特許第6912062号(P6912062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6912062機械攪拌用攪拌混合装置およびそれを用いた地盤改良工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912062
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】機械攪拌用攪拌混合装置およびそれを用いた地盤改良工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20210715BHJP
【FI】
   E02D3/12 102
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-227703(P2018-227703)
(22)【出願日】2018年12月4日
(65)【公開番号】特開2020-90816(P2020-90816A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2020年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152642
【氏名又は名称】株式会社日東テクノ・グループ
(73)【特許権者】
【識別番号】591000724
【氏名又は名称】三和土質基礎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166039
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 款
(72)【発明者】
【氏名】山崎 淳一
(72)【発明者】
【氏名】関 昌則
(72)【発明者】
【氏名】島野 嵐
(72)【発明者】
【氏名】宅見 真一
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−041570(JP,A)
【文献】 特開2010−285788(JP,A)
【文献】 特開2008−163714(JP,A)
【文献】 実開昭53−156923(JP,U)
【文献】 特開2015−001121(JP,A)
【文献】 特開2003−064658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタルからなる地盤改良材の流路を具備する回転軸と、
回転軸を介して導かれた地盤改良材を吐出するための複数の吐出口を具備する攪拌翼と、を有しており、
前記複数の吐出口は、回転軸から異なる距離に位置するように、攪拌翼に設けられ
前記回転軸が具備する流路は、その途中で下向きの複数の個別流路に分岐しており、
前記回転軸が具備する複数の個別流路は、前記攪拌翼が具備する複数の吐出口に対し個別に通じており、
分岐後の前記複数の個別流路の断面積の総和は、分岐前の前記流路の断面積とほぼ同じ又はこれよりも大きい、ことを特徴とする機械攪拌用攪拌混合装置。
【請求項2】
前記複数の個別流路は、地盤改良材が通過する部分の断面積に差を付けている、
ことを特徴とする請求項1に記載の機械攪拌用攪拌混合装置。
【請求項3】
前記回転軸が具備する流路において、
複数の個別流路に分かれる分岐部入口にテーパー加工が施されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の機械攪拌用攪拌混合装置。
【請求項4】
複数の吐出口に個別に通ずる複数の個別流路を、時間差を付けて繰返し開閉するための開閉手段を更に有する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の機械攪拌用攪拌混合装置。
【請求項5】
地盤改良材の吐出口を複数具備する攪拌翼を有し、複数の吐出口が異なる径で旋回するように設けられた、請求項1に記載の機械攪拌用攪拌混合装置を用いた地盤改良工法であって、
回転軸と攪拌翼を有する攪拌混合装置を地盤に貫入する過程、地盤から引抜く過程の何れか一方又は両方の過程で、流路を具備する回転軸を介してモルタルからなる地盤改良材を圧送し、
異なる径で旋回する複数の吐出口のそれぞれから地盤改良材を吐出する、
ことを特徴とする地盤改良工法。
【請求項6】
