特許第6910298号(P6910298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6910298
(24)【登録日】2021年7月8日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】基地局及び無線端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20210715BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20210715BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20210715BHJP
【FI】
   H04W16/14
   H04W48/16 132
   H04W48/10
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-534439(P2017-534439)
(86)(22)【出願日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2016073293
(87)【国際公開番号】WO2017026440
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2015-159044(P2015-159044)
(32)【優先日】2015年8月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 直久
(72)【発明者】
【氏名】浦林 宏行
(72)【発明者】
【氏名】守田 空悟
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】安達 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智春
(72)【発明者】
【氏名】童 方偉
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−115667(JP,A)
【文献】 特開2015−019419(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/012208(WO,A1)
【文献】 特開2009−152826(JP,A)
【文献】 特表2013−534395(JP,A)
【文献】 Kyocera,RRM measurements for carrier selection[online],3GPP TSG-RAN WG1#82 R1-154008,2015年 8月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯を用いる基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を前記基地局から受信する処理を行う制御部を備え
前記制御部は、自無線端末のアイドルモード時において、
前記基地局がブロードキャストした前記干渉関連情報を受信する処理を行い、
前記干渉関連情報に基づいて、前記基地局を自無線端末の接続対象として選択するか否かを判断することを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記干渉は、前記基地局を管理する第1のオペレータとは異なる第2のオペレータが管理する装置による干渉、及び前記基地局の第1の通信システムとは異なる第2の通信システムを用いる装置による干渉のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の無線端末。
【請求項3】
前記干渉関連情報は、前記基地局が測定した干渉レベルを示す情報、及び前記基地局が前記特定周波数帯の特定のチャネルが空いているか判定した結果を示す情報のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の無線端末。
【請求項4】
前記制御部は、
前記特定周波数帯を用いる複数の基地局のそれぞれからブロードキャストされた前記干渉関連情報を受信する処理を行い、
前記複数の基地局のそれぞれの前記干渉関連情報に基づいて、前記複数の基地局の中から自無線端末の接続対象の基地局を選択することを特徴とする請求項に記載の無線端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記基地局から受信した前記干渉関連情報を他の基地局に送信することを特徴とする請求項に記載の無線端末。
【請求項6】
前記干渉関連情報は、受信信号強度インジケータ(RSSI)であり、
前記RSSIは、前記干渉関連情報をブロードキャストする前記基地局と同一のオペレータからの干渉を除外した情報であることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項7】
前記干渉関連情報は、受信信号強度インジケータ(RSSI)であり、
前記RSSIは、前記干渉関連情報をブロードキャストする前記基地局と同一のオペレータの無線端末及び/又は基地局が送信を行っていないタイミングで測定されたものであることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項8】
複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯を用いる基地局であって、
前記特定周波数帯を用いる他の基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を前記他の基地局から受信する処理を行う制御部を備え
前記制御部は、前記干渉関連情報に基づいて、自基地局に接続する無線端末の新たな接続先として前記他の基地局を選択するか否かの判断を行うことを特徴とする基地局。
【請求項9】
前記干渉は、前記基地局を管理する第1のオペレータとは異なる第2のオペレータが管理する装置による干渉、及び前記基地局が用いる第1の通信システムとは異なる第2の通信システムを用いる装置による干渉のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の基地局。
【請求項10】
前記干渉関連情報は、前記基地局が測定した干渉レベルを示す情報、及び前記基地局が前記特定周波数帯の特定のチャネルが空いているか判定した結果を示す情報のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の基地局。
