(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6911206
(24)【登録日】2021年7月9日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】圧縮機及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F04C 29/00 20060101AFI20210715BHJP
【FI】
F04C29/00 B
F04C29/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-535283(P2020-535283)
(86)(22)【出願日】2018年2月12日
(65)【公表番号】特表2020-532683(P2020-532683A)
(43)【公表日】2020年11月12日
(86)【国際出願番号】CN2018076424
(87)【国際公開番号】WO2019047478
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年3月6日
(31)【優先権主張番号】201710797161.1
(32)【優先日】2017年9月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520079290
【氏名又は名称】上海海立電器有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】黄波
(72)【発明者】
【氏名】趙鳳榮
(72)【発明者】
【氏名】湯軼群
【審査官】
嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−122786(JP,A)
【文献】
特開昭61−037389(JP,A)
【文献】
特開2016−094923(JP,A)
【文献】
特開2015−001197(JP,A)
【文献】
特開2017−153356(JP,A)
【文献】
特開2000−097183(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/136488(WO,A1)
【文献】
特開2007−291972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/00−29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と、
前記ハウジング(2)に収容されているモータ(3)及びシリンダ(5)と、
前記モータ(3)の回転力を前記シリンダ(5)におけるピストンに伝達して冷媒を圧縮するためのクランク軸(31)と、
前記シリンダ(5)とともに圧縮空間を限定すると共に、前記クランク軸(31)を支持する上シリンダヘッド(4)及び下シリンダヘッド(6)と、を含み、
前記上シリンダヘッド(4)は、前記モータ(3)と前記シリンダ(5)との間に位置し、前記上シリンダヘッド(4)は、前記クランク軸(31)が通過する貫通孔を有し、
前記上シリンダヘッド(4)は、前記モータ(3)に対向する第1側(41)と、前記シリンダ(5)に対向する第2側(42)とを有し、
前記ハウジング(2)の内壁は、前記上シリンダヘッド(4)の第1側(41)の外周縁及び/又は第2側(42)の外周縁にレーザー溶接され、溶接した後で接続部材に対して仕上げ加工を行い、溶接スポットの軸方向と前記ハウジング(2)の内壁との間の角度の範囲は、0°〜45°であり、
前記上シリンダヘッド(4)の外周縁は、前記ハウジング(2)の内壁部分にやや締り嵌め又は隙間嵌め、前記やや締り嵌めの場合、片側の締め代は、0.5mm未満であり、前記隙間嵌めの場合、片側の締め代は、−0.5mmよりも大きい
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記溶接スポットの軸方向と前記ハウジング(2)との間の角度の範囲は、15°〜30°であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記溶接スポットの溶け込み深さは、1.5mmよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記上シリンダヘッド(4)の第1側(41)の外周縁と第2側(42)の外周縁は、それぞれ前記ハウジング(2)の内壁に周方向に沿って多点分布でレーザー溶接され、前記上シリンダヘッド(4)の第1側(41)の外周縁と前記ハウジング(2)の内壁との溶け込み深さは、前記上シリンダヘッド(4)の第2側(42)の外周縁と前記ハウジング(2)の内壁との溶け込み深さと同一であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記上シリンダヘッド(4)の材料は、ねずみ鋳鉄であり、前記ハウジング(2)の材料は、炭素鋼であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記溶接スポットは、前記上シリンダヘッド(4)の軸線に対して前記上シリンダヘッド(4)の外周縁に対称的に分布していることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項7】
