(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を、ベルト式の無段変速機(以下、自動変速機と標記する)に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、自動変速機1の各構成要素の変速機ケース10内での配置を模式的に示した図である。なお、
図1では、変速機ケース10内に配置されたバリエータ2と、ギヤ列6と、ファイナルギヤ7と、差動装置8を、簡略的に仮想線で示している。
図2は、変速機ケース10における電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9(ATCU)の配置を説明する図である。
図2の(a)は、
図1の変速機ケース10の電動オイルポンプ21周りの拡大図である。
図2の(b)は、変速機ケース10を、
図2の(a)におけるA−A矢視方向から見た斜視図であって、蓋部126周りを拡大して示す図である。
【0009】
図1に示すように、車両用のベルト式の自動変速機1(CVT)のバリエータ2は、プライマリプーリ3と、セカンダリプーリ4と、動力伝達部材5(ベルト)と、を有している。
動力伝達部材5は、両側にスリットを有する板状のエレメントを積層して環状に配置し、エレメントの各々を、スリットを挿通させた環状リングで結束して構成されたベルトである。
【0010】
プライマリプーリ3は、図示しない駆動源の回転駆動力が入力されて回転軸X1(プライマリプーリの軸中心)回りに回転する。
セカンダリプーリ4は、回転軸X1に平行な回転軸X2(セカンダリプーリの軸中心)回りに回転可能に設けられている。
【0011】
動力伝達部材5は、プライマリプーリ3の外周とセカンダリプーリ4の外周とに巻き掛けられている。プライマリプーリ3に入力された回転駆動力は、動力伝達部材5を介してセカンダリプーリ4に伝達される。
【0012】
バリエータ2では、プライマリプーリ3からセカンダリプーリ4に回転駆動力を伝達する際に、プライマリプーリ3における動力伝達部材5の巻き掛け半径と、セカンダリプーリ4における動力伝達部材5の巻き掛け半径とが変更される。
これにより、プライマリプーリ3に入力された回転駆動力が、所望の変速比で変速されて、セカンダリプーリ4に伝達される。
【0013】
ここで、変速比は、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ4における動力伝達部材5の巻き掛け半径に応じて決まる。巻き掛け半径は、自動変速機1を搭載した車両の走行状態などに基づいて、自動変速機1の変速機コントローラ9(ATCU)が決定する。
【0014】
セカンダリプーリ4に伝達された回転駆動力は、ギヤ列6と、ファイナルギヤ7と、差動装置8とを介して、最終的に駆動輪(図示せず)に伝達される。
本実施形態では、バリエータ2と、ギヤ列6と、ファイナルギヤ7とで、変速機構部を構成している。
【0015】
プライマリプーリ3の回転軸X1を通る水平線H1は、セカンダリプーリ4の回転軸X2を通る水平線H2よりも、鉛直線方向における下側に位置している。プライマリプーリ3の回転軸X1と、セカンダリプーリ4の回転軸X2は、鉛直線方向で離れている。
変速機ケース10の内部では、プライマリプーリ3が、セカンダリプーリ4よりも鉛直線方向における下側に配置されている。
【0016】
ここで、本明細書における用語「鉛直線」は、重力方向と平行な線を意味し、用語「水平線」は、重力方向と垂直な線を意味する。
【0017】
ギヤ列6およびファイナルギヤ7と、セカンダリプーリ4は、セカンダリプーリ4の回転軸X2方向に離れて配置されている。
図1の場合には、ギヤ列6とファイナルギヤ7は、セカンダリプーリ4よりも紙面手前側に位置している。
【0018】
図1の場合、変速機ケース10の内部では、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ4が紙面奥側に位置している。ギヤ列6とファイナルギヤ7が紙面手前側に位置している。
図1に示す変速機ケース10は、紙面手前側と奥側に奥行きを持っており、変速機ケース10よりも紙面手前側に、図示しない駆動源が位置している。
【0019】
変速機ケース10の下部には、オイルパン15が取り付けられている。オイルパン15は、変速機ケース10の下部側の開口16を塞いで、変速機ケース10の下部にオイルOLの貯留空間となる第3室S3を形成する。
第3室S3内には、コントロールバルブユニット17が位置している。コントロールバルブユニット17もまた、変速機ケース10の下部に固定されており、コントロールバルブユニット17に付設されたオイルストレーナ18は、オイルパン15内に貯留させたオイルOL内に位置している。
【0020】
変速機ケース10の周壁11は、変速機ケース10の内部に、変速機構部の収容空間となる第1室S1を形成する。
この第1室S1には、バリエータ2の収容空間や、ギヤ列6とファイナルギヤ7の収容空間が含まれる。
変速機ケース10内の空間は、周壁11の下部に設けた区画壁111により、オイルパン15側の第3室S3と、変速機構部(バリエータ2)側の第1室S1とに区画されている。
【0021】
周壁11は、プライマリプーリ3の近傍を鉛直線方向に延びる仕切壁部12を有している。この仕切壁部12は、自動変速機1を車両に搭載した状態で、車両前方側(ラジエータRAD)側に位置している。
