特許第6910680号(P6910680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SensAIの特許一覧

<>
  • 特許6910680-撮像システム 図000006
  • 特許6910680-撮像システム 図000007
  • 特許6910680-撮像システム 図000008
  • 特許6910680-撮像システム 図000009
  • 特許6910680-撮像システム 図000010
  • 特許6910680-撮像システム 図000011
  • 特許6910680-撮像システム 図000012
  • 特許6910680-撮像システム 図000013
  • 特許6910680-撮像システム 図000014
  • 特許6910680-撮像システム 図000015
  • 特許6910680-撮像システム 図000016
  • 特許6910680-撮像システム 図000017
  • 特許6910680-撮像システム 図000018
  • 特許6910680-撮像システム 図000019
  • 特許6910680-撮像システム 図000020
  • 特許6910680-撮像システム 図000021
  • 特許6910680-撮像システム 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6910680
(24)【登録日】2021年7月9日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/374 20110101AFI20210715BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20210715BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20210715BHJP
【FI】
   H04N5/374
   G03B13/36
   G02B7/34
【請求項の数】11
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-217345(P2020-217345)
(22)【出願日】2020年12月25日
【審査請求日】2021年4月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520311466
【氏名又は名称】株式会社SensAI
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 啓一郎
【審査官】 西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−193184(JP,A)
【文献】 特開2017−046020(JP,A)
【文献】 特開2020−010328(JP,A)
【文献】 特開2013−038164(JP,A)
【文献】 特開2012−195921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/374
G02B 7/34
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が同色の複数の画素を含む2個(mは自然数)の画素ユニットを含む画素部と、
前記2個の画素ユニットの各々に含まれる前記複数の画素を第1の側の画素と第2の側の画素とに分割し、前記2個の画素ユニットのそれぞれに含まれる前記第1の側の画素をビニングした第1のビニング信号および前記2個の画素ユニットのそれぞれに含まれる前記第2の側の画素をビニングした第2のビニング信号を生成するビニング処理部と、を含む、撮像システム。
【請求項2】
前記2個の画素ユニットは、第1の画素ユニットおよび第2の画素ユニットを含み、
前記第2の画素ユニットは、前記第1の画素ユニットの対角の位置において隣接する、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記第1の側の画素と前記第2の側の画素とは、列方向に沿って分割されている、請求項1または請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記第1の側の画素と前記第2の側の画素とは、行方向に沿って分割されている、請求項1または請求項2に記載の撮像システム。
【請求項5】
第2k−1のフレーム(kは1以上の整数)において、前記第1の側および前記第2の側は、それぞれ、左側および右側であり、
第2kのフレームにおいて、前記第1の側および前記第2の側は、それぞれ、上側および下側である、請求項1または請求項2に記載の撮像システム。
【請求項6】
さらに、
前記第1のビニング信号の画素値および前記第2のビニング信号の画素値に基づき、被写体までの距離を含む距離情報を生成する測距処理部を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記画素部は、前記2個の画素ユニットの各々に1個の凸レンズが設けられた光学素子層を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記画素部は、前記複数の画素の各々に1個の凸レンズと、前記凸レンズの上において前記第1の側の画素から前記第2の側の画素へ向かう方向と垂直な方向に沿って溝が設けられた回折格子とを含む光学素子層を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項9】
各々が同色の複数の画素を含む第1の画素ユニット、第2の画素ユニット、第3の画素ユニット、および第4の画素ユニットを含む画素部と、
前記第1の画素ユニットおよび前記第2の画素ユニットの各々の前記複数の画素を第1の側の画素と第2の側の画素とに分割し、前記第3の画素ユニットおよび前記第4の画素ユニットの各々の前記複数の画素を第3の側の画素と第4の側の画素とに分割し、前記第1の側の画素をビニングした第1のビニング信号、前記第2の側の画素をビニングした第2のビニング信号、前記第3の側の画素をビニングした第3のビニング信号、および前記第4の側の画素をビニングした第4のビニング信号を生成するビニング処理部と、を含み、
前記第1の側の画素と前記第2の側の画素とは、列方向に沿って分割され、
前記第3の側の画素と前記第4の側の画素とは、行方向に沿って分割されている、撮像システム。
【請求項10】
前記第3の画素ユニットは、前記第2の画素ユニットの対角の位置において隣接する、請求項9に記載の撮像システム。
【請求項11】
さらに、
前記第1のビニング信号の画素値および前記第2のビニング信号の画素値ならびに前記第3のビニング信号の画素値および前記第4のビニング信号の画素値に基づき、被写体までの距離を含む距離情報を生成する測距処理部を含む、請求項9または請求項10に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型のパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、または車載カメラなどの電子機器の多くは、表示装置とともに、固体撮像装置(イメージセンサ)を備える。これらの電子機器では、被写体が、イメージセンサによって電気信号に変換された画像として取得される。
【0003】
近年、表示装置だけでなく、イメージセンサの高解像度化が進んでおり、例えば、ベイヤー(Bayer)配列された4個の画素の各々を、さらに4個に分割したクアッドベイヤー(Quad Bayer)配列のイメージセンサが知られている。すなわち、クアッドベイヤー配列では、各色が2×2個の画素を有する。クアッドベイヤー配列では、分割された4個の画素の各々が光電変換素子を有しているため、高解像度の撮像が可能である。
【0004】
また、分割された4個の画素のうちの隣接する2つの画素への入射光の差を利用すれば、被写体とイメージセンサとの距離を測定することも可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一方、イメージセンサの高解像度化においては、画素数の増加に伴うフレームレートの低下または消費電力の増加などの問題が発生する。そのため、フレームレートを向上させるため、イメージセンサに含まれる複数の画素を1つの画素として出力するビニング処理が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/210781号
【特許文献2】特開2019−5634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クアッドベイヤー配列の画素に対してビニング処理を実行する場合、同色の分割された4個の画素をビニングしてしまうと、画素値に含まれる距離信号成分が失われるため、被写体とイメージセンサとの距離を測定することができない。換言すると、クアッドベイヤー配列の画素に対してビニング処理が実行されると、距離情報が失われる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、フレームレートが高く、距離情報を有する画像信号を出力することができる撮像システムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る撮像システムは、各々が同色の複数の画素を含む2m個(mは自然数)の画素ユニットを含む画素部と、2m個の画素ユニットの各々において、複数の画素を第1の側の画素と第2の側の画素とに分割し、第1の側の画素をビニングした第1のビニング信号および第2の側の画素をビニングした第2のビニング信号を生成するビニング処理部と、を含む。
【0010】
