタッチ位置検出の基本動作を説明する。
【0023】
まず、ドライブライン駆動回路11は、ドライブラインDLに並列に駆動信号を与える。この駆動信号は、系列信号で構成される。増幅回路12は、複数のセンスラインSLからのセンス信号を増幅する。信号選択部13は、増幅されたセンス信号を順次選択し、該増幅されかつ選択されたセンス信号を出力する。A/D変換部14は、出力された増幅後のセンス信号をデジタル信号に変換する。復号処理部15は、得られたデジタル信号を、駆動信号の生成に用いられた系列信号に基づく復号のための変換信号を用いて復号する。そして、タッチ位置処理部18は、タッチパネル2においてドライブラインDLとセンスラインSLとの交点部における静電容量の変化の大きさに相当する信号強度を取得する。
【0024】
上記静電容量の変化の大きさの取得の概要を、図2図5に基づいて説明する。図2は、タッチパネル2に対してタッチが行われない状態におけるタッチパネル2の静電容量の測定値を示す模式図である。つまり、この模式図は、静電容量の変化が無い場合のタッチパネルの静電容量を示すものとなっている。
【0025】
図2に示すように、ドライブラインDLとセンスラインSLとで構成されるタッチパネル2上の静電容量は、タッチが行われず、かつノイズのない状態では均一である。尚、図2に示す数値は説明のための値であり、実際のタッチパネルの静電容量を表しているものではない。
【0026】
この図2に示す数値を基準として、初期化を行い、以後の静電容量の変化を測定する。初期化を行った状態のタッチパネル2の静電容量の模式図を図3に示す。図3に示すように、初期化を行った状態では、タッチパネル2へのタッチが行われない状態を0として表すことができる。
【0027】
この状態から、タッチパネル2にタッチしたときの状態を、図4に基づいて説明する。図4は、タッチパネル2へのタッチが行われたときの静電容量の変化の状態を示す模式図である。
【0028】
タッチパネル2に対してタッチが行われると、図4に示すように、タッチ位置の静電容量がタッチ部分から接地へ伝達されるので、タッチ位置の静電容量は減少する。尚、図4では正負を逆に表しているので、タッチ位置の値が正の値として表されている。
【0029】
このとき、本実施の形態のタッチパネルコントローラ3Aのタッチ位置処理部18は、この信号強度に基づいて、タッチパネル2における静電容量の変化の大きさの分布を算出し、タッチパネル2でのユーザによるタッチ位置を示すタッチ情報を生成する。これによって、タッチパネル2のタッチ面におけるタッチ位置が検出される。
【0030】
(ノイズの検出方法)
本実施の形態のタッチパネルシステム1Aでは、ノイズを検出するために、タッチパネルコントローラ3Aの信号処理部10に、ダミーラインデータ観測部16及びダミーラインデータ決定部17が設けられている。
【0031】
また、タッチパネルコントローラ3Aのドライブライン駆動回路11には、図示しない駆動ドライバとドライブラインDLとの接続・切断を行う回路としての第1スイッチSW1が設けられている。この第1スイッチSW1は、ダミーラインを設けないときには全てオンしており、全てのドライブラインDLを駆動する状態になる。
【0032】
ダミーラインデータ決定部17は、複数のドライブラインDLからダミーラインになるラインを決定する。この結果、ドライブライン駆動回路11は、ダミーラインデータ決定部17が設定したダミーラインに対応するドライブラインDLに接続されている第1スイッチSW1をオフする。これにより、ダミーラインが設定される。尚、ダミーラインとする本数は規定しないが、ドライブラインDLに与える駆動信号以外のノイズを検出できる本数であればよい。本実施の形態では、例えば、複数のドライブラインDLのうち、中央の1本をダミーラインとすると仮定して以降の説明を行う。尚、ノイズの周期及び発生位置が判明すれば、次回からはそのノイズの周期及び発生位置に基づいて、ダミーラインデータ決定部17は、複数のドライブラインDLからダミーラインになるラインを、本数を含めて決定する。ダミーラインの箇所は一定である必要はなく、例えば、時間によって場所が変わってもよい。また、ある時間においてはダミーラインが存在しなくてもよい。
【0033】
図5は、タッチパネル2のドライブラインDLにおける中央の1本にダミーラインを設けた場合において、検出されたタッチパネルの静電容量を示す初期化前の模式図である。
【0034】
ドライブラインDLにおける中央の1本をダミーラインとした場合、図5に示すように、中央のドライブラインDLには駆動信号を与えないので、静電容量が検出されず中央が陥没した状態となっている。すなわち、ダミーラインは理想状態では容量検出されないので、Vの字のようなグラフになる。本実施の形態では、この状態で初期化を行い、変化前の基準とする。
