特許第6910400号(P6910400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6910400
(24)【登録日】2021年7月8日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】衛生マスク体
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210715BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   A41D13/11 B
   A41D13/11 H
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-164903(P2019-164903)
(22)【出願日】2019年9月10日
(65)【公開番号】特開2021-42495(P2021-42495A)
(43)【公開日】2021年3月18日
【審査請求日】2019年9月10日
【審判番号】不服2020-10088(P2020-10088/J1)
【審判請求日】2020年6月2日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306006834
【氏名又は名称】赤星 淑子
(72)【発明者】
【氏名】赤星 淑子
【合議体】
【審判長】 久保 克彦
【審判官】 村山 達也
【審判官】 藤原 直欣
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する素材からなり、口と鼻とを覆う覆い部と、その覆い部の両端部から延び出して耳にかけられる2つの耳掛け部とを含む衛生マスクであって、
前記覆い部は、矩形の素材の縦方向に伸縮可能な複数のギャザーが形成されるとともに、前記複数のギャザーの各々の両端部において、マスク本体(1)の構成として、矩形の素材不織布覆い部の寸法横幅18cm×縦幅17cm、延びないギャザー(7)の寸法はマスク本体(1)の縦幅の3cmの長さに相当する長さのギャザーの側壁同士が接合されて成る2つの延びない側縁部を備え、前記2つの耳掛け部の各両端部が、前記覆い部の上隅と下隅とに接合され前記覆い部の上縁部に、塑性変形が可能な材料からなる長手形状のノーズワイヤを取り付け、当該ノーズワイヤを備えることで鼻の近傍辺りのフイット性は向上することを特徴とする全体面が略楕円形の衛生マスク。
【請求項2】
通気性を有する素材からなり、口と鼻とを覆う覆い部と、その覆い部の両端部に、粘着性素材をもちいた頬への貼り付け部とを含む衛生マスクであって、
前記覆い部は、矩形の素材の縦方向に伸縮可能な複数のギャザーが形成されるとともに、前記複数のギャザーの各々の両端部において、マスク本体(1)の構成として、矩形の素材不織布覆い部の寸法横幅18cm×縦幅17cm、延びないギャザー(7)の寸法はマスク本体(1)の縦幅の3cmの長さに相当する長さのギャザーの側壁同士が接合されて成る2つの延びない側縁部を備え、前記覆い部の上縁部に、塑性変形が可能な材料からなる長手形状のノーズワイヤを取り付け、当該ノーズワイヤを備えることで鼻の近傍辺りのフイット性は向上することを特徴とする全体面が略楕円形の衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の唇辺に当接しにくく不快感をなくすと共に、マスク体の側面部からの細菌や塵埃の侵入等を阻止することができる。そして顔面への密着性を高くして隙間を解決することが出来る覆い部をギャザータイプにしたマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生マスクのタイプには覆い部が平面・ヒダ・プリーツ状タイプや立体タイプ等のマスクがあり、それを顔に装着するとマスク体部外側面(周辺)に隙間が生じて肌への密着性が良くない等の問題点があった。例えば提案されている立体タイプのマスクは鼻の下及び口元辺りの空間は減少され頬辺りの密着性は高いものである(例えば、実用新案登録第3159977号公報)。又、肌へのフイット性を向上させるヒダタイプのマスクもある(例えば特許第5280943号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3159977号公報
【特許文献2】特許第5280943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、特許文献に記載の立体マスクは覆い部の左右両側に延在部を設けその延在部に耳掛け紐を取り付けて構成されている。延在部は薄手の一枚の不織布で構成されることが望ましいとされ着用時使用者の耳に耳掛け部を掛けた際その延在部の弾性力によって強張が緩和されマスクと着用者の頬との間の隙間を無くし良好な装着感を得られるように構成されたものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1の形態では延在部の弾性力によってマスクと着用者の頬との間の隙間を無くそうとしたものの顎を動きに対しての追従性が不十分であり、会話時着用者が顎を動かすとマスク体が鼻側に上がってずれるという問題があった。