m個の画素ユニットは、第1の画素ユニットおよび第2の画素ユニットを含み、第2の画素ユニットは、第1の画素ユニットの対角の位置において隣接していてもよい。
【0011】
第1の側および第2の側は、それぞれ、左側および右側であってもよい。
【0012】
第1の側および第2の側は、それぞれ、上側および下側であってもよい。
【0013】
第2k−1のフレーム(kは1以上の整数)において、第1の側および第2の側は、それぞれ、左側および右側であり、第2kのフレームにおいて、第1の側および第2の側は、それぞれ、上側および下側であってもよい。
【0014】
さらに、第1のビニング信号の画素値および第2のビニング信号の画素値に基づき、被写体までの距離を含む距離情報を生成する測距処理部を含んでいてもよい。
【0015】
画素部は、2m個の画素ユニットの各々に1個の凸レンズが設けられた光学素子層を含んでいてもよい。また、画素部は、複数の画素の各々に1個の凸レンズと、凸レンズの上において第1の側の画素から第2の側の画素へ向かう方向と垂直な方向に沿って溝が設けられた回折格子とを含む光学素子層を含んでいてもよい。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る撮像システムは、各々が同色の複数の画素を含む第1の画素ユニット、第2の画素ユニット、第3の画素ユニット、および第4の画素ユニットを含む画素部と、第1の画素ユニットおよび第2の画素ユニットの各々の複数の画素を第1の側の画素と第2の側の画素とに分割し、第3の画素ユニットおよび第4の画素ユニットの各々の複数の画素を第3の側の画素と第4の側の画素とに分割し、第1の側の画素をビニングした第1のビニング信号、第2の側の画素をビニングした第2のビニング信号、第3の側の画素をビニングした第3のビニング信号、および第4の側の画素をビニングした第4のビニング信号を生成するビニング処理部と、を含み、第1の側の画素と第2の側の画素とは列方向に沿って分割され、第3の側の画素と第4の側の画素とは、行方向に沿って分割されている。
【0017】
第3の画素ユニットは、第2の画素ユニットの対角の位置において隣接していてもよい。
【0018】
さらに、第1のビニング信号の画素値および第2のビニング信号の画素値ならびに第3のビニング信号の画素値および第4のビニング信号の画素値に基づき、被写体までの距離を含む距離情報を生成する測距処理部を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態に係る撮像システムによれば、ビニング処理によってフレームレートを向上させることができるとともに、ビニング処理後のビニング信号の画素値が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を測定することができる。そのため、撮像システムを用いることにより、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムの画素部の平面構成を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムの画素部の断面構成を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムのビニング処理部で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
図5】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムにおいて、第1のビニング信号(G1’)および第2のビニング信号(G2’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。
図6】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムにおける被写体の距離信号成分の検出を説明する模式図である。
図7】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムの測距処理部で実行される測距処理を説明する模式図である。
図8】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る撮像システムの画素部の画素配列および断面構成を示す模式図である。
図9】本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る撮像システムのビニング処理部で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
図10】本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る撮像システムにおいて、第1のビニング信号(G1’’)および第2のビニング信号(G2’’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。
図11】本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る撮像システムの画素部の画素配列および断面構成を示す模式図である。
図12】本発明の一実施形態(第3実施形態)に係る撮像システムのビニング処理部で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
図13】本発明の一実施形態(第4実施形態)に係る撮像システムのビニング処理部で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
図14】本発明の一実施形態(第5実施形態)に係る撮像システムのビニング処理部でビニング処理される画素配列を説明する模式図である。
図15】本発明の一実施形態(第6実施形態)に係る撮像システムのビニング処理部で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
図16】本発明の一実施形態(第6実施形態)に係る撮像システムにおいて、第1のビニング信号(G1’’’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。
図17】本発明の一実施形態(第6実施形態)に係る撮像システムにおいて、第2のビニング信号(G2’’’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態の開示はあくまで一例にすぎない。すなわち、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することで容易に想到し得る構成は、当然に本発明の範囲に含まれる。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などについて模式的に表される場合がある。しかし、これらはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書および本図面において、既出の図に関して前述したものと同様の構成には、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0022】
本明細書において、「αはA、B、またはCを含む」との表現は、特に明示がない限り、αがA〜Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。また、「αはA、B、またはCを含む」または「αはA、B、およびCを含む」との表現は、特に明示が無い限り、αが他の構成を含む場合を排除しない。
【0023】
本明細書および図面において、同一、あるいは類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用いる。また、1つの構成のうちの複数の部分をそれぞれ区別して表記する際には、同一の符号を用い、さらにハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0024】
本明細書および図面において、「行方向」は「X方向」を示すことがあり、「列方向」は「Y方向」を示すことがあるものとする。例えば、被写体のX方向が、画素部の行方向に対応する場合がある。同様に、被写体のY方向が、画素部の列方向に対応する場合がある。
【0025】
本明細書において、X方向のエッジとは、画素部のX方向の走査において検出されるエッジをいい、Y方向のエッジとは、画素部のY方向の走査において検出されるエッジをいう。
【0026】
本明細書において、「左側」および「右側」は、行方向のいずれかの方向を表し、「左側」の反対が「右側」である。同様に、「上側」および「下側」は、列方向のいずれかの方向を表し、「上側」の反対が「下側」である。
【0027】
本明細書において、「左側」、「右側」、「上側」、および「下側」は、「第1の側」、「第2の側」、「第3の側」、および「第4の側」のいずれかとして説明する場合がある。
【0028】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0029】
<第1実施形態>
図1図7を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の構成について説明する。
【0030】
[1.撮像システム10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の構成を示すブロック図である。図1に示すように、撮像システム10は、画素部100、ビニング処理部200、測距処理部300、センサ部400、画像信号処理部500、記憶部600、および表示部700を含む。
【0031】