【0035】
このように、本実施の形態では、図5に示すタッチパネル2の静電容量の状態で初期化を行う。このため、タッチやノイズが無い状態であれば、静電容量の分布は、図3に示す模式図の状態となる。
【0036】
本実施の形態では、ダミーラインを設けた状態で外部からノイズが混入すると、ダミーラインはフローティングつまり空気を誘電体としたコンデンサ又はアンテナとして機能するので、ノイズによる容量変化が起こる。ダミーラインは駆動信号を与えないので、指やペンタッチによる容量変化は起こらない。すなわち、ダミーラインでは、ノイズのみを観測することが可能である。
【0037】
このように、本実施の形態では。上述した構成を使用することにより、外部から混入したノイズを検出することができる。
【0038】
上述した構成でダミーラインを設ける理由を説明する。
【0039】
通常の駆動においてもタッチパネル2にノイズが混入すると信号容量変化が検出される。このとき、タッチ入力がないことが分かっていれば、検出された信号容量変化はノイズであると判断できる。しかしながら、タッチ信号の有無はタッチパネル2のコントローラ側からでは予測できないため、検出された信号容量変化がタッチなのかノイズなのかを判断することはできない。
【0040】
一方、ダミーラインは駆動信号を与えていないので、ダミーラインの信号容量変化はタッチ信号ではなく、ノイズによるものと判断することができる。
【0041】
しかしながら、上述した構成を常に使用すると、ダミーラインにした位置ではタッチ検出を行うことができない。タッチパネル2に印加されるノイズは、タッチパネル2を貼り付けて使用する表示装置の影響が大きく、かつ表示装置のノイズは周期的に発生することが多い。このため、本実施の形態では、以下に述べるように、ダミーラインの設定を限定期間で行い、この期間で周期的なノイズを検出するようにしている。
【0042】
(周期的ノイズの検出方法)
本実施の形態のタッチパネルシステム1Aでは、該タッチパネルシステム1Aを動作させたときの初期に周期ノイズ検出モードを開始するようになっている。つまり、通常のタッチ位置検出モードに入る前に、周期ノイズ検出モードを行う。
【0043】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Aにおける周期ノイズ検出モードの動作について、図6に基づいて説明する。図6は、本実施の形態のタッチパネルシステム1Aにおける周期ノイズ検出モードの動作を示すフローチャートである。尚、駆動信号を与えて静電容量を検出する一連の期間を1フレームと呼ぶ。
【0044】
周期ノイズ検出モードにおいては、図6に示すように、最初に、いずれのドライブラインDLをダミーラインにするかの端子をダミーラインデータ決定部17により決定する(S1)。尚、ダミーライン数が多くなればノイズを検出するダミーラインが増えるので、ノイズの検出精度が向上する。
【0045】
上記ダミーラインを決定し、設定した後、本実施の形態では、ダミーラインを設定した状態での静電容量の検出動作をX(Xは正の整数)フレーム連続で行う(S2)。
【0046】
そして、Xフレーム連続で静電容量の検出動作を行ったときの測定データに周期的に大きな値を観測したか否かを判断する(S3)。この判断は、ダミーラインデータ観測部16が行う。
【0047】
S3において、測定データに周期的に大きな値を観測した場合には、フレーム周期を記憶し(S5)、周期ノイズ検出モードを終了する(S6)。
【0048】
一方、S3において、測定データに周期的に大きな値を観測しなかった場合には、ダミーラインの設定の変更を行う(S4)。そして、S2に戻って、再度、Xフレーム連続で行う(S2)。尚、予定していたダミーラインの変更が終了しても周期的に大きな値が観測されない場合は、ノイズの混入が無いと判断する。
【0049】
(検出後の動作)
S6における周期ノイズ検出モード終了後は、ダミーラインの設定を解除して通常動作に戻る(S7)。このとき、記憶された周期でノイズが発生しているので、センスラインSLから取得されたデータには該周期にノイズが混入していると考えられる。そこで、本実施の形態では、該周期毎のデータを破棄する。すなわち、周期ノイズが検出されるフレームでの全センスデータを破棄する。この理由は、ノイズが載ったフレームからタッチ情報を求めるよりも、そのフレームは破棄して前後のフレーム情報から類推した方がタッチ情報は精度が高いものになるためである。
【0050】