【請求項11】
前記制御部は、さらに自基地局が検出した干渉に関する情報に基づいて前記判断を行うことを特徴とする請求項に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定周波数帯を用いて無線通信を行う基地局及び無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信システムにおいて、急増するトラフィック需要に応えるべく、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯を無線通信に用いるための検討がなされている。特定周波数帯は、例えば、免許が不要な周波数帯(アンライセンスドバンド)である。
【0003】
このような特定周波数帯を用いて無線通信を行う基地局及び無線端末は、他のオペレータ及び/又は他の通信システムとの干渉を回避するために、listen−before−talk(LBT)と称される空きチャネル判定処理を行うことが要求される。
【0004】
LBTは、特定周波数帯内の対象チャネルが空いているか否かを受信信号強度(干渉電力)に基づいて判定し、空きチャネルであると判定された場合に限り対象チャネルを使用する手順である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP技術報告書 「TR 36.889 V.13.0.0(2015年7月)」
【発明の概要】
【0006】
一つの実施形態に係る基地局は、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯を用いる。前記基地局は、前記特定周波数帯において自基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を無線端末及び/又は他の基地局に送信する処理を行う制御部を備える。
【0007】
一つの実施形態に係る無線端末は、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯を用いる基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を前記基地局から受信する処理を行う制御部を備える。
【0008】
一つの実施形態に係る基地局は、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯を用いる。前記基地局は、前記特定周波数帯を用いる他の基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を前記他の基地局から受信する処理を行う制御部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】LTEシステムの構成を示す図である。
図2】LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
図3】LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。
図4】LBE方式のLBTの一例を示すフロー図である。
図5】UE(無線端末)のブロック図である。
図6】eNB(基地局)のブロック図である。
図7】第1実施形態及び第2実施形態に係る動作環境を示す図である。
図8】第1実施形態に係る動作シーケンスの一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る動作シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
第1実施形態及び第2実施形態に係る基地局は、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯において運用される。前記基地局は、前記特定周波数帯において自基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を無線端末及び/又は他の基地局に送信する処理を行う制御部を備える。
【0011】
第1実施形態及び第2実施形態において、前記干渉は、前記基地局のオペレータとは異なるオペレータによる干渉、及び前記基地局の通信システムとは異なる通信システムによる干渉のうち、少なくとも1つを含む。
【0012】
第1実施形態及び第2実施形態において、前記干渉関連情報は、前記基地局が測定した干渉レベルを示す情報、及び前記基地局が前記特定周波数帯に対して行う空きチャネル判定処理の結果を示す情報のうち、少なくとも1つを含む。
【0013】
第1実施形態において、前記制御部は、前記干渉関連情報をブロードキャストで前記無線端末に送信する処理を行う。
【0014】
第1実施形態、及び第2実施形態の変更例に係る無線端末は、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯において運用される基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を前記基地局から受信する処理を行う制御部を備える。
【0015】
第1実施形態において、前記制御部は、自無線端末のアイドルモード時において、前記基地局がブロードキャストで送信する前記干渉関連情報を受信する処理を行い、前記干渉関連情報に基づいて、前記基地局を自無線端末の接続対象として選択するか否かを判断する。
【0016】
第1実施形態において、前記制御部は、前記特定周波数帯において運用される複数の基地局のそれぞれについて前記干渉関連情報を受信する処理を行い、前記複数の基地局のそれぞれの前記干渉関連情報に基づいて、前記複数の基地局の中から自無線端末の接続対象を選択する。
【0017】
第2実施形態の変更例において、前記制御部は、前記基地局から受信した前記干渉関連情報を他の基地局に報告する。
【0018】
第2実施形態に係る基地局は、複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する特定周波数帯において運用される。前記基地局は、前記特定周波数帯において運用される他の基地局が検出した干渉に関する干渉関連情報を前記他の基地局から受信する処理を行う制御部を備える。
【0019】
第2実施形態において、前記制御部は、前記干渉関連情報に基づいて、自基地局に接続する無線端末の新たな接続先として前記他の基地局を選択するか否かの判断を行う。
【0020】
