技術分野
弱毒化デングウイルスを含むデングワクチン
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
上述の通り、初感染とは異なる血清型による2回目以降の感染により症状が重篤化するリスクが高いと考えられていることから、同時に4種すべての血清型のデングウイルスへの防御能を賦与しうる4価ワクチンが望まれている。しかしながら数十年に渡るワクチン開発への取り組みがなされたにもかかわらず、4種すべての血清型に対して優れた有効性を示すワクチンは存在しない。
デングウイルスゲノムは、Cタンパク質、Mタンパク質、Eタンパク質などの構造タンパク質と、ウイルス粒子を構成せず複製時に働く7つの非構造(NS)タンパク質をコードしている。よって、他のウイルスや特定の血清型のデングウイルスをバックボーンとする遺伝子組換えキメラ生ワクチン、又は、不活化全粒子ワクチンやサブユニットワクチン、DNAワクチンなどは、デング由来コンポーネントを欠いており、デングウイルスの自然感染により生体内に生じる様々な免疫抗原の内の一部を提示するにすぎない。
一方で、自然宿主とは異なる細胞にて継代馴化して宿主細胞域変異を獲得した弱毒化生ワクチンは、麻疹、風疹、おたふくかぜ、ポリオ等で実績があるように、自然感染時と同様の免疫応答を誘導しうることから、デングウイルス感染症においても高い有効性を期待しうる。
現在開発中であることが報告されている又は上市されたデングワクチンは、複数回投与することで4種全ての血清型のデングウイルスに対する中和抗体を誘導させることが可能であるが、4種すべての血清型に対する中和抗体が獲得されるまでに期間を要し、流行地域ではその期間中に自然感染するリスクがあり、単回投与により4種すべての血清型に対する防御免疫を賦与しうるワクチンがより有用性が高いと言える。
デングウイルスワクチンの調製にあたって、各血清型の株及び用量の混合組成の選定は容易ではない。単価で投与した場合に高い中和抗体を誘導可能であっても、4価混合し投与すると各血清型のデングウイルスに対する中和抗体レベルが均一とならない(干渉作用)問題がある。また、不十分な中和活性(交差反応、結合)抗体による抗体依存性感染増強(ADE;Antibody-Dependent Enhancement)の問題もある。
既承認薬又は臨床段階にある主要な開発品は、SanofiのChimeriVax-DEN(Dengvaxia(商標名))、TakedaのDENVax(商標名)及びButantanのTetraVax(商標名)の3つであり、いずれも遺伝子組み換えキメラ生ワクチンである。SanofiのDengvaxiaは、黄熱ワクチン株YF-17Dをバックボーンとする遺伝子組換えキメラ生ワクチンであり、メキシコ、ブラジル及びフィリピンの3ヶ国で9歳から45歳を対象に6箇月間隔3回接種の用法で承認されている。
DengvaxiaのPhase3試験は、東南アジア5ヶ国において、2歳から15歳の年齢層の約1万人、及び南米5ヶ国にて9〜16歳の年齢層の約2万人を被験者とし実施された。その結果、有効性は6割程度に留まり、特に血清型2に対する有効性は約4割と低く十分ではなかった。また、デング既存免疫がない被験者に対する有効性は約4割であった。さらに、Phase3試験の長期フォローアップ及びタイにおけるPhase2b試験の長期フォローアップでの結果では、3年目の時点で9歳未満の年齢層での入院リスクが非接種群に対して1.6倍と高くなっており、特に5歳以下では約5倍と高くなっていた。この点がVaccine Enhancementではないかと問題視されている。有効性が低い原因としては、デング由来コンポーネントの不足や流行株の変異などが考察されている。よって、デング由来コンポーネントをすべて含み、かつ、積極的なクローニングを行っておらずウイルスの亜集団(quasispecies)を含む、継代馴化生ワクチンであればより高い効果が期待できる。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
本発明者らは課題を解決するために鋭意研究した結果、薬効と安全性の成績が共に優れる弱毒化4価デング生ウイルスワクチンを見出した。また、単回投与であっても、複数回投与であっても、薬効と安全性の成績が優れる弱毒化4価デング生ウイルスワクチンを見出した。
【発明の効果】
本発明は、4種すべてのデングウイルス血清型に対する中和抗体応答を単回投与であっても誘導でき、上市されている他の弱毒生ウイルスワクチンと同等レベルの安全性(忍容性)を有するデングワクチンを提供するものである。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】図1は、中和抗体価の長期推移(血清型1)を示す。
【図2】図2は、中和抗体価の長期推移(血清型2)を示す。
【図3】図3は、中和抗体価の長期推移(血清型3)を示す。
【図4】図4は、中和抗体価の長期推移(血清型4)を示す。
【図5】図5は、中和抗体価の長期推移と接種回数非依存性(血清型1)を示す。
【図6】図6は、中和抗体価の長期推移と接種回数非依存性(血清型2)を示す。
【図7】図7は、中和抗体価の長期推移と接種回数非依存性(血清型3)を示す。
【図8】図8は、中和抗体価の長期推移と接種回数非依存性(血清型4)を示す。
【図9】図9は、中和抗体応答の抗原量非依存性(血清型1)を示す。
【図10】図10は、中和抗体応答の抗原量非依存性(血清型2)を示す。
【図11】図11は、中和抗体応答の抗原量非依存性(血清型3)を示す。
【図12】図12は、中和抗体応答の抗原量非依存性(血清型4)を示す。
【図13】図13は、4価デングワクチンの作製フローを示す。
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