画素部100は、被写体が発する光を電気信号に変換することができる。すなわち、画素部100は、被写体の情報を電気信号として取得することができる。具体的には、画素部100に含まれる複数の画素の各々が光を電気信号に変換する(以下、画素部100の画素が生成した電気信号を「画素信号」とする。)。換言すると、画素部100は、画素信号を生成し、出力することができる。なお、画素部100の構成の詳細は、後述する。
【0032】
ビニング処理部200は、画素信号を受信し、画素信号に対してビニング処理を実行することができる。すなわち、ビニング処理部200は、画素信号に含まれるいくつかの同色の画素の画素値を加算または加算平均した画素値を含むビニング信号を出力することができる。換言すると、ビニング処理部200は、画素信号に対してビニング処理を実行し、画素信号からビニング信号を生成し、出力することができる。ここで、画素値とは、画素における画像情報が反映された値であって、画素部100によって取得された光の強度に対応する値だけでなく、被写体と画素部との距離に対応する距離信号成分も含む。
【0033】
ビニング処理部200によるビニング処理は、アナログ信号に対する処理であってもよく、デジタル信号に対する処理であってもよい。典型的な画素信号はアナログ信号であり、ビニング処理部200は、アナログ信号である画素信号に対してビニング処理を実行することができる。また、ビニング処理部200は、A/D変換回路によってデジタル信号に変換された画素信号に対してビニング処理を実行することもできる。アナログ信号である画素信号に対するビニング処理では、ビニング信号もアナログ信号となるが、ビニング信号は、A/D変換回路によってデジタル信号に変換されてもよい。例えば、画像信号処理部500に入力されるビニング信号は、A/D変換されたデジタル信号である。なお、ビニング処理部200によって実行されるビニング処理の詳細は、後述する。
【0034】
測距処理部300は、ビニング信号を受信し、X方向またはY方向の2つのビニング信号の画素値の差(差分値)を計算し、X方向またはY方向の位置および差分値から距離信号を生成することができる。また、測距処理部300は、生成された距離信号に基づいて撮像システム10から被写体までの距離を計算し、実際の被写体までの距離に変換された距離情報(距離データ)を生成することができる。すなわち、測距処理部300は、ビニング信号を用いて測距処理を実行し、距離データを出力することができる。測距処理部300で処理されるビニング信号は、アナログ信号であってもよく、デジタル信号であってもよいが、距離データは、画像信号処理部500に入力されるため、デジタル信号に変換されていることが好ましい。測距処理部300は、例えば、情報処理装置(コンピュータ)によって実行することができる。情報処理装置は、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)などの演算部およびレジスタまたはメモリなどの記憶部を含む。測距処理部300の測距処理は、記憶部に予め格納されたプログラムを演算部で読み込むことによって実行することができる。なお、測距処理部300によって実行される測距処理の詳細は、後述する。
【0035】
センサ部400は、画素部100の動きまたは姿勢(例えば、画素部100のブレ量など)を検出し、画像信号処理部500にセンサ検出信号を出力することができる。画像信号処理部500は、センサ検出信号に基づいて、ビニング信号を補正(例えば、ブレ補正など)することができる。センサ部400に含まれるセンサの数は、1つであってもよく、複数であってもよい。センサ部400に含まれるセンサとして、例えば、加速度センサまたは角速度センサなどを用いることができる。
【0036】
画像信号処理部500は、ビニング信号を受信し、ビニング信号に対して、ガンマ補正、収差補正、ブレ補正、またはノイズ低減補正など各種信号処理を実行することができる。また、画像信号処理部500は、距離データを受信し、距離データに基づき、被写体の距離情報を含む画像信号を生成し、表示部700に画像信号を出力することができる。すなわち、画像信号処理部500は、ビニング信号および距離データに基づき、被写体の距離情報を含む画像信号を生成することができる。画像信号処理部500として、例えば、イメージシグナルプロセッサなどを用いることができる。
【0037】
記憶部600は、画像信号処理部500が実行する各種信号処理に関連するデータを格納することができる。例えば、記憶部600は、各フレームにおいて、ビニング処理部200が出力したビニング信号を格納することができる。画像信号処理部500は、記憶部600から複数のフレームにおけるビニング信号を読み出すことができる。記憶部600として、例えば、メモリなどを用いることができる。
【0038】
表示部700は、画像信号を受信し、画像信号に基づく画像を表示することができる。表示部700として、例えば、液晶表示装置またはOLED表示装置などを用いることができる。
【0039】
ビニング処理部200または測距処理部300は、画素部100とともにイメージセンサに含まれていてもよく、イメージシグナルプロセッサに含まれていてもよい。また、ビニング処理部200または測距処理部300は、イメージセンサおよびイメージシグナルプロセッサとは別に設けられていてもよい。
【0040】
[2.画素部100の構成]
図2(A)および図2(B)ならびに図3を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の画素部100の構成について説明する。
【0041】
図2(A)および図2(B)は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の画素部100の平面構成を示す模式図である。具体的には、図2(A)は、画素部100における画素配列101を示し、画素部100では、図2(B)に示すように、画素配列101を一単位として、行方向および列方向に繰り返し配列されている。
【0042】
画素部100の画素配列101は、第1の画素ユニット110、第2の画素ユニット120、第3の画素ユニット130、および第4の画素ユニット140を含む。第2の画素ユニット120は、第1の画素ユニット110の対角の位置(対角方向)において、第1の画素ユニット110と隣接している。第3の画素ユニット130は、行方向において、第1の画素ユニット110と隣接している。第4の画素ユニット140は、列方向において、第1の画素ユニット110と隣接している。また、画素配列101内における第1の画素ユニット110の位置と第2の画素ユニット120の位置とを相対的に表すと、第1の画素ユニット110は画素配列101の上側または左側に位置し、第2の画素ユニット120は画素配列101の下側または右側に位置している。
【0043】
第1の画素ユニット110は、第1の画素111−1〜111−4を含む。第2の画素ユニット120は、第2の画素121−1〜121−4を含む。第3の画素ユニット130は、第3の画素131−1〜131−4を含む。第4の画素ユニット140は、第4の画素141−1〜141−4を含む。第1の画素111−1および111−2は、第1の画素ユニット110内の上側に位置し、第1の画素111−3および111−4は、第1の画素ユニット110内の下側に位置している。さらに、第1の画素111−1および111−3は、第1の画素ユニット110内の左側に位置し、第1の画素111−2および111−4は、第1の画素ユニット110内の右側に位置している。第2の画素ユニット120内の第2の画素121−1〜121−4の位置、第3の画素ユニット130の第3の画素131−1〜131−4の位置、および第4の画素ユニット140内の第4の画素141−1〜141−4の位置は、第1の画素ユニット110内の第1の画素111−1〜111−4の位置と同様である。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の画素部100の断面構成を示す模式図である。具体的には、図3は、図2(A)に示す線A1−A2に沿って切断された断面模式図である。
【0045】
図3に示すように、画素部100は、回路層1000、光電変換素子層1100、カラーフィルタ層1200、および光学素子層1300を含む。
【0046】
回路層1000は、複数のスイッチ部1010を含む。また、回路層1000は、トランジスタ、容量素子、水平信号線、垂直信号線、およびトランジスタに電源を供給する電源線などを含む。
【0047】
光電変換素子層1100は、回路層1000上に設けられ、光電変換素子1110および素子分離部1120を含む。光電変換素子1110は、光を電気に変換し、露光信号を生成することができる。光電変換素子1110は回路層1000と電気的に接続されており、露光信号は回路層1000に送信される。素子分離部1120は、複数の光電変換素子1110を互いに絶縁化することができる。素子分離部1120は、例えば、無機材料または有機材料の遮光膜または反射膜によって構成される。
【0048】
カラーフィルタ層1200は、光電変換素子層1100上に設けられ、緑色カラーフィルタ1210、赤色カラーフィルタ1230、青色カラーフィルタ(図3には図示せず)、および遮光部1240を含む。遮光部1240は、例えば、画素の境界の迷光を遮光し、または隣接する画素間の光の混色を防止することができる。遮光部1240は、例えば、アルミニウム、タングステン、銅、またはそれらを含む合金などを含む膜によって構成される。
【0049】
光学素子層1300は、カラーフィルタ層1200上に設けられ、マイクロレンズアレイ1310を含む。マイクロレンズアレイ1310は、複数の凸レンズを含み、画素ユニット(図3では、第1の画素ユニット110および第3の画素ユニット130)の各々に1個の凸レンズが配置されている。なお、マイクロレンズアレイ1310の凸レンズの直径は、画素ユニットの一辺の長さと略一致するように形成されている。
【0050】
