(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1種のブラシ毛のみが植え付けられた領域と、前記第2種のブラシ毛のみが植え付けられた領域とは、軸状に形成された前記ブラシ基部の周囲に螺旋状に設けられている請求項1乃至5のいずれかに記載の清掃部材。
前記第1種のブラシ毛のみが植え付けられた領域と、前記第2種のブラシ毛のみが植え付けられた領域とは、軸状に形成された前記ブラシ基部の軸方向に連続し、且つ周方向に
沿って交互に形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の清掃部材。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0034】
[実施の形態1]
図1及び
図2は、実施の形態1に係る清掃部材及び帯電装置を適用した画像形成装置を示すものである。
図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、
図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
【0035】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する画像形成部の一例としての複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置30と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、図中の1aは画像形成装置1の装置本体を示し、この装置本体1aはフレーム等からなる支持構造部材や外装カバーなどで構成されている。また、図中の破線は、装置本体1a内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
【0036】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において傾斜した状態で1列に並べた状態となるよう配置されている。4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、イエロー(Y)の作像装置10Yが鉛直方向に沿った上方に位置して相対的に高く、ブラック(K)の作像装置10Kが相対的に低くなる位置に存在している。
【0037】
4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、
図1や
図2に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる本実施の形態に係る帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。尚、
図1中、感光体ドラム11や帯電装置12等を示す符号は、イエロー(Y)の作像装置10Yにのみ付して他の作像装置10(M,C,K)においては省略する。
【0038】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0039】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール121で構成される。帯電装置12は、その表面を清掃する本実施の形態に係る清掃部材としての清掃ロール122を備えている。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12については、後に詳述する。
【0040】
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる。なお、露光装置13としては、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものを用いても良い。
【0041】
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、
図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像バイアス電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。トナーは、トナー粒子そのものと、トナー粒子より粒径が小さくトナー粒子の表面等に添加されて帯電性や離型性などを調整する外添剤等を有している。
【0042】
一次転写装置15(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0043】
ドラム清掃装置16は、
図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0044】
中間転写装置20は、
図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するよう配置される。中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜25と、ベルト支持ロール22に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置26と、二次転写装置26を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。