仕切壁部12の外周には、オイルクーラ20と電動オイルポンプ21が付設されている。仕切壁部12において電動オイルポンプ21は、オイルクーラ20よりもオイルパン側(鉛直線方向における下側)に設けられている。
【0022】
プライマリプーリ3の回転軸X1方向から見て、プライマリプーリ3の回転軸X1を通る鉛直線V1は、セカンダリプーリ4の回転軸X2を通る鉛直線V2と、オイルクーラ20との間に位置している。
プライマリプーリ3の回転軸X1方向から見て、プライマリプーリ3の回転軸X1を通る鉛直線V1の位置は、セカンダリプーリ4の回転軸X2を通る鉛直線V2と、電動オイルポンプ21との間でもある。
【0023】
仕切壁部12は、オイルクーラ20が付設された第1壁121と、電動オイルポンプ21が付設された第2壁122と、を有している。第2壁122は、鉛直線方向における第1壁121の下側に位置している。
水平線H1方向における第1壁121の厚みW1は、水平線H1方向における第2壁122の厚みW2よりも厚くなっている。第2壁122の電動オイルポンプ21側の表面122aは、第1壁121のオイルクーラ20側の表面121aよりも、プライマリプーリ軸31に近い位置に配置されている。
【0024】
そのため、水平線H1方向における電動オイルポンプ21のプライマリプーリ3側(図中左側)の端部21aは、水平線H1方向におけるオイルクーラ20のプライマリプーリ3側(図中左側)の端部20aよりも、プライマリプーリ3側に位置している。
【0025】
電動オイルポンプ21の端部21aと、オイルクーラ20の端部20aは、水平線H1方向で離れている。さらに、電動オイルポンプ21の重心のほうが、オイルクーラ20の重心よりも、回転軸X1の近傍に位置している。
【0026】
第1壁121には、オイルフィルタ201の収容部121bが設けられている。収容部121bは鉛直線方向に沿う向きで設けられている。オイルフィルタ201は、鉛直線方向における上側から、収容部121bに対して着脱される。
本実施形態ではオイルクーラ20で冷やされたオイルOLが、オイルフィルタ201を通って、第1室S1側に戻される。
【0027】
前記したように、変速機ケース10の区画壁111は、変速機ケース10内の空間を、オイルパン15側の第3室S3と変速機構部(バリエータ2)側の第1室S1とに区画する。
回転軸X1方向から見て区画壁111は、仕切壁部12の第1壁121の表面121a(外周面)よりも外側(ラジエータRAD側)まで及ぶ範囲に設けられている。
【0028】
区画壁111では、第1壁121の表面121a(外周面)よりも外側(ラジエータRAD側)に位置する領域が、膨出領域111aとなっている。
鉛直線方向における膨出領域111aの上側には、壁部123が設けられている。
【0029】
壁部123は、第1壁121と第2壁122との境界部から、変速機ケース10の外側(ラジエータRAD側)に向けて延出している。壁部123は、水平線H1に対して略平行に設けられている。
【0030】
変速機ケース10では、鉛直線V1方向における壁部123と膨出領域111aとの間に、電動オイルポンプ21を収容する第2室S2(電動オイルポンプ室)が形成されている。
【0031】
第2室S2内では、電動オイルポンプ21が、第2壁122の表面122a(外周)に固定されている。この状態において電動オイルポンプ21は、区画壁111の膨出領域111aと壁部123とで、周囲を取り囲まれている。
【0032】
第2室S2は、変速機ケース10の外側(回転軸X1の径方向外側)に開口しており、この第2室S2の開口は、ラジエータRADに対向している。
第2室S2の開口は、水平線H1方向に開口しており、第2室S2の開口は、壁部123と膨出領域111aとに跨がって固定された蓋部126で封止されている。
【0033】
蓋部126における第2室S2との対向面には、凹部126aが形成されている。この凹部126aに、自動変速機1の変速機コントローラ9(ATCU)が設けられている。
第2室S2の開口を蓋部126で封止すると、蓋部126に設けた変速機コントローラ9(ATCU)もまた、電動オイルポンプ21と共に第2室S2内に収容される。
【0034】
図2の(b)に示すように、蓋部126には、変速機コントローラ9に電気的に接続されたコネクタ127が一体に設けられている。
コネクタ127は、蓋部126の表面(外側面)に露出しており、
図1では、蓋部126の紙面奥側に位置している。
【0035】
変速機コントローラ9は、コネクタ127に接続された外部配線を介して、車両に搭載された他の制御装置(例えば、エンジンコントロールユニット)に接続されている。
【0036】
第2室S2には、区画壁111の膨出領域111aに設けた連通孔112が開口している。連通孔112は、膨出領域111aを鉛直線方向に貫通しており、連通孔112は、第2室S2と、オイルパン15内の第3室S3とを、最短距離で連通させている。
【0037】
変速機コントローラ9(ATCU)から延びるワイヤハーネス128は、連通孔112を通って、オイルパン15側に引き出されたのち、コントロールバルブユニット17に接続されている。
変速機コントローラ9(ATCU)は、変速機コントローラ9(ATCU)が車両側に設けられている従来例(
図7参照)の場合よりも短い長さのワイヤハーネス128でコントロールバルブユニット17に接続されている。
コントロールバルブユニット17内には、オイルOLが通流する油路、オイルOLの圧力(油圧)を調圧する調圧弁、オイルOLの供給先を切り替える切替弁などが設けられている。
