【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、制作者が将来的に完成させる予定の、未完成の作品を将来の一定時期に、約定の金額で購入する権利である予約権を、予約権購入希望者が作品完成前に購入し、その対価を作品完成前に作家に提供することが可能となる。また、予約権を売買することも可能であり、作家のプロモーションを、本発明を実施する者である運営者が行うことにより、予約権所有者は作品の将来的価値の増加による利益を得ることが可能となり、作品の流通が促進されるという非常に優れた効果が得られる。
<図面の簡単な説明>
図1ハードウエア図
図2自然法則の利用性に関する説明図
図3全体図
図4実施形態1に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図5実施形態1に係る作家プロモート方法のフローチャート
図6実施形態1に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図7実施形態2に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図8実施形態2に係る作家プロモート方法のフローチャート
図9実施形態2に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図10実施形態3に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図11実施形態3に係る作家プロモート方法のフローチャート
図12実施形態3に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図13実施形態4に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図14実施形態4に係る作家プロモート方法のフローチャート
図15実施形態4に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図16実施形態5に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図17実施形態5に係る作家プロモート方法のフローチャート
図18実施形態5に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図19実施形態6に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図20実施形態6に係る作家プロモート方法のフローチャート
図21実施形態6に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図22実施形態7に係る作家プロモートシステムの機能ブロック図
図23実施形態7に係る作家プロモート方法のフローチャート
図24実施形態7に係る作家プロモートプログラムのハードウエア図
図25(a)インターフェイス図 ジャンル一覧画面
図25(b)インターフェイス図 作家一覧画面
図25(c)インターフェイス図 作家
詳細画面
図25(d)インターフェイス図 作品一覧画面
図25(e)インターフェイス図 予約権情報画面
図26(a)情報構成図 作家関連情報
図26(b)情報構成図 予約権情報
図26(c)情報構成図 予約権購入希望情報
図26(d)情報構成図 予約権所有者情報
図26(e)情報構成図 予約権対価受取情報
図26(f)情報構成図 予約権対価支払情報
図26(g)情報構成図 作品情報
図26(h)情報構成図 予約権行使情報
図26(i)情報構成図 作品交付情報
図26(j)情報構成図 作品譲渡履歴情報
図26(k)情報構成図 購入希望者情報
<本発明を構成し得るハードウエアについて>
【0033】
本件発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、ソフトウエアによって実現され、ハードウエアによっても実現され、ソフトウエアとハードウエアの協働によっても実現される。本件発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウエアでは、コンピュータの基本的構成であるCPU、メモリ、バス、入出力装置、各種周辺機器、ユーザーインターフェイスなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置、インターネット等インターフェイス、インターネット等機器、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、カメラ、ビデオ、テレビ、実験室又は工場などでの生産状態を把握するための各種センサ(流量センサ、温度センサ、重量センサ、液量センサ、赤外線センサ、出荷個数計数機、梱包個数計数機、異物検査装置、不良品計数機、放射線検査装置、表面状態検査装置、回路検査装置、人感センサ、作業者作業状況把握装置(映像、ID、PC作業量などで)等)、CD装置、DVD装置、ブルーレイ装置、USBメモリ、USBメモリインターフェイス、着脱可能タイプのハードディスク、一般的なハードディスク、プロジェクタ装置、SSD、電話、ファックス、コピー機、印刷装置、ムービー編集装置、各種センサ装置などが含まれる。 また、本システムは、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LANであってもWANWifi、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、超音波通信であってもよく、さらに、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。さらに、複数の筐体のそれぞれが異なる主体によって運営されていてもよく、一の主体によって運営されていてもよい。本件発明のシステムの運用主体は、単数であるか複数であるかは問わない。また、本システムの他に第三者の利用する端末、さらに他の第三者の利用する端末を含むシステムとしても発明を構成することができる。また、これらの端末は国境を越えて設置されていてもよい。さらに、本システムや前記端末の他に第三者の関連情報や、関連人物の登録のために利用される装置、登録の内容を記録するためのデータベースに利用される装置などが用意されてもよい。これらは、本システムに備えてもよいし、本システム外に備えてこれらの情報を利用可能に
、本システムを構成してもよい。
図1は本実施形態1におけるハードウ
エア構成の一例を示す図である。本実施形態における飲食店単位のリサイクルウエブサイトシステムのハードウ
エア構成について,
図1を用いて説明する。
【0034】
この図にあるように、計算機は、マザーボード上に構成される、チップセット、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、各種バス、BIOS、USBやHDMI(登録商標)やLANなどの各種インターフェイス、リアルタイムクロック等からなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ(USB、HDMI(登録商標)などの各種インターフェイス、カメラ、マイク、スピーカ又はヘッドホン、ディスプレイなどの各種機器組込み用)、各種プログラムなどと協働して動作する。本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウ
エア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。
【0035】
≪チップセット≫
【0036】
「チップセット」は、計算機のマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまりブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。2チップセット構成を採用する場合と、1チップセット構成を採用する場合とがある。CPUやメインメモリに近い側をノースブリッジ、遠い側で比較的低速な外部I/Oとのインターフェイスの側にサウスブリッジが設けられる。
【0037】
(ノースブリッジ)
ノースブリッジには、CPUインターフェイス、メモリコントローラ、グラフィックインターフェイスが含まれる。従来のノースブリッジの機能のほとんどをCPUに担わせてもよい。ノースブリッジは、メインメモリのメモリスロットとはメモリバスを介して接続し、グラフィックカードのグラフィックカードスロットとは、ハイスピードグラフィックバス(AGP、PCI Express)で接続される。
【0038】
(サウスブリッジ)
サウスブリッジには、PCIインターフェイス(PCIスロット)とはPCIバスを介して接続し、ATA(SATA)インターフェイス、USBインターフェイス、EthernetインターフェイスなどとのI/O機能やサウンド機能を担う。高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート、フロッピーディスクドライブ、シリアルポート、パラレルポート、ISAバスをサポートする回路を組み込むことは、チップセット自体の高速化の足かせとなるためサウスブリッジのチップから分離させ、スーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIに担当させることとしてもよい。CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐためにバスが用いられる。バスはチップセットによって連結される。メインメモリとの接続に利用されるメモリバスは、高速化を図るために、これに代えてチャネル構造を採用してもよい。バスとしてはシリアルバスかパラレルバスを採用できる。パラレルバスは、シリアルバスが1ビットずつデータを転送するのに対して、元データそのものや元データから切り出した複数ビットをひとかたまりにして、同時に複数本の通信路で伝送する。クロック信号の専用線がデータ線と平行して設け、受信側でのデータ復調の同期を行う。CPU(チップセット)と外部デバイスをつなぐバスとしても用いられ、GPIB、IDE/(パラレル)ATA、SCSI、PCIなどがある。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI ExpressやパラレルATAの改良版シリアルATAでは、データラインはシリアルバスでもよい。
【0039】
≪CPU≫
【0040】
CPUはメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部にレジスタ、キャッシュメモリや、キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス、DMAコントローラ、タイマー、ノースブリッジとの接続バスとのインターフェイスなどが含まれる。なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。また,CPUに加えて,グラフィックインターフェイス(GPU)若しくはFPUによって,処理を行っても良い。なお、実施形態での説明は2コアタイプのものであるが、これに限定されない。またCPU内にプログラムを内蔵することもできる。
【0041】
≪不揮発性メモリ≫
【0042】
(HDD)
【0043】
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェイスは、SATA(過去ではATA)を採用することができる。高機能なコントローラ、例えばSCSIを用いて、ハードディスクドライブ間の通信をサポートする。例えば、ファイルを別のハードディスクドライブにコピーする時、コントローラがセクタを読み取って別のハードディスクドライブに転送して書き込むといったことができる。この時ホストCPUのメモリにはアクセスしない。したがってCPUの負荷を増やさないで済む。
【0044】
≪メインメモリ≫
【0045】
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順に従ってCPUがプログラムを実行する。
【0046】
≪オペレーティングシステム(OS)≫
【0047】
オペレーティングシステムは計算機上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウ
エアである計算機自身を管理するために用いられる。小型の計算機ではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
【0048】
≪BIOS≫
【0049】
BIOSは、計算機のハードウ
エアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的には計算機の起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウ
エアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたBIOSによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、BIOSは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにBIOSを構成してもよい。以上については,すべての実施形態でも同様である。
【0050】
図に示すように、本発明は基本的に汎用計算機プログラム、各種デバイスで構成することが可能である。計算機の動作は基本的に不揮発性メモリに記録されているプログラムを主メモリにロードして、主メモリとCPUと各種デバイスとで処理を実行していく形態をとる。デバイスとの通信はバス線と繋がったインターフェイスを介して行われる。インターフェイスには、ディスプレイインターフェイス、キーボード、通信バッファ等が考えられる。以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0051】
<本発明の自然法則の利用性の充足>
【0052】