【0045】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は二次転写の背面支持ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール25は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成される。
【0046】
二次転写装置26は、
図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール22に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール26又は中間転写装置20の支持ロール22には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として図示しない電源装置から供給される。
【0047】
ベルト清掃装置27は、
図1に示されるように、一部が開口する容器状の本体270と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板271と、清掃板271で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収装置に送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材272等で構成されている。清掃板271としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0048】
定着装置40は、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された図示しない筐体の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0049】
給紙装置30は、作像装置10(Y,M,C,K)の鉛直方向に沿った下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置30は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体31と、用紙収容体31から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置32とで主に構成される。用紙収容体31は、例えば、図示しないガイドレールによって装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。この実施の形態では、図面に直交する方向の手前側の面が装置本体1aの正面となるよう設定されている。
【0050】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0051】
給紙装置30と二次転写装置26との間には、
図1に示されるように、給紙装置30から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する単数又は複数の用紙搬送ロール対33や図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路34が、装置本体1aの左側面に鉛直方向に沿って設けられている。給紙搬送路34において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対33は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置26と定着装置40との間には、二次転写装置26から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための用紙搬送路35が設けられている。さらに、画像形成装置1の装置本体1aに形成される用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から出口ロール36により送り出される定着後の記録用紙5を画像形成装置本体1aの上部の第1用紙排出部37に排出するための第1用紙排出ロール対38を備えた第1排出搬送路39と、第1用紙排出部37の上方に位置する第2用紙排出部43に排出するための第2用紙排出ロール対44を備えた第2排出搬送路45とが設けられている。さらに、第2排出搬送路45には、第1切替ゲートG1により記録用紙5の排出方向が切り替えられ、装置本体1aの左側面の第3用紙排出部46に排出するための第3用紙排出ロール対47が設けられている。尚、第3用紙排出部46は、画像面を上にして排出する所謂フェイスアップトレイからなる。
【0052】
定着装置40と第1用紙排出ロール対38との間には、用紙搬送路を切り替える第2切替ゲートG2を備えている。第1用紙排出ロール対38は、その回転方向が正転方向(排出方向)と逆転方向に切り替え可能に構成されている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された記録用紙5の後端が第2切替ゲートG2を通過した後、第1用紙排出ロール対38の回転方向を正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替える。第1用紙排出ロール対38によって逆転方向に搬送される記録用紙5は、第2切替ゲートG2によって搬送経路が切り替えられ、装置本体1aの側面に沿って略鉛直方向に沿うように形成された両面用搬送経路48へと搬送される。両面用搬送経路48は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対33へと搬送する用紙搬送ロール対49と図示しない搬送ガイド等を備えている。なお、符号49aは下方に位置する用紙収容体31や図示しない手差しトレイから給紙される記録用紙5を用紙搬送ロール対33へと搬送する用紙搬送ロール対を示している。
