特許第6911211号(P6911211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6911211非燃焼加熱型喫煙物品及び電気加熱型喫煙システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6911211
(24)【登録日】2021年7月9日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】非燃焼加熱型喫煙物品及び電気加熱型喫煙システム
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20210715BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20210715BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   A24D1/20
   A24F40/20
   A24D1/02
【請求項の数】16
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2020-558783(P2020-558783)
(86)(22)【出願日】2018年12月7日
(86)【国際出願番号】JP2018045101
(87)【国際公開番号】WO2020115898
(87)【国際公開日】20200611
【審査請求日】2021年1月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 亨
(72)【発明者】
【氏名】岩永 健一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 徳子
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2018−516565(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/088204(WO,A1)
【文献】 特表2018−512122(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03039972(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00−3/18
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこ充填材と、
前記たばこ充填材を取り囲むラッパーと、
を備えるたばこ部を有し、
前記たばこ部の硬さは、前記たばこ部の直径の10%相当の長さを前記たばこ部の直径方向に前記たばこ部を押し込んだときに、0.41〜1.5Nであり、
前記ラッパーは、2以上のシートを貼り合わせて形成され、
前記ラッパーの引張強さは、前記たばこ部の軸方向と交差する横方向に関して10〜30Nである非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項2】
前記ラッパーは、
金属製の第1シートと、
紙製の第2シートと、
を有する請求項1に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項3】
前記第1シートは、前記たばこ充填材側に位置され、前記第2シートは外側に位置される請求項2に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項4】
前記ラッパーは、前記第2シートが貼り合わされた前記第1シートの第1面とは反対の第2面側に貼り合わされた紙製の第3シートを有する請求項2又は請求項3に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項5】
前記ラッパーは、
紙製の第1シートと、
紙製の第2シートと、
を有する請求項1に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項6】
前記ラッパーの坪量は、30〜70g/mである請求項1〜5のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項7】
前記ラッパーの厚さは、35〜80μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項8】
前記ラッパーの白色度は、78〜100%であり、
前記ラッパーの不透明度は、60〜100%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項9】
前記横方向に関する前記ラッパーの破断時までの伸びは、0.1〜8%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項10】
前記横方向に関する前記ラッパーの1%応力は、4〜10Nである請求項1〜9のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項11】
前記ラッパーは、前記第1シートと、前記第2シートと、を接着する接着部を有し、
前記接着部は、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤又はスターチ糊である請求項2〜のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項12】
前記たばこ充填材は、葉たばこ粉砕物をシート状に成形したシート状成形物および/または葉たばこの刻みを、ランダムな配向で充填して形成される請求項1〜11のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項13】
前記たばこ部における前記たばこ充填材の充填密度は、0.3〜0.5g/ccである請求項1〜12のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項14】
前記たばこ充填材から発生するエアロゾルをろ過するフィルター部と、
前記フィルター部と前記ラッパーとを連結する筒状の連結部と、
を備え、
前記連結部は、通気孔部を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項15】
前記フィルター部は、
中空部を有する第1セグメントと、
前記第1セグメントと隣接した中実の第2セグメントと、
を有する請求項14に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品と、
前記非燃焼加熱型喫煙物品を加熱するヒータと、
を備える電気加熱型喫煙システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を伴わない非燃焼加熱型喫煙物品及び電気加熱型喫煙システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気加熱式の喫煙物品が開示されている(特許文献1、2)。これらの喫煙物品では、本体の差し込み部に対してたばこ充填物を含むロッドを差し込んで使用される。使用の際には、燃焼を伴わずに、ロッドが加熱されることで、主流煙としてのエアロゾルが生成される。
【0003】
ロッドの周囲、或いは、ロッドの中心部から加熱してたばこ揮発成分をデリバリーする電気加熱式の喫煙製品は、よりよい香味発現性を担保するために伝統的シガレットに比べ香味成分を含むたばこ充填材を高密度にする設計が好まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016−538863号公報
【特許文献2】国際公開第2010/047389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たばこ充填材の密度および/又は体積が高くなると、たばこ充填材を取り巻いている巻紙に作用する反発力が大きくなり、伝統的シガレットに使用される巻紙ではその反発力により紙が円周方向に伸ばされてしまう。これによって、製造直後からの時間経過に伴い、不規則にロッドが膨らんでロッドの円周長および直径が増大してしまう。
【0006】
電気加熱式の喫煙物品において、ロッドは、筒状のヒータに差し込んで使用される。このため、ロッドの円周長および直径は、重要なパラメータであり、適正にコントロールする必要がある。なぜなら、ロッドの円周長が長くなり、直径が適正な値よりも大きくなってしまった場合には、使用の際に筒状のヒータ内に差し込むことが困難になる。一方、これを見越してロッドを予め細めに製造することも考えられる。しかしながら、円周長の変化量は、環境条件により変動し、必ずしも一定ではない。このため、時間経過に伴い増大する円周長を予測することは難しい。例えば、使用の際に適正な範囲よりも小さくなってしまった場合は、ロッドが筒状のヒータから脱落しやすくなり、この場合も製品の不具合とみなされる。これに加えて、外側からロッドを加熱するタイプの喫煙物品である場合には、ロッドとヒータとの間に隙間を生じることとなり、ヒータからロッドに熱が伝わりにくくなる。このため、設計値通りの香味発現性が担保できなくなる。
【0007】
本発明は、たばこ部の円周長を適切に管理することが可能な非燃焼加熱型喫煙物品及び電気加熱型喫煙システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの形態にかかる非燃焼加熱型喫煙物品は、たばこ充填材と、前記たばこ充填材を取り囲むラッパーと、を備えるたばこ部を有し、前記たばこ部の硬さは、前記たばこ部の直径の10%相当の長さを前記たばこ部の直径方向に前記たばこ部を押し込んだときに、0.41〜1.5Nであり、前記ラッパーは、2以上のシートを貼り合わせて形成され、前記ラッパーの引張強さは、前記たばこ部の軸方向と交差する横方向に関して10〜30Nである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、たばこ部の円周長を適切な範囲内に管理可能な非燃焼加熱型喫煙物品及び電気加熱型喫煙システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の電気加熱型喫煙システムを示す断面模式図である。
図2図2は、図1に示す電気加熱型喫煙システムのロッドを拡大して示す断面模式図である。
図3図3は、図2に示すロッドにおいて、第1形態のたばこ部のラッパーおよびたばこ充填材を示す断面図である。
図4図4は、図2に示すロッドにおいて、第2形態のたばこ部のラッパーおよびたばこ充填材を示す断面図である。
図5図5は、図2に示すロッドにおいて、第3形態のたばこ部のラッパーおよびたばこ充填材を示す断面図である。
図6図6は、実施形態の電気加熱型喫煙システムの本体にロッドを差し込む過程を示した断面模式図である。
図7図7は、実施例1〜3の製品仕様および各種試験の結果を示す表である。
図8図8は、比較例1〜7の製品仕様および各種試験の結果を示す表である。
図9図9は、実施例1〜3、比較例1〜7のたばこ部の円周長の変化量の結果を示す表である。
図10図10は、レオメータを用いた新方法によってたばこ部の硬さ(巻硬さ)を測定する過程を示す模式図である。
図11図11は、実施例1〜4、比較例1〜7の18mm法での横方向における引張強さおよび伸びの関係を示すグラフである。
図12図12は、実施例1〜3、比較例1〜6の18mm法での横方向における伸びと、180mm法での横方向における伸びと、の関係を示すグラフである。
図13図13は、巻前の実施例1、比較例1、比較例4の18mm法での横方向に関する引張強さ、伸び、1%応力と、巻上げ品の実施例1*、比較例1*、比較例4*の、18mm法での横方向に関する引張強さ、伸び、1%応力と、を示す表である。
