(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6911276
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】ピクセル駆動回路及びOLEDディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20210715BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20210715BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20210715BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20210715BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 641D
G09G3/20 611H
G09G3/20 670K
G09G3/20 612J
G09G3/20 612E
G09G3/20 642A
G09G3/20 611C
H05B33/14 A
H01L27/32
G09F9/30 338
G09F9/30 365
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-550839(P2019-550839)
(86)(22)【出願日】2017年4月20日
(65)【公表番号】特表2020-514821(P2020-514821A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】CN2017081248
(87)【国際公開番号】WO2018166037
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年11月12日
(31)【優先権主張番号】201710156977.6
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194892
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 麻美
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】蔡 玉瑩
【審査官】
斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−529071(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103106873(CN,A)
【文献】
国際公開第2012/032568(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0203761(US,A1)
【文献】
特表2008−521033(JP,A)
【文献】
特開2006−119180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09F 9/30
G09G 3/20
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第4薄膜トランジスタと、キャパシタと、有機発光ダイオードとを含むピクセル駆動回路において、
前記第1薄膜トランジスタのゲート電極は第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は電源信号に電気的に接続されており;
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は第1基準電圧信号に電気的に接続されており、ドレイン電極は前記第1ノードに電気的に接続されており;
前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は前記第4薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続されており、ドレイン電極は前記第2ノードに電気的に接続されており;
前記第4薄膜トランジスタのゲート電極はデータ信号に電気的に接続されており、ソース電極は第2基準電圧信号に電気的に接続されており;
前記キャパシタの一方の端子は前記第1ノードに電気的に接続されており、他方の端子は前記第2ノードに電気的に接続されており;
前記発光ダイオードのアノードは前記第2ノードに電気的に接続されており、前記発光ダイオードのカソードは接地端子に電気的に接続されており、
発光ステージにおいて、前記第4薄膜トランジスタはオンの状態にあり、前記第3薄膜トランジスタはオフの状態にあることを特徴とするピクセル駆動回路。
【請求項2】
前記第1基準電圧信号及び前記第2基準電圧信号は一定の低電圧であり、前記電源信号は一定の高電圧であり、前記データ信号及び前記走査信号を組み合わせて、閾値電圧補償ステージ及び発光ステージに相次いで対応し;
前記閾値電圧補償ステージにおいて、前記データ信号は高電位の表示データ信号にあり、前記走査信号は高電位にあり;
前記発光ステージにおいて、前記データ信号は低電位にあり、前記走査信号は低電位にあることを特徴とする請求項1に記載のピクセル駆動回路。
