【課題を解決するための手段】
【0013】
この問題は、独立請求項の特徴を有する、試料移送装置、試料を分析するための分析システム、試料移送方法および試料移送装置の製造方法によって解決される。独立した態様で、または任意の組み合わせで実現され得る好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0014】
以下に使用されるように、用語「有する」、「備える」または「含む」またはその任意の文法的な変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、この文脈において記述される実体には、これらの用語によって導入された特徴に加えて、さらなる特徴は存在しないという状況、および複数のさらなる特徴が存在するという状況の両方を指してもよい。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、「AはBを含む」という表現は、Bに加えて、他の要素はAに存在しないという状況(すなわち、Aが単独かつ独占的にBに構成されている状況)、およびBに加えて、要素C、要素CとDまたはそれ以上の要素など、1つまたは複数の他の要素が実体Aに存在する状況の両方を指してもよい。
【0015】
さらに、「少なくとも1つ」、「1つまたは複数の」という用語、または特徴もしくは要素が1度以上存在し得ることを示す類似の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入する際に1度だけ使用されることに留意されたい。以下では、多くの場合、それぞれの特徴または要素に言及する際に、それぞれの特徴は1度以上存在し得るという事実にもかかわらず、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という表現は繰り返されない。
【0016】
さらに、以下に使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「具体的には」、「より具体的には」、「詳細には」、「より詳細には」、または類似の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意の特徴であり、請求項の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者が理解するように、代替の特徴を使用して実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現において紹介される特徴は、本発明の代替の実施形態に関して制限することのない、本発明の範囲に関して制限することのない、およびこのようにして導入された特徴を、本発明の他の任意の特徴または非任意の特徴と組み合わせることに関して制限することのない任意の特徴であることが意図されている。
【0017】
本発明の第1の態様では、特に、高分解能分析および/または診断における使用のための試料移送装置が開示される。試料移送装置は、少なくとも1つの第1ブロック、少なくとも1つの第2ブロック、および少なくとも1つのスライダを備える。第1ブロックは、少なくとも1つの第1ポートおよび少なくとも1つの第2ポートを備える。第2ブロックは、少なくとも1つの第3ポートおよび少なくとも1つの第4ポートを備える。スライダは、第1ブロックと第2ブロックとの間に位置する。スライダは、第1位置から第2位置に、またはその逆に摺動するように構成される。第1位置および第2位置の両方において、第1直線チャネルが第1ポートと第3ポートとの間に形成され、第2直線チャネルが第2ポートと第4ポートとの間に形成される。
【0018】
「第1ブロック」、「第2ブロック」、「第1ポート」、「第2ポート」、「第3ポート」、「第4ポート」、「第1位置」および「第2位置」という用語は、名付けられた要素の番号付けまたは順位付けすることのない、順序を特定することのない、および複数種類の第1ブロックおよび第2ブロック、または複数種類の第1ポート、第2ポート、第3ポート、第4ポート、または複数種類の第1位置および第2位置が存在し得る可能性を排除しない単なる用語と見なされてもよい。さらに、1つまたは複数の第3ブロック、第5ポートまたは第3位置のような追加のブロック、ポートまたは位置が存在してもよい。
【0019】
本明細書においてさらに使用されるように、「試料」という用語は、分析、試験または調査のために取られた任意の材料または材料の組合せを指してよい。試料は、より多くの量に類似しかつそれを代表すことが意図される、限定された量のものであってもよい。しかし、試料はまた、検体の全てを含んでもよい。試料は、固体試料、液体試料または気体試料、またはこれらの組合せであってもよい。具体的には、試料は、流体試料、すなわち、全体的または部分的に液体状態および/または気体状態である試料であってもよい。試料の量は、その体積、質量またはサイズに関して記述可能であり得る。しかし、他の寸法も実施可能である。試料は、1つの材料または1つの化合物のみを含んでもよい。あるいは、試料は、複数の材料または化合物を含んでもよい。
【0020】
「分析物」という用語は、概して、試料中に存在し得る、そしてその存在および/または濃度が関心の対象となり得る任意の要素、成分または化合物を指す。一例として、少なくとも1つの検体は、タンパク質、ペプチド、有機酸、特にアミノ酸、医薬品、バイオマーカー、特に癌バイオマーカー、抗体、医薬製品、特にバイオ医薬製品の不純物、医薬製品、特にバイオ医薬製品の改変体からなる群から選択され得る。しかし、追加で、または代わりに、他のタイプの分析物が使用されてもよく、および/または分析物の任意の組み合わせが決定されてもよい。
【0021】
「移送」または「移送する」という用語は、概して、ある場所から別の場所への、またはその逆の、任意の材料の能動的または受動的な搬送、を指してよい。したがって、「能動的搬送」という用語は、概して、搬送が、材料を指定された方向に搬送するために使用される外力、および/またはポンプもしくはバルブのような作動手段によって支持されることを意味する。したがって、「能動的搬送」という用語は、また、材料の規定の操作を参照し得る。「受動的搬送」という用語は、概して外部作動のない搬送を指し、例として、毛管力による搬送を含み得る。
【0022】
「試料移送装置」という用語は、概して、試料の一部または全部を、第1の次元または第1位置から、少なくとも1つのさらなる次元またはさらなる位置、たとえば、第2の次元または第2位置へ移送または送信するように構成される任意の装置を指し得る。しかし、第3の次元のようなさらなる次元も実施可能である。「次元」は、容器またはチャネルのような、少なくとも部分的に試料を受け取るように構成された任意の体積であってもよく、またはそれを含んでもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。第1の次元およびさらなる次元は、試料または試料の一部が、介在するバリアまたは空間によって第1の次元からさらなる次元、またはその逆にのみに移送され得るように、別個の次元であってもよい。例示的には、介在バリアは、以下で説明するようなスライダであってもよい。具体的には、第1の次元およびさらなる次元は、それぞれ、試料の1次元の移送のために構成されてもよく、それにより、試料移送装置は、2次元の試料移送を提供し得る。試料移送装置は、試料の一部を移送するように、または試料の分析物の1つまたは複数のような、ユーザーにとって関心のある試料の特定の成分を移送するように構成されてもよい。具体的には、後者の場合には、試料移送装置は試料分離装置と呼称されてもよい。
【0023】
「分離」という用語は、概して、材料または試料の特定の成分を除去する任意のプロセスを、または、材料または試料の少なくとも一部を元の滞留場所から除去する任意のプロセスを指してよい。このため、材料または試料の除去された部分と、試料の残りの部分とは、それぞれ異なる化学組成を有してもよい。
【0024】
「第1の次元」および「第2の次元」という用語は、順序を特定することなく、かつ、いくつかの種類の第1の次元および第2の次元が存在する可能性を排除することのない記述であると見なしてもよい。さらに、追加の次元および第3の次元が存在してもよい。
【0025】
「分析」という用語は、概して、任意の適用を指してよく、上記のような、または後に説明する試料または分析物の化学的および/または物理的および/または生物学的特性などの少なくとも1つの特性が判定され得る。「診断」という用語は、具体的には、患者が健康な状態である、または1つまたは複数の疾患に罹患し得るという事実とは無関係に、患者の健康状態に関する情報の少なくとも1つの項目を判定する任意の手順を指してよい。患者は、ヒトでまたは動物あってもよい。したがって、情報を判定するために患者の体液が利用されてもよい。しかし、他の手順も実施可能である。本明細書でさらに使用されるように、「高分解能分析および/または診断」という用語は、具体的には、タンパク質、ペプチド、植物抽出物および/または組織のような天然材料の分析を指してよい。しかし、他の材料が適用されてもよい。