前記複数の吐出口から地盤改良材を不連続で吐出する、ことを特徴とする請求項5に記載の地盤改良工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械攪拌用の攪拌混合装置およびそれを用いた地盤改良工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械攪拌式深層混合処理工法において、セメント系固化材を水と混合しスラリー状にした材料を改良材として使用する工法が一般的に用いられている。機械攪拌式深層混合処理工法において、地盤改良材は一般的に回転軸(攪拌軸)の下端部より吐出する手法が用いられている。その施工方法の概要は図10に示すとおりである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなセメント系深層混合処理工法を利用した従来の地盤改良工事では、次のような問題があった。
【0004】
一般的に、対象土が軟弱で含水比が高い場合は固化材混合量が多くなる傾向があり、含水比が200%を超えるような土では改良対象土量1m3当たり500kg以上の固化材を用いる場合もある。
【0005】
水セメント比は80%程度を下限としていることから改良材が多い場合、地盤内への吐出に時間がかかり施工能率が落ちる。
【0006】
対象土が有機質土、腐植土等の超軟弱地盤の場合、一般的なセメントでは必要な強度が得られない。そのため、有機質土や腐植土等に適した高価な特殊地盤改良材が固化材として用いられている。
【0007】
工事費に固化材料費が占める割合が多いため、超軟弱地盤を改良する場合に工事費が大幅に増える。
【0008】
地中に投入するスラリー量の概ね80%の土が、盛上がり土として地表に排出され(産業廃棄物)その量は固化材料に比例して多くなる。
【0009】
従来技術では、改良材は一般的に回転軸下端部1点より吐出される(図2(a)参照)。攪拌混合は、回転軸から放射状に伸びる板状の攪拌翼が回転軸を中心に回転する動きによるため、内側と外側で混ざりにくい。
【0010】
流動性が高くない材料を攪拌軸下端部より原位置土中に吐出することも検討されたが、そのような材料を吐出する場合、改良対象範囲全体に改良材が拡散しにくいことから、均質に改良するためには攪拌混合に時間を要する。
【0011】
低流動性の材料を吐出する場合、流動性が低い故に、回転軸の流路内で材料が閉塞し施工不可となる場合がある。
【0012】
低流動性の材料は攪拌混合しにくいため、このような材料を用いると、造成する改良体の品質が不均質になりやすい。
【0013】
地盤改良材を回転軸内の流路で分岐させる場合、分岐前より分岐後の流路断面積が小さくなると回転軸内での材料閉塞の可能性がある。
【0014】
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、例えば対象土が軟弱で含水比が高い場合や有機質土の場合でも、従来よりも施工能率が高く、低コストでの施工を可能とし、高品質の改良体を造成することを可能にする、機械攪拌用攪拌混合装置と、それを用いた地盤改良工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的は、地盤改良材の流路を具備する回転軸と、回転軸を介して導かれた地盤改良材を吐出するための複数の吐出口を具備する攪拌翼と、を有し、前記複数の吐出口が回転軸から異なる距離に位置するように攪拌翼に設けられた、機械攪拌用攪拌混合装置によって達成される。
【0016】
上記攪拌混合装置において、回転軸が具備する流路は、その途中で複数の個別流路に分岐していることが好ましく、この場合、複数の個別流路は、前記攪拌翼が具備する複数の吐出口に対し個別に通じている。
【0017】
また上記攪拌混合装置において、回転軸が具備する複数の個別流路は、それぞれ、地盤改良材が通過する過程で断面積が減少しない寸法を有していることが好ましい。
【0018】
また上記攪拌混合装置において、複数の個別流路には、地盤改良材が通過する部分の断面積に差を付けてもよい。
【0019】
また上記攪拌混合装置の回転軸が具備する流路において、複数の個別流路に分かれる分岐部入口にはテーパー加工が施されていることが好ましい。
【0020】
また上記攪拌混合装置は、複数の吐出口に個別に通ずる複数の個別流路を時間差を付けて繰返し開閉するための開閉手段を更に有してもよい。
【0021】
また、前述した目的は、
地盤改良材の吐出口を複数具備する攪拌翼を有し、複数の吐出口が異なる径で旋回するように設けられた機械攪拌用攪拌混合装置を用いた地盤改良工法であって、
