(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー部材の段部の内周面には、径方向内側に突出する突起部が形成されており、該突起部は、前記リング部材の外周壁の下端と前記装着キャップの外周壁の上端との間の隙間に挿入されている、請求項1に記載の注出容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の放散容器では、ねじ係合により容器体の口部に装着されたキャップを取り外すことにより内容物を容易に詰め替えることができるため、例えばホテルの浴室に設置された放散容器に対して第三者が悪戯で異物を混入させることが可能であった。
【0006】
本発明はこのような現状に鑑み開発されたもので、所有者が意図しない内容物の詰め替えを抑制することが可能な注出容器、及び注出容器に装着するカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の注出容器は、
内容物を収容する容器本体と、
ヘッド部を下方に押圧することで内容物を圧送しノズル部から吐出させるポンプと、
該ポンプと共に前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
該装着キャップの上方に隣接して配置され、その径方向内側を前記ヘッド部からの駆動力を前記ポンプに伝えるステムが貫通するリング部材と、
前記装着キャップの少なくとも一部を径方向外側から覆う周壁を有するカバー部材とを備える注出容器であって、
前記カバー部材の周壁の上端部には、上方へと延びる上部周壁が設けられており、
前記カバー部材の周壁を径方向内側に押圧することで、前記上部周壁の内周面が、前記リング部材の外周壁に当接可能であ
り、
前記カバー部材の周壁は、前記装着キャップの外周壁の高さ領域にわたって下方に向かって拡径していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の注出容器は、上記構成において、前記カバー部材の段部の内周面には、径方向内側に突出する突起部が形成されており、該突起部は、前記リング部材の外周壁の下端と前記装着キャップの外周壁の上端との間の隙間に挿入されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の注出容器は、上記構成において、前記突起部の下端と前記上部周壁の上端との上下方向距離は、前記隙間の高さよりも大きいことが好ましい。
【0011】
また、本発明の注出容器は、上記構成において、前記カバー部材の周壁の内周面は、前記装着キャップの外周面に対して径方向外側に離間して配置されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の注出容器は、上記構成において、前記カバー部材の周壁は、下方に向けて径方向外側に屈曲する屈曲部を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の注出容器は、上記構成において、前記屈曲部は、前記カバー部材の周壁の中央高さ領域に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明のカバー部材は、
内容物を収容する容器本体と、
ヘッド部を下方に押圧することで内容物を圧送しノズルから吐出させるポンプと、
該ポンプと共に前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
該装着キャップの上方に隣接して配置され、その径方向内側を前記ヘッド部からの駆動力を前記ポンプに伝えるステムが貫通するリング部材と
を備える注出容器に装着されるカバー部材であって、
該カバー部材は、前記装着キャップの少なくとも一部を径方向外側から覆う周壁を有し、
前記カバー部材の周壁の上端部には、上方へと延びる上部周壁とが設けられており、
前記カバー部材の周壁を径方向内側に押圧することで、前記上部周壁の内周面が、前記リング部材の外周壁に当接可能であ
り、
前記カバー部材の周壁は、前記装着キャップの外周壁の高さ領域にわたって下方に向かって拡径していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所有者が意図しない内容物の詰め替えを抑制することが可能な注出容器、及び注出容器に装着するカバー部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る注出容器及びそれに装着するカバー部材について詳細に例示説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、容器の正立状態を基準とし、