【0026】
「ブロック」という用語は、概して、固体材料製であってもよい任意の要素を指してよい。ブロック内および/またはブロックの少なくとも1つの表面内に1つ、2つ、またはそれ以上のチャネルを有する少なくとも1つの流体構造が具現化されてもよい。ブロックは、たとえば、ガラス、特にシリカガラス;ポリマー、特に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、および両方の混合物、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー;セラミック材料;および半導体材料、好ましくは半導体ウェハからなる群から選択される少なくとも1つの材料で全体的にまたは部分的に形成されてもよい。さらに、他の材料も実施可能である。任意に、ブロックは1つまたは複数のコーティングを備えてもよい。具体的には、ブロックは、矩形または立方体形状を有してもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。ブロックは、少なくとも1つの平坦面を備えてもよい。具体的には、ブロックの上面は、以下に説明するように、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルの一部を提供するように構成されてもよい平坦面であってもよい。具体的には、以下に説明するように、平坦面は、1つまたは複数のチャネル部を提供するように構成されてもよい。さらに、少なくとも1つの側面、具体的には、スライダに面する側面は、側面に沿ってスライダの直線運動を可能にするように構成され得る平坦面であってもよい。第1ブロックと第2ブロックは、同一の形状であってもよく、異なる形状であってもよい。具体的には、第1ブロックと第2ブロックは、同一の高さを有してもよい。また、第1ブロックと第2ブロックは、互いに平行に配向されてもよい。具体的には、第1ブロックと第2ブロックは、第1ブロックの第1ポートと第2ブロックの第3ポートが、および第1ブロックの第2ポートと第2ブロックの第4ポートが、それぞれ一直線に配向され得るように、互いに平行に配向されてもよい。さらに、第1ブロックと第2ブロックとは、スライダが第1ブロックと第2ブロックとの間で局所化可能となり得るように、互いに距離を空けて配向されてもよい。第1ブロック、第2ブロックおよびスライダは、ばね要素および/またはクランプ要素を介して凝縮されてもよい。ばね要素は調節可能であってもよい。
【0027】
本明細書でさらに使用されるように、「ポート」という用語は、流体媒体または固体媒体が1つの要素から別の要素に移送可能であるように、2つ以上の要素を互いに接続するように構成され得る任意のユニットを指してよい。具体的には、ポートは、流体がチャネルに入るもしくはチャネルを出ることを可能にする、および/またはチャネルへの流体接続を可能にする、少なくとも1つの開口部を有するチャネルの一部であってもよい。具体的には、ポートは、第1直線チャネルと第2直線チャネルとを接続するように、または第2直線チャネルおよび第1直線チャネルの少なくとも一部と、以下に説明する分析装置のような任意の装置とを、もしくは試料を含む任意の容器とを接続するように構成されてもよい。例示的には、ポートは、分析装置および/または容器に、キャピラリを介して接続可能であってもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。ポートは、具体的には、試料の漏洩を少なくとも概ね防止するように構成される緊密なポートであってもよい。したがって、ポートは、デッドボリュームが小さくてもよい。キャピラリは、具体的には、接着、接合、もしくは溶接によって、または、ポート取付け具およびねじ締め可能な取付け具からなる組立体を使用して接続されてもよい。
【0028】
本明細書でさらに使用されるように、「スライダ」という用語は、1つの位置から少なくとも別の位置、およびその逆の摺動移動を行うように構成されてもよい任意の要素を指してよい。スライダは、固体材料で形成されてもよい。スライダは、たとえば、ガラス、特にシリカガラス;ポリマー、特に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー;セラミック材料;および半導体材料、好ましくは半導体ウェハからなる群から選択される少なくとも1つの材料で形成されてもよい。さらに、他の材料も実施可能である。
【0029】
具体的には、スライダは、矩形または立方体形状を有してもよい。たとえば、スライダは、20mm未満、好ましくは10mm未満の幅を有してもよい。具体的には、スライダは、2mm〜20mmの幅を有してもよい。具体的には、第1ブロック、第2ブロックおよびスライダは同一の高さを有してもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。スライダは、少なくとも1つの平坦面を含んでもよい。具体的には、ブロックの上面は、以下に説明するように、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルの一部を提供するように構成されてもよい平坦面であってもよい。具体的には、以下に説明するように、平坦面は、1つまたは複数のスライダチャネル部を提供するように構成されてもよい。さらに、少なくとも1つの側面、具体的には、第1ブロックまたは第2ブロックに面する側面は、第1ブロックおよび第2ブロックに沿ってスライダの直線運動を可能にするように構成され得る平坦面であってもよい。第1ブロック、第2ブロックまたはスライダのうちの1つまたは複数、または全部には、具体的には、少なくとも2つの要素の間の、少なくとも1つの摺動界面において、界面の堅固さを向上させるため、および/または摺動を向上させるために、少なくとも1つのコーティングが、任意で提供されてもよい。これにより、2つの表面の接触面は、少なくとも1つはコーティングを備え、非コーティング接触面よりも気密性が高くなり得る。一例として、無機または有機コーティングが任意に使用されてもよい。
【0030】
具体的には、スライダは、第1位置から第2位置へ、およびその逆の直線または線形摺動移動を実行するように構成されるリニアスライダであってもよい。「線形摺動移動」という用語は、概して、直線に沿った移動を指してよい。「第1位置」および「第2位置」という用語は、第1ブロックおよび第2ブロックに対する、具体的には、第1ポートおよび第3ポートに対する、ならびに第2ポートおよび第4ポートに対する、スライダの異なる2つの位置を指してよい。これにより、「第1位置」という用語は、スライダの初期位置を指してよい。この位置で、試料移送装置は、試料を第2直線チャネルに挿入するように構成されてもよい。「第2位置」という用語は、第1ブロックおよび第2ブロックに対する、スライダの最終位置を指してよい。この位置で、試料移送装置は、試料を少なくとも部分的に第2直線チャネルから第1直線チャネルへと移送させるように構成されてもよい。「第1位置」、「初期位置」、「第2位置」および「最終位置」という用語は、順序を特定することのない、かつスライダが複数種類の第1、第2、初期および最終位置に移動可能である可能性を排除することのない記述と見なされてもよい。しかし、一例として、スライダは、正確に1つの第1位置または初期位置から、正確に1つの第2位置または最終位置へと、およびその逆に移動可能であってもよく、それにより、第1の状態から第2の状態へ、またはその逆にデジタルに移動する。
【0031】
「チャネル」という用語は、概して、細長形状を有してもよく、自由な容積または管腔を提供してもよく、そこを通過する流体媒体の流れを可能にする任意の要素を指してよい。その結果、チャネルは、固体または流体媒体を受容するように、および/または、チャネルの一端からチャネルの他端への媒体の移送を提供するように構成されてもよい。チャネルは、好ましくは、媒体の漏洩が少なくとも概ね防止されるように、堅密なチャネルであることができる。第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルは、第1端部および第2端部を備えてもよい。第1ポートおよび第3ポートは、それぞれ、第1直線チャネルの第1端部および第2端部に位置してもよい。第2ポートおよび第4ポートは、それぞれ、第2直線チャネルの第1端部および第2端部に位置してもよい。
【0032】
本明細書でさらに使用されるように、「直線」という用語は、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルが、一方向において屈曲、角度または曲線なく連続的に延在することを指してよい。したがって、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、一方向に延在してもよい。しかし、具体的には、試料移送装置の製造時の僅かな不正確さのために、以下に説明される、1次元における延在からの第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルの僅かな脱線が存在し得る。