回転軸と攪拌翼を有する攪拌混合装置を地盤に貫入する過程、地盤から引抜く過程の何れか一方又は両方の過程で、流路を具備する回転軸を介して地盤改良材を圧送し、
異なる径で旋回する複数の吐出口のそれぞれから地盤改良材を吐出する、
ことを特徴とする地盤改良工法によって達成される。
【0022】
上記地盤改良工法では、複数の吐出口から地盤改良材を不連続で吐出するようにしてもよい。
【0023】
また上記地盤改良工法では、地盤改良材として例えばモルタルのような骨材を持つ低流動性の材料を用いてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る機械攪拌用攪拌混合装置は回転軸と攪拌翼を有しており、攪拌翼は、回転軸の流路を介して導かれた地盤改良材を吐出するための複数の吐出口を具備している。複数の吐出口は、回転軸内の流路に繋がっていて、回転軸から異なる距離に位置するように(すなわち異なる旋回径になるように)攪拌翼に設けられている。
このような構成を採用し、回転軸から異なる距離にある複数(例えば2〜4ヶ所)の吐出口から地盤改良材を対象地盤内に投入することで、攪拌翼による攪拌混合域における内側から外側まで均等に地盤改良材を行き渡らせることができ、均質な改良体を効率よく構築することが可能になる。また、図2(a)に示すような1ヶ所からの吐出に比べて、攪拌混合時間を大幅に短縮することができる。図2(b)参照。
したがって本発明によれば、混合材料として例えばモルタルなどの低流動性の材料を使用する場合でも、攪拌翼で効率的な混合攪拌を行うことができる。
また、本発明に係る機械攪拌用攪拌混合装置では、使用機械として既存の深層混合処理機械を用いることができ、施工機本体の改造の必要がない。
【0025】
また本発明では、回転軸が具備する流路は、その途中で複数の個別流路に分岐しており、複数の個別流路は、攪拌翼が具備する複数の吐出口に対し個別に通じている。すなわち、回転軸が具備する流路は、その途中から複数に枝分かれした流路となっており、枝分かれした複数の流路は、対応するそれぞれの吐出口に個別に繋がっている。このような分岐構造を採用することにより、地盤改良材の分割投入(複数の吐出口からの地盤改良材の吐出)をスムーズに行うことができる。
また、複数の吐出口に個別に繋がる複数の個別流路を回転軸内に設けることで、地盤改良材の送出圧力が複数の吐出口のすべてに十分に伝わるので、すべての吐出口から確実に地盤改良材を吐出させることができる。
【0026】
また本発明において、回転軸が具備する複数の個別流路は、それぞれ、地盤改良材が通過する過程で断面積(通過面積)が減少しない寸法に設定されている。ここでいう「断面積」とは、流路における地盤改良材の通過部分の断面積である。
これにより、回転軸内を地盤改良材が通過する過程において断面積(通過面積)が減少することが無いので(つまり流路が途中で狭まることが無いので)、回転軸内で流路を分岐させても改良材通過時の抵抗が発生しにくく、回転軸内における地盤改良材の流量が安定する。
したがって、このような流路を具備する回転軸を介して地盤改良材を複数の吐出口に導くことで、対象地盤への改良材の分割投入(複数の吐出口からの地盤改良材の吐出)を滞りなくスムーズに行うことができる。図1及び図2(b)参照。
【0027】
また本発明において、回転軸が具備する流路では、複数の個別流路に分かれる分岐部入口にテーパー加工が施されている。このテーパー加工は、回転軸内で流動する地盤改良材が受ける抵抗を軽減する役割を担っている。
このようなテーパー加工を施すことで、個別流路に分かれる分岐部入口での抵抗が減って(すなわち地盤改良材を圧送するための圧力の損失が減って)、地盤改良材の流れがさらにスムーズになってその流量が安定し、また、回転軸内における材料閉塞の頻度をさらに低下させることができる。図3参照。
このような特徴は、低流動性の材料を使用する場合に特に有効である。
【0028】
また本発明において、回転軸が具備する複数の個別流路は、その断面積を等しく設定して、地盤改良材の流量が各個別流路で同じになるようにしてもよく、あるいは、その断面積に差を設けて流量に違いを持たせてもよい。
後者のように、地盤改良材が通過する部分の断面積に差が生じるように、複数の個別流路の各寸法を設定した場合には、複数の吐出口における吐出量に違いを持たせることが可能である。図4参照。