【請求項3】
前記データ信号及び前記走査信号は外部のタイミングコントローラによって生成されることを特徴とする請求項2に記載のピクセル駆動回路。
【請求項4】
前記第1基準電圧信号は前記電源信号であることを特徴とする請求項1に記載のピクセル駆動回路。
【請求項5】
前記第2基準電圧信号は一定の低電圧であり、前記電源信号と、前記走査信号と、前記データ信号を組み合わせて、閾値電圧補償ステージ及び発光ステージに相次いで対応し;
前記閾値電圧補償ステージにおいて、前記電源信号は基準低電位にあり、前記データ信号は高電位の表示データ信号にあり、前記走査信号は高電位にあり;
前記発光ステージにおいて、前記電源信号は高電位にあり、前記データ信号は低電位にあり、前記走査信号は低電位にあることを特徴とする請求項4に記載のピクセル駆動回路。
【請求項6】
前記電源信号、前記データ信号及び前記走査信号は外部のタイミングコントローラによって生成されることを特徴とする請求項5に記載のピクセル駆動回路。
【請求項7】
前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ、前記第3薄膜トランジスタ及び前記第4薄膜トランジスタはいずれも、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ、酸化物半導体薄膜トランジスタ又はアモルファスシリコン薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載のピクセル駆動回路。
【請求項8】
ピクセル駆動回路を含むOLEDディスプレイ装置において、前記ピクセル駆動回路は、
第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第4薄膜トランジスタと、キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み;
前記第1薄膜トランジスタのゲート電極は第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は電源信号に電気的に接続されており;
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は第1基準電圧信号に電気的に接続されており、ドレイン電極は前記第1ノードに電気的に接続されており;
前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は前記第4薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続されており、ドレイン電極は前記第2ノードに電気的に接続されており;
前記第4薄膜トランジスタのゲート電極はデータ信号に電気的に接続されており、ソース電極は第2基準電圧信号に電気的に接続されており;
前記キャパシタの一方の端子は前記第1ノードに電気的に接続されており、他方の端子は前記第2ノードに電気的に接続されており;
前記発光ダイオードのアノードは前記第2ノードに電気的に接続されており、前記発光ダイオードのカソードは接地端子に電気的に接続されており、
発光ステージにおいて、前記第4薄膜トランジスタはオンの状態にあり、前記第3薄膜トランジスタはオフの状態にあることを特徴とするOLEDディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1基準電圧信号及び前記第2基準電圧信号は一定の低電圧であり、前記電源信号は一定の高電圧であり、前記データ信号及び前記走査信号を組み合わせて、閾値電圧補償ステージ及び発光ステージに相次いで対応し;
前記閾値電圧補償ステージにおいて、前記データ信号は高電位の表示データ信号にあり、前記走査信号は高電位にあり;
前記発光ステージにおいて、前記データ信号は低電位にあり、前記走査信号は低電位にあることを特徴とする請求項8に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項10】
前記データ信号及び前記走査信号は外部のタイミングコントローラによって生成されることを特徴とする請求項9に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1基準電圧信号は前記電源信号であることを特徴とする請求項8に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第2基準電圧信号は一定の低電圧であり、前記電源信号と、前記走査信号と、前記データ信号を組み合わせて、閾値電圧補償ステージ及び発光ステージに相次いで対応し;
前記閾値電圧補償ステージにおいて、前記電源信号は基準低電位にあり、前記データ信号は高電位の表示データ信号にあり、前記走査信号は高電位にあり、
前記発光ステージにおいて、前記電源信号は高電位にあり、前記データ信号は低電位にあり、前記走査信号は低電位にあることを特徴とする請求項11に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項13】
前記電源信号、前記データ信号及び前記走査信号は外部のタイミングコントローラによって生成されることを特徴とする請求項12に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項14】