図1(a),(b)における上側を上方とし、下側を下方とする。
【0018】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態に係る注出容器100は、容器本体1と、容器本体1の口部4に着脱可能な装着キャップ14と、装着キャップ14により容器本体1に取り付けられるポンプ8と、装着キャップ14の上方に隣接して配置されるリング部材11と、装着キャップ14を径方向外側から覆うカバー部材20とを備えている。
【0019】
本実施形態において、容器本体1は、口部4と、当該口部4よりも幅広に形成されて鉛直方向に延びる胴部と、胴部の下部を閉塞する図示しない底部とを有する。口部4の外周面には雄ねじ部4bが設けられ、装着キャップ14の内周面に設けられている雌ねじ部14bとねじ係合するように構成されている。
【0020】
装着キャップ14は、手動押し下げ式のポンプ8を容器本体1に対して組み付け固定するための部材である。装着キャップ14は、先述のように内周面に雌ねじ部14bを有しており、容器本体1の口部4の外周面に設けられている雄ねじ部4bにねじ係合させることにより固定することができる。装着キャップ14の外周面は
図1(a)に示すように平目ローレットの形状を有している。
【0021】
ポンプ8は、従来より一般的に使用されているポンプの一例であり、ヘッド部5を押下してステム9を押し下げることにより、容器本体1内の内容物を吸い上げて、ノズル筒6(ノズル部)の先端に設けられた注出口7から注出させることができる。
図1(b)に示すように、ポンプ8の外形を形成するシリンダ30のシリンダ壁31の上端から径方向外側に延びるフランジ32が、装着キャップ14の頂壁14cと容器本体1の口部4上端との間で挟持されることにより、ポンプ8は装着キャップ14と共に容器本体1の口部4に装着され固定される。なお、フランジ32と口部4の上端との間には、ゴム等で形成されたパッキン35が配置されており、容器本体1の内部と外部との液密性を向上させている。
【0022】
装着キャップ14の上方に隣接してリング部材11が配置されている。リング部材11は、
図1(b)に示すように、径方向外側に向かって下方に傾斜して延びる天壁11tと、天壁11tの外周端から垂下する外周壁11aと、外周壁11aの径方向内側に配置され、シリンダ30のフランジ32から上方へと延びる係合筒33にアンダーカット係合する中周壁11bと、中周壁11bの更に径方向内側に配置され、ステム9を収容する内周壁11dとを備えている。
図1(b)に図示するように、外周壁11a、中周壁11b、及び内周壁11dは、いずれも天壁11tから下方に垂下して設けられている。シリンダ30の係合筒33とリング部材11の中周壁11bとの係合は、係合筒33の係合突部33aが中周壁11bの下端に形成された突起部11cにアンダーカット係合することにより行われる。このとき、係合筒33の内周面に周方向に間欠的に設けられたリブ33bが、内周壁11dの外周面において周方向に間欠的に形成されたリブ11e同士の間に入り込むことにより、リング部材11は、シリンダ30に対して周方向にも固定されている。これによって、リング部材11とシリンダ30とは、上下方向及び周方向に強固に固定されている。
【0023】
図1(b)に示すように、リング部材11の外周壁11aは、中周壁11b及び内周壁11dよりも上下方向に短く形成されており、外周壁11aの下端部と装着キャップ14の頂壁14cとの間には、上下方向に隙間Gが形成されている。この隙間Gには、後述するように、カバー部材20に形成された突起部27が挿入される。
【0024】
カバー部材20は、
図1(b)及び
図2に示すように、装着キャップ14の外周壁14aを覆う周壁21と、周壁21の上端部から径方向内側に延びる段部23と、段部23の内周面から径方向内側に突出する突起部27と、段部23の内周端から更に上方へと延びる上部周壁25とを有している。カバー部材20の下部には、下方に向かって径方向外側に僅かに屈曲する屈曲部29が設けられている。このように屈曲部29を形成することにより、屈曲部29における径方向の肉厚が厚くなるため、カバー部材20が変形し難くなり、強度を高めることができる。従って、特に変形し易いカバー部材20の下端部や、後述するように外力が加わり易い中央部に設けると効果的である。
【0025】
本実施形態において、突起部27は、
