特許第6911244号(P6911244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6911244発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6911244
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20210715BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   E04F19/08 103C
   F16B5/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-74687(P2017-74687)
(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-178397(P2018-178397A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】392034746
【氏名又は名称】吉川化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】溝田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】島内 国信
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−222834(JP,A)
【文献】 特開2014−001529(JP,A)
【文献】 特開2009−144449(JP,A)
【文献】 特開2009−068188(JP,A)
【文献】 特開2016−216891(JP,A)
【文献】 米国特許第05165189(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定具及び固定補助具を用いて、発泡樹脂製断熱材を固定対象物に取り付ける発泡樹脂製断熱材の固定構造であって、前記固定補助具が、発泡樹脂製断熱材に固定具の締結力を作用させる、中心に固定具の挿通孔を形成した平面を備えない円錐面をした当接面部と、該当接面部から発泡樹脂製断熱材の厚さ方向に延設し、先端が固定対象物の表面に達する長さに形成された複数の脚部とを備え、発泡樹脂製断熱材に形成された有底状の下孔に全体が没して収容されるとともに、該固定補助具の脚部が有底状の下孔に連通して発泡樹脂製断熱材を貫通する脚部挿入孔に挿入され、発泡樹脂製断熱材を、固定補助具の挿通孔に挿通されて固定対象物に締結される固定具によって、固定補助具の平面を備えない円錐面をした当接面部が発泡樹脂製断熱材の有底状の下孔の平面を備えない円錐面をした当接面部に、脚部が固定対象物の表面にそれぞれ当接する前記固定補助具を介して、固定対象物に取り付けてなることを特徴とする発泡樹脂製断熱材の固定構造。
【請求項2】
前記脚部が、当接面部の中心部分が欠如し、当接面部の中心から放射状に等角度間隔に形成されてなることを特徴とする請求項に記載の発泡樹脂製断熱材の固定構造
【請求項3】
前記固定補助具の当接面部に、発泡樹脂製断熱材に形成された有底状の下孔に全体が没して収容された固定補助具を操作するための切欠部を形成するようにしてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡樹脂製断熱材の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、寒冷地等で用いられる床下収納庫等においては、床下の寒気が室内に伝わらないようにするために、床開口に開閉可能に設けられる蓋体等に発泡樹脂製断熱材を取り付けるようにしている。
【0003】
ところで、発泡樹脂製断熱材を固定対象物に取り付ける場合、発泡樹脂製断熱材には、ネジや釘が利かないことから、ネジや釘からなる固定具と併用することで、ネジや釘からなる固定具によって発泡樹脂製断熱材を固定対象物に取り付けることができるようにするための固定補助具が提案されてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−144449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のネジや釘からなる固定具によって発泡樹脂製断熱材を固定対象物に取り付けることができるようにするための固定補助具は、専ら、固定補助具を介在させることによって、固定具の締結力が作用する発泡樹脂製断熱材の面積を大きくするものであるため、固定具の締結力が大きくなりすぎると、発泡樹脂製断熱材に固定補助具が食い込み、発泡樹脂製断熱材が破損してネジや釘が利かなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の発泡樹脂製断熱材の固定補助具の有する問題点に鑑み、発泡樹脂製断熱材に固定補助具が食い込まず、発泡樹脂製断熱材が破損してネジや釘が利かなくなることがなく、固定具によって発泡樹脂製断熱材を正確かつ確実に固定対象物に取り付けることができる発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具は、固定具によって発泡樹脂製断熱材を固定対象物に取り付けることができるようにするための固定補助具であって、発泡樹脂製断熱材に固定具の締結力を作用させる、中心に固定具の挿通孔を形成した当接面部と、該当接面部から発泡樹脂製断熱材の厚さ方向に延設し、先端が固定対象物の表面に達する長さに形成された複数の脚部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記当接面部が、円錐面をしてなるようにすることができる。