前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ、前記第3薄膜トランジスタ及び前記第4薄膜トランジスタはいずれも、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ、酸化物半導体薄膜トランジスタ又はアモルファスシリコン薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項8に記載のOLEDディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイの分野に関するものであり、特にピクセル駆動回路及びOLEDディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現存する有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)ディスプレイ装置は、小体積、簡易構造、自発光、高輝度、大視野角、短応答時間等の様々な優れた点を有しており、業界では最も潜在的可能性のある液晶表示装置であると公認されている。
【0003】
OLEDディスプレイ装置は電流駆動装置であり、電流が有機発光ダイオードを流れた際に、有機発光ダイオードは発光し、且つ発光輝度は有機発光ダイオード自身を流れる電流によって定まる。現存する集積回路の多くは電圧信号のみを伝送するため、OLEDディスプレイ装置のピクセル駆動回路は電圧信号を電流信号に変換するというタスクを完了させる必要がある。従来のピクセル駆動回路は2T1Cであり、即ち、2つの薄膜トランジスタと1つのキャパシタとを備えた構造で、電圧から電流への変換を実現するが、従来の2T1C型ピクセル駆動回路は一般的に補償機能を有しない。
【0004】
図1は、現存する2T1C型ピクセル駆動回路の回路図である。
図1に示すように、当該2T1C型ピクセル駆動回路は、第1薄膜トランジスタT10と、第2薄膜トランジスタT20と、キャパシタCsとを含む。ここで、第1薄膜トランジスタT10は駆動用薄膜トランジスタであり、第2薄膜トランジスタT20はスイッチ用薄膜トランジスタであり、キャパシタCsは蓄積キャパシタである。具体的には、第2薄膜トランジスタT20のゲート電極は走査信号Vselに電気的に接続されており、ソース電極はデータ信号Vdataに電気的に接続されており、ドレイン電極は第1薄膜トランジスタT10のゲート電極に電気的に接続されている。第1薄膜トランジスタT10のドレイン電極は電源信号Vddに電気的に接続されており、ソース電極は有機発光ダイオードDのアノードに電気的に接続されている。有機発光ダイオードDのカソードは接地端子に電気的に接続されている。キャパシタCsの一方の端子は第2薄膜トランジスタT20のドレイン電極に電気的に接続されており、他方の端子は第1薄膜トランジスタT10のソース電極に電気的に接続されている。
【0005】
図2を共に参照して、
図2は、
図1に示す2T1C型ピクセル駆動回路の動作タイミング図である。
図2に示すように、2T1C型ピクセル駆動回路の動作過程は、第1動作ステージS10と、第2動作ステージS20とに分けられる。ここで、第1動作ステージS10において、データ信号Vdataは高電位の表示データ信号VDATAにあり、走査信号Vselは高電位にある。第2動作ステージS20では、データ信号Vdataは低電位にあり、走査信号Vselも低電位にある。ここで、第1動作ステージS10及び第2動作ステージS20において、電源信号Vddは一定の高電圧である。
【0006】
本実施形態では、第2動作ステージS20において、有機発光ダイオードDが発光する。その際、有機発光ダイオードDを駆動して発光させる第1薄膜トランジスタT10のゲートソース電圧Vgsは、以下の式を満たす。
【0007】
【数1】
【0008】
ここで、VDATAは高電位のデータ信号であり、VOLEDは有機発光ダイオードDのアノード点の電位を示す。
【0009】
上記式からわかるように、有機発光ダイオードDを駆動して発光させるゲートソース電圧Vgsにおいては、第1薄膜トランジスタT10の閾値電圧は関与せず、そのため、当該2T1C型ピクセル駆動回路は駆動用薄膜トランジスタ(即ち、第1薄膜トランジスタT10)の閾値電圧を補償することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明で解決しようとする主な技術課題は、駆動用薄膜トランジスタの閾値電圧の変化を効果的に補償することができる、ピクセル駆動回路及びOLEDディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の技術課題を解決するために、本発明が採用するさらなる技術案の一つとして、ピクセル駆動回路が提供される。当該ピクセル駆動回路は、
第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第4薄膜トランジスタと、キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み;
