(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電線に接続される2つの端子と、前記2つの端子間の電圧値を測定する測定部と、前記2つの端子に開閉器を介して接続可能に配置された蓄電部とを備える蓄電装置を制御可能な制御装置であって、
第1の蓄電装置の開閉器を閉じて、前記第1の蓄電装置の2つの端子と蓄電部とを接続させ、
前記第1の蓄電装置の端子間の電圧値である第1の電圧値を含む信号と、第2の蓄電装置の端子間の電圧値である第2の電圧値を含む信号を受信し、
前記第1の電圧値と前記第2の電圧値との比較に基づいて、前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間に電線の誤配線があるか否かを判定する、制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来、蓄電装置を電力系統又は他の蓄電装置等に接続する際に、蓄電装置の誤配線を防止する技術の更なる有用性の向上が望まれている。本開示は、蓄電装置の誤配線を防止する技術の有用性を向上させる蓄電装置、蓄電装置の制御装置、及び蓄電装置の制御方法を提供する。
【0010】
(蓄電システムの構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電システム1の一例を示す概略構成図である。蓄電システム1には、パワーコンディショナ10並びに蓄電装置20A、20B、及び20C等の機器が含まれてもよい。
図1において、蓄電装置20A、20B、及び20Cは電線40により並列に接続され、パワーコンディショナ10を介して電力系統60と接続される。
図1において、電線40を実線で示す。蓄電システム1は、電力系統60に接続され、電力系統60に接続された負荷70等に電力を供給する。負荷70は、例えば、照明、エアーコンディショナ、又は情報処理装置等の電力を消費する任意の電気機器が含まれてもよい。また、蓄電システム1は、電力系統60から供給された電力を蓄電装置20A、20B、及び20Cに蓄積する。以下、蓄電装置20A、20B、及び20Cを特に区別しない場合、単に、蓄電装置20と総称する。蓄電システム1において、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20等の蓄電システム1に含まれる機器は、通信線50により互いに通信可能に接続される。
図1において、通信線50を点線で示す。通信線50は、例えば、バス型に構成され得る。
図1では、一例として、1台のパワーコンディショナ10と、3台の蓄電装置20を含む蓄電システム1が図示されているが、蓄電システム1に含まれる機器の構成及び数は任意に定められてもよい。例えば、蓄電システム1に求められる蓄電容量等の要件に応じて、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20は、増設又は撤去されてもよい。なお、通信線50は、有線であっても無線であってもよい。
【0011】
パワーコンディショナ10は、PCS(Power Conditioning System:電力制御装置)ともいう。パワーコンディショナ10は、例えば、蓄電装置20から電力系統60又は負荷70等への電力の入出力を制御し、或いは蓄電装置20から出力された直流電力を交流電力に変換して電力系統60又は負荷70等に出力する。
【0012】
蓄電装置20は、電力系統60に接続された負荷70等に電力を供給する。蓄電装置20は、売電可能な電力等を電力系統60に供給してもよい。また、蓄電装置20は、電力系統60から供給された電力を蓄積する。蓄電装置20は、パワーコンディショナ10から受信した制御信号に基づき、電力の供給、蓄積、及び蓄電装置20に関する情報の提供等の動作をしてもよい。
【0013】
本開示の一実施形態に係る蓄電システム1において、設置者は、蓄電装置20と他の機器との電線の配線を行う。その後、例えば設置者によってパワーコンディショナ10が操作されることにより蓄電システム1の電源が起動されると、蓄電装置20は、他の機器と自身との間に電線の誤配線があるか否かを判定する。以下、蓄電装置自身のことを自蓄電装置ともいう。蓄電装置20は、パワーコンディショナ10等に電線の誤配線があるか否かの情報を表示させる指示を送信する。設置者はパワーコンディショナ10に表示された情報に基づき、電線の誤配線があるか否かを確認する。
【0014】
(蓄電装置の構成)
以下に、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の一例である蓄電装置20の概略構成を示す。
