(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板の上に形成された複数の集束表面音響波発生器をさらに含み、各集束表面音響波発生器が、前記複数の流路の内の一つと関連し、且つ、前記基板における表面音響波及び前記集束領域における前記流路内で流れにおける定在圧力波を生成するように構成された、請求項1に記載のマイクロ流体粒子処理チップアセンブリ。
前記複数の流路の各々が、前記スイッチング表面音響波発生器と反対側の前記流路の側面の上に配された前記スイッチング領域においてパルス減衰素子を含む、請求項1に記載のマイクロ流体粒子処理チップアセンブリ。
基板が、圧電材料層を含み、前記複数のスイッチング表面音響波発生器が、前記圧電材料層の上に形成される、請求項1に記載のマイクロ流体粒子処理チップアセンブリ。
前記スイッチング表面音響波発生器アセンブリが、前記スイッチング基板における複数の表面音響波を選択的に生成するスイッチング表面音響波アクチュエータを含む、請求項13に記載のマイクロ流体粒子処理システム。
前記音響エネルギーを前記スイッチング表面音響波発生器アセンブリから前記マイクロ流体チップアセンブリへ伝送するように構成された少なくとも一つのスイッチング結合素子をさらに含む、請求項13に記載のマイクロ流体粒子処理システム。
前記音響エネルギーを前記スイッチング表面音響波発生器アセンブリから少なくとも一つの流路の少なくとも一つのスイッチング領域へ向けるように構成された少なくとも一つのスイッチング透過素子をさらに含む、請求項13に記載のマイクロ流体粒子処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下で説明され図面において示される様々な特徴及び特徴の組み合わせは異なって配され及び/又は組織化され得て、いまだに本開示の精神及び範疇内である実施形態をもたらすことが留意されるべきである。さらに、図面における構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、必ずしも比例して表されるのではなく、関連する原則を明確に示すときことに代わりに重点が置かれる。よりさらに、様々な特徴は、説明を簡単にするために特定の図面において示されないことがある。追加的に、層間若しくは他の構成要素の後ろのアイテムを説明する若しくは示す目的のために、又は、特定のこれらの図面における視点を一般的に簡単にするために、様々な構成要素又は要素は、透明及び/又はクロスハッチングとして示されることがある、又は、他の標準的な図面技術が存在しないことがある。開示されるシステム、アセンブリ及び方法を作製する及び使用することにおいて当業者を支援するために、添付の図面への参照が為される。
【0030】
本開示は、様々な修正及び代替形態によって具体化され得る一方で、特定の実施形態が、図面において示され、例示的な実施例によって本明細書で説明される。図面及び詳細な説明は、開示される特定の形態へ特許請求の範囲の範疇を限定することが意図されておらず、特許請求の範囲の精神及び範疇内に入るすべての修正、代替及び等価物は覆われるように意図されることが理解されるべきである。
【0031】
マイクロ流体チップ又は他のフローセルを組み込むマイクロ流体粒子分析及び/又はソーティングシステムは、いくつかの実施形態に従って、輸血、骨髄移植及び/又は結集される末梢血インプラント等の、セルベースの治療を可能にする治療用医療機器としての多種多様な用途を有し得る。マイクロ流体システムの実施形態は、例えば、プロトコル及び必要な試薬と無関係なセルによる電磁放射又は光の相互作用(例えば、散乱、反射、及び/又は自家蛍光)によって決定されるような固有の特性に基づいて粒子を分析、処理及び/又は選択することが可能であり得る。いくつかの好ましい実施形態によると、マイクロ流体システムは、マイクロ流体チップ又は他のフローセルを含む閉じられた、殺菌された、使い捨てのカートリッジを採用し得て、サンプル流体と接触するすべての表面が、ユーザーから及び/又は非使い捨て機器から隔離されるようになる。理想的には、マイクロ流体システムは、高速で粒子を分析及び/又は処理する。理想的には、マイクロ流体ソーティングシステムはまた、高収率、高純度及び高効率で、ソートされた粒子を送達する。
【0032】
本明細書で説明される特定の実施形態は、流路において、特に、マイクロ流体デバイスにおけるマイクロチャネルにおいて粒子を操作するためのシステム及び方法に関する。
【0033】
本明細書で用いられるように、「粒子」との用語は、細胞(例えば、血小板、白血球、腫瘍細胞、胚細胞、精子等)、細胞小器官並びに多細胞生物を含むが、それらに限定されるものではない。粒子は、リポソーム、プロテオリポソーム、酵母、バクテリア、ウイルス、花粉、藻類又は同様のものを含み得る。追加的に、粒子は、遺伝物質、RNA、DNA、フラグメント、たんぱく質等を含み得る。粒子はまた、非生物学的粒子を指し得る。例えば、粒子は、金属、鉱物、高分子物質、ガラス、セラミック、複合材料又は同様のものを含み得る。粒子はまた、合成ビーズ(例えば、ポリスチレン)、例えば、蛍光色素結合抗体が設けられたビーズを指し得る。
【0034】
本明細書で用いられるように、「マイクロ流体システム」との用語は、マイクロスケールの寸法を有する少なくとも一つの流体チャネルを含むシステム又は装置を指す。マイクロ流体システムは、流体サンプル及び/又は流体サンプル内の粒子を、取り扱う、処理する、検出する、分析する、噴出する及び/又はソートするように構成され得る。本明細書で用いられるような「チャネル」との用語は、液体及び気体等の流体の移動を可能にする媒体又は基板を通って又はそれらにおいて形成される経路を指す。「マイクロチャネル」との用語は、約1.0μmと約2000μmとの間、好ましくは約25μmと約500μmとの間、最も好ましくは約50μmと約300μmとの間の範囲における断面寸法を有する、好ましくはマイクロ流体システム又は装置において形成される、チャネルを指す。当業者は、所望の用途に関してマイクロチャネルの適切な容積及び長さを決定することができるであろう。上記範囲は、上限又は下限として上記引用された値を含むことが意図される。一般的に、マイクロチャネルは、任意の選択された断面形状、例えば、U型、D型、長方形、三角形、楕円形/卵形、円形、正方形、台形等の断面形状を有し得る。形状は、マイクロチャネルの長さに沿って一定であり得る、又は変化し得る。さらに、マイクロチャネルは、線形の、非線形の、合流する、分岐する、ループする、ねじれる、段差等の構成を含む、任意の選択された配置又は構成を有し得る。マイクロ流体システム又は装置、例えば、マイクロ流体チップは、輸送流体に関する任意の適切な数のマイクロチャネルを含み得る。マイクロ流体チップは、マイクロ流体機器を備える取り外し可能な係合のための使い捨てカートリッジの一部として提供され得る。さらに、マイクロ流体チップは、使い捨てカートリッジの一部として提供され得、使い捨てカートリッジは、完全に囲まれた且つ密封された又は密封可能な流体チャネルシステムである。
【0035】
本明細書で用いられるように、「縦の」、「横の」、「頂部」、「底部」、「上」、「下」、「アップ」、「ダウン」との語句、及び他の同様の用語は、任意の配向において操作され得る、本明細書に記載される流路及びマイクロ流体チップに特に関する、図面における描かれた特徴間の一般的な関係性を提供し、特許請求の範囲を限定しない説明的な用語として理解されるべきである。
【0036】
図3の概略をここで参照すると、本開示の例示的実施形態を実装するのに適した粒子処理システム100が、概略的に示される。粒子処理システム100は、粒子(例えば、細胞、微細粒子等)を分析する、ソートする及び/又は処理する(例えば、浄化する、測定する、隔離する、検出する、モニタリングする及び/又は濃縮する)ために構成され得る、寸法決められ得る、又は適合され得る。例えば、システム100は、サイトメーター及び/又は細胞浄化システム又は同様のものであり得るが、本開示はそれらに限定されるものではない。むしろ、システム100は、様々な形態をとり得、記載されるシステム及び方法は他の処理システムへ適用され得ることが留意されるべきである。システム100によって提供される処理要素又は構成要素は、輸送チャネル、ポンプ、バルブ、混合素子、温度制御素子、圧力制御素子、液滴発生器、培養素子、ウェル、試薬被覆された表面又は試薬貯蔵素子、幾何学的物理構造(ポスト、ガイド等)等を含み得る。これらの要素又は構成要素は、マイクロ流体チップ、カートリッジ及び/又は機器の上に存在し得る。
【0037】
例示的実施形態では、粒子処理システム100は、マイクロ流体フローソーター粒子処理システム(例えば、マイクロ流体チップに基づいたシステム)又は同様のものであり得る。例示的なマイクロ流体フローソーター粒子処理システム及び構成要素又は同様のものが、例えば、米国特許第8,529,161,“Multilayer Hydrodynamic Sheath Flow Structure”(シリアル第13/179,084);8,277,764, “Unitary Cartridge for Particle Processing”(シリアル第11/295,183);8,123,044, “Actuation of Parallel Microfluidic Arrays”(シリアル第11/800,469);7,569,788, “Method and Apparatus for Sorting Particles”(シリアル第11/101,038);7,492,522, “Optical Detector for a Particle Sorting System” (シリアル第11/906,621);6,808,075, “Method and Apparatus for Sorting Particles”(シリアル第10/179,488);8,731,860, “Particle Processing Systems and Methods for Normalization/Calibration of Same”(シリアル第13/022,525);Shinodaへの8,705,031, “Particle Sorting Apparatus and Method”(シリアル第13/363,112)及び8,553,229, “Fine Particle Optical Measuring Method in Fluidic Channels”(シリアル第12/259,235);並びに、米国特許公報第2012/0277902,“Method and Apparatus for Monitoring and Optimizing Microfluidic Particle Sorting”(2012年1月3日に出願されたシリアル第13/342,756);2012/0307244, “Multiple Flow Channel Particle Analysis System”(2012年8月3日に出願されたシリアル第13/577,216);2013/0334407, “Large Area, Low F−Number Optical System” (2013年5月16日に出願されたシリアル第13/896,213);2014/0085898, “Focal Plane Shifting System”(2013年9月17日に出願されたシリアル第14/029,485);2014/0318645, “Hydrodynamic Focusing Apparatus and Methods”(2014年3月14日に出願されたシリアル第14/213,800);2014/0370536, “Assemblies and Methods for Reducing Optical Crosstalk in Particle Processing Systems”(2104年3月13日に出願されたシリアル第14/210,366);並びに、2014/0309782, “Operatorless Particle Processing Systems and Methods”(2104年3月13日に出願されたシリアル第14/210,381)において開示され、それらのすべてが、それらの全体において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0038】
図3をさらに参照すると、例示的実施形態では、粒子処理システム100は、粒子取り調べシステム110、流体システム120及び粒子操作システム130を含み得る。システム100は、制御システム150も含み得る。
【0039】
粒子取り調べシステム110は、照明システム112及び検出器システム116を含み得る。取り調べシステム110の照明システム112は、取り調べ領域114を通り抜ける粒子を取り調べるための一以上の信号113を提供し得る。システム110の検出システム116は、取り調べ領域114から出てくる一以上の信号115を受け取り得る。
【0040】
流体システム120は、粒子源供給122から一以上の入力流体連絡素子123を介して粒子を受け取り、且つ、一以上の出力流体連絡素子125を介して収集システム126へ粒子を送るように構成されたマイクロ流体チャネルアセンブリ124を含み得る。粒子源供給122及び/又は収集システム126は、(
図3に示されるように)流体システム120の一部として提供され得る、又は、流体システム120から切り離して供給され得且つ流体システム120へその後関与され得る。粒子取り調べ領域114は、マイクロ流体チャネルアセンブリ124内に含まれ得る。特定の態様によると、マイクロ流体チャネルアセンブリ124は、マイクロ流体チップとして提供され得、流体システム120の残りへ取り外し可能に且つ流体的に関与され得る。特定の態様によると、マイクロ流体チップは、使い捨てであり得る。
【0041】
図6Aを参照すると、他の態様によると、流体システム120は、粒子処理において用いられる流体接触表面のすべてを囲むカートリッジ220として提供され得る。粒子処理操作の間、カートリッジ220は、カートリッジ220の及び流体接触表面の囲まれた及び/又は流体的に密封された性質を破ることなく粒子処理システム100の残りへ操作的に関与され得る。さらにカートリッジ220は、粒子処理システム100の残りから取り外し可能であり得、且つ使い捨てであり得る。
【0042】
図3に戻って参照すると、粒子操作システム130は、粒子集束システム132を含み得る。粒子集束システム132は、粒子取り調べプロセスを最適化又は強化するために、取り調べ領域114の上流で粒子を取り込み得る(例えば、集束する、整列する、分離する、安定化する、方向づける等)。粒子操作システム130はまた、粒子スイッチングシステム134を含み得る。粒子スイッチングシステム134は、取り調べ領域114の下流で動作し得て、特定の特徴を有する粒子は、選択された流路へ向けられる、偏向される、切り替えられる等し得る。特定の実施形態では、粒子は、粒子ごとの基準上の選択された流路へ向けられ得る。
【0043】
粒子集束システム132及び/又は粒子スイッチングシステム134の要素又は構成要素は、マイクロ流体チャネルアセンブリ124内に含まれ得る。例えば、粒子集束システム132は、マイクロ流体チップの上のマイクロ流体流路によって一体的に形成される流体力学的集束領域を含み得る。随意に、粒子集束システム132は、マイクロ流体チップの上のマイクロ流体流路によって一体的に形成される慣性集束領域を含み得る。他の一つの例として、粒子集束システム132は、マイクロ流体チップの上のマイクロ流体流路内でSAWsを生成するための一以上IDTs又は他のSAW生成装置を含み得る。IDTドライバ又はSAWドライバは、チップ外に位置し得る。同様に、粒子スイッチングシステム134は、マイクロ流体チップの上のマイクロ流体流路内にSAWsを生成するための一以上のIDTsを含み得、IDTドライバは、チップ外に位置し得る。
【0044】
制御システム150は、粒子取り調べシステム110から、流体システム120から、粒子操作システム130から、及び/又は外部ソースから信号を受け取り得る。制御システム150は、粒子取り調べシステム110へ、流体システム120へ、粒子操作システム130へ、及び/又は外部ソースへ信号を送り得る又は伝送し得る。制御システム150は、粒子取り調べシステム110、流体システム120、粒子操作システム130、全体の粒子処理操作等を制御するための個別の又は分散した制御サブシステムを含み得る。これらの個別の制御サブシステムの各々は、任意の他の制御サブシステムと相互作用し得る(つまり、信号を受け取る及び/又は送る)。
