(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
全ての図は、本発明を縮尺通りではなく、単に模式的に本質的な構成要素のみ示している。その際に同じ参照番号は同じ又は同等の機能を有する要素に対応している。
【0014】
以下に説明する方法は、射出成形プロセス用の使い捨て型1の製造に用いられ、当該射出成形プロセスでは射出成形材料2を使用して射出成形部品3が製造される。この方法は、2つの部分ステップを含んでいる。
【0015】
第1の部分ステップでは、射出成形部品3のためのキャビティ5を形成するシェル6を可溶性シェル材料4から作成し、又は射出成形部品3のためのキャビティ5を形成するシェル9の部分7を可溶性シェル材料4から作成し、続いてこの部分シェル7を使用してシェル9の作成が行われる。その際にシェル材料4は、射出成形材料2が溶解しない溶媒30中で溶解可能である。
【0016】
第2の部分ステップでは、シェル6、9をほぼ完全に包囲しているシェル補強体12を可融性補強材料11から作成し、補強材料11は射出成形材料2より低い融点を持つ。
【0017】
この場合、固まったシェル6、9(成形シェル)は、後で射出成形される部品3の外形を画定し、若しくは後で射出成形される部品3を包囲するように画定され造形される。この場合、シェル6の全体、又は少なくとも部分シェル7は個別に、即ち単品製造(ロットサイズ1)で製造される。言い換えれば部品3全体が個別化され、即ち完全に個別化された単一の部品であるか、或いは射出成形により製造される部品3の一部、例えば銘板、商標ラベル等のみが個別に製造され、部品3の残りの部分は同一のままである。
【0018】
シェル6、9は、全体的に又は部分的に可溶性シェル材料4から造形される。即ちシェル6全体若しくは部分シェル7に使用されるシェル材料4は、好ましくは液状の溶媒30、例えば水酸化ナトリウム、水等において溶解可能である。溶媒30は、常に、射出成形材料2が溶解しないか、又はシェル材料4よりも非常に溶解しにくい溶媒である。シェル材料4は溶媒30中で容易に溶解するように選択されている。同時にシェル材料4は、溶媒30中で好ましくは完全に又はほぼ完全に溶解するように選択されている。
【0019】
したがって、常に、シェル6若しくは部分シェル7を造形する際に使用されるシェル材料4と、射出成形部品3を製造するために使用される射出成形材料2からなる、第1の留意すべき材料の組み合わせが存在する。この材料の組み合わせの意味で、数種類のシェル材料4を同一の射出成形材料2と組み合わせることも、同一のシェル材料4を複数の射出成形材料2と組み合わせることもできる。それぞれの組み合わせにおいて協働するこれらの材料2、4は、それらの可溶性に関して互いに調整されている。より正確に言うと、同じ条件下で同一の溶媒30におけるシェル材料4の可溶性は、使用される射出成形材料2の可溶性よりも非常に高く、好ましくは2倍以上である。シェル材料4の可溶性が射出成形材料2の可溶性の10倍以上であれば特に有利である。
【0020】
シェル材料4は、例えば水酸化ナトリウムに可溶のフォトポリマーである。シェル材料4の融点は、有利には射出成形プロセス中の高温に耐えられるほど高い。
【0021】
部分シェル7のみが作成される場合、この部分シェル7は完全なシェル9の製造に使用される。この目的のために、個別化された部分シェル7は適切な接続手段を用いてベースシェル8(永久金型)と組み合わされる。通常、個別化された部分シェル7は複数回使用可能な標準化されたベースシェル8を補完するものなので、原則としてベースシェル8に部分シェル7を取り付けることによって両シェル要素7、8を組み合わせ、これにより、部分的に個別化された所望の完全なシェル9が得られる。複数の個別化された部分シェル7を作成して、単独で使用するか、又は完全なシェル9を作成するためにベースシェル8と組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0022】