【0033】
第1直線チャネルと第2直線チャネルは、互いに平行に配向されてもよい。第1直線チャネルと第2直線チャネルとは、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、より好ましくは少なくとも15mmの距離だけ分離されてもよい。具体的には、第1直線チャネルと第2直線チャネルとは、5mm〜15mmの距離だけ分離されてもよい。概して、第1直線チャネルと第2直線チャネルとの間のより大きな距離も実施可能である。第1直線チャネルと第2直線チャネルとの間のより大きな距離に関しては、制限がなくてもよい。
【0034】
第1ブロック、第2ブロックおよびスライダは、それぞれ、直線チャネル部を備えてもよい。本明細書でさらに使用されるように、「チャネル部」という用語は、第1直線チャネルまたは第2直線チャネルの少なくとも一部分を指してよい。したがって、2つ以上の直線チャネル部が、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルを形成してもよい。直線チャネル部は、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルがチャネル部の異なる組合せで形成可能であってもよいように交換可能であってもよい。具体的には、以下に説明するように、スライダチャネル部は、試料移送方法を実施している間に、交換され得るように構成されてもよい。チャネル部の組合せは、具体的には、可逆であってもよい。直線チャネル部は実質的に平行に配向されてもよい。「実質的に平行」という用語は、直線チャネル部の一方向における延在を指してよいが、具体的には、試料移送装置の製造時の僅かな不正確さのために、以下に説明する、1次元における延在からの直線チャネルの僅かな脱線が存在してもよい。
【0035】
第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、一定の断面を有してもよい。具体的には、直線チャネル部およびスライダチャネル部は、実質的に同一の断面を有してもよい。「実質的に同一」という用語は、概して、具体的には、試料移送装置の製造時の僅かな不正確さのために、以下により詳細に後述する、直線チャネルおよび/またはスライダチャネル部のうちの1つまたは複数の、同一の横断面からの僅かな脱線を含んでもよい。
【0036】
具体的には、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルは、第1ブロックおよび第2ブロック上に位置する少なくとも2つの直線チャネル部、ならびにスライダ上に位置する少なくとも1つのスライダチャネル部を備えてもよい。このように、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルは、スライダチャネル部および2つの直線チャネル部を備えてもよく、第1直線チャネル部が第1ブロック上に位置し、第2直線チャネル部が第2ブロック上に位置している。
【0037】
チャネル部は「開放チャネル」であってもよい。本明細書でさらに使用される、「開放チャネル」という用語は、概して、固体材料の表面に、具体的には、固体材料の平滑面に切り込み状に設けられるスロットまたはトレンチを指してよい。開放チャネルは、固体材料の表面を完全に通るように、および開放チャネルの端部へのアクセスが可能であるように、通じてもよい。あるいは、開放チャネルは、開放チャネルが表面の縁部と接する前に端部の1つまたは両方が終端するように、終端してもよい。したがって、開放チャネルは、例示的には、溝として形成されてもよい。具体的には、チャネル部は、第1ブロック、第2ブロックおよびスライダそれぞれの表面内の溝として形成されてもよい。
【0038】
溝は、少なくとも1つのカバー要素によって少なくとも部分的に覆われてもよい。「カバー要素」という用語は、概して、さらなる要素のさらなる表面に取り付け可能であるように構成される表面を有する任意の要素を指してよい。これにより、カバー要素の表面の形状と、さらなる要素のさらなる表面の形状は相補的であってもよい。例示的には、カバー要素の表面およびさらなる要素のさらなる表面は、表面とさらなる表面との間に緊密な接続が形成され得るように、平坦面であってもよい。カバー要素は、具体的には、ガラスなどの光学的に透明な材料で形成されてもよい。しかし、他の材料も実施可能である。カバー要素は、第1ブロック、第2ブロックおよびスライダの共通のカバー要素であってもよい。
【0039】
第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、マイクロ流体チャネルであってもよい。本明細書でさらに使用されるように、「マイクロ流体チャネル」という用語は、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルの、小さい、典型的にはサブミリメータでの寸法を指してよい。第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、微細製作されてもよい。以下、さらに詳細に説明する。例示的には、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、少なくとも部分的に、直径が5μm〜500μm、好ましくは20μm〜100μmの円形断面、楕円形断面または台形断面を有してもよい。さらに、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、少なくとも部分的に、幅が20μm〜500μm、好ましくは50μm〜200μm、より好ましくは100μmであり、深さが5μm〜100μm、好ましくは10μm〜50μm、より好ましくは30μmである矩形断面を有してもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。また、スライダチャネル部は、少なくとも2nlの容積を有してもよい。具体的には、スライダチャネル部は、2nl〜100nlの容積を有してもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。
【0040】
「少なくとも部分的に円形」および「少なくとも部分的に矩形」という用語は、概して、形状の少なくとも一部が円形または矩形であってもよい任意の形状を指す。しかし、この形状は、また同時に、さらなる特徴を含んでもよい。例示的には、形状は、円形と矩形の特徴の組み合わせを含んでもよい。さらに、楕円形、三角形または他の任意の多角形またはこれらの組み合わせのような他の形状も可能である。
【0041】
スライダは、余剰の流体を受容するように構成される少なくとも1つのキャビティを備えてもよい。「キャビティ」という用語は、概して、固体材料の表面内、たとえば、スライダの表面内の任意の空隙容積を指してよい。キャビティは、サブミリメートル範囲の寸法を有してもよく、したがって、微細製作されてもよい。さらに、キャビティは、円形断面、楕円形断面、多角形断面、特に長方形断面からなる群から選択される少なくとも1つの断面を有してもよい。具体的には、キャビティは、第1および第2直線チャネルに垂直に配向される少なくとも1つの直線状のキャビティチャネルを備えてもよい。
【0042】
例示的には、スライダが第1位置にある間、キャビティは、第1直線チャネルと第2直線チャネルとの間に位置してもよい。具体的には、キャビティは、試料移送装置の延在方向に垂直の、スライダの少なくとも1つの側面上に位置してもよい。具体的には、スライダは、第1ブロックに面する第1スライダ前面を備えてもよい。第1スライダ前面は、第1ブロックの第1前面上を摺動してもよい。スライダは、第2ブロックに面する第2スライダ前面をさらに備えてもよい。第2スライダ前面は、第2ブロックの第2前面上を摺動してもよい。キャビティは、第1または第2スライダ前面の一方または両方に位置してもよい。キャビティは、スライダの側面を完全に貫通してもよい。さらに、他の実施形態も実施可能である。
【0043】
「第1スライダ前面」および「第2スライダ前面」という用語は、順序を特定することなく、かつ、いくつかの種類の第1スライダ前面および第2スライダ前面が適用され得る可能性を排除することのない記述であると見なしてもよい。さらに、第3のスライダ前面のような追加のスライダ前面が適用されてもよい。
【0044】
