【実施例】
【0023】
実施例1〜
4
表3に記載した組成物1を共通配合とし、表1〜2に示す配合からなる18種類のゴム組成物(標準例1、実施例1〜
4、参考例5〜7、比較例1〜10)を調製するに当たり、それぞれ硫黄、加硫促進剤、発泡剤および熱膨張性マイクロカプセルを除く成分を秤量し、5L密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、そのマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを同5L密閉式バンバリーミキサーに供し、硫黄、加硫促進剤、発泡剤および熱膨張性マイクロカプセルを加え、混合しゴム組成物を得た。表1,2に示す成分の配合量は、表3に示すジエン系ゴム100質量部に対する質量部として記載した。
【0024】
得られた18種類のゴム組成物をキャップトレッドに用いたサイズ(195/65R15)の空気入りタイヤを加硫成形した。なお実施例4の空気入りタイヤは、下記の条件で摩耗試験を行った。それぞれの空気入りタイヤを用いて、ゴム表面の算術平均粗さRa、氷上性能、雪上性能およびウェット性能を下記に示す方法により評価した。
【0025】
摩耗試験
上記で得られた実施例4の空気入りタイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールのホイールに組付け、国産2.0リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧210kPaの条件で、散水した半径30mのアスファルト周回円上を、左回り右回りともに10周ずつ周回することにより、ゴム表面を荒らした、実施例4の空気入りタイヤを得た。
【0026】
ゴム表面の算術平均粗さRa
各空気入りタイヤのトレッド部を構成するゴム表面について、JIS B 0601に準拠し、レーザー顕微鏡を用いて算術平均粗さRa(μm)を測定した。得られた結果を表1,2の「算術平均粗さRa」の欄に記載する。
【0027】
氷上性能
得られた空気入りタイヤをリムサイズ15×6Jのホイールのホイールに組付け、国産2.0リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧210kPaの条件で気温−6℃〜−10℃、氷温−7℃〜−9℃の氷上試験路を速度40km/時で走行している状態からブレーキをかけて制動(ロック状態)したとき、制動距離(停止するまでの走行距離)を5回測定しその平均を求めた。得られた結果は、標準例
1の制動距離の逆数を100とする指数として表わし、表1,2の「氷上性能」の欄に示した。この指数が大きいほど制動距離が短く氷上性能が優れることを意味する。
【0028】
雪上性能
得られた空気入りタイヤをリムサイズ15×6Jのホイールのホイールに組付け、国産2.0リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧210kPaの条件でテストコース上の雪上路面を速度40km/時で走行している状態からブレーキをかけて制動(ロック状態)したとき、制動距離(停止するまでの走行距離)を5回測定しその平均を求めた。得られた結果は、標準例
1の制動距離の逆数を100とする指数として表わし、表1,2の「雪上性能」の欄に示した。この指数が大きいほど制動距離が短く雪上性能が優れることを意味する。
【0029】
ウェット性能
得られた空気入りタイヤをリムサイズ15×6Jのホイールのホイールに組付け、国産2.0リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧210kPaの条件で水深10mmの水膜を有する路面上を速度100km/時の速度からフルブレーキ状態で制動したときの制動距離を5回測定し、その平均を求めた。得られた結果は、標準例
1の制動距離の逆数を100とする指数として表わし、表1,2の「ウェット性能」の欄に示した。この指数が大きいほど制動距離が短く、ウェット性能が優れることを意味する。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
なお、表1〜2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・PTEF−1:ポリテトラフルオロエチレン粒子、平均粒子径が5μm、表面自由エネルギーが19dyne/cm、スリーエムジャパン社製。
・PTEF−2:ポリテトラフルオロエチレン粒子、平均粒子径が25μm、表面自由エネルギーが19dyne/cm、スリーエムジャパン社製。
・PTEF−3:ポリテトラフルオロエチレン粒子、平均粒子径が100μm、表面自由エネルギーが19dyne/cm、スリーエムジャパン社製。
・PTEF−4:ポリテトラフルオロエチレン粒子、平均粒子径が約2mm、表面自由エネルギーが19dyne/cm、スリーエムジャパン社製。
・シリコーン粒子:平均粒子径が30μm、表面自由エネルギーが20dyne/cm、信越化学工業社製 KMP−602。
・PE粒子:ポリエチレン粒子、平均粒子径が25μm、表面自由エネルギーが31dyne/cm、三井化学社製。
・PS粒子:ポリスチレン粒子、平均粒子径が30μm、表面自由エネルギーが33dyne/cm、標準ポリスチレン粒子。
・熱膨張性カプセル:熱膨張性マイクロカプセル、松本油脂製薬社製マツモトマイクロスフェアF−100。