図2(a)、(b)に示すように、周方向に等間隔で3箇所に設けられている。なお、この態様に限定されず、突起部27は任意の数だけ設けることができる。
【0026】
カバー部材20は、
図1(b)に二点鎖線で示す初期状態において、周壁21が、下方に向けて径方向外側に拡径するように形成されている。また、段部23の下面が装着キャップ14の頂壁14c上面に当接すると共に、突起部27が外周壁11aの下面と頂壁14cの上面との隙間Gに入り込んでいる。突起部27が隙間Gに入り込むことで、カバー部材20は上下方向に位置決めされる。上部周壁25は、外周壁11aの外周面に沿って、外周面から僅かに離間して配置されている。なお、上部周壁25の内周面は、初期状態において装着キャップ14の外周壁14aに当接していてもよい。
【0027】
次に、第三者が装着キャップ14を取り外してポンプ8を容器本体1から取り除くことにより、内容物の差し替えを試みる場合について説明する。
【0028】
図1(b)において、第三者が装着キャップ14を取り外すためにカバー部材20を矢印の方向すなわち径方向内側に押圧して、周方向に回転させようとすると、カバー部材20は、二点鎖線で示す形状から、実線で示す形状へと弾性変形する。すなわち、周壁21に対して径方向内側に力が作用するため、カバー部材20は弾性変形し、周壁21は、下方に向けた拡径が小さくなるように変位する。但し、変形後も周壁21の内周面は装着キャップ14の外周面に接触していない。このとき、上部周壁25も径方向内側への押圧力によって変位し、上部周壁25は、リング部材11の外周壁11aに当接することができる。
【0029】
このように、周壁21を径方向内側に押圧することによって、上部周壁25がリング部材11に当接可能であるため、カバー部材20への押圧力は、上部周壁25を通じてリング部材11の方に伝達される。従って、第三者がカバー部材20の周壁21を押圧しつつ周方向に回転させても、回転トルクが装着キャップ14に伝わり難い。従って、第三者がカバー部材20越しに装着キャップ14を回転させて開放し、異物を混入させようとしても、容易に装着キャップ14を取り外すことができない。従って、第三者による悪戯を効果的に抑制することが可能である。
【0030】
本実施形態のカバー部材20は、通常の注出容器に対して、例えばホテルの従業員等の利用者がカバー部材20を後付けするようにしてもよい。
図3(a),(b)は、カバー部材20を注出容器100に装着する手順を示す図である。
【0031】
まず、利用者は、ノズル筒6を周方向に回転させてステム雄ねじ部9a(
図3(a)参照)とリング雌ねじ部11s(
図1(b)参照)とのねじ係合を解除し、ヘッド部5を上方位置へ持ち上げる。次に、
図3(a)に二点鎖線で示すように、カバー部材20を90度近く傾倒させた状態で下端部側からノズル筒6を通過させる。本実施形態において、カバー部材20の内径の最小値(突起部27が形成された領域における内径)は、ノズル筒6を含めたヘッド部5の鉛直方向の最大高さ、及び
図3(a)の紙面に垂直方向の最大幅よりも大きくなるように形成されている。従って、カバー部材20は、ノズル筒6を通過することができる。また、カバー部材20の内径の最小値は、ヘッド部5の水平方向の最大径よりも大きくなるように形成されているため、カバー部材20がノズル筒6を通過した後、
図3(a),(b)に矢印で示すように、カバー部材20を正立姿勢へと戻すことによって、ヘッド部5も通過させることができる。
【0032】
但し、本実施形態では、
図4に示すようなステム雄ねじ部9aとリング雌ねじ部11sとがねじ係合し、ヘッド部5が下降した状態では、カバー部材20を装着できないように構成されている。すなわち、
図4の状態では、カバー部材20がノズル筒6を通過する際にカバー部材20の下端部がヘッド部5の上面に当接してしまい、ノズル筒6を通過させることができない。これは、カバー部材20の内径の最小値が、ノズル筒6を含めたヘッド部5の水平方向の最大幅よりも小さく形成されているからである。このように構成したのは、ヘッド部5が下降した初期状態でカバー部材20を装着してしまうと、その後にヘッド部5をリング部材11に対して周方向に回転させてヘッド部5を上方位置へと持ち上げる操作が行いづらくなるからである。
【0033】
図5は、利用者がカバー部材20の上下を逆にして装着しようとした場合の状態を示している。本実施形態では、突起部27の下端と上部周壁25の上端との上下方向距離は、隙間Gの高さよりも大きくなるように構成されている。従って、