後続のステップで、このようにして作成された完全なシェル6、9にシェル補強体12が設けられる。シェル補強体12を作成した後、シェル補強体12は好ましくはシェル6、9の外側13に当接するので、シェル6、9は機械的に補強される。言い換えればシェル6、9はシェル補強体12によって実質的に完全に包囲される。使用される補強材料11は可融性であり、即ち、所定の温度(融解温度)を超えると融解する。
【0023】
シェル補強体12を作成するために使用される可融性補強材料11は、射出成形材料2より低い温度で融解する。言い換えれば、補強材料11は射出成形材料2より融点が低く、低い温度で融解する。したがって、融点が高い射出成形材料2から製造された射出成形部品3は、脱型の際に作用を受けないので損傷を被ることはない。プロセス信頼性の理由から、補強材料11は、所定の低い温度に達したら完全に又はほぼ完全に溶けるように選択されている。
【0024】
したがって、常に、シェル補強体12の造形に使用される補強材料11と、射出成形プロセスで使用される射出成形材料2とからなる、第2の留意すべき材料の組み合わせが存在する。この材料の組み合わせの意味で、数種類の補強材料11を同一の射出成形材料2と組み合わせることもでき、同一の補強材料11を複数の射出成形材料2と組み合わせることもできる。それぞれ組み合わせにおいて協働するこれらの材料2、11は、それらの融点に関して互いに調整されている。より正確に言うと、補強材料11の融解温度は、常に射出成形材料2の融解温度よりかなり低い、好ましくは少なくとも5ケルビン低い。補強材料11の融解温度が射出成形材料2の融解温度より少なくとも30ケルビン低いと特に有利である。
【0025】
例えば、補強材料11はウッドメタル又は類似の低融点の材料である。ウッドメタルは約60℃で融解するビスマス合金である。したがって、それを溶かすのにお湯でも十分である。
【0026】
シェル補強体12の作成に使用される補強材は再利用可能であることが好ましい。即ち、部品3の脱型中にシェル補強体12が溶けた後で、補強材料11を完全に又は少なくともほぼ完全に別のシェル補強体12の作成に再利用できる。
【0027】
本発明の好適な実施形態によれば、シェル6若しくは部分シェル7の造形は付加製造法によって行われる。
【0028】
シェル6若しくは部分シェル7の作成は、好ましくは付加製造法により、特に造形材料4の層が連続的に上下に重ねて付けられる積層造形法によって行われ、それぞれ次の層が付けられる前に、製造されるシェル6、7の断面に対応する各層の箇所が、例えば放射源を用いて粉末状の層原料4を局所的に加熱することによって選択的に固化される。積層造形法の原理に基づいた様々な付加製造法とそれらを実施するための設備14は、例えばステレオリソグラフィー、選択的レーザー溶融法、選択的マスク焼結等の先行技術より知られている。
【0029】
このような付加的な造形法は、特に複雑な部品形状で有利である。何故なら、シェル6若しくは部分シェル7の作成は従来の方法(フライス加工等)では不可能であるか、非常に大きい製造コストをかけた場合のみ可能だからである。
【0030】
本発明の好適な実施形態によれば、使い捨て型1を製造するための方法は、シェル6若しくは部分シェル7を定義するデータモデル15を事前に作成すること及び/又はシェル6若しくは部分シェル7を作成するための設備14を制御するための制御データ16を、シェル6若しくは部分シェル7を定義するデータモデル15に基づいて作成することを含む。
【0031】
シェル6若しくは部分シェル7の付加製造のための設備14、特に積層造形設備を制御するために制御データ16が使用される。これらの制御データ16は、製造されるシェル6若しくは部分シェル7を記述するためのデータモデル15を含み、若しくはそのようなデータモデル15を使用して生成される。データモデル15及び/又は制御データ16の作成は、好ましくはコンピュータ支援により、設備14と接続された又は接続可能な制御ユニット17において適切なソフトウェアを使用して、製造される射出成形部品3の形状及びその他の特性を記述する目標データに基づいて完全自動的又は部分自動的に行われる。
【0032】