【0045】
図4に概略的に示される例示的実施形態では、粒子取り調べシステム110は、粒子処理システム100の一部として提供され得るように、マルチチャネルフローソーター粒子処理システムとして示される。例示的なマルチチャネルフローソーター粒子処理システム及び構成要素又は同様のものは、例えば、米国特許公報第2012/0307244(シリアル第13/577,216;2012年8月3に出願された)、“Multiple Flow Channel Particle Analysis System,”において開示され、その内容は、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる。そのため、特定の態様によると、マイクロ流体チャネルアセンブリ124は、マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300として提供され得、粒子取り調べシステム110は、マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300内に形成された複数のマイクロ流体流路を通って同時に(又はほぼ同時に)流れる複数の粒子を取り調べるように構成され得る。一例として、粒子取り調べシステム110は、一以上の放射源及び一以上の検出器を用いる段階的な取り調べによって(ほぼ同時のやり方で)連続してマイクロ流体チャネルの取り調べ領域において粒子を取り調べ得る。
【0046】
レセプタクル又はホルダ(図示されない)が、マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300を取り外し可能に受け取るために提供され得る。さらに、粒子処理システム100は、粒子取り調べシステム110の様々な構成要素に対してマイクロ流体チャネルアセンブリ124、マイクロ流体アセンブリ300及び/又はカートリッジ220を位置付ける及び/又は整列するために一以上の段階を含み得る。段階は、照明システム112及び/又は検出システム116に対するマイクロ流体チャネルアセンブリ124マイクロ流体アセンブリ300及び/又はカートリッジ220の移動(並進及び/又は回転)を可能にし得る。追加的に、一以上の段階は、粒子操作システム130に対してマイクロ流体アセンブリ124、300、220を並べるために提供され得、粒子操作システム130は、マイクロ流体機器の上に個別に提供されるべきである。
【0047】
この特定の実施形態では、照明システム112は、取り調べ領域114の少なくとも一部を照らすための少なくとも一つの電磁放射又は光源221(例えば、レーザー源又は同様のもの)を含み得る。電磁放射源221は、電磁放射(例えば、光)227の一以上のビームを製造する及び形成するためにビーム整形光学系225(例えば、レンズ、鏡、フィルタ、又は同様のもの)に結合され得る及び/又は通信し得る。結合素子は、光ファイバ、導波路等を含み得る。さらに、一以上のビーム227は、複数のマイクロ流体流路を同時に取り調べるために用いられ得る。光源221は、一以上の単色光源及び/又は一以上の多色光源として提供され得る。一般的に、電磁放射源221は、特定の用途に関して適切な任意の適切な波長を有し得る。
【0048】
検出システム116は、取り調べ領域114内を通って流れる又は位置するサンプルと関連する信号を補足するために構成された複数の検出器システム226を含み得る。さらに、検出器システム226は、複数のマイクロ流体流路を通る流れを同時にモニタリングし得る。例示的実施形態では、検出器システム226は、サイズ、形、蛍光、光学散乱、同様に他の特性等の一以上の特定の特性に関して個別の粒子を検査するための光学検出器システムであり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、一以上の放射ビーム227は、マイクロ流体アセンブリ300において複数の粒子搬送マイクロチャネルに位置合わせされた空間フィルタ、例えば光学マスク(図示されない)を通り抜け得る。光学マスクは、複数のマイクロチャネルの取り調べ領域と関連した(例えば光学的に不透明な層において提供される)ピンホール又はスリットのアレイの形をとり得る。他の空間及び/又はスペクトルフィルタアレイは、粒子取り調べシステム110の照射及び/又は検出経路において提供され得る。例えば、(不透明領域及び/又は特定の光学帯域幅フィルタ領域を用いる)マスキングシステムは、放射及び/又は検出経路において多重化又は変調システムを実装するために提供され得る。追加的に、マスキング又は他の識別素子(例えば、バーコード)は、特定のチャネル、チップ、カートリッジ又は他の特徴を識別するために用いられ得る。
【0050】
ビーム227が粒子と交わるときに光学粒子分析、血球計算及び/又はソーティングにおいて生成され得る光学信号の例は、限定するものではないが、光学減衰、角度依存光学散乱(前方及び/又は側方散乱)及び蛍光を含む。光学減衰は、粒子が消す、吸収する又はブロックする電磁放射又は光の量を指す。角度依存光学散乱は、入射電磁照射ビームから離れる又はそれに向かう各角度で散乱される又は曲げられる電磁放射の割合を指す。蛍光電磁放射は、粒子又はセルと関連する分子によって吸収される及び/又は散乱され、異なる波長で再放射される電磁放射であり得る。いくつかの例では、蛍光検出は、本質的に蛍光性の分子を用いて実施され得る。
【0051】
例示的実施形態では、検出器システム226は、マイクロ流体流路における粒子による電磁照射ビーム227の交わりによって生成される信号を補足して観測するために一以上の検出器アセンブリを含み得る。非限定的例によって、検出器システム226は、減衰信号を補足するための一以上の減衰検出器アセンブリ231、散乱信号を補足するための一以上の散乱検出器アセンブリ233、及び、蛍光信号を補足するための一以上の蛍光検出器アセンブリ235を含み得る。好ましい実施形態では、検出器システム226は、少なくとも一つの減衰検出器アセンブリ231、少なくとも一つの散乱検出器アセンブリ233、及び、少なくとも一つの蛍光検出器アセンブリ235を含み得る。検出器アセンブリ231、233、235は、一以上の光電子倍増管、フォトダイオード、カメラ又は他の適切な装置を含み得る。
【0052】
特定の態様によると、取り調べシステム110は、粒子の取り調べと関連する信号を収集する、向かわせる、伝送する、成形する、集束する、フィルタリングする等のための一以上の光学系250を含み得る。光学系250は、取り調べ領域114を出る及び検出器アセンブリ231、233、235によって受け取られている信号を、収集する、成形する、集束する、伝送する等のための一以上のレンズ、フィルタ、鏡及び/又は他の光学素子を含み得る。非限定的例として、複数の光学系250は、マイクロレンズアレイ260として提供され得る。随意に、光ファイバ又は他の導波路型光学伝達素子232、234、236は、検出器アセンブリへ信号を向かわせるために提供され得る。
【0053】
特定の実施形態によると、単一の検出器又は検出器アセンブリは、複数の取り調べサイト(例えば、各マイクロ流体流路内の特定領域及び/又は複数のマイクロ流体流路を横切る取り調べ領域)と関連し得るので、複数の取り調べサイトの各々から(同時に、連続して、重複して、重複しないで等)信号を受け取り得る。検出器アセンブリは、検出器アセンブリから受け取られる信号を分析するために、及び/又は、粒子処理システム100の一以上の態様を制御するために、制御電子機器(図示されない)へ接続され得る。追加的に、マイクロ流体流路の取り調べサイト間の、検出器アセンブリ間の、励起システム間の、及び/又は、組み合わされた光学及び電子システムとの間のクロストークを最小化するために設計された信号処理システムが、提供され得る。このようなシステムの例は、US2014/0370536、“Assemblies and Methods for Reducing Optical Crosstalk in Particle Processing Systems”(2104年3月13日に出願された、シリアル第14/210,366)において見出され得る。
【0054】
前述のように、粒子処理システム100は、マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300を含み得る。
図5に示される実施形態では、マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300は、それを通して例えば粒子又はセルを含む流体サンプルを運ぶための複数のマイクロ流体流路330を含み得る。マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300は、複数の粒子取り調べサイト314を包含する粒子取り調べ領域114を含み、各粒子取り調べサイト314はマイクロ流体流路330の内の一つと関連する。この特定の実施形態では、マイクロ流体アセンブル300は、平行に配されたマイクロ流体流路330を含む24。
【0055】
一般的に、アセンブリ300は、アセンブリ300を通るサンプル流体及び粒子を輸送するために任意の適切な数のマイクロ流体流路330を含み得る。さらに、マイクロ流体流路330の平行配置以外の配置が提供され得る。特定の実施形態では、及び当業者によって理解され得るように、マルチチャネルマイクロ流体アセンブリ300は、マイクロ流体チップ、マイクロチャネル、キュベット、キャピラリー等の組み合わせとして提供され得る。
【0056】
特定の実施形態によると、及び
図5をさらに参照すると、マイクロ流体アセンブリ300は、マイクロ流体チップ320として構成され得、且つ、その中に配された又は形成された複数のチャネル330(例えば、マイクロチャネル)を有する基板321を含み得る。マイクロ流体チャネル330は、液体サンプルの上で任意の適切な操作を処理する、取り扱う、及び/又は実施するためにマイクロ流体チップ320を通して流体及び/又は粒子を輸送するように構成され得る。例えば、各マイクロチャネル330は、フローサイトメーターと関連し得る。随意に、各マイクロチャネル330は、マイクロソーターであり得る。
【0057】
チャネル330における粒子は、取り調べ領域114を通って流れつつ検出され得る。取り調べ領域114内で、個別の粒子は、サイズ、形、配向、蛍光、強度等の特定の特性に関して検査され得る又は測定され得る。取り調べ領域114は、マイクロ流体チップ320を形成する基板321の上面321a及び/又は下面321bを通して照らされ得る。
【0058】
複数のチャネル330は、マイクロ流体チップ320の幅Wにわたって均等に分布し得る(つまり、均等に間隔が置かれる)。特定の実施形態によると、チャネル330間の中心線−中心線間隔は、0.2mmから5.0mmまでの範囲であり得る。マイクロチャネル330間の中心線−中心線間隔は、4.0mm未満、3.0mm未満、又はさらに1.0mm未満であり得る。特定の実施形態によると、マイクロチャネル330間の中心線−中心線間隔は、2.5mmから3.0mmまでの範囲であり得る。有利には、マイクロ流体チップ320の設置面積を最小化するために、マイクロチャネル330間の中心線−中心線間隔は、2.0mm未満、1.5mm未満、又はさらに1.0mm未満であり得る。特定の実施形態によると、マイクロチャネル330間の中心線−中心線間隔は、0.7mmから1.2mmまでの範囲であり得る。
【0059】
図5に示される実施形態では、マイクロ流体チップ320は、24個のマイクロ流体流路330を含むが、一般的には、任意の数の流路330が提供され得る(例えば、非限定的な例として、2、4、8、24、36、72、144又は288個のチャネル)。いくつかの実施形態によると、マイクロ流体チップ320が24個のマイクロ流体流路330を有するとき、マイクロ流体チップ320は、70mmから80mmまでの範囲をとる全体幅Wを有し得る。
【0060】
基板321は、実質的に平坦な基板として提供され得る。つまり、その他の2つの寸法(例えば、長さL及び幅W)よりもかなり小さい第1の寸法(例えば、厚さt)を有する。さらに、マイクロ流体チップ320の基板321は、第1及び第2の主要な平坦な表面:上面321a及び下面321b、を含み得る。マイクロ流体チップ320の基板321は、一以上の基板層360によって形成され得る。
図5に示されるように、基板321は、下部基板層364へ上部基板層362を接合する又はそうでなければ取り付けることによって形成され得る。一般的には、任意の数の層が、全体において又は一部においてこれらの層を形成する任意の数の材料によってマイクロ流体チップ320を形成するために用いられ得る。材料は、それらの音響、光学及び電気伝送特性に関して、それらの機械的特性に関して、並びにそれらの製造及び成形性特性に関しても、選択され得る。
【0061】
マイクロ流体チップ320の基板層360(層362、363、364、366を含む)は、ガラス(例えば、UV溶融シリカ、石英、ボロフロート等)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PMMA、COC、熱可塑性エラストマー(TPE)(スチレンTPEを含む)、又は任意の他の適切な材料であり得る。いくつかの態様によると、基板層の少なくとも一部は、音響的に透過、つまり、音響的に非損失であり得る。優れた音響伝送特性を有する材料は、非限定的例によって、シリコン、ガラス、圧電基板等(比較的高い弾性率を有する材料)を含む。低い弾性率を備える材料は、一般的に、音響減衰特性を有する。音響信号の伝送を弱める又は減衰するための材料(つまり、音響的に損失の多い材料)は、空気、ゴム(天然及び合成)、並びに他のエラストマー材料、低密度ポリエチレン(LDPE)、PDMS等を含み得る。追加的に、特定の材料は、音響反射板、例えば、ダイヤモンド層、タングステン層、又は、シリコン若しくはガラスパターニングとして効率的に機能を果たし得る。他の態様によると、1つの材料層から他へ音響エネルギーを伝送する隣接する材料の音響インピーダンスを一致させることが望ましいことがある。このインピーダンス一致は、音響伝送損失を最小化するよりも重要であり得る。そのため、一般的には、任意の材料が、様々な基板層、スーパーストレート層、及び、音響エネルギーを伝送すること又は妨げることと関連する他の要素に関して用いられ得る。
【0062】
第1の基板層362の厚さは、およそ100μmからおよそ1000μmまでの範囲であり得る。特定の好ましい実施形態では、基板層362の厚さは、およそ200μmからおよそ600μmまでの範囲であり得る。例えば、基板層362の厚さは、およそ400μmであり得る。他の好ましい実施形態では、基板層362の厚さは、およそ500μmからおよそ900μmまでの範囲であり得る。非限定的な例として、基板層362の厚さは、およそ700μm又はおよそ750μmであり得る。特定の実施形態では、マイクロ流体チップ320は、2つの基板層362、364のみで形成され得る。いくつかの実施形態によると、基板層の少なくとも一部は、マイクロ流体チャネル330の粒子取り調べ領域314において特に、光学的に透過であり得る。一例として、一以上のマイクロレンズ又は他のオンチップ光学系は、マイクロ流体チップの基板の上に提供され得る。
【0063】
以下でより詳細に説明されるように、基板層360の内の一以上(又は基板層の一部)は、圧電材料(例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)、タンタル酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(LZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)若しくは他のフルオロポリマー等のポリマー、石英、又は他の材料)であり得る。
【0064】
さらに
図5を参照すると、マイクロ流体チップ320は、サンプル流体を受け取り且つ処理するように構成され得る。そのため、マイクロ流体チップ320は、その中でサンプル含有粒子(例えば、セル等)が処理のためにマイクロ流体チップ320内に入力される入力領域324を含み得る。サンプル流体は、マイクロ流体チップ320の上面321aを通って複数のサンプル入口ポート310を介して入力され得る。各マイクロ流体流路330は、サンプル流体を受け取るように構成された一以上のサンプル入口ポート310と流体連通していることがある。サンプル入口ポート310は、サンプル容器、マニホールド、チャネル、ウェル、試験管等(図示されない)と流体連通していることがある。