図5のようにカバー部材20を上下逆にして装着しようとした場合、突起部27はリング部材11の外周壁11aに当接し、隙間G内に入り込んでしまうことがない。よって、利用者がカバー部材20を誤って上下逆にして装着しようとした場合でも、突起部27が誤って隙間Gに挿入されてカバー部材20が取り外し不能になってしまう虞がない。
【0034】
なお、本実施形態では、カバー部材20の周壁21が下方に向かって径方向外側に拡径するように構成したが、この態様には限定されない。周壁21は、例えば上方に向かって径方向外側に拡径するように構成してもよい。
【0035】
また、本実施形態では、カバー部材20に設けた突起部27がリング部材11の外周壁11aの下端と装着キャップ14の外周壁14aの上端との間に形成された隙間Gに挿入されるように構成したが、この態様には限定されず、突起部27を設けない構成としてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、カバー部材20の周壁21の内周面が、装着キャップ14の外周壁14aに対して径方向外側に離間して配置されるように構成したが、この態様には限定されない。カバー部材20を径方向内側に押圧した時に、当該押圧力が主にリング部材11側に伝達されるように構成されていればよい。
【0037】
また、本実施形態では、装着キャップ14がねじ係合により容器本体1に装着されるように構成したが、この態様には限定されない。装着キャップ14は、例えば打栓により容器本体1にアンダーカット係合するように構成してもよい。この場合でも、装着キャップ14に押圧力を伝え難くすることで装着キャップ14を取り外しにくくすることができるので、上述のねじ係合の場合と同様の効果が得られる。
【0038】
また、本実施形態では、カバー部材20が装着キャップ14の外周壁14aの全てを径方向外側から覆うように構成したが、この態様には限定されない。カバー部材20は、装着キャップ14の外周壁14aの少なくとも一部を覆っていればよい。ここで外周壁14aの少なくとも一部を覆うとは、第三者が装着キャップ14の外周壁14aを直接把持して周方向に回転させることができない程度の領域を覆っていればよい。
【0039】
以上述べたように本実施形態では、装着キャップ14の上方にリング部材11を隣接して配置し、装着キャップ14を径方向外側からカバー部材20により覆い、カバー部材20の周壁21の上端部には、上方へと延びる上部周壁25が設けられており、カバー部材20の周壁21を径方向内側に押圧することで、上部周壁25の内周面が、装着キャップ14の外周壁14aよりも小径に形成されたリング部材11の外周壁11aに当接可能となるように構成した。これによって、第三者が装着キャップ14を取り外すためにカバー部材20を径方向内側に押圧すると、上部周壁25の内周面がリング部材11の外周壁11aに当接することにより上記押圧力がリング部材11側に伝達される。従って、第三者がカバー部材20の周壁21を径方向内側に押圧しつつ周方向に回転させても、回転トルクが装着キャップ14に伝わり難く、容易に装着キャップ14を取り外すことができない。従って、第三者による内容物の差し替え等の悪戯を効果的に抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、カバー部材20の周壁21が、下方に向かって拡径するように構成した。これによって、第三者がカバー部材20の周壁21を径方向内側に押圧しつつ周方向に回転させようとしても、周壁21が傾斜しているために押圧する際に指が滑ってしまい押圧力を伝達しづらくなる。従って、第三者は容易に装着キャップ14を取り外すことができないため、内容物の差し替え等の悪戯を効果的に抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、カバー部材20の段部23の内周面には、径方向内側に突出する突起部27が形成されており、突起部27は、リング部材11の外周壁11aの下端と装着キャップ14の外周壁14aの上端との間に形成された隙間Gに挿入されるように構成した。これによって、カバー部材20は、装着キャップ14及びリング部材11によって上下方向に拘束されるので、カバー部材20をより強固に装着することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、突起部27の下端と上部周壁25の上端との上下方向距離が、隙間Gの高さよりも大きくなるように構成した。これによって、カバー部材20を上下逆にして装着しようとした場合でも、突起部27はリング部材11の外周壁11aに当接し、隙間G内に入り込んでしまうことがない。よって、利用者がカバー部材20を誤って上下逆にして装着しようとした場合でも、突起部27が誤って隙間Gに嵌合してカバー部材20が取り外し不能になってしまう虞がない。