本発明は、コンピュータと通信設備とソフトウエアとの協働で機能するものである。従来、プロジェクト参加者が面談で行っていた処理を単にICTを用いて処理可能にしただけでなく、プロジェクトにまつわる多くの複雑な情報交換や手続きや認証、決済の効果をICTによって確定させたり、本来熟練しないと作成できないような必要事項がすべて満たされた有効な情報の蓄積、保持、交換をICTを介して支援したりするなど、ICTならではの処理が含まれているのでいわゆるビジネスモデル特許として成立するものである。また、各種識別情報やリスク情報、課題情報、タスク情報が各部で保持されたり、処理されたりしており、この観点からも本願発明はコンピュータなどのリソースを請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は自然法則を利用したものであることとなる。
【0053】
<特許法で求められる自然法則の利用の意義>
【0054】
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する利用者に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を利用者がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、利用者が本システムによって得る効果が心理的な効果であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の対象外の事象である(
図2)。
<発明を実施するための形態>
【0055】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1、
7および
13に関し、実施形態2は主に請求項2、
8および
14に関し、実施形態3は主に請求項3、
9および
15に関し、実施形態4は主に請求項4、
10および
16に関し、実施形態5は主に請求項5、
11および
17に関し、実施形態6は主に請求項
1、
7および
13に、実施形態7は主に請求項
6、
12および
18に関する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<全体像:ビジネスモデルの説明>
【0056】
まず、実施例について説明する。本実施例は、本件出願の基本的なアイデアを具体的に示すものである。本発明は、制作者が将来的に完成させる予定の、未完成の作品を将来の一定時期に、約定の金額で購入する権利である予約権を、予約権購入希望者が作品完成前に購入し、その対価を作品完成前に作家に提供し、また、予約権自体の売買も行うことを基本とするビジネスモデルに関するものである。
【0057】
図3は、このビジネスモデルの全体像を示す図である。図中括弧囲みの数字で示されている順にビジネス処理手順が進行する。作家は、委託制作を受注したい場合や、制作予定の作品について作品完成前に対価を受領したい場合等に、このビジネスモデルを利用し、予約権の譲渡を行う。また、既に完成した作品についても、このビジネスモデルを用いて取引を行うことが可能である。
【0058】
(1)まず、作家(作品の直接又は間接の制作者、作家のプロモーションをする者、作家をマネージメントする者の一以上を含む。本件出願の請求の範囲、明細書、図面、要約書並びに後程提出する意見書、手続補正書に関して同じ。)は、販売したい予約権、すなわち、将来の一定時期に約定の金額で作品を取得する権利に関する情報を、本発明の運営者に対して出力し、取得させる。本事例では、作家のコンピュータ端末により、販売したい予約権の情報を出力し、作家プロモートシステムに取得させる。本事例のように、ネットワーク等を介して情報を送受信することが望ましい。
【0059】
(2)作家プロモートシステム側では、作家に関する情報を公開する。この作家に関する情報には、作家が販売を希望する予約権に関する情報が含まれている。この公開は、ウエブ等を用いてネットワークを介して購入希望者のコンピュータ端末によって閲覧可能とすること等が想定される。
【0060】
(3)購入希望者は、(2)により公開された作家に関する情報を閲覧し、購入したい予約権があれば、購入申込を行う。この購入申込は、購入希望者のコンピュータ端末により作家プロモートシステム上のサイトで行われること等が想定される。
【0061】
(4)作家プロモートシステム側では、購入希望者から購入申込を受付ける。購入申込は、購入希望者のコンピュータ端末より送信され、ネットワークを介して作家プロモートシステムの運営者のコンピュータ端末やサーバに受信されることが想定されるが、もし購入申込が口頭やメール等で行われた場合は、作家プロモートシステム側のオペレータが作家プロモートシステムにコンピュータ端末を用いて入力する。
【0062】
(5)作家プロモートシステムでは、(4)で受け付けた購入申込に基づいて、予約権所有者を決定する。この判断は、自動的に行われても良いし、作家プロモートシステムの運営者の判断を介しても良い。また、実施形態6および7で後述するように、クラウドファンディングを行う場合は、購入申込が一定額以上である場合に、初めて予約権購入希望者を予約権所有者とするような処理を行うことが想定される。予約権所有者に関する情報は、作家プロモートシステム内に電子的に保持される。また、予約権所有者となった旨の情報が、購入希望者に対して電子的に通知されることも考えられる。
【0063】
(6)作家は、作品を完成し、作品に関する情報を作家プロモートシステムに取得させる。望ましくは、作家のコンピュータ端末より、作家プロモートシステムのサイト上から、ネットワークを通じて電子的に情報を送受信する。
【0064】
(7)作家プロモートシステムでは、完成した作品に関する情報の公開を行う。この公開は、少なくとも予約権の所有者に対して行われるが、作品や予約権に転売希望がなされている場合等には、サイト等を通じて一般に公開されうる。
【0065】
(8)予約権所有者は、予約権で定められた予約権行使期限(予約権行使期限の定めがない場合もあり得る。)までに、予約権の行使を行う旨の情報を作家プロモートシステムに対して送信する。この情報送信は、望ましくは購入希望者端末からネットワークを通じて作家プロモートシステム内のサイトで行われる。
【0066】
また、予約権所有者は、予約権を予約権行使期限までに行使せずに、転売することも可能である。この場合、(2)以下のプロセスが繰り返される。
【0067】
(9)予約権が行使された旨の情報は、作家プロモートシステムで受信される。これにより、作家プロモートシステムで、予約権の行使状況を把握し、管理することが可能となる。
【0068】
作家がすでに完成した作品の販売を希望する場合には、(6)(7)(4)(5)(8)(9)のプロセスが順に行われる。
<実施形態1(主に請求項1に対応)>
<実施形態1(主に請求項1に対応):概要>
【0069】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、例えば油絵、シルクスクリーン、像彫刻、写真等の作品を制作する作家(作品の直接又は間接の制作者、作家のプロモーションをする者、作家をマネージメントする者の一以上を含む。以下同じ。)が、将来作品を約定の金額で売買する権利である予約権を、本実施形態に関わるシステムを運用する運営者に対して販売し作家は運営者から対価を受け取り、又は運営者に販売を委託する者である。
運営者が予約権を買い取った場合には、運営者はこれに収益分を付加して再販売することで収益を確保できる。作家が運営者に予約権の所有権を譲渡しないで単に予約権の販売業務を委託した場合には運営者がこれを販売することで得られた対価は、自身の業務委託費を除外した後に残余を作家に引き渡すこととなる。
【0070】
この発明で重要なポイントの一つは、作家が原始所有者となる予約権という権利を概念し、生成した点にあるとともに、これを
、ネットワークを介して電子的に取引可能とした点にある。電子的に取引可能としたことにより予約権の流動性が高まり、作家に対して効率的に対価が流入するようになる。
【0071】
本実施形態に係る作家プロモートシステムでは、作家が作品の制作に先立って、あるいは制作途中に、予約権の対価を取得し、作品制作費用やプロモート費を捻出することが可能になる。また、本実施形態と並行して、ノウハウを有する運営者等が作家から委託を受けてプロモーション活動を行うことにより、作家のブランド力が向上し、それに伴って予約権の価格が高騰すれば、予約権の所有者は予約権を再販売することによって差益を得ることもできる。また別に実際に予約権を行使して作品を入手し、その作品を転売することによっても差益を得ることができる。なぜなら予約権の購入価格は、相対的にブランド力が低い時代の作品価格をベースに決定されている価格なので予約権の行使時にはブランド力の向上によって作品価格は上昇し、その値段は購入時の予約権の価格を上回っていると考えられるからである。
<実施形態1(主に請求項1に対応):構成>
【0072】
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図4に示すように作家識別情報保持部0401と、作家関連情報保持部0402と、予約権識別情報取得部0403と、予約権情報保持部0404と、作家関連情報報閲覧部0405と、予約権購入希望情報受付部0406と、予約権購入希望情報保持部0407と、予約権所有者識別情報取得部0408と、予約情報保持部0409と、作品識別情報取得部0410と、作品閲覧部0411と、予約権行使情報取得部0412と、予約権行使情報保持部0413から構成されている。
【0073】
以下では、作家である、山下火山が、作品である絵画2点を購入する予約権の販売を運営者に対して委託し、運営者の運営する本実施形態のシステムにより作家関連情報を閲覧した甲山太郎が、ネットワークを通じて運営者に対して予約権購入希望の申込を行い、運営者がこれを受け付けるとともに、これに基づいて予約権所有者を決定し、予約権が行使された場合を例として説明する。また、甲山太郎がこの予約権の転売を希望したため、乙川花子が本実施形態のシステムを通じて予約権を取得し、所定の制作期間内に制作者により作品が制作され、乙川花子により予約権が行使され、作品が乙川花子に交付された場合についても例として説明する。
<実施形態1:構成の説明>
<実施形態1:構成の説明 作家識別情報保持部>
【0074】
「作家識別情報保持部」0401は、作家(作品の直接又は間接の制作者、作家のプロモーションをする者、作家をマネージメントする者の一以上を含む。以下同じ。)を識別する作家識別情報を保持するように構成される。この作家識別情報で識別される作家が必ずしも予約権の委託をしている必要はない。将来的に予約権の委託を行う者として登録されている場合の他に、すでにすべての予約権が譲渡された後の作家を識別するために作家識別情報を保持するように構成することが出来る。
【0075】
作家識別情報とは、例えば、作家毎に唯一に割り当てられた、作家識別コード等である。
【0076】
運営者は、新規に予約権の売買を行う作家より作品の予約権の取得を行った際に、この作家識別情報を作成し、作家識別情報保持部に保持させる。
【0077】
例えば、運営者が利用するコンピュータ端末により、
図6のプログラムを作動させることにより、
図5のステップを通じて、運営者が利用するコンピュータ端末やサーバ等である作家プロモートシステム内の作家識別情報保持部に、作家識別情報を保持させる。
【0078】
作家に関する新規の予約権の取得は、ネットワーク等を介して電子的に行うと、口頭、メール等で行うと問わず、作家識別情報の取得も作家のコンピュータ端末よりネットワークを介して受信して取得すると、口頭等の申込に基づいて作家プロモートシステムの運営者のオペレータがコンピュータ端末に入力して取得すると、入力情報に基づき自動的に生成されると問わない。
【0079】
なお、ここで「作品の間接の制作者」とは、作品の直接の制作者から制作の指示を受けてその指示に忠実に従って作品の制作を行った者を言う。
【0080】
「作家のプロモーションをする者」とは、作家のブランド力を向上させるための仕事を行う者であって、企業であるか個人であるかは問わない。例えば作家に関するドキュメントの制作立案を行ったり、作家の作品をデザインとして取り入れた消費者向け商品を発案し、売り込みを行ったり、作家をメディアに取り上げさせたりするような者を言う。
【0081】
「作家をマネージメントする者」とは、作家の活動を補助したり支援したり組み立てたりする者で、一般には芸能人などのマネージャーとほぼ同じ作業を行うものを言う。
【0082】
これらの者が作家と代替的に示されるのは、作家の代理として本システムにアクセスし、識別情報の付与対象となりうるからである。つまり、作家の予約権に関する代理人として本作家プロモートシステムに登録されうるからである。
【0083】
<実施形態1:構成の説明 作家関連情報保持部>
【0084】
「作家関連情報保持部」0402は、作家識別情報保持部に保持された作家識別情報と関連付けて、作家に関する情報を保持する。作家関連情報は、作家識別情報を作家識別情報保持部に最初に登録する際に合わせて記録され保持されるように構成することが好ましい。ただし、その後の時間の経過により、保持されている作家関連情報を修正したり、あるいは情報を追加したりできるように構成する。これは本システムが有する作家関連情報編集部によってなされるように構成する。作家関連情報編集部は、例えば外部の端末からインターネットを介してアクセスし、作家関連情報を編集することが出来るように構成することができる。アクセスして編集権原があることをパスワードや生体認証情報などによって認証する機能を設けることが好ましい。
【0085】
「作家関連情報」としては、例えば、作家の名義(本事例では山下火山)、住所、電話番号、例えば、「油絵」「シルクスクリーン」「写真」「彫刻」「オブジェ」「映像」「陶芸」「日本画」「工芸」といった作品ジャンル(本事例では油絵を表すコードであるOPT、シルクスクリーンを表すコードであるSS)、卒業大学(本事例では東京メトロ美術大学卒)、受賞歴(1999年新人大賞等)といった制作者経歴等である(