画素部100は、光学素子層1300が、カラーフィルタ層1200上に設けられており、いわゆるオンチップレンズ(On Chip Lens:OCL)と呼ばれる構造を有する。
【0051】
第1の画素111−1および111−2内には緑色カラーフィルタ1210が配置され、第3の画素131−1および131−2内には赤色カラーフィルタ1230が配置されている。すなわち、第1の画素111−1〜111−4は、緑色カラーフィルタ1210を含み、第3の画素131−1〜131−4は、赤色カラーフィルタ1230を含む。なお、図示しないが、第2の画素121−1〜121−4は、緑色カラーフィルタを含み、第4の画素141−1〜141−4は、青色カラーフィルタを含む。したがって、第1の画素111−1〜111−4および第2の画素121−1〜121−4は緑色カラーフィルタを有する緑色画素であり、第3の画素131−1〜131−4は赤色カラーフィルタを有する赤色画素であり、第4の画素141−1〜141−4は青色カラーフィルタを有する青色画素である。
【0052】
画素部100の画素配列101は、互いに隣接する4つの画素ユニットが2つの緑色、1つの赤色、および1つの青色に対応し、画素ユニットの各々は同色の4つの画素を含む。すなわち、画素配列101は、いわゆるクアッドベイヤー配列である。クアッドベイヤー配列では、人の目の視感度の高い緑色の輝度が高くなるように、緑色画素が、赤色画素および青色画素より多く配置されている。
【0053】
本明細書および図面においては、便宜上、第1の画素111−1〜111−4を第1の緑色画素(G1)とし、第2の画素121−1〜121−4を第2の緑色画素(G2)として説明する場合がある。
【0054】
なお、画素部100の画素配列101は、クアッドベイヤー配列に限られない。すなわち、画素部100の画素配列101において、第1の緑色画素(G1)と第2の緑色画素(G2)とが、行方向に隣接していてもよく、列方向に隣接していてもよい。
【0055】
回路層1000は、光電変換素子層1100、カラーフィルタ層1200、および光学素子層1300またはマイクロレンズアレイ1301を支持することができる。回路層1000は、例えば、シリコン基板であり、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などが形成されていてもよい。
【0056】
光電変換素子層1100は、画素内の各々に設けられ、受光した光の強度に応じて電荷を生成する光電変換素子1110を含む。光電変換素子1110は、光によって起電力が発生する光電変換素子であってもよく、光によって電気伝導度が変化する光電変換素子であってもよい。なお、詳細は図示しないが、光電変換素子層1100には、光電変換素子1110を制御する制御回路が形成されていてもよい。
【0057】
したがって、画素部100は、各画素内の光電変換素子1110を制御することにより、画素信号を生成し、出力ことができる。
【0058】
[3.ビニング処理部200によるビニング処理]
図4は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10のビニング処理部200で実行されるビニング処理を説明する模式図である。なお、以下では、便宜上、ビニング信号および画素の括弧内の記号が画素値を表す場合がある。
【0059】
ビニング処理部200は、画素配列101に含まれる複数の画素を選択的にビニングし、第1のビニング信号210(G1’)、第2のビニング信号220(G2’)、第3のビニング信号230(R’)、および第4のビニング信号240(B’)を生成する。以下では、便宜上、第1のビニング信号210(G1’)、第2のビニング信号220(G2’)、第3のビニング信号230(R’)、および第4のビニング信号240(B’)が、画素配列101に対応したビニング信号配列201に変換されたものとして説明する。そのため、第2のビニング信号220(G2’)は、第1のビニング信号210(G1’)の対角の位置(対角方向)において、第1のビニング信号210(G1’)と隣接している。第3のビニング信号230(R’)は、行方向において、第1のビニング信号210(G1’)と隣接している。第4のビニング信号240(B’)は、列方向において、第1のビニング信号210(G1’)と隣接している。したがって、ビニング信号配列201内における第1のビニング信号210(G1’)の位置と第2のビニング信号220(G2’)の位置とを相対的に表すと、第1のビニング信号210(G1’)はビニング信号配列201の上側または左側に位置し、第2のビニング信号220(G2’)はビニング信号配列201の下側または右側に位置している。
【0060】
第3のビニング信号230(R’)および第4のビニング信号240(B’)は、それぞれ、第3の画素ユニット130に含まれる第3の画素131−1〜131−4および第4の画素ユニット140に含まれる第4の画素141−1〜141−4がビニングされることによって生成される。一方、第1のビニング信号210(G1’)は、第1の画素ユニット110内の第1の画素111−1〜111−4および第2の画素ユニット120内の第2の画素121−1〜121−4のそれぞれを、列方向または行方向に沿って第1の側と第2の側とに2分割し、第1の側の画素がビニングされることによって生成される。同様に、第2のビニング信号220(G2’)は、第2の側の画素がビニングされることによって生成される。以下では、図5(A)および図5(B)を参照し、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号220(G2’)を生成するビニング処理について説明する。
【0061】
図5(A)および図5(B)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る撮像システム10において、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号220(G2’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。
【0062】
図5(A)に示すように、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110内の左側の第1の画素111−1(G1UL)および111−3(G1DL)ならびに第2の画素ユニット120内の左側の第2の画素121−1(G2UL)および121−3(G2DL)をビニングし、第1のビニング信号210(G1’)を生成する。
【0063】
また、図5(B)に示すように、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110内の右側の第1の画素111−2(G1UR)および111−4(G1DR)ならびに第2の画素ユニット120内の右側の第2の画素121−2(G2UR)および121−4(G2DR)をビニングし、第2のビニング信号220(G2’)を生成する。
【0064】
したがって、第1のビニング信号210〜第4のビニング信号240のそれぞれの画素値は、表1に示す式で算出される。
【0065】
【表1】
【0066】
表1からもわかるように、第1のビニング信号210(G1’)には、第1の画素ユニット110の左側の情報および第2の画素ユニット120の左側の情報が集約されている。一方、第2のビニング信号220(G2’)には、第1の画素ユニット110の右側の情報および第2の画素ユニット120の右側の情報が集約されている。また、第1のビニング信号210〜第4のビニング信号240の各々は、4個の画素がビニングされているため、撮像システム10では、フレームレートを向上させることが可能である。
【0067】
[4.測距処理部300による測距処理]
はじめに、図6を参照して、被写体の距離信号成分を検出する方法について説明する。
【0068】
図6は、本発明の一実施形態に係る撮像システムにおける被写体の距離信号成分の検出を説明する模式図である。図6(A)〜図6(C)には、X方向において、第1の画素Lと第2の画素Rとが交互に配置されている。ここで、例えば、第1の画素Lは、第1の画素ユニット110内の左側の第1の画素111−1および111−3であり、第2の画素Rは、第1の画素ユニット110内の右側の第1の画素111−2および111−4である。なお、第1の画素Lおよび第2の画素Rの上には、光の入射角によって信号分布を変化させる光学素子層が設けられている(図示せず)。また、図6(A)〜図6(C)には、エッジ周辺における第1の画素Lおよび第2の画素Rの信号強度の変化、ならびに差分信号(L−R)の変化が示されている。差分信号(L−R)は、距離信号成分であり、例えば、第1の画素Lの画素信号の強度と第2の画素Rの画素信号の強度との差分値である。
【0069】
図6(A)は、被写体のエッジがX方向にあり、被写体と撮像システム10との距離が合焦距離よりも近い場合を示している。入射角特性の違いにより、第1の画素Lの画素信号および第2の画素Rの画素信号は、被写体のエッジ位置において、それぞれ、右および左にずれる。その結果、差分信号は下に凸の曲線となる。
【0070】
図6(B)は、被写体のエッジがX方向にあり、被写体と撮像システム10との距離が合焦距離と一致している場合を示している。この場合、第1の画素Lの画素信号と第2の画素Rの画素信号は、被写体のエッジ位置において、概ね一致する。その結果、差分信号は概ね0となる。
【0071】
図6(C)は、被写体のエッジがX方向にあり、被写体と撮像システム10との距離が合焦距離よりも遠い場合を示している。入射角特性の違いにより、第1の画素Lの画素信号および第2の画素Rの画素信号は、被写体のエッジ位置において、それぞれ、左および右にずれる。その結果、差分信号は上に凸の曲線となる。