変速機コントローラ9は、調圧弁や切替弁を駆動するソレノイドなどに、ワイヤハーネス128を介して、駆動信号(指令)を出力する。また、変速機ケース10内に設けたセンサなどの出力信号が、ワイヤハーネス128を介して、変速機コントローラ9に入力される。
【0038】
電動オイルポンプ21が固定された第2壁122の内部には、電動オイルポンプ21とコントロールバルブユニット17とを接続する油路129が設けられている。
油路129は、鉛直線方向に直線状に延びており、コントロールバルブユニット17と電動オイルポンプ21とを最短距離で連絡させている。
【0039】
電動オイルポンプ21が駆動されると、オイルパン15内のオイルOLが、オイルストレーナ18に吸引される。オイルストレーナ18に吸引されたオイルOLは、コントロールバルブユニット17内の油路(図示せず)と第2壁122内の油路(図示せず)を通って、電動オイルポンプ21に供給される。
電動オイルポンプ21は、吸引したオイルOLを、加圧したのちに、第2壁122内の油路129を介して、コントロールバルブユニット17に供給する。
なお、この油路129は、第2壁122の内部を鉛直線方向に延びており、コントロールバルブユニット17と電動オイルポンプ21とを最短距離で連絡させている。
【0040】
コントロールバルブユニット17は、変速機コントローラ9(ATCU)からの指令に基づいて、切替弁や調圧弁を駆動して、自動変速機1(バリエータ2)の駆動や潤滑に必要な油圧を調圧する。
そして、調圧された油圧(オイル)により、自動変速機1が備える油圧駆動装置(例えば、バリエータ2や、図示しない摩擦締結装置)が駆動されると共に、潤滑が必要な部位が潤滑される。
【0041】
以下、かかる構成を有する自動変速機1における、電動オイルポンプ21と、変速機コントローラ9の組み付け手順を説明する。
【0042】
変速機ケース10では、周壁11の外側面(回転軸X1の径方向外側の表面)で、第2室S2が開口している。
始めに、電動オイルポンプ21を、第2室S2の開口から、第2室S2内に挿入したのち、電動オイルポンプ21を、第2室S2の奥で露出する第2壁122の表面122aに、ボルト(図示せず)で固定する。
【0043】
凹部126aに変速機コントローラ9(ATCU)が設けられた状態の蓋部126を用意しておき、変速機コントローラ9から引き出されたワイヤハーネス128の先端側を連通孔112に挿入する。
連通孔112に挿入したワイヤハーネス128を、第3室S3側に引き出したのち、コントロールバルブユニット17に設けたコネクタ(図示せず)に接続する。
ワイヤハーネス128が接続されたコントロールバルブユニット17を、変速機ケース10の下部にボルトで固定する。
【0044】
第2室S2の開口を、蓋部126における変速機コントローラ9側の面で塞いで、蓋部126の周縁部を、変速機ケース10の膨出領域111aと壁部123に、ボルト(図示せず)で固定する。この際に、ワイヤハーネス128は、第2室S2内の隙間に収容する。
【0045】
ここで、第2室S2は、第1室S1および第3室S3から独立して形成された空間である。第2室S2は、変速機ケース10の第2壁122で、第1室S1から仕切られており、区画壁111の膨出領域111aで、第3室S3から仕切られている。
よって、第2室S2は、変速機構部(回転体)を収容する第1室S1や、オイルを貯留する第3室S3から区画されている。
【0046】
膨出領域111aには、第2室S2と第3室S3とを連通させる連通孔112が設けられているが、この連通孔112は、この連通孔112内に設置されたワイヤハーネス128で、開口範囲が狭められている。
さらに、第3室S3には、第1室S1とは異なり、オイルを掻き上げる回転体が設置されていない。そして、第2室S2は、鉛直線方向における第3室S3の上側に設けられている。
【0047】
そのため、第3室S3内の作動油(オイル)は、第2室S2内に流入し難くなっており、第2室S2内に設置された変速機コントローラ9が、高温かつ大量の作動油(オイル)に常時曝されないようになっている。
【0048】
さらに、連通孔112は、膨出領域111aを鉛直線方向に貫通しており、連通孔112は、第2室S2と第3室S3とを、最短距離で連通させている。
そのため、ワイヤハーネス128の全長を短くすることができるので、ワイヤハーネス128の電気抵抗の低減が可能になり、ワイヤハーネス128を介してやり取りされる信号(センサ信号、指令)におけるエラーの発生を抑制できる。
また、ワイヤハーネス128の全長が短くなった分だけ、コストの低減が可能になる。
【0049】
さらに、変速機コントローラ9が蓋部126に搭載されているので、電動オイルポンプ21を第2室S2内に設置した後、第2室S2の開口を蓋部126で塞ぐことで、変速機コントローラ9の設置も同時に完了する。
よって、電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9の設置を、ほぼ同時期に行うことができるので、これらの組み付け作業が容易になる。
【0050】
さらに、電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9を別々に設ける場合よりも、必要となる部品点数が少なくなるので、部品点数の削減に伴うコストの低減が可能になる。
また、電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9の設置に必要な空間が少なくなるので、省スペース効果が期待できる。