第2実施形態において、前記制御部は、自基地局が検出した干渉に関する情報にさらに基づいて前記判断を行う。
【0021】
[移動通信システム]
以下において、実施形態に係る移動通信システムであるLTEシステムについて説明する。
【0022】
(システム構成)
図1は、LTEシステムの構成を示す図である。図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
【0023】
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、eNB200との無線通信を行う。UE100の構成については後述する。
【0024】
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB(evolved Node−B)200を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
【0025】
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルに接続したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0026】
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。S−GWは、データの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。E−UTRAN10及びEPC20は、ネットワークを構成する。
【0027】
図2は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図2に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
【0028】
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
【0029】
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセス手順等を行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
【0030】
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
【0031】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0032】
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態であり、そうでない場合、UE100はRRCアイドル状態である。
【0033】
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。
【0034】
図3は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
【0035】
図3に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。また、UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0036】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される領域である。PDCCHの詳細については後述する。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。各サブフレームには、時間方向及び周波数方向に分散して参照信号が配置される。
【0037】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。
【0038】
(特定周波数帯)
以下において、特定周波数帯について説明する。
【0039】
現状のLTEシステムにおいて、UE100及びeNB200は、一のオペレータ及び一の通信システムが占有する周波数帯(割り当てバンド)を用いて無線通信を行うことが一般的である。
【0040】
これに対し、実施形態において、UE100及びeNB200は、特定周波数帯を用いて無線通信を行う。特定周波数帯は、免許が不要な周波数帯(アンライセンスドバンド)である。或いは、特定周波数帯は、免許が必要な周波数帯(ライセンスドバンド)であって複数のオペレータ及び/又は複数の通信システムが共用する周波数帯であってもよい。以下においては、特定周波数帯がアンライセンスドバンドである一例について説明する。
【0041】
このようなアンライセンスドバンドを用いて無線通信を行うUE100及びeNB200は、他のオペレータ及び/又は他の通信システム(例えば、WLANシステム)との干渉を回避するために、LBTと称される空きチャネル判定処理を行うことが要求される。LBTは、アンライセンスドバンド内の対象チャネルが空いているか否かを受信信号強度(干渉電力)に基づいて判定し、空きチャネル(clear channel)であると判定された場合に限り対象チャネルを使用する手順である。
【0042】
LBTには、FBE(Frame Based Equipment)方式及びLBE(Load Based Equipment)方式の2つの方式がある。FBE方式は、タイミングが固定された方式である。これに対し、LBE方式は、タイミングが固定されていない。
【0043】
図4は、LBE方式のLBTの一例を示すフロー図である。UE100及びeNB200は、アンライセンスドバンド内の対象チャネルについて本フローを実行する。ここでは、eNB200が本フローを実行する一例を説明する。
【0044】
図4に示すように、eNB200は、対象チャネルを監視し、受信信号強度(干渉電力)に基づいて対象チャネルが空きであるか否かを判定する(ステップS1)。このような判定は、CCA(Clear Channel Assessment)と称される。具体的には、eNB200は、検知した電力が閾値よりも大きい状態が一定期間(例えば20μs以上)持続する場合、対象チャネルが使用中(Busy)であると判定する。そうでない場合、eNB200は、対象チャネルが空き(Idle)であると判定し、対象チャネルを用いてUE100に下りリンクデータを送信する(ステップS2)。
【0045】