【0006】
特許文献2はヒダタイプのマスクであって、マスク本体を下方に窄む形状にし更にその形状と平行に溶着部を形成することで頬へのフイット性を高めるとしたものである。両側部が平行なマスクに比べて頬へはフイットしやすくなっているがそれぞれのヒダが一体となっている場合使用者の顔形状や表情によって隙間の出来方が大きく変わってくることが考えられる。
【0007】
又、特許文献2記載のヒダタイプのマスクはヒダを立体に広げてマスク体中央付近を前方へ突出させた口元に空間を作る役目と耳掛け紐を耳に掛けマスク体を顔面側へ引き寄せ保持する役目がある。しかし、ヒダの折り目を他のヒダと重ねて溶着した場合それぞれのヒダが一体化し前方へ広がる力より顔面方向へ引き寄せられる力が大きくなるためヒダが広がろうとする方向には広がりにくくなり顔とマスクの間に隙間が出来やすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、通気性を有する素材からなり、口と鼻とを覆う覆い部と、その覆い部の両端部から延び出して耳にかけられる2つの耳掛け部とを含む衛生マスクであって、前記覆い部は、矩形の素材の縦方向に伸縮可能な複数のギャザーが形成されるとともに前記複数のギャザーの各々の両端部において、マスク本体(1)の構成として矩形の素材不織布覆い部の寸法横幅18cm×縦幅17cm、延びないギャザー(7)の寸法はマスク本体(1)の縦幅の3cmの長さに相当する長さのギャザーの側壁同士か接合されて成る2つの延びない側縁部を備え前記2つの耳掛け部の各両端部が、前記覆い部の上隅と下隅とに接合されたことにより全体面が略楕円形のマスク本体であって、前記覆い部を拡げると湾曲状風に手前方向に膨らみ突出し略半円形状の膨出空間が立体的に形成出来るギャザー状の覆い部を有する前記覆い部の上縁部に、塑性変形が可能な材料からなる長手形状のノーズワイヤを取り付け、当該ノーズワイヤを備えることで鼻の近傍辺りのフイット性は向上することを特徴とする全体面が略楕円形の衛生マスク体を提供する。
【0009】
本発明において、通気性を有する素材からなり、口と鼻とを覆う覆い部と、その覆い部の両端部から延び出して耳にかけられる2つの耳掛け部とを含む衛生マスクの前記覆い部に矩形の素材の縦方向に伸縮可能な複数ギャザーを形成するとともに、前記複数のギャザーの各々の両端部において、覆い部の寸法の縦方向に対して縦幅の20%である3cmに相当する長さのギャザーの側壁同士を接合して2つの延びない側縁部を備えるのは、覆い部の中央部や上下両端部を指で摘まんで手前側や上下方向に引っ張ると、覆い部が手前側に膨出して後ろ側に膨出空間を作らせるためである。
そして、前記複数のギャザーの各々の両端部において、覆い部の寸法の縦方向に対して15%以上、80%以下に相当する長さのギャザーの側壁同士を接合して2つの延びない側縁部を備えるのは15%以下に側壁同士を接合すると、覆い部の膨出空間がより膨らみ盛り上がって呼吸しやすくなるが、機械的にも接合操作が困難になることによる。
一方、80%以上に相当する長さのギャザーの側壁同士を接合すると、覆い部の膨出空間が浅くなって、鼻や口に直接接触して不快であるとともに、ギャザー両端部と頬との密着性が損なわれてくることによる。
従って、本発明における最も好ましいギャザーの側壁同士の接合長さとしては、覆い部の寸法横幅×縦幅の縦幅20%である3cmの長さを特徴とするギャザー幅である。
【0010】
この発明で言う素材が矩形とは長方形と言うが四角に近い多角形や楕円形であっても良い。又、耳掛け紐(ゴム)等は、覆い部と顔面側へ引き寄せ保持する役目をし肌への密着性を増し隙間等を防止出来る。
【0011】
覆い部の両端部縦方向への延びないギャザーを設けているがギャザー部分を作り固定するには溶着や縫製等行っても良い。この発明で言うギャザーとは覆い部の側縁部を折り曲げて溶着又は縫製してギャザーを設けても良い。
【0012】
又、前記覆い部の両端部内部又は外部側に粘着性素材のテープを取り付けても良い。マスクの両端部が一層肌に密着、固定し外部からの細菌や塵埃の侵入等を阻止することが出来る。なお、顔面に耳掛け紐が無く見栄も良くスッキリしており心地良いものである。
【0013】
前記、覆い部の上縁部に塑性変形が可能な剛性を有する部材を取り付けても良い。部材の取り付け位置はマスク体上部のノーズワイヤ等として備えられる。鼻辺りへ密性を増し、隙間やズレ等を防止出来る役目とする。
上記、塑性変化部材としてはワイヤ(針金)プラスチック等でありその取り付け位置や本数等特に限定するものではない。なお、覆い部の上縁部から着脱可能としても良い。
【0014】