【0051】
以下、かかる構成を有する自動変速機1における第2室S2への電動オイルポンプ21の設置の手順を説明する。
【0052】
変速機ケース10では、鉛直線V1方向における壁部123と膨出領域111aとの間に、電動オイルポンプ21を収容する第2室S2(電動オイルポンプ室)が形成されている。第2室S2は、当該第2室S2の開口を蓋部126で封止することで形成される。
【0053】
第2室S2への電動オイルポンプ21の設置は、以下の手順にて実施される。
(a)凹部126aに変速機コントローラ9(ATCU)が設けられた状態の蓋部126を用意しておく。
(b)第2室S2の開口から電動オイルポンプ21を挿入して、電動オイルポンプ21を、第2壁122の表面122a(外周)に固定する。
(c)変速機コントローラ9から引き出されたワイヤハーネス128の先端側を連通孔112に挿入する。
(d)連通孔112に挿入したワイヤハーネス128を、第3室S3側に引き出したのち、コントロールバルブユニット17に設けたコネクタ(図示せず)に接続する。
(e)ワイヤハーネス128が接続されたコントロールバルブユニット17を、変速機ケース10の下部にボルトで固定する。
(f)第2室S2の開口を、蓋部126における変速機コントローラ9側の面で塞いで、蓋部126の周縁部を、変速機ケース10の膨出領域111aと壁部123に、ボルト(図示せず)で固定する。この際に、ワイヤハーネス128は、第2室S2内の隙間に収容する。
【0054】
これにより、変速機ケース10の膨出領域111aと壁部123に、蓋部126をボルト(図示せず)で固定した時点で、変速機コントローラ9も、第2室S2内に同時に取り付けられることになる。
よって、変速機コントローラ9が、蓋部126とは別に設けられている場合に比べて、変速機コントローラ9の組み付けに必要な作業が少なくなる。よって、変速機コントローラ9の組み付けを容易に実施できる。
【0055】
以上の通り、実施形態にかかる自動変速機1(自動変速機)は、以下の構成を有している。
(1)変速機構が配置された第1室S1と、
変速機コントローラ9が配置される第2室S2と、
第2室S2の少なくとも一部を構成する蓋部126と、を有し、
変速機コントローラ9は蓋部126に搭載されている。
【0056】
変速機コントローラ9を蓋部126に搭載しておくと、蓋部126を変速機ケース10に取り付けて第2室S2を形成した際に、変速機コントローラ9もまた、第2室S2内に同時に設置されることになる。
よって、変速機コントローラ9が蓋部126とは別に設けられている場合に比べて、変速機コントローラ9の組み付けが容易になる。
また、変速機コントローラ9が蓋部126とは別に設けられている場合には、変速機コントローラ9を設けるための専用の部品などが別途必要になる。変速機コントローラ9が蓋部126に搭載されていることで、変速機コントローラ9を設けるための部品を別途用意する必要がない。これにより、部品点数の増加を防ぐことができ、部品点数の削減効果が期待できる。
さらに、電動オイルポンプ21を収容する第2室S2内の空間を利用して、変速機コントローラ9を設置するので、第2室S2の外部に変速機コントローラ9を設置する場合に比べて、省スペース効果が奏されることになる。
【0057】
なお、実施形態では、蓋部126における第2室S2との対向面に凹部126aが設けており、この凹部126a内に変速機コントローラ9を設置した場合を例示した。
蓋部126に凹部126aが設けられていない場合には、蓋部126における第2室S2との対向面に、変速機コントローラ9を固定することで、蓋部126と変速機コントローラ9とを組み付けるようにしても良い。
【0058】
さらに、自動変速機1(無段変速機)は、以下の構成を有している。
(2)変速機コントローラ9と接続されるコネクタ127を有している。
コネクタ127は蓋部126に搭載されて、変速機ケース10の表面に露出している。
【0059】
このように構成すると、コネクタ127を蓋部126に搭載しておくことで、蓋部126の変速機ケース10側への取り付けを完了した時点で、変速機コントローラ9とコネクタ127の組み付けも完了する。
よって、コネクタ127が蓋部126とは別に設けられている場合には、コネクタ127を設けるための専用の部品などが別途必要になる。コネクタ127が蓋部126に搭載されていることで、コネクタ127を設けるための部品を別途用意する必要がない。これにより、部品点数の増加を防ぐことができ、部品点数の削減効果が期待できる。
また、コネクタ127が蓋部126に設けられているので、変速機ケース10の他の部位にコネクタ127を設ける場合に比べて、設置のためのスペースを抑えることができる。よって、省スペース効果が奏されることになる。
【0060】
なお、実施形態では、コネクタ127が蓋部126と一体に設けられている場合を例示した。コネクタ127は、蓋部126と別体に形成されて、蓋部126に固定されている構成としても良い。
【0061】
さらに、本願発明は、自動変速機1(無段変速機)の製造方法としても特定できる。
すなわち、
(3)変速機構が配置された第1室S1と、
変速機コントローラ9および電動オイルポンプ21が配置される第2室S2と、
第2室S2の少なくとも一部を構成する蓋部126と、を有する自動変速機の製造方法であって、
電動オイルポンプ21を第2室S2内に配置した後、変速機コントローラ9が搭載された蓋部126を取り付けることを特徴とする自動変速機1の製造方法である。
