(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、前記ラチェット当接アーム(17e)は前記基部(19b)に形成した前記ラチェット軸(18)を中心とする円弧面に当接させる構成としたボンネットラッチ装置。
請求項1又は請求項2において、前記ラッチ軸(16)と前記ラチェット軸(18)とは前記ストライカ進入路(14)を挟んで前記ベースプレート(13)の両側に配置したボンネットラッチ装置。
請求項1〜3のいずれか一項において、前記ラッチ(17)には、前記ラッチ軸(16)を挟んで前記ラチェット当接アーム(17e)とは反対側に位置すると共に、前記ラッチ(17)が前記余剰回転位置に至ったときに、前記ベースプレート(13)と当接するプレート当接面(17f)を設けたボンネットラッチ装置。
請求項4において、前記ベースプレート(13)は前記ラッチ(17)および前記ラチェット(19)をが軸止される中央プレート(13a)と、車体に接面し止着具15により固定される固定プレート(13b)と、前記中央プレート(13a)を前記固定プレート(13b)から離間させる段差プレート(13d)とを有し、前記プレート当接面(17f)は前記段差プレート(13d)に対して当接する構成としたボンネットラッチ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のボンネットラッチ装置では、ストライカの閉扉移動力(閉扉エネルギー)の多くをベースプレートのストライカ進入路の底部で受け止めているため、底部に過大な負荷が集中して、ベースプレートが歪み・変形しやすくなり、もって、ラッチとラチェットとの相対位置がずれ、ボンネットフードの閉扉不良や開扉不良をもたらすことがあった。
【0006】
特許文献1では、ストライカ進入路の底部に別途の補強部材を付設しているが、大型で重たいボンネットフードを使用する車両(特にSUV型車両)では、ストライカの閉扉移動力が飛躍的に増大するため、ベースプレートの歪み・変形を防ぐことは困難になっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、ボンネットフードに取り付けられるストライカ12と;車体に固定され前記ストライカ12が進入する縦方向のストライカ進入路14を中央上部に設けたベースプレート13と;前記ベースプレート13にラッチ軸16により軸止され、前記ストライカ12との係合によりアンラッチ位置からラッチ位置を超えて余剰回転位置まで回転するラッチ17と;前記ラッチ17をアンラッチ方向に付勢するラッチバネ20と;
前記ベースプレート13にラチェット軸18により軸止され、前記余剰回転位置から前記ラッチバネ20の弾力で前記ラッチ位置に戻される前記ラッチ17に係合して前記ラッチ17と前記ストライカとの係合を保持するラチェット19とを備えたボンネットラッチ装置において;前記ラッチ17には前記ラッチ17が前記余剰回転位置に至ったときに、前記ラチェット19の基部19bに当接するラチェット当接アーム17eを設け
;前記ベースプレート13は止着具15により前記車体に固定し、前記止着具15の中心を前記縦方向とは直交する横方向に通過する締結線Aにより上下に区画したとき、前記基部19bは前記締結線Aの上部側に配置したボンネットラッチ装置の構成としたものである。
また、本発明は、ボンネットフードに取り付けられるストライカ12と、車体に取り付けられる前記ストライカと係合するラッチユニット11とを備え;前記ラッチユニット11は、前記ストライカ12が進入する縦方向のストライカ進入路14を中央上部に設けたベースプレート13と、前記ベースプレート13にラッチ軸16により軸止され、前記ストライカ12との係合によりアンラッチ位置からラッチ位置を超えて余剰回転位置まで回転するラッチ17と、前記ラッチ17をアンラッチ方向に付勢するラッチバネ20と;前記ベースプレート13にラチェット軸18により軸止され、前記余剰回転位置から前記ラッチバネ20の弾力で前記ラッチ位置に戻される前記ラッチ17に係合して前記ラッチ17と前記ストライカとの係合を保持するラチェット19とを備えたボンネットラッチ装置において;前記ラッチユニット11には、前記ラッチ17が前記余剰回転位置に至ったときに、前記ラッチ17に当接する複数の支受部材を設け;前記複数の支受部材は、前記ラッチ軸16の回転中心を通る前記縦方向の垂直線Bと垂直線Bと直交する水平線Cとにより区画される4つの象限のうち、