【0072】
しかしながら、隣接する第1の画素Lと第2の画素Rとがビニングされると(例えば、第1の画素ユニット110内の第1の画素111−1〜111−4がビニングされると)、距離信号成分が失われ、結果として差分信号を検出することができなくなる。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の測距処理部300で実行される測距処理を説明する模式図である。具体的には、図7(A)は、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号220(G2’)の各々の信号強度を示す図であり、図7(B)は、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号(G2’)の差分信号(G1’−G2’)を示す図である。
【0074】
測距処理部300は、各画素配列101において、第1のビニング信号210(G1’)の画素値G1’と第2のビニング信号220(G2’)の画素値G2’との差分値を差分信号(G1’−G2’)として生成する。上述したように、第1のビニング信号210(G1’)には第1の画素ユニット110の左側の情報および第2の画素ユニットの左側の情報が集約され、第2のビニング信号220(G2’)には第1の画素ユニット110の右側の情報および第2の画素ユニット120の右側の情報が集約されている。換言すると、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号(G2’)には、それぞれ、画素配列101の左側の情報および右側の情報が含まれている。すなわち、撮像システム10では、ビニング処理後においても、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号220(G2’)のそれぞれが距離信号成分を含み、距離信号成分を基に差分信号を生成することができる。したがって、被写体のエッジがX方向にあり、被写体と撮像システム10との距離が合焦距離よりも遠い場合、図7(B)に示すように、差分信号(G1’−G2’)は、被写体のエッジ位置に対応し、上に凸の曲線となる。
【0075】
なお、距離信号distdiffは、例えば、第1のビニング信号210(G1’)の画素値G1’、第2のビニング信号220(G2’)の画素値G2’、および図7(A)に示したエッジコントラストCを用いて、式(1)で表すことができる。
【0076】
【数1】
【0077】
距離信号distdiffが正の場合には、被写体は撮像システム10の合焦距離よりも遠く、距離信号distdiffが負の場合には、被写体は撮像システム10の合焦距離よりも近い。そのため、撮像システム10は、距離信号distdiffの符号を基にして被写体に焦点を合わせることができる。
【0078】
また、測距処理部300は、距離信号distdiffに基づいて撮像システム10から被写体までの距離を計算し、実際の被写体までの距離に変換された距離情報(距離データ)を生成することができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像システム10は、ビニング処理によってフレームレートを向上させるだけでなく、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0080】
<変形例1>
図8を参照して、第1実施形態に係る撮像システム10の一変形例について説明する。なお、以下では、上述した撮像システム10の構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0081】
図8は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の画素部100aの画素配列101aおよび断面構成を示す模式図である。なお、図8(A)には、便宜上、光学素子層1300aの構成が破線で示されている。
【0082】
光学素子層1300aは、カラーフィルタ層1200上に設けられ、マイクロレンズアレイ1310aおよび透過型回折格子1320aを含む。マイクロレンズアレイ1310aは、複数の凸レンズを含み、画素(図8(B)では、第1の画素111−1および111−2、ならびに第3の画素131−1および131−2)の各々に1個の凸レンズが配置されている。なお、マイクロレンズアレイ1310aの凸レンズの直径は、画素の一辺の長さと略一致するように形成されている。
【0083】
透過型回折格子1320aは、マイクロレンズアレイ1310a上に設けられ、列方向に沿って溝が設けられている。換言すると、透過型回折格子1320aは、行方向に沿って周期的に凹凸が繰り返し配置されている。透過型回折格子1320aの溝は、第1の画素ユニット110と第3の画素ユニット130との間および第4の画素ユニット140と第2の画素ユニット120との間に設けられているが、これに限られない。
【0084】
変形例1に係る画素部100aは、マイクロレンズアレイ1310aの凸レンズが各画素に設けられている。そのため、第1の画素ユニット110内の第1の画素111−1〜111−4において、凸レンズのみによる光学的な違いはない。しかしながら、透過型回折格子1320aを設けると、第1の画素ユニット110内の左側の第1の画素111−1および111−3と右側の第1の画素111−2および111−4とにおいて、光学的な違いが現れる。第2の画素ユニット120も同様である。そのため、画素配列101aにおいても、上述と同様のビニング処理を実行することにより、第1のビニング信号210(G1’)および第2のビニング信号220(G2’)のそれぞれに距離信号成分を含ませることができるため、距離信号成分を基に差分信号を生成することができる。
【0085】
したがって、変形例1に係る画素部100aの構成であっても、撮像システム10は、ビニング処理によってフレームレートを向上させるだけでなく、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0086】
<第2実施形態>
図9および図10を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の構成について説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明したビニング処理とは異なるビニング処理について説明する。なお、以下では、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0087】
図9は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10のビニング処理部200で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
【0088】
ビニング処理部200は、画素配列101に含まれる複数の画素を選択的にビニングし、第1のビニング信号210A(G1’’)、第2のビニング信号220A(G2’’)、第3のビニング信号230(R’)、および第4のビニング信号240(B’)を生成する。以下では、便宜上、第1のビニング信号210A(G1’’)、第2のビニング信号220A(G2’’)、第3のビニング信号230(R’)、および第4のビニング信号240(B’)が、画素配列101に対応したビニング信号配列201Aに変換されたものとして説明する。そのため、第2のビニング信号220A(G2’’)は、第1のビニング信号210A(G1’’)の対角の位置(対角方向)において、第1のビニング信号210A(G1’’)と隣接している。第3のビニング信号230(R’)は、行方向において、第1のビニング信号210A(G1’’)と隣接している。第4のビニング信号240(B’)は、列方向において、第1のビニング信号210A(G1’’)と隣接している。したがって、ビニング信号配列201A内における第1のビニング信号210A(G1’’)の位置と第2のビニング信号220A(G2’’)の位置とを相対的に表すと、第1のビニング信号210A(G1’’)はビニング信号配列201Aの上側または左側に位置し、第2のビニング信号220A(G2’’)はビニング信号配列201Aの下側または右側に位置している。
【0089】
図10(A)および図10(B)は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10において、第1のビニング信号210A(G1’’)および第2のビニング信号220A(G2’’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。
【0090】
図10(A)に示すように、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110内の上側の第1の画素111−1(G1UL)および111−2(G1UR)ならびに第2の画素ユニット120内の上側の第2の画素121−1(G2UL)および121−2(G2UR)をビニングし、第1のビニング信号210A(G1’’)を生成する。
【0091】
また、図10(B)に示すように、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110内の下側の第1の画素111−3(G1DL)および111−4(G1DR)ならびに第2の画素ユニット120内の下側の第2の画素121−3(G2DL)および121−4(G2DR)をビニングし、第2のビニング信号220A(G2’’)を生成する。
【0092】
したがって、第1のビニング信号210Aおよび第2のビニング信号220Aのそれぞれの画素値は、表2に示す式で算出される。
【0093】
【表2】
【0094】