このような特徴は、複数の吐出口に異なる吐出量を設定したい場合に有益である。
【0029】
また本発明では、複数の吐出口に個別に通ずる複数の個別流路を、時間差を付けて繰返し開閉するための「開閉手段」を更に設けてもよい。
このような時間差式の開閉手段は、例えば供回り防止翼を利用することで実現できる。例えば供回り防止翼取り付け部に個別流路を開閉可能な流路開閉部を設け、この流路開閉部を通じて、複数の吐出口への地盤改良材の分配を行う。
具体的には、分岐した個別流路を遮断するように供回り防止翼を回転軸に装着し、一部の個別流路のみ地盤改良材が通過できる開口部(穴)を供回り防止翼に設ける。図5図6参照。これにより、複数の個別流路のなかで、通過できる流路が刻々と変化し、各流路が時間差で一時的に遮断されることにより不連続で材料吐出される。
すべての吐出口から同時に連続で吐出される場合、一か所の吐出口が閉塞すると他の吐出口より材料が吐出されるため閉塞が解消されないが、各流路を一時的に遮断することにより閉塞した吐出口に圧力が集中し、閉塞している吐出口から詰まった改良材が押し出されることにより閉塞状態を解消することができる。
【0030】
また本発明では、造成する改良体の仕様等に応じて、分岐した個別流路の内、いずれかを意図的に封鎖してもよい。例えば、最内の吐出口に通ずる個別流路を封鎖することにより、中空の改良体を造成することも可能である。図7参照。
【0031】
また、複数の吐出口の一又は二以上の位置を変えることにより、改良体の内側と外側に強度差をつけることも可能である。
【0032】
また本発明では、攪拌翼の段数は特に限定されず、一段でもよく、二段以上の複数段設けてもよい。攪拌翼を多段(例えば2〜4段)設けることにより吐出口を増やすことができ(図8参照)、吐出口が増えることで材料をさらに均等に分布させることが可能である。
【0033】
また本発明で利用可能な地盤改良材の具体例としては、例えばモルタルのような骨材を持つ低流動性の材料が挙げられる。
このような低流動性の材料を、含水比が高く土粒子の少ない有機質土等の軟弱地盤の改良において地盤改良材として使うことにより、有機質土内の間隙に骨材分の土粒子が増え、地盤中への材料投入量をセメント系固化材と比較して大幅に減らすことができる。
また、低流動性の材料を地盤改良材として使うことにより、有機質土に適した高価な特殊地盤改良材を固化材として使用しなくても強度発現が望める。
また、地盤中への材料投入量が減る結果、工事費の中で構成比率の高い材料費を縮減することができる。
また、モルタルのような低流動性の材料の骨材として盛り上がり土を使用することにより、発生土の産業廃棄物処分費も削減することが可能となる。
また、地盤中への材料投入量が減ることで、盛り上がり土も併せて減ることから、残土処分費も削減できる。
また、地盤中への材料投入量がセメント系固化材と比較して大幅に減ることにより、攪拌時間が短縮して施工能率が上がり、その結果、工期を短縮することが可能になる。
【0034】
また、上述した機械攪拌用攪拌混合装置を利用して地盤改良工事を実施することで、
例えば対象土が軟弱で含水比が高い場合や有機質土の場合でも、従来よりも施工能率が高く、低コストでの施工が可能となり、また、高品質の改良体を造成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】機械攪拌用攪拌混合装置の第1実施形態を示す断面図である。
図2図2(a)は、従来技術における地盤改良材吐出口と攪拌混合域の関係を示しており、図2(b)は、本発明の第1実施形態における地盤改良材吐出口と攪拌混合域の関係を示している。
図3】回転軸内の流路の分岐部入口に施されたテーパー加工の一例を示す図である。
図4】機械攪拌用攪拌混合装置の第2実施形態を示す断面図である。
図5】機械攪拌用攪拌混合装置の第3実施形態を示す部分断面図である。
図6】第3実施形態の機械攪拌用攪拌混合装置が具備する供回り防止翼(開閉手段)の機能・作用を示す透視図である。
図7】機械攪拌用攪拌混合装置の他の実施形態を示す図である。
図8】機械攪拌用攪拌混合装置の他の実施形態を示す図である。
図9】機械攪拌用攪拌混合装置を用いた地盤改良工事の施工機材の一例を示す図である。
図10】機械攪拌による深層混合処理工法の施工手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(攪拌混合装置の第1実施形態)