第1薄膜トランジスタのゲート電極は第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は電源信号に電気的に接続されており;
第2薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は第1基準電圧信号に電気的に接続されており、ドレイン電極は第1ノードに電気的に接続されており;
第3薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は第4薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続されており、ドレイン電極は第2ノードに電気的に接続されており;
第4薄膜トランジスタのゲート電極はデータ信号に電気的に接続されており、ソース電極は第2基準電圧信号に電気的に接続されており;
キャパシタの一方の端子は第1ノードに電気的に接続されており、他方の端子は第2ノードに電気的に接続されており;
発光ダイオードのアノードは第2ノードに電気的に接続されており、発光ダイオードのカソードは接地端子に電気的に接続されて
おり、
発光ステージにおいて、前記第4薄膜トランジスタはオンの状態にあり、前記第3薄膜トランジスタはオフの状態にある。
【0019】
上記の技術課題を解決するために、本発明が採用するさらなる技術案の一つとして、OLEDディスプレイ装置が提供される。当該OLEDディスプレイ装置はピクセル駆動回路を含んでおり、当該ピクセル駆動回路は、
第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第4薄膜トランジスタと、キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み;
第1薄膜トランジスタのゲート電極は第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は電源信号に電気的に接続されており;
第2薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は第1基準電圧信号に電気的に接続されており、ドレイン電極は第1ノードに電気的に接続されており;
第3薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号に電気的に接続されており、ソース電極は第4薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続されており、ドレイン電極は第2ノードに電気的に接続されており;
第4薄膜トランジスタのゲート電極はデータ信号に電気的に接続されており、ソース電極は第2基準電圧信号に電気的に接続されており;
キャパシタの一方の端子は第1ノードに電気的に接続されており、他方の端子は第2ノードに電気的に接続されており;
発光ダイオードのアノードは第2ノードに電気的に接続されており、発光ダイオードのカソードは接地端子に電気的に接続されて
おり、
発光ステージにおいて、前記第4薄膜トランジスタはオンの状態にあり、前記第3薄膜トランジスタはオフの状態にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術における2T1C型ピクセル駆動回路の回路概略図である。
【
図2】
図1に示す2T1C型ピクセル駆動回路の動作タイミング図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るピクセル駆動回路の回路概略図である。
【
図4】
図3に示すピクセル駆動回路の動作タイミング図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るピクセル駆動回路の回路概略図である。
【
図6】
図5に示すピクセル駆動回路の動作タイミング図である。
【
図7】従来の2T1C型ピクセル駆動回路中の駆動用薄膜トランジスタの閾値電圧ドリフト時に対応する、有機発光ダイオードを流れる電流を示した模擬データ図である。
【
図8】本発明のピクセル駆動回路中の駆動用薄膜トランジスタの閾値電圧ドリフト時に対応する、有機発光ダイオードを流れる電流を示した模擬データ図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るOLEDディスプレイ装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
明細書及び特許請求の範囲において、何らかの用語を用いて特定の構成要素を表しているが、当業者であれば、製造業者が異なる名詞を用いて同様の構成要素を表す場合もあるということが理解できる。本明細書及び特許請求の範囲では、名称の差異を以って構成要素を区別しているわけではなく、機能上の差異を基準として構成要素を区別することとしている。以下において、添付の図面と実施形態とを組み合わせて、本発明を詳述する。
【0022】
図3は、本発明の第1実施形態に係るピクセル駆動回路の回路概略図である。
図3に示すように、ピクセル駆動回路100は、第1薄膜トランジスタT1と、第2薄膜トランジスタT2と、第3薄膜トランジスタT3と、第4薄膜トランジスタT4と、キャパシタC1と、有機発光ダイオードD1とを含む。ここで、第1薄膜トランジスタT1は駆動用薄膜トランジスタであり、第2薄膜トランジスタT2及び第3薄膜トランジスタT3はスイッチ用薄膜トランジスタであり、キャパシタC1は蓄積キャパシタである。