表2からもわかるように、第1のビニング信号210A(G1’’)には、第1の画素ユニット110の上側の情報および第2の画素ユニット120の上側の情報が集約されている。一方、第2のビニング信号220A(G2’’)には、第1の画素ユニット110の下側の情報および第2の画素ユニット120の下側の情報が集約されている。また、第1のビニング信号210Aおよび第2のビニング信号220Aの各々は、4個の画素がビニングされているため、撮像システム10では、フレームレートを向上させることが可能である。
【0095】
第1のビニング信号210A(G1’’)および第2のビニング信号220Aを用いた測距処理部300による測距処理は、第1実施形態と同様である。すなわち、測距処理部300は、各画素配列101において、第1のビニング信号210A(G1’’)の画素値G1’’と第2のビニング信号220A(G2’’)の画素値G2’’との差分値を差分信号(G1’’−G2’’)として生成する。また、測距処理部300は、距離信号に基づいて撮像システム10から被写体までの距離を計算し、実際の被写体までの距離に変換された距離情報(距離データ)を生成することができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像システム10も、ビニング処理によってフレームレートを向上させるだけでなく、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0097】
<変形例2>
図11を参照して、第2実施形態に係る撮像システム10の一変形例について説明する。なお、以下では、上述した撮像システム10の構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0098】
図11は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の画素部100bの画素配列101bおよび断面構成を示す模式図である。なお、図11(A)には、便宜上、光学素子層1300bの構成が破線で示されている。
【0099】
光学素子層1300bは、カラーフィルタ層1200上に設けられ、マイクロレンズアレイ1310bおよび透過型回折格子1320bを含む。マイクロレンズアレイ1310bは、複数の凸レンズを含み、画素(図11(B)では、第1の画素111−1および111−3、ならびに第4の画素141−1および141−3)の各々に1個の凸レンズが配置されている。なお、マイクロレンズアレイ1310bの凸レンズの直径は、画素の一辺の長さと略一致するように形成されている。
【0100】
透過型回折格子1320bは、マイクロレンズアレイ1310b上に設けられ、行方向に沿って溝が設けられている。換言すると、透過型回折格子1320bは、列方向に沿って周期的に凹凸が繰り返し配置されている。透過型回折格子1320bの溝は、第1の画素ユニット110と第4の画素ユニット140との間および第3の画素ユニット130と第2の画素ユニット120との間に設けられているが、これに限られない。
【0101】
変形例2に係る画素部100bは、マイクロレンズアレイ1310bの凸レンズが各画素に設けられている。そのため、第1の画素ユニット110内の第1の画素111−1〜111−4において、凸レンズのみによる光学的な違いはない。しかしながら、透過型回折格子1320bを設けると、第1の画素ユニット110内の上側の第1の画素111−1および111−2と下側の第1の画素111−3および111−4とにおいて、光学的な違いが現れる。第2の画素ユニット120も同様である。そのため、画素配列101bにおいても、上述と同様のビニング処理を実行することにより、第1のビニング信号210(G1’’)および第2のビニング信号220(G2’’)のそれぞれに距離信号成分を含ませることができるため、距離信号成分を基に差分信号を生成することができる。
【0102】
したがって、変形例2に係る画素部100bの構成であっても、撮像システム10は、ビニング処理によってフレームレートを向上させるだけでなく、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0103】
<第3実施形態>
図12を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の構成について説明する。本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態で説明したビニング処理とは異なるビニング処理について説明する。なお、以下では、第1実施形態および第2実施形態で説明した構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0104】
図12は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10のビニング処理部200で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
【0105】
図12には、画素部100に繰り返し配列された複数の画素配列101のうち、隣接する4つの画素配列101が示されている。第2の画素配列101−2は、第1の画素配列101−1の対角の位置(対角方向)において、第1の画素配列101−1と隣接している。第3の画素配列101−3は、行方向において、第1の画素配列101−1と隣接している。第4の画素配列101−4は、列方向において、第1の画素配列101−1と隣接している。
【0106】
ビニング処理部200は、第1の画素配列101−1および第2の画素配列101−2の各々においては、第1実施形態で説明したビニング処理を実行する。すなわち、第1の画素配列101−1および第2の画素配列101−2の各々は、ビニング処理によって、第1のビニング信号210および第2のビニング信号220を含むビニング信号配列201に変換される。一方、ビニング処理部200は、第3の画素配列101−3および第4の画素配列101−4の各々においては、第2実施形態で説明したビニング処理を実行する。すなわち、第3の画素配列101−3および第4の画素配列101−4の各々は、ビニング処理によって、第1のビニング信号210Aおよび第2のビニング信号220Aを含むビニング信号配列201Aに変換される。換言すると、ビニング処理部200は、行方向および列方向に、ビニング信号配列201およびビニング信号配列201Aが交互に配列されるように、ビニング処理を実行する。
【0107】
ビニング処理後の測距処理部300による測距処理は、第1実施形態および第2実施形態と同様であるため説明を省略するが、本実施形態で説明したビニング処理によっても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。特に、測距処理部300が、被写体のX方向およびY方向のエッジを検出することができるため、さらに高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0108】
<第4実施形態>
図13を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像システム10の構成について説明する。本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態で説明したビニング処理とは異なるビニング処理について説明する。なお、以下では、第1実施形態〜第3実施形態で説明した構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0109】
図13は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10のビニング処理部200で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
【0110】
図13には、画素配列101が示されている。第2k−1のフレーム(kは自然数)において、ビニング処理部200は、第1実施形態で説明したビニング処理を実行する。すなわち、第2k−1のフレームにおいて、画素配列101は、ビニング処理によって、第1のビニング信号210および第2のビニング信号220を含むビニング信号配列201に変換される。一方、第2kのフレームにおいて、ビニング処理部200は、第2実施形態で説明したビニング処理を実行する。すなわち、第2kのフレームにおいて、画素配列101は、ビニング処理によって、第1のビニング信号210Aおよび第2のビニング信号220Aを含むビニング信号配列201Aに変換される。
【0111】
ビニング処理後の測距処理部300による測距処理は、第1実施形態および第2実施形態と同様であるため説明を省略するが、本実施形態で説明したビニング処理によっても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。特に、測距処理部300が、フレームごとに被写体のX方向およびY方向のエッジを検出することができるため、さらに高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0112】
なお、本実施形態では、第2k−1のフレームおよび第2kのフレームとして、連続するフレームにおいて異なるビニング処理が実行されるように説明したが、ビニング処理のフレーム周期はこれに限られない。本実施形態では、複数のフレームのいずれかにおいて、異なるビニング処理が含まれていればよい。
【0113】
<第5実施形態>