【0053】
図1中、符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に沿って配置され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容したトナーカートリッジをそれぞれ示している。この実施の形態では、トナーカートリッジ145(Y,M,C,K)にトナーとキャリアを混合した現像剤4が収容されている。
【0054】
また、
図1中、符号70は、ユニット化されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10Y,10M,10C,10Kを装置本体1aに対して着脱自在に案内する案内部材を示している。
【0055】
さらに、
図1中符号200は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、外部と通信する通信インターフェイスなどを備えている。
【0056】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0057】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するフルカラーモードにおける動作を説明する。
【0058】
画像形成装置1は、制御装置200によって制御され、図示しないユーザインターフェイスやプリンタドライバ等からフルカラーの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置26、定着装置40等が始動する。
【0059】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、
図1及び
図2に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0060】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0061】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15(Y,M,C,K)が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0062】
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K)では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)は、次の作像動作が可能な状態にされる。ただし、ドラム清掃装置16で除去しきれないトナーやトナーの外添剤等の付着物が感光体ドラム11の表面に残留する場合がある。ドラム清掃装置16で除去しきれなかったトナーやトナーの外添剤等の付着物は、感光体ドラム11の回転に伴って帯電装置12へと移行する。
【0063】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置30では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路34に送り出す。給紙搬送路34では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対33が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0064】
二次転写位置においては、二次転写装置26が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0065】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21から剥離された後に用紙搬送路35を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、第1用紙排出ロール対38などにより、例えば、装置本体1aの上部に設置された第1用紙排出部37に排出される。
【0066】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。なお、画像形成装置1では、ブラック(K)の作像装置10Kのみを用いて記録用紙5にモノクロの画像を形成しても勿論よい。
【0067】
<帯電装置及び清掃部材の構成>
図3及び
図4はこの実施の形態に係る帯電装置を示す断面構成図及び斜視構成図である。
【0068】
帯電装置12は、
図3及び
図4に示されるように、被帯電体としての感光体ドラム11の周面と接触し、感光体ドラム11との間に帯電用の電圧が印加されるロール状の帯電部材の一例としての帯電ロール121と、帯電ロール121の感光体ドラム11と接触する面以外の周面と接触するように配置され、帯電ロール121の表面を清掃する清掃部材の一例としての清掃ロール122とを備えている。
【0069】
帯電ロール121は、
図5に示されるように、ステンレスや鉄等の金属からなる円柱形状の芯金123と、芯金123の外周に所要の厚さに被覆されて導電性が付与された弾性体層124と、弾性体層124の表面に被覆された表面層125とを有している。芯金123は、帯電ロール121の軸方向に沿った両端部に突出するよう設けられ回転軸を兼ねている。帯電ロール121の芯金123は、軸方向に沿った両端部が図示しない導電性の軸受部材(導電性ベアリング)によって回転自在に保持されている。また、帯電ロール121の芯金123は、
