特許第6910732号(P6910732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6910732
(24)【登録日】2021年7月9日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】変速機の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/02 20060101AFI20210715BHJP
   F16H 61/68 20060101ALI20210715BHJP
   F16H 61/66 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   F16H61/02
   F16H61/68
   F16H61/66
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-218814(P2017-218814)
(22)【出願日】2017年11月14日
(65)【公開番号】特開2019-90463(P2019-90463A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】特許業務法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 翔
(72)【発明者】
【氏名】菱田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】宝藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】若山 英史
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−230118(JP,A)
【文献】 特開2011−021722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
F16H 61/66−61/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機の制御装置であって、
前記変速機は、
車両の駆動源と車輪との間にあり、
変速比を無段階的に変更可能な無段変速機構と、
複数の締結要素の締結と解放を切り替えることで変速比を段階的に変更可能な有段変速機構と
を有し、
前記制御装置は、前記無段変速機構及び前記有段変速機構を変速させて前記変速機の目標変速比を実現する際、前記有段変速機構のイナーシャ相が開始した後で、かつ、前記有段変速機構が変速を終了する前に前記無段変速機構の変速が終了するように、前記無段変速機構の変速を制御する、
変速機の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変速機の制御装置において、
前記駆動源の側から前記変速機へ入力されるトルクが所定の閾値より大きい状態をパワーオン状態、前記駆動源の側から前記変速機へ入力されるトルクが前記閾値以下である状態をパワーオフ状態とするとき、
前記制御装置は、前記パワーオフ状態で前記変速機をダウンシフトさせる際、前記有段変速機構のイナーシャ相が開始した後で、かつ、前記有段変速機構が変速を終了する前に前記無段変速機構の変速が終了するように、前記無段変速機構の変速を制御する、
ことを特徴とする変速機の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の変速機の制御装置において、
前記制御装置は、前記無段変速機構の変速の終了時において前記無段変速機構の変速比の変化率が減少する期間が、前記有段変速機構の変速の開始時において前記有段変速機構の変速比の変化率が増大する期間と重なるように、前記無段変速機構の変速を制御する
ことを特徴とする変速機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、駆動源と車輪との間にある変速機であって、無段変速機構と有段変速機構とを有するものが知られている。特許文献1には、有段変速機構のギア段の切り替え作動中、無段変速機構を目標変速比に向けて変速させる制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−10428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の制御装置では、無段変速機構の変速が終了したときに有段変速機構の変速フェーズがイナーシャ相に到達していないと、変速機の変速比の変化が不連続となり、駆動力の変化が不連続となるおそれがあった。本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、駆動力の変化が不連続となることを抑制可能な変速機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る変速機の制御装置では、無段変速機構及び有段変速機構を変速させて変速機の目標変速比を実現する際、有段変速機構のイナーシャ相が開始した後に無段変速機構の変速が終了するように、無段変速機構の変速を制御する。