この結果、本実施の形態では、周期ノイズが検出されるフレームでは、該周期ノイズが検出されるフレームの前後のフレームから全センスデータを類推する(S8)。尚、前後のフレームから全センスデータを類推する方法として、例えば、前後のフレームにおいて、類推するセンスデータが同じであれば、破棄した全センスデータにおけるセンスデータも該前後のフレームのセンスデータと同じであると類推する。或いは、前後のフレームのデータを平均して、破棄したセンスデータとすることが可能である。また、前後のフレームに近いフレームのセンスデータほど大きく重み付けした加重平均を行い、破棄したセンスデータとしてもよい。
【0051】
(通常動作から周期ノイズ検出モードへの移行)
本実施の形態では、通常動作を行って一定時間後、再度、周期ノイズ検出モードを開始することが望ましい。検出したノイズ周期が変化している場合や、ノイズ発生自体が無くなっている場合があるからである。
【0052】
また、ダミーライン数を増減したり、異なるドライブラインDLをダミーラインに設定して、再度、周期ノイズ検出モードを開始することも可能である。
【0053】
このように、本実施の形態では、ノイズ検出モードと、通常のタッチ位置検出モードとを分けて、それぞれのモードにてタッチパネル2の静電容量を検出する。そして、ノイズ検出モードでは、第1スイッチSW1により、一部のドライブラインDLを切り離した状態にてタッチパネル2の静電容量を検出して、ノイズを検出する。一方、通常のタッチ位置検出モードでは、全てのドライブラインDLを接続した状態で、タッチパネル2の静電容量を検出してタッチ位置を検出する。
【0054】
これにより、複数のドライブラインDLを並列駆動してタッチ位置を求めるタッチパネルシステム1A、及びタッチパネル2の駆動方法であっても、ノイズを検出すると共に、タッチ位置を検出することができる。そして、信号処理部10にて検出したノイズに基づいて補正することにより、正しいタッチ位置を求めることが可能となる。
【0055】
したがって、ドライブラインDLを並列駆動する場合においても、ノイズの影響による誤タッチを低減し得るタッチパネルシステム1A、及びタッチパネル2の駆動方法を提供することができる。
【0056】
また、本実施の形態におけるタッチパネルシステム1Aでは、印加されるノイズ周期を検出すると共に、ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄し、かつノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出する。
【0057】
本実施の形態におけるタッチパネル2の駆動方法は、印加されるノイズ周期を検出すると共に、ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄し、かつノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出する。
【0058】
この結果、ノイズ周期に検出されたタッチ位置についても、ノイズを含まない正確なタッチ位置データに基づいて、出力することが可能となる。
【0059】
具体的には、例えば、センサー数として縦のドライブラインDLが80本×横のセンスラインSLが45本のタッチパネル2があるとする。この場合、例えば、縦のドライブラインDLの40本目を駆動しないダミーラインとする。
【0060】
ここで、例えば10フレーム毎に1回の周期でダミーラインから大きな容量を検出した場合、10フレームの間隔で周期的なノイズが発生していることが分かる。したがって、周期的ノイズの検出後は、10フレームに1回の割合でダミーラインを選択し(この場合、縦のドライブラインDLの40本目とは限らない。)、ダミーラインから大きな容量を検出すると、そのフレームでの全センスラインSLの出力結果を破棄する。破棄したフレーム情報は、前後のフレーム情報から類推する。
【0061】
これにより、周期的なノイズを観測でき、大きなノイズであるときは、そのフレームでの全センスラインSLの出力結果を破棄することによって、ノイズの影響をキャンセルすることができる。尚、ダミーラインは、数フレームに1回しか選択しないし、選択する場所も変更していくことにより、特定の箇所でタッチ検出が常にできないという不具合はない。
【0062】
尚、ダミーラインを、複数本選択すれば、それだけノイズ観測の精度が上がる。また、ダミーラインは全ラインを一通り選択してみて、ノイズが一番載りそうなラインに設定することが好ましい。また、一度決めた例えば10フレームに1回の割合は、ノイズ特性が変化しているかもしれないので、時々、変えてみることが好ましい。また、タッチ認識しなくてもよい端の方のドライブラインDLをダミーラインとして選択してノイズ観測用とすることも好ましい。
