(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6910688
(24)【登録日】2021年7月9日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】安全器具
(51)【国際特許分類】
E05B 13/00 20060101AFI20210715BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
E05B13/00 A
E05B1/00 311N
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2021-14681(P2021-14681)
(22)【出願日】2021年2月1日
【審査請求日】2021年2月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721000918
【氏名又は名称】大橋 由美子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大橋 由美子
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−202653(JP,A)
【文献】
米国特許第3556571(US,A)
【文献】
実開平4−82267(JP,U)
【文献】
米国特許第2578547(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸(1)を開く為の操作部(2)を覆い隠す器具であって、
少なくとも安全カバー(3)と取付具(4)から構成され、
前記取付具は、弾性を有し伸び縮みをする紐からなり、
前記紐は前記安全カバーの凹部面(5)に、2点で取着されていることを特徴とする安全器具(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸、特に開き戸を開閉する際に指はさみ事故を発生させないようにさせる為、幼児等が容易に戸を開閉できなくするための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
戸の構造は大きく分けて開き戸と引き戸がある。開き戸とは戸枠と戸の間を蝶着させること、即ち蝶番等で接続して開閉する仕様の戸であり、引き戸とは戸に戸車等を設け摺動させて開閉する仕様の戸である。
特に開き戸を設置している場合は、幼児等が開閉する際に、開き戸と戸枠の間に誤って指を挟んでしまう事故が後をたたない。最悪の場合は骨折や指の切断に至り、前記事故は年間100件にも及ぶと言われている。
【0003】
そこで、前記事故を防止するための器具が様々提案されており、例えば特開2020−101005号には、開き戸の蝶番側の垂直部(6)の一部をカバーする器具が提案されている。
また、開き戸を完全に閉まらないようにする為に、開き戸の操作部側の垂直部(7)に弾性体を入れ又は挟み、前記開き戸が完全に閉まらないようにする為の器具も多々提案されている。
更に、開き戸を開かないようにさせる為、戸枠と戸を物理的に接続するような器具も多々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020−101005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、開き戸の蝶番側の垂直部における事故は防ぐことはできるが、操作部側の垂直部における事故は防ぐことはできない。また、前記方法では、粘着剤を使用するので開き戸や戸枠の汚損につながる。
開き戸を完全に閉まらないようにする器具においては、暖房や冷房効率が落ちる。即ち、冬季であれば所謂隙間風が入り込んでしまうという課題が発生する。更に、幼児等が戸を自由に開閉させることができるので、戸を開閉して遊ぶという課題も発生する。更に、戸を自由に開閉できることから、幼児等は室外に無断で出ていく等の課題もある。
【0006】
戸と戸枠を物理的に接続して開き戸が開かないようにさせる為の器具にいたっては、開き戸や戸枠に器具を固設する必要があるので、開き戸や戸枠に穴をあける等傷をつけてしまうというという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、幼児等が開き戸を容易に開閉できなくさせることを目的とし、一方、大人は容易に開閉ができることを目的として開発された。
尚、本発明は、特に開き戸への使用を目的として開発をしたが、戸を操作する為の操作部がある戸であればどのような戸にも利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、