【発明の効果】
【0006】
有段変速機構のイナーシャ相が開始した後に無段変速機構の変速が終了するように無段変速機構の変速を制御することで、変速機の変速比の変化が連続的となるため、駆動力の変化が不連続となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の車両の駆動システムの概略構成を示す。
図2】第1実施形態の変速線図の一例を示す。
図3】第1実施形態のパワーオフダウンシフトにおけるタイムチャートである。
図4】比較例のパワーオフダウンシフトにおけるタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下の説明において、ある変速機構の「変速比」は、当該変速機構の入力回転数を当該変速機構の出力回転数で除して得られる値である。
【0009】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態の車両の駆動システムを示す。駆動システムは、パワートレーン及び変速制御部を有する。パワートレーンは、エンジン(内燃機関)1、トルクコンバータ2、減速機構(第1ギア列)3、自動変速機4、ファイナルドライブギア機構(第2ギア列。終減速装置)6、及び車輪7を有する。エンジン1は車両の駆動源である。トルクコンバータ2はロックアップクラッチ20を有し、エンジン1に駆動結合(駆動力を伝達可能に連結)する。自動変速機4は減速機構3を介してトルクコンバータ2に駆動結合する。ファイナルドライブギア機構6は、変速機出力軸(プロペラシャフト)5を介して自動変速機4に駆動結合する。自動変速機4からの動力は、ファイナルドライブギア機構6を経て、車輪7に出力される。
【0010】
自動変速機4は、無段変速機構8及び副変速機構9を有する。無段変速機構8は、減速機構3の出力軸に連結される駆動プーリ(プライマリプーリ)8aと、副変速機構9の入力軸90に連結される従動プーリ(セカンダリプーリ)8bとを有し、これらの間にベルト8cを掛け渡したベルト式無段変速機構である。駆動プーリ8a及び従動プーリ8bにはそれぞれ、作動油(オイル)が供給され、その油圧に応じてプーリ幅を自由に変更することができる。無段変速機構8は、駆動プーリ8aへの供給圧と従動プーリ8bへの供給圧とを制御することで、変速比(プーリ比)を無段階に変更させることができる。
【0011】
副変速機構9は、複数の摩擦締結要素及び遊星歯車機構を有する有段変速機構である。遊星歯車機構はラビニヨ型であり、複合サンギア9aに入力軸90(従動プーリ8b)を駆動結合することで当該サンギア9aを入力とする。キャリア9bを変速機出力軸5に駆動結合することで当該キャリア9bを出力とする。サンギア9aは、ローブレーキ(第1速選択用ブレーキ)L/Bを介してケースCに固定可能である。キャリア9bは、ハイクラッチ(第2速選択用クラッチ)H/Cを介してリングギア9cに駆動結合することが可能である。リングギア9cは、リバースブレーキR/Bを介してケースCに固定可能である。
【0012】
ローブレーキL/B、ハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/Bは、湿式の摩擦締結要素であり、それぞれオイルが供給され、その油圧に応じて締結及び解放を自由に行うことができる。副変速機構9は、各締結要素への供給圧を制御することで、前進1速、前進2速及び後進を選択することができる。前進1速の選択の場合は、ローブレーキL/Bを締結すると共にハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/Bを解放する。前進2速の選択の場合は、ハイクラッチH/Cを締結すると共にローブレーキL/B及びリバースブレーキR/Bを解放する。後進の選択の場合は、リバースブレーキR/Bを締結すると共にローブレーキL/B及びハイクラッチH/Cを解放する。
【0013】
変速制御部は、自動変速機4の変速を制御するための制御部であり、油圧コントロールバルブユニット10及び変速機コントローラ11を有する。油圧コントロールバルブユニット10には、複数のソレノイドバルブが内蔵される。これらのソレノイドバルブの作動状態(オン・オフ)が切り替わることで、無段変速機構8の駆動プーリ8a及び従動プーリ8bへの供給圧(通常は、駆動プーリ8aへの供給圧のみ)が制御される。これにより、変速比が無段階に変更される。同様に、上記ソレノイドバルブの作動状態が切り替わることで、副変速機構9のローブレーキL/B、ハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/Bへの供給圧が制御される。これにより、前進1速又は前進2速が選択される。また、上記ソレノイドバルブの作動状態が切り替わることで、ロックアップクラッチ20への供給圧が制御される。これにより、ロックアップクラッチ20の締結状態(締結及び解放)が変更される。