ハウジング及び上シリンダヘッドを提供するステップと、
前記ハウジングの内壁と前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁及び/又は第2側の外周縁とをレーザー発射器によりレーザー溶接し、溶接した後で接続部材に対して仕上げ加工を行うステップと、を含み、
前記レーザー発射器の軸方向と前記ハウジングの内壁との間の角度の範囲は、0°〜45°であり、
前記上シリンダヘッド(4)の外周縁は、前記ハウジング(2)の内壁部分にやや締り嵌め又は隙間嵌め、前記やや締り嵌めの場合、片側の締め代は、0.5mm未満であり、前記隙間嵌めの場合、片側の締め代は、−0.5mmよりも大きい
ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
【請求項8】
前記レーザー発射器の軸方向と前記ハウジングの内壁との間の角度の範囲は、0°〜45°であり、且つ、前記溶接スポットの溶け込み深さは、1.5mmよりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の圧縮機の製造方法。
【請求項9】
前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁と第2側の外周縁は、それぞれ2台のレーザー発射器により、同時に前記ハウジングの内壁に周方向に沿って多点分布でレーザー溶接され、前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁と前記ハウジングの内壁との溶け込み深さは、前記上シリンダヘッドの第2側の外周縁と前記ハウジングの内壁との溶け込み深さと同一であることを特徴とする請求項7に記載の圧縮機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機器の分野に関し、特に、ローリングロータ型圧縮機及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、密閉型圧縮機は、密閉ハウジングの内部空間に駆動力を発生させるためのモータと、前記モータに接続されて冷媒を圧縮するための圧縮部材と、を含む。密閉型圧縮機は、冷媒の圧縮機構の違いにより、往復動圧縮機、スクロール型圧縮機、ローリングロータ型圧縮機に分類されている。往復動圧縮機、スクロール型圧縮機及びローリングロータ型圧縮機は、いずれもモータの回転力を利用するものである。
【0003】
従来のローリングロータ型圧縮機は、部品が加工された後、ポンプ本体部分(主にクランク軸、ピストン、シリンダ、上シリンダヘッド及び下シリンダヘッド、羽根などを含む)に組み立てられて、3点/6点の溶接によりハウジングとポンプ本体とを接続するものが多い。しかしながら、このようにすれば、溶接による変形により元の組立精度を損ない、ロータとステータとの間のエアギャップが不均一になることにより、騒音が増大して性能が劣化してしまう。
【0004】
そこで、本発明は、圧縮機及びその製造方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、溶接による変形により元の組立精度を損なうことがないので、ロータとステータとの間のエアギャップを均一にすることを確保することができ、これにより、騒音を低減させ、性能を向上させることができる圧縮機及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、圧縮機を提供し、前記圧縮機は、ハウジングと、前記ハウジングに収容されているモータ及びシリンダと、前記モータの回転力を前記シリンダにおけるピストンに伝達して冷媒を圧縮するためのクランク軸と、前記シリンダとともに圧縮空間を限定すると共に、前記クランク軸を支持する上シリンダヘッド及び下シリンダヘッドと、を含み、前記上シリンダヘッドは、前記モータと前記シリンダとの間に位置し、前記上シリンダヘッドは、前記クランク軸が通過する貫通孔を有し、前記上シリンダヘッドは、前記モータに対向する第1側と、前記シリンダに対向する第2側とを有し、前記ハウジングの内壁は、前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁及び/又は第2側の外周縁にレーザー溶接され、溶接スポットの軸方向と前記ハウジングの内壁との間の角度の範囲は、0°〜45°である。