コンピュータプログラム18により、場合によっては測定データ又はセンサデータを使用して事前に生成されたデータモデル15を用いて、好ましくは積層造形設備14の制御ユニット17において、積層造形設備14を制御するための制御データが生成される。これらの制御データ16を使用して制御される積層造形設備14は、積層造形法を実施してデータモデル15によって記述されるシェル部品6、7を生成する。
【0033】
この場合、データモデル15及び/又は制御データ16は、選択された造形法にかかわらず使用できる普遍的に使用可能な標準化されたデータフォーマットにすることが有利である。
【0034】
本発明の好適な実施形態によれば、シェル補強体12の作成は、シェル6、9を包囲するように補強材11を注入することによって行われる。
【0035】
シェル補強体12の作成は、好ましくはシェル6、9から空間的に分離させずに、完成したシェル6、9に直接接触させて、即ちシェル6、9を包囲若しくは封入するように行われる。本発明の好適な実施形態において、シェル補強体12の作成は、完成したシェル6、9を液体補強材11で包囲することによって行われる。
【0036】
補強材11はシェル6、9が配置されている受け入れ容器21に充填され、受け入れ容器21は好ましくは射出成形プロセスの実施に適した射出成形装置22に挿入可能であると、特に有利である。
【0037】
シェル6、9を包囲するように補強材11を注入することは、シェル6、9が例えば円筒形の容器21に配置され、この容器21に(高温の)液体補強材11を充填することによって行われる。その際に、シェル6、9が補強材11で完全に覆われるように、容器21が十分に充満されることが好ましい。
【0038】
そのような受け入れ容器21は、射出成形カートリッジの形態となっており、完成した射出成形型1の取り扱いを簡単にする。このようにして製造されたカートリッジ21は、簡単で安価に保管、輸送でき、及び射出成形装置22に挿入し、若しくは再び射出成形装置22から取り外すことができる。言い換えれば、受け入れ容器21は、射出成形装置22のための簡単に取り扱える交換可能若しくは取替可能な部品として構成されているのが好ましい。
【0039】
受け入れ容器21を使用することが好ましく、これは安定性の理由から必要である。シェル補強体が十分頑丈に形成されていれば、補強材料11は固化した後では受け入れ容器21なしでも射出圧力を吸収若しくは耐えるのに十分安定しているであろう。したがって、カートリッジ21の内部で射出成形型1を使用することは必ずしも必要ない。外形が受け入れ容器21の形状に依存する完成した使い捨て型1は、別の方法で、特にカートリッジ21なしで射出成形装置22に組み入れることもできる。しかしながら、方法の進行のためには、シェル補強体12を付けることによって射出成形型1が内部に形成された受け入れ容器21が、同時に射出成形プロセスに使用される、即ち、射出成形型1がもはや受け入れ容器21から取り出されず、射出成形プロセスが完了するまでその中に残っていると有利である。
【0040】
以下に説明する装置は、射出成形プロセス用の使い捨て型1の製造に用いられ、その射出成形プロセスでは射出成形材料2を使用して射出成形部品3が、特に上述した方法で製造される。
【0041】
装置は、射出成形部品3のためのキャビティ5を形成するシェル6を可溶性シェル材料4から作成するための手段14、15、16、17、18を含んでいる。或いは、装置は、射出成形部品3のためのキャビティ5を形成するシェル9の部分7を可溶性シェル材料4から作成するための手段14、15、16、17、18、及びこの部分シェル7を使用してシェル9を作成するための手段を含んでいる。いずれの場合も、手段
14、15、16、17、18は、シェル6、7の作成に使用されるシェル材料4は、射出成形材料2が溶解しないか、非常に溶解しにくい溶媒30中で溶解可能であるように形成されている。
【0042】
更に装置は、シェル6、9をほぼ完全に包囲するシェル補強体12を、融解可能な補強材料11から作成するための手段を含んでおり、この補強材料11は射出成形材料2よりも低い融点を持っている。
【0043】