試料移送装置は、スライダの直線方向の移動を制限するように構成される少なくとも1つのストッパをさらに備えてもよい。本明細書でさらに使用されるように、「ストッパ」という用語は、概して、さらなる要素の動きを少なくとも1つの次元において制限するように構成される任意の要素を指してよい。具体的には、ストッパは、少なくとも1つの固体材料で形成されてもよい。さらに、ストッパは、スライダの側面に面する少なくとも1つの側面を備えてもよい。ストッパの側面とスライダの側面は、相補的であってもよい。例示的に、ストッパの側面およびスライダの側面とは、平坦面であってもよく、互いに平行であってもよい。例示的には、ストッパは、少なくとも部分的にスライダを受容するように構成される少なくとも1つのレセプタクルを備えてもよい。したがって、レセプタクルの幾何学的形状は、スライダまたはスライダの部品の幾何学形状に対応してもよい。ストッパの位置は、具体的にはマイクロメータねじによって、調節可能であってもよい。ストッパの位置は、スライダの第1位置または第2位置の一方または両方を規定してもよい。
【0045】
試料移送装置は、スライダを直線方向に移動させるように構成される少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えてもよい。本明細書でさらに使用されるように、「アクチュエータ」という用語は、機構またはシステムを移動または制御するように構成される任意の要素を指す。具体的には、アクチュエータは、スライダを第1位置から第2位置に、およびその逆に移動させるように構成されてもよい。アクチュエータは、エネルギー源、典型的には電流または機械的圧力によって作動され、エネルギーを運動に変換してもよい。アクチュエータは、機械式アクチュエータ、電磁アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、からなる群から選択されてもよい。しかし、他の種類のアクチュエータが適用されてもよい。
【0046】
具体的には、アクチュエータは、第1の作動位置および第2の作動位置のみを有するバイモーダルアクチュエータであってもよく、第1の作動位置ではスライダは第1位置にあり、第2の作動位置ではスライダは第2位置にある。「第1の作動位置」および「第2の作動位置」という用語は、順序を特定することなく、かつ、いくつかの第1の作動位置および第2の作動位置が適用され得る可能性を排除することのない記述であると見なしてもよい。さらに、第3の作動位置のような追加の作動位置が適用されてもよい。
【0047】
例示的には、第1ブロックは、少なくとも1つの第5ポートを備えることができ、第2ブロックは、少なくとも1つの第6ポートを備えてもよい。第1位置では、第5ポートと第6ポートとの間に、さらなる直線チャネルが形成されてもよい。さらなる直線チャネルは、洗浄のため、プラグを位置決めするため、または消化、複合化、スタッキング、動的pHジャンクション、過渡的等速電気泳動、または誘導体化のための試薬を挿入するための少なくとも1つの流体を提供するように構成されてもよい。さらなる直線チャネルは、上述したような、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルと同じ特性を有してもよい。試料移送装置は、第5ポートに流体を供給するための少なくとも1つのポンプ、好ましくは少なくとも1つのシリンジポンプをさらに備えてもよい。
【0048】
具体的には、試料移送装置は、少なくとも2つのスライダ、好ましくは少なくとも3つのスライダを備えてもよい。スライダは、平行に配向されてもよい。スライダは、第1ブロックと第2ブロックとの間に、互いに隣り合って位置してもよい。第1ブロックは、少なくとも1つの第7ポートおよび少なくとも1つの第8ポートを備えてもよい。第2ブロックは、少なくとも1つの第9ポートおよび少なくとも1つの第10ポートを備えてもよい。第1位置において、第3直線チャネルが、第7ポートと第9ポートとの間に画定され、第4直線チャネルが、第8ポートと第10ポートとの間に画定される。第3チャネルおよび第4チャネルは、洗浄用の流体、誘導体化試薬、スタッキングのための物質、動的pHジャンクション技術のための物質、過渡的等速電気泳動のための流体、複合化のための流体、消化試薬からなる群から選択される少なくとも1つの流体を提供するように構成されてもよい。
【0049】
本発明のさらなる態様において、試料を分析するための分析システムを開示する。本明細書でさらに使用されるように、「システム」という用語は、少なくとも1つの共通機能を達成するために相互作用してもよい、少なくとも2つの要素からなるグループを指す。少なくとも2つの構成要素は、共通の構成要素を形成するために、独立して取り扱われてもよく、または結合されてもよく、接続可能または統合可能であってもよい。したがって、「分析システム」は、概して、少なくとも1つの試料移送、および少なくとも1つの分析解析、具体的には、試料の分析物の少なくとも1つの分析的検出を行うために相互作用することが可能である、少なくとも2つの要素または構成要素からなるグループを指す。分析システムは、概して、分析キット、センサシステムまたは測定システムとも呼称されてもよい。
【0050】
分析システムは、上述したような、または以下に説明するような、任意の実施形態による試料移送装置を備える。しかし、他の実施形態も実施可能であることに留意されたい。分析装置は、試料移送装置に流体接続される少なくとも1つの分析装置をさらに備える。
【0051】
「分析装置」という用語は、概して、少なくとも1つの分析測定を行うように構成される任意の装置を指す。分析装置は、好ましくは、試料移送装置とは独立して取り扱われ得る電子装置であってもよい。分析装置は、試料の分析物の少なくとも1つの情報を導出するために、試料移送装置と相互作用するように適合されてもよい。具体的には、分析装置は、以下にさらに詳細に説明するように、分析物により生成される少なくとも1つの信号を検出するように適合されてもよい。このように、分析装置は、少なくとも1つの信号から、分析物の少なくとも1つの情報を導出するための少なくとも1つの電子評価装置を備えてもよい。このように、分析装置は、少なくとも1つのデータ処理装置、たとえばマイクロコントローラを備える少なくとも1つの評価ユニットを備えてもよい。
【0052】
分析装置は、具体的には、試料分離装置、好ましくはキャピラリ電気泳動装置;質量分析装置、好ましくはマトリックス補助レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析計、より好ましくはエレクトロスプレイイオン化質量分析計;キャピラリ等電点電気泳動装置;等速電気泳動装置;クロマトグラフ、好ましくは液体クロマトグラフおよびガスクロマトグラフからなる群から選択されるクロマトグラフ、より好ましくは高速液体クロマトグラフ;サイズ排除クロマトグラフ;イオン交換クロマトグラフ;アフィニティークロマトグラフ;キャピラリ電気クロマトグラフ(CEC);ミセル動電クロマトグラフ(MEKC);イオン交換クロマトグラフと逆相液体クロマトグラフとの組合せ;フラクションコレクタ;からなる群から選択されてもよい。具体的には、液体クロマトグラフは、通常の相分離および/または逆相分離を行うように構成されてもよい。
【0053】
「流体的に」という用語は、概して、2つ以上の要素が接続され、それによって2つの要素の一方から他方の要素への、またはその逆の任意の流体媒体の移送が提供されるという特性を指してよい。例示的に、分析装置は、少なくとも1つのキャピラリを介して試料移送装置に接続されてもよい。具体的には、第1ポート、第2ポート、第3ポートおよび第4ポートからなる群から選択される少なくとも1つのポートは、好ましくは、少なくとも1つのキャピラリを介して、少なくとも1つの分析装置に接続されてもよい。「キャピラリ」という用語は、概して、小さな管のような、任意の、小さな細長い空隙容積を指す。概して、キャピラリは、サブミリメートル範囲の寸法を有してもよい。概して、流体媒体は、毛管作用によってキャピラリを通って移動してもよく、流体媒体は、流体媒体と流体媒体に面するキャピラリの表面との間の分子間力による引力のような外力の補助なしにキャピラリの狭い空間内に流動することができる。
【0054】
例示的には、分析システムは、少なくとも2つの分析装置を備えてもよい。少なくとも1つの第1分析装置は、第1ブロックに接続されてもよく、少なくとも1つの第2分析装置は、第2ブロックに接続されてもよい。第1および第2分析装置は、同一の種類の分析装置であっても、異なる種類の分析装置であってもよい。少なくとも1つの第1分析装置は、第1ブロックの異なるポートに接続される少なくとも2つの第1分析装置を含んでもよい。少なくとも1つの第2分析装置は、第2ブロックの異なるポートに接続される少なくとも2つの第2分析装置を含んでもよい。
【0055】
本発明のさらなる態様において、試料移送方法、上で説明した、または以下に説明する実施形態のいずれかの試料移送装置を用いた方法、および上で説明した、または以下に説明する実施形態のいずれかの試料移送装置を製造する方法を開示する。
【0056】
方法は、独立請求項に記載され、以下のように列挙される方法ステップを含む。方法ステップは、示される順序で実行されてもよい。しかし、方法ステップの他の順序も実施可能である。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数は、並行しておよび/または時間上では重複して実行されてもよい。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数は繰り返し実行されてもよい。さらに、列挙されていない追加の方法ステップが存在してもよい。