図1において、蓄電装置20は、制御部21、蓄電部22、端子23、ブレーカ24、測定部25、開閉器26、通信部27、記憶部28、報知部29、及び入力部30を備える。
【0015】
制御部21は、詳細を後述するように、蓄電装置20の各機能を実現するための制御及び処理能力を提供する1つ以上のプロセッサである。制御部21は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成されてもよい。
【0016】
制御部21は、蓄電部22、端子23、ブレーカ24、測定部25、開閉器26、通信部27、記憶部28、報知部29、及び入力部30に有線又は無線により接続され、これらの各機能部をはじめとして蓄電装置20の全体または一部を制御及び管理する。制御部21は、記憶部28に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、蓄電装置20の各機能部に係る種々の機能を実現する。制御部21が行う本実施形態に特徴的な制御については、さらに後述する。
【0017】
蓄電部22は、制御部21の制御に基づき、電力の充電及び放電を行う。蓄電部22における電力の充電及び放電は、蓄電部22を構成するセルの単位で、制御部21により制御及び管理されてもよい。蓄電部22は複数のセルを備えていてもよい。また、セルは、複数のセルを接続したモジュール単位で、制御部21により制御及び管理されてもよい。蓄電部22は、後述する2つの端子23に開閉器26を介して接続可能に配置される。
【0018】
端子23は、蓄電装置20の外部から電線40等を接続される。本実施形態において、蓄電装置20は単相二線式にて他の機器と接続されることを想定している。そのため、蓄電装置20は、電線に接続される2つの端子である正極端子23A及び負極端子23Bを備えてもよい。蓄電装置20を含む蓄電装置の結線方式には、例えば、単相二線式、単相三線式、三相三線式、又は三相四線式等様々な方式がある。蓄電装置の結線方式に応じて、端子23の数も2以上の任意の数とすることができる。
【0019】
端子23は、例えば、電線40を介して、パワーコンディショナ10、蓄電装置20B、及び20C等の他の機器が備える端子と接続される。電線40を介して接続される他の機器は、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20に限られず、例えば、太陽電池、風力発電装置、水力発電装置及び燃料電池等の電源装置、或いは情報処理装置等を含む、任意の機器であってもよい。
【0020】
本実施形態において、1つの端子23には、複数の電線40が接続されてもよい。例えば、正極端子23Aはパワーコンディショナ10及び蓄電装置20Bのそれぞれが備える正極端子と接続され、負極端子23Bはパワーコンディショナ10及び蓄電装置20Bのそれぞれが備える負極端子と接続される。これにより、蓄電システム1において、蓄電装置20Aは他の蓄電装置20と並列に接続される。また、1つの端子23は、複数の電線40を介して、他の機器の端子と接続されてもよい。例えば、端子23Aは、電線40Aを介して蓄電装置20Bの正極端子と接続されてもよい。更に、端子23Aは、電線40Aと、蓄電装置20Bの正極端子に接続された電線40Bとを介して、蓄電装置20Cの正極端子と接続されてもよい。
【0021】
ブレーカ24は、蓄電装置20内部の電力回路と、蓄電装置20外部の電線40等に接続される端子23の間に設けられる。ブレーカ24は、例えば所定量以上の電流が流れると端子23から蓄電装置20内部の電力回路を遮断する。ブレーカ24は、蓄電装置20の設置前には開いており、蓄電装置20の設置後、蓄電装置20の使用開始の際に設置者の操作に基づき閉じられてもよい。
【0022】
測定部25は、端子23の2つの端子に接続され、端子間の電位差を電圧値として測定する。以下、測定部25により測定された自蓄電装置20の端子間の電圧値を第1の電圧値ともいう。本実施形態においては、正極端子23Aと負極端子23Bとの端子間の電圧値を測定してもよい。測定部25は、測定した電圧値を、制御部21に送信する。測定部25の数は任意であってもよい。例えば、単相三線式の電力装置等においては、当該電力装置が備える3つの端子間のそれぞれに接続されてもよい。
【0023】
開閉器26は、蓄電部22と端子23との間の電力回路を開閉する。例えば、開閉器26は、負極端子23Bと蓄電部22との間に設けられてもよい。制御部21の制御に基づき開閉器26が閉じられると、蓄電部22と端子23とが接続される。これにより、蓄電部22は電力の充電及び放電が可能になり、端子23に蓄電部22の電圧が印加される。また、開閉器26が開かれると、蓄電部22と端子23とが切り離される。かかる場合、蓄電部22は電力の充電及び放電をすることができず、端子23に蓄電部22の電圧が印加されない。