以下に、射出成形材料2を使用して射出成形部品3を製造する射出成形プロセス用の使い捨て型1について説明する。この場合、使い捨て型1は上述した方法で、或いは上述した装置を用いて製造されることが好ましい。
【0044】
使い捨て型1は、シェル6、9と、シェル6、9をほぼ完全に包囲しているシェル補強体12とを含んでおり、シェル6、9は全体的に又は部分的に可溶性シェル材料4からなり、このシェル材料4は射出成形材料2が溶解しない溶媒30中で溶解可能であり、シェル補強体12は、射出成形材料2より低い融点を持つ融解可能な補強材料11からなる。
【0045】
本発明の特に単純な実施形態では、使い捨て型1(使い捨て金型)は専らシェル6、9とシェル補強体12からなる。
【0046】
本発明の好適な実施形態によれば、シェル6又は部分シェル7の壁の厚さは0.025〜30mmである。特に好ましくは壁の厚さは0.1〜2mmである。
【0047】
シェル6、7は比較的薄い。シェル壁23の厚さ(シェルの厚さ)は最小限であるのが望ましい。壁の厚さは、シェル6、7がそれ自体で安定している大きさに設計されている。更に、壁の厚さは、損傷を受けることなくシェル補強体12の取り付けに耐え、特にシェル6、7をシェル補強体12で包囲する際の圧力に耐えるように選択されている。更に壁の厚さは、シェル6、7が自立できるように選択されている。但し、射出成形プロセスに必要とされるシェル6、7の機械的強度は、シェル6、9をシェル補強体12で包囲することによって初めて達成される。
【0048】
シェル壁23の厚さが小さいことから、個別に製造されるシェル6若しくは部分シェル7のために必要な材料が比較的少ない。その結果、射出成形型1の製造コストは比較的低い。再利用可能な補強材料11(下記参照)に関連して、部品3の製造コストは他の製造方法と比較して少ないが、部品3を脱型する際に、射出成形型1(シェル補強体12とシェル6若しくは部分シェル7)が完全に又は少なくとも部分的に破壊される。即ち、射出成形型1に関しては常に使い捨て型であり、言い換えればロットサイズは常に1である。
【0049】
シェル6、7の壁の厚さが小さいため、部品3を脱型する際にシェル材料4を急速に溶解することができる。
【0050】
本発明の好適な実施形態によれば、シェル6は一つの部分からなる。
【0051】
部分シェル7だけでなく完全なシェル6が個別に作成される場合、この完全なシェル6は、好ましくは一体的に作られる。
【0052】
これに対し部分シェル7のみが作成される場合は、シェル9全体は上述したように複数部分から形成されている。この場合は、例えばシェル9を補強材料11で包囲することによってシェル9を補強する前に、事前に個別に製作され部分シェル7等をベースシェル8に挿入することができる。
【0053】
本発明の好適な実施形態によれば、シェル6、9は少なくとも1つの開口部を有する。
【0054】
シェル6、9は、少なくとも1つの開口部24、すなわち後で湯口として用いられる開口部を有しており、射出成形プロセスではこの開口部を通して溶融材料2が射出成形型1の成形空洞5に高圧で圧入される。開口部24は、シェル製造時に同時に作成されることが好ましい。しかしまた開口部24は、シェル製造後でシェル補強体12を取り付ける前の中間ステップで、例えば穴あけ又はフライス加工によって設けることもできる。
【0055】
シェル6、9は、複数の、特に2つの開口部、即ち湯口用の開口部24に加えて排気用の開口部25、特に射出成形プロセス中にシェル6、9の排気のためにシェル6、9に設けることができる通気路26のための開口部25を有してよい。
【0056】
しかし、射出成形プロセスの前にシェル6、9の内部5に真空を生成するための真空路用に別の開口部25を使用できる。それにより射出成形の際に充填作業のプロセスの信頼性を高めることができる。
【0057】
本発明はまた、特に上述した射出成形プロセスによって射出成形部品3を製造するための使い捨て型1に関する。
【0058】
以下に説明する方法は、射出成形プロセスによって射出成形部品3を製造するために用いられる。その際に、上述した方法又は上述した装置を使用して製造された使い捨て型1を使用するのが好ましい。