【0062】
このように構成すると、電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9とを略同時期に取り付ける場合には、以下の手順にて取り付け作業を行うことで、電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9の組付けが容易になる。
(a)電動オイルポンプ21の第2室S2内への設置を先に行う。
(b)変速機コントローラ9が搭載された蓋部126を、変速機ケース10側に取り付けて第2室S2の開口を閉じる。
【0063】
さらに、実施形態にかかる自動変速機1(無段変速機)は、以下の構成を有している。
(4)変速機構が配置された第1室S1(変速機構室)と、
電動オイルポンプ21が配置された第2室S2(電動オイルポンプ室)と、
第2室S2内に配置された変速機コントローラ9と、を有する。
第1室S1と第2室S2は、仕切壁部12により区画(分離)されている。
【0064】
このように構成すると、第1室S1(変速機構室)と分離された第2室S2(電動オイルポンプ室)内に変速機コントローラ9を配置することにより、変速機コントローラ9が多量の高温の作動油に曝されることを防止することができる。
【0065】
さらに、自動変速機1(自動変速機)は、以下の構成を有している。
(5)コントロールバルブユニット17が配置された第3室S3(コントロールバルブユニット室)を有する。
第2室S2と第3室S3とを連通させる連通孔112(孔)を有する。
鉛直線方向における第2室S2の直下に第3室S3が位置している。
変速機コントローラ9とコントロールバルブユニット17とは、連通孔112を挿通されたワイヤハーネス128を介して接続されている。
【0066】
このように構成すると、連通孔112が、第2室S2と第3室S3とを最短距離で連通しているので、変速機コントローラ9とコントロールバルブユニット17とを繋ぐワイヤハーネス128の長さを短くできる。
ワイヤハーネス128の長さが短くなると、ワイヤハーネス128の電気抵抗の低下、および/または、コストの低下が期待できる。
【0067】
さらに、自動変速機1(無段変速機)は、以下の構成を有している。
(6)自動変速機1は、オイルクーラ20と、電動オイルポンプ21と、バリエータ2と、を有する。
バリエータ2は、プライマリプーリ3と、セカンダリプーリ4と、プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4に巻きかけられた動力伝達部材5と、を有する。
回転軸X1方向における駆動源(図示せず)側から見て、プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る鉛直線V1は、セカンダリプーリ4の軸中心(回転軸X2)を通る鉛直線V2と、オイルクーラ20との間に位置する。
プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る鉛直線V1は、セカンダリプーリ4の軸中心(回転軸X2)を通る鉛直線V2と、電動オイルポンプ21との間に位置する。
電動オイルポンプ21のプライマリプーリ3側の端部21aは、オイルクーラ20のプライマリプーリ3側の端部20aよりも、プライマリプーリ3に近い位置に配置されている。
【0068】
自動変速機1(CVT)では、駆動源とCVTとの共振(パワープラント共振)が生じている。
本願発明者は、以下の点に着目した。
(a)電動オイルポンプの設置場所が、パワープラント共振の節(振幅の小さい所)に近いほど、音響パワーレベルが下がり音振に対して有利である。
(b)電動オイルポンプの設置場所が、パワープラント共振の節(振幅の小さい所)から遠ざかるほど音振性能が悪化する。
(c)CVTにおいてパワープラント共振の節は、プライマリプーリ軸31である。
【0069】
そして、上記のように、電動オイルポンプ21のプライマリプーリ3側の端部21aを、オイルクーラ20のプライマリプーリ3側の端部20aよりも、プライマリプーリ3に近い位置に配置することで、プライマリプーリ軸31に電動オイルポンプ21を近づけて配置した。
これにより、パワープラント共振で電動オイルポンプ21が振動する際の振幅が、
図7に示す従来例にかかる自動変速機1Xの場合よりも小さくなる。
よって、振動により生じる騒音の程度(音響パワーレベル)が小さくなる。
【0070】
さらに、実施形態にかかる自動変速機1(自動変速機)は、以下の構成を有している。
(7)プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る鉛直線V1と、オイルクーラ20の間に第1壁121を有する。
プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る鉛直線V1と、電動オイルポンプ21との間に第2壁122を有する。
第2壁122の電動オイルポンプ21側の表面122aは、第1壁121のオイルクーラ20側の表面121aよりも、プライマリプーリ3に近い位置に配置されている。
【0071】
このように構成すると、変速機ケース10の周壁部11は、第2壁122が、第1壁121よりもプライマリプーリ3側に位置した形状になる。
このように、第2壁122が、第1壁121よりもプライマリプーリ3側にオフセットするように変速機ケース10(周壁11)を設計することで、電動オイルポンプ21の端部21aをプライマリプーリ3に近づけることができる。