【0065】
マイクロ流体チップ320はまた、マイクロ流体チップ320から、処理されたサンプルを除去するための出力領域326を含み得る。出力領域326は、一以上のチャネル部分又は収集領域332、334から、処理されたサンプルを受け取るためのマイクロ流体流路の各々と関連する一以上のポートを含み得る。これらの領域332、334は、保持及び/又は廃棄容器、チャンバー、マニホールド、ウェル等(図示されない)と流体連通していることがある、又は、それらを含み得る。
【0066】
マイクロ流体流路330は、サンプル流体を流体力学的に集束するように、且つ、集束流体(例えば、シース流体)及びコアストリーム形成形状を用いることによってサンプル流体内で粒子を整列させるように構成され得る。コアストリーム形成形状は、層流を維持するために、及び、マイクロ流体チャネル内の集束流体の周囲のシースによってサンプル流体のコアストリームの流れを集束する、流線形にする、減速する及び/又は加速するために用いられ得る。そのため、特定の態様によると、粒子集束システム132(
図3を参照)は、流路330の一部として提供される流体力学的流れの特徴355及び集束流体(例えば、シース流体)の使用を含み得る。非限定的例として、いくつかの例示的流体力学的集束構成及び特徴は、例えば、米国特許公報第2014/0318645、“Hydrodynamic Focusing Apparatus and Methods”(2014年3月14日に出願されたシリアル第14/213,800)において開示され、その内容はその全体において参照によって本明細書に組み込まれる。そのため、随意に、及び
図5に示されるように、各マイクロ流体流路330は、集束流体を受け取るように構成された一以上の集束流体入口ポート350a、350bと流体連通していることがある。集束流体入口ポート350a、350bは、シース流体容器、チャンバー、マニホールド、チャネル、バッグ、ボトル、コンテナ等(図示されない)と流体連通していることがある。当業者に知られるように、慣性の集束等の他の集束法が、流体力学的集束技術に加えて、又はその代わりに用いられ得る。よりさらに、当業者に知られるように、サンプル流体は、任意のシース又は緩衝流体無しで供給され得、ソート操作はシースレスで実行され得る。
【0067】
上述の集束技術に加えて又は代わりに、特定の実施形態によると、複数のマイクロ流体流路330の各々は、チャネル330内で流れる粒子を取り込むための集束機構400を含み得る。集束機構400は、粒子集束システム132の一部として提供され得る(
図3を参照)。特定の態様によると、集束機構400は、表面音響波(SAW)アクチュエータ又は生成装置を含み得る。好ましい実施形態では、SAW集束アクチュエータは、嵌合変換器(IDT)を含み得る。他のSAW生成アクチュエータが用いられ得る。集束機構400を介する集束は、シース流体がない場合又は存在する場合に生じ得る。
【0068】
特定の態様によるとは、複数のマイクロ流体流路330の各々は、様々な選択されたチャネル部又は収集素子332、334内にチャネル330内を流れる粒子をソートする、偏向する、迂回させる及び/又は向けるためのスイッチ機構500を含み得る。スイッチ機構500は、粒子スイッチングシステム134の一部として提供され得る(
図3を参照)。特定の好ましい実施形態では、スイッチ機構500は、個別の、粒子ごとの基準の上で粒子をソートし得る。特定の態様によると、スイッチ機構500は、表面音響波(SAW)アクチュエータ又は生成装置を含み得る。好ましい実施形態では、SAWスイッチングアクチュエータは、嵌合変換器(IDT)を含み得る。他のSAW生成アクチュエータが用いられ得る。
【0069】
図6Aをここで参照すると、カートリッジ220が粒子処理プロセスのために用いられる流体接触表面を含む例示的な流体システム120が概略的に示される(二重線)。特定の実施形態によると、カートリッジ220に含まれる流体接触表面は、囲まれ、且つ外部環境から密封された(又は密封可能)であり得る。特定の実施形態によると、カートリッジ220は、粒子処理操作のために必要とされる流体接触表面のすべてを囲み得て、粒子処理操作の間に流体接触表面のすべてが外部環境から及び粒子処理システム100の残りから隔離され且つ流体的に密封されるようにする。好ましい実施形態では、完全に囲まれ、密封されたカートリッジ220は、粒子処理システム100の残りへ(
図6Aにおいて矢印によって示される)取り外し可能な係合に関して構成され得る。
【0070】
そのため、特定の実施形態によると、カートリッジ220は、一以上のサンプル流体チャンバー122及び一以上のシース流体チャンバー121を含み得る。これらのチャンバー121、122は、外部ポート121a、122aそれぞれを介してサンプル流体及びシース流体によって充填され得る。カートリッジ220はまた、一以上の粒子収集又は保持チャンバー126及び一以上の廃棄流体チャンバー127を含み得る。これらのチャンバー126、127からの流体は、外部ポート126a、127aそれぞれを介して抽出され得る。ポート121a、122a、126a、127aの内のいくつか又はすべては、粒子処理操作の間に密封され得る。特定の実施形態によると、カートリッジ220は、シース流体チャンバー124を含まないことがある。よりさらには、特定の実施形態によると、カートリッジ220は、前処理及び/又は後処理要素、構成要素、チャンバー及び/又はチャネルを含み得る。これらの前処理及び/又は後処理要素は、バルク選択構成要素(ビーズ前処理)、検定チャンバー、混合素子、試薬、溶解溶液及び/又は洗浄溶液貯蔵チャンバー、混合チャンバー、フィルター、温度制御素子、圧力制御素子、培養チャンバー、遺伝物質処理構成要素等を含み得る。
【0071】
カートリッジ220は、本開示の態様によると、カートリッジ220の流体チャンバーへ操作的に関与され且つ流体連通しているマイクロ流体チャネルアセンブリ124(例えば、マイクロ流体チップ)をさらに含み得る。前述のように、マイクロ流体チャネルアセンブリ124は、マイクロ流体チップ320として提供され得、一以上のマイクロ流体チャネル330を含み得る。(理解を容易にするために、
図6Aは、単一のマイクロ流体チャネル330のみを示す。)各マイクロ流体チャネル330は、粒子集束領域又はサイト331、粒子取り調べ領域又はサイト314、及び粒子スイッチング領域又はサイト333を含み得る。
【0072】
カートリッジ220は、粒子処理システム100の残りへ動作可能に関与され得る。例えば、一以上のマイクロ流体チャネル330の各粒子集束サイト331は、粒子処理システム100(つまり、機器)の残りの上に提供される集束機構ドライバ431によって動作可能に関与され得る粒子集束機構400を含み得る。一以上のマイクロ流体チャネル330の各粒子取り調べサイト314は、機器の上に提供される粒子取り調べシステム110によって動作可能に関与され得る。一以上のマイクロ流体チャネル330の各粒子スイッチングサイト333は、機器の上に提供されるスイッチング機構ドライバ533によって動作可能に関与され得るスイッチ機構500を含み得る。
【0073】
図6Aに示されるように、粒子集束サイト331は、粒子スイッチングサイト333の少なくとも部分的に上流である粒子取り調べサイト314の少なくとも部分的に上流である。任意の実施形態では、一以上の粒子取り調べサイト314aは、粒子スイッチングサイト333の下流で提供され得る。粒子取り調べサイト314aは、チャネル332(例えば、廃棄チャネル)、チャネル334(例えば、保持チャネル)のいずれか又は両方と関連し得る。これらの任意の取り調べサイト314aは、ソート性能をモニタリングするために、集束、検出及び/又はスイッチング最適化アルゴリズムの妥当性を確認するために、及び/又はソートアルゴリズムへフィードバックを提供するために用いられ得る。
図6Aでは、任意の取り調べサイト314a(破線)は、チャネル334と関連して示される。図を混雑させないために示されないが、粒子取り調べサイト314aは、粒子取り調べシステム110と(又は二次粒子取り調べシステムと)動作可能に関与され得、さらに、制御システム150と動作可能に関与され得る(
図3を参照)。
【0074】
特定の好ましい態様によると、集束機構400は、表面音響波(SAW)アクチュエータ410又は生成装置を含み得る。表面音響波発生器410は、一以上のIDTs412を含み得る。いくつかの実施形態によると、単一のIDT412が提供され得、集束サイト331でのマイクロ流体チャネル330の形状及び/又は表面は、定在干渉パターン又は定在表面音響波(SSAW)を生成するためにチャネル330において音響波を反射するように構成され得る。代わりに、IDTs412a、412bのペアは、集束サイト331でマイクロ流体チャネル330のいずれかの側面の上に1つ、提供され得る。IDTs412a、412bの各々は、マイクロ流体チャネル330の流体内で定在干渉パターンを生成するためにマージする対向表面音響波を生成し得る。例えば、IDTs412a、412bの各々は、等しく且つ反対の表面音響波を生成し得る。集束は、マイクロ流体チャネル330内の粒子の上で発せられる音響放射力を頼りにし得て、より高い圧力の領域からより低い圧力へ粒子を移動させる。
【0075】
特定の好ましい態様によると、スイッチ機構500は、表面音響波(SAW)アクチュエータ510又は生成装置を含み得る。表面音響波発生器510は、一以上のIDTs512を含み得る。いくつかの実施形態によると、単一のIDT512は、スイッチングサイト333でマイクロ流体チャネル330に隣接して、提供され得る。IDT512は、マイクロ流体チャネル330の流体において進行若しくは流動表面音響波(TSAW)又は圧力パルスを生成するように構成され得る。この圧力パルスは、マイクロ流体チャネル330の、選択された領域内に流体のスラグを送るために用いられ得る。代わりに、IDTs512a、512bのペアは、スイッチングサイト333でマイクロ流体チャネル330のいずれかの側面の上に1つ、提供され得る。IDTs512a、512bの各々は、流体において進行表面音響波又は圧力パルスを独立して生成するように構成され得る。そのため、IDT512aは、マイクロ流体チャネル330の第1の選択された領域内に流体の液滴又はスラグを送り得、IDT512bは、マイクロ流体チャネル330の第2の選択された領域内へ流体の液滴を送り得る。スイッチングは、その中で粒子が埋め込まれるバルク流体を作動させる又は移動されるためにSAW励起に関して用いられる高い周波数(〜140MHz)でのバルク流体の圧縮率を頼りにし得る。
【0076】
図6Bは、粒子処理システムを概略的に示し、(表面音響波(SAW)アクチュエータ410又は生成装置及び一以上のIDTs412を含む)集束機構400及び/又は(表面音響波(SAW)アクチュエータ510又は生成装置及び一以上のIDTs512を含む)スイッチング機構500は、(マイクロ流体チップ320の上に又はカートリッジ220の上に提供されているのとは対照的に)粒子処理機器100の上に提供される。マイクロ流体チップ320(及びまたカートリッジ220)は、粒子処理操作の間に粒子処理機器100へ並びに集束機構400及び/又はスイッチング機構500へ動作可能に関与され得、その後、粒子処理機器100から並びに集束機構400及び/又はスイッチング機構500から解放され取り除かれ得る。
【0077】
図7Aは、粒子スイッチングサイト333の付近のマイクロ流体流路330の一部の拡大された詳細と共に例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。マイクロ流体チップ320は、マイクロ流体チャネル330の各々と関連するスイッチ機構500と互いに平行に配された複数のマイクロ流体チャネル330と共に示される。マイクロ流体チャネル330及びスイッチ機構500の平行アレイは、例えば、一以上の基板層の上の一連の隣接するチャネル及び表面音響波アクチュエータ又は発生器510(例えば、IDTs512)をパターニングすることによって形成され得る。一般的に、任意の数のマイクロ流体チャネル330が提供され得、それらは平行に配される必要がない。さらに、
図7Aでは(及び続く他の図面では)、マイクロ流体チャネル330の入口ポート及び出口ポートは、これらの単純化された図面に描かれない。当業者は、入口及び出口ポートが、マイクロ流体チャネル330を通って流れることを可能にするために、マイクロ流体チップ320の任意の表面(上、底、端、側面)上で形成され得ることを認識するであろう。
【0078】
スイッチ機構500は、基板層360の内の一つの上に形成され、スイッチングサイト333に隣接して位置する。この特定の実施形態では、スイッチ機構はIDT512を含む。IDT512は、先細のIDTとして示され、しかしより一般的には、IDT512は、任意の適切な構成を取り得る(例えば、非先細の、集束した、チャープする、一方向の、双方向の等を含む)。IDT512は、基板層360の内の一つにおいて表面音響波を生成するように構成され、今度は、流路330のスイッチング領域333における流れにおいて圧力パルスを生成する。表面音響波は、IDTの嵌合指に対して横の方向において進行するので、この特定の実施形態では、表面音響波は、マイクロ流体チャネル330の流れ方向に対して一般的に横方向において進行する。スイッチング領域333において生成される圧力パルスはまた、マイクロ流体チャネル330の流れ方向に対して一般的に横方向において進行する。
【0079】
操作中、粒子は、矢印Aの方向においてマイクロ流体チャネル330を通って流れる。スイッチングイベントがない場合には、粒子はチャネル332内に流れる。スイッチングイベントの間に、IDT512は、基板層の内の一つにおいて表面音響波を生成する、周期的に変化する電気信号を受け取る。表面音響波がマイクロ流体チャネル330に達するとき、それは、チャネル330内で流体における実質的に横方向の圧力パルスを生成して、その圧力パルスによって作用される粒子を流れに対して横に且つ最終的にはチャネル334内に移動させる。
【0080】
圧力パルス減衰素子336は、基板層360の内の一つの上で形成され得、IDT512の反対のマイクロ流体流路330の側面の上でスイッチングサイト333に隣接して位置し得る。例示的なパルス減衰器は、例えば、2005年4月12日に発行された米国特許第6,877,528、及び2004年10月26日に発行された米国特許第6,808,075において開示され、その全体の内容がそれらの全体における参照によって本明細書に組み込まれる。圧力パルス減衰素子336は、圧力パルスに起因したマイクロ流体チャネル330内で流れる流体によって経験される摂動を最小化し得る。
【0081】
マイクロ流体チップ320は、複数の基板層360で形成され得る。
図7Aは、上部(又は第1の)基板層362及び下部(又は第2の)基板層364を示す。基板層362、364は、互いに結合され得、互いの上に堆積され得、互いにコモールドされ得、互いにオーバーモールドされ得る等である。基板層360の内の少なくともいくつかは、その中にマイクロ流体チャネルを形成するために任意の適切な材料で形成され得る。例えば、基板層362は、ガラス、金属、ポリマー等で形成され得、マイクロ流体チャネル330はその中でパターニングされ得る。追加的に、任意の基板層は、一以上のサブ層(図示されない)で形成され得る。基板層364は、基板層362内で形成されるチャネルの上に広がる実質的に平坦な層として形成され得、それによって、チャネル330の「蓋(lid)」又は壁を形成する(断面
図7Bを参照)。基板層364は、圧電材料で形成され得る。特定の実施形態によると、IDT512は、基板層364の上で形成され得る。IDT512が励起される又は作動されるとき、マイクロ流体チャネル330に向かって進行する表面波が生成され得る。表面音響波のエネルギーの一部は、チャネル330内で流体内に輸送される。随意に、IDT512は、少なくとも部分的にその中で形成されるマイクロ流体チャネル330を有する基板層364上で形成され得る(断面
図7Cを参照)。この実施形態は、マイクロ流体チャネル330における流れ内に形成された圧力パルス内に表面音響波のエネルギーを輸送するための効率的な機構を提供し得る。
【0082】
特定の実施形態によると、IDT512は、例えば、基板層362に面する圧電基板364の表面の上で、
