【実施例】
【0077】
実施例の電気加熱型喫煙システム11は、一例として、以下のように作成した。
<ラッパー41の生産ライン>
【0078】
第1シート42、第2シート43、(さらに第2形態を採用する場合には第3シート44)を、幅1045mmで用意した。そして、第1シート42の一方の面に対して、接着部45を用いて第2シート43を接着した。接着部45は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。ラッパー41が第2形態を採用する場合には、第1シート42の他方の面に対して、第2接着部46を用いて第2シート43を接着した。第2接着部46は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。以上によって、一体になった1045mm幅のラッパー41を形成した。
【0079】
そして、この1045mm幅のラッパー41を巻き取ってロール状にした。このラッパー41のロールを、スリッターを用いて48.6mm幅に切断した。
<たばこ充填材>
【0080】
たばこ充填材23は、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20〜200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート状に成形し、それを幅0.8mm幅の細長い帯状に刻んだものを用いた。この細長い帯状の刻みの長さは、おおよそ、1〜40mm程度であった。たばこ充填材23には、葉たばこ粉砕物に対して、17重量%のエアロゾル生成基材および第2香料(メンソール)を含有させた。たばこ充填材23中のメンソールの含有量を39000ppmとした。エアロゾル生成基材としては、グリセリンを用いた。このように構成したたばこ充填材23を、ランダムな配向でラッパー41の内部に充填した。
<たばこ巻き上げ機>
【0081】
前述の方法で作られたラッパー41とたばこ充填材23を用いてたばこ部24を巻き上げた。
たばこ部24の巻き上げには、Hauni社製のたばこ巻き上げ機Protos M5を用いた。なお、金属箔を含むラッパー41を使用しているため、Protos M5に内蔵されているマイクロウェーブ透過方式のたばこ充填密度自動制御装置は作動させずに、たばこ充填密度はマニュアル操作で行なった。この結果、当該たばこ巻き上げ機を用いて、円周22mmかつ全長56mmを有するたばこ部24を、5000本/minで製造できた。これによって、本実施例のたばこ部24の製造効率が比較的良好であることが実証できた。また、たばこ部24の外観に目立った傷が形成されたサンプルはほとんどなかった。
<蔵置中におけるたばこ部の円周長増加に関する評価>
【0082】
発明者らは、蔵置中におけるたばこ部24の円周長増加について評価を行った。以下、
図7〜
図9の表を参照して、ロッド14のたばこ部24およびたばこ部24に用いられるラッパー41の実施例1〜3、比較例1〜7の評価結果について説明する。
【0083】
実施例1のラッパー41の縦方向の引張強さ、および横方向の引張強さ等を説明するに先立ち、引張強さの測定方法である180mm法および18mm法の各方法、クラーク剛度の測定方法について説明する。
【0084】
180mm法では、引張強度の測定は、JIS P 8113に基づいて、引張強度測定装置(東洋精機株式会社製、STRONGRAPH E3−L(商品名))を使用して行った。長辺200mm×短辺15mmに裁断した紙を各試験サンプルとし、当該試験サンプルを引張速度50mm/分で引張り、破断した際の荷重を引張強度の値とした。すなわち、各試験サンプルは、両端部の把持部分を除いた測定部分が180mmになっている。今回、説明しやすいように便宜的に180mm法と記すが、通常の紙の規格の1項目として、たばこ業界のみならず広く利用されている。180mm法では、各試験サンプルをたばこ部24の軸方向(縦方向)および横方向に関して引張試験を行って、引張強さ、伸びを測定した。
【0085】
ここでは、説明の都合上便宜的に以下の方法を18mm法と呼ぶ。18mm法では、22mm(横方向(CD方向))×10mm(縦方向(MD方向)の紙片を用意し、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して引張試験を行って、引張強さ、伸び、を測定した。各試験サンプルは、両端部の把持部分を除いた測定部分が18mmになっている。18mm法での引張試験は、10サンプルについて行い、それらの平均値を、引張強さ、伸びの測定値とした。また、引張試験の結果から1%応力を算出した。18mm法における、実施例1〜3、比較例1〜7のすべての引張試験は、株式会社サン科学製のレオメータ、型式番号CR−3000EX−Lを用いて、引張速度50mm/minで行った。実施例では、ラッパー41の縦横の寸法が実際の製品である非燃焼加熱型喫煙物品のラッパー41の寸法に近いことから、上記180mm法による測定だけでなく、18mm法による測定を行った。18mm法での引張強さ、伸びの測定は、実際にたばこ部24として巻き上げる前の状態のラッパー41を用いて行った。なお、請求項にいう引張強さ、伸び、および1%応力は、すべて18mm法で測定した測定値および18mm法で測定した測定値から算出した値である。
【0086】
JIS P 8143に基づいて、クラーク剛度の測定を行った。クラーク剛度の測定は、東洋精機製作所製 デジタルクラーク柔軟度試験機を用いた。クラーク剛度の測定では、縦方向(MD方向)200mm×横方向(CD方向)30mmに裁断した紙を各試験サンプルとした。クラーク剛度の測定、および、上記180mm法での引張強さ・伸びの測定は、実際にたばこ部24として巻き上げる前の状態のラッパー41を用いて行った。
【0087】
たばこ部24の硬さ(巻硬さ)の測定方法である新方法および従来方法について説明する。
【0088】
電気加熱型喫煙システムのたばこ部は従来のたばこロッドに比べて、軸方向の長さが短いことが多いため、以下の方法にて、測定した。これを本明細書では新方法と記す。新方法では、
図10に示すように、たばこ部24の直径Dの10%相当の長さ、すなわち1/10Dをたばこ部24の直径方向に押し込んだとき(変位させたとき)、レオメータ47の押し棒47Aに作用する反発力をたばこ部24の硬さ(巻硬さ)とする。新方法のたばこ部24の硬さの測定は、株式会社サン科学製のレオメータ、型式番号CR−3000EX−Lを用いた。押し棒47Aには、ステンレス製冶具で構成され、その先端に直径10mmの円盤状の当接部を有するもの(型番:アダプタ(感圧軸) NO1)を用いた。レオメータ47の押し棒47Aの移動速度は、50mm/minとした。以下の実施例では、たばこ部24の硬さを新方法で測定する場合に、たばこ部24の軸方向の長さを10mmとした。新方法では、10サンプルについて測定をし、それらの平均値を新方法による測定結果とした。
【0089】
たばこ製品及びフィルタ品の巻硬さ測定として、広く適用されている方法を本明細書では便宜的に従来方法と記す。従来方法では、例えば特表2016−523565号公報に記載される方法によって、たばこ部24の硬さを測定する。従来方法では、ボルグワルド社製巻硬さ測定器D37AJを用いて、水平方向に横並びで置かれた10本のたばこ部24に対して、上方から下方に向けて2Kg重の荷重Fを同時にかけた。5秒間の荷重Fを負荷した後、荷重Fを除いてたばこ部24の直径の平均を測定した。硬さ(%)は、以下の式で表される。