【0063】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図7及び図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Bは、前記実施の形態1のタッチパネルシステム1Aの構成に加えて、タッチパネル2に接続されるダミーライン選択回路19が設けられている点が異なっている。
【0065】
(タッチパネルシステムの構成)
本実施の形態のタッチパネルシステム1Bの構成について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施の形態のタッチパネルシステム1Bの構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Bは、図7に示すように、複数のドライブラインDL及び複数のセンスラインSLを有するタッチパネル2と、タッチパネル2のドライブラインDLに駆動信号を印加するドライブライン駆動回路11と、この駆動信号の印加によって生じたセンス信号をセンスラインSLから受信し、センス信号に対するタッチ情報を生成する信号処理部10とを備えている。
【0067】
信号処理部10は、前記実施の形態1のタッチパネルシステム1Aにおけるタッチパネルコントローラ3Aと同様に、増幅回路12、信号選択部13、A/D変換部14、復号処理部15、ダミーラインデータ観測部16、ダミーラインデータ決定部17及びタッチ位置処理部18を備えている。
【0068】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Bでは、タッチパネルコントローラ3Bは、さらに、タッチパネル2におけるドライブライン駆動回路11とは対向する端部に、ダミーライン選択回路19を備えている。
【0069】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Bでは、前記実施の形態1のタッチパネルシステム1Aに比べて、ダミーラインの信号測定方法が異なっている。具体的には、ダミーライン選択回路19にてダミーラインを選択し、選択したダミーラインを信号選択部13に接続することにより、ダミーラインの信号を直接読み取るようにしている。
【0070】
尚、本実施の形態のタッチパネルシステム1Bにおける周期ノイズ検出モードの動作については、前記実施の形態1で示した図6のフローチャートと同じになる。
【0071】
(ダミーラインの選択方法)
本実施の形態のタッチパネルシステム1Bにおけるダミーライン選択回路19及びダミーラインの選択方法について、図8に基づいて説明する。図8は、タッチパネルシステム1Bにおけるタッチパネル2、ドライブライン駆動回路11及びダミーライン選択回路19の構成を示す平面図である。
【0072】
図8に示すように、ドライブライン駆動回路11には、図示しない駆動ドライバとドライブラインDLとを接続する第1スイッチSW1が設けられている。この第1スイッチSW1は、通常動作の状態では全てオンして、全てのドライブラインDLを駆動するようになっている。尚、この構成は、前記実施の形態1のタッチパネルシステム1Aと同じである。
【0073】
一方、本実施の形態では、タッチパネル2におけるドライブライン駆動回路11とは反対側にダミーライン選択回路19が設けられている。このダミーライン選択回路19には、図8に示すように、ドライブラインDLと信号選択部13とを接続するための第2スイッチSW2が設けられている。第2スイッチSW2は、通常動作の状態では全てオフするので、全てのドライブラインDLは信号選択部13へ接続されない。
【0074】
上記構成のタッチパネルシステム1Bでは、ドライブライン駆動回路11においては、実施の形態1のタッチパネルシステム1Aと同様に、ダミーラインを設定する。具体的には、第1スイッチSW1のうちの任意のスイッチをオフする。第1スイッチSW1をオフする箇所は、ダミーラインデータ決定部17の設定にて変更することが可能であり、ダミーラインデータ決定部17からの制御信号により、第1スイッチSW1のオン・オフ状態を決定する。
【0075】
一方、ダミーライン選択回路19においては、ドライブライン駆動回路11にてダミーラインとされたドライブラインDLに対応する第2スイッチSW2をオンする。これにより、ダミーラインとされたドライブラインDLを信号選択部13へ接続する。図8においては、例えば、第2スイッチSW2_0〜4、第2スイッチSW2_5〜9、第2スイッチSW2_10〜14、第2スイッチSW2_15〜19、第2スイッチSW2_20〜24というように、5本単位で信号選択部13に接続される構成になっている。尚、この記載は、簡易表現のためであり、実際には、マルチプレクサ等を使用することにより任意のラインを信号選択部13へ接続する構成とすることが可能である。