【0072】
さらに、実施形態にかかる自動変速機1(自動変速機)は、以下の構成を有している。
(8)第2壁122に形成された油路129を介して、電動オイルポンプ21からコントロールバルブユニット17へオイルOLを供給する。
【0073】
電動オイルポンプが変速機ケースの外周に付設されている場合、電動オイルポンプからコントロールバルブユニットへの作動油の供給を、変速機ケースとは別体に設けた専用の配管チューブを用いて行うことが一般的である。
上記のように構成すると、変速機ケースとは別体に設けた専用の配管チューブを用いることなく、第2壁122の油路129を用いて、電動オイルポンプ21からコントロールバルブユニット17に作動油圧を供給することができる。
第2壁122を利用して油路129を設けることで、変速機ケースとは別体に設けた専用の配管チューブを用いる場合よりも部品点数を少なくすることができる。さらに、電動オイルポンプ21とコントロールバルブユニット17とを繋ぐ油路の全長を短くできる。
【0074】
以下、本願発明の特徴を、必要に応じて効果と共に列挙する。
(9)プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る水平線H1は、セカンダリプーリ4の軸中心(回転軸X2)を通る水平線H2よりも、鉛直線方向における下方に位置している。
電動オイルポンプ21は、鉛直線方向におけるオイルクーラ20の下方に位置する。
【0075】
2つのプーリ(プライマリプーリ3、セカンダリプーリ4)の鉛直線方向における上下関係に応じて、電動オイルポンプ21とオイルクーラ20の上下関係を定めることにより、電動オイルポンプ21をプライマリプーリ3に近づけることができる。
【0076】
(10)回転軸X1方向から見て、オイルクーラ20とコントロールバルブユニット17との間に、電動オイルポンプ21が位置する。
第2壁122に形成された油路129を介して電動オイルポンプ21からコントロールバルブユニット17にオイルを供給する。
【0077】
油路129を短くすることができるので、変速機ケース10の強度低下を抑制することができる。
【0078】
(11)自動変速機1は車両に搭載されている。
回転軸X1方向から見て、車両に搭載されたラジエータRADと、プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る鉛直線V1との間に、オイルクーラ20および電動オイルポンプ21が配置されている。
【0079】
オイルクーラ20および電動オイルポンプ21は、車両における前方側に配置される。
ラジエータRADと変速機ケース10との間の隙間を活用して、電動オイルポンプ21を配置できるので、電動オイルポンプ21を変速機ケース10の外周(表面)に設置するに当たり、車両側でのレイアウトの変更が必要にならない。
【0080】
(12)第2壁122を含む第2室S2(電動オイルポンプ室)内に、電動オイルポンプ21が配置されている。
第2室S2内に、変速機コントローラ9(ATCU)が配置されている。
自動変速機1を搭載する車両が、エンジンとモータの両方を駆動源として備えるハイブリット車両である場合には、さらにMCU(モータコントローラ)を第2室S2内に配置する。
【0081】
プーリ(プライマリプーリ3、セカンダリプーリ4)を収容する第1室S1は、多量の作動油(オイル)に曝される環境下にある。コントローラ(変速機コントローラ9、モータコントローラ)を、第1室S1から区画された部屋である第2室S2に置くことで、コントローラ(変速機コントローラ9、モータコントローラ)が多量の高温の作動油に曝されることを防止することができる。
【0082】
(13)回転軸X1方向から見て、オイルクーラ20と、プライマリプーリ3の軸中心(回転軸X1)を通る鉛直線V1との間に、オイルフィルタ201が配置されている。
オイルフィルタ201は、オイルクーラ20が付設された第1壁121内に設けられている。
オイルクーラ20が付設された第1壁121の水平線H1方向の厚みW1は、電動オイルポンプ21が付設された第2壁122の水平線H1方向の厚みW2よりも厚い。
【0083】
第1壁121の水平線H1方向の厚みW1と、第2壁122の水平線H1方向の厚みW2を異ならせて、プライマリプーリ軸31からオイルクーラ20までの距離を、プライマリプーリ軸31から電動オイルポンプ21までの距離よりも長くしている。
【0084】
すなわち、第1壁121と第2壁122の厚みを異ならせて、オイルクーラ20を、電動オイルポンプよりもプライマリプーリ軸31から若干遠ざけて配置する。
これにより、オイルフィルタ201を配置するスペースを、第1壁121内に確保できる。
【0085】
これにより、オイルフィルタ201をオイルクーラ20の近くに配置することができる。オイルフィルタ201とオイルクーラ20とが離れて配置されていると、オイルフィルタ201とオイルクーラ20とを連通させる長いチューブを別途用意する必要がある。
オイルフィルタ201をオイルクーラ20の近くに配置することで、長いチューブを別途用意する必要ないので、部品点数を減少させることができる。
【0086】
また、オイルクーラ20よりも質量の大きい電動オイルポンプ21のほうを、パワープラント共振の節(プライマリプーリ軸31)により近づけて配置できる。
これにより、パワープラント共振により振動する電動オイルポンプ21の振幅が小さくなり、振動する電動オイルポンプ21が生じる騒音の音響パワーレベルが小さくなる。