【0024】
通信部27は、制御部21の制御に基づき、他の機器と通信を行う。通信部27は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信モジュール、有線LAN通信モジュール、又は無線LAN(Local Area Network)通信モジュール等を備えてもよい。例えば、蓄電装置20Aの通信部27は、パワーコンディショナ10、蓄電装置20B、及び20Cとともに共通の通信線50に接続されてもよい。これにより、蓄電装置20Aは、例えば、制御信号を前述した他の機器から受信し、受信した制御信号に基づき動作することができる。また、蓄電装置20Aは、測定部25により測定された電圧値を含む信号を他の機器に送信することができる。蓄電装置20をはじめ、通信線50に接続される機器には、通信を行う際に機器を一意に特定するための識別子(identifier:ID)が予め付与されていてもよい。
【0025】
記憶部28は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を備える。記憶部28は、例えば主記憶装置又は補助記憶装置として機能してもよい。記憶部28は、制御部21に含まれるプロセッサのキャッシュメモリ等であってもよい。また、記憶部28は、揮発性の記憶装置であってもよく、不揮発性の記憶装置であってもよい。記憶部28は、蓄電装置20の各機能を実現するための制御及び処理に用いられる情報及びプログラムを記憶する。記憶部28は、例えば、後述するように、2つの電圧値の差が所定の閾値の範囲内に収まるか否かの判定に用いられる閾値を記憶する。記憶部28に記憶された情報及びプログラムの少なくとも一部が、他の機器との間で共有及び同期されてもよい。
【0026】
報知部29は、音、振動、ライトの点灯、及び画像等で情報を報知する。報知部29は、例えばスピーカ、振動子、ライト、及び表示デバイス等の少なくとも1つを含む。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等とすることができる。報知部29は、制御部21の制御に基づいて、蓄電装置20のID、蓄電装置20に蓄電された電力の残量の情報、測定部25により測定された電圧値、又は電線の誤配線があるか否かの情報等の少なくとも1つを報知してもよい。
【0027】
入力部30は、ユーザからの入力操作を受け付ける。入力部30は、例えば電源ボタン等の物理キー、報知部29の表示デバイスと一体的に設けられたタッチパネル等の入力デバイス、及びマウス等のポインティングデバイス等の少なくとも1つを含んでもよい。入力部30は、ユーザによって操作されると、そのユーザ操作を電子情報として制御部21に送信する。報知部29及び入力部30の少なくとも一方は、例えば、蓄電装置20から物理的に切り離されたリモコン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等に設けられてもよい。
【0028】
以下に、制御部21による蓄電装置20の各機能の制御について説明する。制御部21は、開閉器26を閉じて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続する。開閉器26が閉じられると、蓄電部22は、端子23を介して外部装置からの電力の充電及び外部装置への放電が可能になる。このとき、蓄電部22の電圧が端子23に印加される。また、制御部21は、開閉器26を開いて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを切り離す。開閉器26が開かれると、蓄電部22は、端子23を介して電力の充電及び放電をすることができない。このとき、蓄電部22の電圧は端子23に印加されない。
【0029】
制御部21は、測定部25により、2つの端子23A及び23B間の電圧値を計測する。制御部21は、測定部25を制御して2つの端子23A及び23B間の電圧値を計測してもよい。或いは、制御部21は、電圧値の計測要求を測定部25に送信し、電圧値の測定要求に基づき測定部25が測定した端子23A及び23B間の電圧値を測定部25から受信してもよい。
【0030】
制御部21は、通信部27から、測定部25により測定された自蓄電装置20の端子間の電圧値を含む信号を送信する。制御部21は、当該信号を任意の方法で送信してもよい。例えば、制御部21は、送信対象を指定せず、通信線50に接続された全ての機器に対して信号を送信してもよい。また、制御部21は、前述のID等を用いて送信対象を指定して、特定の機器に対して信号を送信してもよい。制御部21は、信号を送信する際に、測定部25により、自蓄電装置20の最新の端子間の電圧値を測定して、その電圧値を含む信号を送信してもよい。
