【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなセメント系深層混合処理工法を利用した従来の地盤改良工事では、次のような問題があった。
【0004】
一般的に、対象土が軟弱で含水比が高い場合は固化材混合量が多くなる傾向があり、含水比が200%を超えるような土では改良対象土量1m
3当たり500kg以上の固化材を用いる場合もある。
【0005】
水セメント比は80%程度を下限としていることから改良材が多い場合、地盤内への吐出に時間がかかり施工能率が落ちる。
【0006】
対象土が有機質土、腐植土等の超軟弱地盤の場合、一般的なセメントでは必要な強度が得られない。そのため、有機質土や腐植土等に適した高価な特殊地盤改良材が固化材として用いられている。
【0007】
工事費に固化材料費が占める割合が多いため、超軟弱地盤を改良する場合に工事費が大幅に増える。
【0008】
地中に投入するスラリー量の概ね80%の土が、盛上がり土として地表に排出され(産業廃棄物)その量は固化材料に比例して多くなる。
【0009】
従来技術では、改良材は一般的に回転軸下端部1点より吐出される(
図2(a)参照)。攪拌混合は、回転軸から放射状に伸びる板状の攪拌翼が回転軸を中心に回転する動きによるため、内側と外側で混ざりにくい。
【0010】
流動性が高くない材料を攪拌軸下端部より原位置土中に吐出することも検討されたが、そのような材料を吐出する場合、改良対象範囲全体に改良材が拡散しにくいことから、均質に改良するためには攪拌混合に時間を要する。
【0011】
低流動性の材料を吐出する場合、流動性が低い故に、回転軸の流路内で材料が閉塞し施工不可となる場合がある。
【0012】
低流動性の材料は攪拌混合しにくいため、このような材料を用いると、造成する改良体の品質が不均質になりやすい。
【0013】
地盤改良材を回転軸内の流路で分岐させる場合、分岐前より分岐後の流路断面積が小さくなると回転軸内での材料閉塞の可能性がある。
【0014】
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、例えば対象土が軟弱で含水比が高い場合や有機質土の場合でも、従来よりも施工能率が高く、低コストでの施工を可能とし、高品質の改良体を造成することを可能にする、機械攪拌用攪拌混合装置と、それを用いた地盤改良工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的は、地盤改良材の流路を具備する回転軸と、回転軸を介して導かれた地盤改良材を吐出するための複数の吐出口を具備する攪拌翼と、を有し、前記複数の吐出口が回転軸から異なる距離に位置するように攪拌翼に設けられた、機械攪拌用攪拌混合装置によって達成される。
【0016】
上記攪拌混合装置において、回転軸が具備する流路は、その途中で複数の個別流路に分岐していることが好ましく、この場合、複数の個別流路は、前記攪拌翼が具備する複数の吐出口に対し個別に通じている。
【0017】
また上記攪拌混合装置において、回転軸が具備する複数の個別流路は、それぞれ、地盤改良材が通過する過程で断面積が減少しない寸法を有していることが好ましい。
【0018】
また上記攪拌混合装置において、複数の個別流路には、地盤改良材が通過する部分の断面積に差を付けてもよい。
【0019】
また上記攪拌混合装置の回転軸が具備する流路において、複数の個別流路に分かれる分岐部入口にはテーパー加工が施されていることが好ましい。
【0020】
また上記攪拌混合装置は、複数の吐出口に個別に通ずる複数の個別流路を時間差を付けて繰返し開閉するための開閉手段を更に有してもよい。
【0021】
また、前述した目的は、
地盤改良材の吐出口を複数具備する攪拌翼を有し、複数の吐出口が異なる径で旋回するように設けられた機械攪拌用攪拌混合装置を用いた地盤改良工法であって、
回転軸と攪拌翼を有する攪拌混合装置を地盤に貫入する過程、地盤から引抜く過程の何れか一方又は両方の過程で、流路を具備する回転軸を介して地盤改良材を圧送し、
異なる径で旋回する複数の吐出口のそれぞれから地盤改良材を吐出する、
ことを特徴とする地盤改良工法によって達成される。
【0022】
上記地盤改良工法では、複数の吐出口から地盤改良材を不連続で吐出するようにしてもよい。
【0023】
また上記地盤改良工法では、地盤改良材として例えばモルタルのような骨材を持つ低流動性の材料を用いてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る機械攪拌用攪拌混合装置は回転軸と攪拌翼を有しており、攪拌翼は、回転軸の流路を介して導かれた地盤改良材を吐出するための複数の吐出口を具備している。複数の吐出口は、回転軸内の流路に繋がっていて、回転軸から異なる距離に位置するように(すなわち異なる旋回径になるように)攪拌翼に設けられている。
このような構成を採用し、回転軸から異なる距離にある複数(例えば2〜4ヶ所)の吐出口から地盤改良材を対象地盤内に投入することで、攪拌翼による攪拌混合域における内側から外側まで均等に地盤改良材を行き渡らせることができ、均質な改良体を効率よく構築することが可能になる。また、
図2(a)に示すような1ヶ所からの吐出に比べて、攪拌混合時間を大幅に短縮することができる。
図2(b)参照。
したがって本発明によれば、混合材料として例えばモルタルなどの低流動性の材料を使用する場合でも、攪拌翼で効率的な混合攪拌を行うことができる。
また、本発明に係る機械攪拌用攪拌混合装置では、使用機械として既存の深層混合処理機械を用いることができ、施工機本体の改造の必要がない。
【0025】