eNB200は、このような初期CCAの結果、対象チャネルが使用中(Busy)であると判定した場合、ECCA(Extended Clear Channel Assessment)処理に移行する。ECCA処理において、eNB200は、初期値がNであるカウンタ(N)を設定する(ステップS3)。Nは、4から32までの間の乱数である。UE100は、CCAが成功するごとにNをデクリメント(すなわち、1を減算)する(ステップS5、S6)。eNB200は、Nが0に達すると(ステップS4:No)、対象チャネルが空き(Idle)であると判定し、対象チャネルを用いて無線信号を送信する(ステップS2)。
【0046】
(無線端末)
以下において、UE100(無線端末)の構成について説明する。図5は、UE100のブロック図である。図5に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0047】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。受信部110は、割り当てバンドにおいて無線信号を受信する第1の受信機と、アンライセンスドバンドにおいて無線信号を受信する第2の受信機と、を含んでもよい。
【0048】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。送信部120は、割り当てバンドにおいて無線信号を送信する第1の送信機と、アンライセンスドバンドにおいて無線信号を送信する第2の送信機と、を含んでもよい。
【0049】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
【0050】
(基地局)
以下において、eNB200(基地局)の構成について説明する。図6は、eNB200のブロック図である。図6に示すように、eNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0051】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。送信部210は、割り当てバンドにおいて無線信号を送信する第1の送信機と、アンライセンスドバンドにおいて無線信号を送信する第2の送信機と、を含んでもよい。
【0052】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。受信部220は、割り当てバンドにおいて無線信号を受信する第1の受信機と、アンライセンスドバンドにおいて無線信号を受信する第2の受信機と、を含んでもよい。
【0053】
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
【0054】
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に使用される。
【0055】
[第1実施形態]
以下において、第1実施形態について説明する。
【0056】
(動作環境)
図7は、第1実施形態に係る動作環境を示す図である。
【0057】
図7に示すように、同一オペレータ#1のeNB200−1及びeNB200−2と、他のオペレータ#2のeNB200−3とが設置されている。各eNB200(eNB200−1乃至eNB200−3)は、アンライセンスドバンドにおいて運用される。具体的には、各eNB200は、アンライセンスドバンドのセルを管理する。図7において、eNB200−1がアンライセンスドバンドのセル#1を管理し、eNB200−2がアンライセンスドバンドのセル#2を管理する一例を示している。一方、セル#1及びセル#2の周辺には、他のオペレータ#2のUE100−2及びeNB200−3が位置する。
【0058】
同一のオペレータ#1のeNB200−1及びeNB200−2間では干渉を考慮したセル設計がなされていると考えられる。しかしながら、オペレータ#1のeNB200−1及びeNB200−2は、他のオペレータ#2のUE100−2及びeNB200−3から強い干渉を受ける可能性がある。
【0059】
セル#1及びセル#2の重複領域には、オペレータ#1のUE100−1が位置する。UE100−1は、アイドルモード(例えば、RRCアイドルモード)である。アイドルモードのUE100−1は、自身の移動に伴って、複数のセルの中から適切なセル(対象セル)をサービングセルとして選択又は再選択する動作を行う。このような動作は、セル選択又はセル再選択と称される。一般的なセル選択又はセル再選択には、UE100が測定した参照信号受信電力(RSRP)が最も高いセルを選択する「best cell principle」というコンセプトが採用されている。また、各周波数に優先度が設けられ、優先度が高い周波数が優先的に選択される。第1実施形態において、セル#1及びセル#2は同一のアンライセンスドバンド(同一周波数)に属しており、セル#1及びセル#2の優先度は同じであると仮定する。
【0060】
UE100−1は、アイドルモードからコネクティッドモードに遷移する際に、現在のサービングセルに対して接続処理(ランダムアクセス処理)を行う。このような接続処理により、UE100−1は、現在のサービングセルにおいてアイドルモードからコネクティッドモードに遷移する。コネクティッドモードにおいて、サービングセルはプライマリセル(PCell)と称されてもよい。以下において、アイドルモードからコネクティッドモードに遷移する動作を「初期接続」と称する。
【0061】
アイドルモードのUE100−1が「best cell principle」に基づいて初期接続を行う場合、次のような問題がある。eNB200が他のオペレータ及び/又は他の通信システムから干渉の影響を受ける場合、当該eNB200における受信品質(すなわち、上りリンクの通信品質)が劣化する。また、各eNB200にはLBTが要求されるため、eNB200が他のオペレータ及び/又は他の通信システムから干渉の影響を受ける場合、当該eNB200の送信機会が制限される。よって、そのようなeNB200にUE100−1が初期接続を行った場合、UE100−1の受信機会も制限される。
【0062】
(第1実施形態に係る動作)
以下において、第1実施形態に係る動作について説明する。
【0063】
(1)eNB200の動作
eNB200−1及びeNB200−2の動作を説明する。eNB200−1及びeNB200−2は同様の動作を行うため、ここではeNB200−1の動作のみを説明する。
【0064】