3象限以上において前記ラッチ17と当接する構成としたボンネットラッチ装置の構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に掛かる発明では、ラッチ17は余剰回転位置に至ったときに、ラチェット19の基部19bに当接するため、ラッチ17に作用する余剰回転力をラチェット軸18で支受できる。
また、基部19bは締結線Aより上部側に位置させることができるので、ラッチ17の余剰回転力に対する高い支受効果を期待できる。
本発明の請求項2に掛かる発明では、ラチェット19を回転させることなく、ラッチ17に作用する余剰回転力を良好にラチェット軸18で支受できる。
本発明の請求項3に掛かる発明では、ラッチ17に作用する余剰回転力を、ストライカ進入路14を挟んでラッチ軸
16とは反対側のラチェット19で支受させるから、ベースプレートに掛かる閉扉時の負荷も分散される。
本発明の請求項4に掛かる発明では、ラッチ17に作用する余剰回転力を、ラッチ17の一方側のラチェット当接アーム17eと他方側のプレート当接面17fとにより分散させて基部19bとベースプレート13とに伝達させることができ、ラッチ17の回転重心バランスも良好に保てる。
本発明の請求項5に掛かる発明では、プレート当接面17fを段差プレート13dで支受できるので合理的である。
本発明の請求項
6、7に掛かる発明では、締結線Aを境にして上部側と下部側とでラッチ17を支受できるので、
ラッチ17の余剰回転力に対する効率的な分散支受効果を期待できる。
本発明の請求項
8に掛かる発明では、ラッチ17に作用する余剰回転力を複数の支受部材で分散して支受できると共に、ラッチ軸16に対する垂直線Bと水平線Cとにより区画される4つの象限のうち、支受部材を
三個の象限以上において分散配置しているため、一層効果的に支受できる。
本発明の請求項
9に掛かる発明では、複数の支受部材として、ラチェット19の基部19b、ラチェット19の余剰回転規制フック19c、ベースプレート13の段差プレート13d、ベースプレート13の余剰回転規制凸部13eのうちの二個以上としているため、合理的で容易な設計が可能である。
本発明の請求項
10に掛かる発明では、ストライカ進入路14の底壁14bを支受部材として兼用させることができるので、更に、合理的で容易な設計が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に掛かるボンネットフード(エンジンフード)用のボンネットラッチ装置10の正面を示している。多くの車両では、エンジンルームは車両の前側に配置され、エンジンルームを覆う典型的なボンネットフード(図示省略)は、その後端部(基端部)が蝶番等で車体に軸止されている。ボンネットラッチ装置10は、車体の前端に固定されるラッチユニット11と、ボンネットフードの前端部(回動端部)に固定されるストライカ12とを備えている。
【0011】
ラッチユニット11は金属製ベースプレート13を備えている。ベースプレート13はプレス成型品で、
図1〜3のように、中央プレート13aと左右の固定プレート13bとを備えている。中央プレート13aの上部中央にはストライカ進入路14を形成する。ストライカ進入路14は縦方向のU字状を呈し、上部は開口14aとし下部には底壁14bを設ける。固定プレート13bは車体(図示なし)に接面させた後、取付孔13cに挿入したボルト等の止着具15により車体に固定する。ストライカ進入路14にはボンネットフードを閉じるときストライカ12が進入する。
【0012】