図14図14は、巻前の実施例1、比較例1、比較例4の18mm法での横方向に関する引張強さ・伸びと、巻上げ品の実施例1*、比較例1*、比較例4*の18mm法での横方向に関する引張強さ・伸びと、の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図6を参照して、電気加熱型喫煙システムの実施形態について説明する。図面は、発明の各構成要素を模式的に示したものである。このため、図面上の寸法が実際の製品上の寸法とは必ずしも一致しない場合がある
図1に示すように、電気加熱型喫煙システム11は、伝統的な紙巻たばこ(シガレット)とは異なり、燃焼を伴わないでたばこ充填材を加熱により温めて、たばこの香味を味わうことができる加熱式のものである。
【0012】
電気加熱型喫煙システム11は、本体12と、本体12の差し込み部13に対して着脱されるロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)と、を有する。
【0013】
本体12は、箱状をなした筐体15と、ロッド14の形状に沿って円筒形に窪んだ差し込み部13と、を有する。本体12は、電池16と、制御回路17と、感圧部20と、伝熱部18(伝熱管)と、伝熱部18の周囲に設けられたヒータ21と、を筐体15の内部に有する。筐体15は、通気穴22と、本体12の起動用のスイッチ29と、を有する。通気穴22は、筐体15の外部と差し込み部13とを連通させ、差し込み部13に差し込まれたロッド14に空気を供給できる。
【0014】
制御回路17は、電池16から電力供給を受けるとともに、ヒータ21に通電してヒータ21の温度を適切な範囲内(100〜400℃)に調節する。感圧部20は、感圧センサで構成され、制御回路17から電力供給を受ける。感圧部20は、筐体15内部の負圧を感知することで、ユーザが吸引したことを検出する。
【0015】
差し込み部13は、筐体15の他の部分から円筒形に窪んで形成される。差し込み部13には、伝熱部18が設けられている。差し込み部13にロッド14を差し込んだとき、ロッド14の周囲に伝熱部18およびヒータ21が配置される。
【0016】
伝熱部18は、中空円筒形をなしており、ヒータ21の内側に設けられている。伝熱部18は、金属材料によって形成される。伝熱部18を構成する金属材料は、金、銀、銅、アルミニウム、あるいはそれらを用いた合金等、熱伝導率の大きい金属であることが好ましい。
【0017】
ヒータ21は、例えば、ニクロム線等の一般的な電熱線で構成される。ヒータ21は、伝熱部18の周囲に巻き回されて円筒状に配置される。なお、ヒータ21の加熱方式は、電気抵抗によるジュール熱を用いたものに限られるものではなく、例えばIH(Induction Heating)方式でもよいし、酸化熱等の化学反応を用いた方式であってもよい。ヒータ21は、ロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)を加熱することができる。その場合は、加熱方式にあった伝熱部18の材料、形状が選択されてもよい。なお、ヒータ21は、ロッド14(非燃焼加熱喫煙物品)を外側から加熱している。ヒータは、ロッド14(たばこ部24)の内部に差し込み可能なブレード状に形成され、ロッド14を内側から加熱するものであってもよい。
【0018】
図2に示すように、ロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)は、円柱形状に形成される。円柱状のロッド14の円周の長さは16mm〜27mmであることが好ましく、20mm〜26mmであることがより好ましく、21mm〜25mmであることがさらに好ましい。ロッド14の全長(水平方向の長さ)は特に限定されないが、40mm〜90mmであることが好ましく、50mm〜75mmであることがより好ましく、50mm〜60mmであることがさらに好ましい。
【0019】
ロッド14は、たばこ充填材23が充填されたたばこ部24と、吸口25を構成するフィルター部26と、たばこ部24とフィルター部26とを連結する筒状の連結部27と、連結部27に設けられた通気孔部28と、を有する。通気孔部28は、連結部27を厚み方向に貫通するように2以上の貫通孔を有する。2以上の貫通孔は、ロッド14の中心軸の延長線上から見て、放射状に配置するように形成される。本実施形態では、通気孔部28は、連結部27に設けられているが、フィルター部26に設けられていてもよい。また、本実施形態では、通気孔部28の2以上の貫通孔は、1つの円環上に一定間隔を空けて1列に並んで設けられるが、2つの円環上に一定の間隔を空けて2列に並んで設けられていてもよいし、1列又は2列の通気孔部28が不連続又は不規則に並んで設けられていてもよい。ユーザが吸口25を加えて吸引する際に、通気孔部28を介して主流煙中に外気が取り込まれる。
【0020】
フィルター部26は、たばこ充填材23から発生するエアロゾルをろ過することができる。フィルター部26は、円柱形をなしている。フィルター部26は、酢酸セルロースアセテート繊維が充填されて構成されたロッド状の第1セグメント31と、同じく酢酸セルロースアセテート繊維が充填されて構成されたロッド状の第2セグメント32と、を有する。第1セグメント31は、たばこ部24側に位置している。第1セグメント31は、中空部を有していてもよい。第2セグメント32は、吸口25側に位置している。第2セグメント32は、中実である。第1セグメント31および第2セグメント32のそれぞれは、インナープラグラッパー33によって周囲が巻かれている。第1セグメント31および第2セグメント32は、アウタープラグラッパー34によって連結されている。アウタープラグラッパー34は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤等によって第1セグメント31および第2セグメント32に接着されている。
【0021】
フィルター部26の長さを例えば10〜30mm、連結部27の長さを例えば10〜30mm、第1セグメント31の長さを例えば5〜15mm、第2セグメント32の長さを例えば5〜15mmとすることができる。これら個々のセグメントの長さは、一例であり、製造適性、要求品質、たばこ部24の長さ等に応じて、適宜変更できる。
【0022】
例えば、第1セグメント31(センターホールセグメント)は、1つまたは複数の中空部を有する第1充填層と、第1充填層を覆うインナープラグラッパー33と、で構成される。第1セグメント31は、第2セグメント32の強度を高める機能を有する。第1セグメント31の第1充填層は、例えば酢酸セルロース繊維が高密度で充填されている。この酢酸セルロース繊維には、トリアセチンを含む可塑剤が酢酸セルロースの質量に対して、例えば6〜20質量%添加されて硬化されている。第1セグメント31の中空部は、例えば内径φ1.0〜φ5.0mmである。
【0023】
第1セグメント31の第1充填層は、第2セグメント32の第2充填層よりも繊維の充填密度が高い。このため、吸引時には、空気やエアロゾルが中空部のみを流れることになり、第1充填層には空気やエアロゾルがほとんど流れない。例えば、第2セグメント32において、エアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたい場合には、例えば第2セグメント32の長さを短くして、その分だけ第1セグメント31を長くすることもできる。
【0024】
短縮した第2セグメント32を第1セグメント31で置き換えることは、エアロゾル成分のデリバリー量を増大させるために有効である。第1セグメント31の第1充填層が繊維充填層であることから、使用時の外側からの触り心地は、使用者に違和感を生じさせることがない。
【0025】
第2セグメント32は、第2充填層と、第2充填層を覆うインナープラグラッパー33と、で構成される。第2セグメント32(フィルターセグメント)は、酢酸セルロース繊維が一般的な密度で充填されており、一般的なエアロゾル成分の濾過性能を有する。
【0026】
第1セグメント31と第2セグメント32との間で、たばこ部24から放出されるエアロゾル(主流煙)をろ過するろ過性能を異ならせてもよい。第1セグメント31および第2セグメント32の少なくとも一方に、香料を含ませてもよい。フィルター部26の構造は任意であり、上記のような複数のセグメントを有する構造であってもよいし、単一のセグメントによって構成されていてもよい。
【0027】
連結部27は、円筒形をなしている。連結部27は、例えば厚紙等によって円筒形に形成された紙管35と、紙管35の周囲を取り囲むライニングペーパー36と、を有する。ライニングペーパー36の一方の面(内面)には、通気孔部28の付近を除く全面又は略全面に酢酸ビニルエマルジョン系接着剤が塗布されている。ライニングペーパー36は、たばこ部24、紙管35、およびフィルター部26の外側に円筒形に巻かれて、これらを一体的に連結している。複数の通気孔部28は、ライニングペーパー36によって、たばこ部24、紙管35、およびフィルター部26が一体にされた後に、外側からレーザ加工を施して形成される。
【0028】
たばこ部24は、円柱形をなしている。たばこ部24の全長(軸方向の長さ)は、例えば、20〜70mmであることが好ましく、20〜50mmであることがより好ましく、20〜30mmであることがさらに好ましい。たばこ部24の断面の形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、多角形等であることができる。
【0029】
たばこ部24は、たばこ充填材23と、たばこ充填材23を取り囲んだラッパー41と、を有する。ラッパー41は、たばこ充填材23の周囲に巻き回されている。たばこ充填材23は、葉たばこ(乾燥葉)の刻み、および/または葉たばこ粉砕物をシート状に成形したものを所定幅に刻んだもの(シート状成形物)で構成される。たばこ充填材23は、葉たばこ粉砕物をシート状に成形したものを所定幅に刻んだもの(シート状成形物)および/または葉たばこ(乾燥葉)の刻みをランダムな配向で充填して形成される。このシート状成形物には、エアロゾル生成基材および第2香料成分が含まれていてもよい。葉たばこの刻みに対して、エアロゾル生成基材および第2香料成分が添加・含有されていてもよい。エアロゾル生成基材は、グリセリン、プロピレングリコール(PG)、トリエチルシトレート(TEC)、トリアセチン、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明に係るたばこ充填材(たばこ充填物)23は、たばこと、エアロゾル生成基材とを含む。たばこ充填材23は、さらに第2香料成分、水等を含んでもよい。たばこ充填材23として用いるたばこの大きさやその調製法については特に制限はない。たばこ充填材23には、例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8〜1.2mmの細長い帯状に刻んだものを用いることができる。前記幅に刻んだ場合、たばこ葉の刻みの長さは、おおよそ、1〜40mm程度となる。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20〜200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8〜1.2mmの細長い帯状に刻んだもの(シート状成形物)をたばこ充填材23として用いてもよい。前記幅に刻んだ場合、刻みの長さは、おおよそ、1〜40mm程度となる。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものをたばこ充填材23として含ませてもよい。乾燥したたばこ葉を刻んで使用する場合であっても、粉砕して均一化したシートとして用いる場合でも、たばこ充填材23に含まれるたばこの種類は、様々のものを用いることができる。たばこ充填材23には、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、および、その他のニコチアナ・タバカム種、ニコチアナ・ルスチカ種、ニコチアナ・トメントーサ種を、目的とする味となるように適宜ブレンドして用いることができる。前記たばこの品種の詳細は、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。たばこを粉砕して均一化シートに加工する方法は従来の方法が複数存在している。1つは抄紙プロセスを用いて作られる抄造シートであり、2つは水等の適切な溶媒及び必要な種類/量のバインダーをたばこ粉砕物と混ぜて均一化したのちに金属製板もしくは金属製板ベルトの上に均一化物を薄くキャスティングし、乾燥させて作られるキャストシートであり、3つは水等の適切な溶媒及び必要な種類/量のバインダーをたばこ粉砕物と混ぜて均一化したものをシート状に押し出し成型した圧延シートがある。前記均一化シートの種類については、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。