【0014】
変速機コントローラ11は、油圧コントロールバルブユニット10における複数のソレノイドバルブの作動状態を制御する。変速機コントローラ11は、無段変速制御部111として機能するモジュール、及び有段変速制御部112として機能するモジュールを有する。無段変速制御部111は、自動変速機4の目標とする入力回転数(以下、「目標自動変速機入力回転数」)Nin(o)を算出し、この目標自動変速機入力回転数Nin(o)に基づき、無段変速機構8の変速比(以下、「無段変速側レシオ」)ipを無段階に制御する。有段変速制御部112は、副変速機構9の目標変速段(以下、「目標副変速側レシオ」)isub(o)を算出し、この目標副変速側レシオisub(o)に副変速機構9を制御する。変速機コントローラ11は、無段変速機構8の変速制御と副変速機構9の変速制御を実行することで、自動変速機4の全体として目標とする変速比(以下、「目標トータルレシオ」)i(o)を実現する。自動変速機4の全体としての変速比(以下、「トータルレシオ」)iは、無段変速側レシオipに副変速機構9の変速比(以下、「副変速側レシオ」)isubを乗じて得られる。
【0015】
変速機コントローラ11には、例えば、スロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサSThからの信号、アクセルペダル開度APOを検出するアクセルペダル開度センサSAからの信号、エンジン1の出力回転数(以下、「エンジン回転数」)NEngを検出するエンジン回転センサSEからの信号、自動変速機4の入力回転数(以下、「自動変速機入力回転数」)Ninを検出する自動変速機入力回転センサSIからの信号、変速機出力軸5の回転数(以下、「自動変速機出力回転数」)Noutを検出する自動変速機出力回転センサSOからの信号、自動変速機4の油温を検出する油温センサSTeの出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチSInhの出力信号が入力される。自動変速機出力回転数Noutとファイナルドライブギア機構6のギア比から車両の走行速度(以下、「車速」)VSPが検出される。
【0016】
変速機コントローラ11は、これら入力情報に基づき図2に例示する変速線図を用いて以下のとおりに自動変速機4の変速制御を行う。図2の変速線図は、無段変速機構8の変速線と、副変速機構9の変速線とを組み合わせたものである。この変速線図上では、自動変速機4の動作点が、車速VSPと目標自動変速機入力回転数Nin(o)に基づき決定される。目標自動変速機入力回転数Nin(o)は車速VSPとアクセルペダル開度APOとに応じて求められる。動作点と変速線図左下隅の零点とを結ぶ線の傾きがトータルレシオiを表している。副変速機構9の変速段として前進1速が選択されている場合、無段変速機構8の変速可能領域は、1速最Low線から1速最Hi線までの領域である。これに対し、副変速機構9の変速段として前進2速が選択されている場合、無段変速機構8の変速可能領域は、2速最Low線から2速最Hi線までの領域である。このため、図2のA領域は、副変速機構9の変速段が前進1速であるときのみ変速制御が可能な領域となる。また、B領域は、副変速機構9の変速段が前進1速又は前進2速であるときに変速制御が可能な領域となる。更に、C領域は、副変速機構9の変速段が前進2速であるときのみ変速制御が可能な領域となる。このように、自動変速機4は、変速比(レシオ)を無段階に変更させることができる無段変速機構8と、複数の変速段から任意の変速段を選択することができる副変速機構9とを組み合わせることで、どちらか一方のみで取り得るレシオカバレッジに比べて、拡大されたレシオカバレッジを得ることができる。
【0017】
図2のA〜C領域では、動作点(目標トータルレシオi(o))に応じて、目標自動変速機入力回転数Nin(o)が達成されるように、無段変速機構8が制御される。これにより、変速比が無段階に連続制御される。これに対し、副変速機構9の変速線は、前進1速から前進2速に切り替わる1→2UP線と、前進2速から前進1速に切り替わる2→1Down線とにより、前進1速領域と前進2速領域とが決定される。例えば、動作点が、1→2UP線を低車速側から高車速側に向かって横切ると、前進2速を選択する。2→1Down線を高車速側から低車速側に向かって横切ると、前進1速を選択する。また、例えば、走行中にセレクトレバーの位置がDレンジからLレンジへ切り替えられることに伴って動作点がC領域のP点からA領域のQ点に移行すると、副変速機構9を前進2速から前進1速にダウンシフトする要求が出力される。なお、Lレンジハイリミッタ線は、Lレンジでの回転数の下限を示す。