図7B及び7Cに示されるように、圧電基板364の上に形成され得る又はパターニングされ得る。示されるように、IDT512は、マイクロ流体チャネル330内で流体と直接接触する圧電基板364の表面の上で形成され得る又はパターニングされ得る。基板層362の反対面は、IDT512に接触しないように且つ表面音響波の形成を妨げないように、IDT512の付近で切り取られ得る。さらに、いくつかの実施形態によると、チャネル330内の流体とIDTとの間のマイクロ流体チャネル330の
図7Bに示されるような壁厚(t
w)は、表面音響波がこの厚さを横切って進行するときに音響エネルギー損失の量を低下するために最小化され得る。
【0083】
他の実施形態によると且つ
図7Dの断面をここで参照すると、IDT512は、基板364、例えばシリコン基板の上に堆積された圧電薄膜365の上に形成され得る又はパターニングされ得る。例えば、5μm未満の厚さを有する酸化亜鉛、窒化アルミニウム等の圧電薄膜365は、より厚い従来の基板364の上に形成され得る。IDT512は、薄膜365の上に形成され得、IDT512の作動時に、薄膜365に沿って進行する表面音響波が生成され得る。2μm未満の厚さを有する薄膜が望ましいことがある。一例として、音響波長とおよそ等しい厚さを有する薄膜が、望ましいことがある。薄膜365が形成され得、表面音響波を関連するマイクロ流体チャネル330へ伝送するが、任意の他のチャネルには伝送しないことがある。そのため、
図7Dに示されるように、薄膜365は、マイクロ流体チャネル330の幅で実質的に止まりそこを超えて伸びないことがある。
【0084】
図7A〜7Dにおいて開示される実施形態の各々において、その上でIDT512が形成される圧電材料は、マイクロ流体チャネル330内で流体と直接接触し得る。
【0085】
図8Aは、スイッチ機構500の付近のマイクロ流体流路330の一部の拡大された詳細と共に例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。囲まれたチャネル330は、2つの基板層362、363内で形成される。
図8Bの断面において示されるように、チャネル330は、単一の基板層362内に形成され得、第2の薄い基板層363は、囲まれたチャネル330を形成するためにカバー層として用いられ得る。代わりに、
図8Cの断面に示されるように、チャネルの特徴は、基板層362、363の両方内にパターニングされ得、その後位置合わせされ結合されて、囲まれたチャネル330を形成する。
図8B及び8Cの両方に示されるように、IDT512は、別個の圧電基板364上にパターニングされ得る又は形成され得、囲まれたチャネル330のカバー層363へ一次的に又は恒久的に結合され得る。
図8Bでは、IDT512の付近で、基板層363の反対面は、IDT512に接触しないように且つ表面音響波の形成を妨げないように、切り取られ得る。代わりに、
図8Cに示されるように、IDT512は、基板363内に表面音響波を伝送するために、基板層363の反対面と直接接触し得る。この実施形態では、基板363は、シリコンガラス等の音響的に透過性の材料であり得る。2μm未満又はさらに1μm未満の厚さを有する基板363が望ましいことがある。一例として、音響波長とおよそ等しい厚さを有する基板363が、望ましいことがある。さらに、IDT512は、基板363の表面に対してプレスされ得る又は予め組み込まれていることがある。
【0086】
代わりに、
図8Dに示されるように、IDT512は、カップリング剤367を通してチャネル330のカバー基板363と間接的に接触し得る圧電基板364の上にパターニングされ得る。カップリング剤367は、基板362、364の対向表面間の共通領域全体の上に、又は、基板362、364の対向表面の限定された領域の上にのみ、伸び得る(
図8Dに示されるように)。カップリング剤367は、中間液体、ゲル、固体ポリマー、エポキシ又は他の音響的に透過性の層として形成され得る。
【0087】
図8A〜8Dにおいて開示される実施形態の各々において、その上でIDT512が形成される圧電材料364は、マイクロ流体チャネル330内で流体と間接接触する。比較的薄い基板層363又はカップリング剤367のいずれかは、その上にIDT512が形成される圧電材料364とチャネル330内の流体との間に介在する。
【0088】
単一のマイクロ流体チップ320が複数のマイクロ流体チャネル330を含むとき、各チャネル300はスイッチング機構500と関連し、隣接チャネル間のクロストークが問題になることがある。特定の実施形態によると、チャネル330間の表面音響波のクロストークを避けるために、チャネルは、隣接するチャネルに影響を与える又は到達する前に任意の音響波が消散するように、十分に離れて間隔が置かれ得る。
【0089】
他の実施形態によると、特定の減衰素子530は、チャネル330間のクロストークを緩和する又は要素とするために用いられ得る。例えば、
図9Aは、スイッチ機構500の付近の3つのマイクロ流体流路330を備える例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。
図9Aは、チャネル330間のクロストークを減少させつつ、マイクロ流体チャネル330のさらにしっかりパックされたアレイを達成するように構成された音響減衰素子530a又は音響アイソレーターの第1の実施形態をさらに示す。具体的には、空気ギャップ又はホール530aは、(パウダーブラスト、エッチング、ドリル加工、レーザーパターニング、スタンピング、成形等によって)基板360のすべての層を通って形成され得る。
【0090】
図9Bは、音響アイソレーター530bの第2の実施形態によるスイッチ機構500の付近の3つのマイクロ流体流路330を備える他の一つの例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。具体的には、ポケット又は空洞530bは、隣接するチャネルからの振動の伝送を減少する又は除外するために一以上のチャネル含有基板層362、364又はカバー層において形成され得る。ポケット530bはまた、同じ目的のために圧電基板において形成され得る。ポケット530bは、空気又は音響的に損失の多い材料を含み得る。流体圧力は、それが(大気より上の)高圧で又は(大気より下の、例えば、ほぼ真空)低圧で注入されるように、修正され得る。特定の実施形態はまた、ポケット530b内に流体を注入するための二次チャネルを含み得る。
【0091】
図10は、スイッチ機構500の付近の3つの部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示し、チャネル330間のクロストークを最小化する又は除外するための第3の実施形態を示す。アクチュエータブロック370は、各々が単一のIDT512をその上に形成している空間的に分離された基板372のアレイから成って組み立てられ得る。空間的に分離された基板は、圧電材料であり得る。アクチュエータブロックアセンブリ370は、マイクロ流体チップ320へのIDT及び/又は圧電基板372の直接接触を通して、又は、PDMS若しくはオイル層等の中間カップリング材料を通して、密封されたマイクロ流体チップ320へ表面音響波を伝送し得る。アクチュエータブロックアセンブリ370は、マイクロ流体チップ320へ取り外し可能に動作可能に関与され得る、又はそれに結合され得る。マイクロ流体チップ320は、使い捨てであり得る。そのため、特定の実施形態によると、単一の再利用可能なアクチュエータブロックアセンブリ370は、複数の使い捨てチップ320へ動作可能に関与され得、その後そこから解放され得る。例えば、単一のアクチュエータブロックアセンブリ370は、複数の使い捨てチップ320において粒子を連続して偏向するために用いられ得る。
【0092】
図11Aは、スイッチ機構500の付近の部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示し、スイッチ機構500の他の一つの態様を示す。圧電基板の上に堆積されるIDTによって生成される表面音響波の周波数は、(音の速度/(2*IDT指間隔))に比例する。この理由のため、IDTsは、表面音響波が生成される狭い位置又は開口部を生成するために先細にされ得る(IDT間隔を有する位置が駆動信号周波数に対応する)。そのため、IDTが第1の周期的に変化する周波数、f
1で駆動されるならば、IDTの第1の部分のみが表面音響波S
1を生成する。IDTが第2の周期的に変化する周波数、f
2で駆動されるとき、IDTの第2の部分のみが表面音響波S
2を生成する。IDTが第3の周期的に変化する周波数、f
3で駆動されるとき、IDTの第3の部分のみが表面音響波S
3を生成する。
【0093】
粒子がIDTの長さを横切って進行するとき、駆動周波数は、粒子と共に「進行する」長手方向の位置又はステーションで表面音響波が連続して生成されるように、調整され得る。
図11Aに示されるように、粒子が時間t
1でチャネル330を下って進行するとき、粒子は、表面音響波S
1によって作用され、偏向される又はIDT512から離れて押し出される。粒子がチャネル330を下って進行し続けるとき、時間t
2で、粒子は、表面音響波S
2によって作用され、再び偏向される又はIDT512から離れて押し出される。粒子がチャネル330をよりさらに下って進行するとき、時間t
3で、粒子は、表面音響波S
3によって作用され、偏向される又はIDT512からよりさらに離れて押し出される。この方法では、粒子は、チャネル334内へ段階又はステップにおいて偏向され得る。駆動周波数は、予想される平均速度に基づいて所定の形状又は特徴を有し得る、又は、それは、測定された粒子速度に基づいて粒子ごとの基準の上で合わせられ得る又は調整され得る。
【0094】
随意に、
図11Aに示されるように単一の先細のIDT512を用いるよりも、
図11Bに示されるように一連の個別のIDTs512’、512”、512’”が、チャネル330の長さに沿って配され得て、一連の比較的少量において単一の粒子への目標とされる偏向を提供する。これらの個別のIDTsは、先細にされる又は非先細にされる、集束される、チャープされる、調節可能である等であり得、且つ、同一の表面音響波又は、代わりに、異なる音響波長を有する波を生成するように構成され得る。IDTs512’、512”、512’”の各々は、同じ又は異なる音響開口部幅、つまり、生成される表面音響波の幅、を有する表面音響波を生成し得る。さらに、一連のIDTsは、平行経路において進行する表面音響波を生成する必要がない。例えば、IDT512’は、傾けられることがあり、その生成された表面音響波S
1は、チャネル330のスイッチング領域においてIDT512”の生成された表面音響波S
2と交わるようになる。任意の数のIDTsは、直列に提供され得る。一連のIDTs512’、512”、512’”は、直列に若しくは並列に電気的につながれ得る、又は、駆動信号によって独立して供給され得る。
【0095】
図11Aは、音響アイソレーター530cの他の一つの実施形態をさらに示す。この実施形態では、圧力パルス減衰器336は、音響アイソレーター530cとしての役割も果たし得る。さらに、一以上の圧力パルス減衰器336又は音響アイソレーター530cが提供され得る。
図11Bは、特定の実施形態によると、圧力パルス減衰器が除外され得ることを示す。
【0096】
図12は、スイッチとして機能するそれらのIDTs512の付近の2つの部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。
図12は、隣接するチャネル330間のクロストークを緩和するための他の一つの構成を示す。具体的には、IDTs512は、マイクロ流体チャネル330の縦軸に対して角度をつけられ得る、又は回転され得る。これらの角度をつけられたIDTsによって生成される表面音響波は、隣接するチャネルに対して垂直に突き出ない。よりさらに、この特定の構成において示されるように、IDTsは、位置合わせされた表面音響波を生成し得、且つ、切り替えられる粒子を受け取るチャネル334へ下って進行し得る。IDT励起周波数プロファイルはまた、表面音響波が粒子と共に進行する位置で生成され得るように、調整され得る。圧力パルス減衰器336は、上部チャネル330によって示されるように各スイッチ機構が提供され得る。代わりに、表面音響波によって生成される圧力パルスがチャネル334の長さを下るように向けられ得ると仮定すると、圧力パルス減衰器は、下部チャネル330によって示されるように供給されないことがある。
【0097】
図13Aは、スイッチ機構500の付近の3つの部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示し、スイッチ機構500の付近のマイクロ流体流路330の一部の拡大された詳細もまた示される。この実施形態では、マイクロ流体チャネル330はいまだに互いに平行に配列されるが、個別のチャネル330の構成又はレイアウトは、
図7AのIDT方向に対して実質的に垂直なIDT配向を収容するように修正され得る。
図13Aに示されるように、各チャネル330は、スイッチング領域においてチャネル330内の流体が(隣接するチャネルに対して平行に流れるのと対照的に)隣接するチャネル330へ向かって(又はそこから離れて)一般的に流れるように、屈曲部337が提供され得る。これは、IDTs512が、屈曲部337に並行して且つ平行に位置すること、及び、ある方向におけるそれらの生成された表面音響波(S)を隣接するチャネル330に対して一般的に平行に向けることを可能にする。言い換えると、マイクロ流体チャネル330の一以上の部分の流れ方向、特にスイッチング領域における流れ方向は、IDTs512によって生成されるSAWs(S)が、隣接するチャネル330に向かって向けられないように、配向され得る。
図13Aでは、圧力パルス減衰要素336は、IDT512の反対側に位置する。
図13Bでは、選択された切り替えられた粒子を受け取るためのチャネル334は、IDT512の反対側に位置する。
【0098】
図14Aは、スイッチ機構500の付近の3つの部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。この実施形態は、単一のIDT512がいくつかのチャネル330にわたって広がり且つ同時に及び/又は連続して表面音響波S
1、S
2、S
3を生成してチャネル330内を流れる粒子を偏向するように構成され得ることを除いて、
図13Aのものと同様である。
図11の実施形態と同様に、圧電基板の上に堆積されるIDT512によって生成される表面音響波S
1、S
2、S
3等の周波数f
1、f
2、f
3等は(音の速度/(2*IDT間隔))に比例する。この理由のため、IDTsは、表面音響波が生成される比較的狭い位置(又は生成窓)を生成するために先細にされ得る。そのため、単一の先細のIDT512は、スイッチングのために選択される特定のチャネル330の付近のIDT512の指間隔と関連する周波数f
1、f
2、f
3等で駆動され得る。チャネル330は、各チャネル330が、固有のIDT間隔に対応する固有の周波数f
1、f
2、f
3等によって作動されるように、IDT512に対して構成され得る。したがって、各スイッチはその固有の駆動周波数によって個別にアドレス可能である。同時作動が、複数のチャネルにわたって必要とされる場合、駆動信号は、それに関して作動が必要とされる各チャネルに対応する周波数によって正弦波を合計することによって生成される波であり得る。連続作動は、経時的に駆動信号周波数を変えることによって達成され得る。
【0099】
図14Aにおけるように、
図14Bは、特定のチャネル330と関連するIDT512の指間隔に対応する周波数f
1、f
2、f
3等で各々が駆動される複数の表面音響波S
1、S
2、S
3を生成するための単一のIDT512の使用を示す。
図14Aでは、圧力パルス減衰要素336は、IDT512の反対側に配される。
図14Bでは、選択された切り替えられた粒子を受け取るためのチャネル334は、IDT512の反対側に位置する。
【0100】
図15は、スイッチ機構500の付近の3つの部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。この実施形態では、分離素子530が、一つのチャネルのIDT512と、隣接するチャネル330と、の間に分散素子532を配することによって提供される。分散素子532は、分散材料を含み得、且つ、個別のIDT512によって生成する任意の表面音響波によって影響される領域を制限するためにマイクロ流体チップ320の表面へ恒久的に又は一次的に結合され得る。このような分散素子532は、単一のソートジャンクションへ、同様に、平行なソーターのアレイへ適用され得る。