図26(a))。また、作家関連情報は閲覧できるコンテンツに限定されるものでなく、視聴されるコンテンツで構成されていてもよい。視聴されるコンテンツの例としては、ビデオや音声が代表的である。ビデオの例としては作家の創作活動を撮影したビデオや、作家の肉声を記録した音声媒体から再生される音声が考えられる。また、直接的には作品に関連しない事項であっても、作家関連情報に保持させることも考えられる。一例としては、作家のプロモーターやマネージャーへの連絡方法(電話番号、eメールアドレス、作家のホームページアドレス、SNSのIDなど)などを挙げることができる。さらに作家関連情報をインターネットを介して接続している端末に出力する形態としては、上記の他に印刷、プリントアウトの形式があってよい。印刷、プリントアウトの形式にはさらに冊子印刷形式があってよい。また場合によってこれらの印刷、プリントアウトは有償とするように構成することができる。例えば、対価の支払いをクレジットカート゛や電子マネー等で行い、決済ができた場合に作家関連情報の印刷、プリントアウトの出力をインターネットを介して接続されている端末が利用可能な装置からするように構成することができる。
【0086】
この作家関連情報の少なくとも一部は、後述する作家関連情報閲覧部にて閲覧されることとなる。なお、作家が端末として、コンピュータを利用可能であることは必ずしも必要でなく、作家より口頭、メール等で得られた情報をもとに、運営者のオペレータがコンピュータ端末等に入力して、作家関連情報を保持しても良い。
<実施形態1:構成の説明 予約権識別情報取得部>
【0087】
「予約権識別情報取得部」0403は、作家識別情報保持部が保持する作家識別情報、並びに予約権の対価を示す情報である予約権対価情報(本事例では、100万円)と関連付けて、将来の作家の作品を優先的に購入する権利である予約権を唯一に識別する情報である予約権識別情報を取得する。
【0088】
予約権対価情報は、少なくとも予約権の対価を示す金額情報を含み、作家のコンピュータ端末によりネットワークを通じて、あるいは運営者のオペレータが運営のコンピュータ端末に登録すること等により、予約権識別情報取得部において取得される。
【0089】
予約権識別情報は、例えば予約権毎に割当てられた予約権識別コード等である(本事例では予約権識別コードR001234)。予約権の生成は順番に生成される自動生成で良いが、コード化してもよい。例えば、先頭二けたを作品の属する芸術分野とし、その後に続く数桁を権利の行使が可能となる時期を示す情報とし、さらにその後の数桁を予約権に関わる所有権の現在のステータスを示す情報とするなどである。従って、予約権を唯一的に識別するが流動的な情報であるステータス情報などを含むように構成してもよい。ステータスに関する編集は、その変動の原因となる情報の入力を受付けてステータス編集部によって編集されるように構成することが出来る。さらに、法的には予約権識別情報を取得することで無形ではあるが予約権という財産権が識別可能に存在することになる。つまり予約権という権利の発生を確定的とする効果がある。従って、予約権の譲渡等販売を委託した作家は、本システムの運用者に対して予約権識別情報の登録を請求する権利を有している。また本システムの運用者が作家の権利に基づいて、作家の端末から予約権識別情報をこの予約権識別情報取得部取得させる処理を行うように構成してもよい。これは予約権生成部によって行われる。また予約権は、ブロックチェーンで取引されるように構成することもできる。
また、予約権識別情報は、その予約権の内容を示す情報である予約権内容情報と関連付けられるように構成することが望ましい。この予約権内容情報は、予約権内容情報保持部に保持され、予約権購入希望者に少なくとも一部は閲覧可能に構成することが好ましい。「予約権内容情報」とは、予約権の内容として、芸術作品の種類や内容、サイズなどを示す情報である。例えば山下火山の予約権内容情報は、本人が絵画を作品とする芸術家であるために、予約権行使によって譲り受けることとなる作品が例えば油絵であると示される。また作品は一般にそのサイズによって譲渡対価が異なるために、その油絵のサイズが30号などサイズに関する情報が含まれるとよい。さらに、作品のテーマ、例えば作品のテーマは、海をモチーフにした風景画などと作品のテーマを示すとよい。また作品は類似のものがどの程度制作されるかによって価値が異なる場合もあるので、類似制作点数を示すとよい。例えば、類似の作品を制作する点数は3点以内などと示す。さらに製作開始予定時期などとして、製作開始時期は、2022年7月以降などと予定を示すとよい。さらに作品制作予定期間も示すのがよい。例えば、作品制作予定期間は、3か月などの情報である。これらは予約権購入希望者が実際にどの予約権を購入すればよいかの判断材料となる上に、その予約権の対価がその作品に対して適切な価格であるかを判断する材料となる。さらに、予約情報保持部にて予約権識別情報と関連づけられている予約権所有者がその予約権を第三者に譲渡してもよいと考えている場合には、その旨の情報や、第三者に譲渡する条件なども情報として保持して外部の人間に閲覧可能とすると予約権の流通市場が形成されその作家のブランド力の向上にも資することとなる。
なお、予約権とは、例えば新株予約権のように将来においてこれを行使する旨の意思表示をすることで、約定の価格において作品を購入する権利を指す場合もあれば、予約権を購入し、対価を支払うことで、作品の交付期日にこれと引き換え等行うことによって作品を交付される権利を指す場合も含まれる。
【0090】
<実施形態1:構成の説明 予約権情報保持部>
【0091】
「予約権情報保持部」0404は、取得された予約権識別情報と、作家識別情報と、予約権対価情報とを関連付けた情報である予約権情報を保持する。
【0092】
予約権情報には、例えば予約権を取得した日時情報や、予約権対価情報に関わる作品の件数(本事例では、2点)、作品の引き渡し請求である予約権の行使が行われる期限である日時の情報である、予約権行使期限情報(本事例では、2023年12月20日)、作品完成予定日時情報(本事例では、2023年12月31日)等が含まれうる(
図26(b))。
【0093】
予約権については、一つの予約権識別情報に複数の作家識別情報が関連づけることも可能である。この場合、一つの予約権に関する作品について、複数の作家が共同制作を行うこととなる。これにより、本発明によって公共作品のような大掛かりな作品の共同制作の依頼についても簡易に管理可能となる。また運営者が作品完成を担保すること等により、作品制作の依頼を行うリスクを低減することが可能となることから、作品制作依頼をより安全に行うことが可能となり、芸術界の活性化に資することとなる。
予約権対価情報で示される対価は、原始的に取得される額の他に、流通することによって当事者間で定められた額、ないしは、原始的取得者から取得した予約権の所有者が販売してもよいと考える額であってよい。つまり、予約権の対価は固定的なものでなく、経時的に変動する額であってよい。従って、予約権の所有者は、その所有権に基づいて予約権の対価を編集することが出来るように構成することが好ましい。これは本システムに備えられる予約権対価編集部によって実現される。予約権対価編集部は、真正な予約権の所有者であることを電子的に示し、本システムに認証されることでインターネットを介して外部端末から利用可能なように構成することが好ましい。この認証は予約権真正所有者認証部によって実現される。この認証は生体認証情報を利用してもよいし、パスワードやIDを利用して認証するように構成してもよい。またワンタイムパスワードなどを利用するように構成することもできる。さらに予約権は、予約権取引市場を設定して、その市場で取引できるように構成することもできる。つまり、株式等と同様に売値を示し、その売値で購入を自由にあるいは権限のあるものが購入できるように構成することが出来る。市場取引では予約権の購入は早い者勝ちとなる。この市場取引機能は、予約権情報保持部に保持されている予約権情報に基づいて行われるように構成する。この市場取引機能は、作家プロモートシステムの内部に市場取引部を設けて行うように構成してもよいし、作家プロモートシステムの予約権情報保持部と通信可能な外部に設ける別途の市場取引サーバによって行われるように構成してもよい。
【0094】
<実施形態1:構成の説明 作家関連情報閲覧部>
【0095】
「作家関連情報報閲覧部」0405は、保持されている予約権情報に基づいて予約権対価情報と、予約権情報に含まれる作家識別情報で識別される作家に関する作家関連情報を、ネットワークを介して閲覧可能とする。
【0096】
ここで閲覧可能となるのは、少なくとも予約権情報保持部に保持された、予約権識別情報取得部において取得された予約権対価情報と、作家識別情報で識別される作家に関する作家関連情報(本事例では、山下火山に関する情報)であるが、これに限らない。作家関連情報閲覧部では、これらの情報を、ネットワークを介して送信し、例えばこれを受信する予約権購入希望者のコンピュータ端末等で閲覧可能とする。なお本例に即して言えば閲覧可能となる作家名「山下火山」は、本名である必要はなく雅号、筆名、ニックネームなどであってもよい。また、作家関連情報閲覧部は、だれでもインターネットを介して閲覧できるようにすることも可能であるし、一連の登録情報の登録によって閲覧可能になるように構成してもよい。また単なる登録だけでなく、閲覧を申請する者の情報を審査した後に登録し、閲覧可能となるように構成することもできる。なお、審査は人工知能によって行われるように構成することもできる。一度に多くの申請がある場合に審査が滞る場合があるからである。人工知能による審査では、その申請者の興味がる芸術に関して自由形式で記入を求め、その記入内容が閲覧に適しているかを人工知能に審査させるように構成することもできる。人工知能に対するフィードバックは、その後の閲覧の状況を閲覧ログによって収集し、確かにその種の芸術に興味があるかの情報によって行うことが出来る。
【0097】
予約権購入希望者のコンピュータ端末で閲覧可能なインターフェイス画面は、例えば
図25の各図のようになる。
【0098】
予約権の購入希望者はまず、
図25(a)のジャンル一覧画面において、希望するジャンルを選択する。
図25(a)では、絵画や、彫刻といった各ジャンルが一覧で表示されている。購入希望者は、関心のあるジャンル(本事例では、絵画)を選択し、[GO]のボタンをクリックする。すると、
図25(b)の作家一覧画面が表示される。
【0099】
図25(b)の作家一覧画面では、選択したジャンルの作品を制作する作家の一覧が表示される。予約権購入希望者は、関心のある制作者(本事例では山下火山)選択し、[GO]のボタンをクリックする。すると、
図25(c)の作家詳細画面が表示される。
図25(c)の作家
詳細画面では、山下火山といった作家が、年齢、卒業大学、職業、受賞歴といった経歴情報や、顔写真等と共に表示される。予約権購入希望者は、作家の作品の閲覧を希望する場合には、画面下部の[作品を閲覧]ボタンをクリックする。すると、
図25(d)の作品一覧画面が表示される。
【0100】
図25(d)の作品一覧画面では、選択された作家(本事例では山下火山)の過去の作品が画像、受賞歴等とともに一覧で表示される。購入希望者が予約権の購入を検討している場合には、画面下部の[予約権
情報]のボタンをクリックする。すると、
図25(e)の予約権情報画面が表示される。
【0101】
図25(e)予約権情報画面では、制作者に関する販売中の予約権に関する情報が表示される。ここでは、区分予約権(一の予約権を共同購入・共同所有する場合の予約権)の有無、販売された予約権中の、購入された予約権の割合である予約権の購入率、予約権の販売残件数、予約権の価格変動履歴グラフが表示される。この予約権の価格変動履歴は、作品の種別(サイズ、ジャンル、テーマ、作品完成予定時期)などに応じて複数の価格変動履歴が表示されるように構成してもよい。また、予約権1件あたりの作品点数、予約権1件当たりの価格、予約権行使期限、作品完成予定日時、予約権に対して制作される作品のサイズ、作風といった特徴についての情報なども表示されうる。
【0102】
予約権の購入を希望する購入希望者は例えば、画面下部のプルダウン等から予約権を購入する件数を選択するなどするとともに、[購入]ボタンをクリックすることで、予約権の購入希望の申込が行う。これにより、予約権購入希望情報が作家プロモートシステムの運営者のコンピュータ端末やサーバ等にネットワークを介する等して、送信される。
【0103】
作家関連情報の閲覧の方法は、上記のようなウエブ公開に限定されず、メール、専用のアプリケーション(購入希望者のコンピュータ端末にインストールされている)を介した公開であっても良い。また、メールアドレスが登録されている購入希望者にメールでハイパーリンク付きの案内を送り、このハイパーリンクを介してウ
エブページにたどり着くように構成してもよいし、メール自体にHTML記述を行い、メール内で作家関連情報を閲覧可能に構成しても良い。また、マーケティングや作家関連情報閲覧部による閲覧機能に反映させる等の目的で、購入希望者の閲覧情報が保持されるように構成されることも考えられる。閲覧情報とは、作家関連情報と、購入希望者が閲覧した日時の情報、閲覧時間長、閲覧ページ遷移情報やアクセス回数、各ページ滞在時間長、検索ワード情報等である。
【0104】
このように、予約権購入希望者が、コンピュータ端末を用いて作家関連情報を閲覧することにより、予約権の購入希望を送信等し、後述の予約権購入希望情報受付部において、予約権購入希望情報を取得することが可能となる。
【0105】
<実施形態1:構成の説明 予約権購入希望情報受付部>
【0106】
「予約権購入希望情報受付部」0406は、予約権識別情報と、その予約権の購入の希望をする者である予約権購入希望者を識別する希望者識別情報とを関連付けた情報である予約権購入希望情報を受付ける。
【0107】
例えば、本事例では予約権の購入を希望する者である予約権購入希望者である甲山太郎を識別する希望者識別情報(本事例の場合、C022)を取得し、これと予約権情報保持部に保持されている予約権識別情報と関連付けた情報である予約権購入希望情報を取得する(
図26(c))。希望者識別情報は、所定の希望者識別情報生成ルールに基づいて生成されるように構成することができる。希望者識別情報生成ルールは、例えば、希望する予約権の予約権識別情報に基づいて生成されるように構成することもできるし、さらに、同一の予約権に対して何番目に希望がされた希望者であるかの情報に基づいて生成されるように構成することもできる。なお、関連付けられた「予約権識別情報」と、「希望者識別情報」とは、必ずしも独立した情報として存在する必要はなく、両識別情報で一体的な識別情報を生成する場合にも関連付けられているとすることとする。
【0108】
希望者識別情報は、例えば、予約権購入希望者のコンピュータ端末に予約権購入希望者が入力した情報を、ネットワークを介して運営者のコンピュータ端末等が受信し、これに基づいて唯一に割当られた希望者識別コード等である。