【0043】
また、本実施形態では、カバー部材20の周壁21の内周面は、装着キャップ14の外周面に対して径方向外側に離間して配置されるように構成した。これによって、カバー部材20を径方向内側方向に押圧しつつ周方向に回転しても、装着キャップ14に回転トルクが効果的に伝達されない。従って、第三者は容易に装着キャップ14を取り外すことができないため、内容物の差し替え等の悪戯を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、ヘッド部5には、径方向外側へと延びるノズル筒6が一体形成されており、カバー部材20の内径の最小値は、ノズル筒6を含めたヘッド部5の水平方向の最大幅よりも小さく、ノズル筒6を含めたヘッド部5の鉛直方向の最大高さよりも大きくなるように構成した。これによって、ヘッド部5が下降位置にある初期状態において、カバー部材20を装着不能とする一方、ノズル筒6を回転させてヘッド部5を上方位置へ持ち上げた状態でカバー部材20を装着キャップ14の周りに装着可能とすることができる。これによって、初期状態でカバー部材20を装着し、その後にヘッド部5を上方位置に持ち上げる操作が行いづらくなるという問題を回避することができる。
【0045】
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る注出容器200について説明する。なお、本実施形態に係る注出容器200は、これに用いるカバー部材40の形状が第1実施形態と異なる他は、第1実施形態と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点を中心に説明する。
【0046】
図6に示すように、本実施形態に係る注出容器200は、容器本体1と、容器本体1に着脱可能な装着キャップ14と、装着キャップ14により容器本体1に取り付けられるポンプ8と、装着キャップ14の上方に隣接して配置されるリング部材11と、装着キャップ14を径方向外側から覆うカバー部材40とを備えている。なお、容器本体1、装着キャップ14、ポンプ8、及びリング部材11の構成の詳細は、第1実施形態、及び
図1(b)等を参照されたい。
【0047】
カバー部材40は、
図6に示すように、装着キャップ14の外周壁14aを覆う周壁41と、周壁41の上端部から径方向内側に延びる段部43と、段部43の内周面から径方向内側に突出する突起部47と、段部43の内周端から更に上方へと延びる上部周壁45とを有している。カバー部材40の周壁41の上端部と下端部との間の中央高さ領域には、下方に向かって径方向外側に屈曲する屈曲部49が設けられている。このように屈曲部49を形成することにより、屈曲部49における径方向の肉厚が厚くなるため、カバー部材40が変形し難くなり、強度を高めることができる。従って、特に本実施形態のように外力が加わり易い中央高さ領域に設けると効果的である。
【0048】
カバー部材40は、
図6に示すように、周壁41が、下方に向けて径方向外側に拡径するように形成されている。また、段部43の下面が装着キャップ14の頂壁14c上面に当接すると共に、突起部47が外周壁11aの下面と頂壁14cの上面との隙間Gに入り込んでいる。突起部47が隙間Gに入り込むことで、カバー部材40は上下方向に位置決めされる。上部周壁45は、外周壁11aの外周面に沿って、外周面から僅かに離間して配置されている。なお、上部周壁45の内周面は、初期状態において装着キャップ14の外周壁14aに当接していてもよい。
【0049】
カバー部材40は、
図7に示すように、一方のカバー部材40の段部43の上面に他のカバー部材40の屈曲部49の下面が当接するように上下にスタック(積層)することができる。この構成によって、通常の注出容器に対して、利用者がカバー部材40を後付けするような使用を想定した場合、カバー部材40のみを
図7の状態で梱包して供給することによって、梱包及び輸送コスト等を抑えることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、屈曲部49がカバー部材40の周壁41の中央高さ領域に形成されるように構成したが、この態様には限定されず、屈曲部は任意の高さに設けることができる。但し、