第1実施形態に係るeNB200−1は、アンライセンスドバンドにおいて運用される。eNB200−1は、アンライセンスドバンドにおいて自eNB200−1が検出した干渉に関する干渉関連情報を送信する。干渉は、eNB200−1のオペレータ#1とは異なるオペレータ#2による干渉、及びeNB200−1の通信システム(LTEシステム)とは異なる通信システム(例えば、WLANシステム)による干渉のうち、少なくとも1つを含む。
【0065】
第1実施形態において、eNB200−1は、干渉関連情報をブロードキャストでUE100に送信する処理を行う。例えば、eNB200−1は、干渉関連情報をシステム情報ブロック(SIB)に含める。SIBは、アイドルモードのUE100が受信可能なメッセージ(System Information message)である。
【0066】
第1実施形態において、干渉関連情報は、eNB200−1が測定した干渉レベルを示す情報である。干渉レベルを示す情報は、例えば受信信号強度インジケータ(RSSI)である。RSSIは、eNB200−1がLBTの際に測定したRSSIであってもよい。RSSIは、瞬時最大値であってもよいし、平均値であってもよい。
【0067】
eNB200−1は、eNB200−1が測定したRSSIのうち、自オペレータ(オペレータ#1)からの干渉を除外することが好ましい。例えば、eNB200−1は、自オペレータの他のeNB200及び/又はUE100についてRSRPを測定し、eNB200−1が測定したRSSIからRSRPを減じて得た値を、他のオペレータからの干渉レベルとして算出する。ここで、eNB200−1は、自オペレータにおいて用いられる参照信号を識別可能であるため、自オペレータについてのRSRP測定を適切に行うことができる。但し、RSSIはリソースブロック単位での測定であるが、RSRPはリソースエレメント単位での測定であるため、単位を揃えるための変換処理が必要である。
【0068】
さらに、より効率よく他のオペレータのUE100及び/又はeNB200からの干渉レベルを測定するために、RSSIの測定タイミングを工夫してもよい。例えば、eNB200−1は、自オペレータのUE100及び/又はeNB200が送信を行っていないタイミングでRSSI測定を行うことで、他のオペレータからの干渉レベルをより正確に把握することができる。また、eNB200−1は、RSSIの測定時において自セル内のUE100の送信を止めるようなギャップをUE100に設定してもよい。そのようなギャップは、定期的に設けられてもよい。
【0069】
或いは、干渉関連情報は、eNB200−1がアンライセンスドバンドに対して行う空きチャネル判定の結果を示す情報であってもよい。空きチャネル判定の結果を示す情報は、例えば、LBTが成功した確率又はCCAが成功した確率を示す情報(成功率情報)である。空きチャネル判定の結果を示す情報は、LBTが失敗した確率又はCCAが失敗した確率を示す情報(busy率情報)である。
【0070】
(2)UE100−1の動作
次に、UE100−1の動作を説明する。第1実施形態に係るUE100−1は、eNB200−1が検出した干渉に関する干渉関連情報をeNB200−1から受信する。
【0071】
第1実施形態において、UE100−1は、自UE100−1のアイドルモード時において、eNB200−1がブロードキャストで送信する干渉関連情報を受信し、干渉関連情報に基づいて、eNB200−1(のセル)を自UE100−1の接続対象(サービングセル)として選択するか否かを判断する。例えば、UE100−1は、干渉関連情報に基づいてeNB200−1が強い干渉を受けている、及び/又はeNB200−1が高い確率で干渉を受けていると判断した場合、eNB200−1(のセル)を自UE100−1の接続対象から除外する。
【0072】
また、第1実施形態において、UE100−1は、自オペレータの複数のeNB200(eNB200−1及びeNB200−2)のそれぞれについて干渉関連情報を受信し、各eNB200の干渉関連情報に基づいて、当該複数のeNB200(のセル)の中から自UE100−1の接続対象を選択する。例えば、UE100−1は、複数のeNB200のうち干渉レベルが最も低いeNB200を接続対象として選択する。また、UE100−1は、複数のeNB200のうち干渉を受ける確率が最も低いeNB200を接続対象として選択してもよい。
【0073】
UE100−1は、各eNB200の干渉関連情報だけではなく、自身が測定したRSRPに基づいて接続対象を選択してもよい。ここでは、干渉関連情報が、eNB200で測定したRSSIである一例を説明する。例えば、UE100−1は、eNB200−1のRSRPがeNB200−2のRSRPよりも高い場合、RSRPのみに基づいてeNB200−1を接続対象として選択するのではなく、eNB200−1で測定したRSSI(RSSIA)及びeNB200−2で測定したRSSI(RSSIB)も考慮して接続対象を選択する。その結果、eNB200−1のRSRPがeNB200−2のRSRPよりも高い場合でも、UE100−1は、RSSIA及びRSSIBの少なくとも一方に基づいてeNB200−2を接続対象として選択し得る。
【0074】
例えば、UE100−1は、「RSSIA>閾値」を満たす場合、eNB200−1におけるLBTに支障が生じるとみなして、eNB200−2を接続対象として選択する。ここで閾値は、eNB200により設定されてもよい。また、閾値は、eNB200が送信するSIB(System Information Block)に含まれてもよい。或いは、UE100−1は、RSSIA及びRSSIBを比較し、「RSSIA>RSSIB」を満たす場合、eNB200−2を接続対象として選択する。閾値を用いる手法と、RSSIA及びRSSIBを比較する手法とを併用してもよい。
【0075】
なお、UE100−1がRSSIと閾値との比較を行うことに代えて、当該比較をeNB200が行い、eNB200がRSSIと閾値との比較結果(RSSIが閾値を超えているか否かを示す情報)をブロードキャストしてもよい。
【0076】
(3)動作シーケンス
図8は、第1実施形態に係る動作シーケンスの一例を示す図である。
【0077】
図8に示すように、eNB200−1は、干渉を検出し(ステップS101)、干渉関連情報をブロードキャストで送信する(ステップS102)。
【0078】
eNB200−2は、干渉を検出し(ステップS103)、干渉関連情報をブロードキャストで送信する(ステップS104)。なお、eNB200−2は、干渉関連情報をeNB200−1経由でUE100に送信してもよい。具体的には、eNB200−2が干渉関連情報をeNB200−1に送信した後、eNB200−1は、eNB200−2から受信した干渉関連情報を隣接セルの情報としてブロードキャストで送信してもよい。