第1実施形態の機械攪拌用攪拌混合装置11は、図1に概略的に示すような断面形状を有しており、図9に示すような施工機械が配置された施工現場において、リーダーや回転駆動装置などを具備する施工機本体91に取り付けて利用する。このような施工機本体が具備するリーダーに沿って攪拌混合装置を吊り下げ、回転駆動装置の回転力を攪拌混合装置の回転軸に付与することで、攪拌混合装置の全体を回転させながら原地盤中に貫入したり引抜くことができる。
【0037】
本実施形態の機械攪拌用攪拌混合装置11は、図1に示すように、主として、
・地盤改良材の流路23を具備する回転軸21(攪拌軸)と、
・この回転軸と一体となって回動可能に設けられた攪拌翼41,42を
有している。
【0038】
攪拌翼41,42は、水平方向に延びるように回転軸21の下方に所定の間隔を隔てて設けられ、地盤を掘削し、掘削土と地盤改良材を攪拌混合する役割を担う。
【0039】
また、攪拌翼41は、図1図2(b)に示すように、
・回転軸21内の流路23から分岐した個別流路31,32,33に通ずる流路45と、
・回転軸21を介して導かれた地盤改良材を吐出するための複数の吐出口1,2,3を
具備している。
攪拌翼41における吐出口1,2,3の位置関係は、図2(b)に示すとおりである。
【0040】
なお、攪拌翼41が具備する吐出口の数は複数である限り特に限定されず、本実施形態では一例として、攪拌翼41に3つの吐出口を設けている。
【0041】
攪拌翼41が具備する吐出口1,2,3は、図2(b)に示すように、回転軸21から異なる距離に位置する。
【0042】
本実施形態では、
回転軸21から吐出口1(第1の吐出口)までの距離をD1、
回転軸21から吐出口2(第2の吐出口)までの距離をD2、
回転軸21から吐出口3(第3の吐出口)までの距離をD3とした場合に、
D1<D2<D3 となるように、吐出口1、2、3が攪拌翼41に設けられている。
【0043】
なお、吐出口1,2,3の旋回軌跡の間隔は必ずしも等間隔である必要はなく、造成する改良体の仕様に応じて吐出口を設ける位置を変えることも可能である。このように吐出口の位置を変えることにより、例えば、造成する改良体の内側と外側に強度差をつけることも可能である。
【0044】
回転軸21は、攪拌混合装置11が回転駆動される際に回転中心となる軸部であり、
図1に示すように、
・その内部に設けられた地盤改良材の流路23,31,32,33、
・その下端に設けられた掘削ヘッド35、
などを具備している。
【0045】
回転軸21が具備する流路23は、図1に示すように、その途中で分岐して3つの個別流路31,32,33に分かれている。個別流路31,32,33は、攪拌翼41が具備する吐出口1、2、3(図2(b)参照)に対し1対1で個別に通じている。すなわち、回転軸21が具備する流路23は、その途中から複数に枝分かれした流路となっており、枝分かれした個別流路31,32,33は、対応するそれぞれの吐出口1、2、3に個別に繋がっている。
【0046】
また本実施形態において、回転軸21が具備する個別流路31,32,33は、それぞれ、地盤改良材が通過する過程で断面積が減少しない寸法を有している。ここでいう「断面積」とは、流路における地盤改良材の通過部分の断面積である。
【0047】
例えば、図1に示す実施形態において、
b−b断面における個別流路31,32,33の断面積の総和は、
a−a断面における流路23の断面積とほぼ同じ又はこれよりも大きい。
【0048】
このような特徴により、回転軸21内を地盤改良材が通過する過程において断面積(通過面積)が減少することが無いので(つまり地盤改良材が流動する過程で流路が狭まることが無いので)、回転軸21内で流路を分岐させても改良材通過時の抵抗が発生しにくく、回転軸内における地盤改良材の流量が安定する。
したがって、このような流路を具備する回転軸21を介して地盤改良材を複数の吐出口に導くことで、対象地盤への改良材の分割投入(複数の吐出口からの地盤改良材の吐出)を滞りなくスムーズに行うことができる。
【0049】
また、回転軸21が具備する流路において、個別流路31,32,33に分かれる分岐部入口37には、図3に例示するようなテーパー加工を施すことが望ましい。このテーパー加工は、回転軸21内で流動する地盤改良材が受ける抵抗を軽減する役割を担っている。このようなテーパー加工を施すことで、個別流路31,32,33に分かれる分岐部入口37での抵抗が減って(すなわち地盤改良材を圧送するための圧力の損失が減って)、地盤改良材の流れがさらにスムーズになり、回転軸21内における材料閉塞の頻度をさらに低下させることができる。このような特徴は、低流動性の材料を使用する場合に特に有効である。
