【実施例1】
【0022】
図1〜
図9は本発明の実施例1を示す。同図に示すように、アシストグリップ1は、本体2と取付部3とを一体に備える。前記本体2は、合成樹脂からなり、棒状に延びる把持部4と、この把持部4の長さ方向両端に一体に設けられた屈曲部たる湾曲部5,5とを備える。また、前記湾曲部5,5に前記取付部3,3がそれぞれ設けられ、前記取付部3は乗り物の内装部材6に取り付けられるものである。尚、取付部3は、湾曲部5の背面側に設けられている。
【0023】
前記内装部材6としては、乗り物の内部空間の内壁部が例示され、例えばアシストグリップ1は座席の側部上方に設けられる。
【0024】
前記本体2は、把持部4の外縁4Sが略真っ直ぐに形成され、両側の湾曲部5,5の外縁に凸状の曲面部5M,5Mが形成され、これら曲面部5M,5Mは前記把持部4の外縁4Sに連続して形成されている。
【0025】
また、把持部4の内縁4Uは略真っ直ぐに形成され、湾曲部5の内縁5Uは前記内縁4Uと略直交して形成されている。尚、
図1において、把持部4の上側が外縁4Sであり、把持部4の下側が内縁4Uであり、以下、
図1のアシストグリップ1の向きを基準として、アシストグリップ1などの上下を説明する。
【0026】
アシストグリップ1は、回動機構7によって、乗員に把持される使用位置と、乗員に把持されない非使用位置間において回動自在に内装部材6に支持されている。
【0027】
アシストグリップ1の湾曲部5の背面には、取付凹部8が設けられている。この取付凹部8には、内装部材6に取り付けられるベース部材9が収容され、湾曲部5とベース部材9を回動機構7の支持軸10が貫通し、アシストグリップ1を内装部材6に回動自在に支持している。また、回動機構7としては、アシストグリップ1を非使用位置へと付勢するねじりコイルばね等の付勢手段(図示せず)を備えている。
【0028】
前記本体2の内縁4Uには、収容具11が取り付けられている。収容具11は、前記本体2の内縁4Uに固定される台座部12と、台座部12を覆う蓋部材13とを備えている。
【0029】
台座部12は、把持部4の正面と背面に対応する正面部14と背面部15を把持部4の長手方向に沿うように形成し、円弧状の断面形状を有する内縁4Uに嵌合可能な湾曲した凹部からなる嵌合部16を上部に備え、ビスBを内縁4Uに打設可能とする底面部17を備えている。
【0030】
蓋部材13は、把持部4の長手方向に沿うように形成され、上方を開放した有底箱型形状に形成されており、非使用位置に車内側となる正面部18の中央部分には弾性係止部19を備え、非使用位置に内装部材6側に対向する背面部20の上部両端には、外向きに突設した湾曲した鉤状の係止爪21を備えている。
【0031】
蓋部材13の底面部には、長手方向に沿って形成された仕切板22が立設されている。
また、蓋部材13の背面部20の中央部分を蓋部材13内部へ向けて凹ませて形成された指掛け部23が形成されている。
【0032】
係止爪21は、背面部20の上部両端から上方へ延設された立ち上げ部24と、立ち上げ部24からアシストグリップ1の背面方向に円弧状に折り曲げた折り曲げ部25とを備えている。
【0033】
弾性係止部19は、正面部18に相互に間隔を有して形成された一対の切欠部26によって舌状に形成されたもので、上端に係合凸部27を備えている。
【0034】
尚、台座部12では、非使用位置に車内側となる正面部14の中央部分の内側には係合凸部27が係合可能な係合凹部14Aを備えている。
【0035】
台座部12の背面部15の両端下部には正面部14方向へと突設された係止片28をそれぞれ備えている。この係止片28には、係止爪21が係止可能となっている。
【0036】
前記収容具11には、ポンチタイプハンマーである脱出用ハンマー(以下、ハンマーと称す)29が着脱可能に収納される。
【0037】
ハンマー29は、合成樹脂製で略円筒状のハンマー本体30の先端に、硬質材料からなるポンチ31が固定して設けられている。蓋部材13に収納されたハンマー29のハンマー本体30は、仕切板22と指掛け部23の間に保持される。
【0038】
ハンマー本体30のポンチ31側はカバー部材32により覆われている。カバー部材32の外周には、切断部33を備えている。切断部33は、カバー部材32の外周より突設されたガイド部34と、ガイド部34とカバー部材32との間に形成された切欠き状に形成された案内溝35と、案内溝35に切断手段たる刃体36を設け、刃体36の刃部37は案内溝35から外部に突出しない構成となっている。
【0039】
図2は、収容具11の取り付け方法の一例を示している。台座部12の嵌合部16を内縁4Uに嵌合させた状態で底面部17と内縁4UとをビスB等で固着する。次に、ハンマー29が収納された蓋部材13をまずは係止片28の上部に係止爪21の折り曲げ部25を引っ掛けるようにして、係止爪21を係止片28に係合した後、弾性係止部19を係止凹部14Aに係合して、台座部12に蓋部材13を取り付けると、収容具11の取り付けが完了する。