【0076】
このように、本実施の形態のタッチパネルシステム1Bでは、タッチパネルコントローラ3Bは、タッチパネルコントローラ3Bの静電容量分布を検出する検出回路としての信号処理部10を備えている。また、タッチパネル2には、ドライブライン駆動回路11とドライブラインDLとの接続が切り離された一部のドライブラインDLを検出回路としての信号処理部10に接続する切り替え回路としての第2スイッチSW2が設けられている。
【0077】
すなわち、本実施の形態では、ダミーライン選択回路19の第2スイッチSW2にてダミーラインを選択し、選択したダミーラインを信号選択部13に接続することにより、ダミーラインの信号を直接読み取るようにしている。
【0078】
この結果、本実施の形態のタッチパネルシステム1Bでは、ダミーライン選択回路19によって、ダミーラインを選択することができる。したがって、ダミーラインの設定の変更が容易となる。
【0079】
また、ダミーライン選択回路19にて選択したダミーラインを信号選択部13に直接に接続しているので、ダミーラインの信号を直接読み取ることができる。したがって、処理の効率化を図ることができる。
【0080】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Cは、前記実施の形態2のタッチパネルシステム1Bに比べて、信号選択部13を省略している点が異なっている。
【0082】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Cの構成について、図9に基づいて説明する。図9は、本実施の形態におけるタッチパネルシステム1Cの構成を示すブロック図である。
【0083】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Cは、図9に示すように、前記実施の形態2に示すタッチパネルシステム1Bにおける信号処理部10に比べて、信号選択部13が省略された信号処理部10Cを有するタッチパネルコントローラ3Cを備えたものとなっている。また、この結果、本実施の形態では、増幅回路12にそれぞれA/D変換部14が設けられている。
【0084】
本実施の形態のタッチパネルシステム1Cにおける回路構成では、A/D変換部14が多くなる。しかし、比較的動作の遅いA/D変換を並列で行うことができるので、全体としては結果的に処理の高速化を図ることが可能となる。
【0085】
本実施の形態の回路形式の場合、前記実施の形態2の図7に示すタッチパネルシステム1Bのように、増幅回路12の手前に切替回路であるダミーライン選択回路19を設ける。そして、周期的ノイズを検出する場合には、センスラインSLに接続される増幅回路12を切り離し、代わりにダミーライン選択回路19におけるダミーラインに接続する。尚、ダミーラインが増えれば切り替えを行う本数も増加させる。
【0086】
この構成によっても、前記実施の形態2のタッチパネルシステム1Bと同様に、周期的ノイズを検出することができる。
【0087】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
本実施の形態のタッチパネルシステムでは、前記実施の形態1の図6に示す周期ノイズ検出モードを使用して、ダミーライン設定の場所の最適化を行うことができる。
【0089】
具体的には、本実施の形態のタッチパネルシステムでは、実施の形態1のタッチパネルシステム1Aと同様に、ダミーラインを1本に設定し、周期的ノイズを検出する。そして、その際、周期的に測定される大きなデータ(図6のS3)の大きさと設定したダミーラインとの対応を記憶しておく。
【0090】
例えば、図8に示すタッチパネル2のパネル構成であれば、まず、ドライブラインDL_D0のみをダミーラインに設定し、データの大きさを記憶する。この値をData0とする。同様にして、ドライブラインDL_D24まで順にダミーラインに設定して測定してData0からData24を得る。
【0091】
その結果、Data0からData24までを比較して、最大のデータに対応するドライブラインが一番ノイズを受け易い場所であることがわかる。
【0092】
一番ノイズを受け易い箇所を検出できれば、図6に示すフローチャートにおいて、最初に設定するダミーラインを特定することができる。この結果、フローチャートの工程を省略することができる。
【0093】
〔まとめ〕