【0057】
試料移送方法は、以下のステップを含む。
a)試料を試料移送装置の第2直線チャネルに供給するステップ。
b)スライダを第1位置から第2位置へと直線移動させることにより、試料の少なくとも一部を試料移送装置の第1直線チャネルに移送するステップ。
【0058】
試料移送装置は、上で説明した、または以下に説明する1つまたは複数の実施形態に従い、上で概説したように実施されてもよい。しかしながら、他の実施形態も実施可能であることに留意されたい。
【0059】
本明細書でさらに使用されるように、「供給」という用語は、概して、材料または試料を有する任意の自由容積を追加または充填する任意のプロセスを指してよい。したがって、自由容積は、材料または試料に流体接続されてもよい。これにより、材料または試料は、上で説明した、または以下に説明する能動的または受動的搬送により自由容積に移送されてもよい。
【0060】
ステップa)を実行する前に、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルが、少なくとも1つの流体で同時に洗浄されてもよい。さらに、ステップa)を実行する前に、試料が、具体的には、試料移送装置の第2ポートまたは第4ポートに接続された少なくとも1つのキャピラリによって第2直線チャネルに注入されてもよい。例示的には、キャピラリ電気泳動装置は、第2ポートおよび第4ポートに接続されてもよく、ステップa)の実行中に第2直線チャネルに電位が印加されてもよい。
【0061】
スライダは、5秒未満で、好ましくは1秒未満で、より好ましくは550ミリセカンド未満で、最も好ましくは500ミリセカンド以下で、第1位置から第2位置へ、またはその逆に移動させられてもよい。ステップb)は、具体的には、試料の所定の分析物が、スライダ上に位置する第2直線チャネルのスライダチャネル部に位置決めされるときに、実行されてもよい。第2直線チャネル内の分析物の位置は、概して、少なくとも1つの光学技術を用いて判定されてもよい。「光学技術」という用語は、概して、材料または試料の少なくとも1つの光学的特性を判定する任意の技術を指してよい。このように、試料移送方法は、以下のステップをさらに含んでもよい。
c)分析物を検出するステップであって、第1ポートおよび/または第3ポートが、少なくとも1つの分析装置に接続されている、ステップ。
【0062】
分析装置は、例示的には、質量分析装置であってもよい。本明細書でさらに使用される、「検出する」という用語は、概して、少なくとも1つの分析物の有無および/または量および/または濃度を判定するプロセスを指す。したがって、検出は、単純に、少なくとも1つの分析物が存在すること、または少なくとも1つの分析物が存在しないことを判定する定性的な検出であってもよく、および/または少なくとも1つの分析物の量および/または濃度を判定する定量的な検出であってもよい。検出の結果、少なくとも1つの測定信号のような、検出の結果を特徴付ける少なくとも1つの信号が生成されてもよい。
【0063】
本明細書でさらに使用されるように、「濃度を判定する」という用語は、概して、試料中の分析物の濃度を示す、少なくとも1つの代表的な結果または複数の代表的な結果を生成するプロセスを指す。
【0064】
たとえば、試料移送装置は、第1ブロックと第2ブロックとの間に位置する少なくとも2つのさらなるスライダをさらに備えてもよい。第1ブロックは、少なくとも1つの第7ポートおよび少なくとも1つの第8ポートを備えてもよい。第2ブロックは、少なくとも1つの第9ポートおよび少なくとも1つの第10ポートを備えてもよい。2つのさらなるスライダは、第1位置で移動させられてもよい。第1位置において、第3直線チャネルが第7ポートと第9ポートとの間に画定されてもよく、第4直線チャネルが第8ポートと第10ポートとの間に画定されてもよい。第1位置において、第1直線チャネル、第2直線チャネル、第3直線チャネル、第4直線チャネルからなる群から選択される少なくとも1つのチャネルが、洗浄用の流体、誘導体化試薬、スタッキングのための物質、動的pHジャンクション技術のための物質、過渡的等速電気泳動のための流体、複合化のための流体、消化試薬からなる群から選択される少なくとも1つの流体で洗浄されてもよい。具体的には、第2位置において、スライダと2つのさらなるスライダとが、第1直線チャネルが形成されるように直線移動させられる。
【0065】
試料移送装置の製造方法は、以下のステップを含む。ここでも、方法ステップは、示される順序で実行されてもよい。しかし、方法ステップの他の順序も実施可能である。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数は、並行しておよび/または時間上では重複して実行されてもよい。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数は繰り返し実行されてもよい。さらに、列挙されていない追加の方法ステップが存在してもよい。試料移送装置の製造方法に含まれる方法ステップは、以下のとおりである。
I.少なくとも1つの基板を提供するステップ。
II.少なくとも2つの直線チャネルを基板の表面上に生成するステップ。
III.少なくとも1つの第1ブロック、少なくとも1つのスライダおよび少なくとも1つの第2ブロックを形成するために基板を切断し、切断中に、少なくとも2つの直線状の分離線を生成するステップ。
【0066】
試料移送装置は、上で説明した、または以下に説明する実施形態の1つまたは複数に従い、上で概説したように実施されてもよい。しかしながら、他の実施形態も実施可能であることに留意されたい。
【0067】
基板は、ガラス、特にシリカガラス;ポリマー、特に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー;セラミック材料;および半導体材料、好ましくは半導体ウェハからなる群から選択される少なくとも1つの材料で形成されてもよい。しかし、他の材料も実施可能である。チャネルは、開放チャネル、好ましくは溝であってもよい。少なくとも2つの直線チャネルが、少なくとも1つの微細構造技術を用いて生成されてもよい。「微細構造技術」という用語は、概して、任意の材料の表面上にサブミリメートルスケールの寸法を有する1つまたは複数の構造体を生成するように構成される任意の技術を参照してもよい。具体的には、2つの直線チャネルは、エッチングによって、特にフッ化水素酸を利用して生成されてもよい。本明細書でさらに使用されるように、「エッチング」という用語は、材料の表面上に少なくとも1つのレリーフを生成するために、少なくとも1つの酸または腐食剤を使用する任意のプロセスを指してよい。エッチングは、フォトエッチングも含んでもよく、材料は、感光性コーティングのような少なくとも1つの感光性ポリマーを含み、光がネガ像として投影されてそれを露出させる。また、他のエッチング方法も可能である。さらに、微細構造技術は、リソグラフィ、レーザアブレーション、エンボス加工の1つまたは複数を含んでもよい。「リソグラフィ」という用語は、概して、任意のパターニング方法を指してよく、材料がサブミリメートルスケールなどの微細なスケールで構造化されていてもよい。典型的には、パターニング方法は、マイクロチップのような半導体材料に適用されてもよい。概して、パターニング方法は、最終パターンが導出される材料として、組み立て式のフォトマスクを利用してもよい。「レーザアブレーション」という用語は、概して、表面にレーザビームを正確な時間で照射することにより、表面から材料の少なくとも一部を除去する任意のプロセスを指してよい。これにより、材料が加熱され、そして蒸発または昇華され得る。「エンボス加工」という用語は、概して、レリーフを材料へと、具体的には、金属材料へと加工するための任意のプロセスを指してよい。例示的には、プロセスは、所望のパターンのロール間に材料のシートまたはストリップを通過させることを含んでもよい。しかし、上述の方法の他の実施形態、およびさらなる方法が適用されてもよい。
【0068】
さらに、2つの直線チャネルは、少なくとも1つのコーティング材料でコーティングされてもよい。コーティング材料は、界面活性剤、またはチャネルの表面に対するタンパク質の付着を少なくとも部分的に防止するように構成される材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例示的には、Target Discovery社(米国、カリフォルニア州 パロアルト)よりダイナミックコーティングとして入手されるUltra Trol(商標) dynamic Pre−Coat LNが適用されてもよい。コーティングは、利用される分析物および洗浄溶液に応じて、1〜20回ごとに更新されなければならない可能性がある。追加的にまたは代替的に、ポリビニルアルコールが適用されてもよい。一般的には、コーティングがポリビニルアルコールを含む場合、通常、Ultra Trol(商標) dynamic Pre−Coat LNの場合よりも長い時間間隔で更新されなければならない永続的なコーティングが提供されてもよい。さらに、追加的にまたは代替的に、ポリアクリルアミド、ヒプロメロースおよび/またはポリデキストランの多重層が適用されてもよい。