【0031】
制御部21は、通信部27により、他の機器の端子間の電圧値を含む信号を受信する。以下、他の機器の端子間の電圧値を、第2の電圧値ともいう。制御部21は、他の機器の端子間の電圧値を任意の方法で受信してもよい。例えば、制御部21は、他の機器が所定の間隔で送信する、他の機器の端子間の電圧値を含む信号を受信してもよい。或いは、制御部21は、通信部27により、他の機器の端子間の電圧値の送信要求を他の機器に送信し、電圧値の送信要求に基づき他の機器が測定した他の機器の端子間の電圧値を含む信号を他の機器から受信してもよい。更に、制御部21は、他の機器の端子間の電圧値を含む信号を、他の機器から直接受信してもよく、第3の機器から間接的に受信してもよい。例えば、他の機器が蓄電装置20Bであった場合、蓄電装置20Aの制御部21は蓄電装置20Bから蓄電装置20Bの端子間の電圧値を直接取得してもよい。また、蓄電装置20Aの制御部21は、パワーコンディショナ10が取得した蓄電装置20Bの端子間の電圧値を、パワーコンディショナ10から取得してもよい。
【0032】
制御部21は、開閉器26を閉じて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続した状態で、第1の電圧値と通信部27により受信した第2の電圧値との比較に基づいて、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線があるか否かを判定する。例えば、制御部21は、所定の閾値に基づき、第1の電圧値と第2の電圧値との差が所定の閾値の範囲内に収まるか否かで、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線があるか否かを判定してもよい。制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値との差が所定の閾値の範囲内に収まる場合、自蓄電装置20の蓄電部22の電圧が他の機器の端子間に正しく印加されているため、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線がないと判定してもよい。一方で、制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値との差が所定の閾値の範囲内に収まらない場合、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線があると判定してもよい。
【0033】
制御部21は、更に、開閉器26を開いて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続していない状態で、第1の電圧値と第2の電圧値との比較に基づいて、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線があるか否かを判定してもよい。制御部21は、上述した開閉器26を閉じた場合の判定と併せて、本判定を行ってもよい。これにより、制御部21は、自蓄電装置20における第1の電圧値を変えた場合に、他の端末における第2の電圧値も同様に変化するか否かに基づいて、他の機器の端子間で計測された電圧値が自蓄電装置20の蓄電部22の電圧によるものであると判定してもよい。例えば、制御部21は、開閉器26を閉じた状態では第1の電圧値と第2の電圧値とが共に100Vであって、その後、開閉器26を開いた場合に、どちらの電圧値も0Vに変化すると、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線がないと判定する。一方、制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値が開閉器26を閉じた状態では100Vであっても、開閉器26を開くと第1の電圧値が0Vに変化して第2の電圧値が100Vのままであれば、他の機器と自蓄電装置20との間に電線の誤配線があると判定する。
【0034】
制御部21は、通信部27から、電線の誤配線があるか否かの情報を報知させる指示を含む信号を送信する。これにより、当該信号を受信した他の機器は、電線の誤配線があるか否かの情報を報知する。制御部21は、当該信号を任意の方法で送信してもよい。制御部21は、送信対象を指定せず通信線50に接続された全ての機器に対して信号を送信してもよく、或いはID等を指定して特定の機器に対して信号を送信してもよい。また、制御部21は、自発的に他の機器に信号を送信してもよく、或いは他の機器から当該信号の送信要求を受信した場合に当該信号を送信してもよい。