・発泡剤:アゾジカルボンアミド(ADCA)を主成分とした化学発泡剤、永和化成工業社製。
【0033】
【表3】
【0034】
なお、表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、SIR20
・BR:ブタジエンゴム、宇部興産社製UBEPOL BR150
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製 NIPOL1502、非油展品
・カーボンブラック:キャボットジャパン社製 N339
・シリカ:エボニック社製 VN3
・シランカップリング剤:エボニック社製 Si69
・プロセスオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス社製6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%)
・加硫促進剤1:加硫促進剤CBS、大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
・加硫促進剤2:加硫促進剤DPG、大内新興化学工業社製ノクセラーD−G
【0035】
表1,2から明らかなように実施例1〜
4の空気入りタイヤは、氷上性能、雪上性能およびウェット性能を標準例のレベル以上に向上させることが確認された。
【0036】
比較例1の空気入りタイヤは、熱膨張性マイクロカプセルを配合したが、特定の粒子を配合していないので、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0037】
比較例2,3の空気入りタイヤは、ゴム表面の算術平均粗さRaが5μm未満であるので、雪上性能が劣る。
【0038】
比較例4の空気入りタイヤは、ゴム表面の算術平均粗さRaが30μmを超えるので、氷上性能、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0039】
比較例5の空気入りタイヤは、特定の粒子の配合量が1質量部未満なので、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0040】
比較例6の空気入りタイヤは、特定の粒子の配合量が20質量部を超えるので、雪上性能が劣る。
【0041】
比較例7,8の空気入りタイヤは、粒子PTFE−3,PTFE−4の平均粒子径が50μmを超えるので、雪上性能およびウェット性能が劣る。また比較例8の空気入りタイヤは、氷上性能も劣る。
【0042】
比較例9,10の空気入りタイヤは、PE粒子、PS粒子の表面自由エネルギーが25dyne/cmを超えるので、氷上性能、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0043】
実施例
9〜10
表3に記載した組成物2を共通配合とし、表4に示す配合からなる8種類のゴム組成物(標準例2、実施例
9〜10、
参考例8、比較例11〜14)を実施例1と同様にして調製した。得られたゴム組成物をキャップトレッドに用いた空気入りタイヤを実施例1と同様に加硫成形した。その空気入りタイヤを用いて、ゴム表面の算術平均粗さRa、氷上性能、雪上性能およびウェット性能を上述した方法により評価した。なお氷上性能、雪上性能およびウェット性能の評価は、標準例2の逆数を100とする指数として、表4に記載する。
【表4】
【0044】
表4から明らかなように実施例
9〜10の空気入りタイヤは、氷上性能、雪上性能およびウェット性能を標準例のレベル以上に向上させることが確認された。
【0045】
比較例11の空気入りタイヤは、熱膨張性マイクロカプセルを配合したが、特定の粒子を配合していないので、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0046】
比較例12,13の空気入りタイヤは、ゴム表面の算術平均粗さRaが5μm未満であるので、雪上性能が劣る。
【0047】
比較例14の空気入りタイヤは、ゴム表面の算術平均粗さRaが30μmを超えるので、氷上性能、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0048】
実施例11〜14
表3に記載した組成物3を共通配合とし、表5に示す配合からなる18種類のゴム組成物(標準例3、実施例11〜13、比較例15〜18)を実施例1と同様にして調製した。得られたゴム組成物をキャップトレッドに用いた空気入りタイヤを実施例1と同様に加硫成形した。その空気入りタイヤを用いて、ゴム表面の算術平均粗さRa、氷上性能、雪上性能およびウェット性能を上述した方法により評価した。なお氷上性能、雪上性能およびウェット性能の評価は、標準例3の逆数を100とする指数として、表5に記載する。
【表5】
【0049】
表5から明らかなように実施例11〜13の空気入りタイヤは、氷上性能、雪上性能およびウェット性能を標準例のレベル以上に向上させることが確認された。
【0050】
比較例15の空気入りタイヤは、熱膨張性マイクロカプセルを配合したが、特定の粒子を配合していないので、雪上性能およびウェット性能が劣る。
【0051】
比較例16,17の空気入りタイヤは、ゴム表面の算術平均粗さRaが5μm未満であるので、雪上性能が劣る。
【0052】
比較例18の空気入りタイヤは、ゴム表面の算術平均粗さRaが30μmを超えるので、氷上性能、雪上性能およびウェット性能が劣る。