【0009】
また、前記脚部が、当接面部の中心部分が欠如し、当接面部の中心から放射状に等角度間隔に形成されてなるようにすることができる。
【0010】
また、本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造は、前記固定補助具が発泡樹脂製断熱材に形成された有底状の下孔に収容されるとともに、該固定補助具の脚部が下孔に連通して発泡樹脂製断熱材を貫通する脚部挿入孔に挿入され、発泡樹脂製断熱材を、固定補助具の挿通孔に挿通されて固定対象物に締結される固定具によって、固定補助具の当接面部が発泡樹脂製断熱材の有底状の下孔の当接面部に、脚部が固定対象物の表面にそれぞれ当接する前記固定補助具を介して、固定対象物に取り付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造によれば、発泡樹脂製断熱材を、固定補助具の挿通孔に挿通されて固定対象物に締結される固定具によって、固定補助具の当接面部が発泡樹脂製断熱材の有底状の下孔の当接面部に、脚部が固定対象物の表面にそれぞれ当接する前記固定補助具を介して、固定対象物に取り付けてなるようにすることにより、発泡樹脂製断熱材に固定補助具が食い込まず、発泡樹脂製断熱材が破損してネジや釘が利かなくなることがなく、固定具によって発泡樹脂製断熱材を正確かつ確実に固定対象物に取り付けることができる。
【0012】
また、前記当接面部が、円錐面をしてなるようにすることにより、固定補助具の当接面部の発泡樹脂製断熱材の有底状の下孔の当接面部に対する当接状態を安定して確保することができ、固定具の締結力を発泡樹脂製断熱材に確実に作用させることができる。
【0013】
また、前記脚部が、当接面部の中心部分が欠如し、当接面部の中心から放射状に等角度間隔に形成されてなるようにすることにより、固定補助具の脚部の固定対象物の表面に対する当接状態を安定して確保することができ、発泡樹脂製断熱材への固定補助具の食い込みを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具の一実施例を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図2】同発泡樹脂製断熱材の固定補助具を示す説明図で、(a)は斜め上から見た斜視図、(b)は斜め下から見た斜視図である。
図3】同発泡樹脂製断熱材の固定補助具を適用する発泡樹脂製断熱材の一実施例を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図4】同発泡樹脂製断熱材の固定補助具を適用する発泡樹脂製断熱材を示す説明図で、(a)は正面図、(b)は底面図である。
図5】同発泡樹脂製断熱材の固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造の一実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1図2及び図5に、本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具の一実施例を示す。
この発泡樹脂製断熱材の固定補助具1は、ネジや釘からなる固定具3によって発泡樹脂製断熱材2を固定対象物4に取り付けることができるようにするためのもので、発泡樹脂製断熱材2に固定具3の締結力を作用させる、中心に固定具3の挿通孔13を形成した当接面部11と、この当接面部11から発泡樹脂製断熱材2の厚さ方向に延設し、先端が固定対象物4の表面に達する長さに形成された複数(本実施例においては、4本。なお、本数は、2本又は5本以上とすることもできる。)の脚部12とを備えるようにしている。
【0017】
そして、この発泡樹脂製断熱材の固定補助具1は、例えば、図3図4に示すような発泡樹脂製断熱材2(床下収納庫等における床開口に開閉可能に設けられる蓋体に用いられる発泡樹脂製断熱材)を固定対象物4(蓋体の表面材)に、固定具3によって取り付ける際に用いられるものである。
【0018】
具体的には、固定補助具1が発泡樹脂製断熱材2に形成された有底状の下孔20に収容されるとともに、固定補助具1の脚部12が下孔20に連通して発泡樹脂製断熱材2を貫通する脚部挿入孔22に挿入され、発泡樹脂製断熱材2を、固定補助具1の挿通孔13に挿通されて固定対象物4に締結される固定具3によって、固定補助具1の当接面部11が発泡樹脂製断熱材2の有底状の下孔20の当接面部21に、脚部12が固定対象物4の表面にそれぞれ当接する固定補助具1を介して、固定対象物4に取り付けるようにする。