【0018】
以下、副変速機構9の入力軸90が駆動側となり変速機出力軸5が従動側となる状態をパワーオン状態といい、それ以外の状態をパワーオフ状態という。パワーオン状態は、エンジン1の側から自動変速機4(無段変速機構8)へ入力されるトルク(以下、「無段変速側入力トルク」)Tp_inが正である状態である。パワーオフ状態は、変速機出力軸5が駆動側となり入力軸90が従動側となる状態、言い換えると無段変速側入力トルクTp_inが負である状態を含むほか、無段変速側入力トルクTp_inが(正負に関わらず)ゼロ付近である状態を含む。言い換えると、パワーオフ状態は、副変速機構9の入力軸90が非駆動側となる状態をいう。エンジン1の出力トルク(以下、「エンジントルク」)TEngとトルクコンバータ2のロックアップクラッチ20の締結状態とから、無段変速側入力トルクTp_inを得ることができる。無段変速側入力トルクTp_inが所定のパワーオン判定値Tp_in*(正値)より大きければパワーオン状態と判定でき、パワーオン判定値Tp_in*以下であればパワーオフ状態と判定できる。無段変速側入力トルクTp_inは、エンジン1の側から副変速機構9(入力軸90)へ入力されるトルク(以下、「副変速側入力トルク」)Tsub_inに略相当する。なお、無段変速側入力トルクTp_inと無段変速側レシオipとから副変速側入力トルクTsub_inを算出し、副変速側入力トルクTsub_inが所定の判定値より大きいか否かによりパワーオン状態であるかパワーオフ状態であるかを判定してもよい。また、アクセルペダル操作の有無(例えばアクセル開度APO)その他によりパワーオン状態であるかパワーオフ状態であるかを判定してもよい。
【0019】
副変速機構9を前進1速と前進2速との間で変速するとき、ハイクラッチH/CとローブレーキL/Bのうち一方を締結し他方を解放するいわゆる架け替え制御が実施される。以下、前進2速から前進1速へのダウンシフトを例にとって説明する。ダウンシフトではハイクラッチH/Cが締結状態から解放状態に切り替わり、ローブレーキL/Bが解放状態から締結状態に切り替わる。変速機コントローラ11は、パワーオン状態と判定したとき、ハイクラッチH/Cへの供給油圧(ハイクラッチH/Cのトルク容量)の制御によりダウンシフト(パワーオンダウンシフト)を進行させる。パワーオフ状態と判定したとき、ローブレーキL/Bへの供給油圧(ローブレーキL/Bのトルク容量)の制御によりダウンシフト(パワーオフダウンシフト)を進行させる。
【0020】
具体的には、変速機コントローラ11は、車速VSPが所定の閾値VSP*より大きい非停車時(走行時)に、パワーオン状態と判定すると、準備(変速開始時)制御を行った後、ハイクラッチH/Cのトルク容量の制御によりダウンシフトを進行させる。イナーシャ相の後、トルク相となる。準備制御では、ローブレーキL/Bへの油圧のプリチャージを行い、ローブレーキL/Bを締結直前の状態で待機させる(準備相)。パワーオン状態では、ローブレーキL/Bのトルク容量がなくても、副変速側入力トルクTp_inにより入力軸90の回転数(以下、「副変速側入力回転数」)Nsub_inが上昇しようとする。このため、ハイクラッチH/Cのトルク容量をある程度低下させるだけで、副変速側入力回転数Nsub_inが上昇し、イナーシャ相が進行する。イナーシャ相の進行中、ハイクラッチH/Cへの供給油圧の制御により、副変速側入力回転数Nsub_inの過度の上昇(吹き上がり)を抑制する。その後、ハイクラッチH/Cへの供給油圧(指示トルク容量)を低下させると共にローブレーキL/Bへの供給油圧を増大させ、トルクの伝達を受け持つ締結要素をハイクラッチH/CからローブレーキL/Bへと移行させる(トルク相)。
【0021】
変速機コントローラ11は、走行時にパワーオフ状態と判定すると、準備制御を行った後、ローブレーキL/Bのトルク容量の制御によりダウンシフトを進行させる。トルク相の後、イナーシャ相となる。パワーオフ状態では、副変速側入力トルクTsub_inが小さい(例えば負である)ため、単にハイクラッチH/Cのトルク容量を低下させても、副変速側入力回転数Nsub_inが上昇しない(低下しようとする)。よって、準備制御の後、ハイクラッチH/Cへの供給油圧(指示トルク容量)を低下させると共にローブレーキL/Bへの供給油圧を増大させ、トルクの伝達を受け持つ締結要素をハイクラッチH/CからローブレーキL/Bへと移行させる(トルク相)。その後、ローブレーキL/Bへの供給油圧の制御により、副変速側入力回転数Nsub_inを上昇させ、イナーシャ相を進行させる。
【0022】
車速VSPが閾値VSP*以下である停車時は、準備制御の後、イナーシャ相がなく、トルク相となる。上記いずれの場合も、終了制御(変速終了時制御)を行って遷移を終了する。変速機コントローラ11は、ハイクラッチH/Cへの供給油圧をゼロとしてハイクラッチH/Cを完全解放させるとともにローブレーキL/Bへの供給油圧を増大させてローブレーキL/Bを完全締結させる。