【0069】
方法は、チャネルを上で説明した、または以下に説明する少なくとも1つのカバー要素で少なくとも部分的に被覆することをさらに含んでもよい。カバー要素は、カバープレート、ウェハまたはガラスプレートのうちの少なくとも1つを含んでもよい。カバー要素は、第1ブロック、第2ブロックまたはスライダのうちの1つまたは複数に結合されてもよい。「結合」という用語は、概して、2つ以上の表面を、具体的には化学結合により互いに組み立てる任意のプロセスを指してよい。例示的には、結合は、少なくとも1つの熱処理によって行われてもよい。さらに、他の方法も実施可能である。方法は、上で説明した、または以下に説明するように、2つの直線チャネルの端部をキャピラリに接続することをさらに含んでもよい。2つの直線チャネルは、接着剤などによる接着力によってキャピラリに接続されてもよい。しかし、他の方法も実施可能である。
【0070】
さらに、複合試料、生物由来の試料、天然物質の抽出物、好ましくは、タンパク質試料またはペプチド試料、好ましくは、ハーブ、植物、生物/組織、医薬品、好ましくは、活性医薬成分を特徴付けるための医薬品、賦形剤および/または不純物の多次元分離、具体的には、包括的またはハートカット2次元分離;タンパク質電荷変異体の質量分析検出;プロテオフォームの質量分析検出;非揮発性物質を質量分析計に対し使用する電気駆動分離技術の干渉フリー接続、分析物と質量分析干渉物質との分離からなる群から選択される少なくとも1つの使用目的のための、上で説明した、または以下に説明する任意の実施形態による試料移送装置の使用法が開示される。
【0071】
提案する試料移送装置、提案する、試料を分析するための分析システム、提案する、試料移送方法、および提案する、試料移送装置を製造方法は、既知の装置および方法に対し多くの利点を提供する。
【0072】
本発明は、概して、具体的には、多様かつ離散的なマイクロ流体および/または電気泳動試料分離技術を組み合わせるように構成される、2nl〜100nlの範囲の移送体積を有する平坦な機械式試料移送装置の概念を開示する。概して、チップ上にマイクロ流体チャネルを適用することにより、試料が、異なるチャネルから移送されてもよい。2つの位置の間で移動可能なスライダを適用することによって、移送が行われてもよい。
【0073】
試料移送装置は、上述のように、具体的には、第1の次元と第2の次元との間で分析物の内側および外側への移動を可能にしてもよい。したがって、質量分析技術と互換性のある第2の分離技術を介して、分離技術が質量分析技術と組み合わされてもよい。移送体積は、スライダの幅により適合されてもよい。試料移送装置は、具体的には、以下、特にタンパク質および/またはオリゴヌクレオチドに対する、少なくとも1つの電気移動分離技術、たとえば、2次元キャピラリゾーン電気泳動−質量分析法(CZE−CZE−MS);特にモノクローナル抗体および/または電荷変異体を含むタンパク質に対する、キャピラリ等電点電気泳動毛管ゾーン電気泳動−質量分析(CIEF−CZE−MS)またはキャピラリ等電点電気泳動液体クロマトグラフィー−質量分析法(CIEF−LC−MS);イオンクロマトグラフィーキャピラリゾーン電気泳動−質量分析(IC−CZE−MS);液体クロマトグラフィーキャピラリゾーン電気泳動−質量分析(LC−CZE−MS)のうちの少なくとも1つと組み合わせることができる。
【0074】
さらに、試料移送装置を製造するために、多様な材料、特にガラスが適用されてもよい。具体的には、ガラス、セラミックおよび/またはポリマーのような化学的に不活性な材料が適用されてもよい。したがって、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルは、すべての一般的な化学物質で洗浄および/またはコーティングされてもよい。
【0075】
さらに、平坦な直線チャネルを適用することによって、電圧降下および/または試料の漏洩が少なくとも部分的に回避されてもよい。逆に、最先端技術では、概して、チャネル内に曲線および凹凸を含む概念が示される。
【0076】
また、第1直線チャネルと第2直線チャネルとは、少なくとも5mm〜50mmの距離だけ分離されてもよい。概して、第1直線チャネルと第2直線チャネルとの間の距離がより大きい場合、制限がなくてもよい。特に、数センチメートルの範囲の距離が適用されてもよい。したがって、高電圧が印加されてもよい。これは特に、試料の最適な分離を達成するために必要であってもよい。さらに、具体的には、400kV/mm〜1000kV/mmの範囲の高い絶縁耐力を示すシリカガラスが適用されてもよい。概して最新技術では、チャネルがそれぞれ約0.5mmの距離だけ離れている分離装置が示される。さらに、一般にポリマーが適用され、ポリマーは、10kV/mm〜30kV/mmの範囲の絶縁耐力を示す。
【0077】
また、具体的には、第1ブロック、第2ブロックおよびスライダは、一枚の基板を複数の部分に切断することにより製造されてもよい。これにより、基板を切断する前に、基板の表面に第1直線チャネルおよび第2直線チャネルが生成されてもよい。したがって、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルならびに/またはチャネル部の互いに対する正確な位置が提供されてもよい。これにより、第1ブロック、第2ブロックおよび/またはスライダ間の試料の移送中の問題が、少なくとも部分的に回避されてもよい。
【0078】
さらに、具体的には、試料移送装置は、簡単な方法で製造されてもよい。具体的には、確立された製造プロセスが適用されてもよい。概して、微細構造化のためのすべての一般的な技術が適用されてもよい。移送ボリュームは、スライダの幅を調整することにより適合させられてもよい。最大2nlまでの最小移送体積が可能であってもよい。さらに、第1直線チャネルおよび第2直線チャネル、そしてさらなる直線チャネルが、並行して、かつ互いに独立して洗浄および/またはコーティングされてもよい。第1直線チャネルおよび第2直線チャネル、そしてさらなる直線チャネルは、具体的には、互いに機械的に分離されてもよく、膜の適用が必要でなくてもよい。したがって、あらゆる種類の一般的な化学薬品が適用されてもよい。
【0079】
試料移送装置は、具体的には、ばね要素および/またはクランプを備えるフレーム内に位置決めされてもよい。したがって、第1ブロック、第2ブロックおよび/またはスライダを圧縮するように構成され得る圧力は、調節可能であってもよい。具体的には、圧力は、研磨および/またはコーティングによる漏洩を少なくとも部分的に回避するように構成されてもよいため、したがって、試料または他の流体の損失のない、第1の次元と第2の次元との間の移送、およびスライダの移動がもたらされる。
【0080】
さらに、第1直線チャネルおよび第2直線チャネルおよび/またはさらなる直線チャネルの間のキャビティが、第1ブロック、第2ブロックおよび/またはスライダ上に位置してもよい。これにより、スライダの移動中に、第1ブロックとスライダとの間、または第2ブロックとスライダとの間に存在し得る流体が収集されてもよい。したがって、第1の次元と第2の次元との間の流体的および/または電気的な接続が回避されてもよい。さらに、洗浄の異なるステップが、具体的には、さらなる直線チャネルを適用すること、およびスライダを反対方向に任意に移動させることによって、試料移送方法と組み合わされてもよい。
【0081】
本発明の知見を要約すると、以下の実施形態が好ましい。
【0082】
実施形態1:試料移送装置、特に、高分解能分析および/または診断に使用するための試料移送装置であって、
少なくとも1つの第1ブロックおよび少なくとも1つの第2ブロックと、
少なくとも1つのスライダと、
を備え、
第1ブロックは、少なくとも1つの第1ポートおよび少なくとも1つの第2ポートを備え、第2ブロックは、少なくとも1つの第3ポートおよび少なくとも1つの第4ポートを備え、
スライダは、第1ブロックと第2ブロックとの間に位置し、第1位置から第2位置に、およびその逆に摺動するように構成され、
第1位置および第2位置の両方において、第1直線チャネルが、第1ポートと第3ポートとの間に形成され、第2直線チャネルが、第2ポートと第4ポートとの間に形成されている、
試料移送装置。
【0083】
実施形態2:スライダは、第1位置から第2位置に、およびその逆に線形摺動移動を行うように構成されるリニアスライダである、実施形態1の試料移送装置。
【0084】
実施形態3:第1ブロック、第2ブロックおよびスライダは、それぞれ直線チャネル部を備える、上記実施形態のいずれか1つの試料移送装置。