図3に示されるように、軸受部材(図示せず)を介して高圧電源装置126(電圧印加装置の一例)に接続されている。制御装置200は、高圧電源装置126によって帯電ロール121に印加する高電圧の値及び電圧の印加タイミングを制御する。
【0070】
弾性体層124は、例えば、内部や表面に空洞や凹凸部を有する多孔質の発泡体からなる。弾性体層124は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン、ポリプロピレン等の発泡性の樹脂材料、又は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム等の発泡性のゴム材料に、カーボンブラックやイオン性導電剤等の抵抗調整剤などを分散させて所要の抵抗値を有するように構成される。また、弾性体層124は、発泡していないソリッドタイプのゴムであってもよい。
【0071】
また、帯電ロール121の表面層125は、例えば、弾性体層124の外周面に粒状のフィラーが分散された塗装を施すことにより設けられる。表面層125には、
図6に示されるように、分散された粒状のフィラーの存在によって凹部125a及び凸部125bを有する凹凸が形成されている。なお、凹部125a及び凸部125bは、帯電ロール121の軸方向及び周方向に沿って一定の位置に存在する訳ではなく、帯電ロール121の軸方向及び周方向に沿って一定の位置に不規則に存在していることは勿論である。
図6では、凹部125aを便宜上平坦に図示しているが、凹部125aは、湾曲した形状に窪んでいても勿論良い。表面層125の表面に形成される凹凸の間隔や高低差などは、分散されるフィラーの粒径及び添加量を変更することによって調整される。
【0072】
なお、帯電ロール121としては、弾性体層124以外に表面層125を有しないものであっても良い。この場合、帯電ロール121は、表面を形成する弾性体層124にフィラーが分散されたり、当該弾性体層124そのものを形成する発泡体の空洞や凹凸部などによって弾性体層124の表面が凹凸を有する場合もある。
【0073】
この実施の形態に係る帯電ロール121は、
図6に示されるように、例えば、実測値として、表面の断面形状を表す粗さ曲線において、隣接する凹部と凸部間の距離の平均値Smが約70μm、最大高さ粗さRzが約10μmの値となっている。
【0074】
一方、清掃ロール122は、帯電ロール121の表面を清掃するための部材である。清掃ロール122は、
図7に示されるように、ステンレスや鉄等の金属からなるブラシ基部の一例としての芯金127と、芯金127の外周に所要の密度で密に植え付けられ、表面に凹凸を有する被清掃体としての帯電ロール121に先端が接触する多数(複数)本のブラシ毛128とを備えている。ブラシ毛128は、例えば、静電植毛等の手段により芯金127の外周に所要の密度で植え付けられる。芯金127は、清掃ロール122の両端部に突出するように設けられ回転軸を兼ねている。清掃ロール122の芯金127は、軸方向に沿った両端部が図示しない導電性の軸受部材(導電性ベアリング)によって回転自在に保持される。清掃ロール122の芯金127は、例えば、軸受部材(図示せず)を介して所要の電圧が印加されるか、又は高抵抗を介してアースに接続され接地されている。あるいは接地せずにフロートの場合もある。
【0075】
清掃ロール122は、被清掃体の一例としての帯電ロール121の表面に軸方向に沿って接触するよう配置されている。清掃ロール122は、帯電ロール121の表面に接触することにより当該帯電ロール121と等速(周速)で従動回転するものであっても、歯車等の駆動力伝達機構を介して帯電ロール121と速度差をもって回転するものでも良い。清掃ロール122は、図示しないコイルスプリング等の弾性部材により帯電ロール121の表面に所要の圧接力で押圧されている。なお、清掃ロール122は、弾性部材ではない図示しない部材によって帯電ロール121との軸間の距離を一定に保つように帯電ロール121の表面に所要の圧接力で押圧されていてもよい。
【0076】
ブラシ毛128は、ナイロンやポリエステル等の繊維からなる。但し、ブラシ毛128の材質としては、ナイロンやポリエステルに限定されるものではなく、他の素材からなるものを用いても良い。ブラシ毛128は、断面形状が外周へ向けて突出した突出部を有する異型断面形状であり、突出部が帯電ロール121表面の凹部125aに入り込む大きさを有するブラシ毛を少なくとも含んでいる。
【0077】
この実施の形態では、ブラシ毛128が外径及び断面形状の異なる少なくとも2種のブラシ毛から構成されている。2種のブラシ毛のうち第1種のブラシ毛128aは、
図8に示されるように、帯電ロール121の表面に形成された凹凸の凹部125aの底まで到達し得ない太さに設定されている。また、2種のブラシ毛のうちの第2種のブラシ毛128bは、断面形状が外周へ向けて突出した少なくとも1つ以上(図示例では、複数)の突出部を有する異型断面形状であり、少なくとも突出部が帯電ロール121の凹部125aに入り込む大きさを有する。なお、清掃ロール122は、第2種のブラシ毛128bのみから構成しても良い。
【0078】
第1種のブラシ毛128aは、
図9(a)に示されるように、断面円形状に形成されている。第1種のブラシ毛128aの太さ(直径)daは、例えば、約80μm(50デニール)に設定されている。但し、第1種のブラシ毛128aの太さ(直径)daは、80μm(50デニール)より大きくても小さいても良いが、帯電ロール121の表面に形成された凹凸の凹部125aの底まで到達し得ない太さである。