【0007】
好ましくは、前記溶接スポットの軸方向と前記ハウジングとの間の角度の範囲は、15°〜30°である。
【0008】
好ましくは、前記溶接スポットの溶け込み深さは、1.5mmよりも大きい。
【0009】
好ましくは、前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁と第2側の外周縁は、それぞれ前記ハウジングの内壁に周方向に沿って多点分布でレーザー溶接され、前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁と前記ハウジングの内壁との溶け込み深さは、前記上シリンダヘッドの第2側の外周縁と前記ハウジングの内壁との溶け込み深さと同一である。
【0010】
好ましくは、前記上シリンダヘッドの材料は、ねずみ鋳鉄であり、前記ハウジングの材料は、炭素鋼である。
【0011】
好ましくは、前記上シリンダヘッドの外周縁は、前記ハウジングの内壁部分にやや締り嵌め又は隙間嵌め、前記やや締り嵌めの場合、片側の締め代は、0.5mm未満であり、前記隙間嵌めの場合、片側の締め代は、−0.5mmよりも大きい。
【0012】
好ましくは、前記溶接スポットは、前記上シリンダヘッドの軸線に対して前記上シリンダヘッドの外周縁に対称的に分布している。
【0013】
好ましくは、前記溶接スポットは、前記上シリンダヘッドの軸線に対して前記上シリンダヘッドの外周縁に非対称的に分布している。
【0014】
本発明の他の態様によれば、ハウジング及び上シリンダヘッドを提供するステップと、前記ハウジングの内壁と前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁及び/又は第2側の外周縁とをレーザー発射器によりレーザー溶接するステップと、を含み、前記レーザー発射器の軸方向と前記ハウジングの内壁との間の角度の範囲は、0°〜45°であることを特徴とする圧縮機の製造方法をさらに提供する。
【0015】
好ましくは、前記溶接スポットの軸方向と前記ハウジングとの間の角度の範囲は、15°〜30°である。
【0016】
好ましくは、前記溶接スポットの溶け込み深さは、1.5mmよりも大きい。
【0017】
好ましくは、前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁と第2側の外周縁は、それぞれ2台のレーザー発射器により、同時に前記ハウジングの内壁に周方向に沿って多点分布でレーザー溶接され、前記上シリンダヘッドの第1側の外周縁と前記ハウジングの内壁との溶け込み深さは、前記上シリンダヘッドの第2側の外周縁と前記ハウジングの内壁との溶け込み深さと同一である。
【0018】
好ましくは、前記上シリンダヘッドの材料は、ねずみ鋳鉄であり、前記ハウジングの材料は、炭素鋼である。
【0019】
好ましくは、前記上シリンダヘッドの外周縁は、前記ハウジングの内壁部分にやや締り嵌め又は隙間嵌め、前記やや締り嵌めの場合、片側の締め代は、0.5mm未満であり、前記隙間嵌めの場合、片側の締め代は、−0.5mmよりも大きい。
【0020】
好ましくは、前記溶接スポットは、前記上シリンダヘッドの軸線に対して前記上シリンダヘッドの外周縁に対称的に分布している。
【発明の効果】
【0021】
本発明の圧縮機及びその製造方法は、溶接による変形により元の組立精度を損なうことがないので、ロータとステータとの間のエアギャップを均一にすることを確保することができ、これにより、騒音を低減させ、性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、以下の図面を参照して非限定的な実施例に対して行われる詳しい説明によってさらに明らかになる。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る圧縮機における上シリンダヘッドとハウジングの内壁との溶接を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2の実施例に係る圧縮機における上シリンダヘッドとハウジングの内壁との溶接を示す模式図である。
【
図8】本発明の第3の実施例に係る圧縮機における上シリンダヘッドとハウジングの内壁との溶接を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。ただし、例示的な実施形態は、複数種類の形態で実施されることができ、且つ、ここに記述する実施形態に限定されるものとして理解されるべきではない。逆に、これらの実施形態を提供することにより、本発明を全面で完全になると共に、例示的な実施形態の思想を全面で当業者に伝達する。図中の同一の符号は、同一または類似の構造を示すため、それらに対する繰り返しの説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明の圧縮機の断面図である。