また本発明では、回転軸が具備する流路は、その途中で複数の個別流路に分岐しており、複数の個別流路は、攪拌翼が具備する複数の吐出口に対し個別に通じている。すなわち、回転軸が具備する流路は、その途中から複数に枝分かれした流路となっており、枝分かれした複数の流路は、対応するそれぞれの吐出口に個別に繋がっている。このような分岐構造を採用することにより、地盤改良材の分割投入(複数の吐出口からの地盤改良材の吐出)をスムーズに行うことができる。
また、複数の吐出口に個別に繋がる複数の個別流路を回転軸内に設けることで、地盤改良材の送出圧力が複数の吐出口のすべてに十分に伝わるので、すべての吐出口から確実に地盤改良材を吐出させることができる。
【0026】
また本発明において、回転軸が具備する複数の個別流路は、それぞれ、地盤改良材が通過する過程で断面積(通過面積)が減少しない寸法に設定されている。ここでいう「断面積」とは、流路における地盤改良材の通過部分の断面積である。
これにより、回転軸内を地盤改良材が通過する過程において断面積(通過面積)が減少することが無いので(つまり流路が途中で狭まることが無いので)、回転軸内で流路を分岐させても改良材通過時の抵抗が発生しにくく、回転軸内における地盤改良材の流量が安定する。
したがって、このような流路を具備する回転軸を介して地盤改良材を複数の吐出口に導くことで、対象地盤への改良材の分割投入(複数の吐出口からの地盤改良材の吐出)を滞りなくスムーズに行うことができる。
図1及び
図2(b)参照。
【0027】
また本発明において、回転軸が具備する流路では、複数の個別流路に分かれる分岐部入口にテーパー加工が施されている。このテーパー加工は、回転軸内で流動する地盤改良材が受ける抵抗を軽減する役割を担っている。
このようなテーパー加工を施すことで、個別流路に分かれる分岐部入口での抵抗が減って(すなわち地盤改良材を圧送するための圧力の損失が減って)、地盤改良材の流れがさらにスムーズになってその流量が安定し、また、回転軸内における材料閉塞の頻度をさらに低下させることができる。
図3参照。
このような特徴は、低流動性の材料を使用する場合に特に有効である。
【0028】
また本発明において、回転軸が具備する複数の個別流路は、その断面積を等しく設定して、地盤改良材の流量が各個別流路で同じになるようにしてもよく、あるいは、その断面積に差を設けて流量に違いを持たせてもよい。
後者のように、地盤改良材が通過する部分の断面積に差が生じるように、複数の個別流路の各寸法を設定した場合には、複数の吐出口における吐出量に違いを持たせることが可能である。
図4参照。
このような特徴は、複数の吐出口に異なる吐出量を設定したい場合に有益である。
【0029】
また本発明では、複数の吐出口に個別に通ずる複数の個別流路を、時間差を付けて繰返し開閉するための「開閉手段」を更に設けてもよい。
このような時間差式の開閉手段は、例えば供回り防止翼を利用することで実現できる。例えば供回り防止翼取り付け部に個別流路を開閉可能な流路開閉部を設け、この流路開閉部を通じて、複数の吐出口への地盤改良材の分配を行う。
具体的には、分岐した個別流路を遮断するように供回り防止翼を回転軸に装着し、一部の個別流路のみ地盤改良材が通過できる開口部(穴)を供回り防止翼に設ける。
図5、
図6参照。これにより、複数の個別流路のなかで、通過できる流路が刻々と変化し、各流路が時間差で一時的に遮断されることにより不連続で材料吐出される。
すべての吐出口から同時に連続で吐出される場合、一か所の吐出口が閉塞すると他の吐出口より材料が吐出されるため閉塞が解消されないが、各流路を一時的に遮断することにより閉塞した吐出口に圧力が集中し、閉塞している吐出口から詰まった改良材が押し出されることにより閉塞状態を解消することができる。
【0030】
また本発明では、造成する改良体の仕様等に応じて、分岐した個別流路の内、いずれかを意図的に封鎖してもよい。例えば、最内の吐出口に通ずる個別流路を封鎖することにより、中空の改良体を造成することも可能である。
図7参照。
【0031】
また、複数の吐出口の一又は二以上の位置を変えることにより、改良体の内側と外側に強度差をつけることも可能である。
【0032】
また本発明では、攪拌翼の段数は特に限定されず、一段でもよく、二段以上の複数段設けてもよい。攪拌翼を多段(例えば2〜4段)設けることにより吐出口を増やすことができ(
図8参照)、吐出口が増えることで材料をさらに均等に分布させることが可能である。
【0033】
また本発明で利用可能な地盤改良材の具体例としては、例えばモルタルのような骨材を持つ低流動性の材料が挙げられる。
このような低流動性の材料を、含水比が高く土粒子の少ない有機質土等の軟弱地盤の改良において地盤改良材として使うことにより、有機質土内の間隙に骨材分の土粒子が増え、地盤中への材料投入量をセメント系固化材と比較して大幅に減らすことができる。
また、低流動性の材料を地盤改良材として使うことにより、有機質土に適した高価な特殊地盤改良材を固化材として使用しなくても強度発現が望める。
また、地盤中への材料投入量が減る結果、工事費の中で構成比率の高い材料費を縮減することができる。
また、モルタルのような低流動性の材料の骨材として盛り上がり土を使用することにより、発生土の産業廃棄物処分費も削減することが可能となる。
また、地盤中への材料投入量が減ることで、盛り上がり土も併せて減ることから、残土処分費も削減できる。
また、地盤中への材料投入量がセメント系固化材と比較して大幅に減ることにより、攪拌時間が短縮して施工能率が上がり、その結果、工期を短縮することが可能になる。
【0034】
また、上述した機械攪拌用攪拌混合装置を利用して地盤改良工事を実施することで、
例えば対象土が軟弱で含水比が高い場合や有機質土の場合でも、従来よりも施工能率が高く、低コストでの施工が可能となり、また、高品質の改良体を造成することが可能となる。