【0031】
たばこ充填材23には、葉たばこ(乾燥葉)および葉たばこ粉砕物をシート状に成形したものに対して、エアロゾル生成基材および第2香料が塗布又は含有されることが好ましい。エアロゾル生成基材は、葉たばこ(乾燥葉)および葉たばこ粉砕物をシート状に成形したものに対して10〜30重量%で含有されることが好ましい。エアロゾル生成基材は、加熱によりエアロゾルを生成し得る材料であり、例えばグリセリン、プロピレングリコール(PG)、トリエチルシトレート(TEC)、トリアセチン、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0032】
たばこ充填材23に含まれる第2香料成分は、電気加熱型喫煙システム11に用いられる香料であれば限定されることなく任意の香料を使用することができる。当該第2香料成分は、メンソール、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、葛草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、チョウジ、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイ皮、キャラウェー、ジャスミン、ジンジャー、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、コーヒー、セロリー、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、ピーチエキス等)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、カラメル等)、ココア類(パウダー、エキス等)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリル等)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマルトール等)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノール等)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド等)、ラクトン類(例えば、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン等)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウム等)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネン等)、たばこ植物(たばこ葉、たばこ茎、たばこ花、たばこ根、およびたばこ種)の抽出物からなる群より選ばれる1種を用いることができる。特に好ましくはメンソールである。或いは、第2香料成分は、上記群より選ばれた2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
第2香料成分は、固体で使用されてもよいし、適切な溶媒、例えばプロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレートに溶解または分散させて使用されてもよい。好ましくは、乳化剤の添加により溶媒中で分散状態が形成されやすい香料、たとえば疎水性香料や油溶性香料等を用いることができる。これらの第2香料成分は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0034】
たばこ部24におけるたばこ充填材23の充填密度(巻密度)は、例えば0.3〜0.5g/ccとし、好ましくは0.35〜0.45g/ccとし、より好ましくは0.37〜0.41g/ccとしうる。具体的にはたばこ部24中のたばこ充填材23の含有量の範囲は、円周22mm、長さ20mmのたばこ部24の場合、たばこ部24あたり225〜380mgとすることができ、好ましくは265〜340mgとすることができ、より好ましくは280〜310mgとしうる。たばこ部24の硬さ(巻硬さ、たばこ部24の反発力)は、後述の実施例で説明する新方法で測定したとき、例えば、0.41〜1.5Nとし、好ましくは0.8〜1.4Nとし、より好ましくは0.94〜1.34Nとしうる。新方法で測定する際のたばこ部24の長さは、特に限定されるものではないが、例えば、5〜15mmとしうる。
【0035】
一方、後述の実施例で説明する従来方法で測定した、たばこ部24の硬さ(巻硬さ)は、例えば、80〜95%とし、好ましくは85〜90%とし、より好ましくは85.1〜86.4%としうる。従来方法での測定条件は、これに限定されるものではないが、例えば、たばこ部24に加えられる負荷Fは、例えば1〜3kgであり、負荷が加えられる時間tは、例えば5秒間〜数分間である。
【0036】
図3に第1形態のラッパー41を示す。ラッパー41は、金属製の第1シート42と、紙製の第2シート43と、第1シート42と第2シート43とを接着する接着部45と、を有してもよい。第2シート43は、第1シート42のたばこ充填材23と対向する面とは反対側の面に接着されている。したがって、たばこ部24では、第1シート42が内側(たばこ充填材23側)に位置し、第2シート43が外側に位置する。このため、ラッパー41は、外側から見たときに、紙の外観を有する。
【0037】
図4に第2形態のラッパー41を示す。ラッパー41は、金属製の第1シート42と、紙製の第2シート43(外シート)と、紙製の第3シート44(内シート)と、第1シート42と第2シート43とを接着する接着部(第1接着部)45と、第1シート42と第3シート44とを接着する第2接着部46と、を有していてもよい。第2シート43は、第1シート42の第1面(外側)に接着されている。第3シート44は、第1シート42の前記第1面とは反対側の第2面(内側、たばこ充填材23側)に接着されている。したがって、ラッパー41は、表面・裏面ともに、紙の外観を有する。
【0038】
図5に第3形態のラッパー41を示す。ラッパー41は、図5に示す形態であってもよい。ラッパー41は、紙製の第1シート42と、紙製の第2シート43と、第1シート42と第2シート43とを接着する接着部45と、を有してもよい。第2シート43は、第1シート42のたばこ充填材23と対向する面とは反対側の面に接着されている。したがって、たばこ部24では、第1シート42が内側(たばこ充填材23側)に位置し、第2シート43が外側に位置する。この形態でも、ラッパー41は、表面・裏面ともに、紙の外観を有する。
【0039】
ロッド14(非燃焼加熱喫煙物品)のたばこ部24において、上記3形態のうち、いずれか1つの形態ラッパー41を採用することができる。
【0040】
上記第1形態および第2形態のように、第1シート42が金属で形成される場合に、第1シート42の金属箔を構成する材料は、熱伝導率が良好で、安価でさびにくく、加工特性が高い金属箔が望ましく、例えば、アルミニウム、銅、金、銀、錫からなる群より選ばれる1種もしくはこれらの合金を用いることができる。第1シート42の厚さは、6〜18μmであることが好ましく、6〜12μmであることがより好ましく、6〜8μmであることがより一層好ましい。第1シート42の厚さの下限は、第1シート42、および第2シート43を貼り合わせる際のハンドリングの容易性等によって決定される。すなわち、第1シート42の厚さが6μmよりも小さいと、強度不足を生じて、貼り合わせ時に第1シート42が裂けてしまう可能性が高くなる。第1シート42の厚さの上限は、ロッド14の外観品質等によって決定される。すなわち、第1シート42の厚さが18μmよりも大きいと、ラッパー41のこわさ(クラーク剛度)が大きくなり、円柱形に巻き上げられたロッド14の真円度が低下する可能性が高くなる。第1シート42の金属箔を構成する材料は、耐火性、耐食性、加工性および製造コスト等の観点から、アルミニウムが好ましい。
【0041】
接着部45は、第1シート42と第2シート43とを接着しており、好ましくはこれらを全面で接着する。第2形態のラッパー41を採用した場合には、第2接着部46は、第1シート42と第2シート43とを接着し、好ましくはこれらを全面で接着する。接着部45および第2接着部46は、例えば、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤で構成されることが好ましい。或いは、接着部45および第2接着部46は、例えば、スターチ糊(デンプン糊)で構成されてもよい。
【0042】
上記第3形態のラッパー41のように、第1シート42が紙で形成される場合には、第1シート42は、10〜30g/m、好ましくは15〜25g/mの坪量を有する。第2シート43は、10〜30g/m、好ましくは15〜25g/mの坪量を有する。第1シート42および第2シート43は、坪量その他が互いに同一であってもよいし、坪量その他が互いに異なっていてもよい。
【0043】
ラッパー41全体としての坪量は、例えば、30〜70g/mとし、好ましくは35〜65g/mとし、より好ましくは38〜60g/mとしうる。ラッパー41全体としての厚さは、30〜80μmとし、好ましくは35〜75μmとし、より好ましくは38〜70μmとしうる。本実施形態のロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)では、燃焼を伴わないために、ラッパー41に通気度はほとんど必要なく、ラッパー41の通気度は、例えば0〜3C.Uである。
【0044】
ラッパー41の白色度(ISO 2470)は、例えば70〜100%とし、好ましくは75〜95%とし、より好ましくは78〜93%としうる。ラッパー41の不透明度(ISO 2471)は、例えば60〜100%とし、好ましくは65〜95%とし、より好ましくは66〜93%としうる。
【0045】
たばこ部24の軸方向、すなわち縦方向のラッパー41の引張強さは、後述の実施例で説明する180mm法(JIS P 8113)で測定したとき、例えば、20〜50Nであり、好ましくは24〜47Nであり、より好ましくは25.7〜45.8Nである。この場合、縦方向は、順目の方向(抄紙機での紙の進行(漉き目)方向):MD(machine direction))であり、たばこ部の軸方向に相当する。縦方向のラッパー41の伸びは、180mm法(JIS P 8113)で測定したとき、例えば、0.3〜8%であり、好ましくは0.5〜7%であり、より好ましくは0.6〜6.8%である。ラッパー41の縦方向(MD)のクラーク剛度(JIS P 8143 2009 紙−こわさ試験方法−クラークこわさ試験機法)は、例えば25〜45cm/100であり、好ましくは26〜44cm/100であり、より好ましくは27〜43.8cm/100である。