【0023】
具体的には、第1薄膜トランジスタT1のゲート電極は第1ノードgに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードsに電気的に接続されており、ドレイン電極は電源信号Vdd1に電気的に接続されている。第2薄膜トランジスタT2のゲート電極は走査信号Vsel1に電気的に接続されており、ソース電極は第1基準電圧信号Vref1に電気的に接続されており、ドレイン電極は第1ノードgに電気的に接続されている。第3薄膜トランジスタT3のゲート電極は走査信号Vsel1に電気的に接続されており、ソース電極は第4薄膜トランジスタT4のドレイン電極に電気的に接続されており、ドレイン電極は第2ノードsに電気的に接続されている。第4薄膜トランジスタT4のゲート電極はデータ信号Vdata1に電気的に接続されており、ソース電極は第2基準電圧信号Vref2に電気的に接続されている。キャパシタC1の一方の端子は第1ノードgに電気的に接続されており、他方の端子は第2ノードsに電気的に接続されている。発光ダイオードD1のアノードは第2ノードsに電気的に接続されており、発光ダイオードD1のカソードは接地端子GNDに電気的に接続されている。
【0024】
第1薄膜トランジスタT1、第2薄膜トランジスタT2、第3薄膜トランジスタT3及び第4薄膜トランジスタT4はいずれも、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ、酸化物半導体薄膜トランジスタ又はアモルファスシリコン薄膜トランジスタであることが好ましい。
【0025】
図4は、
図3で示したピクセル駆動回路の動作タイミング図である。
図4に示すように、ピクセル駆動回路100の動作過程は、閾値電圧補償ステージS1と、発光ステージS2とに分けられる。
【0026】
ここで、ピクセル駆動回路100の動作過程において、第1基準電圧信号Vref1及び第2基準電圧信号Vref2は一定の低電圧であり、第1基準電圧Va及び第2基準電圧Vbをそれぞれ供給するのに用いられる。電源信号Vdd1は一定の高電圧である。データ信号Vdata1及び走査信号Vsel1を組み合わせて、閾値電圧補償ステージS1及び発光ステージS2に相次いで対応する。
【0027】
好ましくは、データ信号Vdata1及び走査信号Vsel1は外部のタイミングコントローラによって生成される。第1基準電圧信号Vref1、第2基準電圧信号Vref2及び電源信号Vdd1は、定電圧電源によって生成される。
【0028】
閾値電圧補償ステージS1において、データ信号Vdata1は高電位の表示データ信号VDATA1にあり、走査信号Vsel1は高電位にあるため、第1薄膜トランジスタT1、第2薄膜トランジスタT2、第3薄膜トランジスタT3及び第4薄膜トランジスタT4はいずれもオンの状態にある。ここで、データ信号Vdata1は、第3薄膜トランジスタT3及び第4薄膜トランジスタT4を介して第2基準電圧信号Vref2の第2基準電圧Vbを第1薄膜トランジスタT1のソース電極に書き込み、第1基準電圧信号Vref1が提供する第1基準電圧Vaは、第2薄膜トランジスタT2を介して第1薄膜トランジスタT1のゲート電極に書き込まれる。
【0029】
すなわち、閾値電圧補償ステージS1において:
【0031】
ここで、Vgは第1ノードgの電位(即ち、第1薄膜トランジスタT1のゲート電極の電位)を示し、Vsは第2ノードsの電位(即ち、第1薄膜トランジスタT1のソース電極の電位)を示し、Vgsは第1薄膜トランジスタT1のゲートソース電圧を示す。Vaは第1基準電圧であり、Vbは第2基準電圧である。
【0033】
は第4薄膜トランジスタT4のチャネルの幅と長さの比を示し、
【0035】
は第1薄膜トランジスタT1のチャネルの幅と長さの比を示す。VDATA1は高電位のデータ信号であり、Vth
3は第
3薄膜トランジスタT
3の閾値電圧であり、Vth1は第1薄膜トランジスタT1の閾値電圧である。
【0036】
発光ステージS2において、データ信号Vdata1は低電圧であり、走査信号Vsel1は低電位であるため、第1薄膜トランジスタT1及び第4薄膜トランジスタT4はオンの状態にあり、第2薄膜トランジスタT2及び第3薄膜トランジスタT3はオフの状態にある。キャパシタC1の蓄積機能により、第1薄膜トランジスタT1のゲートソース電圧Vgsは不変の状態を維持できる。
【0037】
ここで、有機発光ダイオードD1を発光させるように駆動させるゲートソース電圧Vgsには、第1薄膜トランジスタT
1の閾値電圧Vth1が含まれるが、有機発光ダイオードD1を流れる電流は、ゲートソース電圧Vgs及び第1薄膜トランジスタT
1の閾値電圧Vth1の差の平方と正比例するため、有機発光ダイオードD1を流れる電流と第1薄膜トランジスタT
1(即ち、駆動用薄膜トランジスタ)の閾値電圧Vth1とは無関係となり、閾値電圧の補償機能を実現することができる。
【0038】