【0101】
図16Aは、スイッチ機構500の付近の部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。二次能動素子、例えば圧電アクチュエータ又は他の一つのIDT516は、作動IDT512からチャネルを横切って位置付けられ得る。二次能動素子516は、作動IDT512によって生成される任意の表面音響波によって影響される領域を制限する「ノイズキャンセリング」振動(又は摂動緩和圧力波)を生成するために用いられ得る。
【0102】
一実施形態によると、二次能動素子516は、マイクロ流体流路330内で層流を維持する(若しくは乱流を減少する)、又は、マイクロ流体流路330の長さに沿って進行する圧力波を緩和するために用いられ得る。随意に、二次能動素子516は、作動IDT512が粒子の集束された流れから粒子をシフトした後の時間でチャネル330に到達するノイズキャンセリング又は摂動緩和圧力波を生成するように制御され得る。IDT516によって生成される表面音響波の周波数及び/又は振幅は、IDT512によって生成される表面音響波の周波数及び/又は振幅と同じである必要はない。さらに、表面音響波の幅(つまり、音響開口部幅)及び/又はIDT516のマイクロ流体流路330内の流れによる表面音響波の交わりの領域は、IDT512によって生成される表面音響波と同じ幅/領域で一致する必要はない。例えば、IDT516の表面音響波の開口部幅は、IDT512のそれよりも狭い又は広くてよい。他の一つの非限定的な例として、IDT516の表面音響波は、そこにIDT512の表面音響波が向けられるマイクロ流体流路330の一部の少なくとも部分的に上部であるマイクロ流体流路330の一部に向けられ得る。ノイズキャンセリング素子ペアは、単一のソートジャンクションへ、同様に、平行なソーターのアレイへ適用され得る。IDT516は、先細の、非先細の、集束された、チャープされた、調節可能等であり得る。
【0103】
図16Bは、スイッチ機構500の付近の部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。二次能動素子、例えばIDT512bは、作動IDT512aからチャネルを横切って位置付けられ得る。IDT512bは、ノイズキャンセリング素子として、摂動緩和素子として、及び/又は作動素子として機能し得る。そのため、スイッチングイベントがない場合には、粒子はチャネル332内に流れる。第1のスイッチングイベントの間、IDT512aは、チャネル330内で流体における圧力パルスを生成し得て、その圧力パルスによって作用される粒子を流れに対して横に且つ最終的にはチャネル334a内に移動させる。第2のスイッチングイベントの間、IDT512bは、チャネル330内で流体における圧力パルスを生成し得て、その圧力パルスによって作用される粒子を流れに対して横に且つ最終的にはチャネル334b内に移動させる。随意に、IDT512aが作動素子として機能しているとき、IDT512bは、
図16Aに関して上記で開示されるように「ノイズキャンセリング」振動(又は摂動緩和圧力波)を生成するために用いられ得る(逆の場合も同じ)。
【0104】
図16Cは、スイッチ機構500の付近の部分的なマイクロ流体流路330を示す例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。IDTs562a、562bのペアは、流路330のいずれかの側面の上に位置付けられ得る。この実施形態は、スイッチング領域の下流のチャネル内に粒子の分離された流れを向けるために定在表面音響波(SSAW)又は進行定在表面音響波(TSSAW)を用いる。IDTs562a、562bの各々は、マイクロ流体チャネル330の流体内で定在干渉パターンを生成するためにマージする対向表面音響波を生成し得る。例えば、IDTs562a、562bの各々は、等しく且つ反対の表面音響波を生成し得る。スイッチングは、マイクロ流体チャネル330内の粒子の上で発せられる音響放射力を頼りにし得て、より高い圧力の領域からより低い圧力へ粒子を移動させる。具体的には、IDTs562a、562bのペアは、チャネル内で複数の圧力ノード及びアンチノードを形成するSSAWを生成し得、それによって、複数のノード又はアンチノードに位置合わせされた複数の粒子流内へチャネルの長さに沿って粒子が流れるときに粒子を分ける。粒子は、それらの体積、密度、圧縮率又は他の音響コントラスト因子に基づいて分離され得る。粒子分離段階の下流では、粒子の様々な分離された流れが、流れに位置合わせされた複数の収集出口332、334a、334b内へ流れ得る。いくつかの代替実施形態によると、単一のIDT562が各マイクロ流体チャネル330に関して提供され得、スイッチング領域におけるマイクロ流体チャネル330の形状及び/又は表面は、定在干渉パターン(随意に、進行定在表面音響波(TSSAW)を含む)を生成するためにチャネル330において音響波を反射するように構成され得る。
【0105】
図17Aは、音響アイソレーター530の実施形態を示す、マイクロ流体流路330を備える例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。
図17Bは、音響アイソレーター530の他の一つの実施形態を示す、マイクロ流体流路330を備える例示的なマイクロ流体チップ320の一部を概略的に示す。
図17A及び17Bの両方において、音響アイソレーター530は、反射素子又は音響反射板534としての役割を果たし得る。表面音響波はまた、スイッチング領域500の上流に一般的に位置する集束領域400でチャネル330の中心線に沿って粒子を集束するために用いられ得る。IDT512は、チャネル330の一側面上に表面音響波を生成するために用いられ得る一方で、チャネル330の他の側面上の反射素子534a位置は、反対方向にこの波を向けるために用いられ得る。
図17Bでは、代替構成において、反対の反射素子534bが、チャネル330の壁内に直接組み込まれ得る。いくつかの実施形態によると、生成されたSAW及び反射されたSAWは、マイクロ流体チャネル330内で互いに干渉し得、定在圧力ノード(又はアンチノード)が流体において形成されるようになる。粒子は、これらのノードに沿って集合し得る(つまり、集束され得る)。集束された粒子流は、チャネル330中心線に沿って平衡位置で維持され得る。対向するIDTs512及び反射素子534の同様の構成は、粒子の3次元集束を生成するために複数の軸に沿って利用され得る。
図17A及び17Bは先細のIDT512を示すが、他の適切なIDT構成、例えば、非先細の、集束された、チャープされた、一方向の、階段状の、チェーンの等が用いられ得る。
【0106】
特定の態様によると、
図18Aから24を一般的に参照すると、スイッチ機構500及びスイッチ機構500へ動作可能に関与され得る個別に形成されたマイクロ流体チップ320を提供することが望ましいことがある。スイッチ機構500は、(これらの図面において概略的に示される)粒子処理機器620の一部として提供され得る。1つのオプションとして、マイクロ流体チップ320は、機器620の上に提供されたスイッチ機構500によって取り外し可能に動作可能に関与され得る。マイクロ流体チップ320は、機器620内に挿入され得る、又はそうでなければスイッチ機構500へ動作可能に関与され得、粒子処理操作が実施され得、その後、マイクロ流体チップ320は、機器620から除去され得る。用いられたマイクロ流体チップ320が処分され得、新しいマイクロ流体チップ320が、機器620内に挿入され得る、又はそうでなければ後続の粒子処理操作のためにスイッチ機構500へ動作可能に関与され得る。これらの図面では、上面図(a)は、チャネル330内に不透明な流体を備え、且つ、透明なマイクロ流体チップ320を通して見える表面音響波発生器アセンブリ505の特定の特徴を備える透明な要素としてマイクロ流体チップ320を示す。これらの図面において提供される側面図(b)は一般的に、上面図(a)のセクションB−Bを通ってとられる。
【0107】
特定の実施形態によると、粒子処理システムは、表面音響波を受け取るように且つ表面音響波によって生成された圧力パルスを用いて、選択された分岐チャネル内へと選択された粒子を向ける又は偏向するように構成された一以上のチャネル330を有するマイクロ流体チップ320を含み得る一方で、表面波発生器アセンブリ505をチップ外に提供する。言い換えると、スイッチ機構500は、マイクロ流体チップ320から別々に形成され得る且つ機器620と関連し得且つ機器620の一部として提供され得る表面音響波発生器アセンブリ505を含み得る。1つのオプションとして、マイクロ流体チップ320は、機器620の上の表面音響波発生器アセンブリ505によって取り外し可能に動作可能に関与され得る。マイクロ流体チップ320は、粒子処理操作の後で除去され且つ処分され得、他の一つのマイクロ流体チップ320は、機器620内に挿入され得る、又はそうでなければ後続の粒子処理操作のために表面音響波発生器アセンブリ505へ動作可能に関与され得る。粒子処理操作の間、マイクロ流体チップ320は、音響エネルギーの伝送を促進するために音響波発生器アセンブリ505に対してクランプされ得る又は弾性的に予め組み込まれ得る。
【0108】
図18Aは、機器620の上の表面音響波発生器アセンブリ505によって取り外し可能に動作可能に関与され得るマイクロ流体チップ320の実施形態を概略的に示す。表面音響波発生器アセンブリ505は、一以上の表面音響波発生器510を含む。この特定の実施形態では、表面音響波発生器アセンブリ505は、複数の周波数f
1、f
2、f
3、f
4等で表面音響波を生成するための単一の先細のIDT512を含み、所定の周波数は所定のマイクロ流体チャネル330と関連する。IDT512は、機器620の表面音響波発生器アセンブリ505の一部として含まれる圧電材料層610の表面(A)の上に形成される。この特定の実施形態では、IDT512は、その各々が、関連したマイクロ流体チャネル330に向かって第1の音響的に透過な(つまり、音響的に損失の低い)材料バンド612に沿って進行する複数の表面音響波(S)を選択的に生成し得る。そのため、IDT512は、第1の周波数f
1で第1の表面音響波(S)を選択的に生成するために活性化され得、この波は第1のバンド612と位置合わせされ且つ第1のバンド612に沿って進行して最終的に第1のマイクロ流体チャネルのスイッチング領域の近くに到達する。同様に、IDT512は、マイクロ流体チャネルの各々のスイッチング領域と関連するバンド612に沿って進行する選択周波数fで任意の数の表面音響波(S)を選択的に生成するために活性化され得る。製造を簡素化するために、同じ製造ステップの間に同じ材料から圧電材料層610及び音響的に透過な材料バンド612を形成することが望ましいことがある。
【0109】
マイクロ流体粒子ソーターに関するマルチチャネル構成では、他の表面音響波発生器510とは独立して表面音響波アクチュエータ又は発生器510の各々を動作することが可能であることが望ましいことがある。これは、表面音響波発生器510を互いに音響的に分離することによって行われ得る。例えば、各音響的に透過な材料バンド612は、他の音響的に透過な材料バンド612から(空気ギャップ又は音響的に損失の多い材料によって満たされるギャップを介して)その長さの少なくとも一部に沿って隔離され得る。例えば、空間又はギャップ615は、隣接するペアの間に且つバンド612の隣接するペアに対して平行に提供され得る。ギャップ615は、およそ圧電材料層の厚さの深さを有し得て、バンド612の間に圧電材料が存在しないようにする。特定の実施形態では、ギャップ615は、およそ1つの(1)音響波長の深さであり得る。複数の音響的に透過な経路又はバンド612の互いのこの音響的な分離は、表面音響波間の及びチャネル330間のクロストークを減少又は除外し得る。随意に、非干渉周波数で表面音響波発生器510を操作することによって表面音響波間の及びチャネル330間のクロストークを減少又は除外することが望ましいことがある。そのため、信号制御及び/又は処理アルゴリズムは、クロストークを減少又は除外するために用いられ得る。Sharpeへの米国特許公報第2014/0370536(2014年3月13日に出願されたUSシリアル第14/210,366)は、その全体において参照によって本明細書に組み込まれ、複数のマイクロ流体チャネルから光学的クロストークを制御する及び/又は減少するための複数の方法を開示し、その教示は、複数のマイクロ流体チャネルからの音響的なクロストークを制御する及び/又は減少することへ適用され得る。
【0110】
図18Aに示されるように、個別のマイクロ流体チャネル330のスイッチング領域の付近において、各音響的に透過な材料バンド612は、マイクロ流体チップ320の上に提供されるスーパーストレート366内へ表面音響波(S)の音響エネルギーを向けるために音響エネルギー結合素子367に接触し得る。
図18A、上面図(a)、に最も良く示されるように、マイクロ流体チャネル330のスイッチング領域の各々は、各々のチャネル330のスイッチング領域が音響的に透過な材料バンド612及び結合素子367に位置合わせされるように、縦方向にオフセットされ得る又はずらして配置され得る。
【0111】
様々な結合素子367及び材料は、表面音響波発生器アセンブリ505をマイクロ流体チップ320へ結合するために、及び音響エネルギーを効率的に伝送するために用いられ得る。例えば、エポキシによって提供され得るような薄く硬い結合線は、効率的に且つ多くの場合において、互いの層を恒久的に結合し得る。しかしながら、表面音響波発生器アセンブリ505をマイクロ流体チップ320へ取り外し可能に結合するために、非恒久的な結合が用いられなくてはならない。特定の実施形態によると、取り外し可能な結合は、高い適合性を提供する流体型の結合素子を含み得る。そのため、結合素子367、又は、結合素子の一部は、IDT/圧電材料間(つまり、表面音響波生成アセンブリ505)とマイクロ流体チップ320との間の小さなズレを考慮するために変形可能(弾性、準弾性、粘弾性等)であり得る。変形可能な結合素子367は、水、水系ゲル、グリセロール、油等を含み得る。非圧縮性流体が用いられ得る。流体型の結合を保持するために、ブリスター型パッケージング(例えば、セロハン等の比較的硬くて非常に薄い膜の材料を用いる)、高度にコンフォーマブルであり、エラストマー型の薄い膜の膜バルーン/バブル型パッケージング、及びそれらの組み合わせが採用され得る。非限定的な例として、ブリスターパックは、ウレタン系等の音響的に透過な膜を含み得、フレキシブルで薄い(つまり、数ミル(mils)以下の厚さ)、ポリマー材料が、音響的に透過な流体媒体(つまり、水、水系ゲル等)を囲み得る。(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるSliwaへの米国特許第8,102,734を参照。)他の一つの非限定的例として、PDMSは、結合条件及び/又は結合された材料の表面処理に応じて、一時的な又は恒久的な結合素子としてのいずれかの役割を果たし得る。
【0112】
他の一つの実施形態によると、圧縮又は摩擦結合は、優れた表面−表面結合が達成され得るように合わせ面が十分に相補的である場合に可能であり得る。非常に滑らかな表面が提供され得る、及び/又は、高圧縮結合荷重が適用され得る。表面音響波発生器アセンブリ505によるマイクロ流体チップ320の係合の間の圧縮性又はクランピング荷重の適用に起因して、他の表面に対する1つの(比較的柔らかい)表面のスメアリングは、比較的柔らかい表面を他に対して適合するために、それによって、表面−表面結合及び音響透過率を増加させるために用いられ得る。
【0113】