第1実施形態〜第4実施形態では、2個の画素ユニットの各々を第1の側の画素と第2の側の画素とに分割し、第1の側の画素をビニングして第1のビニング信号を生成し、第2の側の画素をビニングして第2のビニング信号を生成したが、これらのビニング処理で用いられる画素ユニットの数は、2個に限られない。そこで、本実施形態では、画素ユニットの数が2個以外の例について説明する。なお、以下では、第1実施形態〜第4実施形態で説明した構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0114】
図14は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10のビニング処理部200でビニング処理される画素配列101c〜101eを説明する模式図である。
【0115】
図14(A)に示す画素配列101cは、2個の第1の画素ユニット110c−1および110c−2ならびに2個の第2の画素ユニット120c−1および120c−2を含む。ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110c−1および110c−2の各々の第1の側の画素と第2の画素ユニット120c−1および120c−2の各々の第1の側の画素とをビニングし、第1のビニング信号を生成する。また、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110c−1および110c−2の第2の側の画素と第2の画素ユニット120c−1および120c−2の第2の側の画素とをビニングし、第2のビニング信号を生成する。そのため、第1のビニング信号には第1の画素ユニット110cおよび第2の画素ユニット120cの各々の第1の側の情報が集約され、第2のビニング信号には第1の画素ユニット110cおよび第2の画素ユニット120cの各々の第2の側の情報が集約されている。したがって、画素配列101cに対するビニング処理においても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0116】
図14(B)に示す画素配列101dは、4個の第1の画素ユニット110d−1〜110d−4および4個の第2の画素ユニット120d−1〜120d−4を含む。ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110d−1〜110d−4の各々の第1の側の画素と第2の画素ユニット120d−1〜120d−4の各々の第1の側の画素とをビニングし、第1のビニング信号を生成する。また、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110d−1〜110d−4の各々の第2の側の画素と第2の画素ユニット120d−1〜120d−4の各々の第2の側の画素とをビニングし、第2のビニング信号を生成する。そのため、第1のビニング信号には第1の画素ユニット110dおよび第2の画素ユニット120dの各々の第1の側の情報が集約され、第2のビニング信号には第1の画素ユニット110dおよび第2の画素ユニット120dの各々の第2の側の情報が集約されている。したがって、画素配列101dに対するビニング処理においても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0117】
図14(C)に示す画素配列101eは、8個の第1の画素ユニット110e−1〜110e−8および8個の第2の画素ユニット120e−1〜120e−8を含む。ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110e−1〜110e−8の各々の第1の側の画素と第2の画素ユニット120e−1〜120e−8の各々の第1の側の画素とをビニングし、第1のビニング信号を生成する。また、ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110e−1〜110e−8の各々の第2の側の画素と第2の画素ユニット120e−1〜120e−8の各々の第2の側の画素とをビニングし、第2のビニング信号を生成する。そのため、第1のビニング信号には第1の画素ユニット110eおよび第2の画素ユニット120eの各々の第1の側の情報が集約され、第2のビニング信号には第1の画素ユニット110eおよび第2の画素ユニット120eの各々の第2の側の情報が集約されている。したがって、画素配列101eに対するビニング処理においても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0118】
ここで、ビニング処理される画素ユニットに着目すると、図2に示す画素配列101では2個の画素ユニット(1個の第1の画素ユニット110および1個の第2の画素ユニット120)、図14(A)に示す画素配列101cでは4個の画素ユニット(2個の第1の画素ユニット110cおよび2個の第2の画素ユニット120c)、図14(B)に示す画素配列101dでは8個の画素ユニット(4個の第1の画素ユニット110dおよび4個の第2の画素ユニット120d)、および図14(C)に示す画素配列101eでは16個の画素ユニット(8個の第1の画素ユニット110eおよび8個の第2の画素ユニット120e)に対してビニング処理が実行されている。すなわち、撮像システム10では、2、4、8、16、・・・、2m個(mは自然数)の画素ユニットに対してビニング処理を実行することができる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像システム10は、2個の画素ユニットに限らず、2m個の画素ユニットに対してビニング処理を実行しても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を有しているため、被写体と撮像システム10との距離を算出し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0120】
<第6実施形態>
第1実施形態〜第5実施形態では、画素部100の1個の画素ユニットが2×2個の画素を含む場合のビニング処理について説明した。しかしながら、画素ユニットに含まれる2×2個の画素は一例であって、画素ユニットに含まれる画素は2n×2n個(nは自然数)であってもよい。2n×2n個の画素は、2n×n個の画素またはn×2n個の画素に、画素の個数を等しく2分割することができるため、2n×2n個の画素を含む画素ユニットに対しては、第1実施形態〜第4実施形態で説明したビニング処理を適用することができる。
【0121】
また、1個の画素ユニットが2n×1個の画素を含む場合であっても、n×1個の画素に2分割することができる。同様に、1個の画素ユニットが1×2n個の画素を含む場合であっても、1×n個の画素に2分割することができる。そのため、2n×1個または1×2n個の画素を含む画素ユニットに対しても、第1実施形態または第2実施形態で説明したビニング処理を適用することができる。
【0122】
一方、2n+1×2n+1個の画素を含む画素ユニットに対しては、画素の個数を等しく2分割することができないため、第1実施形態〜第4実施形態で説明したビニング処理を直接適用することはできない。そこで、本実施形態では、図15図17を参照し、一例として、3×3個の画素を含む画素ユニットに対して適用されるビニング処理について説明する。なお、以下では、第1実施形態〜第4実施形態で説明した構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0123】
図15は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10Bのビニング処理部200で実行されるビニング処理を説明する模式図である。
【0124】
図15には、撮像システム10Bの画素部100Bにおける画素配列101Bが示されている。図15に示すように、画素部100Bの画素配列101Bは、第1の画素ユニット110B、第2の画素ユニット120B、第3の画素ユニット130B、および第4の画素ユニット140Bを含む。第2の画素ユニット120Bは、第1の画素ユニット110Bの対角の位置(対角方向)において、第1の画素ユニット110Bと隣接している。第3の画素ユニット130Bは、行方向において、第1の画素ユニット110Bと隣接している。第4の画素ユニット140Bは、列方向において、第1の画素ユニット110と隣接している。また、画素配列101B内における第1の画素ユニット110Bの位置と第2の画素ユニット120Bの位置とを相対的に表すと、第1の画素ユニット110Bは画素配列101Bの上側または左側に位置し、第2の画素ユニット120Bは画素配列101Bの下側または右側に位置している。
【0125】
第1の画素ユニット110Bは、第1の画素111B−1〜111B−9を含む。第2の画素ユニット120Bは、第2の画素121B−1〜121B−9を含む。第3の画素ユニット130Bは、第3の画素131B−1〜131B−9を含む。第4の画素ユニット140Bは、第4の画素141B−1〜141B−9を含む。ここでは、第1の画素111B−1〜111B−9および第2の画素121B−1〜121B−9は、それぞれ、第1の緑色画素(G1)および第2の緑色画素(G2)である。また、第3の画素131B−1〜131B−9および第4の画素141B−1〜141B−9は、それぞれ、赤色画素(R)および青色画素(B)である。
【0126】