【0109】
予約権購入希望情報には、予約権購入希望情報を取得した日時の情報等が含まれることも考えられる。
また、予約権の転売の希望があった際にも、予約権購入希望情報受付部において予約権の購入希望情報を受付け、予約権所有者識別情報取得部において、新たに予約権所有者識別情報が取得される(本事例では、乙川花子が予約権R001234の購入を希望し、予約権所有者O013
8となった)。この場合、予約権所有者情報が別に作成されると、既存の予約権所有者情報に上書きされると問わない。この場合も、上記の動作に引き続き、予約情報保持部ないし予約権行使情報時保持部のシステムの動作が実施される。また、予約権が行使されるまでの間、予約権の転売が複数回なされることも想定される。この場合、これらの動作が、予約権行使情報取得部のシステムの動作がなされるまで、複数回にわたりなされることが想定される。
【0110】
<実施形態1:構成の説明 予約権購入希望情報保持部>
【0111】
「予約権購入希望情報保持部」0407は、予約権購入希望情報受付部において受付けた予約権購入希望情報を保持する。予約権購入希望情報保持部では、保持される情報は、必ずしも予約権購入希望情報のみである必要はなく、予約権の購入を希望する利用者が予約権の購入希望を本システムに入力する際に付随的にシステムに入力する情報が関連付けられて保持されるように構成してもよい。関連付けられる情報としては、その希望入力の日次情報、その予約権に関係する作家や、作品に対する思い、希望、称賛などであってもよい。保持されている予約権購入希望情報は、その希望情報に基づいてその希望者識別情報で識別される利用者がその後に予約権の所有者となった場合には削除されるか、その予約権購入希望情報が予約権の譲渡が実行された希望情報である旨のフラグと関連付けられて保持されるように構成してもよい。また、予約権希望情報が実現しなかった場合、つまり、希望者識別情報で識別される利用者に対して予約権の譲渡が最終的にできなかった場合には、その予約権希望情報が削除されるように構成してもよいし、あるいは譲渡が最終的にできなかった旨を示すフラグと関連付けて保持されるように構成してもよい。なお、予約権希望情報を何らかの形でこの保持部に残存させることで、予約権希望情報の履歴情報として利用することが出来るように構成することも考えられる。つまり、検索キーなどを利用してこの予約権希望情報を検索可能に構成して、その結果が出力されるようにすることも考えられる。この出力は、本システムの管理者のみならず、本システムによって予約権の購入を希望することが出来る利用者に対して出力するように構成することも考えられる。その場合には、希望者識別情報はプライバシーの保護のために実名で表示しないように構成することが好ましい。ただし、本人が実名公開を承諾した場合には実名で公開するようにしてもよい。このような承諾入力受付機能を本システムのいずれかに備えるように構成することが好ましい。例えば後述する希望者登録部の登録プロセスの一部に実名公開承諾処理を備えるように構成することができる。
【0112】
この処理、運営者のコンピュータ端末で行うと、サーバ等で行うと問わない(本事例では、運営者サーバにおいて保持する)。
<実施形態1:構成の説明 予約権所有者識別情報取得部>
【0113】
「予約権所有者識別情報取得部」0408は、予約権購入希望情報受付部において受付けた予約権購入希望情報に基づいて、その予約権の所有者となった者である予約権所有者を識別する情報である予約権所有者識別情報(本事例では、O0137)を取得する。この予約権所有者識別情報を取得する処理は、予約権の所有権を譲渡する、あるいは付与することを法律的には意味する。予約権所有者識別情報は、希望者識別情報をそのまま用いてもよいし、希望者識別情報を部分的に改変して予約権所有者識別情報としてもよい。前者の場合には後述する予約情報保持部に保持されている予約情報中の予約権所有者識別情報である元の希望者識別情報に所有者であることを示すフラグを関連付けて保持するなどの方法が考えられ、後者の場合には元の希望者識別情報に新たに所有者であることを示す識別情報を付加するなどが考えられる。
【0114】
予約権所有者識別情報の取得は、例えば予約権識別情報に関連づけられた予約権所有者識別情報や、後述の予約権行使情報が存在しない場合にのみ、取得されるとすることも可能である。また、希望者識別情報や予約権購入希望情報等に基づき運営者が判断を行い、予約権所有者情報を取得することとしても良い(
図26(d))。一の予約権に複数の予約権購入希望者が予約権購入希望情報を入力した場合には、先着順に予約権の譲渡を行うという処理、即ち先着順に予約権所有者識別情報を取得する処理、をすることも考えられる。なお、先着順が原則であるが、何らかの理由によって作家プロモートシステムの運営者側、ないしは作家プロモートシステムの計算プログラムによってその予約権購入希望者には予約権を譲渡しない、即ち予約権所有者識別情報を割り当てない(取得しない)との判断がなされた場合には次点を繰り上げるなどの処理を実行するように構成することもできる。
【0115】
上記に基づき、運営者は予約権所有者から予約権対価情報上の価額を取得し、例えば委託販売の場合は予め約定の運営者手数料を控除する等して、作家にこれを支払う(本事例では、運営者は甲山太郎より予約権対価情報上の対価である100万円を取得し、10%の委託販売手数料である10万円を控除し、残り90万円を山下火山に支払う)。
【0116】
予約権対価の支払いは、実施形態1のシステムにクレジット決済機能を持たせ、ネットワークを通じて、クレジット決済を行うことによることも考えられる。また、額が多額な場合等には、予約権所有者から運営者に対する、あるいは運営者から作家に対する銀行預金口座振込情報を運営者コンピュータ端末やサーバ等で電子的に取得し、あるいは運営者のオペレータが入力することにより取得することも考えられる(
図26(e)、
図26(f))。
【0117】
本作家プロモートシステムにより予約権の売買を行うことにより、作家は作品制作に先立って、作品の対価に当たる金員等を取得することが可能となる。これにより、作家は、例えば大掛かりで多額の材料費やプロモーション費等の原資を要する作品を制作したい、ないしはより多く作品を販売したいにも関わらず、資力がないため作成が不可能であ
る、プロモーションが不可能である、といった困難から解放され、自身が表現したいと考える自由な創作活動を行うことが可能となり、あるいは、作品がより多くの人から購入される状況を作り出すことができる。
【0118】
<実施形態1:構成の説明 予約情報保持部>
「予約情報保持部」0409は、予約権所有者識別情報取得部で取得した予約権所有者識別情報と、予約権識別情報とを関連付けた情報である予約情報を保持する。保持された予約情報に基づいて紙などに印刷された予約証書などを発行するように構成することも考えられる。予約証書には、予約権の内容や、その予約権の所有者を日本語で理解可能な表現で表示するように構成する。印刷装置と本システムが連動して予約情報が保持された状態で自動的に印刷されるように構成することが出来るし、印刷命令を受付けることによって印刷されるように構成してもよい。これは印刷命令受付部を本システムに設けることによって実現される。印刷命令は、本システムの管理者のみが入力することが出来るように構成することが出来るし、予約情報に含まれる予約権所有者識別情報で識別される予約権の所有者が命令を入力することが出来るように構成することもできる。なお、印刷装置は、本システムの管理者の管理下にある印刷装置であってもよいし、予約権所有者識別情報で識別される予約権の所有者が管理する印刷装置(プリンターや複合機などが該当する)で印刷されるように構成することもできる。なお、予約情報は本システムの管理者が検索キーなどによって保持されている予約情報を閲覧することが出来るように構成されていてもよいし、プライバシーが保護された表示で本システムを利用する者が閲覧できるように構成してもよい。あるいは、自身の予約情報はその予約権所有者のみが閲覧できるように構成してもよい。予約情報を閲覧可能とするとともに、予約情報に係る予約権を転売可能なように構成することが考えられる。これは予約情報の閲覧に基づいて予約権の転売をするための予約権転売部を本システムに設けることで実現できる。このためには、予約権の所有者の端末から予約情報として、転売可能である旨の情報を記録することによって行われる。この転売可能である旨を示す情報は、本システムのインターフェイスに予約権識別情報と関連付けて転売可能であるとのフラグを立てるための転売可能化ボタンなどを設けることによって行われるように構成することができる。作家のプロモートが進むと次第にその作家の作品のみならず、その作家の作品の予約権も価格が上昇し、予約権の所有者によっては、その差益を得たいと考える場合もあるからである。この時の予約権の転売価格は、原則的に予約権の原初の価格を上回る価格となるが、どの程度の価格とするかはその予約権の所有者の意思次第である。ただし、最低価格を予約権の所有者が決め、オークション方式で予約権の落札者を決定するように本システムを構成することも考えられる。さらには、一の予約権と他の予約権とをネットワークを介し、本システムにて交換する場を提供することも考えられる。これは前述のように本システムに予約権識別情報と関連付けて予約権スワップ可能フラグを記録することによって行われる。予約権スワップ可能フラグは、予約情報保持部のインターフェイスとして、予約権スワップ可能ボタンを設けることによって行われるように構成することができる。なお、さらにスワップを希望する予約権の種別(作品の属する分野、作家、予約権行使期限、予約権の相場、予約権に関連するプロモート団体など)を特定して予約情報として表示可能に構成してもよい。これは予約情報にスワップ希望情報として記録される。スワップ希望情報は、スワップ希望情報入力部からその予約権の所有者端末などから入力されるように構成することができる。
本事例では、甲山太郎が、予約権所有者となった後、作家のプロモーションの成功等による作品価格高騰等の理由から予約権の行使に先立ってこれを転売することを希望した場合、例えば予約権情報保持部において転売の希望する旨の情報である転売希望情報を取得すること等により、作家関連情報閲覧部において、予約権情報と関連付けられた作家関連情報を閲覧可能とすることができる(本事例では、甲山太郎が予約権R001234を、200万円を予約権対価として転売を希望)。
【0119】
予約情報とは、例えば、区分予約権の個数(本事例では、0個)、予約権行使期限情報(本事例では、2023年12月20日)、作品完成予定日時情報(本事例では、2023年12月31日)が含まれうる。
【0120】
予約権所有者識別情報が取得・保持されることにより、予約権に所有者が割り当てられた後、運営者あるいは運営者から委託された事業者や個人プロモーターはこの予約権に関連する作家のプロモーションを行うことができるように構成することもできる。プロモーションを行う事業者は、予約権所有者識別情報が取得・保持されたタイミングでプロモーションの実行開始が可能である旨の通地を受領するように本システムを構成することが考えられる。この受領は、本システムのプロモーションを行う事業者が閲覧可能なウエブページで受領するように構成してもよいし、電子メールなどで通知されるように構成してもよい。またプロモーションをする事業者の割当は、作家に対して予め割り当てられていてもよいし、本システムによって自動的に割り当てられるように構成してもよい。自動的に割り当てるためにはプロモーションを行う事業者の登録部であるプロモーター登録部を本システムが備えるように構成し、どのような作家や作品のプロモーションを得意とするかなどの情報を登録させて、作家の属性にマッチングするプロモーターを自動的に割り当てるように構成することが考えられる。
【0121】
このプロモーションは、運営者等が有する作家に対する鑑定眼、プロモーションのノウハウ、人脈といった、個々のアーティストやアーティストが所属するギャラリー等の作家が保有することが困難な資源を活用して行われること等が想定され、これにより従来に比べ高いプロモーション効果を得ることが期待できる。プロモーションは、作家プロモートシステム内で電子的に行われるものに限らず、例えば雑誌、テレビ、ラジオ、インターネット等のメディアに対する作家の出演依頼や、個展の開催、作品をデザインした商品の販売といった企業とのコラボレーション等、多岐に渡りうる。このような大規模かつ効果的なプロモーション活動により、作家は自身のブランド力を向上することが可能となる。また、予約権購入者は予約権購入価格からプロモーションにより相対的に上昇した価値の作品を取得することができるので、作品価格上昇分の差益を得ることができる。この際、実施形態6および実施形態7で後述するように、運営者自身も予約権の一部の所有者となれば、運営者自身がプロモーションによる価格上昇の利益を享受しうる。従って運営者自身も強いインセンティブをもって作家のプロモーション活動を行うことができ、作家のプロモーションに関する強い効果が期待できる。
【0122】
このように、予約権に対する所有者の割当後に作家に関するプロモーションを行うことで、予約権の価値の向上が期待でき、予約権購入者は価格上昇差益を獲得し、作家は自身のブランド力が向上し、ひいては芸術作品取引市場の活性化に資するという、より強い効果が生ずる。
【0123】
<実施形態1:構成の説明 作品識別情報取得部>
【0124】
「作品識別情報取得部」0410は、予約権識別情報が取得された後に制作が完了した、予約権情報保持部に保持される予約権識別情報に含まれる作家識別情報で識別される作家の作品を唯一に識別する作品識別情報を取得する(本事例では、W0035、W0036)。
【0125】
作家は、予約権に関する作品を制作し、これを運営者にネットワークを介して、もしくは口頭、メール等で通知を行う。運営者は、これに基づき、制作された作品に対して、作品識別情報を取得する。作品識別情報にかかる作品は、予約権所有者が存在するものであると、存在しないものであると問わない。また、予約権識別情報と関連付けられた予約権情報が存在するものと、存在しないものと問わない。従って、実施形態4で後述するように、予約権に関わる売買が