【0079】
UE100−1は、eNB200−1及びeNB200−2のそれぞれの干渉関連情報を受信及び取得する(ステップS105)。そして、UE100−1は、eNB200−1及びeNB200−2のそれぞれの干渉関連情報に基づいて、eNB200−1及びeNB200−2の中から自UE100−1の接続対象を選択する(ステップS106)。
【0080】
なお、各eNB200(200−1及び200−2)は、干渉を検出し、当該干渉が所定の閾値以上である場合に限って、干渉関連情報をブロードキャストで送信することとしてもよい。言い換えれば、各eNB200は、干渉を検出した場合に常に干渉関連情報を送信しなくともよい。そのような場合、UE100−1は、eNB200−1からのみ干渉関連情報を受信している場合には、eNB200−2では干渉が発生していないと判断し、eNB200−2を優先的に接続先として選択してもよい。
【0081】
また、一のeNB200が複数のeNB200の干渉の対比を行う場合、UE100は、当該一のeNB200から送信される複数のeNB200の干渉の対比結果を受信し、それに基づいて、各eNB200の干渉状況を考慮し、接続先のeNB200を判断してもよい。
【0082】
また、各eNB200は、自eNB200が検出した干渉が所定の閾値以上である場合には、UE100に対して、干渉関連情報に加えて又は代えて、eNB200への接続を抑制する指示をユニキャスト又はブロードキャストによって送信してもよい。eNB200から接続を抑制する指示を受信したUE100−1は、当該eNB200に対して接続するための手順の実施(RRC Connection Procedure等)を抑制する。
【0083】
(第1実施形態のまとめ)
各eNB200は、アンライセンスドバンドにおいて自eNB200が検出した干渉に関する干渉関連情報をブロードキャストで送信する。UE100−1は、アイドルモード時において、少なくとも1つのeNB200の干渉関連情報を受信し、複数のeNB200(複数のセル)の中から自UE100−1の接続対象(サービングセル)を選択する。これにより、UE100−1は、アンライセンスドバンドにおいて各eNB200が干渉を受けているかを考慮して、適切な接続対象を選択することができる。
【0084】
[第1実施形態の変更例]
eNB200が検出した干渉を考慮したセル再選択手順を実現するために、現状のLTEシステムのセル再選択手順の一部を変更してもよい。以下において、現状のLTEシステムのセル再選択手順について説明する。
【0085】
アイドルモードのUE100は、異なる周波数で運用される複数のセルの中からサービングセルとして用いる対象セルを選択する。具体的には、UE100は、開始条件が満たされた場合に、現在のサービングセルに隣接する隣接セルの品質を測定し、選択条件を満たすセルの中からサービングセルとして用いる対象セルを選択する。
【0086】
第1に、開始条件は、以下に示す通りである。
【0087】
(A1)現在のサービングセルの周波数の優先度よりも高い優先度を有する周波数:
UE100は、高い優先度を有する周波数の品質を常に測定する。
【0088】
(A2)現在のサービングセルの周波数の優先度と等しい優先度又は低い優先度を有する周波数:
UE100は、現在のサービングセルの品質が所定閾値を下回った場合に、等しい優先度又は低い優先度を有する周波数の品質を測定する。
【0089】
第2に、選択条件は、以下に示す通りである。
【0090】
(B1)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度よりも高い:
UE100は、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSqual>ThreshX,HighQの関係を満たすセル、若しくは、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSrxlev>ThreshX,HighPの関係を満たすセルを対象セルとして選択する。このようなケースにおいて、隣接セルが満たすべき基準を“S−criteria”と称することもある。
【0091】
但し、Squalは、セル選択品質レベルを表しており、Squal=Qqualmeas-(Qqualmin+Qqualminoffset)−Qoffsettempによって算出される。Qqualmeasは、隣接セルの品質レベル(RSRQ)であり、Qqualminは、最小要求品質レベルであり、Qqualminoffsetは、隣接セルに定常的に適用される所定オフセットであり、Qoffsettempは、隣接セルに一時的に適用されるオフセットである。ThreshX,HighQは、所定閾値である。
【0092】
また、Srxlevは、セル選択受信電力を表しており、Srxlev=Qrxlevmeas-(Qrxlevmin+Qrxlevminoffset)-Pcompensation−Qoffsettempによって算出される。Qrxlevmeasは、隣接セルの受信電力(RSRP)であり、Qrxlevminは、最小要求受信電力であり、Qrxlevminoffsetは、隣接セルに定常的に適用される所定オフセットであり、Pcompensationは、アップリンクの能力に関するパラメータであり、Qoffsettempは、隣接セルに一時的に適用されるオフセットである。ThreshX,HighPは、所定閾値である。
【0093】
(B2)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度と同じである:
UE100は、現在のサービングセルのランキングR及び隣接セルのランキングRを算出するとともに、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってRよりも高いランキングRを有するセルを対象セルとして選択する。このようなケースにおいて、隣接セルが満たすべき基準を“R−criteria”と称することもある。
【0094】
但し、Rは、R=Qmeas+QHyst−Qoffsettempによって算出される。Rは、R=Qmeas−Qoffset−Qoffsettempによって算出される。Qmeasは、現在のサービングセルの受信電力(RSRP)であり、Qmeasは、隣接セルの受信電力(RSRP)である。QHystは、現在のサービングセルが対象セルとして再選択されやすくするためのヒステリシス値である。Qoffsettempは、現在のサービングセル及び隣接セルに一時的に適用されるオフセットである。