【0059】
この方法は、射出成形材料2からなる成形材を使い捨て型1に射出注入することによって射出成形部品3を作成することと、射出成形部品3を脱型することとを含み、この場合に脱型は、補強材料11を融解させてシェル補強体12を除去することも、シェル材料4を溶媒30に溶解させてシェル6若しくは部分シェル7を除去することも含む。
【0060】
これは「狭義の」射出成形法である。広い意味では方法全体は上述した使い捨て型1の製造も含む。
【0061】
射出成形部品3を射出成形材料2から作成することは、補強シェルによって形成された射出成形型1に成形材を射出注入することによって行われる。
【0062】
使用される射出成形材料2は、補強材料11より高い融点を持ち、シェル材料4の溶媒30には溶解しないか、はるかに溶解しにくい。
【0063】
射出成形部品3の脱型は、一方では、シェル補強体12の除去、即ち射出成形材料2の融点を下回る温度で補強材料11を融解させることによって行われる。この目的のために、シェル補強体12の熱処理が実行される。この場合、当業者によく知られている種々の熱処理又はシェル補強体12への熱供給を適用することができる。
【0064】
脱型は、他方では、シェル6若しくは部分シェル7を除去することにより、即ち射出成形材料2が溶解しないか、はるかに溶解しにくい溶媒30中でシェル材料4を溶解させることによって行われる。この目的のために、シェル補強体12から取り出されたシェル6、9を溶媒浴に浸漬する。シェル材料11を溶解させる溶媒30を提供するための他の様々な可能性は、当業者によく知られており、シェル6、9に適用できる。
【0065】
個別化された部分シェル7のみが使用される場合は、この部分シェルを溶解させ、残りの、好ましくは古典的な永久金型として設計されたベースシェル8を開いて射出成形部品3を取り出す。この場合、単に部分的に個別化されたシェル9は補強材料11によって完全に包囲される必要はない。個別化された部分シェル7があるシェル9の領域にのみ、シェル補強体12を設ければ十分である。それに対応して脱型の際にはシェル補強体12及び部分シェル7の融解と溶解もシェル9のこの領域のみで行われればよい。言い換えれば、脱型作業は、シェル補強体12の適用と同様に、局所的に部分シェルの領域に限定できるのである。
【0066】
脱型は、好ましくは射出成形装置22とは分離された設備28で行われる。このために、好ましくは射出成形カートリッジ21又は別様に形成された容器の内部29にある射出成形部品3が射出成形装置22から取り出されて、脱型及び/又は後処理のための設備28に供給される。
【0067】
その後、脱型後に得られた射出成形部品3は完成した部品として使用でき、又は複数部分から成る複合部品を作成するためのコンポーネントとして用いられる。
【0068】
非常に単純な場合に、脱型はお湯の中で行われる。その際にお湯は最初は融解エネルギーをシェル補強体12に伝達し、それによって補強材料11を融解させるための熱媒体として働き、続いてシェル材料4を溶解させるための溶媒30として働く。
【0069】
本発明の好適な実施形態によれば、射出成形部品3の脱型中に融解したシェル補強体12の補強材料11は、別の使い捨て型1を製造する際にシェル補強体12を作成するために少なくとも部分的に再利用される。
【0070】
この場合、必要に応じて中間ステップで材料を精製した後、融解した補強材料11の全部又はほぼ全部が再利用されることが好ましい。
【0071】
以下に説明する装置は、上記の使い捨て型1を使用する射出成形プロセスによって射出成形部品3を製造するのに用いられる。
【0072】
この装置は、射出成形部品3を作成するために、使い捨て型1に射出成形材料2からなる成形材を射出注入するための手段22を含む。更に装置は、補強材料11の融解によってシェル補強体12を除去するための手段28と、射出成形部品3を脱型するために溶媒30中でシェル材料4を溶解させてシェル6若しくは部分シェル7を除去するための手段28を含む。
【0073】