【0035】
本開示において、前述した制御部21をはじめとする蓄電装置20の機能の一部又は全部は、蓄電装置20を制御する制御装置により提供されてもよい。制御装置は、蓄電装置20に内蔵されてもよく、或いは蓄電装置20の外部に別体として設けられてもよい。別体として設けられる場合、制御装置は、例えばホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System:HEMS)、バッテリーマネジメントシステム(Battery Management System:BMS)、リモコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)等を含む、蓄電装置20を制御可能な情報処理装置であってもよい。また、制御装置は、前述したパワーコンディショナ10であってもよい。
【0036】
(蓄電システムの動作例)
図1、
図2、及び
図3を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電システム1が実行する、電線の誤配線があるか否かの判定処理の一例を説明する。
図2は、設置者により、
図1に示す蓄電システム1に含まれる、パワーコンディショナ10、蓄電装置20A、20B、及び20Cのそれぞれの正極端子(P)及び負極端子(N)が正しく接続された状態の概略的な回路図である。
図2において、設置者により蓄電装置20A、20B、及び20Cのブレーカ24が閉じられる。これにより、蓄電システム1が利用可能な状態になる。この状態において、蓄電装置20Aは、電線の誤配線があるか否かの判定処理を開始する。ここで蓄電装置20A、20B、及び20Cのそれぞれの測定部が測定した電圧値をV
A、V
B、及びV
Cとする。蓄電装置20A、20B、及び20Cの蓄電部22の規定電圧値は100Vとする。初期状態では、蓄電装置20A、20B、及び20Cの開閉器26は開かれているものとする。蓄電装置20Aは、自蓄電装置20Aの測定部25と、他の蓄電装置20B及び20Cとからそれぞれの電圧値V
A、V
B、及びV
Cを取得し、電圧値V
A、V
B、及びV
Cが0Vであることを予め判定しておいてもよい。その後、蓄電装置20Aは、自蓄電装置20Aの開閉器26を閉じて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続させる。蓄電装置20Aは、測定部25により電圧値V
Aを測定すると、100Vとなる。蓄電装置20Aは、通信部27に蓄電装置20Bの電圧値V
Bを含む信号を受信させる。電圧値V
Bの値が100Vの場合、蓄電装置20Aは、電圧値V
Aと電圧値V
Bとの比較に基づいて、蓄電装置20Bと自蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線がないと判定する。同様に、蓄電装置20Aは、通信部27に蓄電装置20Cの電圧値V
Cを含む信号を受信させる。電圧値V
Cの値も100Vの場合、蓄電装置20Aは、電圧値V
Aと電圧値V
Cとの比較に基づいて、蓄電装置20Cと自蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線がないと判定する。これにより、蓄電装置20Aは蓄電装置20A、20B、及び20Cが電線の誤配線がなく接続されたと判定する。蓄電装置20Aは、電線の誤配線がないことを表示させる指示をパワーコンディショナ10のリモコンに送信する。設置者はリモコンに表示された情報に基づき、電線の誤配線がなく接続されたことを確認する。
【0037】
一方で、設置者が誤って、
図1における蓄電装置20Bの正極端子と負極端子を、蓄電装置20Cの負極端子と正極端子に交差して接続したとする。その場合の概略的な回路図を
図3に示す。
図3において、蓄電装置20Cの正極端子と負極端子が他の蓄電装置20A及び20Bの正極端子と負極端子に対して逆に接続されている。この状態において、設置者は蓄電装置20A、20B、及び20Cのブレーカ24を閉じる。これにより、蓄電システム1が利用可能な状態になる。蓄電装置20Aは、電線の誤配線があるか否かの判定処理を開始する。蓄電装置20Aは、自蓄電装置20Aの測定部25と、他の蓄電装置20B及び20Cとからそれぞれの電圧値V
A、V
B、及びV
Cを取得し、電圧値V
A、V
B、及びV
Cが0Vであることを確認する。その後、蓄電装置20Aは、自蓄電装置20Aの開閉器26を閉じて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続させる。蓄電装置20Aは、測定部25により電圧値V