この発明に用いる素材とは塩化ビニール、ナイロン、ゴムやポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等合成樹脂、紙、不織布、アルミ箔等の材料を含み防水加工したりそれらを重ねて縫い合わせたり熱溶着させても良い。
上記、素材はエンボス加工や抗菌性能、消臭性能、芳香性能を付与すると共に着色や模様(レース)等を設けても良い。
【発明の効果】
【0015】
この発明の全体面が略楕円形の衛生マスク体は覆い部が伸縮可能なギャザー状の膨出空間となりマスク体の外形四角の角が無く四隅端部を延びないギャザー状にしているので全体面がスッキリとコンパクトになり携帯にも良い。
そして上下方向へ引っ張ると両側部分の延びないギャザーが略半円形状の膨出呼吸空間部作る。
又、着用者が全体面が略楕円形の衛生マスク体を装着した際に着用者の顔形状や表情変化に覆い部が伸縮可能なギャザー状なので対応出来より鼻や口元等の圧迫を抑え不快な息苦しさや喋りにくさ等を解消することが出来る。
【0016】
又、着用者が装着すると耳掛け紐又は衛生粘着テープ等により頬のズレや外れを固定出来顔面への密着性を高め細菌や塵埃等の侵入を阻止し隙間等を防止する役目をする。
前記、粘着テープは耳掛け紐とは違い耳への負担が無く又、メガネの着脱やイヤリング等をしても邪魔にならずスッキリして見栄も良いものである。
【0017】
さらに、ノーズワイヤを備えることで鼻の近傍辺りのフイット性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のギャザーを設ける前のマスク体(1)に耳掛け紐(4)とノーズワイヤ(6)を取り付けられた状態を示した正面図。
図2】本発明のギャザーを設けた全体面が略楕円形の衛生マスク体の実施例を示した正面図。
図3】「図2」の全体面が略楕円形の衛生マスク本体の上下縁部を引っ張ることにより略半円形状の膨出呼吸空間を構成した状態を示した正面図。
図4】本発明の衛生マスク体を使用者が装着した状態を示した正面図。
図5】本発明の衛生マスク体を使用者が装着した斜視図。
図6】本発明の衛生マスク本体に粘着テープを用い使用者が耳にイヤリング(A)をつけて装着した状態を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施例を示す図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1」はこの発明の覆い部(2)に延びないギャザー(7)を設ける以前のマスク本体(1)の正面図である。
なお(6)はノーズワイヤを示す。さらに(4)は耳掛け紐を示している。
図2」、図1のマスク本体(1)の覆い部(2)と側縁部(5)の縦方向に延びないギャザー(7)を設けた全体面が略楕円形の衛生マスク本体(1’)を示す正面図である。
【0021】
図3全体面が略楕円形の衛生マスク本体(1’)の伸縮可能なギャザー(8)の上下面側縁部辺りを指で摘んで上下方向へ引っ張り広げることにより全体面が略楕円形の衛生マスク本体(1’)全面部が湾曲状に膨らみ突出し、手前方向に略半円形状風に拡がった膨出空間が形成された状態を示す。
図4」膨出空間は衛生マスク体(1’)の耳掛け紐(4)により顔面側へ引き寄せ密着、固定維持した実施例を示している。
図5」衛生マスク本体(1’)の装着状態を側面図で示すように伸縮可能なギャザー(8)により顔への輪郭にピタットフイットした実施例を示している。
図6」衛生マスク本体(1’)、左右の延びないギャザー(7)辺りに粘着テープ(9)を取り付け状態を示している。粘着テープ(9)により衛生マスク本体(1’)がより肌に密着、固定し衛生マスク本体(1’)のズレや外れ、隙間等を阻止する。紐(ゴム)等と違って邪魔にならずシンプルでスマートである。
【0022】
図1」マスク本体(1)の構成として
・マスクは本体(1)の寸法 横幅18cm×縦幅17cm程
・素材 レーヨン、ポリプロピレン、不織布等
・耳掛け紐 ポリウレタン
・ノーズワイヤ ポリエチレン
・粘着テープ 低アレルギー性粘着剤
なお、延びないギャザー(7)の寸法はマスク本体(1)の縦幅の約20%である約3cmの長さとした。
上述した様に本発明の衛生マスク体(1’)があれば繁急避難時又外出等への携帯に便利で最適であり飛浄ウイルス、花粉、砂、埃、塵等の体内への侵入、排出を減らすことが出来る衛生的な必携品である。
【0023】
なおこの発明の衛生マスク体は簡易的なギャザーマスクとしてだけでなく通気性を有する素材を用いているので広範囲な用途にも対応出来、怪我、病人、手術や治療等に必要とする人への緊急用シートとしても使用出来る。
【符号の説明】
【0024】
1、 マスク本体
1’ 衛生マスク体
2、 覆い部
3、 両端部
4、 耳掛け紐(ゴム)
5、 側縁部
6、 ノーズワイヤ
7、 延びないギャザー
8、 伸縮可能なギャザー
9、 衛生粘着テープ
A、 イヤリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6