【0079】
一方、第2種のブラシ毛128bは、
図9(b)に示されるように、例えば、断面形状が略Y字形状などの円形と異なる異型に形成されている。更に説明すると、第2種のブラシ毛128bは、断面形状が中心部から半径方向外方(外周)へ向けて突出した少なくとも1つ以上(図示例では、複数)の突出部129を有する異型断面形状である。突出部129は、周方向に沿って約120度の角度を成して略Y字形状に設けられている。突出部129は、帯電ロール121の凹部125aに入り込み当該凹部125aの底まで達する大きさを有している。具体的には、第2種のブラシ毛128bの突出部129は、当該突出部129の断面における最大幅をdb、当該突出部129の突出長をdlとした場合、以下の関係式を満たしている。
Sm>db 且つ Rz<dl
ここで、Smは、上述したように、帯電ロール121の表面の断面形状を表す粗さ曲線において、隣接する凹部125aと凸部125b間の距離の平均値であり、Rzは凹部125aの底部から凸部125bの頂部までの最大高さ粗さである。
【0080】
第2種のブラシ毛128bのデニールは、例えば30デニールで、突出部先端を円で近似した場合の先端の径は約8μm(先端の幅dbに相当)であった。また、ブラシ毛の外接円の直径は、約100μmであった。但し、第2種のブラシ毛128bの太さ(直径)dcは、約100μmより大きくても小さいても良いが、第2種のブラシ毛128bの突出部129は、帯電ロール121の凹部125aに入り込み当該凹部125aの底まで達する大きさである。なお、第2種のブラシ毛128b自体の太さ(直径)dcは、帯電ロール121の凹部125aに入り込まない太さ、乃至帯電ロール121の凹部125aに入り込む太さのいずれであっても良い。
【0081】
また、第2種のブラシ毛128bの突出部129は、
図9(b)に示されるように、突出部129の最大幅dbと同一外径の円形断面のブラシ毛128cより当該突出部129の剛性が大きく設定されている。
【0082】
さらに、第2種のブラシ毛128bは、
図9(b)に示されるように、当該第2種のブラシ毛128bの直径dcと同一外径の円形断面のブラシ毛より剛性が大きく設定されているのが望ましい。
【0083】
第2種のブラシ毛128bは、
図10(a)〜(c)に示されるように、断面形状が略Y字形状以外に、扁平断面形状、扁平な断面形状の繊維の表面に凹凸を形成した偏平多葉型断面形状、略三角形状などであっても良い。
図9(b)に示す断面略Y字形状のブラシ毛128bとしては、例えば、KBセーレン株式会社製の急速給水速乾ポリエステル繊維(商品名ソアリオン)を用いることができる。また、
図10(a)に示す扁平断面形状のブラシ毛128bとしては、例えば、同じくKBセーレン株式会社製のポリエステル繊維(商品名ベルスクェア)を、
図10(b)に示す偏平多葉型断面形状のブラシ毛としては、例えば、東レ株式会社製のポリエステル繊維(商品名ペンタスα)を、
図10(c)に示す断面略三角形状のブラシ毛としては、例えば、KBセーレン社製のポリエステル繊維(商品名ブライト異形)を用いることができる。
【0084】
清掃ロール122は、
図7に示されるように、第1種のブラシ毛128aのみが植え付けられた領域131と、第2種のブラシ毛128bのみが植え付けられた領域132とを有している。第1種のブラシ毛128aのみが植え付けられた領域131及び第2種のブラシ毛128bのみが植え付けられた領域132は、帯電ロール121の軸方向に沿った全清掃領域にわたり双方が接触するように配置されている。
【0085】
第1種のブラシ毛128aのみが植え付けられた領域131と、第2種のブラシ毛128bのみが植え付けられた領域132は、例えば、
図7に示されるように、芯金127の外周に間隙133を介して螺旋状に設けられている。また、清掃ロール122としては、これに限定されるものではなく、第1種のブラシ毛128aのみが植え付けられた領域131と、第2種のブラシ毛128bのみが植え付けられた領域132が、
図11に示されるように、周方向に沿って交互に位置するように軸方向に沿って全長にわたり設けても良い。なお、間隙133は設けなくとも良い。
【0086】
また、第1種のブラシ毛128a及び第2種のブラシ毛128bは、領域131,132を形成せずに、芯金127の外周に第1種のブラシ毛128a及び第2種のブラシ毛128bをランダムに混合した状態で植え付けられていても良い。但し、第1種のブラシ毛128a及び第2種のブラシ毛128bの機能をそれぞれ発揮させるためには、第1種のブラシ毛128a及び第2種のブラシ毛128bを領域131,132を区分して植え付けるのが望ましい。
【0087】
<帯電装置及び清掃部材の作用>
この実施の形態に係る帯電装置12では、
図1及び
図2に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)において、画像形成動作に伴って各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電ロール121が感光体ドラム11の表面に接触して所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。
【0088】
その際、帯電ロール121は、その表面が感光体ドラム11の外周面に接触する。そのため、帯電ロール121の表面には、