Aを測定すると、100Vとなる。蓄電装置20Aは、通信部27に蓄電装置20Bの電圧値V
Bを含む信号を受信させる。電圧値V
Bの値が100Vであるため、蓄電装置20Aは、電圧値V
Aと電圧値V
Bとの比較に基づいて、蓄電装置20Bと自蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線がないと判定する。同様に、蓄電装置20Aは、通信部27に蓄電装置20Cの電圧値V
Cを含む信号を受信させる。電圧値V
Cの値が−100Vとなるため、蓄電装置20Aは、電圧値V
Aと電圧値V
Cとの比較に基づいて、蓄電装置20Cと自蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線があると判定する。蓄電装置20Aは、電線の誤配線があることを表示させる指示を、例えば設置者が操作するパワーコンディショナ10のリモコンに送信する。設置者はリモコンに表示された情報に基づき、電線の誤配線があることを確認する。これにより、設置者は、蓄電システム1の配線を修正することができる。
【0038】
(蓄電装置の処理例)
図4を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。
図2に示した蓄電装置20Aによって実行される処理を示すが、その他の蓄電装置20においても、それぞれ同様の処理が実行され得る。なお、本処理は、例えば設置者により、蓄電装置20Aが他の機器と並列に接続され、蓄電装置20Aのブレーカ24及び他の機器のブレーカが閉じられた状態から開始する例である。
【0039】
ステップS101:制御部21は、開閉器26を閉じて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続する。
【0040】
ステップS102:制御部21は、測定部25により、端子間の電圧値である第1の電圧値を測定する。
【0041】
ステップS103:制御部21は、他の機器の端子間の電圧値である第2の電圧値を含む信号を受信する。
【0042】
ステップS104:制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値を比較する。
【0043】
ステップS105:制御部21は、他の機器と自蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線があるか否かを判定する。
【0044】
(蓄電システムの処理例)
図5を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電システム1が実行する処理の一例を説明する。
図1に示すように、蓄電システム1には、パワーコンディショナ10と、蓄電装置である蓄電装置20A、20B、及び20Cが含まれる。ここで、蓄電装置20Aによって実行される処理を示すが、その他の蓄電装置20において、それぞれ同様の処理が実行されてもよい。なお、本処理は、例えば設置者により、蓄電装置20Aが、蓄電装置20B及び20C等の他の機器と並列に接続され、蓄電装置20A、20B、及び20Cのブレーカ24が閉じられた状態から開始する例である。本処理は、蓄電装置20A、20B、及び20Cと並列で接続されたパワーコンディショナ10から、本処理を実行する指示が蓄電装置20Aに送信されることにより開始されてもよい。
【0045】
ステップS201:蓄電装置20Aは、開閉器26を閉じて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続する。
【0046】
ステップS202:蓄電装置20Aは、測定部25により、端子間の電圧値である第1の電圧値を測定する。
【0047】
ステップS203:蓄電装置20Aは、蓄電装置20Bの端子間の電圧値を含む信号の送信要求を蓄電装置20Bに送信する。
【0048】
ステップS204:蓄電装置20Bは、蓄電装置20Bの測定部により、蓄電装置20Bの端子間の電圧値を測定する。
【0049】
ステップS205:蓄電装置20Bは、蓄電装置20Bの端子間の電圧値を含む信号を蓄電装置20Aに送信する。
【0050】
ステップS206:蓄電装置20Aは、蓄電装置20Aの電圧値と蓄電装置20Bの電圧値を比較する。
【0051】
ステップS207:蓄電装置20Aは、蓄電装置20Bと蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線があるか否かを判定する。
【0052】