手段22、28は、互いに分離された設備において実現されてよい。特に脱型のための手段28は射出成形装置22から空間的に分離して配置することができる。脱型を実行するために加熱された溶媒30を入れた浸漬浴31は、例えば射出成形装置22に隣接する空間に配置されてよい。脱型は、射出成形プロセスと空間的に分離されているだけでなく、長い時間間隔を置いて行うことができる。
【0074】
最後に、本発明は上述した方法、又は上記の装置で製造される射出成形部品3にも関する。
【0075】
本発明は更に、射出成形プロセスにより射出成形部品3を製造するための射出成形装置22であって、使い捨て型、特に上述した使い捨て型1を交換しながら受け入れるように構成された射出成形装置22に関する。このような(迅速)交換システムは、上述したカートリッジ21を用いて実現するのが特に有利であり、特にカートリッジ21が規格化された寸法を有するのが有利である。但しこのことは、補強材料11に使用する材料を最小化するために、様々な標準サイズのカートリッジ21が存在することを排除するものではなく、この目的のために射出成形装置22の交換システムは、カートリッジ21のために種々の大きさの受け入れ装置を提供できる。
【0076】
更に、本発明は、射出成形プロセスによって製造された射出成形部品3を上記の使い捨て型1から脱型するための方法にも関し、シェル補強体12は補強材料11の融解によって除去され、シェル6若しくは部分シェル7はシェル材料4が溶媒30中で溶解することにより除去される。
【0077】
以下にサイクル全体のプロセスステップを掲げる。
−シェル6若しくは部分シェル7を画定するデータモデル15を作成すること、及び/又はシェル6若しくは部分シェル7を画定するデータモデル15に基づいてシェル6若しくは部分シェル7を作成するための設備14を制御するための制御データ16を作成すること、
−射出成形部品3のためのキャビティ5を形成するシェル6を可溶性シェル材料4から付加製造法によって作成すること、又は射出成形部品3のためのキャビティ5を形成するシェル9の部分7を可溶性シェル材料4から付加製造法によって作成し、その部分シェル7を使用してシェル9を作成すること、
−シェル6、9をほぼ完全に包囲するシェル補強体12を射出成形材料2よりも低い融点を持つ可融性補強材料11から作成し、
−射出成形材料2からなる成形材を使い捨て型1に射出注入することにより射出成形部品3を作成すること、
−シェル補強材料11を融解させてシェル補強体12を除去し、シェル材料4を溶媒30に溶解させてシェル6若しくは部分シェル7を除去することにより、射出成形部品3を脱型すること、
−射出成形部品3の脱型中に融解したシェル補強体12の補強材料
11を、別の使い捨て型1を製造する際にシェル補強体12を作成するために少なくとも部分的に再利用すること。
【0078】
要約すると、本発明は、使い捨て型1内で射出成形部品3を製造することに関する。個別の射出成形部品3を安価に製造するために、2要素(シェル6、7、及びシェル補強体12)から造形された射出成形型1の使用が提案される。射出成形型1の両要素は、特定の材料特性(可溶性と融解温度)を備えなければならない材料から製造されている。これらの材料4、11の選択は、使用される射出成形材料2の材料特性に依存する。当業者は、上記以外にも、上記の要件と射出成形技術への適性を考慮して適切な材料と材料の組み合わせを選択できる。
【0079】
本発明による方法の一部は、コンピュータを用いて実行できる。これはとりわけ射出成形型1を生成する方法、特にシェル6若しくは部分シェル7を記述するためのデータレコード15の生成、並びに制御データ16の生成に関する。更に、これは射出成形型1を製造するための付加製造設備14の制御、並びに射出成形部品3を生成する射出成形プロセスを実行するための射出成形装置22の制御に関する。本発明による方法を実行するのに適している装置は、適切なコンピュータプログラムを実装することによって実質的に実現できる。
【0080】
上記の説明、以下の請求項及び図面に示された全ての特徴は単独でも、互いに任意に組み合わせても本発明にとって本質的であり得る。