「戸(1)を開く為の操作部(2)を覆い隠す器具であって、
少なくとも安全カバー(3)と取付具(4)から構成され、
前記取付具は、弾性を有し伸び縮みをする紐からなり、
前記紐は前記安全カバーの凹部面(5)に、2点で取着されていることを特徴とする安全器具(9)。」
を提供する。
【0008】
前記操作部とは、戸を開く際に物理的又は電気的に作用させる部分を示す。例えば、レバーハンドルや回転ノブやプッシュ式スイッチである。
前記凹部面とは、前記安全カバーの所謂内部面を示す。更に詳しく説明すると、前記安全器具を取り付けた際、前記安全カバーは前記操作部を覆い隠すが、覆い隠されることにより、戸を開く者から見ることができない部分の面を示す。
【発明の効果】
【0009】
本発明を実施すると、幼児等において以下の効果が発揮された。
1、 開き戸を自由に開けることができなくなる為、開き戸の蝶番側の垂直部における事故だけでなく開き戸の操作部側の垂直部における事故も防ぐことができる。
2、 取付及び取外しが容易にかつ素早くできる。
3、 戸や戸枠に粘着剤や傷をつけることなく設置ができる。
4、 戸を自由に開くことができないので幼児等が室外に出ていくことがなくなる。
【0010】
ところで、本安全器具は、物理的に壊すことができるし、力を加えることにより取り外すこともできる。しかし、実際に本安全器具を取り付けると、幼児等は敢えて本安全器具を壊したり取り外したりするような行動を取ることは確認できなかった。即ち、本安全器具を取り付けることにより、幼児等の心理にも何らかの働きかけがあるものと推測される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明するが、特に以下の実施形態にこだわるものではない。
安全カバーの形はどのような形状でもかまわないが、戸の操作部が安全カバーによって少なくとも操作部の一部が覆い隠されなければならない。例えば、形状は直方体の一面が開いている形状でもよいし、前記直方体のいずれかの面又は辺が曲面になっていてもよいし、安全カバーの形状が動物やキャラクター等の形を模倣していてもよい。
【0013】
更に、安全カバーの一部分に手が入る程度の操作穴を設け、安全器具を付けた状態で戸の操作部の操作ができる様に改良することもできる。前記操作穴の大きさは、大人の手が何とか入る程度の大きさであれば問題がなく、前記操作穴の形状はどのような形状であってもかまわない。
安全カバーの材料は、形状を維持する様な材質であればどのような材質でもよいが、例えば、ダンボール紙、硬い紙、プラスチック板、プラスチックで作成されたプラスチックダンボール板、金属板であってもよいし、それらの複合体であってもよい。また、前記プラスチックは透明または半透明であってもよい。
安全カバーと戸が接する面には、前記安全カバーが戸に傷をつけにくくするためにゴム等の軟質材料を設けてもよい。
【0014】
取付具とは、安全カバーを戸の操作部に保定する為の部品であり、その機能を有するものであればどのような形状物でもかまわない。しかし、弾性を有し伸び縮みをする紐が好ましい。例えば、前記紐を輪の形状として、前記輪に戸の操作部の一部を掛けて保定することができるからである。
前記紐の断面における最小径は、通常使用される紐より大きいものが好ましく、具体的には最小径1mm以上、好ましくは最小径3mm以上である。前記特徴を有する紐であれば、安全カバーが戸に密着し易くなり、かつ安定する。尚、前記紐は、長さ調整ができる機能を備えていてもよい。
取付具の取付位置は、安全カバーの凹部面であればどこに設置していてもかまわないが、戸の操作部に対向する位置が好ましい。
【0015】
図1は、開き戸の図である。
図2は、側面から、即ち戸を有する壁が延在している面から見た図である。
尚、取付具、操作部及び凹部面は実際には安全カバーにより見ることはできないが、取付状態を説明する為に敢えて記載をしている。
図3は、安全器具を取付前の戸の写真である。
図4は、安全器具を取付後の正面写真である。
図5は、安全器具を取付後の斜視写真である。
図6は、安全カバーの凹部面の写真である。
図7は、取付具の写真である。
【符号の説明】
【0016】
1 戸
2 操作部
3 安全カバー
4 取付具
5 凹部面
6 蝶番側の垂直部
7 操作部側の垂直部
8 蝶番
9 安全器具
【要約】 (修正有)
【課題】開き戸の蝶番側の垂直部における指はさみ事故及び操作部側の垂直部における指はさみ事故を防ぐこと。
【解決手段】戸1を開く為の操作部2を覆い隠す器具であって、少なくとも安全カバー3と取付具4から構成され、取付具は安全カバーの凹部面5に設けられていることを特徴とする安全器具を提供すること。
【選択図】
図2