特定の実施形態によると、結合素子367は、取り外し可能な又は可逆性のエポキシ結合線として提供され得る。例えば、比較的低温(つまり、およそ200 °C未満)で融解する又は軟化するエポキシ接着剤は、マイクロ流体チップ320を表面音響波発生器アセンブリ505へ一次的に結合するために用いられ得る。1つのこのような既知の「可逆性の」エポキシは、Aubertへの米国特許第6,825,315において開示され、その内容は参照によって本明細書に完全に組み込まれる。この取り外し可能なエポキシは、比較的低い高められた温度(厳密な処方に応じておよそ90 °Cから130 °C)で液化(つまり、融解)し、その結合能力を失い、その後、温度が低下したとき(およそ20〜25 °Cから60 °C)に再結合する。マイクロ流体チップ320と表面音響波発生器アセンブリ505との間の一時的な固化した又は硬質ポリマー界面を提供するための他の一つの可逆性のポリマー材料は、Mayoへの米国特許第8,952,094において開示され、その内容は参照によって本明細書に完全に組み込まれる。この固体/液体可逆性のポリマー材料は、約10秒未満の時間期間内で可逆性の付加環化反応によって液体状態から固体状態へ遷移する。そのため、一時的なエポキシ結合線又は一次的な硬質ポリマー界面を提供することは、温度変化の事項になる。特定の実施形態によると、表面音響波の波長のオーダー上である(又はさらに小さい)厚さを有する結合線又は他の界面を提供することが望ましいことがある。随意に、2.0μm未満、1.5μm未満、1.0μm未満、又はさらに0.50μm未満の結合線厚さを有することが有利であり得る。局所的加熱素子(図示されない)は、表面音響波発生器アセンブリ505が又はそうでなければ機器620上に提供され得、このような局所的加熱素子は、表面音響波発生器アセンブリ505へのマイクロ流体チップ320の作動係合を促進するために用いられ得る。
【0114】
結合素子367は、表面音響波発生器アセンブリ505によって供給され得る及び/又はそれに恒久的に結合され得る(例えば、音響的に透過な材料バンド612)、マイクロ流体チップ320(例えば、スーパーストレート366)によって供給され得る及び/又はそれに恒久的に結合され得る、又は、スタンドアロン素子として若しくは素子のスタンドアロンアセンブリとして供給され得る。マイクロ流体チップ320によって供給される結合素子367を有することが好ましいことがある。
【0115】
スーパーストレート366は、マイクロ流体チャネル330内で流体内へ音響エネルギーを向けるための比較的高度な音響的に透過な材料(つまり、音響的に損失の少ない材料(圧電物質、シリコン、ガラス等))の層として提供され得る。
図18Aの側面図(b)において最もよく示されるように、この音響伝送層366は、マイクロ流体チャネル330の少なくとも一つの側面を形成し得る(つまり、スーパーストレート366は、チャネル内の流体と直接接触していることがある)。スーパーストレート366は、(再び、音響損失を最小にするために)比較的薄くてよい。特に、スーパーストレート366は、各チャネル330のスイッチング領域の局所的な近傍において比較的薄いことがある。例えば、
図18A、側面図(b)、に示されるように、スーパーストレート366は、結合素子367aの付近において局所的に薄くされる。2μm未満又はさらに1μm未満の厚さを有するスーパーストレート366が望ましいことがある。一例として、音響波長とおよそ等しい厚さを有するスーパーストレート366が、望ましいことがある。特定の用途に関して、音響波長のおよそ半分のスーパーストレート厚さを有することは、少なくとも局所的に、有利であり得る。これは、音響エネルギー損失を減少させ得る、スーパーストレートにおける不要な音響波モードの形成を防止し得る、及び/又は、スイッチング操作の効率性を増加させ得る。
【0116】
図13A、13B及び
図14A、14Bの文脈において上記で議論したように、単一のIDTは、複数のIDTsによって置換され得る−各チャネルに関して1つ、複数のチャネルに関して1つ、チャネルあたりに1つより多く等。IDTsは、先細の、先細にされない、集束される、一方向の、チャープ等であり得る。さらに、複数のIDTsが提供される場合、IDTsは、単一の行において配され得る、又は、互いにずらして配置され若しくはオフセットされ得て、チャネルの長手方向のずらしの量を減少させる、又は、同じ領域上で十分に大きいIDTsを提供する。各関連したマイクロ流体チャネルからの各々の複数のIDTsの距離は、一定である必要はない。
【0117】
図18Bは、
図18Aと同様の実施形態を概略的に示すが、複数のIDTs512が表面音響波を提供している。IDTs512の各々は、同じであり得、且つ、同じ表面音響波を提供し得る。随意に、この特定の実施形態に示されるように、IDTsは、異なる周波数で表面音響波を生成し得る。例えば、周波数f
1及びf
2で表面音響波を生成するIDTsのペアが提供され得る。IDTsは、ずらして配置されることがあり、コンパクトさを可能にする。
図18Bはまた、
図18Aにおいて示される複数の個別の結合素子367ではなく、複数のマイクロ流体チャネル330を横切って伸びる単一の結合素子367bを示す。一以上のチャネル330に関する単一の結合素子367bの使用は、製造の容易さを、マイクロ流体チップ320を表面音響波発生器アセンブリ505へ動作可能に係合することの簡潔さを、及び/又は、結合素子それ自身の丈夫さを可能にし得る。
【0118】
図19Aは、一以上の周波数で表面音響波を生成することが可能な複数の「積層され且つ傾けられた」IDTsを有する表面音響波発生器アセンブリ505を概略的に示す。各IDT512は、機器取付素子620a、音響的に透過な材料層又はバンド612、結合素子367及びマイクロ流体チャネル330と関連する。図面において概略的に示される機器取付素子620aは、機器機器620の一部として提供されるであろう。
【0119】
IDTs512の内の一つへの駆動周波数の提供は、結合素子367内へ、スーパーストレート366内へ、及びその後マイクロ流体チャネル330内へ、音響的に透過な材料バンド612の長さに沿って進行する表面音響波をIDT512に生成させる。
図19Aの側面図(b)を参照すると、IDTsは、個別のチャネル330のスイッチング領域が横方向に整列しているように、互いに上に「積層されて」示される。この配置は、マイクロ流体チャネル330の及びマイクロ流体チップ320のアーキテクチャを簡素化し得る。
図19Aの側面図(b)をさらに参照すると、IDTs512及び音響的に透過な材料バンド612は、マイクロ流体チップ320の主平面に対してある角度で配向される機器取付素子620aにおいて、上に提供される。この角度をつけられた又は「傾けられた」配向は、複数のIDTs及び音響的に透過な材料バンド612が、「積層された」配置において同じように構成されることを可能にする。
【0120】
図18A及び18Bに示される実施形態のように、
図19Aに示される、表面音響波発生器アセンブリ505、例えば、IDTs512及びそれらの関連する音響的に透過な材料バンド612は、マイクロ流体チップ320から分離して形成され得る、且つ、機器620と関連し得且つ機器620の一部として提供され得る。再び、マイクロ流体チップ320は、機器620によって提供される表面音響波発生器アセンブリ505へ動作可能に係合可能であり得、且つ、機器620から取り外し可能であり得る。矢印は、チップ320が機器620に係合している及び/又はそれから解放されるときに、機器620に対するマイクロ流体チップ320の可能な相対運動を示す。回転運動はまた、チップ320を係合する及び/又は機器620からチップ320を解放するために用いられ得る。さらに、傾けられた取付素子620aは、係合公差を提供するために、及び/又は、表面音響波発生器アセンブリ505へ及び/又はマイクロ流体チップ320へ結合素子367の予め組み込まれた係合を設置するために、ヒンジ付きの及び/又は柔軟な指様素子として提供され得る。
【0121】
図19Aに示される結合素子367は、チップ320のスーパーストレート366によって表面音響波発生器アセンブリの伝送表面の伝送表面(A)の非平行の又は角度がつけられた整列を収容するように構成され得る。そのため、例えば、結合素子367cは、伝送表面(A)及びスーパーストレート366の下面を相補的に係合するように構成され得る。
図19Aの側面図(b)に示されるように、結合素子367cは、実質的にくさび形であり得る。上記で開示されたように、結合素子367は、変形可能であり得る(弾性、準弾性、弾性等)、及び/又は、水、ゲル、水系ゲル、薄膜、流体で満たされたブリスターパック(硬い膜を備える又は非常に弾性膜を備える)を含み得る。また上記で開示されたように、結合素子367は、変形可能である必要がなく、マイクロ流体チップ320と表面音響波発生器アセンブリ505との間で音響結合を一次的に提供する可逆性の固体/液体ポリマー、エポキシ等として提供され得る。
【0122】
図19Aの実施形態と同様に、
図19Bに概略的に示される実施形態は、マイクロ流体チップ320から別々に形成され且つ機器620の一部として提供される表面音響波発生器アセンブリ505を含む。マイクロ流体チップ320は、表面音響波発生器アセンブリ505へ取り外し可能に且つ動作可能に係合可能であり得る。表面音響波発生器アセンブリ505は、一以上の周波数で表面音響波を生成することが可能な複数の「積層され且つ傾けられた」IDTsを含む。各IDT512は、機器620の一部として提供される機器取付素子620a、音響的に透過な材料層612、及びマイクロ流体チャネル330と関連する。
図19Bの側面図(b)を参照すると、IDTsは、(
図19Bの上面図(a)に示されるように)個別のチャネル330のスイッチング領域が横方向に整列され得るように、互いに上に「積層されて」示される。
【0123】
マイクロ流体チップ320は、基板362及びスーパーストレート366を含み得る。一般的に、マイクロ流体チップ320は、任意の数の基板層で形成され得る。表面音響波発生器アセンブリ505からマイクロ流体チャネル330への音響エネルギーの伝送を支援するために、透過素子368が、マイクロ流体チップ320によって提供され得る。マイクロ流体チャネル330のスイッチング領域の付近に提供される透過素子368は、スーパーストレート366によって一体的に形成され得る。周囲の材料における音響損失を最小化するために、透過素子368は、スタンドオフ又は他の突出要素として、及び、比較的高度に音響的に透過な材料で形成され得る。透過素子368に関して、基板366を形成するために用いられ得る任意の材料で形成されることが望ましいことがある。随意に、透過素子368は、スーパーストレート366とは異なる材料で形成され得、例えばマイクロ流体チップ320に圧入され得る。
【0124】
各IDT512へ駆動周波数を提供することは、透過素子368内へ、及びその後マイクロ流体チャネル330内へ、音響的に透過な材料バンド612の長さに沿って進行する表面音響波をIDT512に生成させる。表面音響波が進行するバンド612の表面(A)は、透過素子368に接触し、表面音響波からの音響エネルギーは、チャネル330内の流体へ運ばれる。いくつかの実施形態によると、透過素子368は、スイッチング領域に向かって進行するラム波が最も効率的に向けられ得るように、レイリー角での回折を介した音響波の伝播を考慮して、ある角度で提供され得る。
【0125】
(
図19Bに示されるように)随意に、結合素子367dは、表面音響波発生器アセンブリ505の各バンド612と、関連する透過素子368との間に提供され得る。一つの好ましい実施形態では、結合素子367dは、解放可能なエポキシ(又は他の結合素子)として提供され得る。当業者にとって明らかなように、この開示の利益を考えると、本明細書で記載されるような他の結合素子367が提供され得る。代わりに及び/又は追加的に、マイクロ流体チップ320への表面音響波発生器アセンブリ505の音響結合は、係合表面領域に圧縮荷重をかけることによって促進され得る。例えば、傾けられた取付素子620aは、係合公差を管理するために、及び/又は、マイクロ流体チップ320への層612の予め組み込まれた係合を設置するために、ばね仕掛け素子として提供され得る。
【0126】
図20は、複数のマイクロ流体チャネル330へ表面音響波を供給することが可能な「曲げられた」又は湾曲した機器取付素子620bの上に提供される複数の音響波発生器を有する表面音響波発生器アセンブリ505を概略的に示す。各表面音響波発生器は、IDT512及びその関連する音響的に透過な材料バンド612を含む。追加的に、結合素子367及びマイクロ流体チャネル330は、各表面音響波発生器と関連する。IDT512へ駆動周波数を提供することは、結合素子367内へ、スーパーストレート366内へ、及びマイクロ流体チャネル330内へ、音響的に透過な材料バンド612の長さに沿って進行する表面音響波をIDT512に生成させる。
【0127】
図20(a)を参照すると、IDTs512は、個別のチャネル330のスイッチング領域が一直線であるように配される。この配置は、マイクロ流体チャネル330及びマイクロ流体チップ320アーキテクチャを簡素化し得る。各IDT512は、マイクロ流体チップ320の平面に対してある角度で配向される機器取付素子620bの平面において提供され得る。
図20(b)を参照すると、この角度は、実質的に90度であり得る。IDTによって生成される表面音響波は、音響エネルギーがその後結合素子367内へ伝送される屈曲の周りの透過材料バンド612の表面の上を進行する。マイクロ流体チャネル330の付近において、透過材料バンド612の表面は、マイクロ流体チャネル330の付近のマイクロ流体チップ320の主平面に対して平行であり得る。屈曲は、90度より大きい又は90度未満であり得る。90度未満の屈曲は、表面音響波が屈曲の周りを進行するときに表面音響波エネルギー損失を最小化するために望ましいことがある。
【0128】
図18及び19に示される実施形態のように、
図20に示されるIDTs512及びそれらの関連する圧電材料バンド612は、マイクロ流体チップ320から別々に形成され得る、且つ、機器620と関連し得且つ機器620の一部として提供され得る。再び、マイクロ流体チップ320は、機器によって提供されたIDTsによって取り外し可能に且つ動作可能に関与され得る。
図20の実施形態では、マイクロ流体チップ320は、2つの基板層362、363及びスーパーストレート層366と共に示される。さらに、チャネル330は、スーパーストレート層366内で部分的に又は完全に形成され得る。
【0129】
図21は、マイクロ流体チップ320の主平面に対して実質的に垂直に伸び且つ複数のマイクロ流体チャネル330へ表面音響波を供給することが可能である機器取付素子620cの上に提供される複数の表面音響波発生器510を有する表面音響波発生器アセンブリ505の実施形態を概略的に示す。説明目的のために、4番目の表面音響波発生器及び関連する機器取付素子620cは示されない。一般的に、表面音響波発生器アセンブリ505は、一以上のマイクロ流体チャネルの内の任意の数と関連する一以上の表面音響波アクチュエータ又は発生器の内の任意の数を含み得る。
【0130】
図21を参照すると、表面音響波発生器アセンブリ505は、個別のチャネル330のスイッチング領域が一直線であるように構成される。各表面音響波発生器は、IDT512及びその関連する音響的に透過な材料バンド612を含む。追加的に、透過素子368a及びマイクロ流体チャネル330は、各表面音響波発生器と関連する。IDT512へ駆動周波数を供給することは、透過素子368a内へ、及びマイクロ流体チャネル330内へ、音響的に透過な材料バンド612の長さに沿って進行する表面音響波をIDT512に生成させる。
【0131】
透過素子368aは、スイッチング領域の少なくとも付近で、マイクロ流体チャネル330の側壁を形成し得、マイクロ流体チャネル330内の流体と直接接触していることがある。透過素子368aは、任意の比較的高度に音響的に透過な材料で形成され得る。一つの非限定的な例として、透過素子368aは、基板366を形成するために用いられ得る任意の材料で形成され得る。
【0132】
各機器取付素子620c及びその関連する音響的に透過な材料バンド612の遠位端は、マイクロ流体チップ320のポケット又は他の凹部領域340内に伸びる。表面音響波が進行するバンド612の表面(A)は、透過素子368aに接触し、表面音響波からの音響エネルギーは、チャネル330内の流体へ運ばれる。随意に(
図21に示されないが、以前に説明された実施形態と同様の)、流体で満たされたブリスターパック等の結合素子は、マイクロ流体チップ320への表面音響波発生器アセンブリ505の作動係合を促進するために用いられ得る。
【0133】
カム運動又は予荷重素子369は、機器取付素子620cとチップ320との間に提供され得て、表面音響波発生器の遠位端がマイクロ流体チップ320へ十分に動作可能に関与されることを確実にする。カム運動又は予荷重素子369は、斜面、トグル、ばね、エラストマーパッド等を含み得る。