本発明の態様1におけるタッチパネルシステム1A・1B・1Cは、複数のドライブラインDL及び複数のセンスラインSLを備えたタッチパネル2と、タッチパネル2を駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出する制御部(タッチパネルコントローラ3)とを備える。制御部(タッチパネルコントローラ3)は、ドライブラインDLを駆動させる駆動回路(ドライブライン駆動回路11)と、駆動回路(ドライブライン駆動回路11)とドライブラインDLとの接続を切り離す切り離し回路(第1スイッチSW1)と、切り離し回路(第1スイッチSW1)により一部のドライブラインDLを切り離した状態にて、タッチパネル2の静電容量を検出することによりノイズを検出するノイズ検出部(信号処理部10・10C)とを備えていることを特徴としている。
【0094】
本発明の態様2におけるタッチパネル2の駆動方法は、複数のドライブラインDL及び複数のセンスラインSLを備えたタッチパネル2を駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出するタッチパネル2の駆動方法において、上記ドライブラインDLを駆動させる駆動回路(ドライブライン駆動回路11)と上記ドライブラインDLとの接続を一部切り離した状態にて、上記タッチパネル2の静電容量を検出することによりノイズを検出することを特徴としている。
【0095】
上記の構成によれば、タッチパネルシステムは、複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルと、タッチパネルを駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出する制御部とを備える。そして、タッチパネルの駆動方法は、複数のドライブライン及び複数のセンスラインを備えたタッチパネルを駆動制御して静電容量によりタッチ位置を検出する。
【0096】
この種のタッチパネルは、液晶表装置等の表示装置と組み合わせて使用される。このため、表示装置からのノイズを分離しないとタッチパネルからの信号を旨く読み取ることができない。このため、従来では、逐次駆動のタッチパネルシステムでは、駆動していないドライブラインの一つをセンスラインの読み出し回路に繋ぐことにより、タッチパネル外部から侵入してくるノイズを検知している。そして、検知したノイズをセンスラインからの読み出し信号から削除することにより、タッチパネルに侵入してくるノイズを除去している。
【0097】
しかしながら、複数のドライブラインを並列駆動してタッチ位置を求めるタッチパネルシステム及びタッチパネルの駆動方法では、駆動していないドライブラインが存在しない。この結果、ノイズを検出することができない。
【0098】
そこで、本発明の一態様におけるタッチパネルシステムでは、制御部は、ドライブラインを駆動させる駆動回路と、駆動回路とドライブラインとの接続を切り離す切り離し回路と、切り離し回路により一部のドライブラインを切り離した状態にて、タッチパネルの静電容量を検出することによりノイズを検出するノイズ検出部とを備えている。
【0099】
また、本発明の一態様におけるタッチパネルの駆動方法では、上記ドライブラインを駆動させる駆動回路と上記ドライブラインとの接続を一部切り離した状態にて、上記タッチパネルの静電容量を検出することによりノイズを検出する。
【0100】
この結果、本発明の一態様では、ノイズ検出モードと、通常のタッチ位置検出モードとを分けて、それぞれのモードにてタッチパネルの静電容量を検出する。そして、ノイズ検出モードでは、切り離し回路により、一部のドライブラインを切り離した状態にて、タッチパネルの静電容量を検出して、ノイズを検出する。一方、通常のタッチ位置検出モードでは、全てのドライブラインを接続した状態で、タッチパネルの静電容量を検出して、タッチ位置を検出する。
【0101】
これにより、複数のドライブラインを並列駆動してタッチ位置を求めるタッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法であっても、ノイズを検出すると共に、タッチ位置を検出することができる。そして、ノイズ検出部にて検出したノイズに基づいて補正することにより、正しいタッチ位置を求めることが可能となる。
【0102】
したがって、ドライブラインを並列駆動する場合においても、ノイズの影響による誤タッチを低減し得るタッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法を提供することができる。
【0103】
本発明の態様3におけるタッチパネルシステム1A・1B・1Cでは、前記ノイズが、周期的ノイズである。