【0085】
実施形態4:チャネル部は、略平行に配向されている、実施形態3の試料搬送装置。
【0086】
実施形態5:チャネル部は、すべて、第1ブロック、第2ブロック、およびスライダそれぞれの表面に溝として形成されている、実施形態3または4の試料移送装置。
【0087】
実施形態6:溝は、少なくとも1つのカバー要素によって少なくとも部分的に被覆されている、実施形態5の試料移送装置。
【0088】
実施形態7:カバー要素は、第1ブロック、第2ブロックおよびスライダの共通カバー要素である、実施形態6の試料移送装置。
【0089】
実施形態8:第1直線チャネルと第2直線チャネルとは、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、より好ましくは少なくとも15mmの距離だけ分離される、実施形態1〜7のいずれか1つの試料移送装置。
【0090】
実施形態9:第1直線チャネルと第2直線チャネルとは、5mm〜15mmの距離だけ分離される、実施形態1〜8のいずれか1つの試料移送装置。
【0091】
実施形態10:第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、マイクロ流体チャネルである、実施形態1〜9のいずれか1つの試料移送装置。
【0092】
実施形態11:第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、少なくとも部分的に、直径が5μm〜500μm、好ましくは20μm〜100μmの円形断面を有している、実施形態10の試料移送装置。
【0093】
実施形態12:第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、少なくとも部分的に、幅が20μm〜500μm、好ましくは50μm〜200μm、より好ましくは100μmであり、深さが5μm〜100μm、好ましくは10μm〜50μm、より好ましくは30μmである矩形断面を有している、実施形態11または12の試料移送装置。
【0094】
実施形態13:第1直線チャネルおよび第2直線チャネルは、一定の断面を有している、実施形態1〜12のいずれか1つの試料移送装置。
【0095】
実施形態14:第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルは、第1ブロックおよび第2ブロック上に位置する少なくとも2つの直線チャネル部、ならびにスライダ上に位置する少なくとも1つのスライダチャネル部を備える、実施形態1〜13のいずれか1つの試料移送装置。
【0096】
実施形態15:チャネル部およびスライダチャネル部は、実質的に同一の断面を有している、実施形態14の試料移送装置。
【0097】
実施形態16:スライダチャネル部は、少なくとも2nlの体積を有している、実施形態14または15の試料移送装置。
【0098】
実施形態17:スライダチャネル部は、2nl〜100nlの体積を有している、実施形態14〜16のいずれか1つの試料移送装置。
【0099】
実施形態18:スライダは、20mm未満、好ましくは10mm未満の幅を有している、実施形態1〜17のいずれか1つの試料移送装置。
【0100】
実施形態19:スライダは、2mm〜20mmの幅を有している、実施形態1〜18のいずれか1つの試料移送装置。
【0101】
実施形態20:第1ブロックは、少なくとも1つの第5ポートを備え、第2ブロックは、少なくとも1つの第6ポートを備え、第1位置では、第5ポートと第6ポートとの間に、さらなる直線チャネルが形成されている、実施形態1〜19のいずれか1つの試料移送装置。
【0102】
実施形態21:さらなる直線チャネルは、洗浄のための少なくとも1つの流体を提供するように構成される、実施形態20の試料移送装置。
【0103】
実施形態22:試料移送装置は、第5ポートに流体を供給するための少なくとも1つのポンプ、好ましくは少なくとも1つのシリンジポンプをさらに備える、実施形態21の試料移送装置。
【0104】
実施形態23:試料移送装置は、スライダの直線方向の移動を制限するように構成される少なくとも1つのストッパをさらに備える、実施形態1〜22の試料移送装置。
【0105】
実施形態24:ストッパの位置は、具体的にはマイクロメータねじによって、調節可能である、実施形態23の試料移送装置。
【0106】
実施形態25:少なくとも1つのストッパの位置が、スライダの第1位置または第2位置の一方または両方を規定する、実施形態23または24の試料移送装置。
【0107】
実施形態26:スライダを直線方向に移動させるように構成される少なくとも1つのアクチュエータをさらに備える、実施形態1〜25のいずれか1つの試料移送装置。
【0108】
実施形態27:アクチュエータは、機械式アクチュエータ、電磁アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、からなる群から選択される、実施形態26の試料移送装置。
【0109】
実施形態28:アクチュエータは、第1の作動位置および第2の作動位置のみを有するバイモーダルアクチュエータであり、第1の作動位置ではスライダは第1位置にあり、第2の作動位置ではスライダは第2位置にある、実施形態26または27の試料移送装置。
【0110】
実施形態29:第1ブロック、第2ブロックおよびスライダは、ばね要素および/またはクランプ要素を介して凝縮され、ばね要素および/またはクランプは調節可能である、実施形態1〜28のいずれか1つの試料移送装置。
【0111】
実施形態30:スライダは、余剰の流体を受容するように構成される少なくとも1つのキャビティ176を備える、実施形態1〜29のいずれか1つの試料移送装置。
【0112】
実施形態31:キャビティは、スライダが第1位置にあるときに、第1直線チャネルと第2直線チャネルとの間に位置する、実施形態30の試料移送装置。
【0113】
実施形態32:キャビティは、試料移送装置の延在方向に垂直のスライダの少なくとも1つの側面上に位置する、実施形態30または31の試料移送装置。
【0114】
実施形態33:キャビティは、スライダの側面を完全に貫通する、実施形態30〜32のいずれか1つの試料移送装置。
【0115】
実施形態34:キャビティは、円形断面、楕円形断面、多角形断面、特に長方形断面からなる群から選択される少なくとも1つの断面を有している、実施形態30〜33のいずれか1つの試料移送装置。
【0116】
実施形態35:キャビティは、第1および第2直線チャネルに垂直に配向される少なくとも1つの直線状のキャビティチャネルを備える、実施形態30〜34のいずれか1つの試料移送装置。
【0117】
実施形態36:スライダは、第1ブロックに面する第1スライダ前面を備え、第1スライダ前面は、第1ブロックの第1前面上を摺動し、スライダは、第2ブロックに面する第2スライダ前面をさらに備え、第2スライダ前面は、第2ブロックの第2前面上を摺動し、キャビティは、第1または第2スライダ前面の一方または両方に位置する、実施形態30〜35のいずれか1つの試料移送装置。
【0118】
実施形態37:試料移送装置は、少なくとも2つのスライダ、好ましくは少なくとも3つのスライダを備える、実施形態1〜36のいずれか1つの試料移送装置。
【0119】
実施形態38:スライダは、平行に配向される、実施形態37の試料移送装置。
【0120】
実施形態39:スライダは、互いに隣り合って、第1ブロックと第2ブロックとの間に位置する、実施形態37または38の試料移送装置。
【0121】
実施形態40:第1ブロックは、少なくとも1つの第7ポートおよび少なくとも1つの第8ポートを備え、第2ブロックは、少なくとも1つの第9ポートおよび少なくとも1つの第10ポートを備え、第1位置において、第3直線チャネルが、第7ポートと第9ポートとの間に画定され、第4直線チャネルが、第8ポートと第10ポートとの間に画定される、実施形態37〜39のいずれか1つの試料移送装置。
【0122】
実施形態41:第3チャネルおよび第4チャネルは、洗浄用の流体、誘導体化試薬、スタッキングのための物質、動的pHジャンクション技術のための物質、複合化のための流体、消化のための流体、特にタンパク質消化のための流体、過渡的等速電気泳動のための流体、誘導体化のための流体からなる群から選択される少なくとも1つの流体を提供するように構成される、実施形態40の試料移送装置。
【0123】
実施形態42:試料を分析するための分析システムであって、実施形態1〜40のいずれか1つの試料移送装置を備え、試料移送装置に流体接続される少なくとも1つの分析装置をさらに備える、分析システム。
【0124】
実施形態43:第1ポート、第2ポート、第3ポートおよび第4ポートからなる群から選択される少なくとも1つのポートは、好ましくは、少なくとも1つのキャピラリを介して、少なくとも1つの分析装置に接続される、実施形態42の分析システム。
【0125】