図21に示されるように、予荷重素子369は、チップ320によって提供され得、表面音響波発生器の遠位端を収容する凹部領域340内に位置し得る。随意に(図示されない)、予荷重素子369は、表面音響波発生器アセンブリ505の一部として含まれ得るので、機器620によって提供され得る。
【0134】
マイクロ流体チップ320の基本的な基板アセンブリは、結合された又はそうでなければ一緒に統合された複数の層から形成され得る、又は随意に、チップ320の基本的な基板は、3D又は他の追加の製造プロセスから形成され得る。
【0135】
図22は、マイクロ流体チップ320の主平面に対して実質的に垂直に伸び且つ複数のマイクロ流体チャネル330へ表面音響波を供給することが可能である機器取付素子620dの上に提供される複数の表面音響波発生器を有する表面音響波発生器アセンブリ505の実施形態を概略的に示す。
図21と同様に、表面音響波発生器アセンブリ505は、個別のチャネル330のスイッチング領域が一直線であるように構成される。各表面音響波発生器は、IDT512及びその関連する音響的に透過な材料バンド612dを含む。追加的に、透過素子368aは、各表面音響波発生器と関連し得る。IDT512へ駆動周波数を提供することは、透過素子368a内へ、及びその後マイクロ流体チャネル330内へ、音響的に透過な材料バンド612dの長さに沿って進行する表面音響波(S)をIDT512に生成させる。
【0136】
しかしながら、
図21の機器取付素子620cとは違って、
図22の機器取付素子620dは、長手方向のねじれが提供される。この特定の実施形態では、長手方向のねじれの量は90度である。一般的に、ねじれの量は、90度に限定されず、90度より大きい又は90度未満であり得る。各々の機器取付素子620dの遠位端で、音響的に透過な材料612dの層の表面(A)は、関連する流路330の縦軸と平行に配される。各々の機器取付素子620dの近位端で、音響的に透過な材料612dの層の表面(A)は、関連する流路330の縦軸に対して垂直に配される。機器取付素子620dの遠位端と近位端との間で、音響的に透過な材料612dの層の表面(A)は、滑らかな半分ねじれが提供される。機器取付素子620dの近位端で、音響的に透過な材料612dは、その上でIDTs512が提供される音響的に透過な材料612を備える連続層を形成する。そのため、複数のIDTs512は、同じ平面において形成され得、関連する複数の表面音響波(S)は、その中に複数のIDTs512が存在する平面とは異なる一以上の平面へ送達され得る。
【0137】
図22に示されるように、その上にIDTs512が提供される音響的に透過な材料612は、別個のパッドとして形成され得(つまり、アイテム612(×4))、IDTs512と、関連する機器取付素子620dと、マイクロ流体チャネル330との間で1対1対応が存在し得る。随意に(図示されない)、その上でIDTs512が提供される音響的に透過な材料612は、複数のIDTs512の下に伸びる単一のパッドとして形成され得る。これは、単一のIDT512、例えば先細のIDTが、(
図18Aに示されるIDTと同様に)複数のチャネル330へ表面音響波(S)を提供することを可能にし得る。
【0138】
図18、19及び20に示される実施形態のように、
図21及び22に示される、表面音響波発生器アセンブリ505(例えば、IDTs512及びそれらの関連する圧電性の又は音響的に透過な材料バンド612)は、マイクロ流体チップ320から分離して形成され得る、且つ、機器620と関連し得且つ機器620の一部として提供され得る。マイクロ流体チップ320は、機器620によって提供される表面音響波発生器アセンブリ505によって取り外し可能に且つ動作可能に関与され得る。
【0139】
さらに、
図18、19及び20に関して説明されたような結合素子367(
図21及び22に示されない)はまた、表面音響波発生器アセンブリ505からマイクロ流体チップ320へ表面音響波エネルギーの伝送を促進するために提供され得る。上記で開示されたように、このような結合素子367は、変形可能であり得る(弾性、準弾性、弾性等)、及び/又は、水、ゲル、水系ゲル、薄膜、流体で満たされたブリスターパック(硬い膜を備える又は非常に弾性の膜を備える)を含み得る。また上記で開示されたように、結合素子367は、変形可能である必要がなく、マイクロ流体チップ320と表面音響波発生器アセンブリ505との間で音響結合を一次的に提供する可逆性の固体/液体ポリマー、エポキシ等として提供され得る。
【0140】
ここで
図23、24及び25を参照すると、特定の実施形態によると、マイクロ流体チップ320の複数のマイクロ流体流路330の各々は、チャネル330内を流れる粒子を取り込むための集束機構400と、様々な選択されたチャネル部又は収集素子332、334内にチャネル330内を流れる粒子をソートする、偏向する、迂回させる及び/又は向けるためのスイッチ機構500と、の両方を含み得る。集束機構400及びスイッチ機構500の両方は、機器によって提供され得、マイクロ流体チップ320は、これらの機構へ取り外し可能に動作可能に関与され得る。
図7から22を参照すると、スイッチ機構500は、上述の任意の態様及び実施形態に従って提供され得る。
【0141】
特定の態様によると、集束機構400は、表面音響波(SAW)生成装置を含み得る。このように、スイッチ機構500に関する表面音響波発生器アセンブリ505についての上記で示された開示は、集束機構400に関する表面音響波発生器アセンブリ405へ同様に適用され得る。
【0142】
特定の好ましい態様によると、集束機構400は、表面音響波(SAW)アクチュエータ410又は生成装置を含み得る。表面音響波発生器410は、一以上のIDTs412を含み得る。いくつかの実施形態によると、及び
図23に示されるように、単一のIDT412が提供され得、集束サイト331でのマイクロ流体チャネル330の形状及び/又は表面は、定在干渉パターン又は定在表面音響波(SSAW)を生成するためにチャネル330において音響波を反射するように構成され得る。代わりに、
図24に示されるように、IDTs412a、412bのペアは、マイクロ流体チャネル330のいずれかの側面の上に1つで且つ集束サイト331に位置合わせされて、提供され得る。IDTs412a、412bの各々は、マイクロ流体チャネル330の流体内で定在干渉パターンを生成するためにマージする対向(例えば、等しく且つ反対の)表面音響波を生成し得る。
【0143】
図23は、機器620の上の表面音響波発生器アセンブリ405及び表面音響波発生器アセンブリ505の両方によって動作可能に関与され得、その後それらから解放され得るマイクロ流体チップ320の実施形態を概略的に示す。この特定の実施形態では、表面音響波発生器アセンブリ405は、複数のマイクロ流体チャネル330を通って流れる粒子流を集束するための単一の周波数で表面音響波を生成するために単一のIDT412を含む。IDT412は、機器620/622の表面音響波発生器アセンブリ405の一部として含まれる圧電材料層616の表面(B)の上に形成される。IDT512は、複数の音響的に透過な(つまり、音響的に損失の少ない)材料バンド616に沿って進行する複数の表面音響波を、各マイクロ流体チャネル330に関して1つ、生成し得る。各バンド616は、マイクロ流体チャネル330の集束領域331と関連する。そのため、IDT412は、周波数f
1で複数の表面音響波(S)を生成するように活性化され得て、波の各々は、複数のバンド616の内の1つに位置合わせされた且つそれに沿って進行して、最終的にマイクロ流体チャネル330の各々の集束領域331に到達する。各音響的に透過な材料バンド616は、他の音響的に透過な材料バンド616から(空気ギャップ又は音響的に損失の多い材料によって満たされるギャップを介して)その長さの少なくとも一部に沿って隔離され得る。
【0144】
図23に示されるように、個別のマイクロ流体チャネル330の集束領域331の付近において、各音響的に透過な材料バンド616は、マイクロ流体チップ320のスーパーストレート366内へ表面音響波Sからの音響エネルギーを向けるために(上述したような)音響エネルギー結合素子367に接触し得る。
図23、上面図(a)、に最も良く示されるように、マイクロ流体チャネル330の集束領域331の各々は、各々のチャネル330の集束領域が音響的に透過な材料バンド616及び結合素子367に位置合わせされるように、縦方向にオフセットされ得る又はずらして配置され得る。
【0145】
図17A及び17Bに関して議論されたように、
図23のマイクロ流体チャネル330は、IDT412と反対のチャネルの側面の上に音響波反射素子(534a、534b、図視されない)によって提供され得て、定在干渉パターン又は定在表面音響波(SSAW)は、マイクロ流体チャネル内で形成され得るようになる。さらに、マイクロ流体チャネル330は、波長の整数倍で間隔が置かれ得る。特定の実施形態によると、定在表面音響波の低圧ノードは、マイクロ流体チャネル内で中心であり得る。
【0146】
代わりに、
図24に示されるように、第1及び第2IDTs412a、412bは、マイクロ流体チャネル330の反対側の上に提供され得る。定在干渉パターン又は定在表面音響波(SSAW)は、IDTs412、421bが等しく且つ反対の表面音響波を生成するときにマイクロ流体チャネル内で形成され得る。マイクロ流体チャネル330は、波長の整数倍で間隔が置かれ得る。特定の実施形態によると、定在表面音響波の低圧ノードは、マイクロ流体チャネル内で中心であり得る。
【0147】
図25に示されるように特定の態様によると、集束機構400は、(例えば、
図24に開示されるように)一以上のIDTs412によって提供される定在表面音響波発生器(SSAW)405を含み得、スイッチ機構500はまた、定在表面音響波(SSAW)アクチュエータ560又は生成装置を含み得る。表面音響波発生器560は、一以上のIDTs562を含み得る。いくつかの実施形態によると、単一のIDT562が各マイクロ流体チャネル330に関して提供され得、スイッチング領域におけるマイクロ流体チャネル330の形状及び/又は表面は、定在干渉パターン(随意に、進行定在表面音響波(TSSAW)を含む)を生成するためにチャネル330において音響波を反射するように構成され得る。
【0148】
代わりに
図25に示されるように、IDTs562a、562bのペアは、スイッチング領域においてマイクロ流体チャネル330の何れかの側面上に1つ、提供され得る。IDTs562a、562bの各々は、マイクロ流体チャネル330の流体内で定在干渉パターンを生成するためにマージする対向表面音響波を生成し得る。例えば、IDTs562a、562bの各々は、等しく且つ反対の表面音響波を生成し得る。スイッチングは、マイクロ流体チャネル330内の粒子の上で発せられる圧力勾配又は音響放射力を頼りにし得て、より高い圧力の領域からより低い圧力へ粒子を移動させる。具体的には、IDTs562a、562bのペアは、チャネル内で一以上の圧力ノード及びアンチノードを形成するSSAWを生成し得、それによって、ノード又はアンチノードに位置合わせされた複数の粒子流内へチャネルの長さに沿って粒子が流れるときに粒子を分ける。粒子は、それらの体積、密度、圧縮率又は他の音響コントラスト因子に基づいて分離され得る。粒子分離段階の下流では、粒子の様々な分離された流れが、流れに位置合わせされた複数の収集出口内へ流れ得る。
【0149】
図23、24及び25は、マイクロ流体チップ320の複数のマイクロ流体流路330の各々が、チャネル330内を流れる粒子を取り込むための集束機構400と、チャネル330内を流れる粒子をソートする、偏向する、迂回させる及び/又は向けるためのスイッチ機構500と、の両方を含み得ることを示す。
図23、24及び25は、集束機構400及びスイッチ機構500の内の1つ又は両方が、機器によって提供され得、マイクロ流体チップ320が、これらの機構へ取り外し可能に動作可能に関与され得ることをさらに示す。
図18A、18B、19から22を参照すると、任意の様々な実施形態のスイッチ機構500は、上述の任意の態様及び実施形態に従って提供され得る。さらに、任意の様々な実施形態の集束機構400は、当業者が、この開示の利益を考えて、これらの態様が集束機構400へ適用可能であることを理解することになるので、スイッチ機構500に関して上記で説明された任意の態様及び実施形態に従って提供され得る。
【0150】
任意の様々な製造技術は、マイクロ流体チップを形成するために用いられ得、成形、接着、マイクロ加工、リソグラフィ、又は他のパターニング技術、エッチング、放電加工、堆積、3D印刷、表面処理等を含む。いくつかの態様によると、マイクロ流体チップ(又はそれらの一部)は、微小電気機械(MEMS)技術を用いて形成され得る。そのため、例えば、半導体デバイス製造技術は、集束機構400、スイッチ機構500及び/又はそれらの一部を形成するために用いられ得る。
【0151】
特定の他の態様によると、ソートアルゴリズムは、上記で開示された粒子処理システム実施形態を用いて、実装され得る及び/又は最適化され得る。粒子処理システムの性能をモニタリングするための例示的なソートモニタリングシステムは、米国特許公報第2012/0277902(シリアル第13/342,756;2012年1月3に出願された)、”Method and Apparatus for Monitoring and Optimizing Microfluidic Particle Sorting”において開示され、その内容はその全体において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0152】
例えば、
図6A及び6Bを参照すると、ソーティング機構500は、マイクロ流体流路330と関連し、且つ一次粒子取り調べサイト314の下流に位置する。粒子取り調べサイト314は、粒子取り調べシステム110と動作可能に関与され得、さらに、特定の粒子特性を検出し且つそれらの粒子特性に基づいてソーティングの決定を為すために、制御システム150と動作可能に関与され得る(
図3を参照)。スイッチング機構500はまた、制御システム150と動作可能に関与されて、ソーティングの決定と一致した指示を受け取る。ソートモニタリングシステムの一部として、一以上の二次粒子取り調べサイト314aは、下流チャネル332、334の内の一以上におけるスイッチング機構500の下流に提供され得る。
【0153】
図6Aでは、二次粒子取り調べサイト314a(破線)は、キープチャネル334と関連して示される。粒子取り調べサイト314aは、二次粒子取り調べシステムに動作可能に関連し得、さらに、制御システム150に動作可能に関連し得てソートモニタリングシステムを形成する。二次粒子取り調べシステムは、一次粒子取り調べシステム110の一部として又はスタンドアロン粒子取り調べシステムとして提供され得、光学センサーと、マイクロチップの上に製造される若しくは興味のあるチャネルの近くのオフチップに位置するデバイスを通したコンダクタンス、キャパシタンス、RF場モニタリングを含むがそれらに限定されない受動的又は能動的電気的検出と、例えばホール効果デバイス又は流路の付近に位置する他のフィールドプローブを用いる磁気検出と、オンボード若しくはリモートデバイスを用いる超音波吸収、反射、散乱若しくは同様のもの等の音響検出とを用い得る。他の光機械又は電磁気検知システムもまた採用され得る。
【0154】
ソートモニタリングシステム(例えば、少なくとも部分的に、粒子取り調べシステム、制御システム及び関連するソートモニタリングアルゴリズム)は、ソート性能をモニタリングするために、集束、検出及び/又はスイッチング最適化アルゴリズムの妥当性を確認するために、ソートアルゴリズムへフィードバックを提供するために、及び/又は、粒子処理システムの一以上の操作パラメータ(流速、圧力、粒子処理量、取り調べビーム強度、ソート遅延、スイッチングパラメータ等)を制御若しくは修正するために、用いられ得る。非限定的な例として、最適なソート性能は、ソートされたサンプルの純度、ソートされたサンプルにおける所定の粒子型の保持、ソートされたサンプルにおける所定の粒子型の排除、ソートされたサンプルの予想されるソート粒子数、ソートされたサンプルのソート割合、ソートされたサンプルのソート精度、処理速度、サンプルの生存、及び/又は上記の組み合わせの上で決定され得る又はそれらに基づき得る。そのため、最適なソート性能を決定及び/又は維持するためのソートモニタリングは、ソートされたサンプルの統計ベースの特性を評価することに基づき得る。ソートされたサンプルの統計ベースの特性は、粒子ソーターの内の1つの個別の性能に、又は、複数の粒子ソーターの収集性能に関連し得る。ソートモニタリング法は、ソート決定及び/又はスイッチ機構作動の統計ベースの特性に対して、ソートされたサンプルの統計ベースの特性を評価することを含み得る。ソートモニタリングシステムは、その予想される特性及び/又は所望の特性に対して、ソートされたサンプルの特性を評価し得、それに基づいた行動をとり得る。