【0023】
変速機コントローラ11は、副変速機構9の架け替え制御中、準備相から終了相までを通じて、トルクダウン制御を行う。すなわち、エンジンコントローラにトルクダウン要求値を出力する。これによりエンジントルクTEngの上限を規制して、締結要素への指示供給油圧に対する実供給油圧の応答遅れが許容範囲外となるようなエンジントルクTEngの上昇を規制する。
【0024】
また、変速機コントローラ11は、無段変速機構8の変速制御と副変速機構9の変速制御とを協調して行う。変速機コントローラ11は、目標副変速側レシオisub(o)に至るまでの過渡的な副変速側レシオ(以下、「指示副変速側レシオ」)isub(c)を次のように決める。まず、副変速機構9の変速時間を定める。準備相に費やす時間を、解放側の締結要素への供給油圧の低下速度(抜け応答)と、締結側の締結要素のプリチャージ完了(棚圧越え)までの時間とに基づき決定する。トルク相に費やす時間を、副変速側入力トルクTsub_inに基づき決定する。例えば、副変速側入力トルクTsub_inが小さいときは大きいときよりも、トルク相の時間を短くする。また、イナーシャ相に費やす時間(実質的な変速の時間。以下、「副変速側変速時間」)Tsubを予め設定する。イナーシャ相における指示副変速側レシオisub(c)と、指示副変速側レシオisub(c)の時間変化率d(isub(c))/dt(言い換えるとイナーシャ相における副変速側入力回転数Nsub_inのプロフィールないし目標パターン)とを、以下のように決定する。図3に示すように、時間を横軸とする座標(タイムチャート)において、変化率d(isub(c))/dtが台形状となるように設定する。変化率d(isub(c))/dtは、イナーシャ相の前期に所定の勾配で増大し、イナーシャ相の中期に一定であり、イナーシャ相の後期に所定の勾配で減少する。この変化率d(isub(c))/dtから指示副変速側レシオisub(c)が決まる。指示副変速側レシオisub(c)は、イナーシャ相の前期に徐々に大きくなる勾配で増大し、イナーシャ相の中期に一定の勾配で増大し、イナーシャ相の後期に徐々に小さくなる勾配で増大する。この指示副変速側レシオisub(c)のプロフィールは、例えば以下の条件を満たすことが好ましい。
・締結要素への指示供給油圧により実現可能である。
・締結要素への指示供給油圧に対する実供給油圧の応答遅れが許容範囲内である。
・締結側の締結要素の完全締結時にイナーシャトルクによるショックを抑制できる。
【0025】
変速機コントローラ11は、目標トータルレシオi(o)と目標副変速側レシオisub(o)とから、目標とする(変速後の)無段変速機構8の変速比(以下、「目標無段変速側レシオ」)ip(o)を算出し、目標無段変速側レシオip(o)に至るまでの過渡的な無段変速側レシオ(以下、「指示無段変速側レシオ」)ip(c)を次のように決める。図3に示すように、時間を横軸とする座標(タイムチャート)において、指示無段変速側レシオip(c)の時間変化率d(ip(c))/dtが台形状となるように設定する。変化率d(iP(c))/dtは、無段変速機構8の変速の前期に所定の勾配で増大し、無段変速機構8の変速の中期に一定であり、無段変速機構8の変速の後期に所定の勾配で減少する。無段変速機構8の変速(の前期)は、例えば副変速機構9の準備相と同時に開始する。無段変速機構8の変速の後期は、副変速機構9のイナーシャ相の前期と重なり、好ましくは一致する。すなわち、無段変速機構8の変速の後期は、副変速機構9のイナーシャ相(の前期)が開始すると同時に開始し、副変速機構9のイナーシャ相の前期が終了すると同時に終了することが好ましい。
【0026】
このようにして、無段変速機構8の変速に費やす時間(以下、「無断変速側変速時間」)Tpが予め設定される。この無断変速側変速時間Tpは、例えばパワーオフダウンシフトのとき、副変速機構9の準備相の時間とトルク相の時間とを加算した時間Tpp+tpよりも長い(Tp>Tpp+tp)。そして、変化率d(ip(c))/dtから指示無段変速側レシオip(c)が決まる。指示無段変速側レシオip(c)は、無段変速機構8の変速の前期に徐々に大きくなる勾配で増大し、中期に一定の勾配で増大し、後期に徐々に小さくなる勾配で増大する。すなわち、無段変速機構8の変速終了まで(少なくとも副変速機構9のイナーシャ相開始まで)無段変速機構8がダウンシフトし続ける(無段変速機構8が最ロー:最大変速比までダウンシフトしない)ように、指示無段変速側レシオip(c)が設定される。指示無段変速側レシオip(c)と指示副変速側レシオisub(c)との積(指示トータルレシオi(c))の時間変化を想定すると、それは、自動変速機4の変速の前期に徐々に大きくなる勾配で増大し、中期に略一定の勾配で増大し、後期に徐々に小さくなる勾配で増大した後に目標トータルレシオi(o)に達する、S字状のプロフィールとなる。