ステップS208:蓄電装置20Aは、蓄電装置20Cの端子間の電圧値を含む信号の送信要求を蓄電装置20Cに送信する。
【0053】
ステップS209:蓄電装置20Cは、蓄電装置20Cの測定部により、蓄電装置20Cの端子間の電圧値を測定する。
【0054】
ステップS210:蓄電装置20Cは、蓄電装置20Cの端子間の電圧値を含む信号を蓄電装置20Aに送信する。
【0055】
ステップS211:蓄電装置20Aは、蓄電装置20Aの電圧値と蓄電装置20Cの電圧値を比較する。
【0056】
ステップS212:蓄電装置20Aは、蓄電装置20Cと蓄電装置20Aとの間に電線の誤配線があるか否かを判定する。
【0057】
ステップS213:蓄電装置20Aは、パワーコンディショナ10に電線の誤配線があるか否かの情報を報知させる指示を含む信号を送信する。これにより、パワーコンディショナ10は例えばリモコンのディスプレイに電線の誤配線があるか否かの情報を表示させる。これにより、設置者は電線の誤配線があるか否かを確認する。
【0058】
以前述べたように、本実施形態によれば、蓄電装置は、電線に接続される2つの端子23A及び23Bと、測定部25と、2つの端子23A及び23Bに開閉器26を介して接続可能に配置された蓄電部22と、通信部27と、制御部21とを備える。測定部25は、2つの端子間の電圧値である第1の電圧値を測定する。通信部27は、他の機器の端子間の電圧値である第2の電圧値を含む信号を受信する。制御部21は、開閉器26を閉じて2つの端子と蓄電部22とを接続した状態でそれぞれ測定された第1の電圧値と第2の電圧値との比較に基づいて、他の機器と自身との間に電線の誤配線があるか否かを判定する。かかる構成によれば、蓄電装置は、他の機器と自身との間に電線の誤配線があるか否かを自動で判定することができる。これにより、蓄電装置の誤配線を防止する技術の有用性が向上する。
【0059】
本実施形態によれば、蓄電装置の通信部27は、第1の電圧値を含む信号を送信する。かかる構成によれば、蓄電装置は、他の機器に自身の端子間の電圧値である第1の電圧値を送信することができる。当該第1の電圧値を受信した他の蓄電装置は、電線の誤配線があるか否かを自動で判定することができる。これにより、蓄電装置の誤配線を防止する技術の有用性が向上する。
【0060】
本実施形態によれば、蓄電装置の制御部21は、開閉器26を開いて2つの端子23A及び23Bと蓄電部22とを接続していない状態でそれぞれ測定された第1の電圧値と第2の電圧値との比較に基づいて、他の機器と自身との間に電線の誤配線があるか否かを判定する。かかる構成によれば、蓄電装置は、前述の開閉器26を閉じた状態で実施された電線の誤配線があるか否かの判定と併せて、他の機器に印加された電圧が自身によるものであるか否かを判定することができる。これにより、蓄電装置の誤配線を防止する技術の有用性が向上する。
【0061】
本実施形態によれば、通信部27は、電線の誤配線があるか否かの情報を報知させる指示を含む信号を送信する。かかる構成によれば、当該信号を受信した他の機器において、電線の誤配線があるか否かの情報が報知され得る。これにより、他の機器を操作している設置者も電線の誤配線があるか否かの情報を確認することができ、蓄電装置の誤配線を防止する技術の有用性が向上する。
【0062】
前述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本開示は、前述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、各手段、又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0063】
例えば、前述した実施形態において、蓄電システムに含まれる複数の蓄電装置のうち1つの蓄電装置が、他の蓄電装置と自身との間に電線の誤配線があるか否かを判定する例を説明したが、この限りではない。蓄電システムに含まれる複数の蓄電装置のそれぞれが、他の蓄電装置と自身との間に電線の誤配線があるか否かを判定していってもよい。或いは、蓄電システムに含まれる複数の蓄電装置のそれぞれが、前述したIDの昇順等により順番付けをされ、順番付けに基づいて次の順番である他の蓄電装置と自身との間に電線の誤配線があるか否かを判定の主体を変えて順次判定してもよい。
【0064】
例えば、前述した実施形態において、蓄電装置は、外部に電力を供給できる任意の機器であってもよい。蓄電装置は、例えば、太陽電池、風力発電装置、水力発電装置及び燃料電池等を含む任意の電源装置であってもよい。かかる場合、前述した蓄電システムは電源システムであってもよく、蓄電部は発電して電力を供給する電源部であってもよい。