【0104】
本発明の態様4におけるタッチパネル2の駆動方法は、前記ノイズが周期的ノイズである。
【0105】
前述したように、タッチパネルは、液晶表装置等の表示装置と組み合わせて使用されると共に、表示装置からのノイズの影響を受ける。また、表示装置からのノイズとしては、表示装置に起因する周期的なノイズが存在することが分かっている。
【0106】
したがって、本発明のおいては、一態様におけるノイズが周期的ノイズであっても、ノイズの影響による誤タッチを低減し得るタッチパネルシステム、及びタッチパネルの駆動方法を提供することができる。
【0107】
本発明の態様5におけるタッチパネルシステム1A・1B・1Cでは、前記ノイズ検出部(信号処理部10・10C)は、前記周期的ノイズから周期毎に印加されるノイズ周期を検出すると共に、前記制御部(タッチパネルコントローラ3A・3B・3C)は、前記ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄し、かつ上記ノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、上記破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出することが好ましい。
【0108】
本発明の態様6におけるタッチパネル2の駆動方法は、前記周期的ノイズから周期毎に印加されるノイズ周期を検出すると共に、前記ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄し、かつ上記ノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、上記破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出することが好ましい。
【0109】
これにより、ノイズ検出部は、周期的ノイズから周期毎に印加されるノイズ周期を検出する。ここで、ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータは、ノイズを含んでいるので、正しいタッチ位置を検出できていない可能性がある。
【0110】
そこで、本発明の一態様においては、前記ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータを破棄する。そして、前記ノイズ周期に取得される静電容量分布のデータについては、ノイズ周期の前後で取得された静電容量分布のデータにより、破棄した静電容量分布のデータに代わる静電容量分布のデータを作成してタッチ位置を検出する。
【0111】
この結果、ノイズ周期に検出されたタッチ位置についても、ノイズを含まない正確なタッチ位置データに基づいて、出力することが可能となる。
【0112】
本発明の態様7におけるタッチパネルシステム1B・1Cでは、前記制御部(タッチパネルコントローラ3B・3C)は、前記タッチパネルコントローラ3B・3Cの静電容量分布を検出する検出回路(信号処理部10・10C)を備えていると共に、上記タッチパネル2には、前記駆動回路(ドライブライン駆動回路11)と前記ドライブラインDLとの接続が切り離された一部のドライブラインDLを上記検出回路(信号処理部10・10C)に接続する切り替え回路(第2スイッチSW2)が設けられている。
【0113】
これにより、駆動回路とドライブラインとの接続が切り離された一部のドライブラインが、切り替え回路により選択されて検出回路に接続される。
【0114】
この結果、ノイズ検出モードにおいて、駆動回路とドライブラインとの接続が切り離された一部のドライブラインのノイズを検出回路にて直接検出することができる。したがって、処理の効率化を図ることができる。
【0115】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0116】
1A・1B・1C タッチパネルシステム
2 タッチパネル
3A・3B・3C タッチパネルコントローラ(制御部)
10・10C 信号処理部(ノイズ検出部、検出回路)
11 ドライブライン駆動回路(駆動回路)
12 増幅回路
13 信号選択部
14 A/D変換部
15 復号処理部
16 ダミーラインデータ観測部
17 ダミーラインデータ決定部
18 タッチ位置処理部
19 ダミーライン選択回路
DL ドライブライン
SL センスライン
SW1 第1スイッチ(切り離し回路)
SW2 第2スイッチ(切り替え回路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9