【0050】
(攪拌混合装置を用いた地盤改良)
上述した構成の攪拌混合装置を例えば図9に示すような施工機本体91に取り付ける。
そして、回転軸21を回転駆動装置により回転させながら地盤(地盤土壌)中に貫入させると、この回転軸21の回転駆動により該回転軸21の下端の掘削ヘッド35で地盤を掘削しながら攪拌翼41,42が地盤中に貫入する。
そして、攪拌混合装置の下端が目標の改良深度に達したら、攪拌翼41,42を回動させて所定の速度で攪拌を行いながら攪拌混合装置を引き抜く。
攪拌混合装置の貫入・引き抜きの手順やタイミングは、図10に例示する様な従来の機械攪拌式深層混合処理工法と同様である。
【0051】
そして、攪拌混合装置を地盤に貫入する過程、攪拌混合装置を地盤から引抜く過程の何れか一方又は両方の過程において、複数の吐出口を通じて地盤改良材を地盤内に投入する。すなわち、攪拌翼41に設けた吐出口1,2,3より地盤改良材を掘削された地盤中に略均等に供給すると共に、掘削土と地盤改良材を攪拌翼41,42の回転駆動により攪拌混合する。
【0052】
対象地盤に投入する地盤改良材は、ポンプによって圧送されて回転軸内の流路23に送り込まれ、その流路の途中で分岐した複数の個別流路31,32,33を通り、更に攪拌翼41内の流路45を経て吐出口1,2,3に導かれて各吐出口から吐出され、地盤内における攪拌翼の攪拌混合域(攪拌翼の回動域)に投入される。
【0053】
そして、攪拌混合装置の貫入・引抜きの一方又は両方の過程で、攪拌翼41の吐出口1,2,3から地盤改良材が吐出されると、掘削土と地盤改良材が攪拌翼41によって攪拌混合される。このような攪拌混合を経て攪拌混合装置を対象地盤から引き抜くことにより、地盤土壌の所定位置に略円柱状の改良体が造成される。
【0054】
なお、攪拌混合装置に適用可能な地盤改良材の種類は特に限定されないが、その具体例としては、例えばモルタルのような骨材を持つ低流動性の材料が挙げられる。
このような低流動性の材料を地盤改良材として使うことにより、有機質土内の間隙に骨材分の土粒子が増え、地盤中への材料投入量をセメント系固化材と比較して減らすことができる。
また、低流動性の材料を地盤改良材として使うことにより、有機質土に適した高価な特殊地盤改良材を固化材として使用しなくても強度発現が望める。
また、地盤中への材料投入量が減る結果、材料費を削減できる。
また、地盤中への材料投入量が減ることで、盛り上がり土も併せて減ることから、残土処分費も削減できる。
また、地盤中への材料投入量がセメント系固化材と比較して減ることにより攪拌時間が短縮できる。
【0055】
(攪拌混合装置の第2実施形態)
攪拌混合装置の第2実施形態では、図4に示すように、複数の個別流路の断面寸法に特徴を持たせている。
【0056】
すなわち、前述した第1実施形態では、回転軸21が具備する個別流路31,32,33は、その断面積を等しく設定して、地盤改良材の流量が各個別流路でほぼ等しくなっているが、第2実施形態における個別流路31,32,33は、地盤改良材が通過する部分の断面積に差を付けている。
【0057】
このように、地盤改良材が通過する部分の断面積に差が生じるように、個別流路31,32,33の各寸法を設定することで、吐出口1,2,3における吐出量に違いを持たせることが可能である。このような特徴は、複数の吐出口に異なる吐出量を設定したい場合に有益である。
【0058】
(攪拌混合装置の第3実施形態)
攪拌混合装置の第3実施形態では、複数の吐出口に個別に通ずる複数の個別流路を、時間差を付けて繰返し開閉するための開閉手段を更に設けている。
【0059】
原位置地盤が攪拌翼に付着して原位置地盤の土塊が攪拌翼と一緒に回転するいわゆる供回り現象が生じて、攪拌混合の効果を低下させることがあり、このような供回り現象を防止する手段として「供回り防止翼」が知られている。本実施形態では、上述した「個別流路を時間差を付けて繰返し開閉するための開閉手段」を、一例として図5図6に例示するような供回り防止翼61を利用することで実現している。
【0060】