中央プレート13aはベースプレート13の段差プレート13dにより固定プレート13bに対して離間させ、両者間に所定の段差を設けるが、中央プレート13aと固定プレート13bとは略平行で、所定の段差により、ストライカ12は車体と干渉せずにストライカ進入路14に進入できることになる。
【0013】
中央プレート13aの左方にはラッチ軸16によりラッチ17を軸止し、中央プレート13aの右方にはラチェット軸18によりラチェット19を軸止する。ラッチ軸16とラチェット軸18との軸芯は互いに平行であり、また、ストライカ進入路14を挟んで両側に配置する。
【0014】
ラッチ17はラッチバネ20の弾力により反時計回転方向(アンラッチ方向・開扉方向)に付勢させる。ラチェット19はラチェットバネ21の弾力でラッチ係合方向(時計回転方向)に付勢させる。
【0015】
ベースプレート13の背面側には、
図2のように、フックレバー22を軸23で軸止する。フックレバー22はフックバネ24により
図2において時計回転方向(
図1においては反時計回転方向)に付勢させる。フックレバー22の上方に伸びるフックアーム25の先端には、ストライカ進入路14の上方を塞ぐボンネットフック26を形成し、ボンネットフック26の上面は傾斜当接面27に形成する。
【0016】
図1はボンネットラッチ装置10の開扉状態(アンラッチ状態)を示しており、ボンネットフードを閉じると、ストライカ12は下方に移動して、フックレバー22の傾斜当接面27に当接し、フックレバー22をフックバネ24の弾力に抗して時計回転させ、ストライカ進入路14内に進入する。
【0017】
ラッチ17には、ストライカ進入路14内に進入したストライカ12と係合するストライカ係合溝17aを形成する。ストライカ係合溝17aはラッチ軸16の放射方向に伸びるU字状を呈している。ストライカ係合溝17aの下側は、閉扉方向に移動するストライカ12が当接する当接壁面17bとなり、上側はストライカ12を閉扉位置に保持する保持壁面17cとなる。ストライカ係合溝17aの開口部はフレアー状に広がっている。
【0018】
ラッチ17とラチェット19は同一回転面上に配置する。ラッチ17には爪係合面17dを形成し、ラチェット19には爪係合面17dと係合可能な爪19aを形成する。実施例では、爪係合面17dは当接壁面17bの延長部に設けている。
【0019】
ストライカ12とストライカ係合溝17aとの当接により、ラッチ17は、
図1のアンラッチ位置(開扉位置)からラッチバネ20の弾力に抗して閉扉方向に回転する。ラッチ17はラッチ位置(閉扉位置)を超えて余剰回転する。余剰回転したラッチ17は、ラッチバネ20の弾力でアンラッチ方向に戻され、
図4のように、ラチェット19の爪19aがラッチ17の爪係合面17dに係合することで、ラッチ17はラッチ位置に保持され、ボンネットフードは閉扉状態に維持される。閉扉状態では、ストライカ12(ボンネットフード)に作用する開扉力はストライカ係合溝17aの保持壁面17cで支受される。
【0020】
本願発明では、ラッチ17が
図5に示した規定の余剰回転位置まで回転したとき、ラッチ17を複数の支受部材に同時に当接させ、ラッチ17に作用する余剰回転力(ストライカ12の閉扉移動力)を複数の支受部材との当接で分散支受させる。以下、具体的に説明する。
【0021】
第1の支受部材は、ラチェット19の基部19bである。ラッチ17には基部19bに当接可能なラチェット当接アーム17eを形成する。ラチェット当接アーム17eが当接する基部19bの外面部分はラチェット軸18を中心とする円弧面に形成する。ラチェット当接アーム17eはラッチ17が規定の余剰回転位置に至ると基部19bに当接し、ラッチ17の余剰回転力(の一部)は基部19bを介してラチェット軸18に伝達され、ラチェット軸18で支受される。
【0022】
基部19bはラチェット軸18を中心とする円弧面であるため、ラチェット当接アーム17eから基部19bに伝わる力は、ラチェット当接アーム17eの当接角度に拘わらずラチェット19を回転させることはなく、ラチェット軸18に伝達される。このため、ラッチ17の余剰回転力をラチェット軸18で効果的に支受できる。ラチェット当接アーム17eは保持壁面17cの延長部に形成する。これにより、ラッチ17の外周部に合理的に容易にラチェット当接アーム17eを形成できる。