【0046】
たばこ部24の軸方向と交差する方向である横方向のラッパー41の引張強さは、180mm法(JIS P 8113)で測定したとき、例えば、18〜37Nであり、好ましくは19〜36Nであり、より好ましくは20.2〜34.9Nである。この場合、横方向は、逆目の方向(抄紙機での幅方向(紙の進行方向と直交する方向):CD(crossmachinedirection))であり、たばこ部の軸方向と直交する方向に相当する。横方向のラッパー41の伸び(%)は、180mm法(JIS P 8113)で測定したとき、例えば、0.1〜5%であり、好ましくは0.8〜4.5%であり、より好ましくは2.8〜4.2%である。横方向(CD)のラッパー41のクラーク剛度は、例えば20〜30cm/100であり、好ましくは20.5〜28.2cm/100である。
【0047】
たばこ部(たばこ部24)の軸方向と交差する方向である横方向に関するラッパー41の引張強さは、後述の実施例で説明する18mm法で測定したとき、例えば、10〜30Nであり、好ましくは13〜27Nであり、より好ましくは14.4〜24.9Nである。
【0048】
たばこ部(たばこ部24)の軸方向と交差する方向である横方向に関するラッパー41の伸び(%)は、18mm法で測定したとき、例えば、0.1〜8%であり、好ましくは4〜7%であり、より好ましくは4.4〜6.9%である。
【0049】
18mm法で測定したとき、横方向に関してラッパー41が1%伸びたとき(すなわち、0.18mm伸びたとき)の応力である1%応力は、例えば、4〜10Nであり、好ましくは5〜9Nであり、より好ましくは5.5〜8.4Nである。
【0050】
続いて、電気加熱型喫煙システム11の作用について説明する。図6に示すように、本体12の差し込み部13に対してロッド14を差し込むことで、本体12に対してロッド14が装着される。この状態で、ユーザがスイッチ29を押し下げて本体12を起動状態にすると、制御回路17がヒータ21を駆動して、ヒータ21および伝熱部18を所定の温度(例えば、100〜400℃)まで昇温させる。これによって、たばこ部24が加熱される。この状態で、ユーザが吸口25をくわえて吸引を開始すると、たばこ部24からたばこの香味を含む蒸気(エアロゾル)が放出される。当該蒸気は、通気孔部28から連結部27の内部に流入した空気によって冷却され、より確実なエアロゾル化(微小な液滴化)がなされる。
【0051】
当該エアロゾルは、フィルター部26で適切にろ過されてユーザの口腔内に届けられる。これによって、ユーザは、たばこの香味を味わうことができる。このとき、制御回路17は、感圧部20を介して筐体15内の負圧を感知する。これによって、制御回路17は、ユーザが吸引を行った回数をカウントしたり、総吸引時間を算出したりすることができる。制御回路17は、スイッチ29の押し下げ後から所定時間経過したり、ユーザが所定回数の吸引を行ったり、ユーザの総吸引時間が所定の時間を超えたり、或いはユーザが再度スイッチ29を押し下げて起動状態を解除したり、した場合に、ヒータ21および伝熱部18の加熱を停止する。これによって、1回の喫煙動作が完了する。そして、ユーザが差し込み部13から使用後のロッド14を除去して、新しいロッド14を差し込み部13に差し込むことで、ユーザは再び新しいロッド14からたばこの香味を味わうことができる。
【0052】
本実施形態の電気加熱型喫煙システム11の製造方法について説明する。電気加熱型喫煙システム11の製造方法は、種々の方法を取り得るが、以下では製造方法の一例について説明する。まず、ラッパー生産ラインにおいて、第1シート42に対して第2シート43を接着する。ラッパーが第2形態である場合には、第1シート42に対して第2シート43を接着するだけでなく、第1シート42に第3シート44を接着する。その際、例えば、第1シート42の一方の面に接着部45となる酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を塗布する。ラッパーが第2形態である場合には、第1シート42と第2シート43との接着と並行あるいは前後して、例えば、第3シート44の一方の面に第2接着部46となる酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を塗布する。
【0053】
その後、第1シート42および第2シート43がローラ対の間を通されて、第1シート42に対して第2シート43が接着される。ラッパーが第2形態である場合には、第1シート42、第2シート43、および第3シート44がローラ対の間を通されて、第1シート42に対して第2シート43および第3シート44が接着される。これらが一体となったラッパー41は、必要に応じて、カッター等で所定幅に切断されてもよい。なお、この切断工程は、一体となったラッパー41を巻き取ってロール状にした後に行ってもよい。また、シート同士を接着する方法は、任意であり、ローラ対を用いずに、作業者が手作業で第1シート42および第2シート43を、或いは、第1シート42、第2シート43および第3シート44を、貼り合わせても当然によい。
【0054】
その後、ラッパー41は、一般的なたばこ巻き上げ機に導入されて、たばこ充填材23の周囲に巻き回される。このとき、ラッパー41は、第1シート42が内側(たばこ充填材23側)になるように、たばこ巻き上げ機にセットされる。これによってたばこ部24が形成される。たばこ部24は、別途に作成された紙管35およびフィルター部26と直列的に並べられる。ライニングペーパー36により、これら、たばこ部24、紙管35、およびフィルター部26を直列的かつ一体に巻き上げることで、電気加熱型喫煙システム11のロッド14が製造される。
【0055】
電気加熱型喫煙システム11の本体12についても、公知の電子機器の製造方法によって製造できる。このように製造されたロッド14および本体12を組み合わせて、電気加熱型喫煙システム11が実現される。
【0056】
なお、ラッパー41が第2形態で形成される場合には、接着工程に続いて、ラッパー41の内側の第3シート44に対して、たばこ充填材23に含まれる第2香料成分と同一又は異なる第1香料成分が塗布されてもよい。この第1香料成分は、エチルアルコール等に溶解された状態でノズルから第3シート44に塗布される。エチルアルコール等が蒸発した後に、ラッパー41をボビンに巻き取ってラッパー41が完成する。ラッパー41は、必要に応じて所定幅に切断される。第3シート44に第1香料成分を塗布した場合には、ボビンに巻かれたラッパー41は、袋等に包まれて密閉されて保管される。当該ラッパー41は、ガスバリア性の高い包装容器、例えば、所定の厚みを有するナイロンと、所定の厚みを有する低密度ポリエチレンと、を重ね合わせた、いわゆる真空パック等で密封されることが好ましい。ガスバリア性の高い包装容器に収納された当該ラッパー41は、温度15〜30℃、相対湿度50〜90%の環境下にて保管されることが好ましい。第1香料成分が付加されたラッパー41は、他のラッパー41と同様に、一般的なたばこ巻き上げ機に導入されて、たばこ充填材23の周囲に巻き回される。その工程は、上記と同様である。
【0057】
実施形態によれば、以下のことがいえる。
【0058】
非燃焼加熱型喫煙物品(ロッド14)は、たばこ充填材23と、たばこ充填材23を取り囲むラッパー41と、を備えるたばこ部24を有し、たばこ部24の硬さは、たばこ部24の直径の10%相当の長さをたばこ部24の直径方向にたばこ部24を押し込んだときに、0.41〜1.5Nであり、ラッパー41は、2以上のシートを貼り合わせて形成され、ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して10〜30Nである。
【0059】
この構成によれば、ラッパー41が2以上のシートを貼り合わせて形成される構造で、且つ引張強さが横方向に関して18mm法で測定したときに10〜30Nであるために、硬さが硬いたばこ部24を有する非燃焼加熱型喫煙物品において、たばこ部24の円周長を適切に管理することができる。これによって、たばこ部24の円周長が蔵置中に大きくなってしまうことがなく、差し込み部13の周囲に非燃焼加熱型喫煙物品が引っ掛かって差し込みが困難になったり、或いは、使用後に差し込み部13から非燃焼加熱型喫煙物品を取り出す際に、差し込み部13内に非燃焼加熱型喫煙物品の一部を残留させてしまったりする事態を生じることを防止できる。
【0060】
或いは、蔵置中のたばこ部24の円周長の増加を考慮して、予めたばこ部24を小さく作りすぎてしまった場合で、且つ、予測した通りにたばこ部24の円周長の増加が起こらなかった場合には、電気加熱型喫煙システム11の差し込み部13に差し込まれた非燃焼加熱型喫煙物品と、電気加熱型喫煙システム11のヒータ21・伝熱部18と、の間に隙間を生じてしまう場合がある。そのような場合には熱伝導性が悪化して、設計値通りの加熱が行えない可能性がある。本実施形態の非燃焼加熱型喫煙物品によれば、たばこ部24の円周長の管理を適切に行えるために、非燃焼加熱型喫煙物品を効果的にヒータ21・伝熱部18等に接触又は近づけることができ、設計値通りの加熱を行って、ユーザに高品質なたばこの香味を届けることができる。たばこ部24の硬さを硬くできれば、差し込み部13に非燃焼加熱型喫煙物品を差し込む際に、たばこ部24がつぶれたり、折れ曲がったりすることがなく、差し込みを容易にしたり、非燃焼加熱型喫煙物品の取り外しに生じるたばこ充填材23のこぼれを防止できる。また、たばこ部24の硬さを硬くできれば、たばこ充填材23の充填量も大きくなり、それによって十分な量のエアロゾルを生成することもできる。これによって、電気加熱型喫煙システム11の香喫味に対して満足感をユーザに与えることができる。
【0061】
この場合、ラッパー41は、金属製の第1シート42と、紙製の第2シート43と、を有する。この構成によれば、金属製の第1シート42によってラッパー41の引張強さ等を大きくすることができるため、従来の1枚の紙で構成されるラッパー41に比して、より適切にたばこ部24の円周長を管理することが可能な非燃焼加熱型喫煙物品を提供できる。また、金属製の第1シート42が含まれるために、香料成分や水分の遮断性が向上する。このため、たばこ充填材23に含まれる第2香料成分や水分がラッパー41を貫通して染みを形成してしまうことがない。これによって、非燃焼加熱型喫煙物品の外観に不具合を生じることを防止して設計通りの外観品質をユーザーに提供できる。さらに、ユーザが誤って、伝統的紙巻きたばこのようにたばこ部24に対して着火を行った場合でも、たばこ部24に対して実際に火が付いてしまうことが防止され、誤った使用態様を防止することができる。
【0062】
この場合、第1シート42は、たばこ充填材23側に位置され、第2シート43は外側に位置される。この構成によれば、たばこ部24を伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザに違和感を生じることがない。
【0063】
上記第2形態の場合、ラッパー41は、第2シート43が貼り合わされた第1シート42の第1面とは反対の第2面側に貼り合わされた紙製の第3シート44を有する。この構成によれば、さらに高強度のラッパー41を実現することができ、より一層適切に円周長を管理可能な非燃焼加熱型喫煙物品を提供できる。また、ラッパー41の内面も紙の外観にすることができ、ユーザに違和感を生じることをさらに確実に防止できる。