【0090】
硬さ(%)=100×(D
d(平均歪み量))/(D
s(ターゲット直径)
式中、D
dは、負荷Fをかけた後に減少したたばこ部24の直径であり、D
sは、負荷Fをかける前のたばこ部24の直径である。従来方法では、1回10本ずつのサンプルについて、10回測定し(合計100本のサンプル)、この10回の測定結果の平均値を従来方法による測定結果とした。なお、特表2016−523565号公報では、フィルターの硬さを測定するために従来方法を利用しているが、本実施形態では、たばこ部24の硬さ(巻硬さ)を測定するために従来方法を利用している。また、請求項にいうたばこ部の硬さは、新方法で測定した測定値である。
【0091】
また、製造されたロッド14のたばこ部24の蔵置中のたばこ部24の円周変化量(巻円周変化量)について測定を行った。円周は、巻品質測定装置SODIMAX(SODIM社製)で外周法にて測定した。具体的にはレーザー式光学測定器でたばこ部24の影を検出し、その直径を計測する。たばこ部24を1回転する間に1024点の直径を計測し平均直径を求め、直径×πで円周を演算する。次式で相対楕円率Doを算出し、たばこ部24の真円生を表示する。相対楕円率Doは、
Do=(Dmax-Dmin)/Dave×100%
で表される。式中、Dmaxは最大直径であり、Dminは最小直径であり、Daveは平均直径である。
[実施例1]
【0092】
ラッパー41は、上記第1形態のラッパー41(第1シート42:アルミニウム箔、第2シート43:紙)を用いた。第1シート42のアルミニウム箔には、厚さ6μmのものを使用した。第2シート43の紙には、坪量20g/m
2の紙を用いた。接着部45として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。実施例1のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。実施例1のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.41g/ccであった。
【0093】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、1.34Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、86.4%であった。
【0094】
実施例1の白色度は78%であり、不透明度は93%であった。このように白色度78%以上、不透明度60%以上にすることで伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。白色度・不透明度測定機(製造者:村上色彩技術研究所、型番:WMS−1)を用いて、白色度はISO2470、不透明度はISO2471に準拠して測定した。不透明度は、以下の式で算出した。
不透明度=単一シート視感反射率係数(R0)/固有視感反射率係数(R∞)×100(%)
式中、固有視感反射率係数(R∞)は、規定の反射率計と光源を用いて有効波長457nm、半値幅44nmとなる分光条件で測定した時の白色度の固有反射率係数である。
【0095】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、14.4Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、20.2Nである。
【0096】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、4.4%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、2.8%である。
【0097】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、5.5Nである。
【0098】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。なお、各実施例の評価では、本体の差し込み部にロッドを挿入する際に不具合が生じないレベルとして、蔵置期間35日時点の円周長の増加量を0.16mm以下と設定した。結果は以下の通りであった。5日経過および18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、実施例1では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。
[実施例2]
【0099】
ラッパー41は、上記第2形態のラッパー41(第1シート42:アルミニウム箔、第2シート43:紙、第3シート44:紙)を用いた。第1シート42のアルミニウム箔には、厚さ6μmのものを使用した。第2シート43および第3シート44の紙には、坪量20g/m
2の紙を用いた。接着部45および第2接着部46として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。実施例2のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。実施例2のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0100】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.94Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、85.1%であった。
【0101】
実施例2の白色度は93%であり、不透明度は87%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0102】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、14.5Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、25.7Nである。
【0103】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6.0%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、3.2%である。
【0104】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、7.0Nである。
【0105】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.06mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、実施例2では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。なお、96日経過で円周変化量が減少に転じているのは、測定誤差によるものと思われる。
[実施例3]
【0106】