【0155】
様々な実施形態によると、ソートモニタリングシステムは、スイッチング機構の一以上の操作パラメータを制御又は修正してそれによってスイッチング機構の性能の最適化をするために用いられ得るスイッチング最適化アルゴリズムを含み得る。例えば、ソートモニタリングシステムは、最適なソート遅延(つまり、粒子の上流検出と下流スイッチング機構の作動との間の時間)を決定する及び/又は維持するために用いられ得る。ソート遅延は、スイッチング最適化アルゴリズム、及び、上記で開示されたスイッチング機構の実施形態を用いて調整され得る。他の一つの例として、ソートモニタリングシステムは、最適なスイッチング領域の場所を決定する及び/又は維持するために用いられ得る。スイッチング領域の場所は、スイッチング最適化アルゴリズム、及び、上記で開示されたスイッチング機構の実施形態を用いて調整され得る。
【0156】
図26を参照すると、ソートモニタリングシステムは、ソートモニタリングアルゴリズム700を含む。第1のステップ701では、データは、一次粒子取り調べシステム110aから収集される。このデータは、検出された粒子の数の上の情報;例えば、一以上の光学的サイン、速度等を含む検出された粒子の特定の特性;粒子検出の時間;粒子と関連するソートの決定;例えばスイッチング機構の一以上の動作パラメータを含む粒子処理システムの一以上の動作パラメータ;等を含み得る。第2のステップ702では、データは、二次粒子取り調べシステム110bから収集される。このデータは、検出された粒子の数の上の情報;例えば、一以上の光学的サイン、速度等を含む検出された粒子の特定の特性;粒子検出の時間;粒子と関連するソートの決定;例えばスイッチング機構の一以上の動作パラメータを含む粒子処理システムの一以上の動作パラメータ;等を含み得る。第3のステップ703では、ステップ1から及びステップ2から収集されたデータは、所望のソート性能が満たされているかどうかを決定するために評価され得る。第3のステップは、ステップ1において収集されるデータの統計的評価、ステップ2において収集されるデータの統計的評価、及び、一次粒子取り調べシステム110aからのデータに対する二次粒子取り調べシステム110bからのデータの比較又は関係を含み得る。ステップが「第1の」、「第2の」、「第3の」等とラベル付けされるにも関わらず、任意のステップは、任意の順番で行われ得、連続して、同時に、部分的に同時に等で実行され得る。さらに、ソートモニタリングアルゴリズムは、リアルタイムで、つまり、ソート操作の間に、実装され得る。随意に、ソートモニタリングアルゴリズム、特に第3のステップ703は、ソートされたサンプル、機器のソート性能、及び/又は、機器の動作特性を評価する目的のために、ソート操作の後でオフラインにて実施され得る。
【0157】
よりさらに、機器の及び/又はスイッチ機構の動作特性は、ソートモニタリングアルゴリズム700のリアルタイム実装に基づいたソート操作の間に評価され得る及び/又は修正され得る。そのため、さらに
図26を参照すると、スイッチング最適化アルゴリズム710は、ソートモニタリングアルゴリズムを用いてスイッチ動作パラメータをリアルタイム修正し且つソート性能をリアルタイム評価するために提供され得る。例えば、一実施形態によると、第1のステップ711では、スイッチング最適化アルゴリズム710は、スイッチングパラメータを初期値へ設定し得る。第2のステップ712では、スイッチング最適化アルゴリズム710は、スイッチング機構パラメータを更新された値へ設定し得る。スイッチング機構パラメータが更新された後で、データは、一次及び二次粒子取り調べシステム110a、110bから収集され得、且つ、所望のソート性能が満たされているかどうかを決定するために評価され得る。この第2のステップ712は、(ソートモニタリングアルゴリズムによって決定されるような)所望のソート性能が満たされていない場合に実装されるのみであり得る。さらに、第2のステップ712は、(別個の個別の最適化アルゴリズムを実装することとは対照的に)スイッチング最適化アルゴリズム710を実装するための決定が為された場合に実装されるのみであり得る。
【0158】
ソートモニタリングの実装の一部として設定され且つ修正され又は更新され得るスイッチング機構パラメータは、例えば、先細のIDTへ適用されるような、駆動信号周波数を含み得る。先細のIDTへ適用される駆動信号周波数を変更することは、先細のIDTの長さに沿って、生成された表面音響波の開口部の場所を変更することに相当する(例えば、
図11Aを参照)。そのため、設定されたソート遅延値を考慮すると、第1駆動信号周波数では、IDTは、マイクロ流体チャネルの領域上で動作する表面音響波を、粒子が一時取り調べサイトからその領域へ到達するときに厳密に、生成し得る。しかしながら、第1駆動信号周波数では、IDTは、マイクロ流体チャネルの領域上で動作する表面音響波を、粒子が一時取り調べサイトからその領域へ到達する前又は後に、生成し得ることもある。このような場合では、ソート性能を最適化するために、駆動信号周波数は、IDTが、第1周波数領域のわずかに上流又はわずかに下流のマイクロ流体チャネルの領域上で動作する表面音響波を生成するように、増加され得る又は減少され得る。言い換えると、最適化された駆動信号周波数は、表面音響波及び粒子が同時に同じ領域を占有するように、表面音響波が生成されることをソート遅延値が引き起こすように、決定され得る。同様に、スイッチング機構が一連のIDTsとして提供される場合(例えば、
図11Bを参照)、そのときソート性能を最適化することは、駆動信号が直列に第1、第2、第3等IDTへ供給されるべきかどうかを決定することを含み得る。
【0159】
随意に、ソートモニタリング手順の間に設定され且つ修正され又は更新され得るスイッチング機構パラメータは、一以上の駆動信号周波数が先細のIDTへ適用されるかどうかを含み得る。ソート性能は、複数の駆動信号周波数を連続して又は同時に適用することによって最適化され得る。一連のIDTsが供給される場合、そのとき、ソート性能は、直列でいくつかのIDTsへ複数の駆動信号を連続して又は同時に適用することによって最適化され得る。
【0160】
さらに、ソートモニタリング手順の間に設定され且つ修正され又は更新され得るスイッチング機構パラメータは、駆動信号の形状を含み得る。例えば、ソート性能は、強度において徐々に増加する(又は減少する又は両方)、経時的に周波数を変更する、個別の粒子がスイッチング領域を通り抜けるときに複数回パルス化される等の駆動信号を適用することによって最適化され得る。
【0161】
スイッチング最適化アルゴリズムと共にソートモニタリングアルゴリズムを実装することによって、理想的な入力駆動信号特性(例えば、周波数、波形等)、音響波開口部領域等が、決定され得る。スイッチング最適化アルゴリズムは、TSAWスイッチング機構及びSSAW(又はTSSAW)スイッチング機構の両方を含む、任意の上述したスイッチング機構によって実装され得る。有利には、単一のハードウェア構成(例えば、先細のIDTs、一連のIDTs、集束されたIDTs、調節可能なIDTs、及び/又はそれらの組み合わせ等)によって、複数のスイッチングアルゴリズムが実装され得る。所与の所望のソート性能に関して、スイッチング最適化アルゴリズムは、どの特定のスイッチングアルゴリズムが最もよいかを決定し得る。ソート操作の間に動作条件がシフトする場合、ソートモニタリングシステムは、そのスイッチング最適化アルゴリズムをリアルタイムで活性化し得、特定のスイッチングアルゴリズムが更新され得る。
【0162】
そのため、特定の態様によると、粒子処理システムは、粒子の流れを受け取るように構成された分岐流路と、分岐流路の第1の出力分岐チャネルと第2の出力分岐チャネルとの間で粒子を選択的にソートするように構成された粒子ソーターとを有するマイクロ流体ソートモジュールと;ソートされたサンプルの統計ベースの特性を決定することによってソート操作の性能をモニタリングするように構成されたソートモニタリングシステムと、を含み得、ソートモニタリングシステムは、ソートされたサンプルの統計ベースの特性をリアルタイム評価するように構成され、ソーティングモニタリングシステムは、スイッチング最適化アルゴリズムを含む。粒子処理システムは、ソートモニタリングシステムの出力に応答するプログラム可能コントローラを含み得る。プログラム可能コントローラは、ソートされたサンプルの統計ベースの特性に基づいて粒子処理システムの一以上の操作を制御するように構成され得る。例えば、プログラム可能コントローラは、所望のソート性能に実際のソート性能を位置合わせするために、スイッチング機構に適用される一以上の入力駆動信号を調節するように構成され得る。
【0163】
一般的に、ソートモニタリングシステムは、粒子処理システムにおいて異なる場所で粒子を追跡するように構成され得る。ソートモニタリングシステムは、一以上のソートパラメータに基づいて粒子ソーター性能をリアルタイム評価するように構成され得る。一以上のソートパラメータは、出力分岐チャネルの内の一つに関するエラーのベースライン事象率又はベースラインマージンを含み得る。粒子処理システムのマイクロ流体ソートモジュールは、複数の分岐チャネル、及び、分岐チャネル内で粒子をソートするための複数の粒子ソーターを含み得、ソートモニタリングシステムは、ソートされたサンプルの統計ベースの特性をモニタリングするように構成されたモニターセンサーを含み、ソートモニタリングシステムは、複数の粒子ソーターの収集性能をリアルタイム評価するように構成される。
【0164】
粒子ソーティングシステムを通って流れる粒子を処理するための方法は、粒子ソーティングシステムの分岐流路において粒子の流れを受け取ることと;分岐流路の第1出力分岐チャネルと第2出力分岐チャネルとの間の浮遊粒子の流れにおいて粒子を選択的にソートするために粒子ソーターを用いることと;ソートされたサンプルの統計ベースの特性を決定するためにソート操作をモニタリングすることと;所定のソート性能基準に対してリアルタイムで、ソートされたサンプルの統計ベースの特性を評価することと;ソート性能を最適化するためにスイッチング最適化アルゴリズムを実装することと、を含み得る。特性は、ソーターの内の1つの個別の性能に、及び/又は、複数のソーターの収集性能に関連し得る。ソートされたサンプルの統計ベースの特性は、ソートされたサンプルの純度、ソートされたサンプルにおける所定の粒子型の保持、ソートされたサンプルにおける所定の粒子型の排除、ソートされたサンプルの予想されるソート粒子数、ソートされたサンプルのソート割合、又は、ソートされたサンプルのソート精度の内の少なくとも一つであり得る。プログラム可能なマイクロプロセッサは、特性を評価すること及びそれに基づいて行動を起こすことのために用いられ得る。本方法は、ソートモニタリングシステムの出力に基づいてスイッチング機構の動作を制御することを含み得る。例えば、本方法は、ソートされたサンプルの、評価された統計ベースの特性に基づいてスイッチング機構の動作を制御することを含み得る。本方法は、粒子の流れが、ソートされたサンプルの統計ベースの特性の評価に基づいて粒子処理システムを通って流れ続けるとき、スイッチング機構へ適用される入力駆動信号を調節することを含み得る。
【0165】
所定のソート性能基準は、出力分岐チャネルの内の一つに関するエラーのベースライン事象率又はベースラインマージンを含み得る。本方法は、粒子ソーターの内の1つの個別の出力をモニタリングすること、例えば、第1の粒子ソーターの下流のモニター領域で粒子の存在又は非存在を検出することを含み得る。本方法は、複数のモニター領域で粒子の存在又は非存在を検出することを含み得る。本方法は、複数の粒子ソーターで粒子の存在又は非存在を検出することを含み得る。さらに、本方法は、複数の粒子ソーターの収集性能をリアルタイムで評価することを含み得る。
【0166】
いくつかの実施形態によると、校正サンプル又は実際のサンプルの小さな部分は、粒子処理システム100を通って実行され得る。マイクロ流体流路330を通って流れるサンプルにおける粒子は、一次粒子取り調べサイト314で取り調べられ得、ソーティングの決定は、ソートアルゴリズムに基づいて為され得る。ソートされたサンプル(保持及び/又は廃棄流れのいずれか)は、二次粒子取り調べサイト314aでスイッチング機構500の下流で取り調べられ得る又はモニタリングされ得る。スイッチング最適化アルゴリズムに基づいた指示は、ソーティングの決定を実装するためにスイッチング機構500へ提供され得る。スイッチング最適化アルゴリズムは、例えば、スイッチング機構動作パラメータを更新するステップを含み得る。最適なソート性能を維持するために、スイッチング機構の一以上の動作パラメータ、例えば、スイッチタイミング、駆動信号及び/又は表面音響波周波数表面音響波場所、駆動信号波形、圧力パルス力又は加速、パルス幅、パルス持続時間等、は調整され得る。
【0167】
上記から容易に理解できるように、本開示の基本的な概念は、様々な方法で具現化され得る。このように、説明によって開示される又はこの出願に付随する図面において示される特定の実施形態又は構成要素は、限定ではなく、むしろ本開示によって一般的に包含される多数且つ様々な実施形態、又はその任意の特定の構成要素によって包含される等価物の例示を意図する。加えて、単一の実施形態又は構成要素の特定の説明は、可能なすべての実施形態又は構成要素を明示的に記載するものではなく;多くの代替案が、説明及び図面によって暗黙的に開示される。例えば、上記で開示された任意のIDTsは、先細の、非先細の、集束された、一方向の、チャープされた、調節可能な等として提供され得る。よりさらに、上記で開示された任意のIDTsは、一連のIDTs(信号発生器へ電気的に接続される又は独立して配線されるかのいずれか)として提供され得る。
【0168】
そうでないと定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術的及び科学的用語は、この開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するための目的に関してであり、本開示の範疇が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるので、限定することを意図するものではないことも理解される。本明細書に記載されたものと同様の又は同等の任意の方法及び材料も、本開示の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法及び材料がここで説明される。
【0169】
本開示を読むと当業者には明らかになるように、本明細書に記載され示された個別の実施形態の各々は、本開示の範疇又は精神から逸脱することなく、任意の他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離され得る又は組み合わされ得る個別の要素及び特徴を有する。任意の特定された方法は、特定された事象の順序で、又は、論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0170】
さらに、本開示の目的のために、「a」又は「an」との用語の実体は、その実体の一以上を指す。このように、「a」又は「an」、「一以上の」、及び「少なくとも一つの」との用語は、本明細書では交換可能に用いられ得る。
【0171】
本明細書で全ての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語によって修正されるものと想定される。本明細書に記載されるように、範囲は、「約」一つの特定の値から「約」他の一つの特定の値までとして表され得る。各々の範囲の終点は、他方の終点に関して両方重要であり、且つ他方の終点とは無関係であることが理解されるであろう。値が、先行する「約」の使用によって近似値として表されるとき、特定の値が他の一つの実施形態を形成することが理解されるであろう。