【0064】
上記第3形態の場合、ラッパー41は、紙製の第1シート42と、紙製の第2シート43と、を有する。この構成によれば、2枚の紙製のシートを貼り合わせることによっても、引張強さが十分に大きく、たばこ部24の円周長を適切に管理可能な非燃焼加熱型喫煙物品を提供できる。
【0065】
第1形態から第3形態のいずれかの場合、ラッパー41の坪量は、30〜70g/mである。この構成によれば、引張強さがある程度大きくたばこ部24の円周長を適切に管理可能で、且つ、ラッパー41のこわさ(クラーク剛度)が大きくなり過ぎずに、たばこ部24の真円度が悪化しない非燃焼加熱型喫煙物品を提供できる。
【0066】
この場合、ラッパー41の厚さは、35〜80μmである。この構成によれば、ラッパー41が薄くなり過ぎることがなく、ラッパー41に破断を生じてしまう可能性を低減できる。また、ラッパー41が厚くなり過ぎることがなく、ラッパー41のこわさ(クラーク剛度)が増大して、真円度悪化を生じることも防止できる。
【0067】
この場合、ラッパー41の白色度は、78〜100%であり、ラッパー41の不透明度は、60〜100%である。この構成によれば、たばこ部24の外観品質を向上して、伝統的な紙巻きたばこと同様の外観にすることができ、違和感のない非燃焼加熱型喫煙物品を提供できる。
【0068】
この場合、前記横方向に関するラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、0.1〜8%である。この構成によれば、たばこ部24の円周長の変化量の基準である35日蔵置後の変化量を0.15mm以下に抑えることができる。
【0069】
この場合、前記横方向に関するラッパー41の1%応力は、4〜10Nである。1%応力の値は、ラッパー41の初期の緩みを包含した測定値となり、変異初期のラッパー41の個別の特徴を反映していることから、初期状態のラッパー41の伸びにくさを評価するパラメータとして適当である。また、18mm法で測定した場合に、1%応力は、0.18mm伸びた状態の荷重値を取得することで得られる。例えば、22〜24.5mmの円周長を有するたばこ部24が、実際に伸びる長さも0.2〜0.3mmであることから、1%応力は評価パラメータとして妥当性がある。そして、上記した構成によれば、たばこ部24の円周長の変化量の基準である35日蔵置後の変化量を0.15mm以下に抑えることができる。
【0070】
この場合、たばこ充填材23は、葉たばこ粉砕物をシート状に成形したものを所定幅に刻んだもの(シート状成形物)および/または葉たばこ(乾燥葉)の刻みをランダムな配向で充填して形成される。この構成によれば、たばこ充填材23の配列を伝統的な紙巻きたばこと同様にすることができ、たばこ部24の見た目に関してユーザに違和感を生じることがない。
【0071】
この場合、ラッパー41は、第1シート42と、第2シート43と、を接着する接着部45を有し、接着部45は、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤又はスターチ糊である。この構成によれば、接着部45のバリヤー効果によって、香料成分や水分の遮断性が向上する。このため、たばこ充填材23に含まれる第2香料成分や水分がラッパー41を貫通して染みを形成してしまうことがない。これによって、非燃焼加熱型喫煙物品の外観に不具合を生じることを防止して設計通りの外観品質をユーザーに提供できる。
【0072】
非燃焼加熱型喫煙物品は、たばこ充填材23から発生するエアロゾルをろ過するフィルター部26と、フィルター部26とラッパー41とを連結する筒状の連結部27と、を備え、連結部27は、通気孔部28を有する。この構成によれば、通気孔部28を介してたばこ充填材23から出るエアロゾルを適切に希釈することができ、ユーザの好みに合う濃さでたばこの香味をユーザに届けることができる。
【0073】
この場合、フィルター部26は、中空部を有する第1セグメント31と、第1セグメント31と隣接した中実の第2セグメント32と、を有する。この構成によれば、中空部を含む第1セグメント31と中実の第2セグメント32の長さの比を変更することで、エアロゾルのろ過の程度を変更することができる。このため、製品仕様に合わせてエアロゾルの濃度を変更したい場合等に、適宜に第1セグメント31と第2セグメント32との長さの比を変更することができ、製品設計の自由度を向上することができる。
【0074】
電気加熱型喫煙システム11は、上記記載の非燃焼加熱型喫煙物品と、前記非燃焼加熱型喫煙物品を加熱するヒータ21と、を備える。この構成によれば、円周長が適切に管理されたたばこ部24を有する非燃焼加熱型喫煙物品を実現でき、非燃焼加熱型喫煙物品とヒータ21との位置関係が安定して、その結果、非燃焼加熱型喫煙物品の加熱を安定的に行うことができ、設計値通りのエアロゾルをユーザに届けて高品質な電気加熱型喫煙システム11を実現できる。
【0075】
非燃焼加熱型喫煙物品および電気加熱型喫煙システム11は、上記実施形態および各変形例に記載されたものに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
<実施態様>
【0076】
以下に、発明の実施態様をまとめて示す。
[1]
たばこ充填材と、
前記たばこ充填材を取り囲むラッパーと、
を備えるたばこ部を有し、
前記たばこ部の硬さは、前記たばこ部の直径の10%相当の長さを前記たばこ部の直径方向に前記たばこ部を押し込んだときに、0.41〜1.5Nであり、好ましくは0.8〜1.4Nであり、より好ましくは0.94〜1.34Nであり、
前記ラッパーは、2以上のシートを貼り合わせて形成され、
前記ラッパーの引張強さは、前記たばこ部の軸方向と交差する横方向に関して10〜30Nであり、好ましくは13〜27Nであり、より好ましくは14.4〜24.9Nである非燃焼加熱型喫煙物品。
[2]
前記ラッパーは、
金属製の第1シートと、
紙製の第2シートと、
を有する[1]に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[3]
前記第1シートは、前記たばこ充填材側に位置され、前記第2シートは外側に位置される[2]に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[4]
前記ラッパーは、前記第2シートが貼り合わされた前記第1シートの第1面とは反対の第2面側に貼り合わされた紙製の第3シートを有する[2]又は[3]に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[5]
前記ラッパーは、
紙製の第1シートと、
紙製の第2シートと、
を有する[1]に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[6]
前記ラッパーの坪量は、30〜70g/mであり、好ましくは35〜65g/mであり、より好ましくは38〜60g/mである[1]〜[5]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[7]
前記ラッパーの厚さは、35〜80μmであり、好ましくは35〜75μmであり、より好ましくは38〜70μmである[1]〜[6]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[8]
前記ラッパーの白色度は、78〜100%であり、好ましくは78〜95%であり、より好ましくは78〜93%である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[9]
前記ラッパーの不透明度は、60〜100%であり、好ましくは65〜95%であり、より好ましくは66〜93%である[1]〜[8]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[10]
前記横方向に関する前記ラッパーの破断時までの伸びは、0.1〜8%であり、好ましくは4〜7%であり、より好ましくは4.4〜6.9%である[1]〜[9]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[11]
前記横方向に関する前記ラッパーの1%応力は、4〜10Nであり、好ましくは5〜9Nであり、より好ましくは5.5〜8.4Nである[1]〜[10]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[12]
前記たばこ部における前記たばこ充填材の充填密度は、0.3〜0.5g/ccであり、好ましくは0.35〜0.45g/ccであり、より好ましくは0.37〜0.41g/ccである[1]〜[11]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[13]
従来方法で測定した前記たばこ部の硬さは、80〜95%であり、好ましくは85〜90%であり、より好ましくは85.1〜86.4%である[1]〜[12]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[14]
前記ラッパーは、前記第1シートと、前記第2シートと、を接着する接着部を有し、
前記接着部は、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤又はスターチ糊である[2]〜[13]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[15]
前記たばこ充填材は、葉たばこ粉砕物をシート状に成形したシート状成形物および/または葉たばこの刻みを、ランダムな配向で充填して形成される[1]〜[14]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[16]
前記たばこ充填材から発生するエアロゾルをろ過するフィルター部と、
前記フィルター部と前記ラッパーとを連結する筒状の連結部と、
を備え、
前記連結部は、通気孔部を有する[1]〜[15]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[17]
前記フィルター部は、
中空部を有する第1セグメントと、
前記第1セグメントと隣接した中実の第2セグメントと、
を有する[16]に記載の非燃焼加熱型喫煙物品。
[18]
[1]〜[17]のいずれか1項に記載の非燃焼加熱型喫煙物品と、
前記非燃焼加熱型喫煙物品を加熱するヒータと、
を備える電気加熱型喫煙システム。
[19]
前記ヒータの内側に設けられた筒形の伝熱部を備える[18]に記載の電気加熱型喫煙システム。
【実施例】
【0077】
実施例の電気加熱型喫煙システム11は、一例として、以下のように作成した。
<ラッパー41の生産ライン>
【0078】
第1シート42、第2シート43、(さらに第2形態を採用する場合には第3シート44)を、幅1045mmで用意した。そして、第1シート42の一方の面に対して、接着部45を用いて第2シート43を接着した。接着部45は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。ラッパー41が第2形態を採用する場合には、第1シート42の他方の面に対して、第2接着部46を用いて第2シート43を接着した。第2接着部46は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。以上によって、一体になった1045mm幅のラッパー41を形成した。
【0079】
そして、この1045mm幅のラッパー41を巻き取ってロール状にした。このラッパー41のロールを、スリッターを用いて48.6mm幅に切断した。
<たばこ充填材>