、運営者が運営する実施形態1のシステムによりなされておらず、作品のみを売買する場合も作品識別情報が取得される場合がある。作品識別情報は、制作された作品と一対一で関連付けられなければならないので、例えば作家が新規に制作した作品の写真と関連付けて作品識別情報が取得される。作品に作家のサイン、署名、花押等が含まれる場合には、それを含めて写真撮影する。版画のような場合には、何番中、何番目の作品であるかを示す番号情報も含めるようにする。基本的には作品の全体像が写された写真であることが好ましい。彫刻、焼き物、彫像などの立体的な作品である場合には原則として前後、左右の写真を含むものとし、場合によっては上下の写真が含まれるようにする。制作された作品の写真でなく、実物を本システムの運用者等が管理する倉庫等に運び込んだうえで、その実物を3D撮影するなどの方法でデータを取得し、そのデータと作品識別情報とを関連付けて取得し、保持するように構成することもできる。
【0126】
<実施形態1:構成の説明 作品閲覧部>
【0127】
「作品閲覧部」0411は、作品識別情報取得部で取得された作品識別情報と関連付けて、その作品についての情報である作品情報(
図26(g))を、少なくとも作品識別情報で識別される作品の作家識別情報を含む予約権所有者(本事例では、甲山太郎)に対して、閲覧可能とする。作品のデータが写真の他の情報によって利用者に与えられる場合には、その情報も閲覧ないし、利用者の端末への出力が可能なように構成することができる。例えば、3Dデータなどを閲覧(出力を含む)の対象としてもよい。さらに、作品閲覧部からの実際の閲覧の申し込みができるように実閲覧申込部を設けて、本システムの運営者の管理する、あるいは関係者の管理する見学スペースなどで見学可能なようにビジネスを進めることができる。この実閲覧申込部は、実閲覧のスケジュール調整機能などを備えていることが好ましい。スケジュールの調整は、本システムの運営者や、関係者と閲覧希望者との間でコミュニケーションをとりながらテキストベースで調整できるように構成することができる。
【0128】
作品は、ネットワークを介して、予約権所有者のコンピュータ端末に表示する等により閲覧可能とされる。閲覧可能とする対象は、予約権の転売等を可能とするため、予約権所有者以外にも予約権購入希望者等も含むことも考えられる。
【0129】
<実施形態1:構成の説明 予約権行使情報取得部>
【0130】
「予約権行使情報取得部」0412は、作品閲覧部での作品の閲覧に基づいて、作品識別情報と関連付けて予約権を行使する旨の情報である予約権行使情報を取得する。なお、「作品の閲覧に基づいて」は、作品の閲覧を必須の処理とするものではない。作品の閲覧に基づかないで予約権を行使する旨の情報を取得することが出来るように構成されるものを含む趣旨である。従って、この構成要件は、「作品識別情報と関連付けて予約権を行使する旨の情報である予約権行使情報を取得する予約権行使情報取得部」と同等の意味を有する。
【0131】
予約権の行使は、例えば予約権識別情報と関連付けられた予約権情報保持部に保持された、予約権行使期限情報の日付までに、予約権を行使し、予約権に関する作品を予約権の消尽によって譲り受ける旨の意思表示に当たるものであり、これが行使された旨の情報は、予約権所有者からネットワークを介して電子的に取得すると、運営者が予約権所有者から口頭、メール等でされた意思表示を運営者のコンピュータ端末で入力して取得すると問わない。
【0132】
本事例では、予約権所有者であるO0137で識別される甲山太郎が予約権行使期限である2023年12月20日までの2023年12月16日に、予約権R001234に関する作品W0035、W0036を取得する意思表示を甲山太郎のコンピュータ端末を通じて行い、ネットワークを介して、これらの情報が送信され、予約権行使を行った日時情報等と共に運営者のコンピュータ端末で取得している(
図26(h))。
【0133】
<実施形態1:構成の説明 予約権行使情報保持部>
【0134】
「予約権行使情報保持部」0413は、予約権行使情報取得部において取得された予約権行使情報を保持する。
【0135】
予約権行使情報は、例えば運営者のコンピュータ端末やサーバ等に保持される。これにより、予約権の行使を運営者が管理することが可能となる。
【0136】
予約権の行使が行われた場合、作家は予約権情報上の作品識別情報に関する作品を予約権行使者に交付する。作品の交付に関する情報について、作品を物理的に支配した予約権行使者が、予約権行使者のコンピュータ端末等によりネットワークを介する等して、運営者コンピュータ端末が取得し保持することも考えられる(本事例では、山下火山より2023年12月28日、甲山太郎に対して作品W0035、W0036を直接交付し、これに関する情報が甲山太郎よりネットワークを介して運営者サーバに送信され、保持された(
図26(
i)))。なお、本システムを利用して予約権を行使した場合には、物理的に予約権行使者にその作品を支配させる代わりに本システム運用者が管理する作品保管庫などに保管し、いつでも予約権行使者に引き渡せる状態にしておくことも考えられる。このようにシステム運用者等の管理する作品保管庫に保管することで贋作の問題も解消されるので作品を手放すときの鑑定などを軽度の作業とすることが可能となり、作品の流通コストを下げることができる。
【0137】
また、作品の完成について本発明の運営者側がこれを担保することも可能である。個々の作家より相対的に資金力に勝り、信用のある作家プロモートシステム運営者が、作家による作品の完成および引き渡しを保証し、もし作品が作品完成の予定期日までに完成しなかった場合は、作家プロモートシステムの運営者が予約権所有者に対して補償する、といった条件を設定し、これを作家関連情報閲覧部等において表示することにより予約権購入の約款とすることで、予約権購入希望者は、将来制作される予定の作品であって、未だ完成していないものであっても、安心して予約権の購入などの取引を行うことが可能となる。この場合、前述のように作家プロモートシステム内において、作品交付情報を取得し、保持することが想定される。作品交付情報に基づいて予約権情報に定められた予約権の行使が可能であったか、不能であったかを判断することが出来るからである。
<実施形態1(主に請求項1に対応):処理の流れ>
【0138】
本実施形態1の作家プロモートシステムにて実行される処理の流れを説明する。
【0139】
図5は、当該処理の流れを示す図である。この図にあるように、作家プロモートシステムの動作処理手順は、作家(作品の直接又は間接の制作者、作家のプロモーションをする者、作家をマネージメントする者の一以上を含む。以下同じ。)を識別する作家識別情報を保持する作家識別情報保持ステップ0501と、作家識別情報と関連付けて作家に関連する情報である作家関連情報を保持する作家関連情報保持ステップ0502と、作家識別情報、並びに後記する予約権の対価を示す情報である予約権対価情報と関連付けて、将来の作家の作品を優先的に購入する権利である予約権を識別する情報である予約権識別情報を取得する予約権識別情報取得ステップ0503と、取得された予約権識別情報と、作家識別情報と、予約権対価情報とを関連付けた情報である予約権情報を保持する予約権情報保持ステップ0504と、保持されている予約権情報に基づいて予約権対価情報と、予約権情報に含まれる作家識別情報で識別される作家に関する作家関連情報をネットワークを介して閲覧可能とする作家関連情報報閲覧ステップ0505と、予約権識別情報と、その予約権の購入の希望をする者である予約権購入希望者を識別する希望者識別情報と、を関連付けた情報である予約権購入希望情報を受付ける予約権購入希望情報受付ステップ0506と、受付けた予約権購入希望情報を保持する予約権購入希望情報保持ステップ0507と、受付けた予約権購入希望情報に基づいてその予約権の所有者となった者である予約権所有者を識別する情報である予約権所有者識別情報を取得する予約権所有者識別情報取得ステップ0508と、取得した予約権所有者識別情報と、予約権識別情報とを関連付けた情報である予約情報を保持する予約情報保持ステップ0509と、予約権識別情報が取得された後に制作が完了したその予約権識別情報に含まれる作家識別情報で識別される作家の作品を識別する作品識別情報を取得する作品識別情報取得ステップ0510と、作品識別情報と関連付けてその作品についての情報である作品情報を、少なくともその作品識別情報で識別される作品の作家識別情報を含む予約権を所有する予約権所有者に対して閲覧可能とする作品閲覧ステップ0511と、作品閲覧部での作品の閲覧に基づいて、作品識別情報と関連付けて予約権を行使する旨の情報である予約権行使情報を取得する予約権行使情報取得ステップ0512と、取得した予約権行使情報を保持する予約権行使情報保持ステップ0513と、を有するコンピュータである作家プロモートシステムの動作方法からなっている。
<実施形態1(主に請求項1に対応):ハードウエア的構成>
【0140】
ハードウエア的構成は、
図6に示すように、CPU0601と、バス0602、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)0603と主メモリ0604とI/O0605などを備えており、作家(作品の直接又は間接の制作者、作家のプロモーションをする者、作家をマネージメントする者の一以上を含む。以下同じ。)を識別する作家識別情報を保持する作家識別情報保持プログラム0606と、作家識別情報と関連付けて作家に関連する情報である作家関連情報を保持する作家関連情報保持プログラム0607と、作家識別情報、並びに後記する予約権の対価を示す情報である予約権対価情報と関連付けて、将来の作家の作品を優先的に購入する権利である予約権を識別する情報である予約権識別情報を取得する予約権識別情報取得プログラム0608と、取得された予約権識別情報と、作家識別情報と、予約権対価情報とを関連付けた情報である予約権情報を保持する予約権情報保持プログラム0609と、保持されている予約権情報に基づいて予約権対価情報と、予約権情報に含まれる作家識別情報で識別される作家に関する作家関連情報をネットワークを介して閲覧可能とする作家関連情報報閲覧プログラム0610と、予約権識別情報と、その予約権の購入の希望をするものである予約権購入希望者を識別する希望者識別情報と、を関連付けた情報である予約権購入希望情報を受付ける予約権購入希望情報受付プログラム0611と、受付けた予約権購入希望情報を保持する予約権購入希望情報保持プログラム0612と、受付けた予約権購入希望情報に基づいてその予約権の所有者となった者である予約権所有者を識別する情報である予約権所有者識別情報を取得する予約権所有者識別情報取得プログラム0613と、取得した予約権所有者識別情報と、予約権識別情報とを関連付けた情報である予約情報を保持する予約情報保持プログラム0614と、予約権識別情報が取得された後に制作が完了したその予約権識別情報に含まれる作家識別情報で識別される作家の作品を識別する作品識別情報を取得する作品識別情報取得プログラム0615と、作品識別情報と関連付けてその作品についての情報である作品情報を、少なくともその作品識別情報で識別される作品の作家識別情報を含む予約権を所有する予約権所有者に対して閲覧可能とする作品閲覧プログラム0616と、作品閲覧部での作品の閲覧に基づいて、作品識別情報と関連付けて予約権を行使する旨の情報である予約権行使情報を取得する予約権行使情報取得プログラム0617と、取得した予約権行使情報を保持する予約権行使情報保持プログラム0618とを有する。
<実施形態1(主に請求項1に対応):効果>
【0141】
上記したように、この実施形態1に係る作家プロモートシステムでは、作家が作品の制作に先立って、あるいは制作途中に、予約権の対価を取得することにより制作費用を捻出することが可能になると同時に、ノウハウを有する運営者による作家のプロモーション活動により、予約権購入希望者は、予約権の価格が高騰すれば、予約権所有者は本実施形態の作家プロモートシステムを通じてこれを売却することにより、利益を得ることが可能となり、予約権を行使すれば、価値が上昇し、含み益をもった状態で作品を取得することが可能となる。また作家自身のブランド力も向上し、将来に向けて十分な報酬を得ることが可能となる。
【0142】
このように、本発明は作品の予約権の取引を可能とすることで、芸術作品取引の流動化を促進し、取引市場を拡大させ、ひいては芸術界全体の活性化が期待できる非常に優れた効果を奏する。
<実施形態2(主に請求項2に対応)>
<実施形態2(主に請求項2に対応):概要>
【0143】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、請求項1の作家プロモートシステムに加え、予約権に基づき制作された作品の所有者に関する履歴の情報を保持する作家プロモートシステムである。
【0144】
従来、作品の真贋についてはしばしば紛争の元となり、作品の真正に疑念が生じることが、作品の流通自体や、適正な価格での流通の大きな妨げとなってきた。作家の元を離れ、点々流通する作品が真正に作家により作成されたものであることを証明することは容易ではない。そのため、作品の購入を希望する者は、常に贋作を購入する危険性を考慮して取引を行わなければならないという問題があり、作品取引のハードルが高くなってしまう点が、作品取引市場を活性化する障害となってきた。
【0145】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、作品の所有者に関する履歴を保持するシステムである。これにより、作品の所有者に関する証明等を行うことが可能となり、作品の真贋に関する紛争を防止し、作品の適法かつ適正価格での流通を促進することが可能となる。
<実施形態2(主に請求項2に対応):構成>
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図7に示すように、実施形態1の作家識別情報保持部0701と、作家関連情報保持部0702と、予約権識別情報取得部0703と、予約権情報保持部0704と、作家関連情報報閲覧部0705と、予約権購入希望情報受付部0706と、予約権購入希望情報保持部0707と、予約権所有者識別情報取得部0708と、予約情報保持部0709と、作品識別情報取得部0710と、作品閲覧部0711と、予約権行使情報取得部0712と、予約権行使情報保持部0713に加えて、作品譲渡履歴情報保持部0714から構成されている。
【0146】