【0087】
(14)第2室S2(電動オイルポンプ21と変速機コントローラ9が収容された部屋)と、第3室S3(コントロールバルブユニット17が配置された部屋)との間に、第2室S2と第3室S3とを区画する区画壁111(第3壁)を有する。
区画壁111における膨出領域111aに、第2室S2と第3室S3とを連通させる連通孔112が設けられている。
連通孔112は、鉛直線に沿う直線状に形成されており、第2室S2と第3室S3とを最短距離で連通させている。
変速機コントローラ9とコントロールバルブユニット17は、連通孔112を挿通させたワイヤハーネス128により、互いに接続されている。
【0088】
変速機コントローラ9とコントロールバルブユニット17とを接続するワイヤハーネス128を短くすることができ、ワイヤハーネス128の抵抗及びコストを低下することができる。
【0089】
図3、
図4は、変速機ケース10における変速機コントローラ9の配置の変形例を説明する図である。
【0090】
前記した実施形態では、仕切壁部12の第2壁122と、壁部123と、膨出領域111aと、蓋部126とで、電動オイルポンプ21を収容する第2室S2(電動オイルポンプ室)を形成した場合を例示した。
図3の(a)に示す自動変速機1Bのように、水平線H1方向における凹部126aの深さを深くした蓋部126Aを採用することで、第2壁122の外周に付設した蓋部126Aのみで第2室S2を形成しても良い。
【0091】
前記した実施形態では、第2室S2内において変速機コントローラ9が、蓋部126の凹部126a内に設けた場合を例示した。
図4に示す自動変速機1Cのように、変速機コントローラ9を、鉛直線方向における膨出領域111aの上側面111bに設けた構成としても良い。
【0092】
この場合には、変速機コントローラ9が蓋部126の凹部126a内に設けられている場合よりも、変速機コントローラ9をコントロールバルブユニット17に近接して配置できる。
これにより、ワイヤハーネス128の全長をさらに短くすることができるので、ワイヤハーネス128を介してやり取りされる信号(センサ信号、指令)におけるエラーの発生を抑制できる。
【0093】
前記した実施形態では、第2室S2が、電動オイルポンプ21を収容する電動オイルポンプ室であり、変速機コントローラ9(ATCU)をこの電動オイルポンプ室に収容した場合を例示した。
変速機コントローラ9を設置する場所は、第2室S2に限定されるものではない。例えば、コントロールバルブユニット17やオイルフィルタ201などの自動変速機が備える他の部品を収容する収容室であっても良い。
【0094】
図5は、変速機ケース10における変速機コントローラ9の配置の変形例を説明する図であり、変速機コントローラ9を、第3室S3(コントロールバルブユニット室)に配置した場合を説明する図である。
【0095】
図5に示すように、この自動変速機1Cでは、変速機コントローラ9を収容するための凹部151が、オイルパン15に設けられている。
変速機コントローラ9は、凹部151に配置された状態で、第3室S3(コントロールバルブユニット室)内に配置されている。変速機コントローラ9は、凹部151に収容された状態で、オイルパン15における位置ずれが防止されている。
【0096】
すなわち、自動変速機1Cは、以下の構成を有している。
(15)変速機構が配置された第1室S1と、
電動オイルポンプ21が配置される第2室S2と、
コントロールバルブユニット17が配置される第3室S3と、を有する。
第3室S3は、変速機ケース10の下部に取り付けられるオイルパン15(蓋部)の内側に形成されている。
変速機コントローラ9は、オイルパン15に設けられている。
【0097】
このように構成すると、既存のオイルパン15に変速機コントローラ9が設けられているので、変速機コントローラ9を設けるために、オイルパン15周りの大きな設計変更を必要としない。
特に、オイルパン15に設けた凹部151に変速機コントローラ9を設置する構成としたので、変速機コントローラ9を既存のオイルパン15に設けるにあたり、別途部品を必要としない。
よって、部品点数の増加による作成コストの上昇を好適に防止しつつ、変速機コントローラ9とコントロールバルブユニット17を短い距離で接続できる。
【0098】
さらに、変速機コントローラ9が、コントロールバルブユニット17にさらに近接して配置されるので、ワイヤハーネス128の全長をより短くできる。
これにより、ワイヤハーネス128の電気抵抗の低減が可能になり、ワイヤハーネス128を介してやり取りされる信号(センサ信号、指令)におけるエラーの発生を抑制できる。また、ワイヤハーネス128の全長が短くなった分だけ、コストの低減が可能になる。
【0099】
なお、
図5の自動変速機1C場合には、前記した自動変速機の製造方法は、以下のように特定できる
(16)自動変速機は、変速機構が配置された第1室S1(変速機構室)と、
電動オイルポンプ21が配置される第2室S2と、
コントロールバルブユニット17が配置される第3室S3と、を有する。
第3室S3は、変速機ケース10の下部に固定したオイルパン15の内側に形成される。変速機コントローラ9は、オイルパン15に設けられている。
自動変速機1Cは、変速機コントローラ9から延びるワイヤハーネス128をコントロールバルブユニット17に接続した後、コントロールバルブユニット17を第3室S3で変速機ケース10の下部に固定し、変速機コントローラ9が設けられたオイルパン15を変速機ケース10に取り付けて、変速機ケース10の下部の開口16をオイルパン15で塞いで第3室S3を形成することで作成される。