【0023】
第2の支受部材は、ベースプレート13の段差プレート13dである。ラッチ17には段差プレート13dに当接可能なプレート当接面17fを形成する。プレート当接面17fはラッチ17が規定の余剰回転位置に至ると段差プレート13dに当接する。これにより、ラッチ17の余剰回転力(の一部)は段差プレート13dに伝達され、ベースプレート13で支受される。
第2の支受部材としての段差プレート13dは、既存のプレートであるため合理的な設計となる。
【0024】
第3の支受部材は、ラチェット19に形成した余剰回転規制フック19cである。余剰回転規制フック19cはラチェット19の先端に設ける。ラッチ17には余剰回転規制フック19cと当接可能なラチェット当接面17gを形成する。ラチェット当接面17gは爪係合面17dと反対側を向く面とすることで、ラッチ17が規定の余剰回転位置に至ったときラチェット19の余剰回転規制フック19cに当接させることができる。この当接により、ラッチ17の余剰回転力(の一部)は余剰回転規制フック19cに伝達され、ラチェット19で支受される。
【0025】
ラチェット当接面17gと余剰回転規制フック19cとは、既存のラッチ17及びラチェット19に容易に形成することができる利点を備える。また、ラッチ17からラチェット19に伝わる余剰回転力はラチェット軸18で支受されることになるが、余剰回転規制フック19cを介してラチェット軸18に加わるベクトル方向は、ラチェット当接アーム17eを介してラチェット軸18に加わるベクトル方向とは90度程度方向が異なるため、ラチェット軸18に過剰な負担は掛からない。
【0026】
第4の支受部材は、中央プレート13aに形成した余剰回転規制凸部13eである。ラッチ17には余剰回転規制凸部13eに当接する凸部当接面17hを形成する。凸部当接面17hはラッチ17が規定の余剰回転位置に至ったとき余剰回転規制凸部13eに当接し、ラッチ17の余剰回転力(の一部)を余剰回転規制凸部13eに伝達させ、余剰回転規制凸部13eで支受させる。
【0027】
余剰回転規制凸部13eはプレス形成により中央プレート13aに設けることができる。また、
図9のように、パッチ部材28(
図10)を中央プレート13aに付設し、パッチ部材28に余剰回転規制凸部13eを形成してもよい。パッチ部材28は、ストライカ進入路14の下部延長線と重合するように横に長い形状にすると、中央プレート13aの下部を広く補強できる。
【0028】
本願発明では、上記したように、ラッチ17が規定の余剰回転位置まで回転すると、ラッチ17は複数の支受部材(ラチェット19の基部19b、段差プレート13d、ラチェット19の余剰回転規制フック19c、および中央プレート13aの余剰回転規制凸部13e)に同時に当接し、これにより、ラッチ17の余剰回転力(ストライカ12の閉扉移動力)は分散支受され、各部材の変形・破損を抑制できる。
【0029】
ラッチ17が規定の余剰回転位置まで回転したとき、ストライカ12はストライカ進入路14の底壁14bに当接しないことを前提に説明したが、本願発明では、ラッチ17に作用する余剰回転力を複数の支受部材との当接で分散支受させることを発明の思想としている。この思想に従えば、ラッチ17が規定の余剰回転位置まで回転したとき、ラッチ17に余剰回転力をもたらすストライカ12の閉扉移動力を、ストライカ12と直接当接することで分散吸収することも、本願発明の思想に含まれる。
【0030】
従って、本願発明では、ラッチ17が規定の余剰回転位置まで回転したとき、ストライカ12をストライカ進入路14の底壁14bに当接させることもできる。この場合、底壁14bは事実上第5の支受部材として機能することになる。
【0031】