以下では、実施形態1のシステムにより甲山太郎により予約権が行使され、作品が丙田三郎に対して譲渡された場合を例として説明する。
【0147】
<実施形態2:構成の説明 作品譲渡履歴情報保持部>
【0148】
「作品譲渡履歴情報保持部」0714は、予約権の行使の結果作品の所有者となった者である初期作品所有者を識別する初期作品所有者識別情報(本事例では、甲山太郎)と、この者が予約権の行使を行った結果、所有した作品を識別する作品識別情報(本事例では、W0036)と、ある場合には、初期所有者識別情報で識別される初期作品所有者を起源としてその後の作品を所有した者を識別する情報である譲渡後作品所有者識別情報(本事例では、丙田三郎)と、時系列に関連付けた情報である作品譲渡履歴情報を保持する(
図26(j))。
【0149】
譲渡後作品所有者識別情報は、現実に作品が譲渡された際、譲渡した者、あるいは譲渡された者から運営者が譲渡に関する情報を口頭、メール等、あるいはネットワークを通じて取得し、運営者のコンピュータ端末等で入力、あるいは受信し、サーバ等において保存する。
【0150】
本実施形態により、本作家プロモートシステムを通じて完成後の作品が売買された場合に限らず、作品の譲渡に関する情報を譲渡者あるいは取得者から得ることによって作品譲渡履歴を取得し保持することが可能となる。
【0151】
このように、少なくとも過去の一時点、特に初期作品所有者が確定することは、その後作品が本作家プロモートシステムを離れて流通した場合にも、作品の真正を証明する上で重要な手がかりとなり、作品購入者は安心して作品を購入することが可能となる。従って本作家プロモートシステムの実施形態は、作品流通を大きく促進する。
【0152】
また、運営者は、作品譲渡履歴情報等に基づき、現在、あるいは少なくとも初期作品所有者情報等により、過去の一定時点での作品の所有者や、作品の譲渡履歴等に関する証明書を発行することも可能である。これにより、完成した作品の売買も安心して行うことが可能となるから、作品取引市場の活性化を図ることができる。証明書の発行は、本実施形態の作家プロモートシステムを通じて電子証明の形で行われても良いが、作家プロモートシステムから得られる情報を運営者が記載した書面等で行われることも考えられる。なお、作品の譲渡のエビデンスとして作品から得られる暗号情報を合わせて本システムに入力させるように構成してもよい。作品から得られる暗号情報とは、作品の画像などをデジタル化し、その値を要約関数で要約するなどにして生成される情報を挙げることができる。この要約情報は作品の所有者であればだれでも生成できるように構成することが望ましい。具体的には予め本システム運用者などによって作品の基準ポイントを3点以上決定し、作品の所有者がその3点を含む写真を撮影し、その撮影画像を本システムに対して入力することで本システム内に備えられた要約関数で要約情報を生成するように構成する。この要約関数は、3点以上の点を直線で結ぶことによって得られる写真の面内の画像に基づいてデジタル情報を生成する。その際には、フィルターなどを用いてその写真のノイズ除去処理などを行うとよい。3点の情報は予め本システム内に保存されているので、その3点の情報を基準としてノイズ処理を行う。このようにして得られたデジタル情報を要約関数に入力して要約情報を取得する。真正な作品の要約情報は予め本システム内に保存されているように構成するので(真正要約情報保持部)作品の所有者から送信されてきた写真に基づいてその写真の作品が真正作品か贋作かを本システムにて判断することができる。作品を譲渡しようとする作品所有者や、作品を譲り受けた作品譲受者が作品の写真を上記のようにして送信するか、あるいは作品の写真から生成される要約情報を本システムに送信することによってその写真にかかる作品の真贋判定が可能となる。このような機能を本システム内に真贋判定部として備えるように構成することができる。また真贋判定部は送信されてきた写真とともに真贋判定結果を返信するように構成してもよい。さらに真贋判定結果が作品とともに閲覧可能に構成することもできる。
<実施形態2(主に請求項2に対応):処理の流れ>
【0153】
本実施形態2の作家プロモートシステムの動作方法は、
図8に示すように、実施形態1の作家識別情報保持ステップ0801と、作家関連情報保持ステップ0802と、予約権識別情報取得ステップ0803と、予約権情報保持ステップ0804と、作家関連情報報閲覧ステップ0805と、予約権購入希望情報受付ステップ0806と、予約権購入希望情報保持ステップ0807と、予約権所有者識別情報取得ステップ0808と、予約情報保持ステップ0809と、作品識別情報取得ステップ0810と、作品閲覧ステップ0811と、予約権行使情報取得ステップ0812と、予約権行使情報保持ステップ0813に加えて、作品譲渡履歴情報保持ステップ0814から構成されている。
<実施形態2(主に請求項2に対応):ハードウ
エア構成>
【0154】
ハードウエア的構成は、
図9に示すように、実施形態1のCPU0901と、バス0902、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)0903と主メモリ0904とI/O0905と、作家識別情報保持プログラム0906と、作家関連情報保持プログラム0907と、予約権識別情報取得プログラム0908と、予約権情報保持プログラム0909と、作家関連情報報閲覧プログラム0910と、予約権購入希望情報受付プログラム0911と、予約権購入希望情報保持プログラム0912と、予約権所有者識別情報取得プログラム0913と、予約情報保持プログラム0914と、作品識別情報取得プログラム0915と、作品閲覧プログラム0916と、予約権行使情報取得プログラム0917と、予約権行使情報保持プログラム0918に加えて、作品譲渡履歴情報保持プログラム0919を有する。
<実施形態2(主に請求項2に対応):効果>
【0155】
上記したように、この実施形態2に係る作家プロモートシステムでは、作品の所有者に関する証明等を行うことが可能となり、作品の真贋に関する紛争を防止し、作品の適法かつ適正価格での流通を促進することが可能となる効果を奏する。
<実施形態3(主に請求項3に対応)>
<実施形態3(主に請求項3に対応):概要>
【0156】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、請求項1の作家プロモートシステムに加え、予約権行使情報が存在する予約権に関する予約権情報を削除する作家プロモートシステムである。
【0157】
本実施形態に係る作家プロモートシステムでは、予約権行使情報が存在する予約権については削除される。これにより、行使済みの予約権について更に購入希望を受け付けることを防ぎ、二重に予約権を譲渡することを回避することが可能となり、予約権の行使可能性が担保され、安心して予約権の購入を行うことができるシステムとなっている。
<実施形態3(主に請求項3に対応):構成>
【0158】
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図10に示すように、実施形態1の実施形態1の作家識別情報保持部1001と、作家関連情報保持部1002と、予約権識別情報取得部1003と、予約権情報保持部1004と、作家関連情報報閲覧部1005と、予約権購入希望情報受付部1006と、予約権購入希望情報保持部1007と、予約権所有者識別情報取得部1008と、予約情報保持部1009と、作品識別情報取得部1010と、作品閲覧部1011と、予約権行使情報取得部1012と、予約権行使情報保持部1013に加えて、予約権情報削除部1015から構成されている。
【0159】
以下では、実施形態1のシステムにより甲山太郎により予約権が行使された場合を例として説明する。
【0160】
<実施形態3:構成の説明 予約権情報削除部>
【0161】
「予約権情報削除部」1015は、保持されている予約権行使情報で行使された予約権識別情報で識別される予約権情報を予約権情報保持部から削除する。
【0162】
例えば、予約権R001234について、2023年12月16日に甲山太郎により予約権が行使され予約権行使情報が取得・保持された場合、予約権情報R001234は削除される。これにより、予約権情報R001234については、作家関連情報閲覧部において予約権購入申込希望者が閲覧することが不可能となる。従って、購入希望者がこれに対して重ねて予約権購入申込を行うことが不可能となる。
<実施形態3(主に請求項3に対応):処理の流れ>
【0163】
本実施形態3の作家プロモートシステムの動作方法は、実施形態1の作家識別情報保持ステップ1101と、作家関連情報保持ステップ1102と、予約権識別情報取得ステップ1103と、予約権情報保持ステップ1104と、作家関連情報報閲覧ステップ1105と、予約権購入希望情報受付ステップ1106と、予約権購入希望情報保持ステップ1107と、予約権所有者識別情報取得ステップ1108と、予約情報保持ステップ1109と、作品識別情報取得ステップ1110と、作品閲覧ステップ1111と、予約権行使情報取得ステップ1112と、予約権行使情報保持ステップ1113に加えて、保持されている予約権行使情報で行使された予約権識別情報で識別される予約権情報を予約権情報保持部から削除する予約権情報削除ステップ1115から構成されている(
図11)。
<実施形態3(主に請求項3に対応):ハードウ
エア構成>
【0164】
ハードウエア的構成は、
図12に示すように、実施形態1のCPU1201と、バス1202、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)1203と、主メモリ1204とI/O1205と、作家識別情報保持プログラム1206と、作家関連情報保持プログラム1207と、予約権識別情報取得プログラム1208と、予約権情報保持プログラム1209と、作家関連情報報閲覧プログラム1210と、予約権購入希望情報受付プログラム1211と、予約権購入希望情報保持プログラム1212と、予約権所有者識別情報取得プログラム1213と、予約情報保持プログラム1214と、作品識別情報取得プログラム1215と、作品閲覧プログラム1216と、予約権行使情報取得プログラム1217と、予約権行使情報保持プログラム1218に加えて、予約権情報削除プログラム1220から構成されている。
<実施形態3(主に請求項3に対応):効果>
【0165】
上記したように、この実施形態3に係る作家プロモートシステムでは、予約権行使情報が存在する予約権については削除されることで、行使済みの予約権について更に購入希望を受け付けることを防ぎ、二重に譲渡することを回避し、購入希望者は安心して予約権の購入が可能となる。これにより、取引の安全性を高めることができる効果を奏する。
<実施形態4(主に請求項4に対応)>
<実施形態4(主に請求項4に対応):概要>
【0166】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、請求項1の作家プロモートシステムに加え、完成した作品の売買を行う作家プロモートシステムである。
【0167】
本実施形態に係る作家プロモートシステムでは、実施形態1の作家プロモートシステムに加えて、完成した作品の情報を保持し、購入希望者に対して閲覧可能とし、購入希望を受付けて作品譲渡後所有者とすることで、作品を購入する予約権ではなく、完成後の作品についても、取引可能とするシステムとなっている。
<実施形態4(主に請求項4に対応):構成>
【0168】
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図13に示すように、実施形態1の実施形態1の作家識別情報保持部1301と、作家関連情報保持部1302と、予約権識別情報取得部1303と、予約権情報保持部1304と、作家関連情報報閲覧部1305と、予約権購入希望情報受付部1306と、予約権購入希望情報保持部1307と、予約権所有者識別情報取得部1308と、予約情報保持部1309と、作品識別情報取得部1310と、作品閲覧部1311と、予約権行使情報取得部1312と、予約権行使情報保持部1313に加えて、作品関連情報保持部1316と、作品関連情報閲覧部1317と、購入希望受付部1318と、作品譲渡後所有者識別情報取得部1319とから構成されている。
【0169】
以下では、実施形態1のシステムにより、甲山太郎により予約権が行使される前に、完成した作品W0036(
図26(g))の予約権を譲渡する場合を例として説明する(
図26(j))。
【0170】
<実施形態4:構成の説明 作品関連情報保持部>
【0171】
「作品関連情報保持部」1316は、作品識別情報と関連付けて、その作品に関連する情報である作品関連情報を保持する。
【0172】
作品関連情報とは、例えば作風、題材、素材、作品サイズ、完成日時、対価情報等である(本事例では、作家山下火山による海をモチーフにした風景画、油絵、キャンバス、F30号、2023年12月
2日完成、
46万円等)。作品関連情報は、実施形態1の作品情報と同一でも良い。作品関連情報は、作家がコンピュータ端末に入力したものを、ネットワークを通じて運営者コンピュータ端末等に受信して取得しても、作家より得た情報に基づき運営者コンピュータ端末において入力して取得しても良く、この情報を運営者コンピュータ端末、サーバ等で保持することが想定される。
【0173】
<実施形態4:構成の説明 作品関連情報閲覧部>
【0174】
「作品関連情報閲覧部」1317は、作品関連情報保持部で保持されている作品関連情報を、ネットワークを介して閲覧させる。
【0175】
作品関連情報の閲覧は、例えば作品の購入希望者のコンピュータ端末等で行われる。この際、閲覧可能な作品関連情報を、予約権が行使された後、あるいは作品の交付が行われた後に、作品関連情報保持部等において、作品を予約権所有者が転売する旨を希望する情報が保持されているもののみとすることも可能である。
【0176】
<実施形態4:構成の説明 購入希望受付部>
【0177】
「購入希望受付部」1318は、作品の購入希望者(本事例では丙田三郎)より、作品関連情報閲覧部で閲覧可能な作品関連情報に関連する作品の購入の希望を受付ける。
【0178】
この際、唯一の識別情報を取得することが考えられる(例えば、
Q10226)。購入希望に関する情報は、例えば