【0100】
このように構成すると、コントロールバルブユニット17(他の部材)と変速機コントローラ9とを同時に取り付ける際は、オイルパン15(蓋部)を後に取り付けることで組み付けが容易になる。
変速機コントローラ9を設けるに当たり、別途部品が必要ないので、作成コストの上昇を好適に抑制できる。
【0101】
図6は、変速機コントローラ9の変速機ケース10における配置の変形例を説明する図であり、鉛直線方向における仕切壁部12の上部にオイルクーラ20が設置されている自動変速機1Dの場合を説明する図である。
【0102】
自動変速機1Dの変速機ケース10の仕切壁部12では、鉛直線方向における第1壁121の上部に、オイルクーラ20が設置されている。
第1壁121は、オイルパン15側の第2壁122よりも水平線H2方向の厚みが厚くなっている。
【0103】
第1壁121には、オイルフィルタ201の収容部121cが設けられている。収容部121cは水平線H2方向に沿う向きで設けられている。オイルフィルタ201は、水平線H2方向における車両前方側から、収容部121cに対して着脱される。
自動変速機1Dの場合にも、オイルクーラ20で冷やされたオイルOLが、オイルフィルタ201を通って、第1室S1側に戻される。
【0104】
仕切壁部12では、車両前方側の表面に、収容部121cの開口を塞ぐための蓋部126が取り付けられている。
蓋部126は、仕切壁部12との対向面に凹部126aを有しており、この凹部126a内に変速機コントローラ9が収容されている。
また、蓋部126の表面には、コネクタ(図示せず)が設けられており、変速機コントローラ9は、コネクタ127に接続された外部配線を介して、車両に搭載された他の制御装置(例えば、エンジンコントロールユニット)に接続されている。
【0105】
蓋部126は、第1壁121と第2壁122とに跨がって設けられている。そして仕切壁部12と蓋部126の凹部126aとの間の領域が、オイルフィルタ201を外部から区画するためのフィルタ室(第4室S4)となっている。
【0106】
第2壁122における蓋部126に対向する領域には、第4室(フィルタ室)S4と第3室S3とを連通する連通孔130が開口している。
変速機コントローラ9から延びるワイヤハーネス128は、連通孔130を通って、第3室S3内に引き出されており、第3室S3内でコントロールバルブユニット17に接続されている。
【0107】
なお、自動変速機1Dでは、オイルフィルタ201は第4室S4に配置されており、オイルクーラ20に関係する部材である蓋部126を第4室S4の蓋として用いている。
【0108】
オイルクーラ20を電動オイルポンプ21よりも若干遠ざけることにより、オイルフィルタ201を配置するスペースを確保できる。これにより、オイルフィルタ201をオイルクーラ20の近くに配置することができる。よって、オイルフィルタ201とオイルクーラ20とを連通させる長いチューブが不要になり、部品点数を減少させることができる。
【0109】
以上の通り、自動変速機1Dは、以下の構成を有している。
(17)変速機構が配置された第1室S1と、
電動オイルポンプ21が配置される第2室S2と、
オイルクーラ20のオイルフィルタ201のフィルタ室となる第4室S4と、
第4室S4の少なくとも一部を構成する蓋部126と、を有し、
変速機コントローラ9は蓋部126に搭載されている。
【0110】
このように構成すると、オイルフィルタ201の既存のフィルタ室(収容室)を画成する蓋部126に、変速機コントローラ9を設置したので、変速機コントローラ9をオイルフィルタ201の収容室である第4室S4に設けるにあたり、別途部品を必要としない。
そのため、変速機コントローラ9の設置のためのコストの上昇を好適に抑制できる。
【0111】
この場合には、前記した自動変速機の製造方法は、以下のように特定できる。
(16)自動変速機は、変速機構が配置された第1室S1(変速機構室)と、
電動オイルポンプ21が配置される第2室S2と、
オイルフィルタ201の収容室である第4室S4と、
第4室S4の少なくとも一部を構成する蓋部126と、を有する。
変速機コントローラ9は蓋部126に搭載されている。
自動変速機は、オイルフィルタ201を第4室S4内に配置した後、変速機コントローラ9が設けられた蓋部126を取り付けることで作成される。
【0112】
このように構成すると、オイルフィルタ201(他の部材)と変速機コントローラ9とを同時に取り付ける際は、蓋部126を後に取り付けることで組み付けが容易になる。
オイルクーラ20側の部品に、変速機コントローラ9及び/又はコネクタを搭載することにより、部品点数が削減できるので好ましい。
【0113】
前記した実施の形態では、ベルト式の無段変速機構の場合を例示したが、車両用のベルト式の自動変速機1(CVT)の動力伝達部材5は、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ4との間で回転を伝達可能なものであれば良い。
よって、無段変速機はチェーン式の無段変速機構であっても良い。
【0114】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、これら実施形態に示した態様のみに限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。