【0027】
変速機コントローラ11は、副変速機構9のイナーシャ相では、指示副変速側レシオisub(c)の上記プロフィールを実現するような、副変速機構9の解放側及び締結側の締結要素のトルク容量(指示トルク容量)をそれぞれ求め、これらの指示トルク容量を実現するような、解放側の締結要素への供給油圧及び締結側の締結要素への指示供給油圧を設定する。変速機コントローラ11は、フィードフォワード制御の操作量であるF/F指示容量と、フィードバック制御の操作量であるF/B指示容量との加算値として、上記指示トルク容量を求める。F/F指示容量を、副変速側入力トルクTsub_in を基に算出する。F/B指示容量を、副変速側入力回転数Nsub_inを基に算出する。F/F指示容量及びF/B指示容量は、各相の開始・終了の判定をトリガーにして算出される。なお、締結要素の実圧応答遅れ分を補正するための適合要素として、副変速機構9の変速の進行率に応じた補正ゲインとオフセットをF/F指示容量に持たせてもよい。この場合、トルク相から補正をかけ、終了相で進行率に応じて補正を解除する。また、変速機コントローラ11は、指示無段変速側レシオip(c)の上記プロフィールを実現するように、駆動プーリ8aへの供給圧と従動プーリ8bへの供給圧とを制御する。
【0028】
次に、作用効果を説明する。無段変速機構8の変速制御と副変速機構9の変速制御とを協調して行い目標トータルレシオi(o)を実現する際、無段変速機構8が変速を終了したときに副変速機構9のイナーシャ相が開始していないと、トータルレシオiの変化が不連続となり、車両の駆動力の変化が不連続となるおそれがある。以下、比較例を用いて説明する。比較例の変速機コントローラは、変速線図から定まる目標トータルレシオi(o)と所定の変速速度とから、自動変速機4の指示トータルレシオi(c)を決める。指示副変速側レシオisub(c)を本実施形態の変速機コントローラ11と同様にして求める。一方、指示トータルレシオi(c)を指示副変速側レシオisub(c)で除することで、指示無段変速側レシオip(c)を求める。このような比較例では、無段変速機構8の変速の終了タイミングが、副変速機構9のイナーシャ相の開始タイミングと特に関係づけられていない。よって、副変速機構9のイナーシャ相の開始前に、無段変速機構8の変速が終了しうる。例えば自動変速機4のダウンシフト時、無段変速機構8のダウンシフトが最ロー比で止まってから副変速機構9のダウンシフトが開始する場合、発生するエンジンブレーキが不連続となる。特に、無段変速側入力トルクTp_inが判定値Tp_in*以下であるパワーオフダウンシフトでは、ローブレーキL/Bへの油圧供給によりダウンシフトを進行させるため、準備相の後、トルク相となり、イナーシャ相の開始が遅れるおそれがある。よって、副変速機構9のイナーシャ相の開始前に、無段変速機構8の変速が終了しやすい。なかでも、運転者がエンジンブレーキ力を得るためにセレクトレバーをDレンジからLレンジへ切り替え、これによりダウンシフト要求が出されるような場合には、自動変速機4の急速な大変速が指令されるため、副変速機構9のダウンシフトが開始する前に無段変速機構8が最ローに達してしまうおそれが高い。
【0029】
図4は、比較例の変速機コントローラによるパワーオフダウンシフトにおけるタイムチャートを示す。Gは車両の加速度(エンジンブレーキによる減速度を含む。)を示す。フェーズは副変速機構9の変速の各相を示す。TLBはローブレーキL/BのF/F指示容量、THCはハイクラッチH/CのF/F指示容量をそれぞれ示す。時刻t41〜t42が準備相、時刻t42〜t43がトルク相、時刻t43〜t44がイナーシャ相、時刻t44〜t45が終了相である。無段変速側レシオipは、副変速側レシオisubの変化開始前に、最ローに達してしまう(時刻t42直後)。言換えると、無段変速機構8が変速を終了してしまう。その後、時刻t43で副変速機構9のダウンシフト(イナーシャ相)が開始する。よって、自動変速機4の全体としての変速比(トータルレシオi)の変化が非連続的になることで減速度Gの変動が生じ(時刻t42近傍)、駆動力(エンジンブレーキ)の変化(ショック)として運転者に感じられるおそれがある。また、比較例では、指示無段変速側レシオip(c)は、指示副変速側レシオisub(c)との合計がトータルレシオiとなるように設定される。このため、副変速側レシオisub(指示副変速側レシオisub(c))が一定以上の大きさになると、いったん最ローに達した無段変速側レシオip(指示無段変速側レシオip(c))は、副変速側レシオisub(指示副変速側レシオisub(c))の増大に応じて減少する(時刻t44の前)。すなわち、無段変速機構8はアップシフトする。よって、自動変速機入力回転数Nin(トルクコンバータ2のタービンランナ2aの回転数)の変動が発生し、この回転変動(イナーシャトルク)によるショック(押し出され感)が生じるおそれがある(時刻t44の直前におけるGの変化で示す)。特に、無段変速機構8がロー側からアップシフトへ切り替わる場合、指示無段変速側レシオip(c)に対する実際の無段変速側レシオipの追従が遅れやすい。このため、副変速側レシオisubの変化のタイミングと無段変速側レシオipの変化のタイミングがずれて、トータルレシオi(自動変速機入力回転数Nin)の変動が生じ、ショックが生じやすい。