ラッパー41は、上記第3形態のラッパー41(第1シート42:紙、第2シート43:紙)を用いた。第1シート42および第2シート43の紙には、坪量20g/m
2の紙を用いた。接着部45として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。実施例3のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。実施例3のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0107】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、1.07Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、85.1%であった。
【0108】
実施例3の白色度は80%であり、不透明度は66%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0109】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、24.9Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、たばこ部24の軸方向と交差する横方向に関して、34.9Nである。
【0110】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6.9%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、4.2%である。
【0111】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、8.4Nである。
【0112】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.05mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.05mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、実施例3では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。
[実施例4]
【0113】
実施例4については、
図7〜
図9の表には示されていない。ラッパー41は、上記第1形態のラッパー41(第1シート42:アルミニウム箔、第2シート43:紙)を用いた。第1シート42のアルミニウム箔には、厚さ6μmのものを使用した。第2シート43の紙には、坪量30g/m
2の紙を用いた。接着部45として、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いた。
【0114】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、23.6Nである。ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6%である。ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、7.6Nである。
[比較例1〜3]
【0115】
ラッパー41は、伝統的な紙巻きたばこに使用される坪量26g/m
2の紙を用いた。
比較例1のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。比較例1は、円周24.5mmであり、比較例2および比較例3は、円周22.0mmであった。
【0116】
比較例1および比較例2のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.21g/ccであり、比較例3の巻密度は、0.37g/ccであった。
【0117】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、比較例1は、0.40Nであり、比較例2は、0.39Nであり、比較例3は、0.85Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、比較例1は、74.0%であり、比較例2は、72.0%であり、比較例3は、77.9%であった。
【0118】
比較例1〜3の白色度は89%であり、不透明度は76%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0119】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、5.7Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、7.2Nである。
【0120】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、10.9%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、6.0%である。
【0121】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、1.4Nである。
【0122】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。比較例1および比較例2では、5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過および96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.03mm増加した。このため、比較例1および比較例2では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。しかしながら、たばこ部24に対するたばこ充填材23の充填密度が低いため、電気加熱式喫煙システム11として喫煙した際に、香喫味が不足し、ユーザに物足りなさを生じさせた。
【0123】
比較例3では、5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.15mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.23mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.24mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.26mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.27mm増加した。したがって、比較例3では、時間経過とともに徐々にたばこ部24の円周長が増大することが分かった。また、比較例3では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mmを超えているために、蔵置安定性の基準を満たしていないことが分かった。
[比較例4]
【0124】
ラッパー41は、高坪量の紙(坪量35g/m
2・填料(炭酸カルシウム配合量)35%)の紙を用いた。比較例4のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。