図26(c)の予約権購入希望情報と同一であっても良い。この購入希望受付は、購入希望書のコンピュータ端末に入力したものを、ネットワークを通じて運営者コンピュータ端末等に受信して取得しても、口頭、メール等で購入希望者の購入希望を受付け、運営者のオペレータが運営者コンピュータ端末に入力して取得しても良い。
【0179】
<実施形態4:構成の説明 作品譲渡後所有者識別情報取得部>
【0180】
「作品譲渡後所有者識別情報取得部」1319は、作品の購入の希望の受付に基づいて作品の所有者となった作品譲渡後所有者(本事例では、例えば丙田三郎)を識別する作品譲渡後所有者識別情報を作品識別情報と関連付けて取得する。
【0181】
この際、作品の譲渡日時の情報等と関連付けて情報を取得しても良い(本事例では、例えば20
27年1月4日)。
【0182】
このように、予約権が行使された後、あるいは作品の交付が行われた後に、予約権所有者が作品を転売する旨を希望する際にも、本発明の作家プロモートシステムを用いることが可能である。
<実施形態4(主に請求項4に対応):処理の流れ>
【0183】
本実施形態4の作家プロモートシステムの動作方法は、作家識別情報保持ステップ1401と、作家関連情報保持ステップ1402と、予約権識別情報取得ステップ1403と、予約権情報保持ステップ1404と、作家関連情報報閲覧ステップ1405と、予約権購入希望情報受付ステップ1406と、予約権購入希望情報保持ステップ1407と、予約権所有者識別情報取得ステップ1408と、予約情報保持ステップ1409と、作品識別情報取得ステップ1410と、作品閲覧ステップ1411と、予約権行使情報取得ステップ1412と、予約権行使情報保持ステップ1413に加えて、作品関連情報保持ステップ1416と、作品関連情報閲覧ステップ1417と、購入希望受付ステップ1418と、作品譲渡後所有者識別情報取得ステップ1419と、からなる(
図14)。
【0184】
作品関連情報保持ステップ、作品関連情報閲覧ステップ、購入希望受付ステップおよび作品譲渡後所有者識別情報取得ステップは、制作者による作品完成後、随時行われうる。また、これらのステップは、予約権の取引を運営者が運営する実施形態4のシステムで行っておらず、完成した作品のみの売買を行う場合にも用いられうる。
<実施形態4(主に請求項4に対応):ハードウ
エア構成>
【0185】
ハードウエア的構成は、
図15に示すように、実施形態1のCPU1524と、バス1502、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)1503と主メモリ1504とI/O1505と、作家識別情報保持プログラム1506と、作家関連情報保持プログラム1507と、予約権識別情報取得プログラム1508と、予約権情報保持プログラム1509と、作家関連情報報閲覧プログラム1510と、予約権購入希望情報受付プログラム1511と、予約権購入希望情報保持プログラム1512と、予約権所有者識別情報取得プログラム1513と、予約情報保持プログラム1514と、作品識別情報取得プログラム1515と、作品閲覧プログラム1516と、予約権行使情報取得プログラム1517と、予約権行使情報保持プログラム1518に加えて、作品関連情報保持プログラム1521と、作品関連情報閲覧プログラム1522と、購入希望受付プログラム1523と、作品譲渡後所有者識別情報取得プログラム1524からなる。
<実施形態4(主に請求項4に対応):効果>
【0186】
上記したように、この実施形態4に係る作家プロモートシステムでは、作品を購入する予約権ではなく、完成後の作品についても、取引可能とする効果を奏する。
<実施形態5(主に請求項5に対応)>
<実施形態5(主に請求項5に対応):概要>
【0187】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、請求項1の作家プロモートシステムに加え、予約権の購入希望者を登録することが可能である作家プロモートシステムである。
【0188】
本実施形態に係る作家プロモートシステムでは、実施形態1の作家プロモートシステムに加えて、購入希望者の登録を行うことを必要とすることで、運営者が購入希望者の属性情報等により購入の可否を判断する、あるいは購入可能な者を運営者が予め購入希望者として登録を行った会員等に限定することを可能とすることにより、より取引の安全性を高めた作家プロモートシステムとなっている。
<実施形態5(主に請求項5に対応):構成>
【0189】
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図16に示すように、実施形態1の作家識別情報保持部1601と、作家関連情報保持部1602と、予約権識別情報取得部1603と、予約権情報保持部1604と、作家関連情報報閲覧部1605と、予約権購入希望情報受付部1606と、予約権購入希望情報保持部1607と、予約権所有者識別情報取得部1608と、予約情報保持部1609と、作品識別情報取得部1610と、作品閲覧部1611と、予約権行使情報取得部1612と、予約権行使情報保持部1613に加えて、希望者登録部1620と、希望者識別情報保持部1621から構成されている。
【0190】
以下では、実施形態1のシステムに対して、予約権の購入を希望する甲山太郎が希望者登録を行う場合を例として説明する。
【0191】
<実施形態5:構成の説明 希望者登録部>
【0192】
「希望者登録部」1621は、予約権の購入希望者足り得る者を識別する希望者識別情報と、その者に関する属性情報とを関連付けて登録する。
【0193】
希望者識別情報とは、例えば希望者に唯一に割り当てられた情報である(例えば、C022)。
属性情報とは、例えば、
図26(k)に示すように、氏名、住所、職業、電話番号、メールアドレス、購入履歴等である。これらの情報は、購入希望者のコンピュータ端末において入力されたものを、ネットワークを通じて取得すると、口頭、メール等で運営者が得た情報を運営者がコンピュータ端末に入力したものであると問わない。
【0194】
運営者は、希望者の登録を行うに際して一定の条件を付したり、クレジット与信情報等の審査を行い、審査を通過した者のみを登録したりすることも可能である。これにより、予約権の購入希望者を、安全に取引を行うことが可能な者のみに限定することができる。
【0195】
希望者の登録は、購入希望者を限定し取引の安全を高める趣旨から、購入申込、および作家関連情報閲覧部により、購入希望者が購入希望者のコンピュータ端末で作家関連情報を閲覧するに先立って行われ、希望者識別情報が登録された者のみが作家関連情報を閲覧可能とすること等が想定されるが、必ずしもこれに限定されない。
【0196】
<実施形態5:構成の説明 希望者識別情報保持部>
【0197】
「希望者識別情報保持部」1622は、希望者登録部に登録された希望者識別情報を保持する。
【0198】
これは、運営者コンピュータ端末やサーバ等においてなされることが想定されるが、これに限定されず、口頭やメール等によって購入希望者から取得した情報をもとに運営者のオペレータがコンピュータ端末に打ち込んで取得する、あるいはネットワークを介して購入希望者から購入希望を取得した際や、運営者のオペレータが購入希望者に関する情報を打ち込んだ際に、自動的に生成されることとしても良い。
【0199】
これにより、運営者は、予約権購入希望情報受付部において予約権等の購入希望者を、予め要件を設定し、審査の上登録された会員等に限定すること等が可能となる。また、後述の実施形態6において、予約権付与の判断を行う際に、購入希望者の資力、過去の取引情報等の属性を判断し、予約権等の購入希望者に予約権を付与しないとすることも可能となる。これにより、作家としては対価の取得を確実とすることができ、運営者としては取引の安全性を高めることが可能となり、より芸術作品取引市場の活性化を図ることが可能となる。
<実施形態5(主に請求項5に対応):処理の流れ>
【0200】
本実施形態5の作家プロモートシステムの動作方法は、作家識別情報保持ステップ1701と、作家関連情報保持ステップ1702と、予約権識別情報取得ステップ1703と、予約権情報保持ステップ1704と、希望者登録ステップ1720と、希望者識別情報保持ステップ1721と、作家関連情報報閲覧ステップ1705と、予約権購入希望情報受付ステップ1706と、予約権購入希望情報保持ステップ1707と、予約権所有者識別情報取得ステップ1708と、予約情報保持ステップ1709と、作品識別情報取得ステップ1710と、作品閲覧ステップ1711と、予約権行使情報取得ステップ1712と、予約権行使情報保持ステップ1713からなる(
図17)。
【0201】
希望者登録ステップ1720と、希望者識別情報保持ステップ1721は、作家関連情報報閲覧ステップ1705に先立って、予め購入申込前に行われることが想定されるが、必ずしも予め行われる必要はなく、作家関連情報報閲覧ステップ1705から予約権購入希望情報受付ステップ1706の間に行われてもよく、少なくとも予約権購入希望情報受付ステップ1706に先立って行われれば足りる。
<実施形態5(主に請求項5に対応):ハードウ
エア構成>
【0202】
ハードウエア的構成は、
図18に示すように、実施形態1のCPU1824と、バス1802、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)1803と主メモリ1804とI/O1805と、作家識別情報保持プログラム1806と、作家関連情報保持プログラム1807と、予約権識別情報取得プログラム1808と、予約権情報保持プログラム1809と、作家関連情報報閲覧プログラム1810と、予約権購入希望情報受付プログラム1811と、予約権購入希望情報保持プログラム1812と、予約権所有者識別情報取得プログラム1813と、予約情報保持プログラム1814と、作品識別情報取得プログラム1815と、作品閲覧プログラム1816と、予約権行使情報取得プログラム1817と、予約権行使情報保持プログラム1818に加えて、希望者登録プログラム1825と、希望者識別情報保持プログラム1826から構成される。
<実施形態5(主に請求項5に対応):効果>
【0203】
上記したように、この実施形態5に係る作家プロモートシステムでは、運営者は、予約権購入希望情報受付部において予約権等の購入希望者を登録された会員等に限定すること、後述の実施形態6と併せて、購入希望者の属性を参照して判断し、予約権等の購入希望者に対し予約権の所有権を割り当てないこと等が可能となる。これにより、作家としては対価の取得を確実とすることができ、運営者としては取引の安全性を高めることとなり、より芸術作品取引市場の活性化を図る効果を奏する。
<実施形態6(主に請求項
1に対応)>
<実施形態6(主に請求項
1に対応):概要>
【0204】
本実施形態に係る作家プロモートシステムでは、実施形態1の作家プロモートシステムに加えて、予約権の購入希望者に対して、予約権の付与の判断を行い、これが可能であるとの判断がなされた場合にのみ予約権付与の処理を行うことを可能とする。
<実施形態6(主に請求項1に対応):構成>
【0205】
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図19に示すように、実施形態1の作家識別情報保持部1901と、作家関連情報保持部1902と、予約権識別情報取得部1903と、予約権情報保持部1904と、作家関連情報報閲覧部1905と、予約権購入希望情報受付部1906と、予約権購入希望情報保持部1907と、予約権所有者識別情報取得部1908と、予約情報保持部1909と、作品識別情報取得部1910と、作品閲覧部1911と、予約権行使情報取得部1912と、予約権行使情報保持部1913に加えて、保持されている予約権購入希望情報に基づいて、予約権を付与すべきか判断する予約権付与判断部1922と、予約権付与判断部での判断結果が付与すべきとの判断結果である場合に予約権の付与のための処理をする予約権付与処理部1923とから構成されている。
【0206】
以下では、実施形態1のシステムに対して、5口に区分された予約権R20010の購入を希望する甲山太郎、乙川花子に対して予約権を付与すべきか判断を行い、予約権を付与する場合を例として説明する。
【0207】
<実施形態6:構成の説明 予約権付与判断部>
【0208】
「予約権付与判断部」1922は、保持されている予約権購入希望情報に基づいて、予約権を付与すべきか判断する。
【0209】
これにより、例えば、予約権購入希望情報受付部が予約権の購入希望を受付け、予約権購入希望情報保持部に予約権購入希望情報が保持された後に、予約権情報保持部に保持された、予約権の成立条件に関する情報である予約権成立条件情報等に基づき、予約権購入希望情報保持部に保持された予約権購入希望者情報と対比の上、予約権付与を行うべきか判断するといったことが可能である。
【0210】
予約権成立条件情報とは、例えば、前述の実施形態5の希望者登録部で登録された希望者の属性情報に保持された希望者の情報を参照した結果、資力が一定の基準を満たす、反社会勢力でない、高額の予約権については取引履歴が1回以上ある、等の条件に関する除法が保持されていることが考えられる。
【0211】
またこの他に、後述の実施形態7と併せて、区分された一の予約権に対する予約権購入希望者数が一定の人数以上、あるいは一定の件数(申し込み口数)以上であること、予約権購入希望者の存在する予約権対価情報の合計が一定額以上であること、予約権行使決定権を特定の区分予約権所有者とする、等の条件を付すことが考えられる。
【0212】
例えば、予約権対価情報上の数値が100万円であり、区分所有権の予約権対価情報が20万円、予約権成立条件情報が予約権購入希望者の存在する予約権対価情報の合計が100万円以上であるとすれば、甲山太郎が2口、乙川花子が3口の区分予約権の購入を希望した場合、予約権成立情報の条件が満たされる。従って、予約権付与判断部は、甲山太郎および乙川花子に対して、予約権を付与する判断を行う。例えば設定された募集期間内(例えば計時部などによって計時して募集満了情報を後記予約権付与処理部に出力し、予約権処理付与部の予約権付与中止手段が予約権付与処理を中止する。)に、この条件に満たない場合(例えば、甲山太郎が1口、乙川花子が0口しか区分予約権を購入しない場合、予約権購入希望者の存在する予約権対価は20万円であり、予約権成立条件である100万円に満たない)、予約権は、いずれの購入申込者に対しても付与されず、区分予約権の購入申込をした者も作品の区分所有権を獲得できない、との、いわゆるクラウドファンディングの機能を有する取扱いをすることが可能となる。