実施形態44:分析装置は、試料分離装置、好ましくはキャピラリ電気泳動装置;
質量分析装置、好ましくはマトリックス補助レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析計、より好ましくはエレクトロスプレイイオン化質量分析計;
キャピラリ等電点電気泳動装置;
クロマトグラフ、好ましくは液体クロマトグラフおよびガスクロマトグラフからなる群から選択されるクロマトグラフ、より好ましくは高速液体クロマトグラフ;
サイズ排除クロマトグラフ;
イオン交換クロマトグラフ;
アフィニティークロマトグラフ;
キャピラリ電気クロマトグラフ;
ミセル動電クロマトグラフ;
イオン交換クロマトグラフと逆相液体クロマトグラフとの組合せ;
フラクションコレクタ;
からなる群から選択される、実施形態42または43の分析システム。
【0126】
実施形態45:分析システムは、少なくとも2つの分析装置を備え、少なくとも1つの第1分析装置は、第1ブロックに接続され、少なくとも1つの第2分析装置は、第2ブロックに接続される、実施形態42〜44のいずれか1つの分析システム。
【0127】
実施形態46:第1および第2分析装置は、同一の種類、または異なる種類の分析装置である、実施形態45の分析システム。
【0128】
実施形態47:少なくとも1つの第1分析装置は、第1ブロックの異なるポートに接続される少なくとも2つの第1分析装置を備える、実施形態45または46の分析システム。
【0129】
実施形態48:少なくとも1つの第2分析装置は、第2ブロックの異なるポートに接続される少なくとも2つの第2分析装置を備える、実施形態45〜47のいずれか1つの分析システム。
【0130】
実施形態49:試料移送方法であって、
試料移送装置に関する実施形態1〜41のいずれかの試料移送装置を用い、
a)試料を試料移送装置の第2直線チャネル内に供給するステップと、
b)試料の少なくとも一部を、スライダを第1位置から第2位置に直線移動させることにより、試料移送装置の第1直線チャネルに移動させるステップと、
を含む、
方法。
【0131】
実施形態50:ステップa)を実行する前に、第1直線チャネルおよび/または第2直線チャネルが、少なくとも1つの流体で同時に洗浄される、実施形態49の試料移送方法。
【0132】
実施形態51:ステップa)を実行する前に、試料が、具体的には、試料移送装置の第2ポートまたは第4ポートに接続された少なくとも1つのキャピラリによって第2直線チャネルに注入される、試料移送方法に関する実施形態49または50の試料移送方法。
【0133】
実施形態52:キャピラリ電気泳動装置は、第2ポートおよび第4ポートに接続されて、ステップa)の実行中に第2直線チャネルに電位が印加される、実施形態51の試料移送方法。
【0134】
実施形態53:試料の所定の分析物が、スライダ上に位置する第2直線チャネルの第2スライダチャネル部に位置決めされるときに、ステップb)が実行される、試料移送方法に関する実施形態49〜52のいずれか1つの試料移送方法。
【0135】
実施形態54:第2直線チャネル内の分析物の位置は、少なくとも1つの光学技術を用いて判定される、実施形態53の試料移送方法。
【0136】
実施形態55:試料移送方法は、
c)分析物を検出するステップであって、第1ポートおよび/または第3ポートが少なくとも1つの分析装置に接続されているステップ
をさらに備える、試料移送方法に関する実施形態49〜54のいずれか1つの試料移送方法。
【0137】
実施形態56:分析装置は、質量分析装置である、実施形態55の試料移送方法。
【0138】
実施形態57:試料移送装置は、第1ブロックと第2ブロックとの間に位置する少なくとも2つのさらなるスライダをさらに備え、第1ブロックは、少なくとも1つの第7ポートおよび少なくとも1つの第8ポートを備え、第2ブロックは、少なくとも1つの第9ポートおよび少なくとも1つの第10ポートを備え、2つのさらなるスライダは、第1位置で移動させられ、第1位置において、第3直線チャネルが第7ポートと第9ポートとの間に画定され、第4直線チャネルが第8ポートと第10ポートとの間に画定される、試料移送方法に関する実施形態49〜56のいずれか1つの試料移送方法。
【0139】
実施形態58:第1位置において、第1直線チャネル、第2直線チャネル、第2直線チャネル、第4直線チャネルからなる群から選択される少なくとも1つのチャネルが、洗浄用の流体、誘導体化試薬、スタッキングのための物質、動的pHジャンクション技術のための物質、過渡的等速電気泳動のための流体、複合化のための流体、消化のための流体、特にタンパク質消化のための流体、過渡的等速電気泳動のための流体、誘導体化のための流体からなる群から選択される少なくとも1つの流体で洗浄される、実施形態57の試料移送方法。
【0140】
実施形態59:スライダと2つのさらなるスライダとが、第1直線チャネルが形成されるように直線移動させられる、実施形態57または58の試料移送方法。
【0141】
実施形態60:スライダは、5秒未満で、好ましくは1秒未満で、より好ましくは500ミリセカンド未満で、第1位置から第2位置へ、またはその逆に移動させられ、試料移送方法に関する実施形態49〜59のいずれか1つの試料移送方法。
【0142】
実施形態61:試料移送装置に関する実施形態1〜41のいずれか1つの試料移送装置の製造方法であって、
I.少なくとも1つの基板を提供するステップと、
II.少なくとも1つの第1直線チャネルおよび少なくとも1つの第2直線チャネルを基板の表面上に生成するステップと、
III.少なくとも1つの第1ブロック、少なくとも1つのスライダ、および少なくとも1つの第2ブロックを形成するために基板を切断するステップであって、切断中に、少なくとも2つの直線状の分離線が生成されるステップと、
を含む、
方法。
【0143】
実施形態62:基板は、ガラス、特にシリカガラス;ポリマー、特に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー;セラミック材料;および半導体材料、好ましくは半導体ウェハからなる群から選択される少なくとも1つの材料で形成され、実施形態61の試料移送装置の製造方法。
【0144】
実施形態63:少なくとも2つの直線チャネルが、少なくとも1つの微細構造技術、好ましくはエッチング、リソグラフィ、レーザアブレーション、エンボス加工のうちの1つまたは複数を用いて生成される、試料移送装置の製造方法に関する実施形態61または62の試料移送装置の製造方法。
【0145】
実施形態64:2つの直線チャネルは、エッチングによって、特にフッ化水素酸を利用して生成される、実施形態63の試料移送装置の製造方法。
【0146】
実施形態65:2つの直線チャネルは、少なくとも1つのコーティング材料でコーティングされる、試料移送装置の製造方法に関する実施形態61〜64の試料移送装置の製造方法。
【0147】
実施形態66:コーティング材料は、界面活性剤、またはチャネルの表面に対するタンパク質の付着を少なくとも部分的に防止するように構成される材料のうちの少なくとも1つを含む、実施形態65の試料移送装置の製造方法。
【0148】
実施形態67:チャネルは、開放チャネル、好ましくは溝である、試料移送装置の製造方法に関する実施形態61〜66の試料移送装置の製造方法。
【0149】
実施形態68:方法は、チャネルを少なくとも1つのカバー要素で少なくとも部分的に被覆することをさらに含む、試料移送装置の製造方法に関する実施形態61〜67の試料移送装置の製造方法。
【0150】
実施形態69:カバー要素は、カバープレート、ウェハまたはガラスプレートのうちの少なくとも1つを含む、実施形態68の試料移送装置の製造方法。
【0151】
実施形態70:カバー要素は、第1ブロック、第2ブロックまたはスライダのうちの1つまたは複数に結合される、実施形態68または69の試料移送装置の製造方法。
【0152】
実施形態71:結合は、少なくとも1つの熱処理によって行われる、実施形態70の試料移送装置の製造方法。
【0153】
実施形態72:方法は、2つの直線チャネルの端部をキャピラリに接続することをさらに含む、試料移送装置の製造方法に関する実施形態61〜71の試料移送装置の製造方法。
【0154】
実施形態73:2つの直線チャネルは、接着力によってキャピラリに接続される、実施形態72の試料移送装置の製造方法。
【0155】
実施形態74:試料移送装置に関する実施形態1〜41のいずれか1つの試料移送装置の使用法であって、複合試料、生物由来の試料、天然物質の抽出物、好ましくは、タンパク質試料またはペプチド試料、好ましくは、ハーブ、植物、生物/組織、医薬品、好ましくは、活性医薬成分を特徴付けるための医薬品、賦形剤および/または不純物の多次元分離、具体的には、包括的2次元分離;タンパク質電荷変異体の質量分析検出;プロテオフォームの質量分析検出;非揮発性物質を質量分析計に対し使用する電気駆動分離技術の干渉フリー接続、分析物と質量分析干渉物質との分離からなる群から選択される少なくとも1つの使用目的のための、使用法。