【0080】
たばこ充填材23は、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20〜200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート状に成形し、それを幅0.8mm幅の細長い帯状に刻んだものを用いた。この細長い帯状の刻みの長さは、おおよそ、1〜40mm程度であった。たばこ充填材23には、葉たばこ粉砕物に対して、17重量%のエアロゾル生成基材および第2香料(メンソール)を含有させた。たばこ充填材23中のメンソールの含有量を39000ppmとした。エアロゾル生成基材としては、グリセリンを用いた。このように構成したたばこ充填材23を、ランダムな配向でラッパー41の内部に充填した。
<たばこ巻き上げ機>
【0081】
前述の方法で作られたラッパー41とたばこ充填材23を用いてたばこ部24を巻き上げた。
たばこ部24の巻き上げには、Hauni社製のたばこ巻き上げ機Protos M5を用いた。なお、金属箔を含むラッパー41を使用しているため、Protos M5に内蔵されているマイクロウェーブ透過方式のたばこ充填密度自動制御装置は作動させずに、たばこ充填密度はマニュアル操作で行なった。この結果、当該たばこ巻き上げ機を用いて、円周22mmかつ全長56mmを有するたばこ部24を、5000本/minで製造できた。これによって、本実施例のたばこ部24の製造効率が比較的良好であることが実証できた。また、たばこ部24の外観に目立った傷が形成されたサンプルはほとんどなかった。
<蔵置中におけるたばこ部の円周長増加に関する評価>
【0082】
発明者らは、蔵置中におけるたばこ部24の円周長増加について評価を行った。以下、図7図9の表を参照して、ロッド14のたばこ部24およびたばこ部24に用いられるラッパー41の実施例1〜3、比較例1〜7の評価結果について説明する。
【0083】
実施例1のラッパー41の縦方向の引張強さ、および横方向の引張強さ等を説明するに先立ち、引張強さの測定方法である180mm法および18mm法の各方法、クラーク剛度の測定方法について説明する。
【0084】
180mm法では、引張強度の測定は、JIS P 8113に基づいて、引張強度測定装置(東洋精機株式会社製、STRONGRAPH E3−L(商品名))を使用して行った。長辺200mm×短辺15mmに裁断した紙を各試験サンプルとし、当該試験サンプルを引張速度50mm/分で引張り、破断した際の荷重を引張強度の値とした。すなわち、各試験サンプルは、両端部の把持部分を除いた測定部分が180mmになっている。今回、説明しやすいように便宜的に180mm法と記すが、通常の紙の規格の1項目として、たばこ業界のみならず広く利用されている。180mm法では、各試験サンプルをたばこ部24の軸方向(縦方向)および横方向に関して引張試験を行って、引張強さ、伸びを測定した。
【0085】
ここでは、説明の都合上便宜的に以下の方法を18mm法と呼ぶ。18mm法では、22mm(横方向(CD方向))×10mm(縦方向(MD方向)の紙片を用意し、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して引張試験を行って、引張強さ、伸び、を測定した。各試験サンプルは、両端部の把持部分を除いた測定部分が18mmになっている。18mm法での引張試験は、10サンプルについて行い、それらの平均値を、引張強さ、伸びの測定値とした。また、引張試験の結果から1%応力を算出した。18mm法における、実施例1〜3、比較例1〜7のすべての引張試験は、株式会社サン科学製のレオメータ、型式番号CR−3000EX−Lを用いて、引張速度50mm/minで行った。実施例では、ラッパー41の縦横の寸法が実際の製品である非燃焼加熱型喫煙物品のラッパー41の寸法に近いことから、上記180mm法による測定だけでなく、18mm法による測定を行った。18mm法での引張強さ、伸びの測定は、実際にたばこ部24として巻き上げる前の状態のラッパー41を用いて行った。なお、請求項にいう引張強さ、伸び、および1%応力は、すべて18mm法で測定した測定値および18mm法で測定した測定値から算出した値である。
【0086】
JIS P 8143に基づいて、クラーク剛度の測定を行った。クラーク剛度の測定は、東洋精機製作所製 デジタルクラーク柔軟度試験機を用いた。クラーク剛度の測定では、縦方向(MD方向)200mm×横方向(CD方向)30mmに裁断した紙を各試験サンプルとした。クラーク剛度の測定、および、上記180mm法での引張強さ・伸びの測定は、実際にたばこ部24として巻き上げる前の状態のラッパー41を用いて行った。
【0087】
たばこ部24の硬さ(巻硬さ)の測定方法である新方法および従来方法について説明する。
【0088】
電気加熱型喫煙システムのたばこ部は従来のたばこロッドに比べて、軸方向の長さが短いことが多いため、以下の方法にて、測定した。これを本明細書では新方法と記す。新方法では、図10に示すように、たばこ部24の直径Dの10%相当の長さ、すなわち1/10Dをたばこ部24の直径方向に押し込んだとき(変位させたとき)、レオメータ47の押し棒47Aに作用する反発力をたばこ部24の硬さ(巻硬さ)とする。新方法のたばこ部24の硬さの測定は、株式会社サン科学製のレオメータ、型式番号CR−3000EX−Lを用いた。押し棒47Aには、ステンレス製冶具で構成され、その先端に直径10mmの円盤状の当接部を有するもの(型番:アダプタ(感圧軸) NO1)を用いた。レオメータ47の押し棒47Aの移動速度は、50mm/minとした。以下の実施例では、たばこ部24の硬さを新方法で測定する場合に、たばこ部24の軸方向の長さを10mmとした。新方法では、10サンプルについて測定をし、それらの平均値を新方法による測定結果とした。
【0089】
たばこ製品及びフィルタ品の巻硬さ測定として、広く適用されている方法を本明細書では便宜的に従来方法と記す。従来方法では、例えば特表2016−523565号公報に記載される方法によって、たばこ部24の硬さを測定する。従来方法では、ボルグワルド社製巻硬さ測定器D37AJを用いて、水平方向に横並びで置かれた10本のたばこ部24に対して、上方から下方に向けて2Kg重の荷重Fを同時にかけた。5秒間の荷重Fを負荷した後、荷重Fを除いてたばこ部24の直径の平均を測定した。硬さ(%)は、以下の式で表される。
【0090】
硬さ(%)=100×(D(平均歪み量))/(D(ターゲット直径)
式中、Dは、負荷Fをかけた後に減少したたばこ部24の直径であり、Dは、負荷Fをかける前のたばこ部24の直径である。従来方法では、1回10本ずつのサンプルについて、10回測定し(合計100本のサンプル)、この10回の測定結果の平均値を従来方法による測定結果とした。なお、特表2016−523565号公報では、フィルターの硬さを測定するために従来方法を利用しているが、本実施形態では、たばこ部24の硬さ(巻硬さ)を測定するために従来方法を利用している。また、請求項にいうたばこ部の硬さは、新方法で測定した測定値である。
【0091】
また、製造されたロッド14のたばこ部24の蔵置中のたばこ部24の円周変化量(巻円周変化量)について測定を行った。円周は、巻品質測定装置SODIMAX(SODIM社製)で外周法にて測定した。具体的にはレーザー式光学測定器でたばこ部24の影を検出し、その直径を計測する。たばこ部24を1回転する間に1024点の直径を計測し平均直径を求め、直径×πで円周を演算する。次式で相対楕円率Doを算出し、たばこ部24の真円生を表示する。相対楕円率Doは、
Do=(Dmax-Dmin)/Dave×100%
で表される。式中、Dmaxは最大直径であり、Dminは最小直径であり、Daveは平均直径である。
[実施例1]
【0092】
ラッパー41は、上記第1形態のラッパー41(第1シート42:アルミニウム箔、第2シート43:紙)を用いた。第1シート42のアルミニウム箔には、厚さ6μmのものを使用した。第2シート43の紙には、坪量20g/mの紙を用いた。接着部45として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。実施例1のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。実施例1のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.41g/ccであった。
【0093】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、1.34Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、86.4%であった。
【0094】
実施例1の白色度は78%であり、不透明度は93%であった。このように白色度78%以上、不透明度60%以上にすることで伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。白色度・不透明度測定機(製造者:村上色彩技術研究所、型番:WMS−1)を用いて、白色度はISO2470、不透明度はISO2471に準拠して測定した。不透明度は、以下の式で算出した。
不透明度=単一シート視感反射率係数(R0)/固有視感反射率係数(R∞)×100(%)
式中、固有視感反射率係数(R∞)は、規定の反射率計と光源を用いて有効波長457nm、半値幅44nmとなる分光条件で測定した時の白色度の固有反射率係数である。
【0095】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、14.4Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、20.2Nである。
【0096】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、4.4%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、2.8%である。
【0097】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、5.5Nである。
【0098】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。なお、各実施例の評価では、本体の差し込み部にロッドを挿入する際に不具合が生じないレベルとして、蔵置期間35日時点の円周長の増加量を0.16mm以下と設定した。結果は以下の通りであった。5日経過および18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、実施例1では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。
[実施例2]
【0099】
ラッパー41は、上記第2形態のラッパー41(第1シート42:アルミニウム箔、第2シート43:紙、第3シート44:紙)を用いた。第1シート42のアルミニウム箔には、厚さ6μmのものを使用した。第2シート43および第3シート44の紙には、坪量20g/mの紙を用いた。接着部45および第2接着部46として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。実施例2のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。実施例2のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0100】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.94Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、85.1%であった。