図12(a)に示されるように、ドラム清掃装置16で除去しきれず感光体ドラム11の表面に残留したトナーやトナーの外添剤等の異物135が付着する。帯電ロール121の表面に付着したトナーやトナーの外添剤等の異物135は、当該帯電ロール121が感光体ドラム11の表面に接触して回転する際に、感光体ドラム11との圧接力により潰されて帯電ロール121の凸部に薄いフィルム状に固着する傾向、所謂フィルミングが発生する場合がある。一方、帯電ロール121表面の凹部125aは、感光体ドラム11の表面と直接接触しないか又は直接接触し難いため、感光体ドラム11の表面から直接トナーやトナーの外添剤等の異物135が付着し難い。しかし、帯電ロール121表面の凹部には、
図12(b)に示されるように、帯電ロール121が感光体ドラム11と接触して回転する際に、感光体ドラム11の表面に残留したトナーやトナーの外添剤等の異物135が落下して堆積し易い。
【0089】
この実施の形態では、
図3及び
図4に示されるように、帯電ロール121の表面に清掃ロール122が接触して回転している。そのため、帯電ロール121の凸部125bに付着したトナーやトナーの外添剤等の異物135は、
図13に示されるように、主に清掃ロール122の第1種のブラシ毛128aによって掻き落とされ清掃される。また、帯電ロール121の凸部125bに付着したトナーやトナーの外添剤等の異物135の一部は、清掃ロール122の第2種のブラシ毛128bによっても掻き落とされる。
【0090】
また、帯電ロール121の凹部125aに落下して付着したトナーやトナーの外添剤等の異物135は、
図14に示されるように、清掃ロール122の第2種のブラシ毛128bにおける複数の突出部129が当該帯電ロール121の凹部125aに入り込むことにより掻き落とされて清掃される。その際、第2種のブラシ毛128bは、断面形状が外周へ向けて突出した突出部129を有する異型断面形状を有しており、しかも突出部129は、同一外径の断面円形状のブラシ毛に比較して剛性が高くなっている。そのため、帯電ロール121の凹部125bに落下して付着したトナーやトナーの外添剤等の異物135は、当該帯電ロール121の凹部125aに入り込んだ第2種のブラシ毛128bの突出部129によって掻き落とされて効果的に除去される。
【0091】
更に説明すると、清掃ロール122の第2種のブラシ毛128bは、
図9(b)に示されるように、異型断面形状に形成されており、突出部129は、同一外径の断面円形状のブラシ毛に比較して剛性が高くなっている。そのため、第2種のブラシ毛128bは、
図14に示されるように、ブラシ毛128bの外周に突出した突出部129が帯電ロール121表面の凹部125aに入り込んで、帯電ロール121の凹部125aに付着したトナーや外添剤等の異物135を掻き取って除去する。また、清掃ロール121の第2種のブラシ毛128bは、異型断面形状に形成されて剛性が相対的に高く形成されているため、帯電ロール121表面の凹部125aに入り込んだ際に突出部129を含めて容易に弾性変形することなく、当該帯電ロール121の凹部125aに付着したトナーや外添剤等の異物135を掻き取る作用を効果的に発揮する。
【0092】
このように、上記実施の形態に係る清掃ロール122によれば、円形断面の外径が異なる2種類のブラシ毛を備えた清掃部材に比較して、表面に凹凸を有する帯電ロール121の凸部125bを清掃しつつ凹部125aの清掃能力を高めることができる。
【0093】
<実験例1〜3>
本発明者らは、本実施の形態に係る清掃ロールの作用・効果を確認するため、
図7に示されるような清掃ロール122を有する帯電装置12を用いた画像形成装置1を試作し、清掃ロール122の清掃能力を確認する実験を行った。帯電ロール121としては、表面層125に粒状のフィラーを添加して表面に凹凸を形成したものを用いた。帯電ロール121は、表面の断面形状を表す粗さ曲線において、隣接する凹部125aと凸部125b間の距離の平均値Smが70μm、最大高さ粗さRzが10μmであった。また、清掃ロール122は、第1種のブラシ毛128aとして直径80μm(50デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維を、第2種のブラシ毛128bとして突出部129の幅が8μm、突出部129の突出長が50μmのポリエステル製の突出部先端を円で近似した場合の先端の直径が8μmである30デニールのY型の異型断面の繊維を用いた。清掃ロール122は、第1種のブラシ毛128aのみが植え付けられた領域と、第2種のブラシ毛128bのみが植え付けられた領域を芯金127の外周に螺旋状に設けたものを用いた。
【0094】
また、実験例2は、清掃ロール122として、第1種のブラシ毛128aを用いずに第2種のブラシ毛のみからなり、第2種のブラシ毛128bとして突出部129の幅が8μm、突出部129の突出長が50μmのポリエステル製の突出部先端を円で近似した場合の先端の直径が8μmである30デニールのY型の異型断面の繊維を用いて実験した。
【0095】
さらに、実験例3は、清掃ロール122として、第1種のブラシ毛128aを用いずに第2種のブラシ毛のみからなり、第2種のブラシ毛128bとしてポリエステル製の突出部先端を円で近似した場合の先端の直径が36μmである30デニールの三角型の異型断面の繊維を用いて実験した。
【0096】
清掃ロール122の清掃能力は、A4サイズの記録用紙5に50KPV(50,000)枚にわたり画像を形成し、帯電ロール121の表面がトナー及び外添剤により汚れて50KPV枚プリント後のプリントサンプル上に筋状の汚れが発生する程度によって判断した。なお、プリントサンプル上に発生する筋状の汚れは、富士ゼロックス株式会社内部の筋状見本に基づいて目視によって評価した。