【0030】
これに対し、本実施形態の変速機コントローラ11は、副変速機構9のイナーシャ相が開始した後に無段変速機構8の変速が終了するように、無段変速機構8の変速を制御する。よって、トータルレシオiの変化が連続的となり、車両の駆動力の変化が連続的となる。例えば自動変速機4のダウンシフト時、無段変速機構8のダウンシフトが止まる前に副変速機構9のダウンシフトが開始することから、発生するエンジンブレーキ(による減速度G)が連続的となる。副変速機構9のイナーシャ相の開始が遅れやすいパワーオフダウンシフト時にも、副変速機構9のイナーシャ相の開始後に、無段変速機構8の変速を終了させることができる。
【0031】
図3は、本実施形態の変速機コントローラ11によるパワーオフダウンシフトにおけるタイムチャートを示す。時刻t31〜t32が準備相、時刻t32〜t33がトルク相、時刻t33〜t34がイナーシャ相、時刻t34〜t35が終了相である。無段変速側レシオipは、副変速側レシオisubの変化が開始する時刻t33より後の時刻331に、変化を終了する。よって、トータルレシオiの変化が連続的になることで減速度Gの変動(ショック)が抑制される(時刻t33近傍)。無段変速機構8のダウンシフトと副変速機構9のダウンシフトが連続して行われるため、エンジンブレーキのタイムラグ感や二段感は抑制される(時刻t31〜t34)。なお、変速の進行を促進する(変速の停滞を抑制する)という観点からは、無段変速側レシオipの変化は、副変速機構9のイナーシャ相の前半までに終了することが好ましい。
【0032】
また、目標無段変速側レシオip(o)は、目標トータルレシオi(o)と目標副変速側レシオisub(o)とから算出される。変速中、無段変速側レシオipは、目標無段変速側レシオip(o) (無段変速機構8の変速後の変速比)以下となるように制御される。よって、副変速側レシオisubの変化開始前に、無段変速側レシオipが目標無段変速側レシオip(o)を超えて最大変速比に達することが抑制される。図3に示す例では、例えばDレンジからLレンジへの操作によるダウンシフト時にも、無段変速側レシオipが最ローに達することが抑制される。よって、トータルレシオiの変化がより確実に連続的になる。また、比較例(図4における時刻t44の前)のように無段変速側レシオip(指示無段変速側レシオip(c))が最ローから減少に転ずる(アップシフトする)事態も回避されるため、副変速側レシオisubと無段変速側レシオipの変化タイミングがずれる(トータルレシオiの変動が生じる)ことも抑制される。
【0033】
さらに、無段変速側レシオipの時間変化率d(iP)/dtが減少する期間(時刻t33〜t331)は、副変速側レシオisubの時間変化率d(isub)/dtが増大する期間(時刻t33〜t331)と重なる。このように無段変速機構8の変速の後期と副変速機構9の変速(イナーシャ相)の前期とを重ね合わせる(両期のタイミングを合わせる)ことによって、自動変速機入力回転数Ninの変動によるショックが抑制される。すなわち、自動変速機入力回転数Ninは、自動変速機出力回転数Noutと無段変速側レシオipと副変速側レシオisubとの積で与えられる。自動変速機出力回転数Noutの変化が十分に微小であると考えると、自動変速機入力回転数Ninの変化率d(Nin)/dtは次の式(1)で与えられる。
【数1】
但し、d(iP)/dtは無段変速側レシオiPの時間変化率、d(isub)/dtは副変速側レシオisubの時間変化率を示す。
【0034】
上記式(1)から分かるように、自動変速機入力回転数Ninの変化率d(Nin)/dtは、無段変速側レシオiPの変化率d(iP)/dtの項と、副変速側レシオisubの変化率d(isub)/dtの項との足し合わせとなる。例えば自動変速機4のダウンシフト時、自動変速機入力回転数Ninの上昇による(エンジンブレーキによる)減速度Gは、自動変速機入力回転数Ninの変化率d(Nin)/dt(と回転要素の慣性モーメントとの積であるイナーシャトルク)により決まる。変化率d(Nin)/dtの変動が小さければ減速度Gの変動も小さい。よって、上記のように無段変速側レシオipの変化率d(iP)/dtの減少期間と副変速側レシオisubの変化率d(isub)/dtの増大期間とが重なることで、両変化率の項の足し合わせである自動変速機入力回転数Ninの変化率d(Nin)/dtの変動が抑制されるため、イナーシャトルクによる減速度Gの変動も抑制される(時刻t33〜t331)。なお、変化率d(iP)/dtの減少期間(無段変速機構8の変速の後期)と変化率d(isub)/dtの増大期間(副変速機構9のイナーシャ相の前期)とが互いに一部でも重なっていればよい。本実施形態では、両期間が好ましくは一致する。すなわち、両期間の始点と両期間の終点がそれぞれ一致するように指示無段変速側レシオip(c)が設定される。よって、上記作用効果を向上できる。なお、両期間の始点と終点のいずれか一方のみが一致してもよい。