【0101】
実施例2の白色度は93%であり、不透明度は87%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0102】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、14.5Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、25.7Nである。
【0103】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6.0%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、3.2%である。
【0104】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、7.0Nである。
【0105】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.06mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、実施例2では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。なお、96日経過で円周変化量が減少に転じているのは、測定誤差によるものと思われる。
[実施例3]
【0106】
ラッパー41は、上記第3形態のラッパー41(第1シート42:紙、第2シート43:紙)を用いた。第1シート42および第2シート43の紙には、坪量20g/mの紙を用いた。接着部45として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。実施例3のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。実施例3のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0107】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、1.07Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、85.1%であった。
【0108】
実施例3の白色度は80%であり、不透明度は66%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0109】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、24.9Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、34.9Nである。
【0110】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6.9%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、4.2%である。
【0111】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、8.4Nである。
【0112】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.05mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.05mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、実施例3では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。
[実施例4]
【0113】
実施例4については、図7図9の表には示されていない。ラッパー41は、上記第1形態のラッパー41(第1シート42:アルミニウム箔、第2シート43:紙)を用いた。第1シート42のアルミニウム箔には、厚さ6μmのものを使用した。第2シート43の紙には、坪量30g/mの紙を用いた。接着部45として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。
【0114】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、23.6Nである。ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6%である。ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、7.6Nである。
[比較例1〜3]
【0115】
ラッパー41は、伝統的な紙巻きたばこに使用される坪量26g/mの紙を用いた。
比較例1のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。比較例1は、円周24.5mmであり、比較例2および比較例3は、円周22.0mmであった。
【0116】
比較例1および比較例2のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.21g/ccであり、比較例3の巻密度は、0.37g/ccであった。
【0117】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、比較例1は、0.40Nであり、比較例2は、0.39Nであり、比較例3は、0.85Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、比較例1は、74.0%であり、比較例2は、72.0%であり、比較例3は、77.9%であった。
【0118】
比較例1〜3の白色度は89%であり、不透明度は76%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0119】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、5.7Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、7.2Nである。
【0120】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、10.9%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、6.0%である。
【0121】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、1.4Nである。
【0122】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。比較例1および比較例2では、5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過および96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加した。このため、比較例1および比較例2では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。しかしながら、たばこ部24に対するたばこ充填材23の充填密度が低いため、電気加熱式喫煙システム11として喫煙した際に、香喫味が不足し、ユーザに物足りなさを生じさせた。
【0123】
比較例3では、5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.15mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.23mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.24mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.26mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.27mm増加した。したがって、比較例3では、時間経過とともに徐々にたばこ部24の円周長が増大することが分かった。また、比較例3では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mmを超えているために、蔵置安定性の基準を満たしていないことが分かった。
[比較例4]
【0124】
ラッパー41は、高坪量の紙(坪量35g/m・填料(炭酸カルシウム配合量)35%)の紙を用いた。比較例4のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。
【0125】
比較例4のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0126】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.67Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、79.7%であった。
【0127】
比較例4の白色度は94%であり、不透明度は83%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0128】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、6.6Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、8.0Nである。
【0129】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6.2%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、4.4%である。
【0130】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、4.0Nである。
【0131】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初の円周長から0.13mm増加し、18日経過で当初の円周長から0.23mm増加し、35日経過で当初の円周長から0.25mm増加し、63日経過で当初の円周長から0.26mm増加し、96日経過で当初の円周長から0.27mm増加した。したがって、比較例4では、時間経過とともに徐々にたばこ部24の円周長が増大することが分かった。また、比較例4では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mmを超えているために、蔵置安定性の基準を満たしていないことが分かった。
[比較例5]
【0132】
ラッパー41は、高通気度(30000C.U)の紙を用いた。比較例5のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。
【0133】
比較例5のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.36g/ccであった。
【0134】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.61Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、77.7%であった。
【0135】