以上において、ラッチ17が規定の余剰回転位置まで回転したとき、ラッチ17(およびストライカ12)は各支受部材に「同時」に当接すると説明したが、「同時」とは、ラッチ17(およびストライカ12)が各支受部材に順不同で当接する時間的長さを有するものである。
【0032】
ベースプレート13は左右の止着具15、15により車体に締結される。
図8のように、ベースプレート13(ラッチユニット11)は左右の止着具15、15を結ぶ締結線Aを基準に上下に区画される。締結線Aはストライカ進入路14(ストライカ12の移動方向)と直交する線となる。支受部材は、締結線Aより上方(ストライカ進入路14の開口14aが形成されている側)と下方とに別けて配置すると、余剰回転力(閉扉移動力)に対する高い分散支受効果を期待できる。
【0033】
従来、締結線Aより上方に位置する支受部材は開発されておらず、このため、締結線Aより上方に位置する基部19bは、重要な支受部材となり、締結線Aより下方に位置する余剰回転規制フック19cや余剰回転規制凸部13eを基部19bと組み合わせることで、効果的な余剰回転力(閉扉移動力)の分散支受を期待できる。
【0034】
各支受部材の配置について追加説明する。各支受部材は、
図8に示したように、ラッチ軸16の回転中心を通る垂直線B(ストライカ12の移動方向と平行な線)及び水平線Cにより区画される4つの象限に分散配置するのが望ましい。ラチェット軸18が位置する象限を第1象限とした場合、ラチェット当接アーム17eはラチェット19の基部19bに第1象限において当接する。第2象限から第4象限は、幾何学に従って、第1象限から反時計回転方向に順番に設定する。
【0035】
ラッチ17のプレート当接面17fは第3象限においてベースプレート13の段差プレート13dと当接する。このため、プレート当接面17fは、ラチェット当接アーム17eとはラッチ軸16を挟んで反対側に配置でき、ラッチ17の回転重心のバラツキを抑制できる。
【0036】
余剰回転規制フック19c、余剰回転規制凸部13e、および底壁14bは、第4象限に配置される。
【0037】
実施例では、ラッチ17(およびストライカ12)の余剰回転力(閉扉移動力)を5箇所の支受部材(基部19b、段差プレート13d、余剰回転規制フック19c、余剰回転規制凸部13e、および底壁14b)で支受する構成を示しているが、支受部材はいずれか1箇所(特に基部19b)、好適には2箇所以上の組合せにより、効果的に余剰回転力(閉扉移動力)を支受できる。
【0038】
ラッチ17のストライカ係合溝17aは、ストライカ12の直径より0.5〜1mm程度幅広に形成し、ボンネットフードを閉じる際にストライカ12がストライカ係合溝17aと円滑に係合できるようにしている。
【0039】
図4のように、ラッチ状態では、ラッチ17はラチェット19との係合によりラッチ位置に保持され、ストライカ12はストライカ係合溝17aの保持壁面17cにより閉扉状態に保持される。しかし、閉扉状態では、ストライカ12とストライカ係合溝17aとの間には、若干の隙間があるため、車体の走行振動等により、ボンネットフードに上下の振幅運動力が作用すると、ストライカ12はストライカ係合溝17aの当接壁面17bにも当接してノイズが発生する。このノイズはラトル音と呼ばれている。
【0040】
本発明では、ラトル音を抑制するアンチラトルレバー29をラッチ軸16に軸止させている(
図11、12参照)。好適には、ベースプレート13とアンチラトルレバー29との間にラッチ17を配置する。
【0041】
ラッチ17には凸状若しくは凹状の係合部17kを形成し、アンチラトルレバー29には凹状若しくは凸状の係合部29aを形成する。係合部17kと係合部29aとはラッチ軸16の回転方向に若干の遊びを持って係合させ、ラッチ17とアンチラトルレバー29とは所定の遊びを介して連動回転するように連結する。
【0042】
アンチラトルレバー29はアンチラトルバネ30により開扉方向に付勢させる。アンチラトルバネ30は、好適には、コイル部30aと第1脚部30bと第2脚部30cとを備えたトーションコイルバネである。コイル部30aはラッチ軸16の外周に配置し、第1脚部30bの先端側はベースプレート13の段差プレート13dに当接させ、第2脚部30cの先端はアンチラトルレバー29の係止孔29bに係止させる。