【0213】
<実施形態6:構成の説明 予約権付与処理部>
【0214】
「予約権付与処理部」1923は、予約権付与判断部での判断結果が付与すべきとの判断結果である場合に予約権の付与のための処理をする。
【0215】
本事例では、例えば、予約権R20010の識別情報に関連づけて、予約権購入
希望情報
Q20037および
Q20038上の予約権購入希望者識別情報で識別される甲山太郎および乙川花子に対して、O
2137、O
2138の予約権所有者識別情報が付与される。
【0216】
この際、後述の実施形態7と併せて、区分された予約権の一部を運営者自身が保持することを可能としても良い。この場合、運営者が予約権に関する作家のプロモーションを行うインセンティブが高まり、より強い作家プロモートの効果が得られる。
【0217】
区分された予約権の行使は、例えば、予約権行使や作品の売買に関する条件に関する情報である予約権行使・作品売買条件情報(例えば、予約権行使決定権者を本システムの運営者や、その作家のプロモーター、その作家が所属する各種団体、あるいはその作家自身とする等)を予約権行使・作品売買条件情報保持部に保持し、これに従って行われる、とすることも可能である。予約権行使条件情報は、予約権行使情報とも関連づけられて保持されることが望ましい。
【0218】
これにより、現実に作品の取得を望まない、予約権の価値変動による利益を得ることを目的とした投資目的の予約権所有者は、例えば投資信託のファンドマネージャーの判断に株の売買を委ねる投資信託投資者のように、予約権の行使や作品の販売を運営者の判断により得られる予約権の価値上昇利益のみを取得することも可能となる。このような投資目的での取引をも可能とすることで、作品の流動性が高まり、芸術作品取引市場に対する資金の流入が期待でき、ひいては芸術界全体の活性化に資するという効果を得ることができる。
【0219】
<実施形態6(主に請求項
1に対応):処理の流れ>
【0220】
本実施形態6の作家プロモートシステムの動作方法は、実施形態1の作家識別情報保持ステップ2001と、作家関連情報保持ステップ2002と、予約権識別情報取得ステップ2003と、予約権情報保持ステップ2004と、作家関連情報報閲覧ステップ2005と、予約権購入希望情報受付ステップ2006と、予約権購入希望情報保持ステップ2007と、保持されている予約権購入希望情報に基づいて、予約権を付与すべきか判断する予約権付与判断ステップ2022と、予約権付与判断部での判断結果が付与すべきとの判断結果である場合に予約権の付与のための処理をする予約権付与処理ステップ2023と、予約権所有者識別情報取得ステップ2008と、予約情報保持ステップ2009と、作品識別情報取得ステップ2010と、作品閲覧ステップ2011と、予約権行使情報取得ステップ2012と、予約権行使情報保持ステップ2013とから構成される(
図20)。
<実施形態6(主に請求項
1に対応):ハードウ
エア構成>
【0221】
ハードウエア的構成は、
図21に示すように、実施形態1のCPU2101と、バス2102、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)2103と主メモリ2104とI/O2105と、作家識別情報保持プログラム2106と、作家関連情報保持プログラム2107と、予約権識別情報取得プログラム2108と、予約権情報保持プログラム2109と、作家関連情報報閲覧プログラム2110と、予約権購入希望情報受付プログラム2111と、予約権購入希望情報保持プログラム2112と、予約権所有者識別情報取得プログラム2113と、予約情報保持プログラム2114と、情報取得プログラム2115と、作品閲覧プログラム2116と、予約権行使情報取得プログラム2117と、予約権行使情報保持プログラム2118に加えて、保持されている予約権購入希望情報に基づいて、予約権を付与すべきか判断する予約権付与判断プログラム2127と、予約権付与判断部での判断結果が付与すべきとの判断結果である場合に予約権の付与のための処理をする予約権付与処理プログラム2128とから構成されている。
<実施形態6(主に請求項
1に対応):効果>
【0222】
上記したように、この実施形態6に係る作家プロモートシステムでは、運営者の判断により予約権の付与を行うことができる。これにより、例えば、資力や、取引履歴といった購入希望者の属性といった情報に基づいて、所有権の付与を行うかどうかを判断することが可能となる。
【0223】
また、後述の実施形態7と併せれば、クラウドファンディングのような、予約権購入希望者が存在する予約権対価の総額が一定額を超えた場合にのみ、予約権の付与を行う、といった取引を可能とすることができ、より柔軟に芸術作品に関する取引を行うことが可能となり、取引市場の活性化に資する効果を奏する。
<実施形態7(主に請求項
6に対応)>
<実施形態7(主に請求項
6に対応):概要>
【0224】
本実施形態に係る作家プロモートシステムは、請求項1の作家プロモートシステムに加え、一の予約権識別情報に複数の予約権所有者識別情報を関連付けることを可能とする作家プロモートシステムとなっている。
<実施形態7(主に請求項6に対応):構成>
【0225】
本実施形態の作家プロモートシステムは、
図22に示すように、実施形態1の作家識別情報保持部2201と、作家関連情報保持部2202と、予約権識別情報取得部2203と、予約権情報保持部2204と、作家関連情報報閲覧部2205と、予約権購入希望情報受付部2206と、予約権購入希望情報保持部2207と、予約権所有者識別情報取得部2208と、予約情報保持部2209と、作品識別情報取得部2210と、作品閲覧部2211と、予約権行使情報取得部2212と、予約権行使情報保持部2213に加えて、予約情報保持部にさらに、一の予約権識別情報に複数の予約権所有者識別情報を関連付けた予約情報である共有予約情報を保持する共有予約情報保持手段2224を備えた作家プロモートシステムとなっている。
【0226】
<実施形態7:構成の説明 共有予約情報保持手段>
【0227】
「共有予約情報保持手段」
2224は、予約情報保持部内にあり、一の予約権識別情報に複数の予約権所有者識別情報を関連付けた予約情報である共有予約情報を保持する。
【0228】
例えば、予約情報保持部内の、予約権購入
希望情報
Q20037および
Q20038上の予約権購入希望者識別情報で識別される甲山太郎および乙川花子に対して、O
2137、O
2138の予約権所有者識別情報が関連付けられ、共有予約情報として運営者のコンピュータ端末や、サーバ等で保持されることが想定される。
【0229】
このように、区分された共有予約権の取引を行うことにより、予約権一口当たりの単価が低額となり、予約権取引が行いやすくなることから、絵画の所持を望まない、投資目的の購入希望者等にも作品の取引を行うことが容易となり、絵画取引市場全体の活性化が促進される。
【0230】
また、実施形態6で記載したように運営者自身が区分所有権のうちいくつかを保持すれば、運営者自身にも作家をプロモートするインセンティブを高められ、高いプロモート効果が期待でき、より作家のブランド力向上や、予約権購入希望者の予約権購入差益の取得といった効果が強く期待できる。従って、作品取引が活発となる等の効果が期待でき、ひいては芸術家の地位向上や、芸術界自体の活性化に資するといった効果が生じる。この実施形態はクラウドファンディングにて予約権の所有をさせるような形態で実施できる。前述のように所定の金額を示す情報がこの予約権の購入のために申請され複数の購入の希望者によってその金額を上回る金額が申請された場合に、予約権付与処理部によって予約権の付与がこれらの複数の希望者の共有として付与されるように構成することができる。この場合には共有予約情報に含まれる複数の予約権所有者識別情報で識別される予約権所有者の持ち分は、申請した金額の大きさの割合や、申請した申し込み口数の割合に応じて定められるように処理し、記録し、保持するように構成することができる。なお、共有予約情報は、その持分に関して第三者や他の共有者に移転等する場合には、その内容が変更されるように構成することができる。これは共有予約情報編集部によって行われるように構成できる。また、共有予約情報に関連付けて、予約権行使・作品売買条件情報(例えば、予約権行使決定権者を本システムの運営者や、その作家のプロモーター、その作家が所属する各種団体、あるいはその作家自身とする等)を予約権行使・作品売買条件情報保持部に保持するように構成することができる。
<実施形態7(主に請求項
6に対応):処理の流れ>
【0231】
本実施形態7の作家プロモートシステムの動作方法は、実施形態1の作家識別情報保持ステップ2301と、作家関連情報保持ステップ2302と、予約権識別情報取得ステップ2303と、予約権情報保持ステップ2304と、作家関連情報報閲覧ステップ2305と、予約権購入希望情報受付ステップ2306と、予約権購入希望情報保持ステップ2307と、保持されている予約権購入希望情報に基づいて、予約権所有者識別情報取得ステップ2308と、予約情報保持ステップ2309と、この中に一の予約権識別情報に複数の予約権所有者識別情報を関連付けた予約情報である共有予約情報を保持する共有予約情報保持サブステップ2324と、作品識別情報取得ステップ2310と、作品閲覧ステップ2311と、予約権行使情報取得ステップ2312と、予約権行使情報保持ステップ2313とから構成される(
図23)。
<実施形態7(主に請求項
6に対応):ハードウ
エア構成>
【0232】
ハードウエア的構成は、
図24に示すように、実施形態1のCPU2401と、バス2402、不揮発性メモリ(例えばハードディスク、SSD)2403と主メモリ2404とI/O2405と、作家識別情報保持プログラム2406と、作家関連情報保持プログラム2407と、予約権識別情報取得プログラム2408と、予約権情報保持プログラム2409と、作家関連情報報閲覧プログラム2410と、予約権購入希望情報受付プログラム2411と、予約権購入希望情報保持プログラム2412と、予約権所有者識別情報取得プログラム2413と、予約情報保持プログラムの中に一の予約権識別情報に複数の予約権所有者識別情報を関連付けた予約情報である共有予約情報を保持する共有予約情報保持サブプログラム2
429とから構成されている。
<実施形態7(主に請求項6に対応):効果>
【0233】
本実施形態により、区分された共有予約権の取引を行うことにより、前述のように予約権一口当たりの単価が低額となることから予約権取引が容易となり、絵画取引市場の流動化が促進される。また、実施形態6で記載したように運営者自身が区分所有権のうちいくつかを保持することによって、運営者自身が作家をプロモートするインセンティブを高めることが可能となることから、作家のプロモーションによる作品取引市場の活性化、作家のブランド力向上等についてより高い効果が期待できる。
【0234】
これらはシステムとしての発明のみならず、コンピュータである作家プロモートシステムの動作方法としても、作家プロモートシステムというコンピュータに読み取り実行可能な作家プロモートシステムプログラムとしても利用できる。
<符号の説明>
作家プロモートシステム 040
0
作家識別情報保持部 0401
作家関連情報保持部 0402
予約権識別情報取得部 0403
予約権情報保持部 0404
作家関連情報報閲覧部 0405
予約権購入希望情報受付部 0406
予約権購入希望情報保持部 0407
予約権所有者識別情報取得部 0408
予約情報保持部 0409
作品識別情報取得部 04
10
作品閲覧部 0411
予約権行使情報取得部 0412
予約権行使情報保持部 0413
作品譲渡履歴情報保持部 0714
予約権情報削除部 1015
作品関連情報保持部 1316
作品関連情報閲覧部 1317
購入希望受付部 1318
作品譲渡後所有者識別情報取得部 1319
希望者登録部 1620
希望者識別情報保持部 1621
予約権付与判断部 1922
予約権付与処理部 1923
共有予約情報保持手段 2224
作家プロモートシステム方法 0500
作家識別情報保持ステップ 0501
作家関連情報保持ステップ 0502
予約権識別情報取得ステップ 0503
予約権情報保持ステップ 0504
作家関連情報報閲覧ステップ 0505
予約権購入希望情報受付ステップ 0506
予約権購入希望情報保持ステップ 0507
予約権所有者識別情報取得ステップ 0508
予約情報保持ステップ 0509
作品識別情報取得ステップ 0510
作品閲覧ステップ 0511
予約権行使情報取得ステップ 0512
予約権行使情報保持ステップ 0513
作品譲渡履歴情報保持ステップ 0814
予約権情報削除ステップ 1115
作品関連情報保持ステップ 1416
作品関連情報閲覧ステップ 1417
購入希望受付ステップ 1418
作品譲渡後所有者識別情報取得ステップ 1419
希望者登録ステップ 1720
希望者識別情報保持ステップ 1721
予約権付与判断ステップ 2022
予約権付与処理ステップ 2023
共有予約情報保持サブステップ 2324
作家プロモートプログラム 0600
CPU 0601
バス 0602
不揮発性メモリ 0603
主メモリ 0604
I/O 0605
作家識別情報保持プログラム 0606
作家関連情報保持プログラム 0607
予約権識別情報取得プログラム 0608
予約権情報保持プログラム 0609
作家関連情報報閲覧プログラム 0610
予約権購入希望情報受付プログラム 0611
予約権購入希望情報保持プログラム 0612
予約権所有者識別情報取得プログラム 0613
予約情報保持プログラム 0614
作品識別情報取得プログラム 0615
作品閲覧プログラム 0616
予約権行使情報取得プログラム 0617
予約権行使情報保持プログラム 0618
作品譲渡履歴情報保持プログラム 0919
予約権情報削除プログラム 1220
作品関連情報保持プログラム 1521
作品関連情報閲覧プログラム 1522
購入希望受付プログラム 1523
作品譲渡後所有者識別情報取得プログラム 1524
希望者登録プログラム 1825
希望者識別情報保持プログラム 1826
予約権付与判断プログラム 2127
予約権付与処理プログラム 2128
共有予約情報保持サブプログラム 2429