【0125】
比較例4のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0126】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.67Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、79.7%であった。
【0127】
比較例4の白色度は94%であり、不透明度は83%であった。このため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にすることができ、ユーザが違和感を生じることがない。
【0128】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、6.6Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、8.0Nである。
【0129】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、6.2%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、4.4%である。
【0130】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、4.0Nである。
【0131】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初の円周長から0.13mm増加し、18日経過で当初の円周長から0.23mm増加し、35日経過で当初の円周長から0.25mm増加し、63日経過で当初の円周長から0.26mm増加し、96日経過で当初の円周長から0.27mm増加した。したがって、比較例4では、時間経過とともに徐々にたばこ部24の円周長が増大することが分かった。また、比較例4では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mmを超えているために、蔵置安定性の基準を満たしていないことが分かった。
[比較例5]
【0132】
ラッパー41は、高通気度(30000C.U)の紙を用いた。比較例5のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。
【0133】
比較例5のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.36g/ccであった。
【0134】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.61Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、77.7%であった。
【0135】
比較例5の白色度は80%であり、不透明度は34%であった。したがって、白色度は78%以上であったが、不透明度が60%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。
【0136】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、4.8Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、7.0Nである。
【0137】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、4.9%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、4.0%である。
【0138】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、2.0Nである。
【0139】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.14mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.17mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.18mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.19mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.19mm増加した。したがって、比較例5では、時間経過とともに徐々にたばこ部24の円周長が増大することが分かった。また、比較例5では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mmを超えているために、蔵置安定性の基準を満たしていないことが分かった。
[比較例6]
【0140】
ラッパー41には、厚さ6μmのアルミニウム箔を用いた。比較例6のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。なお、比較例6では、アルミニウム箔であるラッパー41によってたばこ充填材23を巻き上げることができなかったことから、たばこ充填材23の密度(巻密度)およびたばこ部24の巻硬さ評価をすることが不可能であった。
【0141】
比較例6の白色度は23%であり、不透明度は100%であった。したがって、不透明度が60%以上であったが、白色度は78%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。
【0142】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、3.9Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、5.4Nである。
【0143】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、2.7%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、1.9%である。
【0144】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、2.7Nである。
【0145】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化量については、アルミニウム箔であるラッパー41によってたばこ充填材23を巻き上げることができなかったことから、評価をすることが不可能であった。
[比較例7]
【0146】
ラッパー41は、高坪量の紙(坪量35g/m
2、填料0%)の紙を用いた。比較例7のたばこ部24およびラッパー41は、
図7〜
図9に示す表の仕様で作成した。
【0147】
比較例7のたばこ充填材23の密度(巻密度)は、0.37g/ccであった。
【0148】
新方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、0.83Nであった。従来方法で測定した、たばこ部24の巻硬さは、81%であった。
【0149】