【0043】
アンチラトルレバー29を用いる場合、ラッチバネ20の一端はラッチ17ではなくアンチラトルレバー29に連結する。これにより、ラッチ17はアンチラトルレバー29を介してラッチバネ20とアンチラトルバネ30の2つの弾力により、開扉方向に強力に付勢させる。
【0044】
アンチラトルレバー29には、ストライカ12と係合するアンチラトル溝29cを形成する。アンチラトル溝29cはラッチ17のストライカ係合溝17aと類似形状である。ボンネットフードの閉扉により下方に移動するストライカ12は、ストライカ係合溝17aおよびアンチラトル溝29cに係合して、ラッチ17およびアンチラトルレバー29をラッチバネ20およびアンチラトルバネ30の弾力に抗して閉扉回転させる。
【0045】
ラッチ17はラチェット19と同一平面上に配置されるが、アンチラトルレバー29はラチェット19とは異なる回転平面上に配置されており、ラチェット19とは係合しない。
【0046】
図12のように、ラッチ17の爪係合面17dにラチェット19の爪19aが係合したラッチ状態では、ストライカ12の開扉方向の移動(上方への移動)は、ストライカ係合溝17aの保持壁面17cにより規制される。
【0047】
アンチラトルレバー29は、ラッチ17との間に回転方向に遊びが設けられているため、ラッチバネ20およびアンチラトルバネ30の弾力によりアンラッチ方向(反時計回転方向)にラッチ17に対して単独で回転する。このため、アンチラトルレバー29のアンチラトル溝29cの下側の押圧壁面29dは、
図12、13のように、ラッチバネ20およびアンチラトルバネ30の強力な弾力によりストライカ12の下面に圧接し、これにより、ストライカ12の振動を強力に抑制し、もって、ラトル音の発生を抑制する。
【0048】
アンチラトルレバー29にはラチェット抑え29eを形成する。ラチェット抑え29eは、閉扉状態では、ラチェット19の先端側とラチェット軸18の軸芯方向において重合させ、開扉状態では、ラチェット19の基部側と重合させる。
【0049】
ボンネットフードやベースプレート13に変形等が起こると、ラチェット19にはラチェット軸18の軸芯方向に沿った外力が作用することがある。この外力はラチェット19の爪19aをラッチ17の爪係合面17dから離脱させる外力として作用するが、ラチェット19のラチェット軸18の軸芯方向への移動(変形)は、ラチェット抑え29eにより抑制することができる。
【0050】
閉扉状態において、ストライカ12が開扉方向に極めて強力に引き上げられると、ラッチ17の保持壁面17cが変形破損してしまうことがある。そこで、本実施例では、アンチラトルレバー29のアンチラトル溝29cの上側に補強壁面29fを設け、補強壁面29fによりラッチ17の保持壁面17cを補強させる。ストライカ12からの圧力で保持壁面17cが変形した場合、補強壁面29fがストライカ12に当接して、ストライカ12の離脱を抑制する。
【0051】
なお、アンチラトルレバー29はラッチ17と類似形状であって、ラッチ17と重なるように配置しているため、ラッチ17のラッチ軸16の軸芯方向の変形も抑制する。
【0052】
ラッチ17には、ラッチ17がラッチ位置にあるときに、ストライカ進入路14の開口14aに対峙する予備壁面17mを設ける(
図6、
図14参照)。予備壁面17mはラッチ軸16の放射方向に沿った面を備えている。ボンネットフードを開いてエンジン等の点検中に、悪戯で不正にラッチ17をラッチ位置に動かされたときに、これに気づかずに、ボンネットフードを閉じると、ストライカ12は既にラッチ位置にあるラッチ17に直撃する。このとき、ラッチ17に予備壁面17mを設けておくと、ストライカ12は予備壁面17mに当接し、ラッチ17は余剰回転位置に変位するが、ラッチ17の回転力は複数の支受部材で分散して支受されるため、ラッチユニット11の不測のダメージを回避できる。