【0040】
次に、
図5〜
図7を用いて、ハンマー29の取り出し方法について説明する。まず、蓋部材13の取り外し方法について、指掛け部23に指を掛けた状態で、弾性係止部19を押し込み、弾性係止部19と係止凹部14Aとの係止状態を解除し、回動機構7を回転軸として、蓋部材13を下方へ回転させる。係止片28に係合した状態の係止爪21は、前述のように蓋部材13を下方に回転させると、折り曲げ部25から立ち上げ部24へと係止片28に接触箇所を変化させた状態で係合している。続いて、係止爪21と係止片28の係合状態を解除して、蓋部材13を台座部12から取り外す。
【0041】
ここで、回動機構7を収容具11の背面部側に備えたことにより、蓋部材13が車内側に開くので、蓋部材13の取り外しが容易となる。
【0042】
また、蓋部材13の背面部20側に指掛け部23を備えたことにより、非使用位置において指を掛けるスペースを確保することができるので、蓋部材13の取り外しが容易となる。
【0043】
また、アシストグリップ1の使用位置での内装部材6と収容具11との隙間は、使用者の手を入れる隙間が確保されている。
【0044】
本実施例の収容具11は、乗り物の室内に取り付けられ、棒状に延びる把持部4と、前記把持部4の両端に前記乗り物の内装部材6に取り付ける取付部3とを備えたアシストグリップ1に脱出用ハンマー29を収容する脱出ハンマー収容具11であって、前記収容具11は、前記把持部4に固定される台座部12を介して取り付けられたことにより、既存のアシストグリップ1に対して後付けすることが可能となる。
【0045】
また、本実施例の収容具11は、前記台座部12を覆う蓋部材13を備えることにより、既存のアシストグリップ1に対して後付けすることが可能となる。
【0046】
また、本実施例の収容具11は、前記把持部4と前記取付部3との間に囲まれた領域に配置されたことにより、アシストグリップ1の握りやすさを妨げない。
【0047】
また、本実施例の収容具11は、前記蓋部材13が回動することにより、前記脱出用ハンマー29の取り出しが可能となることにより、脱出用ハンマー29の取り出しが容易である。
【0048】
また、本実施例では、前記アシストグリップ1は、前記取付部3に設けられた前記把持部4長手方向に延びる軸部材である支持軸10により、回動可能に前記乗り物の内装部材6に取り付けられており、前記把持部4が前記上方に位置する非使用位置と、前記室内下方に位置する使用位置との切り替えが可能となることにより、アシストグリップ1の使用位置と非使用位置の切り替えが可能となる。
【実施例4】
【0056】
図16及び
図19は、本発明の実施例4を示し、上記実施例1〜3と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例の台座部12は、アシストグリップ1の本体2に巻回した状態で取り付けられた複数の雌型面テープとしている。
【0057】
収納具11は、幅寸法を本体2の長手方向の寸法とほぼ同一とし、長さ寸法を本体2の全周より大きく形成された合成樹脂製の織布からなる。
【0058】
収納具11の一側面60の一端側には、雌型面テープ61が備えられている。また、収納具11の他側面62には、一端側に台座部12に着脱可能な複数の雄型面テープからなる着脱部63を備え、中央部分に筒型状のハンマー保持部64を備え、他端側には雌型面テープ61と着脱自在な雄型面テープ65を備え、他端にはストラップ66を備えている。
【0059】
図17〜
図19を用いて収容具11の取り付け方法を説明する。まず、収容具11の他側面62側を本体2に向けて収容具11を本体2に巻きつけて、台座部12と着脱部63を固着させて、収容具11を本体2に取り付ける。次に、ハンマー保持部64にハンマー29を取り付けた状態で、収容具11をさらに本体2に巻きつけて、雌型面テープ61と雄型面テープ65を固着すると、ハンマー29が収容される。
【0060】
ハンマー29の取り出し方法についても
図17〜
図19を用いて説明すると、ストラップ66を掴み、雌型面テープ61と雄型面テープ65の固着状態を解除して、本体2に巻き付いていた収容具11をハンマー保持部64が露出するまで広げると、ハンマー29を取り出すことができる。
【0061】
また、アシストグリップ1の使用位置での内装部材6と収容具11との隙間は、使用者の手を入れる隙間が確保されている。
【0062】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。本実施例のアシストグリップは使用位置と非使用位置の間で回動可能なものとしたが、使用位置のまま固定された固定式のアシストグリップでもよいものとする。また、実施例4の各種面テープ12,61,63,65は、スナップボタン等の各種固着手段に変更可能であり、支持片56の形状や構成についても適宜変更可能である。