本実施例において、補償ステージS1では、第4薄膜トランジスタT4のゲート電極は高電位のデータ信号VDATA1によって制御され、ソース電極は第2基準電圧Vbによって制御されるため、高電位のデータ信号VDATA1及び第2基準電圧Vbを利用して、第1薄膜トランジスタT
1を流れる電流を制御することを実現することができる。発光ステージS2において、第3薄膜トランジスタT3は、第2基準電圧Vbが第1薄膜トランジスタT
1のゲート電極の電位に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0039】
本実施形態において、ピクセル駆動回路100の動作過程で第1薄膜トランジスタT1が正常にオンとなることを保証するためには、第2基準電圧Vbは以下の式を満たす必要がある。
【0041】
本実施形態において、閾値電圧補償ステージS1で第1薄膜トランジスタT1が正常にオンとなり、且つ有機発光ダイオードD1が作動を開始できないようにするためには、第1基準電圧Vaは以下の式を満たす必要がある。
【0043】
ここで、Voled1は、閾値電圧補償ステージにおける有機発光ダイオードD1のアノード点の電位である。
【0044】
図5は、本発明の第2実施形態に係るピクセル駆動回路の回路概略図である。
図5に示すように、
図5に示すピクセル駆動回路200と
図3に示すピクセル駆動回路100との相違点は、第1基準電圧信号Vref1が電源信号Vdd1であるという点である。
【0045】
すなわち、ピクセル駆動回路200内には第1基準電圧信号Vref1がなく、第2薄膜トランジスタT2のソース電極は電源信号Vdd1に直接接続される。
【0046】
図6を共に参照して、
図6は、
図5に示すピクセル駆動回路の動作タイミング図である。
図6に示すように、
図6に示すピクセル駆動回路200の動作タイミング図と、
図4に示すピクセル駆動回路100の動作タイミング図との相違点は以下の通りである。閾値電圧補償ステージS1において、電源信号Vdd1は基準低電位にあり、ここでの基準低電位は第1基準電圧Vaにある;発光ステージS2において、電源信号Vdd1は高電位にある。
【0047】
本実施形態では、電源信号Vdd1、データ信号Vdata1及び走査信号Vsel1が外部のタイミングコントローラによって生成される。第2基準電圧信号Vref2は定電圧電源によって生成される。
【0048】
本実施形態において、第1薄膜トランジスタT1のゲート電極の電位、ソース電極の電位及びゲートソース電圧は式(1)を満たす。第1基準電圧Vaは式(3)を満たす。第2基準電圧Vbは式(2)を満たす。
【0049】
ここで強調すべき点として、第1実施形態と異なり、本実施形態では、第1基準電圧Vaが電源信号Vdd1の基準低電位である。
【0050】
図7及び
図8を共に参照して、
図7及び
図8はそれぞれ、従来の無補償2T1C型ピクセル駆動回路及び本発明のピクセル駆動回路100又は200において、駆動用薄膜トランジスタ、即ち第1薄膜トランジスタT10の閾値電圧Vthのドリフト値ΔVth及び第1薄膜トランジスタT1の閾値電圧Vth1のドリフト値ΔVoledがそれぞれ0V、+0.5V、−0.5Vであるときの、有機発光ダイオードを流れる電流IOLEDを示す模擬データ図である。両図を比較してわかるように、本発明の回路における有機発光ダイオードを流れる電流の変化量は、従来の無補償2T1C型ピクセル駆動回路における有機発光ダイオードを流れる電流の変化量よりも明らかに小さい。従って、本発明は、駆動用薄膜トランジスタの閾値電圧を効果的に補償することができ、有機発光ダイオードの発光安定性が保証され、OLEDディスプレイパネルのディスプレイ輝度を均一に保つことができ、使用時間に伴う閾値電圧の変化により変化することもなく、ディスプレイ品質が向上する。
【0051】
図9は、本発明の実施形態に係るOLEDディスプレイ装置の構造概略図である。
図9に示すように、OLEDディスプレイ装置1はピクセル駆動回路2を含み、ピクセル駆動回路2は前記ピクセル駆動回路100又はピクセル駆動回路200である。
【0052】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明のピクセル駆動回路及びOLEDディスプレイ装置は第4薄膜トランジスタを取り入れることで、閾値電圧補償ステージにおいて、データ信号及び第2基準電圧信号を利用して第1薄膜トランジスタを流れる電流を制御することを実現することができ、以って第1薄膜トランジスタ、即ち駆動用薄膜トランジスタの閾値電圧の補償を実現することができる。また、本発明のピクセル駆動回路及びOLEDディスプレイ装置は第3薄膜トランジスタを取り入れることで、発光ステージにおいて第2基準電圧信号が第1薄膜トランジスタのゲート電極の電位に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0053】
上述の内容は単に本発明の実施形態を示すものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び添付の図面の内容をすべて利用して創作された同等の効果を有する構造又は同等の効果を有するプロセスによる置換、又は他の関連する技術分野への直接的若しくは間接的な応用は、いずれも同様に本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。