【0095】
(B3)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度よりも低い:
UE100は、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSqual<ThreshServing,LowQが満たされる、若しくは、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSrxlev<ThreshServing,LowPが満たされるという前提下において、上述した(B1)と同様の手法によって隣接セルの中から対象セルを選択する。
【0096】
但し、ThreshServing,LowQ及びThreshServing,LowPは、ThreshX,HighQ及びThreshX,HighPと同様に、所定閾値である。
【0097】
なお、対象セルの選択で用いる各種パラメータは、eNB200からブロードキャストされるシステム情報ブロック(SIB)に含まれる。各種パラメータは、周波数の優先度(cellReselectionPriority)、所定期間(TreselectionRAT)、各種オフセット(Qqualminoffset、Qrxlevminoffset、Qoffsettemp、QHyst、Qoffset)、各種閾値(ThreshX,HighQ、ThreshX,HighP、ThreshServing,LowQ、ThreshServing,LowP)を含む。
【0098】
このようなセル再選択手順において、eNB200が検出した干渉に基づく新たなパラメータを干渉関連情報として導入し、当該新たなパラメータをeNB200がブロードキャストすることにより、各eNB200(各セル)における干渉の状況を反映したセル再選択が可能となる。新たなパラメータとしては、例えば、eNB200が検出した干渉に基づく周波数の優先度、eNB200が検出した干渉に基づく各種オフセット、eNB200が検出した干渉に基づく各種閾値等が挙げられる。
【0099】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0100】
第1実施形態はアイドルモードのUE100に関する実施形態であったが、第2実施形態はコネクティッドモードのUE100に関する実施形態である。また、図7に示すような動作環境において、UE100−1がeNB200−1に接続した状態(コネクティッドモード)であると仮定する。
【0101】
第2実施形態に係るeNB200−2は、アンライセンスドバンドにおいて自eNB200−2が検出した干渉に関する干渉関連情報をeNB200−1に送信する。干渉関連情報の具体例については第1実施形態と同様である。
【0102】
第2実施形態に係るeNB200−1は、干渉関連情報をeNB200−2から受信する。eNB200−1は、eNB200−2から受信した干渉関連情報に基づいて、自eNB200−1に接続するUE100−1の新たな接続先としてeNB200−2を選択するか否かの判断を行う。
【0103】
UE100−1の新たな接続先とは、UE100−1のハンドオーバ先である。或いは、UE100−1の新たな接続先とは、二重接続(Dual connectivity)方式におけるUE100−1のセカンダリeNB(SeNB)であってもよい。二重接続方式とは、UE100が2つのeNB200に接続する方式である。二重接続方式の場合、eNB200−1は、UE100−1のマスタeNB(MeNB)として機能してもよい。
【0104】
eNB200−1は、eNB200−2から受信した干渉関連情報に基づいて、eNB200−2が強い干渉を受けている又はeNB200−2が高い確率で干渉を受けていると判断した場合、eNB200−2をUE100−1の接続対象から除外してもよい。或いは、eNB200−1は、eNB200−2を含む複数のeNB200から干渉関連情報を受信し、当該複数のeNB200のうち干渉レベルが最も低いeNB200又は干渉を受ける確率が最も低いeNB200をUE100−1の新たな接続先として選択してもよい。
【0105】
eNB200−1は、他のeNB200から受信した干渉関連情報だけではなく、自eNB200−1が検出した干渉に関する情報にさらに基づいてUE100−1の新たな接続先を選択してもよい。或いは、eNB200−1は、他のeNB200から受信した干渉関連情報に基づくことなく、自eNB200−1が検出した干渉に関する情報に基づいてUE100−1の新たな接続先を判断(選択)してもよい。
【0106】
図9は、第2実施形態に係る動作シーケンスの一例を示す図である。
【0107】
図9に示すように、eNB200−1は、干渉を検出し(ステップS201)、検出した干渉に関する情報(例えば、RSSI)を測定及び記憶する。
【0108】
また、eNB200−2は、干渉を検出し(ステップS202)、干渉関連情報(例えば、RSSI)をeNB200−1に送信する(ステップS203)。eNB200−2は、干渉関連情報を定期的にeNB200−1に送信してもよいし、eNB200−1からの要求に応じて干渉関連情報をeNB200−1に送信してもよい。なお、eNB200−1は、UE100−1からの測定報告の受信(ステップS205)に応じて、干渉関連情報の送信をeNB200−2に要求してもよい。
【0109】
UE100−1は、eNB200−1のRSRP(RSRPA)及びeNB200−2のRSRP(RSRPB)を測定し(ステップS204)、測定結果を含む測定報告をeNB200−1に送信する(ステップS205)。
【0110】
eNB200−1は、測定報告を受信し、UE100−1の新たな接続先としてeNB200−2を選択するか否かの判断を行う(ステップS206)。例えば、eNB200−1は、測定報告に含まれるRSRPBがRSRPAよりも高い場合、RSRPのみに基づいてUE100−1の新たな接続先としてeNB200−2を選択するのではなく、eNB200−1で測定したRSSI(RSSIA)及びeNB200−2で測定したRSSI(RSSIB)も考慮してUE100−1の新たな接続先を判断する。例えば、eNB200−1は、「RSSIB>閾値」を満たす場合、eNB200−2におけるLBTに支障が生じるとみなして、UE100−1の新たな接続先としてeNB200−2を選択しない。或いは、eNB200−1は、RSSIA及びRSSIBを比較し、「RSSIB<RSSIA」を満たす場合、UE100−1の新たな接続先としてeNB200−2を選択する。閾値を用いる手法と、RSSIA及びRSSIBを比較する手法とを併用してもよい。ここでは、eNB200−1がUE100−1の新たな接続先としてeNB200−2を選択したと仮定して説明を進める。