図2は、本発明の第1の実施例に係る圧縮機における上シリンダヘッドとハウジングの内壁との溶接を示す模式図である。
図1〜
図2に示すように、本発明の圧縮機は、上カバー1、ハウジング2と、モータ3と、上シリンダヘッド4と、シリンダ5と、下シリンダヘッド6と、下カバー7と、液溜め容器8と、を含む。ここで、モータ3及びシリンダ5は、ハウジング2に収容されており、モータ3は、インナーロータ32とアウターステータ33とを含み、クランク軸31は、モータ3の回転力をシリンダ5におけるピストンに伝達して冷媒を圧縮する。上シリンダヘッド4及び下シリンダヘッド6は、シリンダ5とともに圧縮空間を限定すると共に、クランク軸31を支持する。上シリンダヘッド4は、モータ3とシリンダ5との間に位置し、上カバー1と下カバー7は、それぞれハウジング2の両端を覆い、液溜め容器8は、シリンダ5と連通しており、冷媒をシリンダ5に供給する。上シリンダヘッド4は、クランク軸31が通過する貫通孔を有し、上シリンダヘッド4は、モータ3に対向する第1側41と、シリンダ5に対向する第2側42とを有する。ハウジング2の内壁は、上シリンダヘッド4の第1側41の外周縁及び第2側42の外周縁にレーザー溶接され、溶接スポットの軸方向とハウジング2の内壁との間の角度の範囲は、0°〜45°である。上シリンダヘッド4の材料は、ねずみ鋳鉄であり、ハウジング2の材料は、炭素鋼であり、レーザー溶接により、ねずみ鋳鉄である上シリンダーヘッドは、2方向から炭素鋼であるハウジングと接合される。本実施例における溶け込み深さとは、母材の溶融部における最深位置と母材の表面との間の距離を指す。
【0025】
好ましい一実施例において、前記溶接スポットの軸方向とハウジング2との間の角度の範囲は、15°〜30°である。
【0026】
好ましい一実施例において、ハウジング2の内壁は、上シリンダヘッド4の第1側41の外周縁及び第2側42の外周縁に円周に沿ってレーザー溶接され、全周に亘って溶接されてもよく、2本以上のの溶接ビードが円周上に分布してもよい。
【0027】
好ましい一実施例において、前記溶接スポットは、前記上シリンダヘッドの軸線に対して前記上シリンダヘッドの外周縁に非対称的に分布してもよい。
【0028】
好ましい一実施例において、溶接スポットの溶け込み深さは、1.5mmよりも大きいが、これに限定されない。溶接スポットの溶け込み深さが1.5mmよりも大きいことにより、強度と剛性に対する要求を確保することができる。また、溶け込み深さが深いほど、接続部材の剛性が良好になる。
【0029】
好ましい一実施例において、上シリンダヘッド4の第1側41の外周縁と第2側42の外周縁は、それぞれハウジング2の内壁に周方向に沿って多点分布でレーザー溶接され、上シリンダヘッド4の第1側41の外周縁とハウジング2の内壁との溶け込み深さは、上シリンダヘッド4の第2側42の外周縁とハウジング2の内壁の溶け込み深さと同一である。溶け込み深さが同一である場合、溶接を上下から行う効果が最も優れ、上シリンダヘッド4とハウジング2の内壁との間の接続強度を十分に確保することができる。
【0030】
上シリンダヘッド4の外周縁は、ハウジング2の内壁部分にやや締り嵌め又は隙間嵌め、やや締り嵌めの場合、片側の締め代は、0.5mm未満であり、隙間嵌めの場合、片側の締め代は、−0.5mmよりも大きいが、これに限定されない。
【0031】
溶接スポットは、上シリンダヘッド4の軸線に対して上シリンダヘッド4の外周縁に対称的に分布しているが、これに限定されない。
【0032】
好ましい一実施例において、上シリンダヘッドの端面側の面取りの辺は、0.5mm以下である。
【0033】
図3は、
図2のM領域の拡大図である。
図4は、
図2のA方向から見た模式図である。
【0034】
図5は、
図2のB方向から見た模式図である。
図2〜
図5に示すように、本実施例において、上シリンダヘッド4の第1側41の外周縁は、ハウジング2の内壁にレーザー溶接されて複数の溶接スポット91を形成し、各溶接スポット91とハウジング2の内壁との間に角度aをなし、角度aの範囲は、0°〜45°であってもよく、好ましくは、15°〜30°である。同様に、上シリンダヘッド4の第2側42の外周縁は、ハウジング2の内壁にレーザー溶接されて複数の溶接スポット92を形成し、各溶接スポット92とハウジング2の内壁との間に角度bをなし、角度bの範囲は、0°〜45°であってもよく、好ましくは、15°〜30°である。