【0097】
また、50KPV枚プリント後の帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって観察し、帯電ロール121の表面におけるトナーや外添剤の付着状況を確認した。
【0098】
また、比較例として、第1のブラシ毛128aとして直径80μm(50デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維のみを用いた清掃ロール122(比較例1)、第1のブラシ毛128aとして直径80μm(50デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維と、第2種のブラシ毛128bとして直径28μm(6デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維を用いた清掃ロール122(比較例2)、第2種のブラシ毛128bとして直径8μm(0.5デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維のみを用いた清掃ロール122(比較例3)、第2種のブラシ毛128bとして直径10μm(0.8デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維のみを用いた清掃ロール122(比較例4)、第2種のブラシ毛128bとして直径16μm(2デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維のみを用いた清掃ロール122(比較例5)、第2種のブラシ毛128bとして直径28μm(6デニール)の断面円形状のナイロン製の繊維のみを用いた清掃ロール122(比較例6)について、帯電ロール121の汚れによるプリントサンプル上の筋状の汚れの発生程度を試験した。
【0099】
図15は上記実験例1〜3及び比較例1〜6の結果を示す図表である。
【0100】
図15から明らかなように、本実験例に係る帯電ロールは、良好な異物除去性能を有することが判った。
【0101】
実験例1は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロールの表面抵抗の上昇が1.2logΩ程度であり、プリントサンプル上に現れる筋の評価は良好であることを示す○であった。また、帯電ロールの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部へのトナーや外添剤の固着も少なく、凹部の堆積も少なかった。
【0102】
実験例2は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が2.2logΩ程度であり、プリントサンプル上に現れる筋の評価は○−であった。また、帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凹部125aの堆積は少ないが、凸部125bへのトナーや外添剤の固着が若干多かった。
【0103】
実験例3は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が2.5logΩ程度であり、プリントサンプル上に現れる筋の評価は○−であった。また、帯電ロールの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凹部125aへの堆積は少ないが、凸部125bの固着が若干多かった。
【0104】
比較例1は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が4.5logΩと大きく、プリントサンプル上に現れる筋の評価も×であった。また、帯電ロールの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部125bへのトナーや外添剤の固着は少ないが、凹部125aへの堆積が非常に多かった。
【0105】
比較例2は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が3.8logΩと大きく、プリントサンプル上に現れる筋の評価も×であった。また、帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部125bへのトナーや外添剤の固着は少ないが、凹部125aへの堆積が多かった。
【0106】
比較例3は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が5logΩと大きく、プリントサンプル上に現れる筋の評価も××であった。また、帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部125bへのトナーや外添剤の固着は少ないが、凹部125aへの堆積が非常に多かった。
【0107】
比較例4は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が4.5logΩと大きく、プリントサンプル上に現れる筋の評価も××であった。また、帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部125bへのトナーや外添剤の固着が非常に多く、凹部125aへの堆積も多かった。
【0108】