【0111】
eNB200−1は、UE100−1をeNB200−2に接続させるための情報をUE100−1に送信する(ステップS207)。当該情報は、eNB200−2に対するハンドオーバ指示である。或いは、当該情報は、eNB200−2をSeNBとして追加するための追加指示であってもよい。UE100−1は、eNB200−1から受信した情報に基づいて、eNB200−2に接続する。
【0112】
なお、本シーケンスにおいて、UE100−1の接続先のeNB200−1が判断を行う一例を示している。しかしながら、eNB200−1がハンドオーバリクエスト(自局の干渉情報を含む)を送信し、当該リクエストを受信したeNB200−2が自局eNB200−2の干渉情報及びeNB200−1の干渉情報に基づいて、当該ハンドオーバリクエストを許可するか否かを判断してもよい。なお、ハンドオーバリクエストには、eNB200−1の干渉情報を含まなくてもよく、その場合には、eNB200−2が自局eNB200−2の干渉情報に基づいて、当該ハンドオーバリクエストを許可するか否かを判断してもよい。eNB200−2は、当該ハンドオーバリクエストを許可する場合、承認応答をeNB200−1に送信する。一方、当該ハンドオーバリクエストを拒否する場合、eNB200−2は、拒否応答をeNB200−1に送信する。二重接続方式の場合、ハンドオーバリクエストをSeNB追加リクエストと読み替えればよい。
【0113】
(第2実施形態のまとめ)
第2実施形態に係るeNB200−1は、干渉関連情報を他のeNB200から受信する。eNB200−1は、他のeNB200から受信した干渉関連情報に基づいて、自eNB200−1に接続するUE100−1の新たな接続先を選択する。これにより、eNB200−1は、アンライセンスドバンドにおいて他のeNB200が干渉を受けているかを考慮して、UE100−1の新たな接続先を適切に選択することができる。
【0114】
[第2実施形態の変更例]
図9に示すシーケンスは、次のように変更してもよい。本変更例において、eNB200−2は、干渉関連情報をeNB200−1に送信(ステップS203)することに代えて、干渉関連情報を自セル内にブロードキャストする。
【0115】
UE100−1は、eNB200−2から干渉関連情報(SIB)を受信し、受信した干渉関連情報を含む測定報告をeNB200−1に送信(ステップS205)する。つまり、UE100−1は、eNB200−2から受信した干渉関連情報をeNB200−1に報告する。その後、eNB200−1は、UE100−1から受信した測定報告に基づいてステップS206の処理を行う。
【0116】
第2実施形態の変更例によれば、eNB200−1とeNB200−2との間で干渉関連情報が送受信されない場合でも、eNB200−1がUE100−1の適切な接続先を判断することができる。
【0117】
なお、UE100−1が他セルの干渉関連情報を測定報告に含めるために、eNB200−1がUE100−1に対して設定を行なってもよい。このような設定は、ブロードキャストシグナリングにより行なわれてもよいし、UE100−1宛ての専用シグナリング(例えば、measurement config.)により行なわれてもよい。UE100−1は、eNB200−1から受信した設定情報に基づいて、eNB200−2から受信した干渉関連情報を測定報告に含める。
【0118】
[その他の実施形態]
アンライセンスドバンドにおいて運用される各eNB200−1は、自身が検出した干渉の状況に基づいて、自身のカバレッジを拡張又は縮小する等により、自身が収容するUE100の数を調整してもよい。ここで、カバレッジは、物理的なカバレッジに限らず、論理的なカバレッジであってもよい。eNB200の送信電力を上昇又は低下させることにより、物理的なカバレッジを拡張又は縮小することができる。eNB200のハンドオーバパラメータ(ハンドオーバ閾値)を調整することにより、論理的なカバレッジを拡張又は縮小することができる。例えば、強い干渉を受けているeNB200は、自身のカバレッジを縮小する。或いは、eNB200−1がeNB200−2に比べて強い大きな干渉を受けている場合、eNB200−1のカバレッジを縮小するとともに、eNB200−2のカバレッジを拡大する。
【0119】
第1実施形態及び第2実施形態は、別個独立して実施する場合に限らず、相互に組み合わせて実施してもよい。各eNB200は、干渉関連情報を他のeNBに送信するとともに、干渉関連情報をUE100にブロードキャストしてもよい。
【0120】
また、UE100は、アイドルモードである場合には、eNB200−1から干渉関連情報を受信した場合、当該干渉関連情報に基づいて、他のeNB200−2へリセレクション(セル再選択)するよう動作してもよい。なお、リセレクションとは、キャンプするセル(基地局)を変更することを意味してもよい。
【0121】
また、eNB200−1は、eNB200−3又はUE100−2からの干渉を検出した場合には、当該干渉元であるeNB200−3又はUE100−2に対して、干渉を抑制する(送信電力を低くする)ことを示す指示(要求)を送信してもよい。また、eNB200−1は、eNB200−3又はUE100−2の宛先となる識別番号を接続しているUE100−1から受信してもよい。
【0122】
上述した実施形態において、干渉関連情報は、上りリンクの誤り率及び下りリンクの誤り率のうち少なくとも一方であってもよい。また、干渉関連情報は、少なくとも干渉情報に基づいて計算される優先度決定パラメータの一種であってもよい。
【0123】
上述した実施形態において、移動通信システムとしてLTEシステムを例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
【0124】
日本国特許出願第2015−159044号(2015年8月11日出願)の全内容が、参照により本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、無線通信分野において有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9