第1の画素111B−1(G1UL)、111B−2(G1UM)、および111B−3(G1UR)は、第1の画素ユニット110B内の上側に位置し、第1の画素111B−7(G1DL)、111B−8(G1DM)、および111B−9(G1DR)は、第1の画素ユニット110B内の下側に位置している。また、第1の画素111B−4(G1ML)、111B−5(G1MM)、および111B−6(G1MR)は、第1の画素ユニット110B内の上側と下側の中間に位置している。換言すると、第1の画素111B−1(G1UL)、111B−4(G1ML)、および111B−7(G1DL)は、第1の画素ユニット110B内の左側に位置し、第1の画素111B−3(G1UR)、111B−6(G1MR)、および111B−9(G1DR)は、第1の画素ユニット110B内の右側に位置している。また、第1の画素111B−2(G1UM)、111B−5(G1MM)、および111B−8(G1DM)は、第1の画素ユニット110B内の左側と右側の中間に位置している。第2の画素ユニット120B内の第2の画素121B−1(G2UL)〜121B−9(G2DR)の位置、第3の画素ユニット130Bの第3の画素131B−1(RUL)〜131B−9(RDR)の位置、および第4の画素ユニット140B内の第4の画素141B−1(BUL)〜141B−9(BDR)の位置も同様である。
【0127】
ビニング処理部200は、上述した複数の画素を選択的にビニングし、第1のビニング信号210B(G1’’’)、第2のビニング信号220B(G2’’’)、第3のビニング信号230B(R’’’)、および第4のビニング信号240B(B’’’)を生成する。すなわち、ビニング処理によって、画素配列101Bが、第1のビニング信号210B(G1’’’)、第2のビニング信号220B(G2’’’)、第3のビニング信号230B(R’’’)、および第4のビニング信号240B(B’’’)を含むビニング信号配列201に変換される。第2のビニング信号220B(G2’’’)は、第1のビニング信号210B(G1’’’)の対角の位置(対角方向)において、第1のビニング信号210B(G1’’’)と隣接している。第3のビニング信号230B(R’’’)は、行方向において、第1のビニング信号210B(G1’’’)と隣接している。第4のビニング信号240B(B’’’)は、列方向において、第1のビニング信号210B(G1’’’)と隣接している。したがって、ビニング信号配列201B内における第1のビニング信号210B(G1’’’)の位置と第2のビニング信号220B(G2’’’)の位置とを相対的に表すと、第1のビニング信号210B(G1’’’)はビニング信号配列201Bの上側または左側に位置し、第2のビニング信号220B(G2’’’)はビニング信号配列201Bの下側または右側に位置している。
【0128】
第3のビニング信号230B(R’’’)および第4のビニング信号240B(B’’’)は、それぞれ、第3の画素ユニット130Bに含まれる第3の画素131B−1〜131B−9および第4の画素ユニット140Bに含まれる第4の画素141B−1〜141B−9がビニングされることによって生成される。一方、第1のビニング信号210B(G1’’’)は、第1の画素ユニット110B内の第1の画素111B−1〜111B−9および第2の画素ユニット120B内の第2の画素121B−1〜121B−9を2分割し、2分割された一方の画素がビニングされることによって生成される。同様に、第2のビニング信号220B(G2’’’)は、2分割された他方の画素がビニングされることによって生成される。以下では、図16および図17を参照し、第1のビニング信号210B(G1’’’)および第2のビニング信号220B(G2’’’)を生成するビニング処理について説明する。
【0129】
図16は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10Bにおいて、第1のビニング信号210B(G1’’’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110B内の左側の第1の画素111B−1(G1UL)、111B−4(G1ML)、および111B−7(G1DL)ならびに第2の画素ユニット120B内の左側の第2の画素121B−1(G2UL)、121B−4(G2ML)、および121B−7(G2DL)に加えて、中間に位置する第1の画素ユニット110B内の第1の画素111B−2(G1UM)、111B−5(G1MM)、および111B−8(G1DM)ならびに第2の画素ユニット120B内の第2の画素121B−2(G2UM)、121B−5(G2MM)、および121B−8(G2DM)をビニングし、第1のビニング信号210B(G1’’’)を生成する。
【0130】
図17は、本発明の一実施形態に係る撮像システム10Bにおいて、第2のビニング信号220B(G2’’’)を生成するビニング処理を説明する模式図である。ビニング処理部200は、第1の画素ユニット110B内の右側の第1の画素111B−3(G1UR)、111B−6(G1MR)、および111B−9(G1DR)ならびに第2の画素ユニット120B内の右側の第2の画素121B−3(G2UR)、121B−6(G2MR)、および121B−9(G2DR)に加えて、中間に位置する第1の画素ユニット110B内の第1の画素111B−2(G1UM)、111B−5(G1MM)、および111B−8(G1DM)ならびに第2の画素ユニット120B内の第2の画素121B−2(G2UM)、121B−5(G2MM)、および121B−8(G2DM)をビニングし、第2のビニング信号220B(G2’’’)を生成する。
【0131】
中間に位置する第1の画素ユニット110B内の第1の画素111B−2(G1UM)、111B−5(G1MM)、および111B−8(G1DM)ならびに第2の画素ユニット120B内の第2の画素121B−2(G2UM)、121B−5(G2MM)、および121B−8(G2DM)は、第1のビニング信号210B(G1’’’)の生成だけでなく、第2のビニング信号220B(G2’’’)にも用いられる。そのため、第1のビニング信号(G1’’’)および第2のビニング信号220B(G2’’’)の画素値は、第1の画素ユニット110B内の第1の画素111B−2(G1UM)、111B−5(G1MM)、および111B−8(G1DM)ならびに第2の画素ユニット120B内の第2の画素121B−2(G2UM)、121B−5(G2MM)、および121B−8(G2DM)の各々の画素値を1/2として算出される。
【0132】
したがって、第1のビニング信号210B〜第4のビニング信号240Bのそれぞれの画素値は、表3に示す式で算出される。
【0133】
【表3】
【0134】
表3からもわかるように、第1のビニング信号210B(G1’’’)には、第1の画素ユニット110Bの左側の情報および第2の画素ユニット120Bの左側の情報が集約されている。一方、第2のビニング信号220B(G2’’’には、第1の画素ユニット110Bの右側の情報および第2の画素ユニット120Bの右側の情報が集約されている。そのため、撮像システム10Bでは、ビニング処理後のビニング信号に距離信号成分が含まれているため、高フレームレートの撮像が可能である。
【0135】
ビニング処理後の測距処理部300による測距処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略するが、本実施形態で説明したビニング処理によっても、ビニング処理後のビニング信号が距離信号成分を含んでいるため、被写体のX方向のエッジ部分と撮像システム10Bとの距離を測定し、例えば、高精度に被写体に焦点を合わせることができる。
【0136】
なお、本実施形態は、第1実施形態だけでなく、第2実施形態〜第5実施形態で説明したビニング処理を適用することもできる。
【0137】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態の撮像システムを基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、または設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0138】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0139】
10、10B:撮像システム、
100、100B:画素部、
101、101c、101d、101e、101B:画素配列、
110、110c、110d、110e、110B:第1の画素ユニット、
111、111B:第1の画素、
120、120c、120d、120e、120B:第2の画素ユニット、
121、121B:第2の画素、
130、130B:第3の画素ユニット、
131、131B:第3の画素、
140、140B:第4の画素ユニット、
141、141B:第4の画素、
200:ビニング処理部、
201、201A、201B:ビニング信号配列、
210、210A、210B:第1のビニング信号、
220、220A、220B:第2のビニング信号、
230:第3のビニング信号、
240:第4のビニング信号、
300:測距処理部、 400:センサ部、 500:画像信号処理部、 600:記憶部、 700:表示部、
1000:回路層、 1010:スイッチ部、 1100:光電変換素子層、 1110:光電変換素子、 1120:素子分離部、 1200:カラーフィルタ層、 1210:緑色カラーフィルタ、 1230:赤色カラーフィルタ、 1240:遮光部、 1300、1300a:光学素子層、 1310、1310a、1310b:マイクロレンズアレイ、 1320a、1320b:透過型回折格子
【要約】
【課題】フレームレートが高く、距離情報を有する画像信号を出力することができる撮像システムを提供すること。
【解決手段】撮像システムは、各々が同色の複数の画素を含む2m個(mは自然数)の画素ユニットを含む画素部と、2m個の画素ユニットの各々において、複数の画素を第1の側の画素と第2の側の画素とに分割し、第1の側の画素をビニングした第1のビニング信号および第2の側の画素をビニングした第2のビニング信号を生成するビニング処理部と、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17