比較例5は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が4.8logΩと最も大きく、プリントサンプル上に現れる筋の評価も××であった。また、帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部125bへのトナーや外添剤の固着が非常に多く、凹部125aへの堆積が多かった。
【0109】
比較例6は、50KPVの記録用紙5に画像を形成した後の帯電ロール121の表面抵抗の上昇が4.2logΩと大きく、プリントサンプル上に現れる筋の評価も××であった。また、帯電ロール121の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、凸部125bへのトナーや外添剤の固着が非常に多く、凹部125aへの堆積も多かった。
【0110】
<実験例4>
また、本発明者らは、実験例4として、清掃ロール122の第2種のブラシ毛128bの断面形状の相違による清掃能力の違いを確認するため、
図21に示されるような第2種のブラシ毛128bのみからなる清掃ロール122を試作し、帯電ロール121の清掃能力を確認する実験を行った。帯電ロール121としては、表面層125に粒状のフィラーを添加していない表面が平滑なものを用いた。また、清掃ロール122は、第2種のブラシ毛128bとして断面円形(
図9(a))、扁平断面(
図10(a))、三角断面(
図10(c))、Y型断面(
図9(b))のものを用いた。清掃ロール122は、第2種のブラシ毛128bのみが芯金127の外周に全面に植え付けられたものを用いた。
【0111】
帯電ロール121の清掃能力は、清掃ロール122を用いずにA4サイズの4,000枚の記録用紙5にテスト画像を形成することにより、帯電ロール121をトナーの外添剤等により汚染させて抵抗値を上昇させた後に、帯電ロール121に清掃ロール122を装着して200回にわたり回転させて清掃することで帯電ロール121の抵抗値を低下させ、帯電ロール121の抵抗値がどの程度低下したかにより評価した。なお、帯電ロール121の抵抗値の低下は、使用前の状態に対してどの程度(何%)回復したかにより求めた。
【0112】
図16乃至
図20は実験例4の結果を示す図表である。
【0113】
図16及び
図17から明らかなように、異型断面のブラシ毛128bの突出部129における先端径が約8μmであるY型断面のブラシ毛は、清掃ロール122による抵抗値の低下分で示される清掃性が100%であり、略完全に清掃することができたことが判る。また、異型断面のブラシ毛128bの突出部129における先端径が約11.3μmである三角断面のブラシ毛は清掃性が82%、扁平断面のブラシ毛は清掃性が60%、円形断面の清掃性が30%であり、異型断面のブラシ毛の突出部における先端径が同じ約11.3μmである場合には、三角断面のブラシ毛が82%と比較的高い清掃性を発揮し、次いで偏平断面のブラシ毛の清掃性が60%と高く、円形断面の清掃性が30%と最も低いことが判った。
【0114】
また、
図16及び
図17から明らかなように、異型断面のブラシ毛128bの突出部における先端径が約35.8μmである三角断面のブラシ毛は、清掃性が97%とY型断面のブラシ毛と同様に100%に近く、略完全に清掃することができたのに対し、円形断面のブラシ毛の清掃性は75%であり、Y型断面のブラシ毛より清掃性が低いことが判った。
【0115】
図16及び
図17から明らかなように、異型断面のブラシ毛128bの突出部先端を円で近似した場合の先端の直径と断面円形状のブラシ毛の直径がいずれも約10μmと同じ値であるときは、断面円形のブラシ毛に比較して異型断面のブラシ毛の方が清掃ロール122による抵抗値の低下分が大きく、清掃性が高いことが判った。これは、帯電ロール121の表面に接触するブラシ毛の直径は略同じであるが、異型断面のブラシ毛の方が断面円形のブラシ毛に比較して剛性が高いため、トナーや外添剤等の異物の掻き取り効果が高いためと考えられる。
【0116】
図18は異型断面のブラシ毛の突出部における先端径とブラシ毛全体の太さを示すデニール値との関係を示す図表である。
【0117】
この
図18に示す異型断面のブラシ毛の突出部における先端径とブラシ毛全体の太さを示すデニール値との関係に基づいて、ブラシ毛全体の太さ(デニール)と清掃性の関係を示したものが
図19の図表及び
図20のグラフである。
【0118】
また、
図19及び
図20から明らかなように、デニール値が同じ値の異型断面のブラシ毛と断面円形状のブラシ毛とで比較した場合においても、断面円形状のブラシ毛よりも異型断面のブラシ毛の方が清掃ロールによる抵抗値の低下分が大きく、清掃性が高いことが判る。これは、デニール値が略同じ値であるため、ブラシ毛の剛性の強さは略同じであるが、異型断面のブラシ毛の方が突出部を円で近似した場合の直径が小さく(細く)、帯電ロール121表面の微小な凹凸にもブラシ毛の突出部が入り込んでトナーや外添剤等の異物を掻き出すことにより清掃し易いためであると考えられる。
【0119】
さらに、
図20から明らかなように、外接円の直径が略同じ値である約30デニールの異型断面のブラシ毛では、断面形状が三角断面とY型断面とで清掃ロール122による抵抗値の低下分がいずれも略100%と非常に大きな値を示し、大幅に高い清掃性を発揮することが判った。
【0120】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像を形成するフルカラー画像形成装置について説明したが、モノクロの画像を形成する画像形成装置についても同様に適用できることは勿論である。