本実施形態の攪拌混合装置が具備する供回り防止翼61は、攪拌翼41と所定の間隙を隔てた位置に設けられ、回転軸21に対して相対的に回動可能に且つ回動自在に取り付けられている。供回り防止翼61は、攪拌翼41よりも外側まで延在している。そのため、攪拌混合装置が地盤内で回動する際には、供回り防止翼61の外端が、掘削孔の孔壁に突き刺さった様な状態となり、攪拌翼41と供回りしない又は供回りし難いようになっている。したがって、攪拌混合装置が地盤内で回動する状況下では、供回り防止翼61が回動しない又は回動し難い状態に維持され、一方で、攪拌翼41は供回り防止翼61に対して相対的に回動し続ける。
【0061】
そして本実施形態では、回転軸21に対する供回り防止翼61の取り付け部に、個別流路31,32,33を開閉可能な流路開閉部63を設けている。流路開閉部63には開口部65が形成してあり、この開口部65を通じて、攪拌翼41の吐出口1,2,3への地盤改良材の分配が行われる。
【0062】
具体的には、分岐した個別流路31,32,33を流路開閉部63が遮断するように供回り防止翼61を回転軸21に装着する。供回り防止翼61の流路開閉部63には、一部の個別流路のみ地盤改良材が通過できる開口部65(穴)を設けておく。
【0063】
なお、流路開閉部63に設ける開口部65の形状・数は、図5に示すものに特に限定されるものではなく、個別流路を開閉する時間差や個別流路の形状などを考慮して適宜設計変更することが可能である。
例えば、図5に例示する実施形態では、流路開閉部63に開口部65を一つ設け、その開口形状を個別流路31,32,33の断面形状に合わせて略扇形としているが、図6に例示する実施形態のように、開口部65を二つ設け、その開口形状を個別流路31,32,33の断面形状に合わせて略円形としてもよい。
【0064】
このような構成を具備する攪拌混合装置を地盤内で回動させると、一例として図6(a)(b)(c)に順に示すように、供回り防止翼61が動かないように拘束された状況下で、攪拌翼41が供回り防止翼61に対して相対的に回動する。
【0065】
そして、攪拌翼41が具備する何れかの個別流路が開口部65を臨む位置に到達すると、その個別流路は開放され地盤改良材が通過できる状態となる。したがって、個別流路31,32,33のなかで、通過できる流路が刻々と変化し、各流路が時間差で一時的に遮断されることにより不連続で材料吐出される。
【0066】
なお、吐出口を複数設けた場合において、すべての吐出口から同時に連続で吐出される場合には、一か所の吐出口が閉塞すると他の吐出口より材料が吐出されるため閉塞が解消されないが、各流路を一時的に遮断することにより閉塞した吐出口に圧力が集中し、閉塞している吐出口から詰まった改良材が押し出されることにより閉塞状態を解消することができる。
【0067】
(攪拌混合装置の他の実施形態)
【0068】
また本発明では、造成する改良体の仕様等に応じて、分岐した個別流路の内、いずれかを意図的に閉塞してもよい。あるいは、複数の吐出口の内、いずれかを意図的に閉塞してもよい。
例えば図7に示すように、最内の吐出口1(またはこの吐出口に通ずる個別流路31)を閉塞することにより、中空の改良体を造成することが可能である。
図7に例示する実施形態では、最内に位置する吐出口1を閉塞部材で(取り外し可能に)塞いでいる。このように塞ぐことで、吐出口1からは材料が吐出されず、そのため、攪拌翼41による攪拌混合域の内側は未改良となり、また、攪拌混合域の中間及び外側だけが限定的に改良される。その結果、図7においてグレーで着色したような中空状の改良体を造成することができる。
【0069】
また本発明では、吐出口を備えた攪拌翼の段数は特に限定されず、前述した第1実施形態のように一段でもよく、あるいは、図8に例示するように、吐出口を備えた攪拌翼を二段又はそれ以上設けることも可能である。攪拌翼を多段(例えば2〜4段)設けることにより吐出口を増やすことができ、吐出口が増えることで材料をさらに均等に分布させることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 第1の吐出口
2 第2の吐出口
3 第3の吐出口
11 機械攪拌用攪拌混合装置
21 回転軸(攪拌軸)
23 流路
31 個別流路
32 個別流路
33 個別流路
35 掘削ヘッド
37 分岐部入口
41 攪拌翼
42 攪拌翼
45 流路
61 供回り防止翼(開閉手段)
63 流路開閉部
65 開口部(穴)
91 施工機本体
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10