比較例5の白色度は80%であり、不透明度は34%であった。したがって、白色度は78%以上であったが、不透明度が60%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。
【0136】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、4.8Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、7.0Nである。
【0137】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、4.9%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、4.0%である。
【0138】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、2.0Nである。
【0139】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.14mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.17mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.18mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.19mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.19mm増加した。したがって、比較例5では、時間経過とともに徐々にたばこ部24の円周長が増大することが分かった。また、比較例5では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mmを超えているために、蔵置安定性の基準を満たしていないことが分かった。
[比較例6]
【0140】
ラッパー41には、厚さ6μmのアルミニウム箔を用いた。比較例6のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。なお、比較例6では、アルミニウム箔であるラッパー41によってたばこ充填材23を巻き上げることができなかったことから、たばこ充填材23の密度(巻密度)およびたばこ部24の巻硬さ評価をすることが不可能であった。
【0141】
比較例6の白色度は23%であり、不透明度は100%であった。したがって、不透明度が60%以上であったが、白色度は78%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。
【0142】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、3.9Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、5.4Nである。
【0143】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、2.7%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、1.9%である。
【0144】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、2.7Nである。
【0145】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化量については、アルミニウム箔であるラッパー41によってたばこ充填材23を巻き上げることができなかったことから、評価をすることが不可能であった。
[比較例7]
【0146】
ラッパー41は、高坪量の紙(坪量35g/m、填料0%)の紙を用いた。比較例7のたばこ部24およびラッパー41は、図7図9に示す表の仕様で作成した。
【0147】
比較例7のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0148】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.83Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、81%であった。
【0149】
比較例7の白色度は81%であり、不透明度は56%であった。したがって、白色度は78%以上であったが、不透明度が60%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。
【0150】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、17.6Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、24Nである。
【0151】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、5.6%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、3%である。
【0152】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、7.0Nである。
【0153】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.05mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、比較例7では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。
[考察]
【0154】
図11に、実施例1〜4、比較例1〜7の18mm法による横方向の伸び(%)と、引張強さと、の関係を表すグラフを示す。同図に示すように、実施例1〜4の分布は、比較例1〜6の分布とは、はっきりと異なることが分かった。したがって、たばこ部24の円周増大を防止して、蔵置中においてもたばこ部24の円周長を適切に管理するためには、18mm法による引張強さが10〜30Nの範囲内にあることがよいことが分かる。同様に、蔵置中においてもたばこ部24の円周長を適切に管理するためには、18mm法による横方向の伸びが0.1〜8%の範囲内にあることがよいことが分かる。
【0155】
なお、比較例7については、白色度が81%であり、不透明度が56%であった。したがって、白色度は78%以上であったが、不透明度が60%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。このため、実際の製品に採用することは困難であった。
【0156】
図12に、実施例1〜3、比較例1〜6の18mm法による横方向の伸び(%)と、180mm法による横方向の伸び(%)と、の関係を表すグラフを示す。これによれば、18mm法による横方向の伸びと、180mm法による横方向の伸びと、の間には、概ね正の相関があることが見て取れる。
<巻上げ品のラッパーと巻前のラッパーの引張強さについての評価>
【0157】
発明者らは、たばこ部24として実際に巻き上げられたラッパー41の18mm法での引張強さ、伸び、1%応力について測定を行った。図13に、これらの結果を示すとともに、上記したたばこ部24として巻き上げ前(巻前)のラッパー41の引張強さ、伸び、1%応力を再掲し、それらの差について検討を行った。
[実施例1*]
【0158】
実施例1*では、上記実施例1の評価に用いたラッパー41と同じラッパー41を実際にたばこ部24として巻き上げて巻上げ品とした。室温22℃、湿度60%の環境下で、4週間蔵置後、再びラッパー41をたばこ部24から取り外し、上記実施例1と同様の機器を用いて、同様の手順で、18mm法により引張強さ、および伸びを測定し、1%応力を算出した。
【0159】
その結果、図13に示すように、18mm法での引張強さは、横方向に関し、14.5Nであった。18mm法での伸びは、横方向に関し、4.7%であった。18mm法での1%応力は、横方向に関し、6.58Nであった。
[比較例1*]
【0160】
比較例1*でも同様に、上記比較例1の評価に用いたラッパー41と同じラッパー41を実際にたばこ部24として巻き上げて巻上げ品とした。室温22℃、湿度60%の環境下で、4週間蔵置後、再びラッパー41をたばこ部24から取り外し、上記比較例1と同様の機器を用いて、同様の手順で、18mm法により引張強さ、および伸びを測定し、1%応力を算出した。
【0161】
その結果、図13に示すように、18mm法での引張強さは、横方向に関し、2.7Nであった。18mm法での伸びは、横方向に関し、8.3%であった。18mm法での1%応力は、横方向に関し、0.74Nであった。
[比較例4*]
【0162】
比較例4*でも同様に、上記比較例4の評価に用いたラッパー41と同じラッパー41を実際にたばこ部24として巻き上げて巻上げ品とした。4週間蔵置後、再びラッパー41をたばこ部24から取り外し、上記比較例1と同様の機器を用いて、同様の手順で、18mm法により引張強さ、および伸びを測定し、1%応力を算出した。
【0163】
その結果、図13に示すように、18mm法での引張強さは、横方向に関し、2.3Nであった。18mm法での伸びは、横方向に関し、6.1%であった。18mm法での1%応力は、0.52Nであった。
[考察]
【0164】
図14に、たばこ部24として巻き上げる前(巻前)のラッパー41の引張強さおよび伸びを、実施例1、比較例1、比較例4として示す。また、たばこ部24として巻き上げた巻上げ品とし、室温22℃、湿度60%の環境下で、4週間蔵置後、再度たばこ部24から取り出したラッパー41の引張強さおよび伸びを、実施例1*、比較例1*、比較例4*として示す。
【0165】
図14に示すように、比較例1、比較例4については、巻上げ品として比較例1*、比較例4*とした場合に、引張強さがそれぞれ大きく低下することが分かった。一方、実施例1については、巻上げ品として実施例1*とした場合でも、引張強さおよび伸びのいずれの大きな変動を生じることはなかった。これは例えば、以下のように考えることができる。
【0166】
例えば、18mm法による引張強さが10Nを下回るような強度の低い紙は、蔵置中にたばこ充填材23等から拡散した香料成分や水分等の影響により、引張強さが低下する傾向がある。しかしながら、実施例1のように相対的に引張強さが大きい、例えば、引張強さが10N以上のラッパー41であれば、蔵置の前後において引張強さ、伸びがほとんど変化しないことが予想される。このため、実施例1〜4のように、引張強さが10N以上のラッパー41とすれば、蔵置中によって引張強さ、伸びが悪化することがないものと理解される。このため、上記実施例1〜4のたばこ部24およびラッパー41を有するロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)であれば、蔵置中に巻きの円周長が増大してしまう不具合を生じることがなく、ロッドの円周長を適切に管理することが可能なロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)およびこれを備えた電気加熱型喫煙システムを提供できる。
【符号の説明】
【0167】
11…電気加熱型喫煙システム、14…ロッド、21…ヒータ、23…たばこ充填材、24…たばこ部、26…フィルター部、28…通気孔部、31…第1セグメント、32…第2セグメント、41…ラッパー、42…第1シート、43…第2シート、44…第3シート、45…接着部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14