【0019】
この場合において、固定補助具1は、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、塩化ビニル等の各種の合成樹脂材料からなる成形品とすることができる。
【0020】
固定補助具1の当接面部11は、平面のほか、本実施例に示すように、円錐面をしてなるようにし、これに対応して、固定補助具1の当接面部11が当接する、発泡樹脂製断熱材2に形成される有底状の下孔20の当接面部21も、平面のほか、本実施例に示すように、円錐面をしてなるようにしている。
本実施例に示すように、固定補助具1の当接面部11を円錐面をしてなるようにすることにより、固定補助具1の当接面部11の発泡樹脂製断熱材2の有底状の下孔20の当接面部21に対する当接状態を安定して確保することができ、固定具3の締結力を発泡樹脂製断熱材2に確実に作用させることができる。
なお、固定補助具1の当接面部11の内側の面は、固定補助具1の当接面部11と同様に、平面のほか、本実施例に示すように、円錐面をしてなるようにすることで、均一な肉厚の部材とすることができる。
さらに、固定補助具1の当接面部11の内側の面に、必要に応じて、使用する固定具3に応じた着座部を形成することもできる。
【0021】
また、固定補助具1の当接面部11には、発泡樹脂製断熱材2に形成された有底状の下孔20に収容された固定補助具1を操作するための切欠部14を形成するようにしている。
【0022】
固定補助具1の脚部12は、当接面部11の中心部分が欠如し、当接面部11の中心から放射状に等角度(本実施例においては、90°)間隔に形成するようにしている。なお、上記角度は、等角度以外の任意の角度に設定することもできる。
これにより、固定補助具1の脚部12の固定対象物4の表面に対する当接状態を安定して確保することができ、発泡樹脂製断熱材2への固定補助具1の食い込みを確実に防止することができる。
【0023】
発泡樹脂製断熱材2に形成される有底状の下孔20は、下孔20の当接面部21の位置が、下孔20に収容した固定補助具1を固定具3によって締結することで、固定補助具1の脚部12が固定対象物4の表面に当接した状態で、固定補助具1の当接面部11によって若干圧縮されるように設定して形成するようにすることが好ましい。
【0024】
発泡樹脂製断熱材2を貫通する脚部挿入孔22は、固定補助具1の脚部12に対応して、下孔20の中心から放射状に等角度(本実施例においては、90°)間隔に形成し、中心側を連続させて固定具3の挿通部23とすることで、全体としては、十字状に形成するようにしている。
【0025】
また、発泡樹脂製断熱材2を貫通する脚部挿入孔22は、固定補助具1の脚部12と同じ形状か、固定補助具1の脚部12が脚部挿入孔22に挿入されるときに脚部挿入孔22が押し広げられるように、若干小さい形状に、具体的には、固定補助具1の脚部12の厚みより若干小さい形状に形成するようにすることが好ましい。
なお、固定補助具1の脚部12及び発泡樹脂製断熱材2を貫通する脚部挿入孔22は、すべてを同じ形状にする必要はなく、例えば、一部の固定補助具1の脚部12を、他の脚部12より小さく形成することで、発泡樹脂製断熱材2を貫通する脚部挿入孔22に遊嵌するようにすることもできる。
【0026】
この発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造は、図5に示すように、発泡樹脂製断熱材2を、固定補助具1の挿通孔13に挿通されて固定対象物4に締結される固定具3によって、固定補助具1の当接面部11が発泡樹脂製断熱材2の有底状の下孔20の当接面部21に、脚部12が固定対象物4の表面にそれぞれ当接する固定補助具1を介して、固定対象物4に取り付けてなるようにすることにより、発泡樹脂製断熱材2に固定補助具1が食い込まず、発泡樹脂製断熱材2が破損してネジや釘が利かなくなることがなく、固定具3によって発泡樹脂製断熱材2を正確かつ確実に固定対象物4に取り付けることができる。
【0027】
以上、本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の発泡樹脂製断熱材の固定補助具及びこの固定補助具を用いた発泡樹脂製断熱材の固定構造は、発泡樹脂製断熱材に固定補助具が食い込まず、発泡樹脂製断熱材が破損してネジや釘が利かなくなることがなく、固定具によって発泡樹脂製断熱材を正確かつ確実に固定対象物に取り付けることができるようにすることができることから、床開口に開閉可能に設けられる蓋体等に発泡樹脂製断熱材を取り付ける場合の用途に好適に用いることができるほか、固定具によって発泡樹脂製断熱材を固定対象物に取り付ける用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 固定補助具
11 当接面部
12 脚部
13 挿通孔
14 切欠部
2 発泡樹脂製断熱材
20 下孔
21 当接面部
22 脚部挿入孔
23 挿通部
3 固定具
4 固定対象物
図1
図2
図3
図4
図5