【0035】
図1〜
図5を参照すると、本発明は、ハウジング及び上シリンダヘッドを提供するステップと、ハウジングの内壁と上シリンダヘッドの第1側の外周縁及び/又は第2側の外周縁とをレーザー発射器によりレーザー溶接するステップと、を含み、前記レーザー発射器の軸方向とハウジングの内壁との間の角度の範囲が0°〜45°である圧縮機の製造方法をさらに提供する。上シリンダヘッドとハウジングとを円周に沿って溶接してから、接続部材に対して仕上げ加工を行うことにより、溶接による変形を低下させ、組立精度を向上させ、ロータとステータとの間のエアギャップをより均一にすることができる。ロータとステータとの間のエアギャップがより均一になるので、騒音が効果的に低減され、性能もさらに向上される。圧縮機の製造方法は、例えばポンプ本体部分(主にクランク軸、ピストン、シリンダ、上シリンダヘッド及び下シリンダヘッド、羽根を含む)を組み立てるなどのその他の一般的な取付けステップをさらに含み、ここで詳細な説明を省略する。
好ましい一実施例において、レーザー発射器の軸方向とハウジングとの間の角度の範囲は、15°〜30°である。
【0036】
好ましい一実施例において、溶接スポットの溶け込み深さは、1.5mmよりも大きい。
【0037】
好ましい一実施例において、上シリンダヘッドの第1側の外周縁と第2側の外周縁は、それぞれハウジングの内壁に周方向に沿って多点分布でレーザー溶接され、この時、上シリンダヘッドの第1側及び第2側に少なくとも2台のレーザー発射器をそれぞれ設置する必要があり、上シリンダヘッドの第1側の外周縁とハウジングの内壁との溶け込み深さは、上シリンダヘッドの第2側の外周縁とハウジングの内壁との溶け込み深さと同一である。
【0038】
好ましい一実施例において、上シリンダヘッドの材料は、ねずみ鋳鉄であり、ハウジングの材料は、炭素鋼である。溶接の時、ねずみ鋳鉄の炭素含有量は、炭素鋼であるハウジングの炭素含有量よりもが高く、レーザー溶接によるエネルギーを低炭素鋼のハウジングに可能な限り当てるべきであり、レーザー発射器とハウジングとの間の角度の範囲は、0°〜45°である。
【0039】
好ましい一実施例において、上シリンダヘッドの外周縁は、ハウジングの内壁部分にやや締り嵌め又は隙間嵌め、やや締り嵌めの場合、片側の締め代は、0.5mm未満であり、隙間嵌めの場合、片側の締め代は、−0.5mmよりも大きい。
【0040】
好ましい一実施例において、溶接スポットは、上シリンダヘッドの軸線に対して上シリンダヘッドの外周縁に対称的に分布している。
【0041】
好ましい一実施例において、前記溶接スポットは、前記上シリンダヘッドの軸線に対して前記上シリンダヘッドの外周縁に非対称的に分布してもよい。
【0042】
図6は、本発明の第2の実施例に係る圧縮機における上シリンダヘッドとハウジングの内壁との溶接を示す模式図である。
図7は、
図6のC方向から見た模式図である。
図6及び
図7に示すように、本発明の第2の実施例は、第1の実施例の変形例であり、第2の実施例におけるハウジング2の内壁は、上シリンダヘッド4の第1側41の外周縁に2箇所だけでレーザー溶接され、溶接スポット91は、上シリンダヘッド4の軸線に対して対称的に分布している。溶接スポット91の軸方向とハウジング2の内壁との間の角度aの範囲は、0°〜45°である。上シリンダヘッド4の第2側42がハウジング2の内壁に溶接される必要がなくなり、第2の実施例は、レーザー発射器の使用を減らし、製造コストと時間を節約する。
【0043】
図8は、本発明の第3の実施例に係る圧縮機における上シリンダヘッドとハウジングの内壁との溶接を示す模式図である。
図9は、
図8のD方向から見た模式図である。
図8及び
図9に示すように、本発明の第3の実施例は、第1の実施例の変形例であり、第3の実施例におけるハウジング2の内壁は、上シリンダヘッド4の第2側42の外周縁に複数の箇所だけでレーザー溶接される。溶接スポット92の軸方向とハウジング2の内壁との間の角度bの範囲は、0°〜45°である。上シリンダヘッド4の第1側41がハウジング2の内壁に溶接される必要がなくなり、第3の実施例も、レーザー発射器の使用を減らし、製造コストと時間を節約する。
【0044】
上記のように、本発明の圧縮機及びその製造方法は、溶接による変形により元の組立精度を損なうことがないので、ロータとステータとの間のエアギャップを均一にすることを確保することにより、騒音を低減し、性能を向上させることができる。
【0045】
以上は、具体的な好ましい実施形態と組み合わせて本発明を更に詳細に説明したが、本発明の具体的な実施は、これらの説明だけに限定されると考えられない。当業者にとって、本発明の思想を逸脱しない範囲で行ういくつかの単純な推論又は置換は、いずれも本発明の保護範囲に属すべきである。