【0035】
以上説明したように、第1実施形態にあっては、以下の作用効果を奏する。
(1)自動変速機4(変速機)の変速機コントローラ11(制御装置)であって、
自動変速機4は、
エンジン1(車両の駆動源)と車輪7との間にあり、
変速比を無段階的に変更可能な無段変速機構8と、
ローブレーキL/B、ハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/B(複数の締結要素)の締結と解放を切り替えることで変速比を段階的に変更可能な副変速機構9(有段変速機構)とを有し、
変速機コントローラ11は、無段変速機構8及び副変速機構9を変速させて自動変速機4の目標トータルレシオi(o)(目標変速比)を実現する際、副変速機構9のイナーシャ相が開始した後に無段変速機構8の変速が終了するように、無段変速機構8の変速を制御する。
よって、トータルレシオiの変化が連続的となり、車両の駆動力の変化が連続的となるため、運転者の違和感を抑制することができる。
【0036】
(2)エンジン1(駆動源)の側から自動変速機4へ入力されるトルク(無段変速側入力トルクTp_in)が所定のパワーオン判定値Tp_in*(閾値)より大きい状態をパワーオン状態、無段変速側入力トルクTp_inがパワーオン判定値Tp_in*以下である状態をパワーオフ状態とするとき、
変速機コントローラ11(制御装置)は、パワーオフ状態で自動変速機4をダウンシフトさせる際、副変速機構9(有段変速機構)のイナーシャ相が開始した後に無段変速機構8の変速が終了するように、無段変速機構8の変速を制御する。
よって、副変速機構9のイナーシャ相の開始が遅れやすいパワーオフダウンシフト時にも、副変速機構9のイナーシャ相の開始後に、無段変速機構8の変速を終了させることができる。
【0037】
(3) 変速機コントローラ11(制御装置)は、上記変速中は、目標無段変速側レシオip(o) (無段変速機構8の目標変速比:変速後の変速比)以下となるように、無段変速機構8の変速比(無段変速側レシオip)を制御する。
よって、副変速側レシオisubの変化開始前に、無段変速側レシオipが目標無段変速側レシオip(o)を超えて最大変速比に達することが抑制されるため、トータルレシオiの変化をより確実に連続的にすることができる。
【0038】
(4) 変速機コントローラ11(制御装置)は、無段変速機構8の変速の終了時において無段変速機構8の変速比の変化率d(iP)/dtが減少する期間が、副変速機構9(有段変速機構)の変速の開始時において副変速機構9の変速比の変化率d(isub)/dtが増大する期間と重なるように、無段変速機構8の変速を制御する。
よって、イナーシャトルク(自動変速機入力回転数Nin)の変動によるショックを抑制できる。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態を実施形態に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施形態に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、駆動源は、エンジン(内燃機関)に限らず、電動機等であってもよい。無段変速機構は、ベルト式に限らず、動力伝達部材としてチェーンがプーリ間に掛け回されたものや、トロイダル式であってもよいし、油圧で駆動されるものに限らず電気的に駆動されるものあってもよい。副変速機構(有段変速機構)は、前進用の変速段として3段以上を有してもよいし、通常の遊星歯車機構を用いてもよいし、ギア比の異なる複数の歯車列で構成される複数の動力伝達経路と、これら動力伝達経路を切り換える摩擦締結要素とによって構成されてもよい。実施形態では、運転者がエンジンブレーキ力を得るためにするセレクトレバー操作として、DレンジからLレンジへの切り替えを例示したが、Mレンジ(マニュアルモード)への切り替え等であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 エンジン(駆動源)
4 自動変速機(変速機)
7 車輪
8 無段変速機構
9 副変速機構(有段変速機構)
11 変速機コントローラ(制御装置)
L/B ローブレーキ(締結要素)
H/C ハイクラッチ(締結要素)
R/B リバースブレーキ(締結要素)
図1
図2
図3
図4