比較例7の白色度は81%であり、不透明度は56%であった。したがって、白色度は78%以上であったが、不透明度が60%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。
【0150】
ラッパー41の引張強さは、18mm法で測定したとき、横方向に関して、17.6Nである。ラッパー41の引張強さは、180mm法で測定したとき、横方向に関して、24Nである。
【0151】
ラッパー41の破断時までの伸びは、18mm法で測定したとき、横方向に関し、5.6%である。ラッパー41の破断時までの伸びは、180mm法で測定したとき、横方向に関し、3%である。
【0152】
ラッパー41が1%伸びたときの応力(1%応力)は、18mm法で測定したとき、横方向に関し、7.0Nである。
【0153】
蔵置中のたばこ部24の円周長の変化について以下に説明する。5日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、18日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、35日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、63日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.04mm増加し、96日経過で当初のたばこ部24の円周長から0.05mm増加した。したがって、蔵置開始から5日間でたばこ部24の円周長が0.04mm程度増加したものの、その後はたばこ部24の円周長にほとんど変化が見られなかった。また、比較例7では、基準となる35日経過時までの円周長の増加量が0.16mm以下となっているために、円周長の増加量の基準値以下であることが分かった。
[考察]
【0154】
図11に、実施例1〜4、比較例1〜7の18mm法による横方向の伸び(%)と、引張強さと、の関係を表すグラフを示す。同図に示すように、実施例1〜4の分布は、比較例1〜6の分布とは、はっきりと異なることが分かった。したがって、たばこ部24の円周増大を防止して、蔵置中においてもたばこ部24の円周長を適切に管理するためには、18mm法による引張強さが10〜30Nの範囲内にあることがよいことが分かる。同様に、蔵置中においてもたばこ部24の円周長を適切に管理するためには、18mm法による横方向の伸びが0.1〜8%の範囲内にあることがよいことが分かる。
【0155】
なお、比較例7については、白色度が81%であり、不透明度が56%であった。したがって、白色度は78%以上であったが、不透明度が60%未満であったため、伝統的紙巻たばこと同様の外観にならず、ユーザが違和感を生じた。このため、実際の製品に採用することは困難であった。
【0156】
図12に、実施例1〜3、比較例1〜6の18mm法による横方向の伸び(%)と、180mm法による横方向の伸び(%)と、の関係を表すグラフを示す。これによれば、18mm法による横方向の伸びと、180mm法による横方向の伸びと、の間には、概ね正の相関があることが見て取れる。
<巻上げ品のラッパーと巻前のラッパーの引張強さについての評価>
【0157】
発明者らは、たばこ部24として実際に巻き上げられたラッパー41の18mm法での引張強さ、伸び、1%応力について測定を行った。
図13に、これらの結果を示すとともに、上記したたばこ部24として巻き上げ前(巻前)のラッパー41の引張強さ、伸び、1%応力を再掲し、それらの差について検討を行った。
[実施例1*]
【0158】
実施例1*では、上記実施例1の評価に用いたラッパー41と同じラッパー41を実際にたばこ部24として巻き上げて巻上げ品とした。室温22℃、湿度60%の環境下で、4週間蔵置後、再びラッパー41をたばこ部24から取り外し、上記実施例1と同様の機器を用いて、同様の手順で、18mm法により引張強さ、および伸びを測定し、1%応力を算出した。
【0159】
その結果、
図13に示すように、18mm法での引張強さは、横方向に関し、14.5Nであった。18mm法での伸びは、横方向に関し、4.7%であった。18mm法での1%応力は、横方向に関し、6.58Nであった。
[比較例1*]
【0160】
比較例1*でも同様に、上記比較例1の評価に用いたラッパー41と同じラッパー41を実際にたばこ部24として巻き上げて巻上げ品とした。室温22℃、湿度60%の環境下で、4週間蔵置後、再びラッパー41をたばこ部24から取り外し、上記比較例1と同様の機器を用いて、同様の手順で、18mm法により引張強さ、および伸びを測定し、1%応力を算出した。
【0161】
その結果、
図13に示すように、18mm法での引張強さは、横方向に関し、2.7Nであった。18mm法での伸びは、横方向に関し、8.3%であった。18mm法での1%応力は、横方向に関し、0.74Nであった。
[比較例4*]
【0162】
比較例4*でも同様に、上記比較例4の評価に用いたラッパー41と同じラッパー41を実際にたばこ部24として巻き上げて巻上げ品とした。4週間蔵置後、再びラッパー41をたばこ部24から取り外し、上記比較例1と同様の機器を用いて、同様の手順で、18mm法により引張強さ、および伸びを測定し、1%応力を算出した。
【0163】
その結果、
図13に示すように、18mm法での引張強さは、横方向に関し、2.3Nであった。18mm法での伸びは、横方向に関し、6.1%であった。18mm法での1%応力は、0.52Nであった。
[考察]
【0164】
図14に、たばこ部24として巻き上げる前(巻前)のラッパー41の引張強さおよび伸びを、実施例1、比較例1、比較例4として示す。また、たばこ部24として巻き上げた巻上げ品とし、室温22℃、湿度60%の環境下で、4週間蔵置後、再度たばこ部24から取り出したラッパー41の引張強さおよび伸びを、実施例1*、比較例1*、比較例4*として示す。
【0165】
図14に示すように、比較例1、比較例4については、巻上げ品として比較例1*、比較例4*とした場合に、引張強さがそれぞれ大きく低下することが分かった。一方、実施例1については、巻上げ品として実施例1*とした場合でも、引張強さおよび伸びのいずれの大きな変動を生じることはなかった。これは例えば、以下のように考えることができる。
【0166】
例えば、18mm法による引張強さが10Nを下回るような強度の低い紙は、蔵置中にたばこ充填材23等から拡散した香料成分や水分等の影響により、引張強さが低下する傾向がある。しかしながら、実施例1のように相対的に引張強さが大きい、例えば、引張強さが10N以上のラッパー41であれば、蔵置の前後において引張強さ、伸びがほとんど変化しないことが予想される。このため、実施例1〜4のように、引張強さが10N以上のラッパー41とすれば、蔵置中によって引張強さ、伸びが悪化することがないものと理解される。このため、上記実施例1〜4のたばこ部24およびラッパー41を有するロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)であれば、蔵置中に巻きの円周長が増大してしまう不具合を生じることがなく、ロッドの円周長を適切に管理することが可能なロッド14(非燃焼加熱型喫煙物品)およびこれを備えた電気加熱型喫煙システムを提供できる。