図7に示すように、カバー部材40を上下にスタックした時に、一方のカバー部材40の段部43の上面に他のカバー部材40の屈曲部49の下面が当接するように構成することが好ましい。
【0051】
次に、
図8乃至
図11を参照して、本発明の第3実施形態に係る注出容器300について説明する。なお、本実施形態に係る注出容器300は、これに用いるカバー部材60の形状が第1実施形態と異なる他は、第1実施形態と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点を中心に説明する。
【0052】
図8に示すように、本実施形態に係る注出容器300は、容器本体1と、容器本体1に着脱可能な装着キャップ14と、装着キャップ14により容器本体1に取り付けられるポンプ8と、装着キャップ14の上方に隣接して配置されるリング部材11と、装着キャップ14を径方向外側から覆うカバー部材60とを備えている。なお、容器本体1、装着キャップ14、ポンプ8、及びリング部材11の構成の詳細は、第1実施形態、及び
図1(b)等を参照されたい。
【0053】
カバー部材60は、
図8に示すように、装着キャップ14の外周壁14aを覆う周壁61と、周壁61の上端部から径方向内側に延びる段部63と、段部63の内周面から径方向内側に突出する突起部67と、段部63の内周端から更に上方へと延びる上部周壁65と、周壁61よりも短く形成され、装着キャップ14の外周壁14aに沿って下方へと延びる内周壁68とを有している。
図8に示すように、カバー部材60の周壁61の下端部は、容器本体1の肩部近傍まで延びており、テーパ状に拡径している。
【0054】
次に、第三者が装着キャップ14を取り外してポンプ8を容器本体1から取り除くことにより、内容物の差し替えを試みる場合について説明する。
【0055】
図9において、第三者が装着キャップ14を取り外すためにカバー部材60を矢印の方向すなわち径方向内側に押圧して、周方向に回転させようとすると、カバー部材60は、二点鎖線で示す形状から、実線で示す形状へと弾性変形する。すなわち、周壁61に対して径方向内側に力が作用するため、カバー部材60は弾性変形し、周壁61は、下方に向けた拡径が小さくなるように変位し、周壁61の下端部は、容器本体1の肩部に当接する。そして、変形後も周壁61の内周面は装着キャップ14の外周面に接触していない。このとき、上部周壁65も径方向内側への押圧力によって変位し、上部周壁65は、リング部材11の外周壁11aに当接可能となる。
【0056】
このように、周壁61を径方向内側に押圧することによって、上部周壁65がリング部材11に当接可能であると共に周壁61の下端部が容器本体1の肩部に当接するため、カバー部材60への押圧力は、上部周壁65及び周壁61の下端部を通じてリング部材11及び容器本体1の方に伝達される。従って、第三者がカバー部材60の周壁61を押圧しつつ周方向に回転させても、回転トルクが装着キャップ14に伝わり難い。従って、第三者がカバー部材60越しに装着キャップ14を回転させて開放し、異物を混入させようとしても、容易に装着キャップ14を取り外すことができない。従って、第三者による悪戯を効果的に抑制することが可能である。
【0057】
本実施形態では、
図10に示すようなステム雄ねじ部9aとリング雌ねじ部11sとがねじ係合し、ヘッド部5が下降した状態では、カバー部材60を装着できないように構成されている。すなわち、
図10の状態では、カバー部材60がノズル筒6を通過する際にカバー部材60の内周壁68がヘッド部5の上面に当接してしまい、ノズル筒6を通過させることができない。これは、カバー部材60の内径の最小値が、ノズル筒6を含めたヘッド部5の水平方向の最大幅よりも小さく形成されているからである。このように構成したのは、ヘッド部5が下降した初期状態でカバー部材60を装着してしまうと、その後にヘッド部5をリング部材11に対して周方向に回転させてヘッド部5を上方位置へと持ち上げる操作が行いづらくなるからである。
【0058】
カバー部材60は、
図11に示すように、一方のカバー部材60の段部63の上面に他のカバー部材60の内周壁68の下端部が当接するように上下にスタック(積層)することができる。この構成によって、通常の注出容器に対して、利用者がカバー部材60を後付けするような使用を想定した場合、カバー部材60のみを
図11の状態で梱包して供給することによって、梱包及び輸送コスト等を抑えることができる。
【0059】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。